国会質問

質問日:2009年 2月 20日 第171国会 予算委員会

りんご果汁原産地表示、エサ米問題 ―分科会

 日本共産党の高橋ちづ子議員は20日、衆院予算委員会の分科会で、りんご果汁の輸入やミニマムアクセス(MA)米の問題について質問しました。
 高橋氏は、昨年、青森県のリンゴがひょうや霜で103億円もの被害を受け、傷があるリンゴがまだ大量に残っている実情を紹介。「加工用にしたくてもある加工業者によると二年間は在庫があるという。農家にとって来年の受け皿もない」と訴えました。
 高橋氏の質問に、本川一善生産局長は、りんご果汁の消費量が毎年16万7276トン(濃縮換算で1万9186トン)で、その九割が輸入であることを明らかにしました。
 高橋氏は「消費者の関心も高く、りんご果汁の原産地表示をやるべきではないか」と追及。竹谷廣之消費安全局長は「検討中だ」とこたえました。
 高橋氏は、WTO(世界貿易機関)のラミー事務局長と石破茂農水相が来週会談することをとりあげ、「日本はMA米をどれだけ受け入れるのか」と質問。町田勝弘総合食料局長は、「一つの試算として114万トン」と答弁しました。
 高橋氏は「使い道がないのに一年で114万トンも入ってくるのは納得できない。撤廃せよ」と迫りました。石破農水相は「自由貿易の観点から現状を維持せざるをえない」と答える一方、「MA米は入ってこないのが一番いい」と述べました。

(2009年2月22日(日)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 昨年、青森県産リンゴは、ひょうや霜によって四割の園地で百三億円もの被害がありました。県が宣伝したひょう太君、あるいは農民組合がほほえみリンゴと名づけて、少し傷があっても同じようにおいしく食べられますと売り出しました。また、ひょう害リンゴがテレビでも紹介をされ、その後、県内の関係機関にたくさんの問い合わせもあったそうです。生産者にとっては、何より生果で食べてもらえるということがうれしいと思います。
 それでも、まだ田んぼには行き場のないリンゴ箱が山積みにされ、生産者は支払いに頭を抱えています。加工用は既にいっぱいです。木箱を七百円で買って、それにリンゴを二十キロ詰めて売ったら六百円にしかならない。完全な赤字です。ある加工業者は、向こう二年間在庫がある。ドラム缶七千本、それだけで四千万円の保管料という業者もあります。こうなると、引き取ってもらえないばかりか、来年も加工という受け皿がないということになります。
 しかし、私がきょうお話ししたいのは、本当にそうだろうかということです。リンゴ果汁は年間一人二・三リットル消費をされ、ミカンの半分とはいえ、果汁の中では人気が高い商品であります。
 では、全国のリンゴ果汁消費量が一体幾らで、そのうち国産品の加工仕向け量、どのくらいになるんでしょうか。

○本川政府参考人 まず果汁の消費量でございます。果汁の消費量につきましては、五分の一の濃縮果汁換算のトンだそうでございますが、十九年で全国三十五万三千四百六十七トンということになっております。これに対しまして国内生産量は三万二千五百五十トンでございますので、九一%が輸入ということになっております。
 他方、リンゴの果汁につきましては、十六万七千二百七十六トンが消費量でございまして、国内生産量はこれに対しまして一万九千百八十六トンということでございますので、八九%が輸入であるということになっております。

