国会質問

質問日:2008年 4月 11日 第169国会 厚生労働委員会

介護保険法、介護人材確保について

080411z 日本共産党の高橋千鶴子議員は十一日の衆院厚生労働委員会で、介護労働者の実態を示し、国の責任で労働条件と待遇を改善するよう求めました。

 「くたくたに働いて一日六千四百円。病院に行く金も時間もない」(四十六歳の男性)―。高橋氏は介護職員の声を紹介し、深刻な人材不足を招いた低所得化(図)について、「二度にわたる介護報酬の連続引き下げが大きな要因だ」と強調しました。舛添要一厚労相は「介護報酬の引き下げが影響している」と認めました。

 高橋氏は、介護保険制度の二〇〇五年の改悪によって「要介護から要支援に移れば介護報酬も下がり、事業所の収入減にもつながる」と指摘。利用者にも介護従事者にも不幸な制度を見直すべきだと迫りました。

 舛添氏は「専門家の意見も聞きながらより良い制度に改善する努力を続ける」と答弁しました。

 厚労省は昨年八月にまとめた「福祉人材確保指針」の中で、給与体系の検討にあたり「国家公務員の福祉職俸給表を参考とする」と述べています。

 高橋氏はこれを取り上げ、「国がヘルパーの仕事を評価し、介護報酬に反映させるべきだ」と指摘。「よりよいサービスと安全確保のために、労働条件と待遇の改善が必要だ」と追及しました。

 中村秀一社会援護局長は「これらを実効性のあるものにしていくことが必要だ」と答えました。

(2008年4月12日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 今回の介護保険法、老人福祉法の改正案は、昨年六月のコムスンの不正事案を教訓に、介護サービス事業者の業務管理体制の整備や不正行為を未然に防止するため、国の権限強化、規制強化がその内容となっております。
 業界大手の不正行為は全国に大きな衝撃を与えました。そのきっかけとなった東京都の昨年四月の指導は、コムスンだけではなくニチイ、ジャパンケアサービスと三社に対するものであり、それぞれが介護報酬の一部返還や改善勧告を受けていることは重要だと思います。厚労省の介護保険関係指導結果報告によれば、二〇〇六年三月までに指定取り消し処分を受けた事業所数が四百八十二に上り、その六八%が営利企業であるという状態であります。
 そこで大臣に伺いたいのは、こうした不正事案がなぜ起こったのかということです。午前中の議論の中で、コンプライアンスができていないのだという答弁がございました。私、それは答えではないと思います。それは当たり前のことであって、なぜそれができないのかということを伺いたいのです。
 二〇〇〇年のスタート時には、ともかく量的確保が前提だったとはいえ、営利法人も含め多様な主体の参入を認めたこと、あわせて、事前規制から事後規制へと規制の仕組みを緩和したことが大きな要因であるのではないかと考えますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

○舛添国務大臣 介護の社会化をやるときに、それを担う主体はいろいろな団体であっていいと今でも私は思っております。民間企業が入ってきてもいいし、では、NPO法人だったらだめなのか、社協だったらだめなのか、医療法人だったらだめなのか。
 それぞれの組織すべてがきちんと法令を守って仕事をすることが大切なのでありまして、今回のコムスンは、まさにそういうことをやらなかった企業の体質にあるというふうに思っておりますので、営利企業が参入したからということは、私はこれは全く違うと思っておりまして、これだけの三百五十万人の人たちが介護を受ける、それのサービスの提供を例えば公益的な法人だけでできるのか、社協だけでできるのか。
 私は、ある程度、こういう医療サービス、社会保障サービスにおいても競争があることがすべて悪いことではありません。しかし、それが行き過ぎて、何もかも市場経済原則ということになれば問題ですけれども、国民の視点から見て、介護を受ける立場から見て、その人たちが一番満足できる介護が行われればいいのであります。
 私は、介護保険に入るときに、余りにもひどい、要するにお上的な発想でしか介護をやっていない、これにもう少し民間の発想が入った方がもっとうまくいくんじゃないかという考えを持っております。したがって、NPO法人を含めてあらゆる団体が競い合って、この介護の現場に来ていただいてともに競い合い、そして法令をきちんと守ってよりよい介護の体制をつくる、これが重要だというふうに思っております。
 今回の問題はあくまでコムスンの企業体質にある、そういうふうに思っております。

