国会質問

質問日:2007年 5月 18日 第166国会 厚生労働委員会

社保庁法案質疑 事務費流用問題

 日本共産党の高橋千鶴子議員は十八日の衆院厚生労働委員会で、社会保険庁解体・民営化法案とあわせて、年金保険料を国が負担すべき事務費に流用する問題をとりあげ、国の責任を後退させるものだと追及しました。法案では、これまで臨時的措置としてきた保険料の事務費への流用を恒常化することにしています。

 高橋氏は、事務費に流用される保険料は毎年二千億円にのぼっており、これまで法律に明記されていなかった広報や教育、相談事業にも流用できることを指摘。「受益と負担の関係を明確にするため」という政府の説明について、「受益者といっても、それは大多数の国民だ。そんな理屈ではどこまで広がるか分からない。国の責任でやるべきだ」とのべました。

 高橋氏は、事務費で増大しているのがシステム経費で、一九九八年に六百六十四億円だったのが二〇〇七年には千二百九十八億円と倍加していることを指摘。さらに新しいシステム構築に千百五十億円かかるうえ、現行のシステム開発費の残債が千五百億円にのぼることをとりあげました。

 厚労省は、現行のシステム経費について、社保庁との随意契約によるムダ遣いが指摘されてきたNTTデータなどの大企業が引き続き独占的に受注していることを明らかにしました。

 高橋氏は、特定企業を利する実態が変わっておらず、保険料浪費への反省がないと批判。「国庫負担になっている人件費も民間委託がすすんでいけばますます小さくなる。年金運営に国が責任をもっているとはいえなくなる」と指摘しました。

 柳沢伯夫厚労相は「効率的な工夫をして、過度に保険料に負荷がかからないように努力したい」と答えました。

(2007年5月19日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、一昨日の本委員会の開催中に、社会保険庁の指導医療官が逮捕されたという事件は、またも社会保険庁かと大変落胆しました。医療Gメンという不正をチェックする立場の人間が、その地位を利用して十年にもわたって不正に身を染めていたという事実は、大変衝撃でした。これでは国民の不信感は募るばかりであります。

 冒頭、この点で大臣に一問だけお伺いします。

 指導医療官は、医科が六十五名、歯科が四十二名、百七名いるとのことでありますが、この事件によって、他のまじめに仕事をしている指導医療官の方がどんなに落胆されているか、あるいは、多くの開業医、歯科医師らが、みんな悪者のようにテレビでも扱われております。そうした方たちに報いるためにも、徹底調査と再発防止を打ち立てるべきだと思います。

 特に、指導医療官は、来年十月から全国健康保険協会が設立されることに伴い、地方厚生局にその任務が移ります。これをどう生かし、不正を許さない取り組みとするのか、伺いたいと思います。

○柳澤国務大臣 今回の事件、事案につきましては、私といたしましても、極めて遺憾だ、このように考えております。厚生労働省の立場としては、捜査に全面的に協力する、事実解明を待って厳正に対処する、こういうことでございます。

 この事態を受けまして、四十七都道府県の各社会保険事務局長に対し、担当課から改めて、綱紀の保持について職員一人一人に徹底するよう、電話で指示をしたところでございます。

○高橋委員 私はこの点については指摘にとどめますけれども、今議論をされている日本年金機構に先行してこの健康保険協会が来年設立をされるわけです。国に監査機能を残し、非公務員型の公法人でスタートをする。そのときに、今、公務員かどうかなんという議論がされているわけですけれども、こういう機能でももうだめなんじゃないかということが今提起されてしまっている。ですから、私は、これが本当にうまくいくんだろうか、監査機能もちゃんといくんだろうかということを見きわめてから次に進むという選択肢もあると思っております。

 今の年金記録の問題もそうです。日本年金機構法案の成立を今急ぐべきではない、このことを強く指摘しておきたいと思います。

 さて、きょうは年金保険料の流用問題について伺います。

 この問題について、五月八日の本会議で安倍総理は、私の質問に対して、極めて妥当なものと言い切りました。少なくとも原則国庫負担とされてきたものが、国の財政事情から特例措置となって、それを恒久化するというときに、なぜ極めて妥当という開き直りができるのか、全く理解できません。

