二〇〇七年度補正予算案の審議が二十八日、衆院予算委員会で行われました。日本共産党の高橋千鶴子議員は、七十五歳以上を対象に世界に例のないほど差別的な後期高齢者医療制度(四月実施予定)の問題点を、高齢者の心からの叫びをつきつけ、追及しました。
「長生きは喜んでいいことですか」。冒頭、高橋氏の質問に、福田康夫首相は「年をとってもよかったと実感できる社会に」と答えました。
しかし、与党が二〇〇六年に強行した医療改悪によって、療養病床は一二年までに二十三万床が削減され、長期入院のお年寄りが追い出されようとしています。そのうえ政府は、後期高齢者医療制度で医療内容の差別をもちこもうとしています。そのなかで、検討されているのは、終末期医療の充実を名目に、在宅での「みとり」をする医師や看護体制に高い診療報酬をつけるとの方針です。
高橋氏は、青森県保険医協会が六十歳以上を対象におこなったアンケートで、日常生活が困難な状態で退院をすすめられた場合に、六割以上が病院などでの治療を希望していることを提示(グラフ)。「病院からの無理な追い出しはしないと約束できるか」と重ねて迫ったのに対し、舛添要一厚労相は、あいまいな答弁に終始しました。高橋氏はさらに、後期高齢者医療制度により月々の保険料が年金から天引きされる問題を追及しました。年収百万円未満の高齢者世帯の78・4%で収入が年金に限られていることを指摘しつつ、「後期高齢者医療制度では(年金額月)一万六千円の人からも保険料を天引きする。あまりにもひどすぎないか」とただしました。
また、後期高齢者医療制度の中止などを求める自治体決議が十月の二百三十九から、二カ月で四百八十七自治体に倍増していることを上げ、「政府・与党の一部凍結ではどうにもならない。きっぱりと中止すべきだ」と強く求めました。
(2008年1月29日(火)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょうは、後期高齢者医療制度について福田総理に質問をしたいと思います。
六十五歳から七十四歳まで前期高齢者、七十五歳以上は後期高齢者と呼ばれて別枠の制度に入ることになります。最初に確認をしたいのですが、福田総理、長生きは喜んでいいことですか。
○福田内閣総理大臣 年をとってもよかったなということが実感できるような社会にしたいと思います。
○高橋委員 ありがとうございます。
どうして今、長生きしたらだめですか、そういう声が全国から起こっているのでしょうか。
かつては、お国のために戦う兵隊さんをふやせと、産めよふやせよが閣議決定された、そういう時代があったと思いますが、戦中戦後をくぐり抜け、戦後の日本の土台を築いてきたお年寄りが、今度はお国のために早く死ねというのかと全国で怒りの声が沸騰しています。みんなが聞きたいことは、受けられる医療も年齢で差別されるのかということです。
国保中央会が〇六年の十二月に、かかりつけ医、そして登録された後期高齢者の人数に応じた定額払い報酬を提案しました。いわゆる人頭払いと批判がされております。平たく言えば、多くの高齢者は複数の病院、診療所にかかっておりますが、担当医でない医師にはかかりにくくなるのでしょうか。一カ月に受けられる検査や処置はここまでというように制限されるのですか。
○舛添国務大臣 後期高齢者、この方々に、よりきめの細かいケアを行う、それはもちろん高齢者によって大変元気な方もおられますけれども、そういう面と、それから現役世代にもきちんと保険料を負担していただくという、そういう形での制度設計であります。そして、今おっしゃったように、これは担当する医者がきちんと生活の面まで面倒を見る。しかしながら、国保中央会が提唱するような、登録制を導入するというようなことは検討いたしておりません。
○高橋委員 今、登録制は検討しておりませんとおっしゃいました。このことはまず確認をしたいと思うんですね。
