国会質問

質問日:2018年 12月 4日 第197国会 東日本大震災復興特別委員会

現場の声を聞いて。復興期間終了は許されない

「復興、10年で終了できない」/高橋氏、復興相発言を批判
 

 高橋千鶴子議員は4日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、復興期間終了後の生活支援相談員継続を要求しました。
 高橋氏は、地震、津波地域は復興の〝総仕上げ〟の時期を迎えたとの渡辺博道復興相の発言に触れ、「復興・創生期間を10年で終了とはいかないというのが現場の率直な声」だと指摘。渡辺氏は「今年度内に一定の方向性を示したい」との答弁に終始しました。
 高橋氏は、宮城県石巻市の仮設住宅敷地内で9月、公営住宅入居が決まった1人を含む2人が自殺した例を示し、公営住宅への移転で孤独が深まり、孤独死リスクが高まると指摘。被災者の悩みを抱え込み〝燃え尽き状態〟の支援者へのケアも必要だと主張。交流会の開催数や参加人数の報告を求めるだけの復興庁が〝実績がない〟との理由で予算を縮小していると述べ、「支援員には行政が、行政には国が支援する体制を」と求めました。渡辺氏は心のケアに「しっかりと対応していく」と答弁。
 高橋氏は、福島県6町村の特定復興再生拠点の放射能除染が始まったが、帰還困難区域全体の約8%にすぎず、公費による住家解体は半壊以上が要件だと批判。環境省は「柔軟に対応を行っている」と答えました。
( しんぶん赤旗 2018年12月14日)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 大臣は、二十一日の所信発言で、「復興・創生期間の終了まで二年四カ月となりました。」と述べられました。この後継組織については、先ほど小熊委員とのやりとりなどでも、検討するということをおっしゃっているわけですけれども、私が伺いたいのは、道路や建物は時間とともにでき上がっていきます。でも、被災者の置かれた状況は、住まい、心、営業、そして原発事故の被害など、時間がたつにつれて表面化したり、あるいは変わっていく課題もあります。先ほど、地震、津波は総仕上げのようなことをおっしゃいましたが、それは撤回された方がいいと思います。福島だけではなく、十年でかっちりと区切れるものではありません。
 大臣は、就任後、被災各県、市町村を精力的に回りました。復興・創生期間を十年で終了とはいかないというのが率直な現場の声ではないでしょうか。感想と決意を伺いたい。

○渡辺国務大臣 私は既に、何度も申し上げましたけれども、大臣就任以来、被災各市町村長にお会いし、現場を見てまいりました。その中で、さまざまな地域の進捗の度合いの差があるということも認識をしております。当然、にぎわいが出始めているところもあり、復興が着実に進展しているところもある一方、やはり復興の中には地域差があります。その地域差をどのように埋めていくか、これは大変重要な課題だというふうに思います。
 また、心のケア、この問題についても、また、産業、なりわいの再生、こういったことも、しっかりと取り組んでいく課題があると改めて痛感したところでございます。

○高橋(千)委員 ですから、十年で区切りをつけられるものではないねと一言で確認したいと思います。

○渡辺国務大臣 現在の状況を御報告させていただきますが、今月までに、各復興施策の進捗状況並びに復興・創生期間後に対応が必要な課題、今これを整理している段階であります。
 そして、今後のあり方については、今年度内に、いわゆる来年の三月までには一定の方向性を示したい、そのように思っております。

