国会質問

質問日:2018年 11月 20日 第197国会 文部科学委員会

原子力損害賠償法改定案についての参考人質疑

原賠準備額 維持に懸念
衆院委参考人 改定案“責任逃れ”

 衆院文部科学委員会は20日、原発事故の賠償制度を定めた原子力損害賠償法(原賠法)の改定案について参考人から意見を聞きました。参考人からは改定案への疑問や批判の声が相次ぎました。
 改定案は、過失の有無にかかわらず、電力会社が上限なく、全ての賠償責任を負う「無過失・無限責任」を維持しています。しかし、事故に備えて電力会社に義務付ける「損害賠償措置額」は、東京電力・福島第1原発事故前の1200億円のままです。それを超える分は、福島原発事故では国費と電気料金への上乗せで東電に資金援助され、負担が国民に転嫁される仕組みです。
 脱原発弁護団全国連絡会の河合弘之共同代表は「東電の損害賠償額は8・6兆円に上る。賠償額を据え置くことは、電力会社の責任を免除することと同義だ。採算が取れないと言うなら原発を断念すべきだ」と批判しました。
 東洋大学の大坂恵里教授は、原賠法の目的に「原子力事業の健全な発展に資する」と記されており、電力会社の賠償に上限を設ける「責任の有限化の議論が再燃する」と懸念を表明。「被害者保護と併記されるべきではない」と指摘しました。
 大坂氏は、東電が被害者との和解仲介案を拒否する事例が多発しているとして「(和解仲介案の)受諾義務を課すような制度設計を検討すべきだ」と求めました。
 日本共産党の高橋千鶴子議員は原子力損害賠償紛争審査会の指針を超える被害について、東電が被害者側に「因果関係」の立証を求めていることに対し「加害者が基準を決めるようなことを許していいのか」と質問しました。
 大坂氏は「指針は最低限であるのに、東電はあたかも最高基準のように運用している」と答えました。河合氏は和解案が東電に対して強制力を持つような法改正を提起しました。
(しんぶん赤旗 2018年11月21日付より)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、三人の参考人の皆さん、本委員会に大変お忙しい中御出席いただき、貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。
 早速質問をしたいと思います。
 まず、河合参考人に伺います。
 原賠法第十六条に基づく国の措置として、東電を債務超過に陥らせないということで、二〇一一年に原子力損害賠償支援機構法がつくられました。今度は、この機構法の附則に基づく原賠法の見直しとして二年以上専門部会を開いてきたわけですけれども、先ほど先生がおっしゃっているように、千二百億円の損害賠償措置額も据置き、また第一条の目的、「原子力事業の健全な発達に資する」ということもそのままになりました。
 私は、言ってみれば、今度の法案は東電救済の特別スキームを一般化し、全国の原発の再稼働に備えるということにほかならないんじゃないかと思うんです。先生の御意見を伺いたいと思います。
○河合参考人 そうだと思います。
 千二百億円ということが本当に妥当なのかどうかは、先ほど、城井先生が業者に聞いてみたら、いや、それはそれなりで対応できるんだよと言ったという話で僕は腑に落ちたんですけれども、立法当局というか行政の人はそういうヒアリングもしていないんじゃないか。本当に、ではこれを上げたらどうなるというヒアリングをちゃんとしたんですか、二千億ならどうですかとか三千億ならどうですかとか、そういうことをやったんですか、やりもしないで千二百億据置きと決めたんじゃないんですかと僕は言いたい。
 東電救済策についても、東電を債務超過にさせない、東電を倒産させないということが大前提になっていたと思いますけれども、僕は、こんな重大な事故を起こしたところは責任をとってきちんと整理をすべきだというふうに思います。そうすると、一つは、停電になる、それからもう一つは、損害賠償主体がなくなる、だから生き残らせなきゃいけないんだというのが当時の政府の方針だったんです、当時の民主党政権の政府。
 僕はそれは間違いだと思います。法的に言っても、まず停電の心配は、電力事業は崩壊しないんです。会社は崩壊しても、電力事業は、従業員と送電線と発電所、事業譲渡をぽんとすればいいんです。それは、引き受けるところは幾らでもあります。中部電力だって喜んで引き受けますよ。東北電力だって引き受けますよ。とすると、事業は引き継がれるから停電はない。
