日本共産党の高橋ちづ子議員は、二十二日の衆院厚生労働委員会で、待機児の急増など保育所不足が深刻化している問題で、保育への公的責任を後退させてきた政府の責任を厳しく追及しました。
高橋氏は、その背景として、二〇〇七―〇八年の間に、私立保育所が三百三十六増えたが公立は二百七十五減り、全体で0・3%しか増えなかったことを指摘。公立保育所の運営費の一般財源化など、政府の施策を批判しました。
また、政府が進める保育制度「改革」のなかで、児童福祉法で定められた「市町村の保育実施義務」をなくすかどうかが焦点となっていると述べ、「保護者のよりどころがなくなる。基本を変えるべきではない」と強く求めました。舛添要一厚労相は「市町村の責務が後退しないことが前提だ」と答えました。
高橋氏は、制度「改革」で市町村が保育の必要量を認定するとされていることについて、▽細切れ雇用の労働者などは必要量が低く認定されないか▽サービス量の上限が決められ超過分は自己負担となったり、必要量の多い人ほど負担が重くなる―などの懸念を挙げ「これでは介護保険のように『保険あってサービスなし』になりかねない」と指摘しました。
厚労省の村木厚子雇用均等・児童家庭局長は「フルタイムでも短時間雇用でも保育が必要なら供給されるようにしたい」「子どもの生活の連続性も考え、保育の必要量を適切に認定したい」と述べつつ、「具体的にはこれからの検討だ」と答えました。
(2009年4月23日(木)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょうは、保育の問題で質問したいと思います。
今日の雇用失業情勢の中で、フルタイムで働きたい、仕事を見つけなければならないのに、子供を預かってくれる保育所がないと悲鳴が上がっております。例えば、昨年から何度も申し込んでいるけれども不承諾となり、幾ら待てば入れるんですかと聞いたら、限りなくゼロに近いでしょうと言われた文京区のお母さん、一歳と五歳の子供を家に置いたまま働いていますという大阪のお母さん。川崎市でことし不承諾とされた児童は二千三百二十四人にも上るといいます。厚労省の調査では、保育所待機児童数は五年ぶりに増加し、約二万人。認可保育所を申し込み、やむなく他の制度を利用している児童も入れると四万人を超えています。
しかし、昨年秋以降、事態はさらに悪化し、待機児童も急増していると思われますが、どのような認識をされていますか。また、どのように対策を打つのか、伺います。
○村木政府参考人 従来から、待機児童の問題は保育の行政にとって非常に重要な問題というふうに考えております。とりわけ、昨今の経済情勢の変化の中で待機児童が増加をしているというふうに私どもも承知をしております。実際の数字そのものは、四月一日現在の数字をとらなければいけないわけで、これはまだ上がっておりませんが、待機児童が大変増加をしているというふうに認識しております。
新待機児童ゼロ作戦において、保育の供給をふやすということで一生懸命やってきているわけでございます。とりわけ、昨年度の第二次補正予算で、安心こども基金を積みまして、平成二十二年までの間に保育の定員を十五万人ふやしていくというようなこと、それから、特に足元、即効性のある対策が必要ということで、例えば、既存の施設を借り上げでやるとか、保育ママの制度を活用するとか、あるいは小さい分園型のものを活用するとか、そういった即効性のある対策も含めて、できるだけ待機児童を減らすように努力をしたい、大事な課題だというふうに思っているところでございます。
〔委員長退席、上川委員長代理着席〕
○高橋委員 今、安心こども基金、三年間で十五万人を対象にしようということを御紹介いただいたと思うんですけれども、その十五万人という数字は、まさに小泉内閣が、三年間で、〇四年に十五万人を受け入れるのだという待機児童ゼロ作戦をぶち上げた、こういう経緯がございました。しかし、そのために保育所を一体どれだけつくってこられたでしょうか。七千人待機者が減っただけだというのが厚労省のまとめではなかったかと思います。定員を一二五%まで水増しして受け入れたことや保育所民営化を進めてきた、こういう中身であったと思います。
〇七年から〇八年までの一年間で、二百七十五の公立保育所が減り、私立保育所が三百三十六ふえました。保育所の数はわずか〇・三%ふえ、定員が〇・七%ふえたにすぎません。きちんと必要な保育所を整備してこなかったツケが今一気に噴き出したと言えるのではないでしょうか。