○高橋(千)委員 せっかく先ほどまで、大臣、自分のお言葉で答えていたのに、急に事務的な答弁をされて、年度内はもう十分存じておりますので、そうではなくて、やはりそうか、くっきりと十年目で終わるというふうにはいかないよな、その一言でよかったんだと思います。なかなかその一言が言えないということなのかなと思いますけれども、具体の話に入っていきたいと思います。
 資料の一枚目の左を見てください。これは毎日新聞の九月十五日付のアンケートです。
 被災者の見守りを担う生活支援相談員事業が二〇二〇年度で終わるのではないか、それに、もしそうだとすれば不安だと答えた人が六割を占めたと報道がされております。中見出しがあって、「声がけ安心する」というところに、右側にこの数字が書いてあるんですけれども、岩手県大槌町の取材を経て、支援相談員の方に声をかけてもらって安心するという被災者の声を紹介している、本当に気持ちをよく切り取った記事だと思います。
 右側には、九月十二日付の河北新報で、これは石巻市なんですけれども、災害公営住宅で高齢女性に仮設に帰りたいと泣きつかれた世話人の声を紹介しているんですね。やっと公営住宅に入ったと思ったら、逆にそれは、鉄の重い扉の中で隠れてしまって、なかなか、縁側にみんなが座って顔がよく見える、そういう環境がなくなってしまうわけです。あれほど環境が悪いと言われていた仮設に帰りたい、こんな声が出てくるというのは、本当に残念な状況だと思うんですね。
 二枚目を見ていただくと、そういう中で石巻では、九月、ともにひとり暮らしの方が、相次いで二人も自殺をしている。仮設住宅の敷地内でなんですね。一人の方は女性で、既に公営住宅に転居している。転居したのに、以前の仮設住宅に戻ってきて、その集会所で亡くなったと。
 もう一人は、新居を建てた、一緒に住むはずだったお母さんがもう亡くなってしまって、やっていけるだろうかという不安がここに書いているんだけれども、そういう不安を述べていたという中で、仮設の中で首つりの自殺をしてしまった、そういうことが報じられています。十一月十日付の河北新報ですが、震災関連自殺は十都府県で二百十八人もいるということが指摘をされているところであります。
 そこで、改めて、生活支援相談員を廃止してはならないと思うんですね。今言ったように、仮設にいたときは、顔が見え、声をかけ合う関係があった。でも、やはり、公営住宅に移って逆に孤立を深めて、孤独死のリスクが非常に高まっているんです。この認識をお持ちなのかどうか、そして、こうした体制を引き続きとっていくということで、大臣にお答えいただきたいと思います。

○渡辺国務大臣 お答えいたします。
 災害公営住宅等に転居された方が、先ほどの新聞ではありませんけれども、孤独死をしていく、こういったことは大変残念なことだというふうに思います。
 こういったことのないように、孤立防止やコミュニティーづくりは大変重要な課題であります。引き続き、これは自治体と連携して取組を実施していかなければならないというふうに思いますが、具体的に、被災者支援総合交付金によりまして、生活支援員による見守り、相談、災害公営住宅への入居者を対象とした交流会の開催によるコミュニティーの形成などの自治体との取組を支援しているところであります。
 引き続き、こうした事業が実施できるよう、平成三十一年度予算を要求しておりまして、必要な財源の確保に努めているところであります。復興・創生期間後のあり方については、こういった大変重要な問題についても検討してまいりたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 記事の中にも、この被災者支援総合交付金、今大臣が紹介された、予算も減っているということが書かれています。また、その担い手も減っているということもあるんですね。それは、担い手、支援者のケアが必要になっている、支援をする人が燃え尽き状態になっている、それだけ追い詰められているんです。
 例えば、自治会の役員が、もう二十四時間、いつでも電話対応をしなければならない、そういうことで参っている、あるいは、精力的に支援活動をしていた方が深刻な心の病になっている、自身も被災者なんですね。頑張っていれば、頑張るほどたくさんの人の思いを抱え込んで、自身がもう参ってしまう、そういう状況になっているということをぜひ知っていただきたいと思うんです。
 復興庁からは、今言ったこの交流会を、どれだけやりましたか、何人集まりましたかと、数字だけを把握するんですよ。でも、それだと、だんだんその数字が減っていくと、予算も減っていくんですね。それじゃだめなんだ、やはり行政には国がちゃんと支援をする、支援員の人には行政がちゃんと支援をしていく、そういう体制をしっかりとっていただきたいと思いますが、それ、一言、どうですかということで、答弁いただきたい。

