障害者雇用 徹底的な解明要求
組織的隠ぺいか 高橋衆院議員と倉林参院議員
衆院厚労委
日本共産党の高橋千鶴子議員は14日の衆院厚生労働委員会で、中央省庁が行っていた障害者雇用率の水増しについて「構造的な問題であり、組織的な隠ぺいだ」と厳しく批判し、第三者による徹底的な解明を求めました。
高橋氏は、障害者雇用促進法は成立当初から、法定雇用率を定め採用計画を作成することが公的機関は義務とされ、障害者権利条約でも公的部門の雇用が強調されていることをあげ、「法や条約に照らしても今回の水増し問題は重大な違反だ」と指摘。2014年に独立行政法人「労働者健康福祉機構」が水増しをした時は第三者委員会が調査し、同法違反の疑いで告発しているのに、今回の事例では第三者による検証を行なわずに、関係府省連絡会議のもとに設置した検証委員会だけで「『違法性はない』と決めつけるのはおかしい」と追及しました。
高橋氏は、各省庁ともに水増しに至った言い訳も採用計画の内容もそっくりで「ひな形」があるとしか思えないと批判。数が足りなければ眼鏡をかけている人を「障害者」として計上したりしていることについて「これは(法定雇用率の)ルールを知らないといった以前の問題だ。障害があっても働きたいという人の雇用機会を奪っている」と批判しました。
根本匠厚労相は「検証委員会の報告でも、障害者雇用促進に向け努力がされてきたか『はなはだ疑問』と指摘されている。私もそう思う」と述べざるをえませんでした。
参院厚労委
15日の参院厚生労働委員会で、日本共産党の倉林明子議員は、この問題で根本厚労相が「障害者雇用施策を推進する立場として、深くおわびを申し上げます」と謝罪していることに対して「一体誰に対して何を謝罪するのかがはっきりしない」と批判。「数字を操作してまで障害者雇用拡大の責務を長年にわたり放棄してきた背信行為こそ謝罪すべき中身であり、直接謝罪すべき相手は雇用機会を奪われた障害者だ」と指摘しました。
そのうえで、政府の検証委員会は実害を受けた人数なども明らかにしていないことをあげて、「解明すべきことは山ほど残っている。なぜこんなことが行われたのか、背景までえぐりだす必要がある」と強調。障害者も参加した検証作業を行うように求めました。
(しんぶん赤旗2018年11月16日付)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
冒頭、今まで、きょうは外国人技能実習生並びに新たな外国人材の受入れについて議論がありました。非常に深刻な問題であり、今、山井委員がお話をされたように、人手不足対策どころか、日本に誰も外国人が来なくなっちゃう、そのくらいの重大な問題であります。
技能実習生そのものは厚労省が所管をしておりましたし、働くことに関しては、どうやっても厚労省の所管であります。ですから、法務の問題だからということではなくて、本委員会できちんとした集中審議を行うこと、また、連合審査を求めることを私の方からもお願いしたいと思います。委員長、お願いします。
○冨岡委員長 はい。(高橋(千)委員「委員長、はいじゃないですよ」と呼ぶ)何度も言われていますので、諮るということは前提で質問してください。
○高橋(千)委員 では、きょうの議題に入ります。
根本大臣には、厚労大臣としては初めての質問でありますが、早速、残念な事案について質問しなければなりません。
きょう、大臣に対しては事務的なことは聞きませんので、御自身の言葉でお答えくださることを強く望みたいと思います。
きょうは、国の行政機関における障害者雇用水増し問題について質問します。
同法は、一九六〇年、身体障害者雇用促進法として制定され、この間、改正を重ねてきました。成立当初から法定雇用率を定め、採用計画を作成することは、国と地方公共団体に義務として課せられておりました。民間の雇用主は努力義務だったはずです。
また、障害者権利条約第二十七条「労働及び雇用」においては、「締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める。」とあり、とりわけ公務部門において、これは(g)になっておりますが、「公的部門において障害者を雇用すること。」と強調されていると思います。