○高橋委員 大臣、私が聞いたのは、営利企業だからだめなのかという質問はしていません。通告のときもきちんとお話をしております。私が読み上げたのは、事前規制から事後規制へと規制の仕組みを緩和したことというふうな指摘をしたわけです。これについてどう思うかと。
 これは別に、二〇〇八年二月六日の介護事業運営の適正化に関する意見、社会保障審議会の意見書の中には出てくる部分なんです。このことをどう受けとめるのかと言っているんです。

○舛添国務大臣 私は、今の委員の御質問を誤解していたらそれは申しわけないと思いますけれども、今の事後規制の問題についても、とにかくこれは介護の現場できちんと規制をしていく、事後の規制をしていって是正をしていく、これ自体は間違っていないと思います。
 ただ、今回のような、余り予想もしないような、これほどひどい不正が行われると思っていませんでしたから、そういうことについて事前届け出制というようなことを今度入れよう、まさに改善策を今考えているわけであります。

○高橋委員 しかし、図らずも大臣の介護保険に対する考え方が披瀝されたということ自体、私はそのとおり受けとめたいと思っております。
 最初に通告したときに言ってあるんです、営利か非営利かをきょうは問わないよと。私は、基本的に、企業というのは利益を追求するのが企業の本質ですから、そのことと公的介護サービスはなかなか合わないのではないかという考えを持っております。ただ、それでイコール悪よという議論をするつもりはないんだと。ただ、それで一緒に規制緩和までしてしまって、今になって次から次と改正をしなくてはいけない、それがどうだったのかということを真剣に受けとめるべきではないかということを指摘したかったわけであります。
 今紹介した意見書の中でも、やはり制度発足時の規制緩和がもたらした弊害を認めています。同時に、今大臣がおっしゃったように、「多様な主体の参入を排除することなく、」という、今の制度の中でやりますよということを言っておりますので、このことも含めて、もっともっと大もとから考え直すときに来ているのではないか。介護保険の市場化、そして公的介護から国の責任が後退してしまったこと、そのことが最大の要因ではないかということを私は指摘したいと思います。
 そこで、私は、コンプライアンスは当然のことだと思っております。同時にこの問題で注目されたのが、介護の人材不足、劣悪な労働条件の問題であります。
 まず伺いますが、介護保険は、言うまでもなく四十歳以上の国民すべてが強制加入であります、公的資金が半分投入されている制度であります。介護労働者はこの公共サービスの担い手であり、処遇のあり方について国が責任を持つのは当然であると考えますが、いかがでしょうか。

○阿曽沼政府参考人 介護保険制度は、まさに今おっしゃったような趣旨で、国民のためにあるわけでございます。また、介護保険制度の運営は税金と保険料で賄っているということも事実でございます。ただ、それを前提として、制度上どう組むかというのはいろいろなことがあり得るんだろうと思っております。

○高橋委員 その制度上の話をこれから進めていきたいと思っております。
 民主党さんが今、介護人材確保法案を提出されております。私は、介護報酬の改定を待たずに緊急に引き上げたいという趣旨、それから、そのことが利用者の負担に連動しないために全額国庫負担でという考え方に賛同したいと思います。
 我が党も、昨年十二月に、介護だけではなく障害者の分も、「国民の願う高齢者介護・障害者福祉の実現を 深刻な人材不足を打開するための緊急提言」を発表しております。ここでは五割という考え方はなくて、基本的に、指定要件を満たせば、その範囲ですべての方たちに三万円くらいの賃上げをしたいものだという形で提案をさせていただいております。ですから、いずれの場合も、今の負担に連動しない仕組みでの賃上げを急いでやるということでは一致して頑張っていきたいと思っているわけであります。
 そこで、一点だけ伺いますが、介護の人材不足の背景には〇五年の介護保険改正が影響していると考えますが、民主党としては、この〇五年改正の影響をどう評価しているのか伺います。

○山井議員 高橋議員、御質問ありがとうございます。また、我が党の法案に賛意を表していただきまして、ありがとうございます。
 私は、今の人材不足は、大きく分けて二つ原因があると思います。一つは改正介護保険制度の問題、そしてもう一つが、やはり介護報酬の二回連続の引き下げであると思っております。
 やはり先ほども言いましたように、確認答弁までした介護予防についてのことが、実際は、国会で審議したのと違う結果に大きくなっているということ。同居要件についてもそうであります。そういうことで、介護の社会化という理念が二〇〇五年の改正で大きく後退した。また、それに追い打ちをかけるように介護報酬も下がった。やはりこの二点が介護の人材不足を非常に決定づけたというふうに思っております。
 以上です。

