国会質問

質問日:2009年 6月 12日 第171国会 厚生労働委員会

育児介護休業法

労基法 解雇制限期間見直せ

 日本共産党の高橋ちづ子議員は12日の厚生労働委員会で、雇用悪化のもと、育児・出産休業をとると解雇される「育休切り」「産休切り」が急増している問題を取り上げました。
 産前産後とその直後の30日は「解雇できない」と労働基準法19条で厳密な罰則規定があります。高橋氏は、妊娠を告げた時点で多くの労働者が解雇を告げられていると指摘。過重な労働で切迫流産しそうになり、退職に追い込まれた労働者の例を示しながら、「解雇制限期間の前も含め、労基法の及ぶ範囲を見直すべきではないか」と質問しました。
 舛添要一厚労相は、「個々のケースをどう救済していくか、ILO(国際労働機関)条約その他の精神にのっとって検討していきたい」と答えました。
 高橋氏は、「育休切り」などが横行する背景には、「女性の2人に1人は非正規雇用という働き方がある」として、政府の認識を問いました。厚労省の村木厚子雇用均等・児童家庭局長は、「雇用情勢の悪化のなか、非常に弱い立場の方から解雇されやすい。非正規の人たちに問題がより強くでる」と述べました。
 また高橋氏は、公務の非常勤労働者には、育児休業の取得資格がないことを指摘。通算で5年を超えて働く「公務パート」が看護師で7割、保育士で6割を超えるなどの実態を示し、地方公務員の介護休業や看護休暇は、民間を対象とする育児・介護休業法にのっとって実施されていることからも「同じ仕事をしている非常勤労働者が適用除外になるのはおかしい」とただしました。舛添厚労相は、この問題は、国会として「党派を超えての課題として取り組んでいきたい」とこたえました。

育児・介護休業法改正案 、衆院厚労委で可決

 3歳未満の子どもをもつ労働者の短時間勤務制度や残業免除制度を企業に義務付ける育児・介護休業法改正案が12日の衆院厚生労働委員会で全会一致で可決されました。
 採決に先立って、日本共産党は修正案を提出しました。修正案の主な柱は、▽育児休業給付(暫定措置として現在50%)と介護休業給付(現行40%)の給付率を60%に引き上げる▽育児休業中の労働者、事業主に対する健康保険料、厚生年金保険料の免除規定を介護休業にも適用する―などです。
 趣旨説明を行った日本共産党の高橋ちづ子議員は「雇用情勢悪化のもとで、仕事・子育て・家族介護の両立を進めようとするなら経済的な下支えが必要だ」と強調しました。
 日本共産党の修正案は、否決されましたが、全会一致で採択された修正案の付帯決議には、日本共産党が求めてきた「育児休業中の労働者に対する経済的支援の充実について、速やかに検討すること」との文言が盛り込まれました。

(2009年6月13日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、本来なら村木局長に答弁を求めるのがふさわしいのかどうか大変悩みました。障害者団体向け郵便料金割引制度の悪用事件で局長は渦中の方であり、これまで参議院の質疑などでは所管外であるとして答弁をされませんでした。しかし、昨日の新聞各紙では、偽造された証明書を当時の課長、つまり、村木局長に直接渡したことを逮捕された係長が供述していることが報道されました。現在、障害者団体へ詳細な調査がされているようですが、この事件のとばっちりで、まじめに頑張っている団体の活動が影響を受けるようなことがあってはなりません。

 きょうは、重要な育児・介護休業法が議題となっているため、このことについては質問はしませんが、委員長にお願いいたします。

 後日、当時の障害保健福祉部長である塩田幸雄現福祉医療機構理事を本委員会に参考人招致し、集中審議を行うようお取り計らいを要求いたします。

○田村委員長 理事会で協議をいたします。

○高橋委員 それでは、質問に入ります。簡潔にお答えください。

 育児休業では、厚生年金、健康保険の保険料が事業主、労働者負担ともに免除をされますが、介護休業にはありません。収入も著しく減る中、同様に減免措置を設けるべきと思いますが、いかがでしょうか。

○渡辺政府参考人 お答えを申し上げます。

 負担に応じて給付を行うというのが社会保険の原則でございます。年金制度における育児休業期間中の保険料免除の取り扱いは、将来の年金制度の支え手となる次世代の育成支援という観点から、保険料財源全体が負担することにより行われているものでございます。