こうした障害者雇用促進法の成り立ち、権利条約に照らしても、今回の水増し問題は重大な違反である。その認識はあるでしょうか。
○根本国務大臣 委員おっしゃるとおり、障害者雇用促進法、これは、創設当初から公務は義務でした。おっしゃるとおりであります。
その意味で、今回、国の行政機関の多くで障害者の不適切な計上により法定雇用率を達成していない状況にあったこと、この状況については、障害者雇用率、制度を所管する立場から大変重く受けとめております。
今後、公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議で決定された基本方針、この基本方針に基づいて、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成、障害のある方の活躍の場の拡大に向けて、しっかり取り組んでいきたいと思います。
総理からも、各大臣に対し、障害のある方の雇用を不断に推進していくため、全力で取り組むよう指示がなされたところであります。
厚生労働省としては、制度を所管する立場から、先頭に立って障害者雇用を推進していきたいと考えています。
○高橋(千)委員 今の答弁、さまざま言いたいことはあるんですが、続けていきたいと思います。まず大臣は、先頭に立って進めていきたいと答弁がございました。
それで、資料の一枚目を見ていただきたいと思うんです。障害者雇用水増し二〇〇〇年から、三十三人関与、厚労省所管独法、これは二〇一四年十二月十八日付の日経新聞です。全国の労災病院などを運営する厚労省所管の独法、労働者健康福祉機構が、遅くとも二〇〇〇年ごろから障害者雇用率を水増し、虚偽報告していた問題であります。
これは虚偽そのものなんですね。分母となる常用雇用労働者数、これを実際より少ない数を報告する一方で、分子となる常用雇用障害者数については実際よりも多い数を報告するということで、要するに、率を上げて雇用率を達成する虚偽の報告を毎年やっていたと。大変驚く中身なんですけれども、第三者委員会が調査を行って、記事の最後のところにあるように、障害者雇用促進法違反の疑いで告発状を出しているわけです。当時総務部長だった同省幹部らが実は更迭をされているわけです。
障害者雇用状況報告について虚偽の報告をした者は三十万円以下の罰金刑に処せられると。これが雇用促進法に書いてありまして、これにのっとって罰金もあったと思います。
これは、余りにもあからさまな虚偽であった、データ捏造であった。それをわかっていて、ちょっとうまくないんじゃないですか、どうしますかと。そういう心配をする人もいたけれども、それをずっと、担当者がかわっても黙認されてきたと。非常にあきれる、驚く話なんです。
でも、それはわずか四年前。この事件の教訓がなぜ生かされなかったのか。
そして、今回は、では、罰金とかは法律に、そもそも対象にならないかもしれないけれども、そういうことではなくて、虚偽報告そのものに当たらないんでしょうか。ぜひお願いします。
○土生政府参考人 御説明いたします。
先生御指摘の、平成二十六年の独立行政法人の事案でございますけれども、御紹介ございましたとおり、所属の各施設から独法本部に報告がございました。職員総数、いわば雇用率で申しますと分母に当たるわけでございますけれども、それから、あわせまして分子に当たります障害者数、これを参考としながらも、独法本部におきまして、職員総数の数字を小さくする、あわせまして障害者数の数字を大きくする、そういった数字の操作によるということでございまして、これはまさに虚偽報告事案であったということで承知をいたしております。
他方、今回の、国の行政機関におけます不適切な計上事案でございますけれども、検証委員会におきまして、今般の事案が発生した原因につきまして、調査、検証が行われたところでございます。
そうした調査、検証の過程におきまして、各行政機関におきましては、検証委員会の調査への対応を職務として命ぜられている中で、可能な限り、過去の担当者や記録にさかのぼって実態把握を行っていただいたわけでございます。
そうした上で、なお行政機関からは、意図的に不適切な対応を行った例は把握していない、そういった回答がなされまして、検証委員会の報告書にその旨が記載をされているということでございます。