ただ、その前段に、担当医がきちんとということをおっしゃいました。実は、今般、中医協で示された案にも、今パブリックコメントにかかっておりますけれども、高齢者担当医という言葉がございますね。しかも、一定の検査や処置を包括的に評価をするとちゃんと書いてあります。どこが違うんでしょうか。このことは、経団連が〇一年五月に発表した「高齢者医療制度改革に関する基本的考え方」で、既に診療報酬については包括払いというふうに書いてあるわけですよね。その後も経済財政諮問会議などで議論を重ねられてきたことであります。この経団連の表現をかりれば、高齢者医療費を一定の範囲内におさめると言っています。
結局、老人医療費を安上がりのものにして、国の持ち出しを減らそうということですよね。
○舛添国務大臣 そういう財政的な配慮が先行しているのではございませんで、やはり高齢者というのは、ある疾病、それが長期化する、そして最終的にはターミナルケアまでいく。そういうときに、かかりつけのお医者さんがしっかりと診ていただく、そういうことがいいんだろうという、後期高齢者の健康状態、ケアのあり方はそういうことが前提であってやっている話でありまして、安上がりに済ませようとかそういうような財政的な配慮が前提にあったものではございません。
○高橋委員 先ほど総理も長生きは喜ばしいこととおっしゃったわけですから、それが前提じゃないということを、おっしゃったとおりだとありがたいなと思います。
だれしも年をとれば複数の病院に通います。治りにくいという特性もあります。だからこそ、患者負担を軽くし、療養病床などを整えて、療養環境を今まで整備してきたのではなかったでしょうか。
ところが、今や、二十三万床の療養病床の削減が決定され、このままでは行き場のない介護難民、医療難民が生まれます。その上、厚労省は、今言ったような終末期医療を充実させる、みとりの医療だといって、つまりは在宅でのみとりをする医師や看護体制に高く報酬をつけると言っています。厚労省の机上のプランが生身の人間を動かせるでしょうか。
ここにパネルを持ってきたんですけれども、一月十日に青森県の保険医協会が、六十歳以上の高齢者を対象に終末期医療についてアンケートを行った、この結果を発表いたしました。
もし、脳血管障害や痴呆などによって入院治療し、日常生活が困難となった状態で退院を勧められたとき、どこで生活したいかという問いに、リハビリなどができる病院が五割、リハビリができなくても医療施設が一三%、合わせて六割以上の方が、病院などで治療をしたい、生活をしたいと答えているんです。
その下、では、自宅でみとってくれるだろうか、家族が介護してくれるだろうかという問いには、五二%が無理と答えております。わからないが三一%、自宅は一七%にすぎません。なぜそうかという理由を聞きますと、家族の負担が大き過ぎるが六割、介護してくれる家族が高齢化あるいはいないを合わせると七六%にもなるんです。
ある女性は、国民年金だけで死ぬまで面倒を見てくれるところがあれば安心です、家族に負担をかけたくないです、畳一枚分のところで十分です、こう訴えています。
大臣、畳一枚でもという声にどうこたえますか。病院からの無理な追い出しはしないと約束していただけますか。
○舛添国務大臣 今、青森県のアンケートをお示しくださいましたけれども、私自身が、まさに後期高齢者の母親を介護していて、全く同じ問題に直面いたしました。
まず、家族に迷惑をかけたくないなという気持ちが御高齢の方にあられて、ですから病院にということがあります。それから、容体が急変したときに、すぐお医者さんが対応してくれないと非常に命にかかわるというような問題もある。しかし、一方では、やはり自分の住みなれた自宅で息を引き取りたいという気持ちがあることも確かです。ただ、これはなかなか、やはり家族の迷惑を考えると言いにくいということがあります。
そこで、そういうことを全部勘案して、例えば訪問介護にしても、長時間、きめ細かく、在宅で見てやれるような手を打とうということでありますので、こういう家族の意向、いろいろなアンケートなんかを反映した形でさらにいい制度にしていきたいと思いますし、今、高橋委員がおっしゃったいろいろな、例えば後期高齢者をもう見捨てるのか、そういう声に対しては謙虚に耳を傾けて、パブリックコメントをやり、公聴会をやり、それを中医協の議論の中に反映していきたいというふうに思います。