○高橋分科員 九割が輸入果汁である。やはり、ここにもっと何とかする道がないのかということが、今生産者が大きく願っていることであります。
 九〇年にリンゴ果汁の輸入自由化が決定されて以降、輸入量は増加し、七万五千トン以上、生果換算で約六十六万トン、これはもっと多いときも少ないときもありますけれども。加工というのは、生果の価格安定や需給調整という役割を持っていると思います。しかし、安値の輸入果汁によって、加工に振り向けていたリンゴが生果に回り、ここでも価格を下げてしまう。つまり、生果の価格さえも下げてしまうという問題がございました。
 ここに対してまずどうお考えなのか。この間、私たちが繰り返し指摘をしてきたリンゴ果汁の原料原産地表示、今こそやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○竹谷政府参考人 お答えいたします。
 加工食品の原料原産地表示につきましては、JAS法に基づきまして、平成十三年以来、個々の個別品目ごとに取り組んできたところでございますけれども、これにあわせまして、平成十八年から、品目横断的な取り組みをしようということで、原材料が品質に影響を与える、差異を与える、ある程度加工度の低い二十食品群というものを選定いたしまして、原料原産地表示の義務づけの対象という形で取り組んでいるところでございます。
 そうした中ではございますけれども、JAS法の義務づけということになりますと、これは、製造業者の方々にとりましては、中小の方あるいは零細な事業者の方も含めまして、すべての事業者の方を対象とした制度になってまいります。そうなりますと、実際に実行可能なのかといった問題点もございますし、また、国際的な規格との整合性といった問題点もありますので、これらの点につきまして十分考慮の上検討すべき問題であるというふうに考えております。
 一方におきまして、生産者の方にとってもそうですし、また、消費者の方にとりましても原料原産地というのは非常に関心の高いことであるというふうに認識しているわけでございまして、この原料原産地の表示の問題につきましては、昨年の三月の時点におきまして私どもの方から、関係の事業者、三百三十の業界団体の方々に積極的に取り組んでいただきたいということで、手引などを示しながら、積極的な取り組みを促しているところでございます。
 それと同時に、昨年の七月から、厚生労働省の審議会の委員の方と私どもの審議会の委員の方で食品の表示に関する共同会議というものを設けておりますけれども、その共同会議におきまして、原料原産地のこの問題につきまして、どういった情報提供をしたらいいのかということについて、ことしの三月を目途に方向づけができないかということで、現在議論を行っておるところでございます。
 その中におきましては、消費者の方、生産者の方、製造事業者の方々から賛否両論の御意見をいただいておるところでございますけれども、まずはその方向づけを待ってというふうに考えている次第でございます。

○高橋分科員 余り前向きには聞こえなかったわけですよね。前段のところはもう何度も聞いたお話でございます。
 ただ、この間の消費者の関心は非常に高いという中で、前向きに向かってきたのではないかと私たちは受けとめているんですね。本当にそこはどうなのか。例えば、業界団体の話を聞いたと言います。でも、業界といったときに、清涼飲料業界というくくりでいうと、果実飲料というのはわずか一〇%にすぎないわけです。そうすると、もともと無果汁を売りにしている業界もあるし、そういうところと一緒になってどうしますかという議論をしたって、それはなかなかまとまるはずはないわけです。やはり、そこはちゃんとすみ分けをして考えなければならない。そうじゃないですか。
 もう一回、前向きに検討するということで。

○竹谷政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のように、先ほどの共同会議におきまして清涼飲料業界の方から意見を聞いたのは事実でございます。そうした中で、単に清涼飲料一般についてお聞きしたわけではなくて、実際に、果汁の具体的な問題につきましてもいろいろと意見のやりとりがあったわけでございます。
 今ここに問題になっておりますリンゴの果汁ということになりますと、中国を初めとしまして多くの国々から輸入果汁が入ってきているわけでございます。また、果汁の場合に、加工過程がなかなか複雑なわけでございます。単に生果から搾ってジュースをつくるというだけではなくて、実際に、例えば南米の国々から入ってきたオレンジをアメリカにおいて濃縮をする、それを日本国内に持ち込んで還元をするという過程をとったりもしているという、そういう多段階の加工もございます。
 そういったことにつきましてのいろいろな果汁に即した御意見が出まして、事業者の方、消費者の方のいろいろな御議論がありまして、今、それらの御議論を踏まえながら、果汁だけではございませんが、一般的にこの原料原産地の問題にどういう方向づけができるかということを委員の方々に御議論いただいているというところでございます。