御指摘の点につきましては、十月二十二日、これは検証委員会が関係府省連絡会議に報告書を報告したときでございますけれども、松井委員長が記者会見を行っておられまして、先生御指摘の点につきましては、平成二十六年の独法虚偽報告が発覚したことから、今回の調査におきましても、この事案と同様のケースが各行政機関において行われているかどうかという点についても調査を行ったということでございますけれども、こうしたものは見つからなかったという御発言をされているということでございまして、その点についても検証が行われたということで、承知をいたしております。
○高橋(千)委員 検証委員会の報告と、この二〇一四年の報告書、どっちも読みました。大分違いますよね。検証委員会は、失礼ですけれども、二週間。これは二カ月かけて調べています。さかのぼれるだけ過去にさかのぼって調べております。
ですから、さっき、分母と分子をふやしたのと減らしたのと言ったんですけれども、桁が、四千人もですからね、最大で四千人もサバを読んでいた。実際に常用として雇っていた職員を、これは、いわゆる嘱託の職員だったんですけれども、常用じゃないというふうに数えて公に公表しているわけですよね。それを計算の率に入れていた、そういうことなんですけれども。
これをどのように評価をしていたかというのを資料の最後につけておりますけれども、最後のページを見ていただきたいと思うんです。これは構造的な問題だとはっきり言っています。やはり、お役所がやった事象に対して、構造的な問題じゃないか、組織的な問題じゃないかと私たちはよく指摘するんですが、それをなかなか認めることがこれまでありませんでした。しかし、ここはさすがにちゃんとやっている。
アンダーラインを読みます。「組織内で長期間にわたり構造的に行われてきたということである。」「事情を知った決裁ライン上の者全員」、括弧のところ、重要です。「厚生労働省からの出向者を含む。」さらに、「その中には障害者雇用促進法の所管課課長を務めた者もいる。」これは、指導する側の立場の人が総務部長として出向していて、口をつぐんでいたわけですよね、その重大さというのは。「さらに報告を受けた理事までが、少なくとも十年以上異動による交代を繰り返しつつも虚偽報告を行うことを是認してきたのである。」下の方を読みます。「出向者にとっては、機構業務の是正を行うことよりも、機構及び過去の出向者さらには厚生労働省に傷がつかないようにすることが重要となっていたからではないかと考えられる。」
ここまで厳しい調査を行って、今お話があったように、同様の件がないかと検証したと言うけれども、それにふさわしい第三者的な検証だったと言えるんでしょうか。それをやらずに、違法性がないと決めつけることが本当にできるんでしょうか。もう一回お願いします。
○土生政府参考人 御説明させていただきます。
今回の検証委員会でございますけれども、大規模な不適切計上が国の行政機関としてなされることになった原因を明らかにするという検証の目的を達成するため、三十三の国の行政機関に対しまして、まず書面による調査を行ったわけでございます。これは、今回、平成二十九年の再点検により減少となりました通報対象職員、全数三千七百名分の調査を行ったところでございます。
また、各行政機関の人事担当部局に対する調査、さらに、書面調査に加えまして、全ての調査対象機関にヒアリング調査、これは延べ七日間、合計約三十五時間、複数の委員により行っていただいたわけでございます。
さらに、直接情報を収集するための専用窓口を設置するなど、可能な限りの実態把握を行っていただいた上で、さまざまな分析を重ねて検証結果をまとめていただいたということでございますので、私どもとしては、十分に検証委員会としてその役割を果たしていただいたものと考えております。
○高橋(千)委員 私は、今回の問題も、構造的な問題であり、組織的な隠蔽だと考えます。
なぜなら、検証委員会による各省庁三十三機関の調査結果と、厚労省に提出された各省庁の採用計画が、極めてどの省庁も似ている表現、共通性があるからです。ひな形があるとしか思えません。
まず、そう思わないかどうかを聞きたいんですね。どういう人を障害者にカウントするかという手法や、なぜ水増し報告することに至ったのかという理由について、各省庁に共通性があると思います。それをそう思わないかどうか、またそれはなぜと思うか、伺いたいと思います。大臣にも後でお答えを。
