○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょうは、四人の参考人の皆さんに出席をいただいて、大変時間が短かったと思いますが、貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。
最初に、多分時間の都合で質問ができないと思いますので、佐野参考人に一言、先天性の問題で、本当に怒りを込めて訴えられたことを私たちも重く受けとめたいと思います。今回、法案を、できれば先天性を対象にすることを、私たちは修正をしたいと思いました。それがかなわなかったわけですけれども、決議に盛り込む形で早急に対策が練られるように、引き続いて力を尽くしていきたいということを最初に表明させていただきます。
原告団長の山口参考人にお伺いをいたします。
まず、原告団の皆さん、弁護団の皆さんに心から敬意を表したいと思います。皆さん方の闘いが薬害根絶へ、あるいは被害者の救済と抜本的肝炎対策への道を開いたと思うんです。そして、何より山口さんが実名公表をされたということで、この問題を本当に全国的に大きく関心を持たせ、自分自身の問題なのだということを気づかせる大きな力になった、そうした点でも、本当にこれまでの御苦労や奮闘に感謝を申し上げたいと思っております。
私が伺いたいのは、皆さんが線引きをせずに一律救済をと訴え続けてきたことの意味です。年末に大阪高裁の和解を受け入れられなかった、そのことが、首相の決断が出るということがまだ予期できなかった時点で、非常に闘いを長引かせることになるだろう、また命をかけることになる、そこを覚悟ができたのはなぜかということを、山口さん自身のお言葉でお聞かせいただきたいと思います。
○山口参考人 初めに、今、私たち原告団と弁護団に敬意を示していただきまして、本当にありがとうございます。
ここまで来られたのは、私たちだけの力ではなく、やはり、昨年末、ずっと街頭でビラを配って訴えたときに、本当に皆さんが頑張ってと私たちに声をかけてくれました。一昨年からすると、もう本当に国民の声というのが私たちに届くというか、そういった声が聞けました。やはりここまで来たのは、先生方たちが、党派を超えてこの国会においてこの薬害肝炎問題をずっと取り上げていただいて、追及していただいたおかげだというふうに本当に今感じております。本当にありがとうございました。
私たちは、和解修正案が出たときも即拒否したわけなんですけれども、それは、私たち原告の中でもそうですけれども、原告になっていない人も、同じ被害を受けた者、同じ苦しみを味わってきた者、これはもう本当に何ら変わりはないんだと。私たちは、自分の落ち度で、自分の生活の不摂生でなったわけではなくて、国のずさんな薬務行政によって、そして製薬企業が自分たちの利益だけを求め続けてきた結果、こういった感染をさせられた。これはもう何ら変わりもない。そこで私たちが線引きされるのであれば、これは責任を認めさせることにはならない。そして、私たちが薬害をこの訴訟で終わりにしたいという思い、根絶したいという思い、これにつながらない。線引きされ切り捨てられる者が、被害者がいるとなれば、本当にこの薬害が起きたという事実、真相究明がされないまま、そして薬害がまた繰り返されるだろう、それをずっと私たちは恐れていたからこそ、昨年末のように、私たちはお金の問題にすりかえた国に対して怒りを覚え、そして拒否したわけです。
以上です。
○高橋委員 ありがとうございます。
山口参考人を初めとする原告団の皆さんの思いが文字どおり受けとめられて、法案の成立とその後の恒久対策が実現するように、引き続いて頑張っていきたいと思います。
次に、高畠参考人に伺いたいと思うんですけれども、今、具体的な御提案をいただきました。全くそのとおりだと思います。与党の基本法あるいは民主党提案の医療費の助成法などもまだ審議をされていないわけで、いずれにしても、何らかの恒久法をまとめることを急ぐ必要があると思っています。特に、来年度予算ではインターフェロン治療の百二十九億円がまずはその大部分で中心である、しかも、まだ自己負担の問題が解決されておりません。あるいは、ドラッグラグの問題が緒についたばかりであることや、拠点病院の整備もまだ全都道府県レベルにはほど遠い状況であります。ですから、今、高畠参考人が指摘をされた問題というのを急いで盛り込む必要があると私も思っています。その点で何か補足することがあればということと。
毎年、日肝協として政府に抜本対策を申し入れていらっしゃいます。私は、やはり、例えば内部障害を認めよという点、先ほどお話にあったように高齢化も進んでいるという点で、治療だけでなく、暮らしやメンタルな面や、いろいろ支えていかなければならない、そういうことを踏まえた提案をされていると思うんですね。その点を紹介していただけたらと思います。