 では、損害賠償主体がなくなる。確かに、法人格が破産すると債務は消滅するんです。それを心配したんでしょうけれども、それは至急立法すればよかったんです。旧会社、要するに事業譲渡後の抜け殻会社は破産の申立てをしちゃいけない、原子力損害賠償債務という重大な債務を負っている限り破産申立てをしちゃいけない、そういう法律を一条つくればいいんです。そして、そこが損害賠償を実行して、それがお金が足りないときは政府の支援措置を講ずるということをやれば、被害者の救済も全く問題ない。
 今、何が問題かというと、東電は生き残りに必死です。生き残りに必死だと、なるべく損害賠償債務を支払いたくないという方にインパクトが働きます。俺たちはもうあと仕事がなくて損害賠償だけなんだと思えば、抜け殻になった会社は一生懸命誠意を持って損害賠償を実行します。それで足りなければ、政府に、済みません、お願いしますと言います。今は、東電は自分が生き残るために借金をなるべく残したくないからということで、値切りに入っているんです。
○高橋(千)委員 大変明快に、ありがとうございます。
 それで、大坂参考人に伺いたいと思うんですけれども、先ほどお話あった事業者の問題、千二百億円の問題は、専門部会の中では、電事連とか経団連は有限責任にすべきだということを盛んにおっしゃって、それができないのであれば、いわゆる措置額を引き上げるべきだと言っているんですね。
 そうすると、どういうことかというと、予見可能性は高まるかもしれないんだけれども、河合先生がおっしゃるように、全部、福島の分全部だという、そこまではっきりすればいいんだけれども、途中でとまってしまうと、それが限りなく有限責任に近づいていくのではないか、つまりそういう文脈で話していますからね。そこではまずい、そこはちゃんと国の責任も事業者の責任も書きながら、措置額というのを考えていかなきゃいけないし、実は賠償額というのは、八兆六千億円だけではなくて、今回のスキームの外にある除染ですとか、いっぱいあるわけですよね。そういうことも考えながらやっていく必要があるのかなと思うんですが、大坂参考人にも御意見を伺いたいと思います。
○大坂参考人 御質問ありがとうございます。
 先生がおっしゃるとおり、今回、原賠法改正ということで賠償のお話に特化しておりましたけれども、本来では、除染の費用につきましても、これは事故があったことで生じた損害ですので、本来なら東電が支払うべきものだと思いますし、実際に、特措法と言われております放射性物質汚染対処特措法におきましては、そういった費用については求償することになっておりますが、実際には、特定復興拠点でしょうか、帰還困難区域のところの中心となる除染につきましては国が行うということになりまして、環境法の立場からするとちょっとおかしい事態ではないかなというふうに思っているところではございます。
 先ほどの、幾らにするかと言い切れないのも、私も先生と全く問題意識を同じくしていると思いますけれども、ある程度で、ここまで上げられますというふうになったときに、もうそれ以上は責任を国の方で負ってもらうという形になるような議論を、私も専門部会の議事録等で拝見しておりまして、そういったことをさせないようなことのために、先ほどの目的規定とかについての御意見を申し上げた次第でございます。
 余り直接的なお答えになっておりませんけれども、以上でございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 今御指摘いただいた除染の部分は、一番深刻な被害を受けたところを東電に求償せずに国が責任を持ってやるということになっていますので、やはりその仕切りはおかしいのではないかと。
 それから、賠償も、国がきちんと責任を持って払わせるという立場に立つ、それが負担金という形で立てかえて後で返してもらうという形であっても、責任を持つというところがやはり法案に足りないのではないか、そういうふうに思っております。
 それで、どんどん時間がなくなってまいりましたので、野村参考人にも伺いたいと思います。
 東電の事故においては、第四次指針追補まで紛争審査会で指針を出されました。私たちは、指針の見直しを求めてきたわけですけれども、その際、指針にあることだけで賠償が終わりじゃないんだ、相当程度因果関係がある場合は賠償の対象とすると繰り返し答弁があったんです。ですが、事実、その後も、賠償の上乗せやADRもあるんだけれども、相当程度因果関係がどうなのか、どこかというのを決めているのは、現場では、実質加害者である東電であります。
 旅館やホテルが売上げが減ったと言っているのに、その証拠も出しているのに、別の資料を持ってきて、いやいやその最寄りの駅は利用者ふえていますよ、そういう形で東電がジャッジをしているんですね。この実態をどうお考えですか。