 資料の一枚目を見てください。今年度の年金事業運営費の予算の内訳が書いてありますけれども、保険料財源となるのは、この真ん中の九百五十七億円、保険事業運営に直接かかわる事務費となっておって、「特例措置」と書いてあります。これがいわゆる事務費の分野でありますけれども、そのほかに福祉施設費というのがございます。千八十二億円。ああ、施設がこんなに残っているのかと思えば、これはいわゆるハードではなくて、年金相談、広報、教育などに使われるお金だと言っているわけですけれども、合わせて二千億円を超えるお金が今後も毎年保険料から出るということでしょうか、確認をいたします。

○清水政府参考人 お答え申し上げます。

 年金事務費は年金給付と密接不可分なコストでございます。これに保険料を充てますことは、受益と負担の明確化という観点からも、また、民間保険はもとよりといたしまして、他の公的保険、諸外国の例から見ても妥当なものであるというふうに考えております。

 ただし、財源のいかんを問わず、経費の効率的な使用ということは大変重要なことであるというふうに考えてございます。今御指摘の十九年度二千億円という額でございますが、かつて、十三年度、ピークであったときには三千億円を超えておったわけでございますので、年々節減に努めて、現在二千億円にしているということでございます。

 今後に向けてでございますが、今回の法案で、いわゆる福祉施設規定を改めまして、事業の範囲を年金相談等に限定列挙するという点が一点ございます。また、日本年金機構の予算等に関しましては、厚生労働大臣が毎年度認可するということによりまして厳しく監督するということにしてございます。

 また、現在、可能な限り競争入札や企画競争にいたしましたり、調達委員会で厳格な審査をやっておるところでございますけれども、機構発足後におきましても、現在の取り組みを踏まえ、無駄の排除をし、効率的な経費の用い方を徹底してまいる、このような考え方でおるわけでございます。

○高橋委員 いろいろ説明されましたけれども、質問には答えていないと思います。毎年このくらいかかるのですかと聞いています。

○清水政府参考人 機構発足までの社会保険庁の時代におきましても、また機構発足後におきましても、予算を精査いたしまして的確な予算立てをするとともに、できる限りの節減、執行面におけるさまざまな無駄の排除を徹底してまいりたい、このように考えております。

○高橋委員 できる限りの節減とはおっしゃいましたが、それ以上具体的に踏み込めないということは、やはり二千億円前後あるいはそれ以上ということが予測できるのではないかというふうに私は思います。そういう説明も実は受けております。

 肝心なのは、それが、今説明されたように本当に密接不可分なコストなのか、本当に妥当なのかということが絶えず問われなければならないと思うんですね。

 事務費については、昨年十二月十八日の財務、厚労二大臣の合意において特例措置を継続することが確認をされて、その考え方については平成十七年度以降と同じだ、保険料負担を保険事業運営に直接かかわる適用、徴収、給付、システム経費に限定するとされました。

 しかし、この福祉施設費の方は、これは第七十四条に書いてありますが、「政府は、第一号被保険者及び第一号被保険者であつた者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。」現行法にはそれしかないわけですね。その「施設をすることができる。」という中にいろいろなものが隠れていて、これが今、「施設をすることができる。」を取ったかわりに、広報だ、教育だ、相談云々というのが出てきた。これが何でそこに保険料財源が使えるということになるのか、理解できません。

○青柳政府参考人 いわゆる福祉施設規定についてのお尋ねでございます。

 ただいま委員からも御紹介がございましたように、国民年金法七十四条で申し上げれば、福祉施設、「必要な施設をすることができる。」ということで、被保険者の方やあるいは受給者になった方々に対してさまざまなサービスを提供する際に、そのサービスに必要な財源を保険料に求める。これは、まさに事務費とはそこの点が異なりまして、被保険者、受給権者に対するサービスということをどういう財源で賄うかということの判断でございます。

 今回の法案におきましては、これまで批判のございましたこの「必要な施設をすることができる。」旨の規定を廃止いたしまして、公的年金事業の実施のために真に必要なものを明示的に列挙し、保険料を財源とする事業の範囲を限定するということをいたしたわけでございます。

 具体的には、年金相談として、年金加入記録の照会対応や年金見込み額の試算、そして年金教育、広報といたしまして、中高生、大学生に対する年金教育、被保険者等を対象とした制度内容や手続の周知、そして情報の提供といたしまして、五十歳到達者に対する年金加入記録のお知らせや、加入履歴を印字した裁定請求書の送付、あるいはインターネットを活用した年金加入状況の情報提供、今後は、例えばねんきん定期便といったものも含まれてくるわけでございます。