○高橋分科員 さまざまな国、さまざまな過程、ここがずっと理由にされてきたわけです。大手ボトラーがどこからどの程度仕入れているのか、全く公開されていないんだ。無果汁を売りにしている商品は別として、消費者が県産品だと信じて飲んでいる商品があります。かつて青森県当局が、団体の求めに応じてボトラーに原産地あるいは成分調査を行いました。それを、せめて企業名がなくてもいいから、割合ですとか国の内訳ですとかを教えてください、それすらも公表してもらえなかったんです。しかし、本当にそれでいいのかということなんです。
 例えばここに、〇六年十一月八日、公正取引委員会事務総局が発表した「果汁・果実表示のある加工食品の表示に関する実態調査報告書」がございます。これは、果汁などの強調表示のあるキャンディーとかグミとか、固形タイプの加工食品なわけです。その調査の中で最後に指摘されたことは、「今回の調査において、「○○県産りんご果汁一〇〇%」などと特色ある原材料を使用している旨表示している商品の一部に、実際の原材料の使用率と果汁等の含有率表示の数値が著しく乖離するなど、適正表示の観点から問題のあるケースがみられたことから、」農林水産省に対して、景品表示法上の考え方を踏まえた適正な表示を要望した、このように言われているわけです。
 この調査の中でモニターの声が紹介されているんですけれども、果汁含有量の表示方法について、商品重量に占める割合を商品の表面に明瞭に表示すべきである、これが三七・二%、一番多いんです。一〇〇%と書いているのに、果汁以外の原材料を使用している商品に一〇〇%と書くのはおかしい、三七・六%。だから、たとえキャンディーだといっても、やはり消費者の意識はそれだけ厳しいんだ。ましてジュースであれば、適正な表示を求めるのは当然ではないか。
 こうしたことで、もっと実態がどうなっているのかを明らかにしてほしい。そういう青森県がやったような調査を国としてやるつもりがあるのかということも含めて、御答弁いただきたい。

○竹谷政府参考人 お答え申し上げます。
 今まさに委員から御指摘をいただきましたように、消費者の方々が実際にどういった原材料を使っているのかということを知りたいというお気持ちがあるということは、重々承知をしているわけでございます。他方、それを包装資材の上に表示するとなると、産地がいろいろ移動したりしまして、その移動した産地のものをブレンドして一定の品質の商品をつくっているという場合がございますので、包装資材に臨機応変に対応できないものもあるという声も事業者の方からは聞いております。この事業者の方も、零細な事業者の方もありまして、なかなか難しい問題があるわけでございます。
 そうした点を先ほど来申し上げております共同会議の委員の方々にしっかり御議論をいただいて一定の方向づけを得たいというふうに、まずは、第一段階としてその方向づけを得たいというふうに考えております。また、委員から御指摘のようないろいろな問題につきまして検討を深めていきたいというふうに考えているところでございます。

○高橋分科員 ことしの三月に方向を出すということになっておりますので、その結果をぜひ期待をしたいと思っております。
 時間があるので次に進みます。農政改革についてであります。
 二月六日、農政改革閣僚会合と特命チームが発足し、ことし四月までに何らかの方向性を出すとしております。生産調整をめぐる大臣の発言が、そこだけがひとり歩きしているような気がして、それだけを言ったのではないと多分大臣はいろいろお気持ちがあるんだと思うんです。事実かどうかということはあえて聞きません。そういうことではなくて、十七日の記者会見で、二十一年産米についてはまず変更がない、その先は、こうなったらいいなではなく、こうなるということを数字をもって検証する、いわゆるシミュレーション、それをさまざまやるということをおっしゃったと思うんです。
 そこで私が伺いたいのは、まず、政府・与党が強調している水田フル活用、これは矛盾しないんですよねということが一つです。それから、減反を仮に選択制にすれば、何らかの直接支払いは行うとしても、価格を完全に市場に任せるということにならないかと思います。その点についてどうでしょうか。

