○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
まず、総理に伺います。
総理は、今国会の施政方針演説の中で、国が責任を持つ公的年金制度は破綻したり払い損になったりすることはありませんと述べられました。この言葉は、今も、これからも変わりありませんか。
○安倍内閣総理大臣 公的年金制度というのは、国が責任を持っています。そして、年金の給付とというのは、負担があって初めて給付が成り立つものであります。そして、この負担、つまり、これぐらいの負担であれば、国民の皆さんが、払った方がいいな、払える、このように納得していただける中において給付も確保できるわけでございます。
このような給付と負担のバランスがしっかりととれている上においては、国が責任を持っておりますから、私は、払い損になったり破綻することはないということを申し上げておきたいと思います。
○高橋委員 今、繰り返し確認をされました。破綻したり払い損になったりすることはないと。私は、今にすると、このことは大変重みがあると思います。
担保するものは何もないと。払ったはずなのにもらえない、だれの年金記録かわからない五千万件が大変な問題になっておりますが、これに対して、何の責任がとれるのか。私は、総理がそう言っている以上、この問題が本当に解決するように、その推移を見る、見きわめる責任が国会にあると思います。
委員長に申し述べます。委員長にしか答えられません。よく聞いてください。
少なくとも、政府が言う救済策、まだ私たちは条文で見ておりません。これがどのようなものか見きわめる時間が必要です。十分な審議が必要です。そのために採決はしないと約束をしていただけますか。
○櫻田委員長 そのようなことは私は答える立場にございませんので、公平公正な議会運営、議事運営をするのが私の務めでございます。
法案の中身について御質問願いたいと思います。
○高橋委員 運営については委員長しか答えられないんです。委員長が答えられないのであれば理事会を開いてください。
○櫻田委員長 法案の中身について質問してください。
○高橋委員 理事会を開いてください。ちゃんと委員会で正式に答えを請求しているのに協議をするというお答えがないというのは、民主主義に反すると思います。
○櫻田委員長 質問時間中でございますので、理事会を開催する予定はございません。
高橋千鶴子君、質問を続けてください。
○高橋委員 私、持ち時間が非常に少ないので質問を続けますが、公平公正だと委員長が述べましたので、絶対にきょうこれで採決をするということはないということを確認したいと思うんです。
だって、これからの中身が全然わからないのに、この先新しい機構になって、国民の不信にこたえられるのか、記録の問題はどうなるのか、さっぱりわからないんです。ですから、そのための、見きわめるための時間が必要だということを重ねて指摘しておきたいと思います。
私がきょう述べたいのは、実は新しい機構になっても、これからもこういう問題は起きるということなんです。
二十三日の委員会で、愛媛県や秋田県の住基情報の大量流出事件を取り上げました。どちらも委託会社から再委託をされ、派遣社員のパソコンからデータ情報が流出するという大変ずさんな事件でした。これには国民年金情報も含まれていました。大臣は、大変怒りを持って、再委託は許さない、そういうことを述べられました。
しかし、今や社会保険庁は、年金記録の入力業務はすべて外注であります。そして、先ほど来話題になっている、大量の紙からディスクに移すパンチ業務、これは外の業者、つまり社会保険庁の中ではなくて外の業者が請負契約をしております。
長官に伺います。紙の情報をどのようにして委託会社に届けるのですか。一番遠い例でお話しください。
〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
○村瀬政府参考人 今委員御指摘は、多分神奈川事務局の例だろうと思います。
神奈川事務局では、熊本の業者に委託をしてございます。当然ながら日本の国の中でございまして、郵送はきちっとできておりますし、それなりのセキュリティーを持ってお送りしているという形でございます。
それからまた、個別の監査につきましては、当然のことながら、前回御説明申し上げましたように、させていただいておりまして、別に距離が遠いから委託業者についてだめだ、いいんだということではないんだろうというふうに思います。
○高橋委員 まさか、国内だからいいなどと開き直られるとは夢にも思いませんでした。
先日取り上げた問題は、総務省が、なるべく事務所の中、特定の場所、すぐ近い場所でデータ処理をするようにと言っていたのが、契約違反で再委託で遠くに飛んでいったという話なんですけれども、これも同じなんですね。神奈川から熊本の作業所に空輸するんですね。データですよ、大量のデータが損なわれるおそれがないか、監視の届かない作業所で流用されるおそれがないか。それは、請負会社との契約はしておりますが、その中の社員がどういう状態になっているのかわからないんです。
さっき、監視がされていると言いました。最初の定期の監査のときに、たまたま抜き打ちで行った社保庁の職員が見たのは、携帯を持って電算室の中に入っている女性社員の姿であります。こういう実態であります。
大臣、知っていたでしょうか。社会保険庁の職員ののぞき見で処分の事件もありましたが、それどころの問題ではありません。先ほど総理が、三十件も自分の情報を見られたと言っていましたけれども、たくさんの会社、たくさんの社員が実はさわるんです。こういう状態で、データが損なわれないということを保証できますか。
〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
○柳澤国務大臣 高橋委員は、かねてよりこの業務、特にコンピューターへの入力の業務を外部委託することにつきまして、個人情報の漏えいということについて非常にたびたび御注意をいただいているわけでございます。
私も、この年金の記録というのは大事な個人情報だと心得ておりまして、これから先の業務の運営については、その点は重々気をつけていかなければ、仮にそうしたことが起こったら、また再び、新しい機構の業務としても、私は世の大変な御批判を受けることは必至だと思っておりまして、これはよくよく注意をしなければならない、このように指示をするつもりでございます。
○高橋委員 重々とおっしゃいましたけれども、私は、今この間、長い間指摘をされてきた問題、国民の皆さんが関心を持っていた問題、先ほど長妻委員も繰り返し指摘をしていましたけれども、この問題から何も学んでいないと言わなければならない、そしてまた同じ事件が起こらないという保証が全くない、そう思います。だって、見きわめることをしないうちに出発をする、そして、その出発する姿は全く外部委託であり、データは空輸であり、そうしたことが平気で行われるわけですね。そういう中で、どうして新たなトラブルが起きないということが言えるでしょうか。
私は、今度の問題で、第三者機関を設置して仕事を切り分けすると言っていますが、今や強制処分と年金の裁定くらいしかないほど外部委託が進んでいて、社保庁は骨くらいしかありません。(発言する者あり)骨もないという意見があります。これで国が、国民の年金に対する信頼を取り戻すとか責任を持つということが本当にできるでしょうか。公務員さえ処分すれば改革が進むかのように国民の目をそらせ、一番大事な国民の情報と年金そのものを民間市場に開放、切り売りするものであり、絶対に認められません。
審議は終わらない、廃案にするべきだ、このことを重ねて指摘して、終わります。