国会質問

質問日:2008年 12月 10日 第170国会 厚生労働委員会

子どもの無保険について

 国民健康保険の保険料の滞納による資格証明書発行世帯のうち、中学生以下の子どもがいる世帯には一律に6ヶ月の短期保険証を交付する国保法改正案が10日、衆院厚生労働委員会で、全会一致で可決されました。

 日本共産党の高橋ちづ子議員は、法案採決に先立つ質問で、「与党も含めて子どもの無保険状態を救う方向にまとまりつつある」と法案を評価しました。同時に、子どもに限らず、保険料を払いたくても払えない滞納世帯からの国保証の取り上げそのものを止めるよう強調。全日本民医連の調査でも昨年31人が、保険証がないなどの理由で死亡、NHKの番組アンケートでは、475人の手遅れ死亡があったなど深刻な事態があるとして、「(資格証が発行されている)33万世帯すべてが、担税能力がありながら保険料を払わない悪質な滞納者なのか」と述べ、実態に即した調査を求めました。

 舛添要一厚労相は、「すべて悪質とはいっていない」と述べ、ここのケースに即した対応を約束。高橋氏は「悪質でないなら、子ども以外も事情のある方すべてを救済する仕組みを作らなければいけない」とのべ、国保証の取り上げの“義務化”をなくすよう強く求めました。

 国保法は1997年に改悪され、一年以上の国保料滞納者には、原則として資格証を発行することが市町村に義務づけられました。このため、国保料が高すぎて払えない低所得者に対する保険証の機械的な取り上げが横行しています。

 日本共産党は、保険証の取り上げのもっとも深刻な矛盾として「子どもの無保険」問題を国会で追及。国会質問と草の根の運動によって、厚労省は異例の緊急調査を実施。「無保険」の子どもが3万3,000人にのぼることが判明(10月30日)し、子どもの救済を求める世論が高まっていました。

(2008年12月11日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、国保の資格証問題について質問をします。

 この間、子供の無保険と資格証問題について、繰り返し質問をしてまいりました。与党の皆さんも子供の無保険状態を救う方向で今まとまりつつあるという点で、まずはほっとしているところであります。

 そこで、日本共産党は、九七年の国保法改正のときから、保険証の取り上げは命に直結するとして反対をしてまいりました。そして、全国で現実にそうした事態が起こっているのではないかということです。

 全日本民医連の昨年の調査では、昨年一年間で、保険証がなく、手おくれで死亡した方が三十一人もいらっしゃいます。また、五月にNHKが番組で行った、全国二千の救急告示病院へのアンケート調査への回答で、四百七十五人の手おくれ死亡事例が確認されました。これらの中には、資格証だけではなく短期証、あるいは保険証そのものがない方もいらっしゃいます。しかしいずれも、保険証の取り上げが、医療から排除され、命を奪う事態があるということを直視しないわけにはいきません。

 厚労省はこのような事態を把握されているのでしょうか。また、どのように受けとめていらっしゃるのか伺います。

○水田政府参考人 お答えいたします。

 資格証明書は、先生御存じのとおり、所得や世帯構成にかかわらず、保険料を納付できない特別の事情がなく長期にわたり保険料を滞納している場合に交付するものでございますので、資格証明書が交付されているということにつきまして、その状況について調査を行うことは考えていないわけでございます。

 それから、資格証を発行されて死亡に至った等、個別具体的な事例についてのお尋ねがございましたけれども、それにお答えするためには、その方の生活の実態、あるいは滞納に至った経緯など全体像を踏まえる必要がありますので、問題となる個別事例があれば全体像をよくお聞きした上で、適切な運用を行うよう指導していきたい、このように考えております。

○高橋委員 まず、この質問は大臣に通告をしておりました。重ねて大臣に指摘をしたいと思うんです。

 調査を行うことは考えていないという答弁でございました。しかし、私、何度も指摘をしてきたんですが、いまだに答えがない問題、つまり、三十三万世帯がすべて、担税力がありながら保険料を払わない悪質な滞納者なのかということなんです。