○高橋委員 今、七十五歳以上の一人世帯あるいは老老世帯がこれだけふえています。三百八十六万人、四割に届こうとしています。この老老介護の末に無理心中、こんな暗いニュースが後を絶たない、それはもう皆さんの同じ認識ではないでしょうか。
先ほど紹介した同じ調査で、もう一つ紹介したいことがあります。重症になり回復の見込みが五割しかないときに、どこで療養したいか。これも、医療施設が七五%でした。その最も大きかった理由が、きちんと治療がしたい、これが五三%なんです。もちろん、若い世代の方がその割合は高まります。でも、七十五歳以上の方でも四割が、きちんと治療したいと答えているんです。
後期高齢者になったからといって、きちんと治療したいという方に退院を迫ることはないと言えますか。もう一度、大臣。
○舛添国務大臣 まず、冒頭、総理がお答えいたしましたように、本当に長生きしてよかったな、日本人であってよかったな、そういう思いを高齢者の方々に抱いていただきたい。基本的には、その高齢者の方々の希望にかなう、そのために、国民の目線に立ってきちんとした厚生労働行政をやっていきたいと思います。しかし一方で、やはり自宅にいたいという方もおられる。そういう方に対しての細かいニーズに的確にこたえていくように全力を挙げてまいりたいと思います。
○高橋委員 自宅にいたいという人の話を今聞いているのではないんです。きちんと治療したいという人の声にこたえられますかと聞いています。
○舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように、そういう高齢者の方々の声にきちんとこたえていきたいということを申し上げましたとおりです。そのために全力を挙げます。
○高橋委員 今のお答えを本当にやるためには、療養病床の削減問題をきちんと見直していただきたいです。そのことを指摘しておきます。
もう一つの大きな問題は、保険料が年金から天引きされることです。
高齢者の六割は年金のみが家計のすべてです。年収二百万未満の方は四割以上、百万未満の方も一七%いらっしゃいます。
このパネルを見ていただきたいんですけれども、今言ったように、六十五歳以上の六割が年金だけを頼りに暮らしている。無年金という方も結構いらっしゃいますよね。私が深刻に思うのは、年収が少ないほど年金だけが頼りだということなんです。百万円未満の年収の方の七八・四%が年金だけを頼りに暮らしているんです。こういう高齢者の皆さんに年金から天引きということで拍車をかける、それが今の制度であります。
先日、青森県で、全県一高齢化率が高い、三七・九四%という今別町に行ったときに、お話を伺いました。うちのばあちゃんは月一万六千円しか年金もらっていないと。後期高齢者の保険料は、その一万六千円の年金からも天引きをするんですね。余りにひどくありませんか。
○舛添国務大臣 まず、天引きという制度自体についてちょっと御説明させていただきますと、当たり前のことですが、天引きというのは、被保険者が保険料を納付するときの利便を図るということと、徴収の効率化とあります。
しかし、今の規則は、年金額が年額十八万円以上の者について行うということですから、今、例はたしか一万六千円とおっしゃいましたね。その方は年額十九万二千円になりますから、十八万円を少し超えますので、天引きの対象となります。
しかし、介護保険料と合わせた保険料額が年金額の半分、二分の一を超えるような場合には、後期高齢者医療の保険料について、年金からの徴収の対象としないということになっておりますし、それから、今度新たに、被用者保険の被扶養者であった方については激変緩和措置を、二十年度は凍結という形でとらせていただきます。
そのほか、御指摘の年金受給者の例のように、低い年金額で年金から徴収されるようなケースは、年金のほかに資産やほかの所得がある場合とか、収入のあるほかの家族と同居している場合ということでありまして、年金月額一万六千円以外にほかの所得や資産がない場合には生活保護の対象となりますので、保険料の支払いは課されないということになっております。
○高橋委員 今、生活保護の話までするとは思いませんでしたよ。高齢者の皆さんに、今、生活保護世帯に、家を担保に借りろ、だから保護を受けるな、そういう仕事をしているじゃないですか。そんなことを今、まさかそういう議論をするつもりはありませんでした。
