国会質問

質問日:2007年 5月 11日 第166国会 厚生労働委員会

社保庁法案質疑 民間委託批判

 日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は11日の衆院厚生労働委員会で、社会保険著運p分割・民営化法案について、国民の信頼の回復につながらず、安全・安心を損なうことになるとただしました。

 高橋氏は、不祥事は組織的なものであって一般職員への責任押しつけは許されないと述べ、現在の幹部が新法人の役員にそのまま移行するのでは刷新にならないと指摘。柳沢伯夫厚労相が「具体的人事に言及しない」と答弁を避けたため、高橋氏は、幹部が漫然と移ることでは信頼回復はできないと強調しました。

 政府は年金業務を民間委託しても、監督や是正命令などで国の責任を果たすと説明しています。

 高橋氏は、民間委託の計画や職員採用基準が、内閣府に置く第三者委員会で検討する仕組みをとりあげ、安定運営を損なう計画が出ても拒否できるのかと質問。柳沢厚労相が「ひっくり返すことはない」と答えたため、高橋氏は、これでどうして年金運営に厚労省が責任を果たせるのかと批判しました。

 高橋氏は「民間委託で業務がバラバラに細分され、委託先も都道府県によって変わり、長くても3年で入れ替わることになる」と指摘。長期間、正確な記録が求められる年金記録をはじめ保険料の納付・適用など重要な業務が、継続して安定的に運営される保障がなくなると強調しました。

 柳沢厚労相は「(年金運営の)継続性から問題だと言うことは念頭に置く」としながらも「外部委託で効率性をチェックすることが必要委だ」とのべ、年金の安定運営を危うくする民間委託に固執する姿勢を示しました。

(2007年5月12日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年廃案になった社会保険庁の改革案が衣がえをして本委員会に付託をされております。閣議決定された三月の新聞各紙を見ますと、不祥事の百貨店、失態は底なし、こうした言葉が並び、実際に振り返ってみると、残念ながらそのとおりであったと認めざるを得ません。

 昨年の不正免除の問題が、数の上では二十二万件を超え、最も特徴的な事件でありましたけれども、しかし、それだけではなく、事務費の無駄遣いが億単位であったこと、監修料、納入業者からの金品の授受など、これらも億単位を超え、特に業者関係では免職者も出す、こうした対応が迫られてまいりました。これらの問題は絶対にあいまいにせず、何よりも徹底した再発防止と信頼の回復が求められると思います。

 同時に、依然として国民の不安や関心事のトップにある年金問題、将来にわたって安定した制度となるのか、果たして頑張って保険料を払っても本当に年金を受け取れるのか、国民の中にある年金制度そのものへの不信感に対しても明確な答えが必要と思います。

 最初に大臣に伺いますが、今回二つの法案を出した目的は、私が述べた二つの国民の不信感、これを払拭し、信頼を回復するのが目的であると確認をしてよろしいでしょうか。

○柳澤国務大臣 年金に対する関心というものは、少子高齢化の中でますます高まっていくと我々は考えております。

 そういう中で、今委員もおっしゃられたとおり、長期的に給付と負担の均衡を確保して制度を持続可能なものとする、そういう実体的な制度の面をしっかり確立するということ、それからまた、実際のこの制度の運営に当たる機関、これがいろいろと問題を露呈させるというようなことは、これはもうそういう運営組織を通じて国民の信頼が揺らぐ基になるわけでございますので、これについてしっかりと立て直しをするということでございます。今回の二法案は、特に後者の要請にこたえるものであるということを申し上げたいと思います。

○高橋委員 私が指摘したことと同じ答えだなと思って聞いていたら、最後に後者のというふうにわざわざおっしゃいましたので、やはりそれは二本足で、国民の年金制度そのものに対する信頼回復ということも同時に追求されていく、それがなければ、眼目としている例えば収納率の向上ですとか、そういうところには結びつかないのでありますから、当然そこは握って離さないというくらいの御答弁をいただきたかったなと思うんです。

 それを含んだ上で次のお答えをいただきたいんですけれども、では、今度の二つの法案が信頼回復の決め手となるのかということであります。

 昨年十二月十五日の朝日新聞の社説では、与党がまとめた社会保険庁の解体、再編案について、「頭と心臓は国。胴体は非公務員型の新法人。手足は民間」、こういう表現をしておりましたが、なるほどと思いました。とても真っすぐに歩いてくれるとは思えません。