○高橋委員 先ほどの山井委員の質疑を聞いておりましたけれども、国会の答弁が変更ないといったことが賛成の根拠になったのかもしれませんけれども、やはりあの時点で最後まで反対を貫いていただきたかった、私はそのことをあえて言わせていただきます。ただ、現在における基本的な認識は一致しているであろうと受けとめさせていただきます。
 そこで、私どものところに寄せられた声がたくさんあるんですけれども、大臣にも一部紹介させていただきたいと思います。
 介護老人保健施設で働く二十一歳の男性職員です。
 三年目で手取りは月十五万円、それに満たない月もあります。なぜこんなに低いのでしょうか。私は、高校から福祉の専門科に入り、高校卒業時に介護福祉士を取り、就職しました。しかし、昔の私にもし何か伝えることができるのならば、間違いなくこう言います。国に評価されない仕事についても仕方がない、夢をあきらめて違う分野で働け。国は我々をボランティア扱いしているとしか思えません。なぜなら、アルバイトの友人より給料が低い月があるのですから。二年間に男性職員は十人程度やめ、トヨタ系の期間工員やその他の分野に移っていきました。ことしの三月にも三人ほどやめるそうです。
 四十六歳の男性で養護老人ホームに勤めている方。
 ピザの宅配アルバイトと同じ時給で、最低でもヘルパー二級の資格を要し、最悪、老人の死にまで向き合わなければならない仕事なんです。そんな職場に人材が来ると思われますか。八時間以内に仕事が終わったためしもありませんし、残業手当もつきません。くたくたに働いて一日六千四百円にしかなりません。そこから税金や厚生年金、健康保険、介護保険を引かれて幾ら残るんでしょう。現在、私は胃潰瘍とうつ病を患っていますが、病院に行く金も時間もとれません。
 こういう訴えがたくさん寄せられております。
 資料の一枚目を見てください。
 「福祉労働者の給与の推移」と題しておりますけれども、全労働者の平均給与と介護職員の差は非常に大きく、男性の平均三十七万三千円に対し、これも大分格差があるのは承知しておりますけれども、それと比べて、介護職は二十二万七千円です。女性は本当に低く、全体でも二十三万九千円にとどまっておりますが、それと比較しても十九万七千円です。
 グラフを見ていただければわかるように、かすかですけれども全体の労働者の賃金は上がっているのに、介護職は下がっております。グラフに落としているように、〇三年の介護報酬の二・三%引き下げ、〇六年の介護報酬二・四%引き下げという形で、連続した引き下げが影響いたしました。
 二枚目を見てください。
 東京地評ヘルパー労組連絡会が昨年三月に事業所に行った調査で、介護報酬改定による経営への影響。八四%が厳しくなったと答えております。
 大臣に、介護の深刻な人材不足の背景には、介護報酬の連続引き下げが大きな要因になると思っておりますが、考えを伺いたいと思います。

○舛添国務大臣 これは、先ほど来申し上げておりますように、社会保障審議会の介護給付の検討会で、三年に一度の改定ということで、専門家の先生方がさまざまなデータでそういう方向を出されたということでありますけれども、そういうことも恐らく影響して、つまり、二回にわたる介護報酬の引き下げということがこういうことに影響している可能性は十分あるというふうに思います。