青森県の広域連合の資料で換算すると、単身世帯ですと、七割軽減の対象になるので、月千円の保険料です。ただし、息子と同居していれば、普通に考えて同居しているわけですよ、今おっしゃったように世帯収入を見るので、全く軽減策がございません。そうすると、月三千三百円、介護保険と合わせると七千円、そういう保険料が一万六千円から引かれるわけです。これは、年金をそれ以上もらっている人だって、そのぐらい引かれるわけです。どうやって暮らしていけますか。
それから、今、特別対策のお話もされました、一部凍結。今まで保険料負担がなかった、被用者保険に入っている世帯の被扶養者がその対象になります。ただ、その方たちは本当に一部です。残る一千百万人くらいは、四月から予定どおり始まるんです。そうでしょう。凍結をすれば、いずれは解凍されます。何の解決にもなりません。
あわせて聞きたいのですが、六十五歳以上の前期高齢者。今、後期高齢者の話ばかりしていたのに、前期高齢者、自分のことじゃないと思ったら、国保税が年金から天引きされます。なぜですか。これは総理に聞きます。総理に聞いています、通告していますから。
○舛添国務大臣 後期高齢者に対してもそうでございますし、低所得者の方に対しての軽減措置をやる。そしてまた、これは来月早々に各自治体に対してもきちんと御説明を申し上げますけれども、生活にお困りの方は相談窓口に来ていただき、それで、きめの細かい形でのいろいろな軽減措置などについて懇切丁寧に御説明申し上げ、対応をとりたいというふうに思っております。
○高橋委員 質問に答えていないです。なぜ前期高齢者の国保税が天引きされるのですか。
○舛添国務大臣 それは、先ほど後期高齢者について冒頭で申し上げましたように、保険料を払われる方の利便性、徴収の効率性、そういうことを考えての天引きシステム、そういうふうにお答えいたしたと思います。
○高橋委員 これはもう何の道理もありませんよ、本当に。今、きめの細かい納付相談というお話をされました。まさにどさくさ紛れなんです。国保は本当に高過ぎるために、自治体できめの細かい努力をして、納付の期限を毎月に細かく刻んでやっと払える、そういうふうにやってきたところもあります。しかし、これが今どさくさ紛れに天引きになれば、二カ月まとめてされるんですよ。何でそういう話になるんですか。
しかも、天引きできるほども年金をもらっていない方、さっき説明した方ですね、あるいは無年金の方からは天引きをしないかわりに、滞納すれば資格証明書を出すといいます。現在、国保の資格証明書は三十四万世帯で発行されておりますが、病院窓口で全額払わないと治療も受けられません。そのために命を落とす人さえ出ていることは社会問題になり、もう御承知だと思います。高齢者なのだから、そのほとんどが、本人かあるいは家族のだれかが病気、障害あるいは低所得という事情があります。そういうところにまで保険証で制裁をして命を縮めるようなことはしなくてもいいと思います。
これは総理に決断を求めます。総理に聞いています。
○舛添国務大臣 お答えします。
まず、健康保険証を持っていかれる、しかし保険料の支払いが滞った場合に、三カ月から六カ月の短期の保険証という形で対応する。そして、一年あってもお支払いいただけない場合に、しかしこの方は保険の資格を持っていますよ、資格証明を出しておかかりいただいて、しかしそのときは実費を払っていただく。ただ、後ほどそれはきちんと保険料の支払いの手続をすれば後で戻ってくる、そういう制度でございますけれども、節目節目において、本当に生活に困り、とてもじゃないけれども、天引きというような形で保険料の支払いはできないというような方に対しては、先ほど来申し上げておりますように、きめの細かい窓口対応を含めての相談体制を図り、そして対応していきたい、そういうふうに思っております。
○高橋委員 実費を払えば確かにお金が戻ってくる制度ではありますけれども、実費が払えるくらいだったら保険料は当然払えるわけですよ。私はそういう事情がある方の話をしているんです。
