日本共産党の高橋ちづ子議員は25日の衆院厚生労働委員会で、日本政府が購入契約を結んでいる英医薬品大手グラクソ・スミスクライン(GSK)製の新型インフルエンザのワクチンについて、接種後に通常より高率で重いアレルギー反応が発生したとのカナダ衛生当局の指摘を受け、GSK社が一部使用中止を決めた問題で政府の対応をただしました。
高橋氏は、今後追加の臨床データを求めたり、国内の臨床データと海外のデータの違いなどを加味するのかと質問し、足立信也厚労政務官は「検討する」と答えました。
その上で高橋氏は「(政府と製薬企業との)契約が秘密事項で、売り手が有利にあるという危ぐをもっている」と指摘。今後、ワクチンを原因として企業が負う全損失を国が補償するという損失補償契約を結ぶ問題では、「補償対象から除外される製造過程の瑕疵(かし)を明らかにする仕組みを積み上げるなど、工夫すべきだ。日本は薬害の長い歴史をもっている。情報公開と検証をしていくべきだ」と強調しました。
長妻昭厚労相は「輸入ワクチンの契約は臨時的・応急的な措置だ。問題が起こったときや事前の交渉は必要だ」と答えました。
高橋氏は「調査のあり方など一つひとつの対応で今後が決まってくる。(企業側に)思い切って物を言っていくことを求めたい」とのべました。
(2009年11月26日(木)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょうは、野党理事の御配慮によって四十分の時間をいただきました。本当は質問したい点はたくさんあるんですけれども、先日、時間切れとなってしまった新型インフルエンザ対策について、またその後の新しい状況もあるものですから、重ねて質問をさせていただきたいと思います。
それで、まず、グラクソ・スミスクライン社、今後GSK社とお話ししますけれども、ワクチンの問題については、早々に厚労省から現地調査を行うとの発表がございました。日本での輸入開始直前であり、慎重な対応をされるのは当然のことと思われます。ただ、現時点で判明している事実がどこまでなのか、具体的に伺いたいと思います。
カナダ公衆衛生庁が、初めに、特定の製造番号を持つ十七万回分のワクチンについて予想より高率でアナフィラキシーショックの報告があると説明していると聞いております。十万人に一人の確率が二万人に一人という州もあるのだと。先ほど、三・五倍という話もありましたが、地域によっては五倍ということも聞いております。
そこで、まず、日本支社から説明を受けたと聞いておりますけれども、カナダ政府として、この報告に気がついてGSK社に対して指摘をしたのがいつなのか、そして、カナダとして一部使用中止の措置をとったのはいつなのかということ。二点ですね。そして、企業だけではなくて、厚労省はカナダ政府に対して具体的な問い合わせをされたのか否か、伺いたいと思います。
○長妻国務大臣 お答えをいたします。
私が報告を受けておりますのは、GSKカナダが十一月の十八日に該当ロットの使用差し控えをカナダ規制当局に依頼をしたということを聞いております。そして、厚生労働省は、今月の二十一日にGSK日本に照会をいたしまして、二十二日に担当者を呼んで、速やかな調査報告を求めたというようなことでございます。
○高橋(千)委員 幾つも答弁漏れがあったんですけれども。
まず、今、十一月十八日にGSKカナダが一部使用中止を依頼したということでありますけれども、報道されているのは、私もきのう原課に確認しておりますけれども、カナダ公衆衛生庁、つまりカナダ政府が指摘をしている、要するに、副反応報告が若干多いのではないかという指摘をしているのだと。それを受けてカナダの会社が使用中止を言ったということを言っていますので、十一月十八日の前に政府の対応があったはずであるが、それがどうか。
それから、今の答弁ですと、こちらから照会したということですよね。ですから、日本支社から日本の厚労省に対して説明が呼ばれるまでなかったということですよね、今のは。
○長妻国務大臣 済みません、突然のお尋ねでしたので。
今、確認をいたしましたら、二十一日の土曜日に、こちらの厚生労働省の方から、先ほど申し上げましたように、GSK日本に照会をしてそれを聞いたということで、その土曜日に私も一報を厚生労働省から受けたということでございます。
○高橋(千)委員 ですから、カナダ政府がカナダのGSK社に副反応の報告が多いんじゃないかという指摘をしたのはいつですかと聞いているんです。
○長妻国務大臣 事前にそういうお尋ねを言っていただければ調べておいたんですが、今のところは確認はできておりません。
○高橋(千)委員 事前にこれは全部聞いてあります。きのう、いつですか、どちらからですかと何度も何度も聞いているんです。正直その場ではお答えができませんでした。それで、きちんとその事実経過を確認しますからと。それは、大臣にそんな細かいことを突然聞く、そこまで意地悪するつもりはありません。そういうことは事前に言ってあります。そういう事実経過を確認しますからということを言ってあるのに、基本のことがなぜ明らかにされないのかということが非常に問題だと思うんです。
私は、これから先またいろいろなことを聞きますけれども、今回の問題が程度が大したことあるかないかということではないんです、問題にしたいのは。既に契約は結ばれちゃっているんです。しかも、その契約の中身は秘密です。これから、いよいよもって具体的にどんなことが起こるのかがわからないのに、一つ一つ、こうしたあっと思うようなことがあったときに、それを集約する体制がどうなっているのか、あるいは調査する体制がどうなっているのか、そこが明らかにならなければ、余りにも白紙委任ではないかということが言いたくて質問をしているわけであります。もし次の質問の中で今のお答えができるのであれば、お話をいただきたいと思います。
それで、重ねて伺いますけれども、今回、十二月の上旬に調査をやるということですけれども、調査の権限ということは、多分、国同士、しかも一私企業と外国の政府という関係でありますので、調査といってもできるものには限界があるのではないか。つまり、お願いベースで、書類をいただきます程度の話ではないのかなと思いますが、そこら辺について何か取り決めたことがあるのかないのか伺います。