 いずれにいたしましても、今回の改正は、年金保険料は年金給付及び年金給付に関連すること以外には使わないという政府の一貫した方針に沿うものと御理解賜りたいと存じます。

○高橋委員 今の説明を聞いても、この間積み上げられてきた事務費に関する議論とは別の概念が出てきた、新たな解釈が出てきたということなんです。サービスが本当に、先ほど来言っているように、年金給付と密接不可分なコストとだれが判断できるのかということ、これは全然理解ができません。

 もしそれが本当に不可分なものであるのであれば、逆にこれは、条文にあるように、「政府は、」となっていますから、国の責任でやるべきではありませんか。

○青柳政府参考人 この福祉施設につきましては、利用する方が、だれがそのサービスを利用するということが明確にわかるわけでございます。したがいまして、利用者のいわば負担、それを利用料という形で個々に取るという手法も技術的にはあるかもしれませんが、現実的にはそれには徴収等の別のコストもかかるということがありますので、保険料という形で被保険者あるいは受給者の方がその提供されたサービスを負担していただくというやり方で制度発足以来運営をしてきたものと御理解賜りたいと存じます。

○高橋委員 国民皆年金なんですから、利用者はすべてです。すべての国民に向かって政府は広報をするんじゃないですか。安心した年金制度をつくるということに責任を持つために、こうしたいろいろな広報などをやるのではないですか。それを、保険料の財源だ、利用者なんだからといったら、その理屈がどこまで広がるのかということになるわけですよ。

 この間答えてきた中で、例えば年金機構への交付金については予算の段階で使途をホームページなどで明確にする、だから間違った使い方はしないんだということを答えてきました。だったら、こうした問題についても、いわゆる福祉施設費の中に隠れていたものをどう使うのかということも予算の段階で明らかにする考えはありますか。

○清水政府参考人 御指摘のとおり、国が日本年金機構に交付いたします運営費交付金の使途につきましては、条文上は、機構に対してその使途を明らかにするというふうに書いてございますけれども、私どもといたしましては、これをホームページ等を活用いたしまして広く情報開示したいというふうに考えておるところでございます。

 そこで、広報につきましても、同様な形でホームページで予算を公表するというような形にしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

○高橋委員 これは最低限やっていただきたいと思います。そして、国民のチェックがしっかりといって、そこでまた立ち戻ることや考え直すことができるというふうにしていかなければならないと思うんですね。

 それで、続けますけれども、資料の二枚目なんですが、この十年間で、いわゆる国庫負担である人件費、これは本当に純粋な部分は、十年前の二千三百二十九億円から、今、十九年度予算で千六百五十億円というように、七百億円も減っております。そして、逆にふえているのはシステム経費であります。これは、いわゆる事務費にも、また、今言っている福祉施設費に紛れていた中にも、同じようにシステム経費がございます。二種類あるんですね。

 それで、資料の三に、システム経費だけを特記したものを載せておきました。これを見ると、同じように平成十年から比較すると、六百六十四億円だったものがことしは千二百九十八億円にもなり、倍になっております。先ほど来話題になっておりますが、NTTデータなどがシステムを随意契約で独占し、言い値で経費をつり上げてきたではないか、このことがこの間繰り返し指摘をされてきたんだと思うんです。それが本当に生かされているのかということがまた問われると思うんですね。

 今回、レガシーシステムと呼ばれる旧システムをオープン化することに伴い、NTTデータに返済する残債が幾らで、それがこの表のどこに計上されていますか。

○青柳政府参考人 システム経費におきます残債についてのお尋ねがございました。

 残債については委員は御承知のことかと存じますが、社会保険オンラインシステムにおきますシステムの開発経費というのは、一つには金額が大きいということもございますが、例えば、大きな制度改正などがあるときに非常に多額のものがかかって、そういった制度改正がないときにそういったものが余り必要ないというような、非常に大きな凹凸というか、でこぼこが年度によって生ずるというような特殊な性格を持っております。