○野村参考人 紛争審査会の役割は、損害の範囲について指針を出すということで、当然、ある程度一般化された損害を想定しているので、個別の事情は特に取り上げていないわけですね。これは指針の中にもきちっと書かれていて、個別事情は、それは東電と被害者との間の紛争で解決するということになっておりますので、それが東電に守られていないという話は僕もよく聞きますけれども、やはりそれは、紛争審査会の、ある意味でいうとやむを得ない限界じゃないかなというふうには思っていますけれども、余り個別のことをいろいろ紛争審査会で基準を出すということは、性質上できないと思うんですよね。ですから、どうしても一般化せざるを得ない。
 しかし、被害者の状況というのは千差万別なので、それはやはり東電に真摯に対応してもらうというしかないんじゃないでしょうか、余りお答えになっていませんけれども。
○高橋(千)委員 では、今のお答えを受けてもう一度、野村参考人と、それから河合参考人、大坂参考人のお二人にも伺いたいと思います。
 個別は書けないからやむを得ないんだとおっしゃいました。ただ、結果として、加害者が基準を決める、要するに指針からはみ出した部分についてですね、ということを、では黙って見ていいのかということがあると思うんです。
 見直しについての専門部会の報告書の中では、やはり地域の被害者の声、あるいは商売をやっている方たちなどの声をもっと聞くということも盛り込まれました。
 そういう点で、もう一歩、法案に盛り込む、できることがあるのではないか。先ほどありましたADRの位置づけをきちんと書き込むということも一つの手だと思うんですけれども、お三人に伺いたいと思います。
○大坂参考人 ありがとうございます。
 被災者の声を聞くということにつきましては、今回、専門部会でヒアリングをしておりますけれども、福島県そして関連事業者に対するヒアリングはございましたが、直接の被災者からの声が聞かれていなかったというふうに議事録からは確認しております。
 そういったところで、先ほど先生がおっしゃっていただいたように、見直しの中には盛り込まれましたけれども、専門部会自体でそういった取組が必要だったのではないかというふうに思っております。
 そして、指針につきましては、やはり第四次追補まで、紛争審査会の先生方も気にされていて、毎回のように、この指針は決して、最低限というか、この指針にとどまるものではないというふうにわざわざ毎回書いていらっしゃるのですけれども、にもかかわらず、東電の方で、それをあたかも最高基準のような形で、それ以上認めないという形で運用している。それについてどのように法律の中に取り込むかというのは、私もちょっとすぐに答えは出ませんけれども、やはりそういったことについてより多くの方々に、先生方を含めて知っていただくということが重要ではないかというふうに思っております。
 以上です。
○河合参考人 その問題を解決するには、結局、ADR、パネルの方で踏み込んだ個別的な判断をすべきだということになるわけですけれども、それをしたときに東京電力が拒否をするということで、結局、泣く子と地頭には勝てないみたいな感じになっているわけですよね。
 僕は、それを解決するには、片面的強行性を法律で決めるしかない。東電がそんなわがままを言っているのを抑え込むには、やはり片面的強行性、すなわち、勧告が出たら原則として従う、一定期間内に訴訟を起こさないんだったらそれを守る、裁判を起こす権利だけは認めてやるという片面的強行性を法定すれば、今先生がおっしゃったような弊害はなくなると思います。
○野村参考人 今回の指針も、四月に審査会が立ち上がって四月末にはもう既に出ている、テンタティブですけれども出ていますね。
 このように、なるべく早く出すということが重要なわけで、そういった意味で、ある程度一般化した損害項目を対象とせざるを得ないということだと思うんですね。
 それをいかに東電に尊重してもらうかというのは、今、河合参考人からもありますように、ADRのあり方をどういうふうにするかということの方が重要ではないかなというのが一つですね。
 それからもう一つは、今回の改正で損害賠償実施方針の作成が義務づけられていますので、どういう実質化をそこの中で図るかという中で、将来、万一事故が起きたときにきちっとそういう指針などに対する尊重の姿勢というのが現実になるようなことも工夫する必要があるのではないかというふうに思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 まだまだ聞きたいことがありましたけれども、時間が来ましたのでこれで終了いたします。大変ありがとうございました。

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