○渡辺国務大臣 一つの大きな課題は、心のケアということ、言葉を変えていくならば、心の復興というものを一つの大きな要素に考えておりますので、この部分についてはしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 よろしくお願いします。
 そこで、七月二十七日に出された与党の第七次提言では、「たとえ長い年月を要するとしても、将来的に全てを避難指示解除するとの決意の下、着実かつ段階的に整備に取り組む必要がある。」とされました。長いというのがどれだけのスパンなのかはわからないわけですが、私は、この考え方は基本的に賛成です。仮に戻れなくても、ふるさとが汚染されたまま放置されることは誰も望まない。ふるさとをやはりもとに戻すんだ、帰れる状態へ戻すんだという政府の決意がやはり求められていると思うんですね。
 そこで、その中に書かれていることで、気になることがあります。「二〇二〇年前半には幹線道路沿いや身近な場所から仮置場をなくす」とあるんですね。
 まず、身近な場所とはどの程度までか。どの市町村も、身近な場所、自分の周り、やってくれと当然言いますよね。早くフレコンバッグを撤去してほしいと訴えると思う。どうやって決めていくのか。オリンピックの聖火リレーのコースの沿道を優先させ、見えるところだけきれいにするという意味じゃないのかと思いますけれども、どうでしょうか。

○森山政府参考人 お答え申し上げます。
 県内各所に設置されております仮置場の解消は、福島の復興に向けた最重要課題の一つと認識しております。このため、国としましては、二〇二〇年までに身近な場所にある仮置場をなくすことを目指しております。
 具体的には、搬出対象となる仮置場の選定を行っている地元の市町村と十分調整の上、常磐自動車道、国道六号等の主要幹線道路沿い、また、身近な場所を含め、仮置場を念頭に調整及び搬出を進めていきたいと考えております。
 また、聖火リレーの福島県内のコースにつきましては、現在、福島県など関係機関などで検討しているところと聞いておるところでございます。
 いずれにしましても、どの仮置場を優先させるかにつきましては、関係自治体と丁寧に調整を進めながら搬出を進めていきたいと考えております。

○高橋(千)委員 また、身近なって言って、結局、私、身近なところって何って聞いたんです。そうしたら、常磐道、国道六号線、それは当たり前です。また、身近なところって、だから、そこは何って聞いたんです。
 仮置場は一千カ所くらいあるそうですね。そして、どこの首長さんだって、自分のところをすぐ取り除いてほしいと言いますよ。聖火リレーのふくしま実行委員会、やられておりますけれども、今、ルートを決めている最中ですけれども、三月二十六日にはもうリレーがスタートされるということなわけですね。
 そういう中で、福島では、被災地の現状を発信でき、かつ県内のバランスを重視しながら、復興五輪にふさわしいスタートとなるようなルートを選定することが必要と、この実行委員会の中に書かれています。
 ということは、やはり、リレーが一応くまなく被災地を回るんだと思いますが、そこだけ隠すみたいなことではない、ありのままの姿を見せる、それが本来の復興五輪の姿ではありませんか。

○森山政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的な、仮置場をどこを優先させるか、これにつきましては、いずれにしても、地元の市町村と十分丁寧に調整していきながら、御意見を伺いながら進めていきたいと考えてございます。

○高橋(千)委員 これ以上は言いませんけれども、早くオリンピックのコースを知りたいなと環境省はおっしゃっておりましたので、そういうことではなくて、見えるところだけではない、きちっとした対応をしていただきたいという思いで述べさせていただきました。
 次に、資料の三枚目を見てください。
 福島県葛尾村の帰還困難区域で除染が開始をされて、特定復興再生拠点区域の整備に向けて、帰還困難区域にある六町村全てで除染が始まったと報じられております。
 ただ、この記事でも指摘をされているように、実際に帰還困難区域がある市町村というのが七市町村あるんですけれども、面積は三百三十七平方キロメートルに対して、拠点というのは二十七平方キロメートルにすぎず、帰還困難区域全体の八%程度だ、こういうふうに指摘がされています。これが正しいのかどうかというのが一点と、時間の関係で、二点まとめて質問します。
 八%でいいのかということと、それから、避難指示があった十二市町村は、三・一一時点では十四万七千四百二十五人、住民票がありました。その方たちが、まだ困難区域は帰っていませんので、それ以外の避難指示区域では一二・六%の帰還率だというのが福島県の調査です。だから、緊急時準備区域を入れても三六・三%しか今戻っていないという状況なんですね。
 そういう中で、この八%の、本当の一部の帰還困難区域の拠点だけを除染したことで、どれだけの帰還を見込んでいるのか、復興庁に伺います。