 そのため、これまでは、データ通信サービス契約によりまして、これを毎月の利用料という形で長期間をかけて、いわば延べ払いで支払うという形式をとっておりました。この契約を解除した場合には、そういったシステム開発のいわばソフトウエアの未償却額をNTTデータに支払わなければならないという性格のものでありまして、これをいわゆる残債と呼んでいるところでございます。

 私ども、この残債が存在する限り、いわばシステムのオープン化その他、システムの刷新が非常に困難であるということから、平成十七年度に最適化計画を策定いたしまして、十八年度から二十二年度までの五年間をかけて新システムを構築するということとしております。新システムの稼働時に、先ほど申し上げましたデータ通信サービス契約を解除することとしておりますので、二十三年度以降に支払ういわゆる残債をすべてこれは前倒しによって支払い、二十二年度までに完済をするということを計画しておるものでございます。

 この中のどれかと言われますと、ちょっとこれは見通しにくいんですけれども、残債という形で例えば平成十七年度に三百十八億からある金額、これは最終的にだんだん減っていきまして、二十二年度は二百億まで減少するだろうと思っておるわけでございますが、これを十七年度末段階でまとめて表示をいたしますと、千五百億という残債額になるというふうに御理解賜りたいと存じます。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

○高橋委員 今ちょっと説明していただきましたけれども、この残債が一千五百億ということで、長期にわたって返すべきものが、新しいオープンシステムになることによって圧縮したという形になると思うんですね。平成二十二年度までかけて千五百億円を返す。

 同時に、同じタームでオープンシステム構築経費というものがかかることになるわけですね。でこぼこと言うけれども、重なっているという状態が起こっております。それを担当の方にまとめていただいたものを資料の四枚目に書いておきました。オープンシステム構築経費と未償却額の返済。

 そこで、システムを刷新するんだから三五%程度運用コストが削減されるんだ、毎年八百五十億円かかるものが五百五十億円、三百億円節減だという説明をしております。この根拠を教えてください。

○青柳政府参考人 システム最適化までの間にかかります大きなシステム経費は、大きく分けますと三種類ございます。

 一つは、先ほどお答えを申し上げました残債ということでございます。

 それからもう一つは、今委員から御指摘のございました、次期システムを開発するための経費がかかります。これは、二十二年度までの開発でいわばイニシャルコストがすべて終わり、二十三年度以降は、今度はこれがランニングコストに切りかわるという形になるわけでございます。

 一方、三点目といたしまして、既存のシステム、すなわち現在のシステムを運営するための経費。この中には、午前中の御質疑の中にもお尋ねがございましたように、平成十六年の年金制度改正に伴うところの制度改正関係経費でありますとか、あるいはその後の介護保険、医療保険の制度改正に係りますところの経費、そういったもろもろが含まれておるものがあるわけでございます。

 したがいまして、三百億円の節減になると申し上げる場合の比較は、既存システムで毎年かかっている八百五十億円からのオーダーの経費が、先ほど申し上げました新システムに切りかわり、二十三年以降のランニングコストで年間五百五十億円になる、八百五十億円が五百五十億円になるということで三百億円の節減ということでございまして、そういう意味では、二十二年度までに返済の終わる残債については、これはいわば別枠で申し上げているというふうに御理解賜りたいと存じます。

○高橋委員 答えが説明を受けているのと全然違うわけですね。最初に私が指摘をしたように、随契で、当然言い値で経費がつり上がってきた、それは皆さんもこれまでも認めてきたことなわけですね。先ほどの答弁の中にも、一般競争入札にするんだというお話がありましたが、十六年度からと言っていたけれども、まだ実際はやられていない。そういうことで、競争入札にすることでのコストも一定削減になるんだという説明を受けています。

 つまり、裏を返せば、それだけの高い利用料を払ってきたということなわけですね。例えば、六十六の年金福祉施設を売却して得られたお金が約三百五十億円ということと比較しただけでも、いかに高いコストを払ってきたのかということは事実だと思うんですね。

 ただ、それとこれから先のことはどうなのか。つまり、今はオープン化するのはNTTデータと契約していた記録管理システムです。それから、先ほど来話題になっている基礎年金番号管理システム、これをオープン化するというんですが、もう一つございますね、年金給付システム、これは日立製作所と契約しています。では、これもこの後やっていくということになるんでしょうか。つまり、でこぼこと言いましたけれども、実際には、大体初期投資が払い終わったら、また新たな開発投資が始まるという形で、ずっとシステム経費が減らないということではありませんか。