 そもそも、与党の中にも、幹事長や政調会長など要職にある方が、歳入庁構想あるいは完全民営化など、それぞれが違うことを主張していたわけであります。そうしたことをつなぎ合わせてスタートするとすれば、足がもつれる、ぎくしゃくするのは当然ではないでしょうか。

 先日の本会議で、なぜ解体分割のこの法案が国民の信頼回復につながるのかと安倍総理に質問をしましたが、直接なお答えは得られませんでした。

 大臣に改めて伺います。なぜ今度の法案が国民の信頼回復につながるのでしょうか。

○柳澤国務大臣 実体的な面は、平成十六年度の制度改正によって、私どもとしては、持続可能なものとする、そういう目的に対して十分こたえられる制度改正を行ったという認識でございます。

 そして、それに次いで、今度、年金の運営組織を国民の信頼にこたえるものとしたいということで制度設計に当たったわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、こうした今の社保庁というものをどうやって立て直すかというときに、一つは、確かに私は政府の機関としてもっと直接的なものにするということが想定の上では考えられると思います。民主党はそういう方向をとったということだろうと思うんです。

 それに対して、私どもとしては、そういうことではなくて、民間のいろいろな経営の原理と申しますか、そういうものでもって、より効率的な、そして不公正を許さない、そういう組織を実現することによってその期待にこたえようとしているということでございます。

 私ども、今回のこの日本年金機構という非公務員型の新法人をつくることによりまして、能力と実績に基づく人事管理の導入であるとか、あるいは職員の親方日の丸的な意識の払拭というものが可能となるというふうに考えておりまして、こういうことで組織のガバナンスを強化するということで、これまでのぬるま湯的、あるいは閉塞的なそういう組織の体質というものを一掃してまいりたい、このように考えているところでございます。

○高橋委員 結局は、公務員でなくすれば解決し、信頼が得られるということですか。

○柳澤国務大臣 これは、例えば国税庁というのが午前中以来の議論の中で大変高い評価を得ているわけでございまして、公務員であるから、あるいはないからということではないんですけれども、我々の社会保険庁の問題を今回解決して、そして本当に国民の信頼を得る道としては、やはり今のような公務員ということ、あるいは親方日の丸と先ほども申し上げましたけれども、そういうような意識というものを払拭する必要がある。これはやはり、公務員ということを続けていたのではそういうことはかなわないというふうに我々は考えまして、非公務員型ということでもって意識の改革を図り、そしてまた民間のいろいろなめり張りのきいた人事管理等のシステムを導入することによって問題を解決したい、このように考えているということでございます。

○高橋委員 結局、すべて悪いのは公務員なんだ、これは職員の首を切れば問題が解決する、そう言っているのと同じなんですね。

 しかし、先ほど一部紹介をした、この間いろいろな問題が起きている、それを見ていきますと、やはり一人一人の職員が、その人が悪いという単純な問題じゃないわけですね。契約の問題、業者からの金品の授受、監修料の問題など、これは一人がそう思ってやっていることじゃなくて、組織的に行われていた不祥事が多いわけです。それを、個々の職員が悪い、不祥事をやった職員は首を切るんだと戒めのようなことを言って、肝心の組織の幹部はどうなるんでしょうか。

 職員の採否に当たっては、内閣府のもと、第三者機関である設立委員会が決めることになっております。しかし、新法人の理事長は大臣が指名し、役員は理事長が指名することになっております。ここで今のトップのメンバーが新法人にスライドするようでは何ら刷新にはならないと思いますが、大臣、どう考えますか。

○柳澤国務大臣 ですから、業務の切り分けと採用等の人事面のことについては、内閣府に置かれる第三者の中立公正な有識の方々の意見を聞いてこれを行おうということを制度的に構築しているわけでございまして、そういうような中立公正な第三者の有識の方々の意見を聞くことによって、適切な人事が行われるように我々としては図ってまいりたい、こういうように思っている次第です。

○高橋委員 私が聞いているのは、新法人の役員の体制の問題です。理事長は大臣が指名するんですよ。大臣に権限があるんです。今のトップがそのままスライドしてはだめでしょう。何も変わらないじゃないですか。職員だけ制裁して、トップのメンバーがそのままスライドするんですか。そういうことは考えていないとお答えになるのが筋じゃありませんか。

○柳澤国務大臣 私どもは、考え方としては、ここで人事も刷新していくということでございますけれども、しかし、具体的な人材というものを考えましたときに、今委員が指摘されるような特定の方々の人事についてまでここで言及することは適切を欠くんだろう、このように私は考えます。