 一方、育児以外にも、御指摘の家族を介護する場合のほか、本人や家族の病気や事故で看護する場合など、さまざまな理由で休業せざるを得ないケースがございますが、そうした休業、なかんずく介護の休業でございますが、年金制度の支え手を支援するという育児休業と、やはり年金制度から見た場合の位置づけというのは異ならざるを得ないのではないかというのが、かねて来、審議会における議論でも、求める御意見もあるんですが、位置づけとしては違うねということが共通認識となって今日に来ておるものと考えております。

 したがいまして、御指摘ではございますが、介護休業期間中について、育児休業期間中の社会保険料の扱いと同様の処理をすることは困難であると考えております。

○高橋委員 審議会でも議論があったというお話でしたけれども、ちょっと今の答弁では納得がいかないわけですよ。

 つまり、年金の将来の支え手を支援する、そういう考え方からいったら次世代育成とこれは違うんだと言っていますけれども、先ほど来お話があるように、家族介護のために、今働き盛りの人たちが四十五万人も職場を去っていくという状態なわけです。そのことを考えれば、その方たちが、介護もするけれども、やめずに働き続け、年金の支え手となっていく、このことがまさに合理的な理由になるのではないでしょうか。事業主にもメリットがあります。減免になるわけですから、理解が得られやすいと思います。

 そもそも、なぜ介護休業は三カ月だけなのでしょうか。実際には、厚労省の調査でも、三カ月から半年未満が一番多くて四割もいるわけですけれども、なぜでしょうか。

○村木政府参考人 御指摘のとおり、介護休業について、最も多い取得というのは三カ月から六カ月というところでございます。

 ただ、私どもが法律の制度をつくるときには、労働者が仕事を休んで介護をすることをベースにすることではなく、仕事を続けられるような形で何とか介護を乗り越えていくということで、長期の介護の体制が整うまでの間、みずから介護をせざるを得ない期間だけを法律の最低限の期間として定めたということで、当初三カ月、今九十三日ということでございますが、そういう制度になったものでございます。

○高橋委員 ですから、実はその三カ月というのは、だれしも三カ月で介護は終わらないよねと思うわけですけれども、今お話があったように、厚労省の説明は、介護を要する家族を抱えた労働者が雇用を維持していくために、家族の介護に関する長期的方針を決めるための期間とされているわけです。つまり、三カ月たったら職場に復帰をして、介護のサービス、居宅や施設などさまざまなサービスを利用しながら、今回は突発的な場合に備えて五日間の介護休暇を新設したわけですけれども、そうやってやっていけるだろうという制度設計であると。しかし、それがそうはなっていないということは、もう先ほど来の議論で明らかなわけですよね。前に私、一度質問しておりますけれども、同居家族がいるだけで生活援助サービスが受けられなかったり、そもそも施設が少ないこと、居宅サービスを全部受けても不十分、あるいは経済的な理由で上限まで使えない、そういう介護保険制度そのものの矛盾を変えなければなりません。

 まず、すぐできることを考えるとすれば、とりあえず、三カ月終わった後に、代替措置である短時間勤務ですとか、そういうことを休業を終わっても少しずつとれるようにしていく、それから介護休暇の性質を子の看護休暇に似たものにしていく、こういう考え方もこれありと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

○村木政府参考人 介護についても短時間勤務の措置を、三カ月、九十三日を超えて、その後にそういう制度が設けられないかということが一つかと思います。

 今回、休業期間を長くできないかとか、そのほかに制度をもう少し充実できないかということは、審議会の中でも確かにございました。ただ、まず今回、真っ先に介護に関して今必要性が高いものは何だろうかということを議論した結果として、非常に長い期間の介護に対応するために、どこかで介護をやっていただいていたとしても、その手がたまたま足りなくなるとき、あるいは施設といろいろな御相談をする、お医者様といろいろな相談をする、そういうことに関しての休暇をとるということが非常に効果があるのではないかということで、今回の措置になったところでございます。もちろん、企業の努力等によって、充実した政策というのは非常に大事だとは認識しております。