ですから、先ほどなぜ総理に質問したかというと、それは前もってお話をしてあります。これまで何度も、資格書のことは委員会でもあるいは本会議などでも質問してきました。機械的には出さないという答弁をいただいていたんです。そこをもっと踏み込んで、もう、後期高齢者の実態に照らせば資格書は出さないんだということを言ってくれてもいいんじゃないか、そういう時期なんだと思って総理の決断を仰いでいます。お願いします。
○福田内閣総理大臣 ただいまお話にありますような事情については、これは丁寧に説明しなければいけないと思います。天引きに当たって高齢者の方々にきめ細やかな相談を行う、そういうことを市町村に徹底したいというように思っております。
○高橋委員 丁寧に説明をしても、どうしても払えない実態がございます。しかもこの保険料は、二年ごとに見直しをして、当然値上がりをしていきますね。大臣、一言答えてください。
○舛添国務大臣 これは、このスケジュール表にのっとって必要な見直しは行いますけれども、先ほど申し上げましたように、とにかく高齢者の方のケアがまず第一。そして、高齢者の方々の健康を支えるために、一割の負担、そして四割は現役世代、五割は公費、こういう形での制度設計をして、しかし、それでも今高橋委員がおっしゃったようなさまざまな問題、さまざまな御意見、御批判、こういうものに対して一つ一つ的確にきめの細かい対応をしてまいりたいと思います。
○高橋委員 必要な見直しを行うとおっしゃっておりますけれども、私が聞いたのは、保険料の値上げが避けられませんねということです。
○舛添国務大臣 それは、実際に制度を運用してみる、そういう形、そういう過程においてきちんと検討して、精査をして結論を出したいと思います。
○高橋委員 保険料は二年ごとに見直しをすることになっておりますけれども、人口比がふえることに伴って割合を、今は総額の一割だけれども、一五年度は一〇・八%と厚労省が試算しているんです。値上がりすることになっているんです。弱い人たちだけを集めて制度をつくれば、財政がもたなくなる、それが負担にはね返ってくるのは当然ではありませんか。怒りの矛先を広域連合や自治体に押しつけて知らんぷりするのは許せません。
私が委員会でこのことを質疑したのは十月でした。そのとき、自治体決議は二百三十九でした。今、ちょうど二カ月たって四百八十七と、倍になっています。これは、政府・与党の一部凍結策ではどうにもならないことを示しているのではありませんか。きっぱりと中止を求めます。
結局、医療費抑制といって、高齢者に負担をふやし、病院から遠ざけようとする。この国の方向に実は一石を投じたのが、昨年の厚生労働白書の問題であります。老人医療費無料化の流れの中に、このページの中に、全国で初めて老人医療費無料化を行った沢内村、岩手県の現在の西和賀町ですが、このことが抜け落ちているということで、町議会が抗議文を大臣に送りました。
総理はこの問題を御存じでしたでしょうか、一言。
○舛添国務大臣 都道府県別の統計をとりましたので、市町村別ではございませんけれども、旧沢内村がこういう全国に先駆けて無料化の試みをおやりになった、よく存じ上げております。
○高橋委員 総理は御存じでしたか。
○福田内閣総理大臣 御質問があって初めて知りました。
○高橋委員 今、大臣が機械的に言ったんですけれども、私はそういう意味では全然ないと思うんです。
岩手県の小さな村です。豪雪と貧困、高齢化、百人中七人の赤ちゃんが亡くなる、そういう村で、死亡診断書を書くときしかお医者さんに縁がなかった。そういう沢内村で、故深沢村長が生命尊重を訴えて、赤ちゃんの医療費無料化と老人医療費無料化をやって、これが老人医療費を全国平均の半分まで減らすことができた。そういう貴重な成果を上げて、全国に大きく波及しました。
白書は、「医療構造改革の目指すもの」といって、負担を減らせば老人が病院に集まってきて、医療費はふえるんだ、そういうことを言おうとしているんですね。だから、沢内村のことを書くと、それが政府の言っていることと逆になっちゃう、それを認めたくないからこういうことを書いたのかと言わざるを得ないんです。今こそ、この教訓をしっかりと学ぶべきではありませんか。
残念ですが、時間が来ましたので、このことを指摘して終わりたいと思います。
ありがとうございました。