○村木政府参考人 保育所の定員の増加、保育所の整備、先生おっしゃるとおり、これは非常に大事だろうというふうに思っております。
平成十四年四月から平成二十年四月までの六年間の数字でございますが、保育所数については六百四十一カ所の増、それから定員でございますが、これは既存の保育所の定員増を伴う増改築も含めまして十六万三千人の増ということで、保育所の整備を計画的に行うということで一生懸命やってきたつもりでございます。
しかしながら、やはりお子さんがいても働きたいという女性も大変ふえております。それから、私どもの一つ非常に反省点をいえば、今の保育所の数に来年はどれだけ、何%ふやせるか、こういうことで一生懸命予算をふやす努力はしてまいりましたが、逆に、本当に働きたいお母さんがどれだけいて、そのニーズを全部満たせばどれぐらいの保育所が必要なのかというところをしっかりと数字で見ながらそれに向けて計画を立てていくということが、財政事情が厳しい中でなかなかできておりませんでしたので、どうしても追いかけっこをする、保育所はふやすけれども、さらに利用者のお子さんがふえるというような状況でやってきたんだろうと思います。
そういう意味で、新待機児童ゼロ作戦は、今のお父さん、お母さん方の就労の希望も聞き、それに必要な保育所が大体どれぐらいあるんだろうかという数字も見ながらゼロ作戦を策定し、そしてそれにできるだけ早く近づこうということで、平成二十二年度までを集中重点期間ということで、不十分かもしれませんが、十五万人分の保育所の整備ということを目標としたところでございます。
この目標をきちんと達成して、さらに、新待機児童ゼロ作戦が掲げている最終目標まで行けるように、しっかり努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○高橋委員 四月の初めに、厚労省の調査で、保育所を使いたいという潜在待機児童は八十五万人という数字が紹介されたと思います。
こうした問題は、今率直なお話があったと思いますけれども、保育所の定義を非常に狭めて、二万何がし程度しかいないのだよと言ってきた、これまでの見方そのものもやはり問題だったのではないかということを今指摘させていただきたいと思います。
例えば、今、全国で待機児童ワーストワンという地位に甘んじている仙台市でありますけれども、待機児童が七百四十人、認可保育所を待機している児童数でいうと千三百九十八人がいて、緊急対策として、三十五億円規模の予算で、私立保育所を十カ所程度、千八十人分整備をするとしております。そのほかは、現在の保育所の増床あるいは定員枠の拡大、それから、テレビでも紹介されましたけれども、せんだい保育室と言われる、東京都の認証保育所のような、市が認可をしている保育所をふやすことで対応するとしております。
ただ、いかんせん、やはりこれまでずっとやってこなかったことが急に対策ということでありますので、例えば社会福祉法人の施設長さんなどは、土地を借りられたとしても新たにつくるのは財政的に大変厳しいとおっしゃっている。あるいは、せんだい保育室、家庭的な雰囲気で頑張っておられる方はたくさんいらっしゃいます。だけれども、保育料が一律で高いため、あきがあっても希望者が来ない。あるいは、入所しても待機をしていて、認可があけばすぐそちらに回るということで、受け皿としては矛盾を抱えているというのが現実だと思います。
そうした中で、仙台市は、公立保育所を十年間で四割、二十カ所も民営化すると言っているわけですね。そうすると、やはり、ふえてくるという見通しがほとんど見えてこないのが現状ではないかと思うんです。
これは全体に言えることで、公立保育所の運営費を三位一体改革で一般財源化し、財政が厳しい地方自治体が、民営化にしたり、あるいは職員の四割、五割をパート職員で補うなど、公的保育を後退させてきたことに最大の要因があると思いますけれども、いかがでしょうか。
○村木政府参考人 児童福祉法上の考え方でいきますと、認可保育所につきましては、公立、私立を問わず、児童福祉法に定める最低基準を遵守していただけるというものでございますので、そういう意味では、公立、私立双方とも、基本的な保育の質が担保されているということだろうと思います。市町村については、こういう認可保育所を整備して保育需要を満たしていただくということが必要なわけでございます。
その中で、公立の保育所をどういうふうに考えていくかということでございます。
