内閣提出のパート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の改訂法案が18日、衆院厚生労働委員会で自民、公明党の賛成で可決しました。日本共産党は政府案に反対し、パート労働者などの「均等待遇」を法案に明記する修正案を提出しました。修正案は社民党が賛成しましたが否決されました。
日本共産党の修正案は(1)パートの多くが有期雇用であるため、法の対象に有期労働者を加える、(2)すべてのパート・有期労働者の「均等待遇」を明記し、差別的取り扱いを禁止する、(3)通常の労働者の募集・採用で、現に同種の業務についているパート・有期労働者の優先的雇い入れの努力義務を課す、(4)厚労相の勧告に従わない企業の公表など事業主への規制を強化する--という内容。日本共産党は2003年と04年にも「均等待遇」を柱としたパート法改正案を参院で提出しています。
政府案について、日本共産党の高橋千鶴子議員は反対討論でも、「均衡処遇」とするだけで賃金格差や男女差別を禁止する「均等処遇」を明文化していないと指摘。差別禁止の対象となるのはごく一握りのパートだけで、逆にパートを区分して待遇に違いを設けることにより、新たな格差・差別を持ち込み、格差の固定化が生まれると批判しました。パートの7割を占める有期労働者が継続的に安い労働力として使われており、有期労働者の権利保護の規定がないとただしました。
(2007年4月19日(木)「しんぶん赤旗」より)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 ただいま議題となりました日本共産党提出の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、趣旨を説明します。
パート労働者は千二百万人を超え、今や基幹的な労働力として雇用されているばかりか、パート労働から得る収入は労働者の生活を基本的に支えるものとなっています。にもかかわらず、正社員とほとんど同じ労働時間や仕事であっても、賃金や労働条件の面で均等な待遇を受けていない実態があり、これを抜本的に改善することが強く求められています。若者の多くがパート労働者として働いている現状からしても、この格差是正は喫緊の課題と言えます。
ところが、政府の対応は、パート労働者に通常の労働者と同じ権利を保障した一九九四年のILOパート労働条約にいまだ署名も批准もせず、差別の禁止や均等な待遇の実現に背を向けています。
我が党は、均等待遇を柱とした改正案を二〇〇三年と二〇〇四年に参議院で提出しました。今回の提案も、パート労働者などの均等待遇を法案に明記するなど、格差是正を実現するための措置をとるものであります。
以下、提案する修正案の骨子を説明します。
第一に、パート労働者の多くが有期労働者であることから、有期契約を理由に通常の労働者と差別してはならないことを明確にするため、法の対象に有期労働者を加えます。
第二に、すべてのパート労働者及び有期労働者を対象として、通常の労働者との均等待遇の確保を法案に明記し、差別的取り扱いの禁止を規定します。
第三に、通常の労働者を募集、採用する場合、現に雇用する同種の業務についているパート労働者及び有期労働者で希望するものについては、優先的に応募する機会を与えなければならないこととするとともに、優先的な雇い入れの努力義務を課すこととします。
第四に、事業者への規制を強化します。パート労働や有期労働を理由に通常の労働者との差別的取り扱いをした場合や正社員への優先的応募の機会を与えない場合、厚生労働大臣が行う勧告に従わない場合には、これを公表し、勧告に従うよう命令できる規定を新たに置きます。
以上述べて、趣旨説明とします。よろしく御賛同くださいますようお願いいたします。