○高橋委員 もちろん、ここで採用するとかしないとかというお答えはないと思います。ただ、当然、そこは踏まえていただきたい。個々の職員の責任にして、トップが組織の責任を問われることなくスライドするようなことはあってはならない、ここは強く指摘をして、続けていきたいと思います。

 それぞれの問題について処分や再発防止策はそのたびにとられました。しかし、それが本当に機能していくかどうかは、まだ一定の時間を要すると思います。

 昨年八月に公表した第三次調査報告書に基づく新たな事務処理基準のもと、まだ六十九万人の居所不明者の再点検が完了していないと先日の大臣の答弁でありました。また、きょうも午前中から繰り返し指摘をされている年金記録五千万件の今後の課題についても、民主党さんが要求していることと政府が答弁していることは若干食い違っているわけです。

 しかし、その中でも、大臣は、誠実に、単に最初から門前払いではなく、相談に乗っていきたいんだ、少しでも解決していきたいんだということをおっしゃっていたんだと思うんです。もしそうであれば、この作業が今回の法律で移行することによって宙に浮くことがあってはならない、途中で終わるようなことがあってはならないと思いますが、そこは確認したいと思います。

○清水政府参考人 不在の問題でございますとか、現在引き続き作業しているものもございます。それらにつきまして、時間のかかるものもございますけれども、できる限り速やかに作業をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。

 日本年金機構の発足の時期でございますけれども、平成二十二年一月ということを我々は考えておるわけでございますので、それまでの間、できる限り速やかに調査をし、さまざまな対策を講じてまいりたい、かように考えてございます。

○高橋委員 大臣にもう一度伺いたいんですけれども、先日の本会議のときに、社会保険庁の在り方に関する有識者会議の最終とりまとめ、公的年金制度は、「国の責任の下に、確実な保険料の収納と給付を確保し、安定的な運営を図ることが必要」、この立場と、趣旨は沿っているものだという答弁が総理からあったと思います。

 私は、このことを踏まえて、最初に伺った処理の問題をきちっとやることも踏まえて、長い年月、正確な記録が求められる年金業務である、安定的な運営のための収納対策や事業所の適用対策など、こうしたそれぞれのことを突き詰めていくと、やはり国の責任ということで、国が直接にやらなければならないものではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○清水政府参考人 現在、私ども、社会保険庁という組織でございますので、現在進めるべき調査等は当然社会保険庁において行っていくということでございます。

 ただ、二十二年一月の日本年金機構という新組織というところまでを見渡して考えますと、やはり新組織の業務にふさわしくない職員までもが漫然と新組織に移るわけにいかない、そういう基本的な考え方でございます。現在こなすべき業務は粛々とこなし、また、日本年金機構が行うべき仕事、それからそれに対応した職員の採用、それはおのおの分けて考えていくべき事柄かなというふうに考えてございます。

○高橋委員 済みません、今のは職員の分限のことを聞いたんではないんです。もちろん私、それは絶対やめるべきだと思っていますけれども、そうではなくて、新しい法人は、職員をどれだけ引き継ぐかどうかにかかわらず非公務員型なわけでしょう。それがやはり正確な記録が求められる年金業務にはふさわしくないんではないか、それをちゃんとやるにはやはり直接に国がやるべきではないかということを聞いたんです。

○清水政府参考人 日本年金機構の運営に関しましては、厚生労働大臣が適切な監督をする、直接具体的な監督をする、また、必要に応じて是正命令等も行うということによりまして国の責任が十分に果たされる、そういう形になっておるわけでございます。もちろん、日本年金機構は、年金の実務業務を行うための組織でございますので、それが十分処理できるような体制にすべきものでございますし、そういう観点に立って、内閣の第三者機関も、どのような業務をみずから行うのか、委託に出すのか等々について御検討いただけるものだというふうに考えてございます。

○高橋委員 今、国が適切な監督をするからという答弁であったと思います。そのことを少し検証していきたいと思います。

 具体的に伺いますけれども、平成二十年十月に発足する政府管掌健康保険の公法人、これがまず先陣を切っているので参考になると思うんですね。きょうは資料をつけております。公法人化についての組織、これも同じように、二枚目にメンバー表がありますけれども、設立委員会を設けて、事業の切り分け、法人の理念、運営方針、組織人員の骨格、採用基準、労働条件を決めるというふうになっているわけであります。

 「改革の視点」の真ん中のところに「被用者保険の最後の受け皿であることから、解散を認めない法人として政府により設立し、財政運営の安定化のために必要な措置を講ずる。」というふうに書いておりますが、なるほど、最後の受け皿であるというこの認識というのは非常に重要かな、これは年金においても同じことが言えるのかなと思っているんです。