よく言われますのは、公立保育所については、例えば、障害児の保育をしっかりやるとか、相談支援がきちんとできるのはやはり公立の保育所ではないかというような御意見がございます。また一方で、いささか辛口になるかもしれませんが、休日保育や病児・病後児保育などの実施率は私立の保育所の方がかなり高いというようなこともあります。それぞれの地域でそれぞれ役割分担をして、公立、私立一緒になって地域の保育需要を満たしていただいているんだろうというふうに思います。
その意味では、保育の実施責任が市町村にかかっております。地域の実情、それからもともとの公立保育所、私立保育所の分布状況、さまざまなことを御勘案いただいて、それぞれの市町村で適切に御判断をいただくということが必要だろうと思います。
財政の問題も含めて、一般財源化のことについては考え方を申し上げにくいところもございますのであえて申し上げませんが、いずれにしろ、市町村が、よりよい保育の提供という観点で、地域の実情を踏まえて保育の実施責任を果たす、その市町村をお助けしていくのが私どもの政策のポイントだというふうに考えておりますので、そういった観点で、引き続き国としての政策のあり方を検討していきたいというふうに考えております。
〔上川委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋委員 今のお答えにくかった一般財源のところを避けて、公立も民間も最低基準が担保されるのだからというのでは済まない事態がやはり起こっているのではないか。地方の財政は厳しい、そういう中で一般財源にされているんだということは、やはり起こっている状況というのは直視をするべきであろう。本当に今、待機児童ゼロ作戦を新でやっていこうとするのであれば、ここに声を上げていく必要があるのだろうということを重ねて指摘をしたいと思うんです。
さて次に、そういう中で強い関心を呼んでいるのが保育制度改革である。
大臣に伺いたいと思うんですけれども、二月二十四日、資料の一にあるように、新たな保育の仕組みを検討してきた少子化対策特別部会の第一次報告書が出されました。
私たちの最大の関心は、今、実は局長がおっしゃられた市町村の実施事務のところなんですけれども、児童福祉法第二十四条、市町村の保育の実施事務、これがなくなるということが最大の関心であります。今でさえ、待機の問題などをいえば、市町村が実施事務を十分果たしているとは言えない状況であります。しかし、これを取り払ってしまうと、いよいよ保護者たちのよりどころがなくなってしまうわけで、この基本は変えるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
○舛添国務大臣 この報告書にありますように、矢印を書いて明記してあると思いますけれども、この報告書のポイントは、今の点についていうと、市町村の公的責任を後退させない、そういう仕組みをどうするか。それから、保育を必要とする子供たちに、質が確保されていないといけない、質の確保をされた公的保育は必ず保障されること。そして、当然その前提として、子供の健やかな育ちを第一に考えること。これが一貫している発想であります。
いずれにしましても、今委員が御懸念のような、市町村の責務が後退しないことを前提にして、さらなる保育制度の充実強化に取り組むということだ、そういうふうに御理解いただければと思います。
○高橋委員 そうであればいいのですが、現実がどうなっていくのかということを少し詳しくお話ししていきたいと思うんです。
この資料の右側に、新たな保育の仕組みということが書いてありますけれども、市町村が保育の必要性・量、優先的利用確保の要否を認定するとある。この認定とは、具体的にどういうことか、どういう基準なのか。そして、例外ない保育保障、認定を受けた子供には公的保育を受けることができる地位を付与とありますけれども、例外ない保育保障とはどういうことか。
○村木政府参考人 まず、保育の認定の問題でございます。
詳細はこれから決定をすることになりますが、例えば、親が働いている、あるいは親が病気で子供の保育ができない、あるいは求職中である、さまざまな理由がございます。この保育の必要性について、客観的な基準でまず市町村が、このお子さんは保育が必要かどうかということをきちんと、お墨つきを与えると言うとちょっと変な言い方になりますが、保育が必要な子だと決めるということでございます。