○土生政府参考人 検証委員会の報告書について御説明申し上げたいと思います。
検証委員会の報告書におきましては、厚生労働省、これは職業安定局所管の問題でございますけれども、そうした問題と各行政機関側の問題が相まって、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったと言わざるを得ないとの指摘がなされているところでございます。
その不適切な計上の方法でございますけれども、特異性が見られるものとしましては、例えば身体障害のうち視覚障害あるいは精神障害といった特定の障害種別を多数計上したもの、これは一定省庁の該当があるわけでございます。また、一つの省庁しか該当がなかったものとしましては、うつ病等の精神疾患等の者を身体障害者として計上したもの、あるいは退職した職員を長年にわたり漫然と多数計上したもの、雇用率算定の除外職員を多数計上したものといった、さまざまな方法があったものと承知をいたしております。
他方で、各行政機関側に共通する今般の事案の基本的な構図といたしましては、組織として障害者雇用に対する意識が低く、ガバナンスが著しく欠如している中で、担当者が法定雇用率を達成させようとする余り、恣意的に解釈された基準により、例えば既存職員の中から対象障害者を選定する等の、不適切な実務慣行を継続させてきたといった心証を強く形成するに至ったということが明記をされているということでございます。
○根本国務大臣 今、政府委員から答弁させました。
検証委員会の検証によって、今般の事案の基本的な構図が各行政機関に共通である、基本的な構図がということが一方にありますが、不適切計上の方法、これについてはさまざまであることが明らかになっていると思います。
各行政機関は、検証委員会の調査への対応を職務として命じられている中で対応しており、厚生労働省も、検証委員会の事務局として、検証委員会の指示に従って適切に対応したものと思います。
○高橋(千)委員 まず、誤解のないように言っておきますけれども、やはり一番責任があるのは厚労省ですからね。やはりチェックができなかったということが一番問題だと思うので、検証委員会を責めているわけではないんです。だけれども、これを構造的なものだとやはり見なければ、本当に反省をしなければいけないんだということなんです。
それで資料の2、その前に、さっき三千七百名の調査をしたとおっしゃいました。でも、三千七百名だけれども、類型化できるのは今言ったような三つ、四つなんですよ。そのくらい集約されているんです。後で説明をします。
それで、検証委員会の概要ペーパーは資料の二枚目にあるんですけれども、右の肩の方、右を見ていただきたいんですけれども、「例」と書いているところがありますね。計上方法に対しての正しい理解の欠如と。「身体障害者は「原則として」障害者手帳により確認することとされているが、例外を厚労省に確認することなく解釈」と。これ、幾つもの省庁が書きぶりまで同じなんです。
内閣府のを読みます、同じなので。内閣府が書いているのはこうです。平成二十九年五月通知において記載のある「原則として」の例外に当たる場合として、例外に当たる場合が示されていないことから、幅広くいずれに該当するか判断してよいと思ったと。「原則として」と記載されていたことから、手帳の確認自体が必須であるとは認識していなかった。
おかしくないですか。なぜ、原則とあるのに、例外を幅広くとるんですか。おかしいし、書いてないなら聞けばいいんです。ガイドラインは周知していません、ちゃんと読んでいません、厚労省からちゃんと説明を受けていませんといいながら、細かい通知の「原則として」、その部分だけは見逃していない。おかしくないですか。
○土生政府参考人 検証委員会の報告書につきまして御説明をさせていただきます。
報告書の中で、事実関係をまず申し上げますと、身体障害者の範囲につきましては、厚生労働省職業安定局から、平成十六年から平成二十九年まで毎年、障害者任免状況の通知依頼の通知がなされているということでございます。その中で、今先生から御指摘のございました、「「身体障害者」とは、原則として身体障害者福祉法に規定する身体障害者手帳の等級が一級から六級に該当する者とし、」という記載があるわけでございます。