○高橋委員 介護報酬の連続引き下げが影響しているということをお認めになったかと思っております。
 あわせて、やはり先ほど来議論されている制度の改正の影響ということもあると思います。〇五年法改正によって介護予防に軸足がシフトされたことによって、〇三年から〇七年で、要介護一が一二%減る一方、要支援が六%ふえております。
 四月九日付の河北新報では、仙台市内のケアハウスでひとり暮らしの七十歳の女性を紹介しています。
 この方は、昨年まで要介護二から、二段階軽い要支援二に変更されました。先ほど大臣が紹介されたように、頑張ってよくなったのならいいんですけれども、訪問調査でも主治医の意見でも、介護の必要度は高くなったと言われているんです。それなのに説明がなく下げられました。そのために家事援助のサービスが制限され、多発性硬化症という難病を抱え、体がしびれ家事もできないのに、週二回、三時間半あった訪問介護を三十分削り、足を洗ってもらうことすらできなくなった。「ぱっと死ねるならいいけど、介護を人に頼まなければ生きていけない。これから、どうなるのか不安だ。悲しい」という女性の声を紹介しています。
 要介護から要支援に移るということは、介護報酬も下がり、その分、事業所の収入減にもつながります。とりわけ訪問介護の場合はてきめんにそれがあらわれます。しかも、このたびの改正で、一時間以上の生活援助は何分やってもマルメで報酬も変わらないということになりました。利用者にとっても、介護従事者にとっても不幸な制度であります。実態に即して見直すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○舛添国務大臣 実態と分析というときに、私は、先ほど申し上げましたように、この介護保険制度を維持可能なものとしてさらに改善していくためにはどうすればいいかという、全体的、総合的な視点も必要だというふうに思っております。
 ですから、例えば介護の事業所が非常に効率の悪い経営をしたりしていることも、こういうところも是正していかないといけないだろうし、それから介護の要支援であるとか要介護度、こういうランクづけについても不断に必要な見直しをやっていって、最終的に、これをよりよいものとしてさらに発展させる必要はあると思いますから、今委員がおっしゃったようなことも含めて、現状をきちんと分析した上でしかるべき手を打っていきたい。そのために三年に一回の改定があるわけですから、専門家の意見も聞きながら、あらゆるデータを総合して、よりよい制度に改善していく努力は続けていきたいと思います。

○高橋委員 今紹介したのは本当の一部で、介護予防による弊害というのはたくさんあるんですけれども、最初に大臣がおっしゃったように、維持可能というのがまず先にありきで、ですから自立なんですよと。言葉は大変いいんですけれども、自立という名で、さっき紹介したように、本当は介護度が重いんだよ、高いんだよという人が要支援に落とし込まれた。そこに原因があるんだということを、検討するというのであればしっかりと受けとめていただきたいと思っております。
 そこで、ヘルパー労働者の皆さんが強く訴えているのは、直行直帰の登録型ヘルパーが圧倒的に多い、この形態を何とかしてほしいということであります。諸団体の運動や先輩議員の国会質問もあって、二〇〇四年の八月二十七日付、基準局長通達が出され、登録型ヘルパーも労働者ということが明確にされました。この通達の趣旨と実際の遵守状況がどうなっているのか伺います。

○青木政府参考人 訪問介護労働者の労働条件について、移動時間が労働時間として算定されていないなど、労働時間とかあるいは賃金などにつきまして労働基準法上の問題が認められましたので、訪問介護労働者に対する労働基準関係法令の適用について徹底を図るために、平成十六年八月に通達を発出いたしました。
 現在、それに基づいて指導しておりますけれども、労働基準監督機関が平成十八年に、介護事業を含む社会福祉事業を行う事業場に対しまして、二千八百十八件の監督指導を実施いたしました。そのうち、何らかの労働基準関係法令違反が認められたものは二千二百十二件、違反率七八・五%でございます。
 私どもとしては、引き続きこの通達の内容の周知徹底を図り、的確な監督指導を実施して、介護労働者の法定労働条件の履行確保を図ってまいりたいと思っております。

○高橋委員 今簡潔に御報告いただいたわけですけれども、福祉施設ということで、実際は介護の現場に即した調査ではないわけですよね。それでも、全産業に比べるとかなり高いという実態が紹介をされたかと思うんです。
 ヘルパー労働者の皆さんが、この八・二七通達を受けて、一筋の光明を見たという思いがあるわけですよね。移動時間も、ミーティング時間も、待機時間も、本当にちゃんと労働時間として勘案するんだと通達が出してくれた。しかし、現実はちっともそうなっていない、もう何年もたっているけれどもそうなっていないということが、今最大の問題になっているわけです。
 三枚目に、〇六年、介護労働安定センターが調べた「ホームヘルパー(非正社員)の賃金支給状況」というデータがございます。
 移動時間、全部支払っているのが三三・二%、支払っていないのが三四・一%。書類、報告の作成時間も、支払っているのは三一・八%、支払っていないのが三五・五%。待機時間は、支払っているのが二二・六%に対して、四六・一%という方が支払っていないという実態があるわけです。
 さっき話をしたように、報酬が包括になって、介護のサービスが細切れになったわけですね。この話をしたときに職員の方は説明されましたよ、数をこなせばいいと。そうすると、今言っているように移動時間が全然考慮されていないのに、数をこなしたらどうなるか。結局は、事務量はふえるわ、移動はふえるわ、何の手当も出ないただ働きだけがふえる。ますます悪循環になり、担い手がいなくなる、そういう格好になる。そのことをお認めになりますか。