基本的な考え方としまして、今までは市町村は、保育の実施義務はございましたが、保育所が足りなければ、足りない分については認可外の保育所を紹介するというようなことでも足りるということで、かなり大きな例外があった。その例外があったことが待機児童をたくさん生んでいるということでございます。
そういった意味で、これからの仕組みの中では、保育が必要だと判断をされた子供については、その必要量を満たす保育を自治体が提供できるように、その提供体制の確保の責任も市町村に負っていただく、そして利用支援の責務も負っていただくということ、それからまた費用負担も市町村の責務として負っていただく、こういう考え方で制度を設計したいというのが一次報告の考え方でございます。
○高橋委員 お墨つきを与えるということと利用ができるということは、やはり別なのではないかということなんですね。特別部会の報告を読みますと、確かに、制度が例外を認めているから、結局、財政的理由により基盤整備がおくれていると保育を受けられなくても仕方ない、そういう議論になってしまうじゃないか。だから、言われているのは、医療、介護、障害者の仕組みのように、いわゆるだれもが受給する権利を付与すればいいのだと言っているわけです。だけれども、もしこうなると、保険あって介護なしの保育版になりかねないのではないか、こういうことを指摘しなければならないと思うんです。
その基準というのがまだ決まっていないということでしたので、少しイメージでお話をしてみたいと思うんですけれども、資料の二枚目に仙台市の優先入所基準がございます。他県でも、例えば神奈川なんかでも見せてもらいましたけれども、仙台は点数だけれども、A、B、Cになっているとか、それぞれ違いは若干あるけれども、大体考え方は同じ。働いている方で、週五日以上就労し、しかも七時間以上働いていると十点、週四日就労し四時間以上であると五点というように、ここで大きく差が開きます。例えば、パートは五点、求職中は三点、介護をしている人はその介護をしている相手の要介護度によって十点から六点というように差をつけられています。
そうすると、今待機がいるんだから一定の順位をつける必要があるのだと言うかもしれないけれども、初めから順位が決められて入れないという状況が生まれているわけです。そうすると、今ふえているのは、本当に細切れの雇用、二カ月単位で契約になっていますよとか、一人親が多いですよ、うつ病が多いですよ、そう施設長さんは訴えているんです。だけれども、そういう人たちがなかなか、これは点数になっていくとうまくいかない。
また逆に、これが介護保険の仕組みと同じようになれば、だったらその必要に応じて保育の必要量を決めましょうとなる。週二日働く人は週二日受ければいいでしょう、例えばこんな考え方になったとしたらどうなるか。上限が決められて、それ以上、私は仕事を探したいから毎日預けたい、そうなった分、上回る分は自己負担を求めるのでしょうか。あるいは、必要量が多い、毎日働いています、そうすると、その分が多いほど保育料にはね返るのでしょうか。
そういう仕組みになっては根本は崩れてしまうと思いますが、いかがでしょうか。
○村木政府参考人 先生がお示しくださいましたこの例は、割と多くの自治体で使用されている、点数をつける形の選考基準だというふうに思います。
これから将来、日本の保育の提供システムがこうあらねばならないという、少し理想形というか最終形の考え方で申し上げると、例えば、フルタイムだから保育が必要で、パートでしか働けない人は必要度が低い、あるいは、二、三カ月の雇用しかないので求職活動を一生懸命する、その求職活動中は保育の必要度が低いということではなくて、フルタイマーでも短時間雇用でも、早朝や夜間に保育を必要とする方でも、求職中、それから、おじいさん、おばあさんがいて子供を見られるという状況であっても、保育の必要性については、基本的にこういうお子さんは保育が必要だというふうに考えて、それをニーズとして保育の供給を考えていこうというのが今度の考え方でございます。
今このように点数が細かくついているというのは、実は、入れない人がいるので、一点、二点の差でどこかで線を引かなければいけないという状況があるがゆえの仕組みでもあるわけでございますので、そういう意味で、保育が必要なお子さんの範囲をもう少し広く、そして明確にしていく中で、それに応じた供給をつくっていこうということでございます。
そのためには、やはりニーズに合って供給がふえる、きちんとふえていく仕組みというのをきちんとつくっていかなければならないというふうに思っております。