○高橋委員 経済的支援とあわせて、こうした制度設計について、さらに前進するように検討していただきたい、これは要望にとどめたいと思います。

 次に、今日焦眉の課題であるいわゆる育休切りについてなんですけれども、昨年度のデータは、育児休業に係る不利益取り扱いが千二百六十二件、妊娠、出産などを理由とした解雇等不利益取り扱いは二千三十件、いずれも五年間で二・三から二・四倍にふえております。

 例えば、きょうは、名誉のためにではありませんが、宮城労働局雇用均等室の相談の解決事例を少し紹介したいと思います。

 一つは、妊娠のため内勤に変更を希望したら、業績悪化を理由に退職を迫られ、いじめられた。これは、謝罪もさせて育休をとらせました。二つ目、産休前に自己都合退職せよ、期間前に復職しなければだめと言われたが、指導により契約更新できました。三つ目、育児休業を切り上げて復帰せよ、でなければ契約打ち切りという会社に対し、本人が雇用均等室に相談していると毅然と通告をしたために、きちんと育休をとり、もとの席をあけておくと言ってもらえた。四つ目、産休中に会社が閉鎖したが、指導により育休後関連会社に復帰を果たした事例がございます。

 これは全体の中ではまだまだ少ない事例なんですが、やる気になればできるというお話です。

 最大のものは、やはり事業主の法律への理解不足ということです。例えば、措置義務の一つである短時間勤務。短時間勤務にさせてくださいと言ったらパートにすればいいんだと思い込んでいるとか。今言った内勤希望もそうなんです。あるいは、小規模な事業所で育休までとられたら代替も見つからない、だからやめてくれと。でも、そうじゃないんだ、休業給付もあるし、それは事業主負担がないし、あるいは各種助成金制度があるよということをちゃんとアドバイスすれば、わかったということで育休がとれた、こういう事例もございます。

 そこで、先ほど来、書面の話がございましたが、これはもちろんやっていただくということでよろしいと思うんですが、そもそも、育児休業などの規定を就業規則に盛り込んでいる事業所が六割程度であるということ。〇四年改正の有期労働者についてはさらに低いと思いますが、どうでしょうか。まずは規定をきちんと書き込ませる指導を徹底することが不可欠と思いますが、いかがでしょうか。

○村木政府参考人 御指摘のとおり、規定がある事業所の割合は六一・六%でございますが、特に、有期契約労働者について規定を定めている事業所は四六・四%にとどまっております。トラブルを解決するためにも、まず規定をつくらせるというのが一番基本だというふうに私どもも思っておりますので、ぜひこれはしっかりやっていきたいと思います。

 今も大変少ない人数で均等室はやっておりますが、計画的に事業所に出向いていって規定の整備状況を把握して、整備をされていなければ指導するということをやっておりますので、一層力を入れてやっていきたいというふうに思います。

○高橋委員 有期に至っては四六・四%であるということでありました。

 きょうはちょっと時間の関係で質問ができないのですけれども、今後、不利益取り扱いに対して調停などの任務もあるわけです。しかし、均等室というところはやはり権限が労働基準官とは違うわけであります。この点については、大臣に強く要望しておきたい。権限の強化をしなければ、やはりこれ以上のことは幾ら言ったってできないのです。そこをしっかりやっていただきたい。

 それから、宮城の例でさっき紹介しましたが、きょうはいっぱい部屋にいるなと思ったら、たった五人が常勤の方で、その倍以上が週一回か二回出てくる非常勤の方でありました。こういう中で何とかやっているということも考えれば、体制の強化、ましてブロック制などということは絶対あってはならないということを指摘しておきたいと思います。

 さて、今度は基準局に聞きたいのですけれども、産前産後休暇と直後の三十日については、労働基準法第十九条で解雇できないと明確に書かれています。労基法は、その違反に対し刑罰のある強力なものであり、強制力があります。この十九条違反に当たる解雇事例がこの間どの程度あったでしょうか。

 私は、前回の質問で、異常出産が多いこと、母性保護の重要性について質問しました。労基法も、今や保護規定があるのは妊産婦だけであります。なぜ解雇できない期間を八週間プラス三十日としているのでしょうか。この枠をもう少し広げ、法的強制力を持たせる考えはないでしょうか。