○高畠参考人 二つありまして、一つは、つまり、一般患者に対する医療費助成に、これもまあ変な言い方ですけれども、線引きをしないでください、ひとしく対象にしてくださいというのが患者会としての願いでございます。特に、肝硬変、肝がんの患者さんたちは、本当に生活基盤さえ失うほど苦しい中で、そして、ある意味では医原性疾患で被害を受けた方々です。
それと、二つ目の問題では、毎年、陳情ということで大体六月ぐらいにやっておりますけれども、問題は、これからの肝炎対策で一番残された課題というのは、一つは、まだ五年間やったあの検査がせいぜい三六%なんですね。七割まではいかないですけれども、まだ未検査の方々が放置された状態。今度は利便性を考えて、近くの開業医さん、医療機関でいつでもできる、自己負担がないということが一月から始まりますけれども、これをしっかりやった上で、まず、一生に一回だけでいいわけですから、この検査は。そして、もし新たに見つかった場合には、感染者の方々の健康管理や治療体制をしっかりつくっていくということが二十年度のポイントになるというふうに私たちは考えておりますので、そこを中心に今後お願いに行きたいというふうに思っています。
以上です。
〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕
○高橋委員 ありがとうございました。大変参考になりました。
時間がなくなりましたので、B型肝炎原告だった木村参考人については、本当に粘り強く闘って最高裁で勝利されたのに今のような状態であるという、本当にお気持ちは十分わかりました。最高裁で国の責任が明確にされたわけですから、それなのに、今、謝罪もない、救済もされていないということは、やはり、これは一日も早く木村参考人が指摘をしたことを本会として実行に移すべきではないか、このように思っております。その点でも引き続いて私たちも頑張っていきたいと思います。
きょうは参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
【委員会質疑】
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
先ほど来の議論やあるいは参考人の皆さんの発言を聞いておりますと、この救済法案だけでは本当に不十分なんだ、救済される範囲が余りにも限定されるんだということを改めて指摘せざるを得ません。しかし、私は、ともかく薬害C型肝炎原告団の皆さんには治療と回復のために一日も早く専念をしてもらいたい、そういうふうに思うんです。
昨年、大阪高裁の和解を拒否したときに、本来ならば、もう裁判どころじゃない体調である、すぐにでも治療を再開したい、そうおっしゃった原告の皆さんがそれでも闘い続ける。それはやはり、自分と同じ苦しみをほかの方たちに、自分たちが和解を受け入れることで線引きをしたくないという思いから頑張り続けてこられたわけです。だからこそ、私は、この裁判の結果として、国が本当であればやっていただきたかったけれども、一日も早くとにかく成案をするべきだ、このように思っています。
同時に、本法案で救済できない方をどうするのか。これに対しては、やはり政治の責任ではないか、急いで恒久対策を、成案をするべきだ、このこともあわせて訴えたいと思うんです。
まず、そのかぎとなる政府の態度ですけれども、この法案を受けて、前文の中には、「感染被害者及びその遺族の方々に心からおわびすべきである。」という指摘がございます。
大臣は先ほど、大村委員の質問に対して、しかるべきという形でおっしゃっておりましたけれども、ここが公式にきちんと残るような形で、例えば談話ですとか、表明されるのが当然必要であるわけですけれども、もう少し具体的に、どのような形で表明するのか、またその謝罪の範囲についてどう考えているのか伺います。
○舛添国務大臣 繰り返しになりますけれども、法案が成立しました暁には、この前文にありますように、フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤による感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止できなかったことについて率直に国の責任を認め、感染被害者とその遺族の皆様に心からおわびを申し上げたいと考えております。
その上で、これは十五日に基本合意書が交わされる予定でございますので、そのときに、政府として、これは総理とも御相談の上、どういう形できちんと形にするかということを検討した上で、今の、本当に心から率直に責任を認めておわびする、その気持ちがきちんと体現できるような形で厚生労働大臣として努力をしてまいりたいと思います。
○高橋委員 先ほどお願いをしたように、しっかりと形に残り、次につながる形で表明をされること、総理が表明されるということですよね、そのことを確認していきたいと思います。