この「原則として」の例外に当たる場合が明確でなく、多くの国の行政機関において、法別表への該当性の判断について、本来の方法に沿わない運用になったということの一因だということで、検証委員会での報告は指摘をされているということでございます。
このことにつきまして、報告書におきましては、必ずしもその内容が明確であるとは言いがたい通報依頼通知が十四年間、毎年発出され続けたということにつきましては、障害者の範囲や確認方法等について周知するに当たっての不手際という御指摘をいただいているところでございます。
他方、各行政機関の対応につきましても、報告書におきまして、「原則として」の記載を根拠に、身体障害者の範囲を、手帳等以外の資料によっても確認することが許されていると理解できるはずもなく、仮に不明な点があるのであれば、制度所管省庁である厚生労働省職業安定局に問い合わせるなどして適切に対応すべきであったという厳しい御指摘をいただいているということでございます。
○高橋(千)委員 だから、さっき言ったでしょう、検証委員会を責めているんじゃないんだと。
できるはずもなくと厳しい指摘があったからいいんだではなくて、何でみんなが同じ書きぶりなんですかと言っているんです。何でみんなが同じ、細かい通知の中のこの「原則として」だけに注目しているのか、各省庁が言いわけとして書いているのかと。それは検証委員会が教えたとでも言うんですか。厚労省が教えたんじゃないんですか。ひな形があるんじゃないですか。そう疑わざるを得ないですよ。
お答え、ありますか。
○土生政府参考人 御説明いたします。
今回の検証委員会、これは関係府省連絡会議のもとに設置をされたものでございまして、私ども厚生労働省と内閣官房で事務局を行ったものでございます。
私ども事務局といたしましては、忠実に検証委員会の御指示に従って事務を行ったところでございまして、先生御指摘のようなことは全くなかったということは御報告させていただきたいと思います。
○高橋(千)委員 この部分は、更に今度集中審議をやって検証していただきたい、ちゃんと調べていただきたいと厚労省にお願いしたいと思います。
大臣にぜひ感想を後で伺いたいと思うんですが、資料の3を見ていただきたいんです。これは、不適切計上の多いところからのトップテンです。第一位は国税庁、千百三名。第二位は国土交通省、六百二十九名。森友コンビということではありますけれども。
これは、個別に中身を全部読みました。そうすると、例えば、国交省は六百二十九人の水増しなんだけれども、さかのぼること十年前の障害者リストを後で追加して、足りないから計上したんです。そのために、十年前なので、八十一名が在籍していなかった。しかも、そのうち亡くなった方が三名も入っていた。そのことすらも気づかないで出していた。単なる数合わせとしか言えません。
それから、農水省、五位に入っておりますけれども、視覚障害が百六十名、七三%です。調査書ではこう書いてあります。「平成二十九年度に対象障害者と判断した十一名のうち、七名が視覚障害者であるが、いずれも、人事担当者の周囲にいる者のうち、眼鏡、しぐさ等から視力が悪そうな者から裸眼視力を聴取し、計上していた。」
これは、制度を知らないとかの問題じゃないですよね。明らかに足りない人を見つけてやっている。総務省に至っては、九八%がそうやって裸眼視力の人を計上しているんです。
今、成人で眼鏡やコンタクトをしている人の割合がどのくらいいるかという民間の調査を何種類か見ましたが、七割から八割なんですよ。そういうのでカウントされていたら、本当の障害者は誰も雇っていないに等しいじゃありませんか。そのくらいの事態なんです。どれだけの意味を持っているのかというのをちゃんと見なきゃいけないんです。
うつ病などを内部障害として多数計上、これは概要にもありますが、財務省は、うつ状態になって病気休暇に入ると、医師の診断書を人事当局としても入手するので、うつであることが確認できれば、そこは計上する余地があるだろうと。おかしくないですか。障害者の雇用を進めようと言っているのに、職場で働いてうつになって休んだらカウントしていますと。