○小山政府参考人 お答えいたします。
 まず、特定復興再生拠点の区域の面積でありますが、全体で二十七平方キロメートルというのはおっしゃるとおりであります。
 この面積は、特定復興再生拠点の存します六町村の面積のうちの帰還困難区域のうちの約八・八%、あと、今、特定復興再生拠点ではございませんが、帰還困難区域であります南相馬市を入れますと約八・一%という数字となります。
 一方、現在の住民登録者数、居住者数の御質問でございますが、これは、いろいろな事情がありましてなかなか正確な人数や割合をお示しすることが難しいというのが現状でございます。
 その理由につきましては、自治体、市町村によりましては、区域を特定せずに、その市町村全体の住民登録数のみを公表している自治体があることとか、帰還者数のみを公表して転入者を含めないような自治体もいらっしゃるということで、大変申しわけないんですが、正確な人数や割合をこの時点でお示しすることは難しいということを御了承いただければと存じます。

○高橋(千)委員 誰も正確な人数なんて聞いていません。そんなことわかるはずないじゃないですか。そうでしょう。だけれども、今報道には、三割程度だろうということが書かれています。それは当たり前なんですよ。結局、八%しか除染しないんですもの。自分の住んでいたところも、その中に、拠点じゃなければ入っていないわけですよ。そこをどうするのかというのをちゃんと示していかなければ、幾ら今帰りたいと言っている人でも、少しずつそれが減っていったりしているのが現状なわけですね。
 では、せめて、どの程度というのを考えているとか、そういうことさえも答えられないというのは、やはり、ではこの事業、どうして東電に求償もしないで国の責任でやるんだと、言わなきゃいけないですよ。そういう指摘をしたいと思います。
 それで、通常国会の後、本委員会で、福島の大熊、楢葉、双葉を訪問しました。また、相馬市長とも懇談しました。そのとき車窓から撮った写真を後ろに二枚つけてありますけれども、まさに困難区域で立入りができないために、本来ならば、手をつけていれば再建できたかもしれないおうちも、一層傷みが激しく、荒れているという、それが残念な状態なわけですよね。動物に荒らされたりしているということなんです。
 そこで、このおうちをやはり除染のために解体しなければなりません。それがどういうふうになっているのかというのが資料の四枚目につけてあります。解体、除染の申請をして、済んだ件数というのが書いてありますが、これは大体、特定復興再生拠点区域でいいますと、千五百八十八の申請があって、一八・九%が既に解体は済んだとなっています。
 ところが、双葉町に聞いたんですが、解体はどうするのかと聞くと、被害認定が半壊以上というのが条件なんだ、だから、なかなか簡単ではないということを、この期に及んで、七年八カ月も済んで、まだそんな当たり前の災害の基準をやっているのかと本当にびっくりしたんです。
 これについて、やはり、もうそういう当たり前の基準ではない対応をしなければ、前になんか全然進まないと思いますが、いかがでしょうか。

○森山政府参考人 お答え申し上げます。
 環境省の家屋解体事業は、災害廃棄物の処理の一環として実施するものでございます。現行の災害廃棄物処理に係る補助制度につきましては、明らかに廃棄物とみなすことができる全壊家屋の撤去を除き、半壊家屋等の解体費用は補助対象ではありませんが、今回の東日本大震災につきましては、被害の状況等を勘案し、半壊以上の家屋も解体対象としているところでございます。
 また、東日本大震災におきましては、原発事故に伴う長期避難指示が出されたという状況にも鑑み、雨漏りや鳥獣のふん尿による汚損等についても住家の損傷として扱うなど、柔軟な対応を行ってきているところでございます。

○高橋(千)委員 大臣に一言聞くつもりでしたが、時間になりました。
 今おっしゃった柔軟な対応、縦割りになっているんです、内閣と環境と復興ということで。それをなくして、自分の家を壊してほしいと言う人なんて本当はいないですよ。だけれども、その家を見ることによってつらい思いをしているということも考えて、しっかりと対応していただきたいということを要望して、終わります。

 

―資料ー

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