次に、製薬メーカーの責任の問題、これにも若干、前文では触れているわけですけれども、改めて原告団の皆さんはメーカーの責任を求めている、謝罪もなかったという指摘があるわけです。その点を、国がどのようなイニシアチブを発揮していくかということを伺いたいと思うんです。
特に、それが一つの試金石となる出資の問題についてですけれども、大臣が協議し、合意の上、あらかじめ基準を設けるとあります。これは、メーカーが、例えば裁判によっていろいろ時期が分かれていた、そこにこだわって、どうするかということなどもあるわけです。ですから、この点では、メーカーに対してもきちんと物を言っていくという大臣の決意が求められます。いかがでしょうか。
○舛添国務大臣 今委員がおっしゃった、これは第十六条で、厚生労働大臣がメーカーときちんと協議をするということであります。
それで、法案の前文の一ページ目ですけれども、その真ん中あたりにこういうふうに明確に書いてあります。「もとより、医薬品を供給する企業には、製品の安全性の確保等について最善の努力を尽くす責任があり、本件においては、そのような企業の責任が問われるものである。」
私はこの記述に尽くされているというふうに思いますので、製薬企業としても、本法案が成立した際には、このような立法府の意思をきちんと踏まえた上で、給付金の支給に関しては応分の負担を行うべきであると考えておりまして、私は、全力を挙げて企業に対してそのことを要請してまいりたいと思います。
○高橋委員 わかりました。よろしくお願いいたします。
そこで、先ほど来、カルテがない方たちのお話が出ているわけですけれども、私も先般、地元弘前の女性から相談を受けました。この方は、一九七五年に子宮筋腫をされたときに出血をした記憶がある、しかも、血清肝炎で直後に四カ月入院をしております。ところが、三十年たった昨年の二月、初めてC型肝炎と言われました。ですから、その間は検査をしても特に症状がなかったわけですね。
私は、まず、七千の医療機関の中に入っている病院であることを確認しました。しかし、カルテがないということがはっきりしております。四百十八名のリストの中には、手術の日などを照らし合わせていきますと、残念ながら入っておりません。ですから、なかなか手がかりがなかったわけです。でも、病院に一度行って、もう一度詳しく調べていただいたけれども、証拠はなかった。
この方の最大の望みは、何よりもはっきりさせたい、投与の事実があったのかどうかということをはっきりさせたいということなんですね。ですから、その気持ちにどうこたえていくかということが一つあります。
それから、今言ったように、三十年かかっている方が実際にたくさんいらっしゃるということを受けとめると、十年で症状が変化したときというのが非常に不十分ではないかということをどうするかという問題が突きつけられているなと思うんですね。この点にどうこたえていくかということが実は非常に注目をされているんです。まず、お答えがあったら伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
カルテとか、カルテのみならず出産の記録とか、いろいろな記録をとにかくいろいろ当たっていただきたいということは、先ほど大臣から申し上げているとおり、昨年の暮れにも七千の医療機関に対してお願いをいたしているところでございます。
そういったもので、とにかく徹底的にいろいろ調べていただくということしか、昔の手がかりを探す手段というのはないのではないかというふうに現在のところは考えております。
○高橋委員 ちょっと余りにも心もとない発言だったので……。
今、手がかりを探すしかすべがないというお話だったんですけれども、病院が、最初御本人が訴えたときはほとんど対応していただけなかった。だけれども、こうして全国的にも問題になっている中で、もう一度調べてもらったけれども、やはりなかった。今、そういう問題がどんどん起こってくるわけですよね、メールもたくさん来ています。
そのときに、第一義的には裁判所が見るんですよということがあると。皆さんは、手がかりをやれと。では、それだけでいいのかということなんですよ。こういう場合がございますということをもっと国としてアピールしていく必要があるのではないかということが言いたいんです。
それで、その答えをもらう前に一つ関連して言いますけれども、十一月の末に大手の新聞各紙に、新聞全面の半分くらいを使って、「C型肝炎ウイルス検査の受診をおすすめしています。」という広告を載せましたよね。これは大変、私は衝撃的でありました。
「検査受診の呼びかけの対象者」ということで、「フィブリノゲン製剤の投与を受けた方には、以下のような場合があります。」ということで、妊娠中または出産時に大量の出血があった、これが今一番注目されているので、みんなそうだと思っているわけですけれども、大量に出血するような手術を受けた、食道静脈瘤の破裂、消化器系疾患、外傷などにより大量の出血があった云々ということで書いてある。あるいは輸血の部分もかなり詳しく書いてありますよね、九二年以前に輸血をされた方、大きな手術を受けてきた方、長期に血液透析を受けている方、ボディーピアスを施している方云々も含めてですね。