 まず簡単なことを伺いますが、ここで採用される職員は、これも非公務員型ですので、一般公募、社会保険庁職員との兼ね合い、どのようになるのか、どのくらい採用されようとするのか、伺います。

○水田政府参考人 全国健康保険協会の職員の採用についてのお尋ねでございます。

 その進め方について御説明いたしますと、まず、御指摘のありました設立委員会におきまして採用基準や労働基準を定めるわけでございます。これを踏まえて、社会保険庁におきましては、職員の意思を確認の上で、候補者の名簿を作成して設立委員会に提出をする、それを踏まえて、設立委員会におきまして職員の採用を決定する、こういう流れで行われることになってございます。

 お尋ねのありました採用基準につきましては、設立委員会におきまして、ことしの秋を目途に取りまとめる方向で検討が進められているところでございまして、お尋ねの社会保険庁及び民間からの採用の規模、それから職員に求められる条件等につきましても、この中で決定されるものと考えてございます。

 さらに、協会の採用方針についてでございますけれども、先ほど委員御指摘のような機能がこの協会にあるわけでございますので、こうした協会に期待される役割を適切に果たすことができる組織をつくる、こういう観点から、設立委員会において検討されるものと考えてございます。

○高橋委員 ことしの秋に規模なり基準なりがわかるということだと思うんですが、その設立委員会が非公開で行われているのはなぜですか。

○水田政府参考人 お答えいたします。

 設立委員会は、設立委員が法人の設立に関する事務を円滑に処理するため、合意形成や意見調整等を行う場でありまして、他の法人の設立委員会におきましても非公開の取り扱いとなっているところでございます。

 全国健康保険協会の設立委員会におきましては、こうした他の法人の取り扱いも踏まえた上で、各委員の率直な議論を促すため、委員の総意に基づきまして、運営規則において非公開の扱いとしたところでございます。

 ただ、議論の透明性を確保するという観点もございますので、議事の概要については公表している、こういう取り扱いになってございます。

○高橋委員 議事の概要をホームページで見ましたけれども、まだ第二回までしかアップをされていませんで、全く追いつかないんですね。だれがお話ししたかはもちろんわからないですし、あくまでも概要であります。

 私は、これが率直な議論を保障するということが委員の方から言われて、それを認めてしまえば、これから先、何でもそれが通用しちゃうわけですよ。せっかく情報公開ということがこの間ずっと進められてきて、後戻りさせる議論になっちゃう。これはやはり改善をしなければならないと思います。少なくとも、今どうしても公開は難しいんだというのであれば、議事録そのものをきちんとホームページにアップする、そのくらいのことはやっていいんじゃありませんか。

○水田政府参考人 実はその点につきましても第一回の設立委員会で議論がございました。

 まず、この議事の公開の方法についての議論でございますけれども、これにつきましても、各委員の率直な議論を促す観点から、委員の総意に基づき、発言者名を伏した形で、議事の概要について公開するという取り扱いとなったところでございます。

○高橋委員 委員の中に公開をするべきだという発言をした方がいたというお話ですよね。もったいないなと思います。やはりそういう率直な議論がされるんであれば、それこそそれを国民に見てもらわなければ、どうして信頼回復などということができるのかということを実は次に聞きたいんですけれども、日本年金機構においては、今度二つの、二階建ての第三者機関が設立されるわけですよね。繰り返し言われているように、この第三者機関が業務を振り分けするということですよね。かぎとなるということを先日長官おっしゃいました。これもやはり非公開となるんですか。

○清水政府参考人 日本年金機構の業務委託あるいは職員の採用に関します基本計画を定める際の学識経験者からの意見聴取、これにつきましては、総理の御指示によりまして行革大臣が担当することになっているわけでございまして、それに関係します具体的な方法、公開、非公開も含めてでありますけれども、それは今後内閣官房におきまして適切に検討されるものというふうに考えてございます。

 また、日本年金機構の設立委員の方の会合のことでございますけれども、これは、今保険局長から御説明申し上げました全国健康保険協会の設立委員による会合の運営方法なども参考としながら、設立委員の方々において適切に判断していただくべきもの、かように考えてございます。

○高橋委員 今のお答えのように、国が監督するんだから、責任持つんだからとおっしゃっていますけれども、この第三者機関の運営そのものだって内閣官房で決めるんだから、公開か非公開かすらも何の発言権すらない、これでどうして国民の信頼回復が得られるのか。とても再スタートなんてできるはずがないんです。そのことを強く指摘したいと思うんですね。