経産省は、産業医から指摘をされて、四十五時間以上残業させるなと指摘された。働き過ぎて過労になって、それで障害者雇用率にカウントされている。全く違うでしょう。雇用率を満たしていなければ、周りを見回して眼鏡の人をこっそりカウントしたり、糖尿病やぜんそくやうつ病も、これもみんな内部障害者にされたりとか、これはルールを知らないといった以前の問題です。結局は、障害があっても働きたいという人たちの雇用の機会を奪っていることにもなります。
大臣、改めて率直な感想を聞きたいです。この際、本当に真剣な検証を行うべきだと思いますが。
○根本国務大臣 検証委員会の報告の中でも、先生おっしゃられたように、基本中の基本の確認不足、法令の勝手な解釈、長年引き継がれてきたものとの言いわけが許されるはずもなく、まことにずさんな事務処理、障害者の雇用促進に向けての真摯な努力がなされてきたかにつき甚だ疑問を抱かざるを得ないと、大変厳しい指摘がなされております。これは私もそう思います。
○高橋(千)委員 さっきから言っているように、厳しいか厳しくないかの話じゃないんですよ。これ、やはりさっきも言ったように、独法の機構に厚労省の担当課長が出向して総務部長をやっていて黙認していた、そういう経過を持っているんですよ、厚労省は。それもたった四年前ですよ。そういう立場に立って、厚労省自身が、じゃ、何でこれをずっと見逃してきたのかという立場に立たなきゃいけないということを言っているんです。そのことをきちんと第三者から見てもらうべきだと。
検証会議の報告書が出された直後に、公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議の基本方針が出ています。何で報告書と基本方針が、ばっとすぐ出るんだろう。拙速な気がします。基本方針、なるべく早く出したいという気持ちもよくわかります。だけれども、そのために各省庁が出した採用計画を見ると合点がいきますけれども、しごとサポーター養成講座とか、障害者雇用キーパーソン養成講座とか雇用セミナーなど、基本方針に書かれた、例えば、例えばとこれをコピペしている、各省庁が。本気でやろうと思っているかどうかわかりません。そういうことをやはり指摘しなければならないと思います。
それで、時間がなくなってきました。十二月三日から募集が始まります。人事院の統一試験がどのようなものか。さっき言ったように、ずっと受けていたんだけれども、機会に恵まれなかった、落ち続けてきた人たちもいると思います。本当にそういう人たちに応えたい。あるいは、点字受験とか音声PCとか、特性に応じた配慮がなされるべきだと思います。そういうことも含めて、どのようにやられるのかということを教えていただきたいのと、募集人員は常勤を何人とするのか、教えてください。
○嶋田政府参考人 お答えいたします。
御質問の統一試験につきましては、今回、障害者採用に向けた任用面での対応としまして、通常の競争試験に加えまして、新たに選考採用の枠組みを活用することとしておりまして、その一つとして、人事院が能力検証等の一部を統一的に行うものでございます。
人事院が行いますこの障害者選考試験の内容でございますが、第一次選考の筆記試験といたしまして、高卒程度の基礎能力試験及び作文試験を行うものでございます。その後、第二次選考としまして、各府省の採用予定機関におきまして、それぞれ個別の面接等を行うものとしております。
この障害者選考試験は、常勤職員として採用するためのものでございまして、募集人員につきましては、現在、各府省の採用予定数を集計しておりまして、集計結果はまとまり次第公表する予定でございます。
また、御質問のございました試験時の配慮につきましては、申込時に、配慮を必要とするものがございましたら記入をしてほしいということにしておりまして、現場でできる限りの対応をしてまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 一言で終わります。
先ほど高木委員も指摘をされたと思うんですが、採用に当たって、何年もかかって水増ししてきたものを二年で取り戻そうとすれば、必ずそれでひずみが起きて、また大量の離職者が出たりします。本当に障害者が働きやすい職場をつくるためにも、そこは丁寧な対応が必要だということで、また続けての機会をいただきたいと思います。
終わります。
――資料――