○青柳政府参考人 先ほど申し上げましたように、実はデータ通信サービス契約をしておりますのは、NTTデータとの関係、すなわち、今委員から御指摘のありました記録管理システム、それから基礎年金番号システムに関する開発経費の払い方でございます。したがいまして、今お話のありました高井戸でやっております年金給付システムについては、こういったデータ通信サービス契約という支払い方をしておりませんので、その限りにおいては、いわば残債という問題が生じないという事情がまず一つございます。

 加えまして、では、そういった年金給付システムについては今後どうなるのかというお尋ねが今のお尋ねの中にございました。

 これについては、私ども、確かに今回のレガシーシステムの見直しは、三鷹におけるシステムをまずは見直すということで進めさせていただきます。高井戸についても、現在のシステムを前提にした上でいわば効率化を図るという形で、より効率的なシステムに切りかえるということをやらせていただきますが、システムのベースのところ、本体そのものについては、第二弾として二十三年以降にまた本格的な見直しというものが必要になってくるというふうに現時点では見込んでおります。

○高橋委員 ですから、結局、システム関連のお金というのは今後もかかっていくということでよろしいですね。もういいです。長い説明で時間がもったいないですから、そこは確認をしていきたいと思います。

 それで、今システムの話をしておりますけれども、例えばその運用業務、オペレーター、これももう既に外部委託になっていると聞いております。それを確認したいのと、これは随意契約なのでしょうか、委託先はどこなのでしょうか。お願いします。

○青柳政府参考人 年金給付システムの運用業務の委託先は、日立公共システムサービス株式会社でございます。これは高井戸にあります給付システムです。それから、三鷹の方にあります記録管理システム及び基礎年金番号管理システムの運用業務の委託先は、株式会社NTTデータシステムサービスとなっております。

○高橋委員 競争はありましたか。

○青柳政府参考人 オペレーション業務は、従来は随意契約という形で今申し上げた会社と結んでおったわけでございますが、契約の透明性の確保、あるいはコスト削減を図るという観点から、十八年度におきましてシステムの運用業務の一部、これは著作権等の問題がなくて入札が可能なものということで、限定されるわけでございますが、一般競争入札を実施いたしました。

 結果的には、年金給付システムにおいては、日立公共システムサービスが落札、そして記録管理システム、基礎年金番号管理システムにおいては、入札不調ということになりましたので、株式会社NTTデータシステムと不落によるところの随意契約を締結せざるを得なかったというところでございます。

○高橋委員 結局、競争しても競争相手がいなかった、そして今二つの随意契約を行っている会社の子会社にまたそれを委託しているという実態なんですね。ですから、こうして長い間やってきたことが、なかなか刷新につながらない、特定の会社を利することになっているのではないか。そのことによって保険料が浪費になったということは、もう否めない事実だと思うんですね。そういうことをしっかり反省されているのかということを一つ確認して、それで、大臣に最後に伺いたいと思うんです。

 今、こうした外部委託、市場化テストの前に既にこういう分野でもうやられております。民間委託できるものは外へといってどんどん切り分けが進んでいくと、本当に国庫が責任を持つ人件費の部分がますます小さくなって、いわゆる事務費ですから、事務費だ関連費だという形でどんどん外に出ていって、年金運営に国が責任を持っていますと胸を張って言えなくなるのじゃないかということがとても心配されますが、大臣、最後に一言。

○柳澤国務大臣 この事務費あるいはそれに似通った内部管理事務経費は、片方が国庫負担、片方が保険料負担、こういう区分をするということを基本としているわけでございますが、これに基づけば、事業内容によって国庫負担の額と保険料負担の額が変わるという御指摘は、そのとおりでございます。

 そういうことですが、日本年金機構の発足に当たりましては、私ども、効率的、効果的な委託方法の工夫、その他の経費の節減努力等、各般の工夫を重ねまして、過度に保険料財源に負荷がかからないように努力をしていかなければならない、このように考えています。

○高橋委員 時間が来ましたので、また次の機会にしたいと思います。終わります。

▲ このページの先頭にもどる

高橋ちづ子のムービーチャンネルへ
街宣予定
お便り紹介
お問い合わせ
旧ウェブサイト
日本共産党中央委員会
しんぶん赤旗
© 2003 - 2024 CHIDUKO TAKAHASHI