 それで、今言ったように、第三者機関は内閣府のもとに置くわけです。いわゆる民間委託できる業務の振り分けについて、内閣府のもとで第三者機関が協議をするんですよね。ところが、条文上は、「機構は、厚生労働大臣の定める基準に従って、」「業務の一部を委託することができる。」となっています。ここで厚生労働大臣が出てまいります。つまり、第三者機関の審議で決められる業務、大臣はそれができ上がるのを指をくわえて待っているのかということになりかねないんですね。でき上がってきたものに対して大臣は責任をとらされる。大臣が決める基準だと書いているんです、条文上は。だけれども、その運営に関しては内閣府で責任を持つ。

 どうなるでしょうか。大臣がどこで責任を果たせますか。ここの第三者機関に出ていって、国がやるべき業務はこれこれである、譲れないものがある、例えばこういう発言をするとか、拒否権、第三者機関が言ったのはそうだけれども、厚労省の長年の蓄積からいって、それはちょっと待ってくれという拒否権を持つとか、そういうことができるんですか。

○柳澤国務大臣 日本年金機構法案におきまして、日本年金機構の業務の委託の推進や職員の採用についての基本的な事項に関する基本計画を定めるに当たって、学識経験者から意見を聞くということになっているわけでございます。

 そういうことでございますので、そういう基本計画を定める際は、総理の指示によりまして、渡辺行革担当大臣がこれを担当するということになっておるわけでございます。これは、国会対応につきましても、また法案成立後の関係業務というか基本計画に関する業務でしょうけれども、これを渡辺大臣が担当される、こういうことになっております。

 そのもとにおいて、私がまた具体的な基準を定めまして、そしてもっと具体的な業務運営の枠組みをつくっていく、こういうことになるんだろうと考えております。

○高橋委員 そうすると、第三者機関が決める基準と大臣が具体的に決める基準と違うこともあるということですか。つまり、例えば、この分野は民間委託をすべきじゃないとか、ありますか。

○柳澤国務大臣 基本計画のもとで私が基準を決めてということになるわけでございますので、そのもとでの基準が基本計画をひっくり返すような、オーバーライドするようなことはない、こういうことでございます。

 そういうことで、私としては、年金制度を所管する厚生労働省の責任者として、必要に応じて意見を述べるということは当然のことであろう、このように考えております。

○高橋委員 必要に応じて意見を述べる、やはりちょっと受動的なことにならないかと思うんですね。

 やはり厚生労働大臣の責任で基準を決めて、その後の運営についての監督責任があるというときに、例えば、第三者機関が大臣の意見を聞きたいよということはあるかもしれないけれども、きょうは用がないよということもあるのかなと。そういうので本当にいいのか。やはり、厚労大臣として何を発言していくのか、あるいは積極的にかかわっていくという姿勢が欲しいなと思うんです。

 最後に伺いますが、業務がばらばらに細分化される、あるいは、民間委託という場合、都道府県の事務所、それぞれ委託先が違います。長くて三年で更新、そういう中で、人の一生のうち大部分を占める年金、この重要でかつ専門的な業務が安定的に継続されるというのは非常に考えにくいと私は思っているんです。率直な大臣の感想を伺いたいと思います。

○柳澤国務大臣 先ほどのこととも関係すると思いますので申し上げますけれども、やはり、今回の日本年金機構の設立というものは、ある意味で行政改革の一環というふうに位置づけるべきであろう、このように思うわけでございます。

 そういう意味で、ある意味で私ども行政改革を受ける側でございますので、それが何もかも仕切ってしまったのではという考え方から、行革担当大臣が大きな基本のところを、大もとを決められる、第三者機関の決められることの担当をなさる、こういうことであろうということで御理解を賜りたいと思います。

 外部委託の問題ですけれども、これは、外部委託というものを、今、三年は継続するにしても、三年ですぐまたかわってしまうというようなことでは、年金業務の継続性というか安定性という観点から問題があるではないかという御指摘でございますが、そういうものももちろん念頭には置くわけですけれども、やはり外部委託というものが、効率というかあるいは公正というか、そういう年金業務が本来実現しなければならない理念、これに照らして常にチェックをされるということもこれもまた必要であろうと思います。その兼ね合いの中で具体的な判断が適切に行われるべきものだ、このように考えます。

○高橋委員 時間が来たので終わります。また次にします。

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