○石破国務大臣 委員がおっしゃっていただきましたように、私は選択制にすると一回も言ったことはないんです。そこははっきりしている。そしてまた、二十一年産米については変更は行わない、飼料米あるいは米粉米を用いて水田をフル活用しなければならない、ここまでが私が公に言っていることでありますし、実際にそうであります。
 しかしながら、今の生産調整に一生懸命まじめに取り組んできた人が頑張って頑張って価格を維持している。しかし、おれは関係ないんだ、好きなだけつくるんだということで庭先でがんがん売っている人がそのまじめにやった人の努力の上に乗って利益を得ているということになれば、まじめにやっているのは一体どうなるのだと、この不公平感はどうしても払拭できない。
 私は、制度の中に不公平感があるものというのは永続性を持たないと思っているものですから、そこをどう考えるかということについては、いろいろなシミュレーションをして、一体何がどうなるのかということを作業としてやらなければ、政策として正しいことは立証されないし、納税者の御理解も得られないだろうということを申し上げておるわけでございます。
 ですので、いっぱいつくればもちろん値段は下がるわけで、仮定の議論として、一、二の三で全部やめて好きなようにつくりましょう、それはもう値段は落ちるに決まっているわけで、そうすると、一生懸命まじめにやっている人、大規模でやろうとしている人が一番打撃を受けるに決まっているわけで、そういうわけにはならないでしょうと。しかし、今の制度ですと不公平感がありますでしょうと。
 ではどうすればよいのですかということは、いろいろな角度から検証しなければいかぬだろう。そしてそれは、単に農林水産委員会の場とか農業関係者の場とかそういうところの議論ではなくて、私はずっと若いころ農政をやっていたのですが、その議論が本当に一部だけで行われておって、消費者とか納税者とか広い観点で議論されたことがない。そもそも、日本農業というものが本当に国民全体で支えるんだということのコンセンサスを得るためには、本当に広い議論をオープンにしなければ、何か繰り返しになりましたが、オープンな議論を透明性を持って広く行わなければいけないと思っております。
 いかなる政策をとるにしても、これは正しいのだというような確証を持って、そして、納税者の方々がそうなのだという御理解をいただいてやっていかねばならぬ。こうあればいいなということではなくて、こうなるのだということが、すべての皆が同じ意識を持ってやっていかなければならないのだ、そういうことを申し上げておるわけでございます。

○高橋分科員 後段のところなんです、私が聞きたいのは。価格を完全に市場に任せるのかと。
 農政改革六大臣、これは経済財政諮問会議と同じメンバーでございますよね。やはりこれがことしの重要なテーマであるということで、ことしの骨太を視野に入れているのかなと思っているわけですけれども、二月三日の諮問会議の席上で、大臣は改革の必要性について発言をされています。前段で、高齢化が非常に進んでいることや農村がなくなっていくことに対する危機感、あるいは環境問題や食料危機の問題、この点ではほとんど認識は同じだと思うんですね。我が党も、五割の自給率を目指そうということで訴えてきたわけです。
 問題はその後ですね。民間人の吉川洋東大大学院の教授が、大臣の意見と私も全く同じ認識を持っている、そう述べた後で、さっき私が聞いたことをおっしゃいました。つまり、米の消費者価格と生産者の収入を切り離して、前者については原則として市場に任せる一方、農業経営体の水田経営による所得は安定させる仕組みを考えるべきではないかと。これに対して大臣は、特に反論も補足もしておりません。賛成だということでしょうか。