○金子政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からは二点御質問があったと思います。一つは、労働基準法第十九条によります解雇制限、これについての違反の状況ということでございます。まず、こちらについてお答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、労働基準法第十九条第一項におきましては、労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する期間、すなわち労災で休業している期間でございます、その期間とその後の三十日間、それにもう一つカテゴリーがございまして、産前産後の女性が労働基準法六十五条の規定により休業する期間、これは産前については六週間、産後については八週間でございますが、それに加えてその後の三十日は解雇してはならないということで、大変強い解雇に対する規制がかかっております。

 これに対する違反でございますが、実は二つのカテゴリーを両方足し合わせたものしか今私ども把握しておりませんけれども、平成十七年、十八年、十九年について、それぞれ二十九件、二十六件、二十五件こうした法違反が認められましたので、労働基準監督機関において是正をしたところでございます。

 それからもう一点でございますが、この三十日間というのをもう少し広げることができないのかというお尋ねであったかと思います。

 この産前産後の期間につきましては、いわば働く方が絶対的に労働ができないような状態でございます。こうした状態の後、さらに体の状態が休業前の状態にまで戻る期間、そういういわば回復期間として三十日間の解雇を禁止しているというのが立法趣旨であるというふうに承知をしているところでございます。

 少し延ばすことができないのかという点でございますが、今申し上げましたように、労働者の身体状態が回復していない中で解雇いたしますと労働者の生活が極めて脅かされるというようなことで、最低限の保障といたしまして、このような厳しい規制を罰則をもってかけているところでございます。

 立法趣旨がこうしたようなことでございますので、このような立法趣旨からいたしますと、私どもとしては、現在、さらにこの制限を超えて延長するという状況にはないのではないか、このように考えているところでございます。

○高橋委員 この点は少し大臣に伺いたいと思うんですね。

 休暇をとってから復帰して順々に体調が戻る期間、これが三十日間であると。しかし、これは、妊婦も、一般の労働者のいわゆる傷病後の復帰も、全部三十日なわけですよね。そうすると、実態がどうかということはもうずっと手がつけられていないわけです。それを少し考えた方がいいと思う。

 だって、今回の事例も、妊娠を告げた途端にやめてくれと言われている。そうすると、まだ産休に入っていませんのでこれは民事ですねという話になっちゃうわけです。だけれども、例えば、それでも同じように夜勤をやって切迫流産になった方もいました。週に三日休む、そうしたら、気分が悪いような顔をするなとか、やめた暁には、すぐ妊娠するような人を採ったのが間違いだった、そう言われたりしているということなんです。そうすると、切迫流産までするような状態は、それはもういわゆる傷病休暇と同じでもいいのじゃないかということもあるわけです。

 そういう状況にかんがみて、少し検討されたらいかがでしょうか。

○舛添国務大臣 今、労働基準局長から答弁がありましたように、これは罰則をもって強制的に一定の解雇を制限する条項でありますから、そういう意味では、最低限のミニマムがここであるということだと思います。

 だから、これ以上法的な網をかけるよりも、むしろ、おっしゃるようなケースの場合に、まともな経営者だったらそういうことは言わないはずなので、それはもう企業の社会的責任であり、人を大事にしないそういう企業は将来的に伸びないと思いますけれども、いずれにしても、そういう問題点があるということ、それで、そういう個々のケースについてこれからどういう形で救済していくか。先ほど申し上げたように一律に法律の網をかけるというのは若干難しかろうと思いますけれども、それは検討課題として、ILO条約その他の精神にものっとって考えてみたいと思います。

○高橋委員 これはきょうひとつ芽出しですので、検討していただきたいと思います。

 すぐに可能性があるんじゃないかなと思うのは、例えば、産後八週間就業制限がかかっていますけれども、本人のいろいろな事情や会社の事情を考慮して六週間で復帰した場合、この方たちも六週間プラス三十日しか規制がかからないわけですね。そういうのも八週間で見てあげたらいいんじゃないかというのは、もう七八年の研究会で指摘があったことであります。こうしたことをまず考えてみるということを御提案させていただきたいと思います。

 少しはしょります。

 一言でお答えください。今の女性の二人に一人は非正規雇用という働き方が、妊娠、出産を理由とした解雇や退職強要を許している背景にかなりあるという認識をお持ちでしょうか。