○阿曽沼政府参考人 ホームヘルパーの勤務の形態につきましては、それぞれの訪問介護事業所の事業の運営によるものだと思っております。
 それで、今御指摘ございましたように、労働時間の中でも特に待機している時間でありますとか、それから移動する時間について、ちゃんと基準局の方から通達も出ておりますので、私どもとしては、その期間について当然、本人の意によらない場合にはちゃんと賃金を払うようにという形で指導しておりますし、現実に介護を受ける方々が困らない形で事業が運営されることを念頭に置いて今後も指導していきたいというふうに思っております。

○高橋委員 まず、そのことは確認します。
 問題は、指導を強めるだけで、それがすべて介護事業者の責任にされてしまうと、介護報酬が上がらないのにその中でとにかく遵守をとなると、事業所がつぶれてしまうということなわけです。
 昨年、十一万枚の折り込み広告を打っても一人も応募者がなかったと訴えている都内のNPO法人の男性。
 介護保険が始まって八年、働きがいと希望を持って登録したヘルパーの八割が転職または退職されました。一日六回から七回ケアに入っても、月二十万円を超えるのはごくまれです。人件費比率は九〇%に近く、賃金を公務員並みにと考え、実行しようとすれば、たちどころに事業所も法人も崩壊してしまう財政状況と訴えています。
 ですから、こういう形で、せっかく私たちの、ヘルパーの報酬を上げなくちゃねという議論になってきているけれども、それで事業所がもたないというのでは困るわけです。そのこともしっかり評価をしていただく。その点では、やはりヘルパーの仕事そのものをきちんと評価することではないか。福祉人材確保指針の中で明確に、福祉職俸給表を参考にすると書かれた以上、介護報酬にこれを反映させるべきだと思います。介護報酬にそれを反映させなければ、その分、結局身銭を切ることになるわけですから。そして、措置制度の時代にはこれをきちんと、公私格差是正の仕組みなどという形があったと思います。そうしたことについてどのように考えますか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 社会福祉法に基づきまして、人材確保指針を厚生労働省で定めるというふうになっておりまして、昨年の八月二十八日に人材確保指針を出させていただいたところでございます。
 就職期の若年層を中心とした国民各層から選択される職業になるよう、他の分野とも比較して適切な給与水準の確保がされるなど、労働環境の整備を図る必要があるという立場から、具体的な労働環境の整備について提案をしております。
 その中で、給与水準につきましては、他の分野における労働者の給与水準や地域の給与水準等も踏まえ、適切な水準を確保すべきこととするとともに、給与体系の検討に当たって、国家公務員の福祉職俸給表等も参考とすることとされているところでございます。
 給与については、経営者と労働者の雇用契約により決定されるものでありますことから、まずは経営者の経営努力をお願いする必要がありますけれども、先ほど来議論になっておりますさまざまな政策によって、こういったことを実効性のあるものにしていくことが必要であると考えております。

○高橋委員 その上で、先ほど来出ている財源論について、私は、介護労働者と利用者を対立させるべきではない、よりよいサービスや安全の確保のためにも労働条件と待遇の改善は必要だということをまずしっかり確認して、それを保険料にはね返らせるような仕組みを改めて、別枠とするべきだと考えています。少なくとも五%の調整交付金を、全国知事会や市長会なども指摘しているように、初めから算入すべきだと思います。
 もし一言あればお願いします、大臣。

○舛添国務大臣 財源を税でやるか保険料でやるかという根本的な問題があります。保険料でやらなくても、結局公費というのは税ですから、どういう形で負担をするか。私は、保険料でやることの意義は先ほど言った、措置制度と違う、権利として自分が払っているということとともに、まさに保険料でやったらそれは介護にしか使えない、財源だったらどういうことにでも使えるので、それぞれ一長一短はあると思います。
 私は、今の枠組みの中でやれることはきちんと、保険料を上げることによってやることの方が筋が通っているというふうに思っております。

○高橋委員 五%の調整交付金の場合は、今言った保険、枠組みの話ですので、十分検討していただきたいと思います。
 終わります。

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