国会質問

質問日:2007年 5月 25日 第166国会 厚生労働委員会

社会保険庁法案 民間委託問題

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 時間がないので、端的にお答えください。

 まず、各種届け出書の入力業務は、基本的にすべて外部委託になっておりますね。それは派遣契約ですか、請負契約ですか。

○村瀬政府参考人 二通りございまして、健康保険、厚生年金、国民年金にかかわる関係届け出書等につきましては、派遣労働者の方々を使わせていただいております。一方、大量に紙で提出される算定基礎届等の届け出書につきましては、請負方式によりまして業者に委託をする、こういう形で業務を行っております。

○高橋委員 二通りあるというお答えがありました。先ほど来、大量の紙の入力ミスだったのではないかということが問われていましたので、非常に不安を覚えるわけであります。

 資料を配っております。派遣個別契約書、一般的な派遣の契約書を結んでおり、誓約書一枚で守秘義務を課しております。

 四枚目です。これは、四十七都道府県すべての社会保険事務所の派遣の契約先の会社の一覧表をつけておきました。派遣会社と聞いて思いつくほとんどすべての会社がずらっと並んでおります。介護保険の関係などで指導を受けた会社の名前もございます。

 派遣社員という性格上、一人の社員が仕事をする期間が大変短かったり、幾つもの会社に登録したり、移ったりすることは避けられないと思います。この間、保険料財源の事務費流用問題の中でも、例えば、繁忙期に雇い入れる謝金職員には保険料を使うんだなどという説明もございました。しかし、これからは繁忙期には派遣社員の数をふやして調整するということですね。

○村瀬政府参考人 前回、答弁で派遣社員という定義はさせていただけなかったと思いますけれども、基本的には、繁忙期については、あらゆる形でいろいろな方に御協力を願うという形で、例えばパート的な扱いをする方を採用することもあり得ますでしょうし、いろいろな形が出てくるんだろうと思っております。

○高橋委員 派遣社員が扱う仕事は、委託対象届け出書となっておりますが、これはどのくらいの情報があり、個人を特定できるものでしょうか。

○村瀬政府参考人 先ほどお話し申し上げましたように、届け出書でございますので、届け出書に書いてある項目につきましては、当然のことながら、その派遣社員は見て対応するという形になります。

○高橋委員 実は、資料として、届け出書なるものがどのようなものかという一覧表をいただいたんです。三百六十一件あるんですね。要するに、個人の情報すべてですね。基礎年金番号がそうであり、延滞の状況がそうであり、職歴がそうであり、まさに人の年金にかかわる情報すべて、人生そのものが処理をされるということになると思うんです。それが今のこの不安定な雇用の中で入力作業をされていくということになるわけですね。本当にこれで大丈夫なのかということは、当然考えなければなりません。

 改めて大臣に伺いますが、今大変な問題になっている最中の年金記録五千万件の問題、大臣は、この間の答弁を聞いておりますと、これから調査もする、時効だなどと機械的な対応ではなく、なるべく救済をしようとお考えになっていると思います。あるいは、今後はねんきん定期便できちんとお知らせをして、トラブルもなくなるとお考えかもしれません。しかし、大事な年金情報を基本的にすべて外部に、しかも不安定雇用の中にゆだねてしまうことは、新たな年金記録の消滅など、トラブルを生むことにならないでしょうか。

○柳澤国務大臣 これは、率直に言ってなかなか悩ましい問題だろうと思います。

 要は、業務の効率化というものが他方にある、それからまた、他方には、今言ったような個人情報保護の問題、あるいは業務の正確性というものをどうやって担保するかという問題等々、いろいろな要請があるわけでございますけれども、そのバランスを見て、私どもは、業務の効率化のために外部委託もあり得るという体制でこれから臨もうとしておりますが、その際には、非常に、個人情報保護であるとか、あるいは業務の的確性だとかということについては、十分な配慮をした上でこれを行わなければならない、このように考えます。

○高橋委員 私は、効率化の域を超えていると思います。外部委託をするに当たって、よく定型的な業務と言うんですけれども、確かに、さっきの契約書を、二枚目を見ていただければわかると思うんですが、入力担当者とは、テンキー入力百五十タッチ毎分以上とか、かつ文字入力四十字毎分以上を処理する者をいう。あとは、ワード及びエクセルの基本操作ができる者、こういうことになっていて、作業そのものは確かに定型かもしれません。しかし、その扱っているものは、先ほど私がお話をしたように、すべての個人の情報そのものなんだ。そして、そのことが、これまでのいろいろな基礎年金番号の統合の中で出てきたようなものだって、結局そういう経過だったんだ。そのことを言ったときに、単に効率化ということでゆだねていいんだろうか。守秘義務とかいろいろ言うけれども、人が常に入れかわるのが派遣社員という業務の性格なんだということを踏まえて、ここはしっかりと、そこにゆだねてはならないんだというふうに思いますが、もう一度お答えください。

○柳澤国務大臣 これは先ほどの繰り返しになりますけれども、業務の効率化というものも当然我々が抱えている大きな課題ですし、他方、今委員が厳しく考えるべきだという個人情報あるいは業務の的確な運営、それぞれに非常に強い要請であります。

 したがいまして、今委員は、こちらの方を尊重して業務の効率化はあきらめろ、こういう御主張でございますけれども、やはりそういうことではなくて、できるだけこちらをよく確保した上で、業務の効率化も適切に図っていかなければならない、このように思います。

○高橋委員 ちょっと大臣、効率化をあきらめろとか、そこまで言うのはちょっと行き過ぎです。

 先ほど言ったのは、効率化の域を超えていると言ったんです。効率化を図るのは、いろいろな意味でできると思います。しかし、すべて丸々外部に委託する、それでどうして責任が持てるんですかというふうに言ったんです。もう一度。

○柳澤国務大臣 業務の的確性というものについてはできるだけ、したがって、継続的な契約をして、そうしたことについてスキルを確保していこう、こういうことで心がけていきたいと考えておりますし、個人情報の保護については、法律上も、また契約上も、いろいろな義務を課してこの確保を図っていこう、その上で効率化のために適切な外部委託を活用していこう、こういうことでございます。

○高橋委員 大変不安が広がってまいりました。私は、このまま前へ前へと進んで本当にいいのだろうかと。

 私がお話ししたかったのは、この間の議論の中で、第三者機関が大事ですよ、ポイントですよ、業務の切り分けをするんですと言っていましたが、切り分けはもうほとんど終わっているんです。もうほとんど外部に委託しているんだと。そういう中で、国の責任を果たしていくということが本当にできるのだろうかということを改めて問われなければならないし、不安定雇用を拡大することにもなるんだということなんです。

 そして、今言われている、ねんきん定期便をやって安心を図っていきますよということさえ、絶対に担保できることはない。立ちどまって振り返ること、そして年金の安心をしっかりつくっていくこと、そのことが最優先であり、今回の法案は廃案にすべきだ、このことを指摘して、終わりたいと思います。

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