○村木政府参考人 恐れ入ります。質問の御趣旨は、今の非正規化がこういった解雇等の原因になっているかどうかということでよろしゅうございますでしょうか。

○高橋委員 いわゆる育休切りの中に有期労働者の事例が大変多い。私が仄聞したのは、四割なり七割ということがございます。まさにこれがかなりの要因になっている。いかがでしょうか。

○村木政府参考人 非正規が多いところが育休切りの直接の要因になっているかどうかというところはなかなかお答えしにくいところがありますが、私どもが地方の均等室でいろいろ指導している中で実感をしておりますのは、雇用情勢が悪いとき等々について、やはり非常に弱い立場の人たちから解雇をされやすいということでございます。そういった意味では、非正規の人たちにそういった問題がより強く出るということはあろうかというふうに実感をしているところでございます。

○高橋委員 まさしく弱い立場の人から、契約が切れていますよ、満了ですよという形で今雇いどめが起こっているということがまず一つの認識としてあるのではないか。ここがまず一つ問題だと思うんですね。

 それで、きょうは、ちょっと期間労働者の育児休業の問題についてもう少し踏み込んでお話ししたいと思うんです。

 資料の一枚目に、厚労省の資料ですけれども、「期間雇用者が育児休業をすることができるかの判断フローチャート」というものがございます。「期間を定めて雇用されている」、それが、そうなっている、なっていないという形でずんずん分かれていくんですが、敗者復活戦のように、期間が定まっていても、しかし引き続き一年以上雇用されている場合とか、あるいは実態を見て、実際はずっと雇用されている、そういうのが明らかであれば育児休業の対象になる、こういうことをいっているんだと思うんです。

 法改正当時、十万人育休受給者があるとすれば期間従業員は一万人、このような答弁をされたものであります。しかし、今や、十六万人に対して四千八百人ですから、三%にも満たない。看板倒れなんです。

 しかし、本当にこのチャートのようにやっていれば、女性の有期労働者の平均勤続年数は三年七カ月、年々ふえているわけですから、厳密に実態を見ていくともっともっと育休の対象になるはずだ。その点、一言認識をお願いします。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

○村木政府参考人 おっしゃるとおり、形式上有期契約の労働者であっても、非常に長く勤続をしている女性の方は大変多いと思っております。

 先生にお出しいただいたこのフローチャートで申し上げますと、一番最初のところに「期間を定めて雇用されている」と。これは、パートでも半分ぐらいの方はこういう方ですが、その次に「実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態になっているか」こういう問いが一番最初に来るわけで、実態で見るということでございます。

 ただ、このことが御本人たちに理解をされているか、あるいは事業主に理解をされているかというところが、まだ私ども徹底が足りないのではないかというふうに思っておりますので、ここの周知徹底は非常に大事だというふうに思っております。かなり救える部分があると思っております。

○高橋委員 かなり救える部分があるというお言葉でした。そうしていただきたいと思います。

 そこで、きょうどうしても訴えたいのは、公務パートの問題であります。

 資料の二を見ていただきたいと思います。地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書がことし一月二十三日に発表され、自治体パート労働者の実態が初めて詳細に明らかになりました。

 この資料は、再度任用の状況であります。本来、先ほど来お話があったように、一年の契約のはず、上限の定めがない、当たり前一年だということになっているはずなのに、上限があって、それが五回以上再度任用になっている。そういう状況が、例えば看護師の一般職非常勤職員は六・二回にもなっている。あるいは通算任用期間で見ますと、五年を超えているところが、看護師、保育士、給食調理員などで非常に多いわけです。

 その理由を見ますと、めくっていただいて、三の資料で、「専門的知識・技能、資格・免許を要する職であり、人材確保が困難であるため」とあります。看護師は七割以上、保育士は六六%、消費生活相談員なども五割を超えています。

 総務省に伺いますが、これは明らかに、先ほどのチャートに照らしても、育児休業の取得資格がある方がいる、そのように思いますが、なぜ対象外なのでしょうか。

○松永政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方公共団体の臨時・非常勤職員につきましては、本来、臨時的あるいは補助的な業務に従事するということが想定されておると思いますが、そもそも、長期にわたって勤務するということは想定されておりませんで、原則として任期は一年ということとなっております。一年以内で任用されております。任期が来れば当然にその身分は失われるものというふうに解されているところでございます。