○石破国務大臣 いや、そこで述べていないのは、別にそれに賛意を表したからということではありません。どうする、こうするということを決めているわけでもないし、まさしくそれはこれからの御議論なのでありますが、価格は市場に、所得は政策でとか、いろいろなスローガンがありますけれども、そこは、例えば多くの国において、何も日本だけが農業保護をしているわけじゃないんです。どの国もやっているわけです。そして、日本の国の自給率がこんなに低いのは、それだけ開放されているから自給率が低いのでありまして、日本農業が閉鎖的だなんというのは、私はそれはうそだと思っているのですよ。
 しかしながら、では、所得補償というものを行っている、直接補償というものも行っている、あるいは納税者負担型でやっているという場合に、その中身は何なんですかという議論もちゃんと詰めていかなければ議論にならない。どれでやるということを私は全く申し上げておりません。
 例えばきのう、スイスの副大統領兼経済大臣のロイタードさんという女性の方がいらっしゃいました。ダボスでも議論をし、きのうも議論をしたのでありますが、スイスだって日本と似たような国ですよね。山国で、平地が少なくて、自給率が四九%であって、そういう国ですよ。では、スイスにおいて直接補償の中身は一体何なんですかと。環境に適合するような農法を行った場合に、それがきちんと証明をされた場合には補償します、スイスの農業予算の相当部分は直接補償で占められているとか、そういういろいろなタイプがあるわけです。
 どの国も農業は守っていかなければいけない。そのための政策手段としていろいろなものがあるだろう。それが、農業の持続性を確保するものであり、かつまた納税者の理解を得られるものとは一体何ですかという議論をしていこうということなのでありまして、この方向で行くとか、吉川委員がおっしゃったことに私が全面的に賛同したとか、そういうことを申し上げているわけでは全くございません。

○高橋分科員 非常に大事なところなのであえて指摘をさせていただきました。もう御存じのとおり我が党は、やはり価格の下支えということは必要だという立場でありますので、そしてそれが現場の声でもあるということをお話ししたかったわけです。
 あわせて言いますと、今、スイスのお話を紹介されましたけれども、スイスは国民投票で食料主権ということを明確に打ち出している。やはり、そこに我が国も立つべきではないかということを重ねて指摘をしたいと思います。
 それで、水田フル活用について考えてみたいんですけれども、農水省が休耕田や転作不向きな水田を活用してえさ米や米粉生産を強めよう、私は、これは各地でもう既に意欲的な取り組みが始まっていますし、歓迎したいと思っているんです。
 そこで、麻生首相が昨年の十一月に、岩手県の八幡平市、コマクサファームという養豚業者の方を視察に行かれたわけです。同市がつくったえさ米を活用するんだということを聞いて、総理は、輸入トウモロコシから米にかわると自給率は上がるし、大いに応援したいということを記者団に述べられているわけです。
 私は、実はその八幡平市につい先日行ってまいりました。人口が三万一千七十九人、そのうち農業人口が一万三千八百二十九人、かなりなわけですよね。ホウレンソウと、安代りんどうという、非常に有名なんです、日本一の生産地であります。
 この八幡平市で、えさ米を二百四十トン、面積で四十ヘクタール、作付をしております。ざっくり言いますと、産地づくり交付金から十アール当たり五万円の助成、販売価格が二万四千円で、合わせると七万四千円から、そのほかに、団地化とか土地集積とかさまざま加算がありまして、最高にとれば九万四千円くらい見込めますよということを言っているんですね。そしたら、総理がごらんになったその養豚業者が、あと十倍受け入れてもいい、二千四百トン受け入れてもいい、こう言ってくれている。非常にありがたい話です。
 これを試算しますと、再生産価格は大体十アール当たり三万七千八百六十円だ。そうすると、四百ヘクタールふやすとすると、一億五千万何がしである。同市が交付されている産地づくり交付金が二億五千万なので、六割増しが必要になってくる。政府の五万五千円も活用したいと言っているわけですが、そうすると二億を超えるわけですよね。ホウレンソウあり、リンドウあり、ほかにいろいろな転作をやっている。そうすると、丸々それにばっかり使えないよね、というと現実的じゃないなという話になりました。
 そこで、一体農水省は、どの程度、農家の所得をえさ米で得られようと考えているのか、あるいは、全体としてどのくらい普及しようとしているのか、その点、伺いたい。