 機械的な取り上げはしない、そういうことを繰り返し答弁をしてきました。しかし現実にそういうことが起こっているじゃないかというときに、何の調査もしないで、そうすると、調査もしないということは、三十三万世帯がみんな悪質だということになっちゃうんですよ。本当にそうなのかということを聞いているんです。それが、そうなのだということがもし言えるのであれば、それを根拠を持って示していただきたいと思うんです。

 一昨日も、宮城県の病院からお話を聞く機会がございました。去年三人が救急車で運ばれた。一人は会社を首になり、一カ月、水だけで暮らしていた。外来では十人いました。どうしてこうなるまで病院に来なかったのかと。治療やあれこれではなく、まずとにかく、ふろに入れなければならない、そういう実態がこもごも語られました。

 ひとり暮らしの高齢者もふえています。働き盛りが今リストラのあらしです。無保険になるなど、こうした問題は顕在化されると思いますが、その問題意識はありますか。調査はしませんか。大臣にもう一度伺います。

○舛添国務大臣 何が一番大事かといったら、まさに子供を救う、高齢者の方々を救うということですから、百軒うちがあれば百軒全部、家庭の事情が違います。収入の状況も違うと思います。したがって、そういうのを全体に統計をとって、だからどうだという議論をすることはいたしません。

 私が申し上げているのは、個々の子供たちをどう救うのか、こういうことをやる。そして、きめの細かい手当てを自治体にやりなさいよと言っているのは、じゃ、これは福祉の分野でカバーしないといけない、生活保護という網をかけないといけない、どうだどうだというこの対策を立てるために、それぞれの家庭の状況を把握しないといけない。まさに、こういう不幸な子供たちを出さないということにあるわけですから、全体の所得水準がどうだからどうだ、そういう一般的な議論の場合ではないということを申し上げたい。

○高橋委員 そんなこと一言も言っていませんよ。一般的な議論なんて一言も言っていません。病院に運ばれて保険証がなかった、もう手おくれだったという事例がいっぱい生まれていると言っているんです。なぜ、その事例を厚労省で、実際その事例がわかっているんですから、病院から聞くということをしないんですか。

 今子供のお話をしました。私は今、全体のことを言っているんですよ。子供の無保険の問題で厚労省がどういう対応をしようかとしたときに、もしや虐待があるのではないかとか、そういうさまざまな事情を調べていこうということを通知したではありませんか。同じように病院に運ばれて手おくれになっている人がいる。そこに着目をしてきちんと見ていく、そして救済をしていくという視点をなぜ持てないのかと聞いているんです。もう一度。

○舛添国務大臣 まさにそういう視点を持って個々のケースに当たっているということでございますから、福祉の現場、これは各自治体がしっかりやってもらわないといけない。病院全体に対する指導、自治体に対する指導、それはきちっと行っていく。そして、個々のケースをいかに救うかということを申し上げていますので、委員と私の問題意識は全く同じでございます。

○高橋委員 個々の事例をそうやって当たっているというのであれば、三十三万世帯、すべて悪質な滞納者ですか。

○舛添国務大臣 私は、三十三万世帯がすべて悪質だと一回も言ったことがありません。悪質な事例もある、そういうことについてはきちんと、モラルハザードがないように指導しないといけない。しかし、今命を救わないといけない子供をほったらかしにする、そういうことは一切あってはいけないと思っていますから、これはきちんと対応していきたいということでございます。

○高橋委員 三十三万世帯がすべて悪質ではないとお答えになりました。そうであれば、悪質ではない事情のある方、子供さんだけではないのです、これに対して、きちんと救済されるような仕組みをつくってください。私は、資格証はなくていいと思います。このことは重ねて指摘をして、きょうは、とりあえず子供さんは無保険から救われる、そのことは感謝を申し上げたい。しかし、それでは問題は終わらないのだということを指摘して、引き続いて監視をしていきたいと思います。

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