 資料の点で、御紹介をいただきたましたが、地方公共団体によりましては、このような形で、再度の任用につきまして一定の回数というものを定められているところがございますが、これは、臨時・非常勤職員についての制度の趣旨を踏まえた上で、もちろん同一の方が結果として再度任用されるということがございます。そういうことを可能にしている場合につきましても、長期にわたって繰り返して任用されることによりましていろいろと問題が生じるということを避けるため等から、一定の目安、こういうものを設けられているものだというふうに考えておりまして、長期の任用を予定されているというわけではないものというふうに理解いたしているところでございます。

○高橋委員 幾らそう原則として一年といっても、結局、皆さんがつくった資料が、これも運動団体のかなりの要求があってのことなわけですけれども、実際には、原則どおり一年ではない、同じ方が再度任用されている、余人をもってかえられないような働き方をしているということが明らかになったのではないでしょうか。そうすると、どちらの方にもならない、そのために結局救われない。これは絶対におかしいと思います。

 資料の四枚目を見ていただきたいと思います。これは「国家公務員、地方公務員の育児・介護休業等の規定」ということであります。

 これを見ますと、公務員の常勤職員は、育児休業が三年もあるとか、介護休暇が六カ月もある、そういうのも、ああ、すごいなと思うんですが、非常勤職員がいかに何もないかということが明らかになっております。

 しかし、お気づきだと思いますが、介護休暇や子の看護休暇、深夜業の制限などの規定については、これはまさしく私たちが今やっている育児・介護休業法の規定により、根拠としてとられているということなのです。なぜここは民間規定が地方公務員に適用されるのでしょうか。だったら、非常勤の育児休業も適用除外にしなくてもよいのではありませんか。これは雇児局に質問します。

○村木政府参考人 法律の適用関係、民間の法律であるか公務員の法律であるかは非常に難しいんですが、今回、民間の労働者について時間外勤務制度が法制化された場合、一般職の国家公務員のうち、国営企業それから独立行政法人の職員について、また地方公務員については制度の基準について何らの法律基準がないこととなるので、これらの公務員に対しても、民間労働者と同様に、最低基準について法的に保障することが適当であるというふうに考えたものでございます。

 また、この場合に、既に介護休業や時間外労働の制限、深夜業の制限について、これら職員に関して育児・介護休業法において一括して規定をしていることから、これらについても同様に本法で措置をするということにしたものでございます。

○高橋委員 最後にもう一度大臣に伺いたいと思います。

 今のお話を聞いていただいたと思うんですけれども、公務員だけれども公務員の法律に規定がない。ですので、育児・介護休業法の規定を設けているわけです。そういう考え方があるんですから、非常勤職員にこれができない根拠になるだろうか。当然やる気になればできるはずであります。自治体のパート職員というのは四十五万人います。常勤職員と同じ仕事をし、契約を繰り返し、何年も勤め、ベテランになっています。それなのに昇給、手当もない。しかも、派遣切りと同じように、解雇、雇いどめになっても、労働局もうちじゃない、総務省もうちじゃない、こうやってどちらからも救済されない立場の人たちなんです。こんなことはあってはなりません。

 先ほど大臣はILO条約のお話をされました。ILO百五十六号条約にかかわって、育児・介護休業法の適用範囲については、すべての部門、すべての種類の労働者について適用するよう何度も勧告を受けているはずです。大臣の決断を求めたいと思います。お願いします。

○舛添国務大臣 私は、本来、パートであれ正規であれ、公務員には公務員にふさわしい育児休業法、それから、その他の、四ページの一覧表にあるものについて規定をするべきだというふうに考えております。規定がないから民間の法律を準用するということであるからこういうことになるのです。パートであったって公務員として働いているわけですから。ですから、これはある意味で立法者、つまり我々国会議員全員が、こういうことについて立法ということを考えるべき時期に来ているんだろうと思います。

 ですから、そういうことをこれからもっと議論して、同じパートでも民間の方が有利だよ、公務員のパートは不利だよということであってはならないと思いますので、今後の大きな、私たち党派を超えての全体の課題だとして取り組んでいきたいと思っております。

○高橋委員 ありがとうございます。

 終わります。

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