○本川政府参考人 飼料米につきましては、二十一年度から、水田フル活用対策ということで積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 それにつきまして助成策でございますけれども、二十年度は従来の産地づくり対策でございます。これは、今委員が御指摘になったように、十アール当たり五万円を助成しているところもあれば、平均的に三万五千円程度でとどまっているところもございます。これ以外に私どもは、畜産対策で十アール一万三千円相当の別途の支援を二十年度は行うということで、平均的に言えば、四万八千円の支援を行うということでやっておりました。
 二十一年度につきましては、これを大幅に増額をいたしまして、産地づくり交付金とは別に、そういう転作拡大部分に対しまして五万五千円の支援を行うということにいたしております。それ以外に、飼料米でありますから、わらまで家畜に与えるという取り組みをしていただければ、これにプラスいたしまして一万三千円、都合六万八千円の支援を行うということで計画をいたしております。今年度から見れば二万円のアップということでございます。
 これに対しまして、昨年よりも少しトウモロコシが下がっておりますので、粒としての販売金額は少し落ちますが、わらまで御利用いただけると、九万円をはるかに超える収入が見込まれるのではないかなというふうに思っております。
 そのようなことを十分農家の方に御説明しながら取り組んでいきたいと思っております。
 それから、飼料米のその数量の見込みでございますが、これは畜種によっても違ってまいります。例えば豚でありますと、二割ぐらいは使えるのではないかというような見込みがございます。それから、鳥肉生産であれば半分ぐらいは使えるのではないかと。ただ、牛ですと五%ぐらい。これは、牛の場合には、お米は消化がよ過ぎて下痢をするというようなことがございます。そういうようなことを見ますれば、相当程度使用が見込まれるのではないかと思います。
 まだまだ国内生産は千六百ヘクタール程度でございますので、これを拡大するように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○高橋分科員 山形県遊佐町の平田牧場の取り組みが全国に非常に先駆けとなったわけですけれども、そこで生産者と連携をした生活クラブ生協、この連合会の会長である加藤好一氏が、昨年の十月二十日付農業協同組合新聞の対談記事でこのようなことをおっしゃっています。「ただエサ米を作ってくださいといっても生産者は作るはずはないですよね。産地づくり交付金で助成しても、とてもそれで生計を立てていくということはありえない。」「主食用米が数量も含め米価が維持されるということが根本に置かれなければ自給率向上なんてあり得ない。それがなければ生産者にとって水田フル活用なんて、おととい来い、みたいな話」になる、このような指摘をしている。
 私は非常に重要だと思うんです。えさ米も米粉も拡大するのは大事です。しかし、六割の主食用で勝負できなければ農業が続けられない。大臣、どうでしょうか。

○石破国務大臣 自給率を上げるためには、みんなが食べなければ自給率は上がらないのです。どんなにつくろうが、価格を維持しようが、みんなが食べてくれるということにならなければ自給率は上がらない。そこの議論なんだと私は思っているんですね。
 価格維持ということ、それはいろいろな御議論があるでしょう。同時に、朝も答弁しましたけれども、お米をもう一ぜんみんなが食べれば八%上がるんです。一日、朝、昼、晩食べれば、八、三、二十四で二四%上がるんです。どうやって自給率を上げていくかということが、どのようにして今ある資源を活用するかということを本当にまじめにあらゆる観点から考えていかなければいかぬのじゃないでしょうか。そして、農家の生活が維持をされるとともに、自給率が結果として上がる、自給力が強化される。そのためにいろいろな観点から見なければいけないのであって、それは、おととい来いかなんか存じませんが、そういうお話があることも承っております。
 また、飼料米についても、つくりましたが、それがどうやってきちんと活用されますかという耕畜連携のあり方だってよくよく考えていかなければいけません。米粉だってそうです。あらゆる観点からやっていかねばなりませんし、国としての支援もしていかねばなりませんが、私は、こうすればこうなるということがきちんと理解をされなきゃいかぬというのは、それは、納税者が理解をして負担をするということが必要だからであります。
 ですから、願望みたいなことを言っても仕方がないのであって、こういうふうにします、そのためにこのような助成をし、このような財政資金を投入します、ですから消費者の方々もこうしてくださいねということは、すべてのコンセンサスの上になされなければ、議論は砂上の楼閣に終わるということを申し上げております。