そうすると、今までは自分は関係ないと思っていた方も、あっと思うわけですよね、自分もそうだったのかもしれないと。つい先日もそういう相談を受けました、男性の方から。実は、出産などが非常にクローズアップされているものですから、自分のことだと思っていない方がたくさんいらっしゃる。それで、相談が殺到するはずですよね。そのときに何と答えるんですか。ただ手がかりを探してくださいって、それではだめなわけですよ。ここまで言った以上は、可能性があると言った以上は、可能性がある人が手がかりを見つけるためにはこんな手段があります、こんな手段がありますということをアピールしなければいけません。どうしますか。
○茂木委員長 高橋局長、手を挙げたからにはしっかり答えてください。
○高橋政府参考人 昨年の十一月の新聞の半面の広告では、そういったフィブリノゲン製剤の投与以外の事例として、大きな手術とか血液凝固因子製剤の投与とか、そういったものをいろいろ挙げております。
ですから、先ほど申し上げましたように、手がかりを探すということもございますし、ほかにももちろん、いろいろな手がかり、書類だけではなくて、その当時の病院の状況や何かの証言とかいろいろなものがあるわけですから、そういった状況を総合的に、例えば、もし仮にフィブリノゲン製剤の投与であれば、そういったものを裁判の中でも総合的に勘案するということではないかというふうに考えます。
○高橋委員 それは先ほど法務省の方から答弁がございました。私が言っているのは、厚労省としても積極的にアピールしていくかということです。
○高橋政府参考人 いろいろなケースがあろうかと思います。そのケースの累積を見ながら、少し考えたいと思います。
○高橋委員 では、あと残された時間で大臣に質問したいと思います。今のやりとりで、ちょっと大臣の思いもあったら追加をしていただきたいと思うんです。
私が大臣にかねがねお話ししたいなと思っているのは、先ほど来何度も繰り返しされている医療費助成のあり方の問題なんですね。貧しい人には助成をする、この発言はやめた方がよろしいのではないかと私は思います。
きょうの参考人の皆さん、四人いらっしゃいましたけれども、本来ならば血液製剤を受けて対象となるはずなのに、今言ったように、カルテがなく原告になれない方がいらっしゃいます。それから、同じ血液製剤を投与された、使用したのに、あなたは先天性だからそもそも必要なんだということで除外をされる方たち、あるいはB型肝炎の皆さん、この方たちは、最高裁で勝利をして国の責任がはっきりしたにもかかわらずいまだに謝罪もされていないし、あるいは治療という点でもインターフェロンでは効果が少ないということが言われているわけですね。本来、国によって救済されるべき人たちなんです。そういう人たちを本来ならばどこかでもっと救済することを考えたら、貧しい人だけよとか、所得があるんだったらと、そういう仕切りではないだろう。
もっと言えば、自己負担によって、先ほど五万円という話もありましたけれども、生活が苦しくなる、仮に一定の所得があったとしても生活はそれによって当然影響を受けるし、あるいはインターフェロンの治療をずっと続けることによって仕事が制限されたり、副作用によって仕事をやめざるを得ない。山口さんの場合もそうでありました。そういう全体的なことを十分に考慮すべきではないかと思います。いかがですか。
○舛添国務大臣 私が貧しい方にもと申し上げたのは、実は、患者の皆さん、原告の皆さんと直接、また例えばお書きになったものを読ませていただいたりしたときに、本当は受けたかったんだけれども、非常に生計のこと、生活のことを考えると断念したんですという方が何人もおられましたので、そういう方がないようにという思いで申し上げたのでございますので、誤解があればぜひお解きいただきたいと思います。
そして、もう一つの問題は、どうしても財源のことを、これは最終的には国民の皆さん方の税金でございますので、それをどういう形で使うかということで、ここのまた配慮もないといけないものですから、そういうことを十分考えた上で、今回のような与党のPTの皆さん方の案に基づいた形で予算措置をとらせていただきました。
しかし、もとより、今委員がおっしゃったように、B型肝炎の方その他、先天性の方、いろいろな問題がありますので、これは初めの一歩ですから、今後とも引き続き、こういう問題についてもきちんと対応してまいりたいと思います。
○高橋委員 これからやられるであろう定期協議ですとかそういう場に、B型肝炎の皆さんや当事者の皆さんの意見を聞く場を設けるなどして、恒久対策に向けてしっかりやっていただきたい、このことを要望して、終わります。