それから、新システムに行く前に、さっき介護の、保険あってサービスなしという例を引かれましたが、保育が同じようなことになってはならないわけでございますので、何らかの形でこの緊急整備の期間を置いてつくって、それだけの財源を投入して整備を図って、供給量をきちんとふやして新しいシステムに移っていくという状況をつくり出したいというふうに考えているところでございます。
それで、例えば、一日とか二日しか保育を利用されない、パートで週に一日だけ働きます、二日だけ働きますというような御家庭をどうするかということで、これは具体的にはもう少し細部の詰めをしなければいけませんが、基本的に、やはり働く時間や通勤時間を勘案して保育の必要量というのは考えていくと思いますが、それだけではなくて、お子さんが保育所という集団の中で、一日の中でどういう保育を受けるかということ、それから、小学校へ上がる前の幼児教育の場でもあるわけですから、そこでどういうふうに発達を支援していくのかというような、子供の側の生活の連続性、それをしっかりと考えた形で適切な保育が行えるような保育量ということも大事な観点だと思っておりますので、それらをあわせて、保育の必要量の判断をどの程度のものにするか、例えば二区分でいいのか、三区分ぐらい要るのかどうなのかというようなことをこれからしっかり検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○高橋委員 フルでも短期でも使えるようにという立場は大事なんですけれども、問題は、先ほど指摘をしたように、利用量が決められるということは、そうなってはならないという言葉をぜひ採用させていただきたいなと思っております。そうでなければ、朝早く来る子供と昼から来る子供とたまにしか来ない子供というのでは、保育計画も全くばらばらでとても組めないし、本当に子供の発達という点においても大きな障害があるだろうと思っております。
とても時間がなくなってしまいまして全部が言えなかったんですけれども、あともう一つ、規制改革会議が非常に強調している直接契約制度の導入、これについてどのように考えているのか。まさか保護者みずから幾つもの保育所を訪ね歩けということなのか、生活保護世帯や低所得世帯が入ることができないのではないかということが不安になっておりますけれども、その点についていかがでしょうか。
○村木政府参考人 直接契約という言葉はさまざまな意味があって、場合によってはマーケットで相対の関係で自由に契約を結ぶというようなことを想定してお話をされるケースもあるのでございますが、この一次報告にあります直接契約は、国や市町村が責任を持って公的な保育を提供する、その枠組みの中で利用者と保育所も当事者同士として契約をきちんと結んでいただくという考え方でございます。したがいまして、例えば、所得が多い少ない、障害があるないということで保育所が不適切な選別を行うとか、それから、母子家庭や虐待事例のようなとりわけ優先的に利用が確保されるべきケース、そういったものが排除をされるということがあってはならない、そういうことがない仕組みをつくりたいというふうに考えております。
したがいまして、例えば、正当な理由なく子供の受け入れを拒んではならないという応諾義務ですとか、母子家庭や虐待事例等の子供の優先受け入れの義務といったようなことを課すとともに、公正な選考が保障される仕組み、それから、例えば、確かに供給量がまだ足りない状況、そういう状況をなくしたいわけですが、足りない状況でございますとか、あるいは、どうしても非常に地域性の強いサービスですので、人気のある保育所とない保育所というものの格差が出てしまうということは起こり得ることですので、そこの利用調整を市町村がきちんとバックアップできる仕組み。それから、さらに申しますと、虐待等の場合で、親御さんは保育所を利用したくないと思っていらっしゃるようなケースについて、利用を勧奨していく、親の意思決定を補佐していくというようなことも含めて、公的関与がしっかりできる仕組みを一次報告でも提案してございますし、さらに、これからの具体案の検討のところで、そういったところについて特に配慮して制度をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。
○高橋委員 保育所を保護者が選べるようになりますよと言っておきながら、実は選ばれるのは保護者であったということがないようにお願いしたいと思います。
終わります。