○高橋分科員 そこでまた消費者の問題になってしまうと、もちろん確かにそうなんですよ、多く食べた方がいいに決まっています。ただ、そこだけでお話を集約されてしまうと、どうだったのかと思うんです。
 そうすると、もう一つの問題がありますよね。ちょっと時間がないので端的にお答えをいただきたいと思うんですけれども、来週、WTOのラミー事務局長が訪日をされて大臣と会談を持たれる。大臣は、従来どおりの日本の主張を述べますとおっしゃっているわけですけれども、まず確認だけです。
 日本が受け入れようとするミニマムアクセス米、昨年の七月の最終局面で受け入れようと合意していたラインは、重要品目四から六%というものでありました。その後さらに改定版というのがあるわけですけれども、どのくらいになりますか。

○町田政府参考人 WTO農業交渉でございますが、現在、関税削減などの一般的なルール、いわゆるモダリティーについて議論している段階でございます。個別品目の方の取り扱いということにつきましては、今後、モダリティーについて合意がなされれば、そのなされた後に、譲許表の交渉の段階で検討するということとなるわけでございます。
 今、MA米の数量についてのお尋ねでございますが、これはあくまでも一つの試算ということで申し上げるといたしますと、関税割り当ての数量につきましては、現在の農業交渉議長テキストにおきましては、重要品目に指定した場合の基本とされている国内消費量の四%分の拡大をすると仮定した上で、前回のウルグアイ・ラウンド農業交渉における消費量算出方法を参考に算出いたしますと、百十四万トンとなるという試算でございます。
 繰り返しになりますが、これはあくまでも一つの試算でございまして、米の取り扱い、またMA米の輸入数量について予断するものではございません。

○高橋分科員 済みません、一点だけ。
 百十四万トンという、もう汚染米の事件で明らかになったように、大臣もよくおっしゃったように、使い道が本当はないんだと。ミニマムアクセス米が百十四万トン、これは試算、でも、その前後入ってくるということを今日本が受け入れようとしているわけです。九五年から十三年間かけて飼料用米に使ったのが百四万トン、それが一年で一気に入ってくるということなわけですよね。そうすると、フル活用しよう、大いに食べようと言っている、しかし、そういうときにこれは矛盾しないかと思うんです。
 九三年十二月十七日の閣議了解、米のMA米導入に伴う転作の強化を行わないとか、国内の生産に影響を与えない、これを何度も繰り返してきたわけです。しかし、もうこれは壊れていると言えるのではないですか。MA米の撤回、もうそこに踏み出すべきではないですか。

○石破国務大臣 それは、MA米が入ってこなければ一番いいわけです。そのことはよく存じております。それから、輸入機会の提供なんだから、何もみんな入れなくてもいいという御議論もありますが、生産調整に影響を与えないということを考えた場合に、国家貿易から考えまして、今のやり方というのは維持をせざるを得ないという状況であります。
 ですから、MA米が入ってこないようなやり方とは一体何なのだということは、それは日本の産業全体から考えていかねばならないことであり、そして、国際ルールの中でどのようにして我が国が我が国の国益を主張するかということだと思っております。
 MA米が入らないのが一番よろしいということはよくわかっておりますが、いろいろな中で、どうすれば国民が国産の安全なものを食べられるかということを考えていかねばならない。同時に、自由貿易の中に生きる我が国にあって、我が国のことだけ考えていればいいのではなくて、ほかの国の、農産物しか輸出するものがない、そこに貧困な人たちがたくさんいるということに対して我が国はどう考えていくのかということも、あわせて議論せねばならないことだと思っております。

○高橋分科員 入ってこなければ一番よろしいと。その続きをまた次の機会にやりたいと思います。
 ありがとうございました。

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