○長妻国務大臣 今のは調査のお話だと思いますけれども、厚生労働省としては、まず現地で調整をするために、まずは十一月中に係員を派遣してその態勢を整えておこうということで、派遣をいたします。その中で、工場にもお邪魔をしてその中の調査をする、そして医療機関にもお邪魔をする、そしてもちろんカナダ当局とも連携をとって調査をするということで、具体的に係員を先遣として派遣して詳細を詰めるということにしておりまして、どのような調査をするかは、決まり次第また皆様方に御報告をしたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 ですから、調査の権限というのは、お答えの中になかったんですけれども、多分お願いベースなんだろうなと思いました。
そうすると、ましてノバルティスの場合は、とりあえず今のところ何か事象があったわけではないので、これはますますもってお願いベースになると思いますが、いかがでしょうか。
○長妻国務大臣 これも、今はGSKのお話を申し上げましたけれども、ノバルティス社はスイスで申請がなされているということで、どの国が一番早く接種をするかというのは、あくまで予想でありますけれども、恐らくスイスではないか。その接種をした一定期間後にスイスにも、仮にスイスが一番早いとすれば、厚生労働省から調査団を派遣して調査をするということにしているところであります。
○高橋(千)委員 今回のGSK社の調査と特例承認のスケジュールとの関係はどのようになるでしょうか。調査団の報告を待ってから承認の手続をするようになるのでしょうか。
○足立大臣政務官 今までの答弁で部会そして分科会等の大体のスケジュールは申し上げてきたんですが、今回の事案がありますので、当然のことながらその調査の結果を踏まえるということで、スケジュールはおくれる形になるんだ、そのように理解しております。
○高橋(千)委員 今、おくれるという答弁でございました。
その中で、例えば臨床データを追加で求めるなどということも検討されているのでしょうか。今、国内では、さっき百件などという話があったわけですが、ノバルティス社が九月十六日から、GSK社が十月十三日から臨床試験を始めていると聞いております。その中身についてと、同じワクチンなんですけれども国内で行う臨床データと海外で行ったデータの出方に非常に違いがあったりとかした場合、どのようにされますか。
○足立大臣政務官 二点あったかと思うんですが、まず、国内の試験に関しては百人を想定してやるという話は申し上げました。
そして、追加が必要になるかどうかというのは、まさに部会、分科会での検討の中身によると思うんです。それは、今御指摘のように、要するに各国、海外と大分データが違う、そうなった場合に追加が必要になってくるという可能性は十分ある。そのこと自体も検討する大きな課題ですね。
海外の情報を集める、そして我々の臨床試験の結果をそれに加味する。そこに整合性といいますか全く一致したような結果でなければさらなる検討も必要になってくる。それは部会、分科会でそういう結論といいますか方向性になるんだろうと私は予測しております。
○高橋(千)委員 今、追加でデータを求めるということも十分検討があるのだ、また、国によるデータの出方の違いについても十分加味するという大事な答弁があったかと思います。
そこで、契約は既に十月六日に結ばれております。今既に衆議院では採決が終わっておりますけれども、まだ本会議を通っておりません。十二月十五日までにこの法案が成立し発効しない場合は、企業は契約を解除できるとともに、政府は一定の違約金を支払うこととされています。十月六日に契約を結んで十二月十五日までに法律を成立させよということになっているわけです。
そうすると、国会の日程は今も、厚労委員会だけの事情ではなく、さまざまなことで不安定要素を抱えているわけですけれども、なぜここまで制約されなければならないのでしょうか。また、日本側から契約を解除できるのはどういうときでしょうか。二つ。
○足立大臣政務官 なぜこのようなタイトなスケジュールでの条件をつけられているのかということに関しては、これに直接お答えするのはなかなか難しいのかなと思います。
ただ、今回の特別措置法は、海外の企業から購入する必要性がある場合に、そういう承認を行った場合に契約をできるというような規定の法律案になっておりまして、そのことが直接、法律案が成立したら特例承認になるんだということとはまた別の話でございますので、この法律案は成立をできるだけ早くしていただきたいということは変わりません。
ただ、特例承認が本当に成るのかどうかというのは、慎重な治験と臨床試験の結果を含めて検討していただくのは当然のことかな、そのように思っております。
○高橋(千)委員 二つ目の質問、日本側から契約を解除できるのはどういうときか。
○足立大臣政務官 これは、先ほど坂口委員にお答えしたように、破棄できる規定というのがないんですね。ですから、日本側からということに関しては、先ほど、破棄できる規定がないということで、私は破棄できないと答えてしまったわけですが、正確に言うと、特例承認に至らなかった理由がいかなる理由によるのかによって交渉になるんだ、そのようにとらえております。
○高橋(千)委員 二つ問題点があると思うんですけれども、日本側から契約を解除できるのはどういうときかという質問は、特例承認を想定して聞いたものではございません。ですから、一つは、その特例承認が仮におりなかった場合、それはもう契約そのものが白紙なんだよという説明をいただきました。ただ、先ほど来説明があるように、白紙にするためには違約金を求められると。交渉事であるという説明ではなかったのかなと思います。
もう一つは、重大な契約違反とかそうしたものが当然あるのではないか、そういうときには解除ができるという説明を受けていますが、違うということですね。
○足立大臣政務官 先ほど破棄できる規定がないと申し上げたのは、こうこうこういう場合は契約を解除というか破棄できるというような文言がないということでございますので、先ほど特例承認の話とは違うんですというふうに委員がおっしゃいましたけれども、やはりそれは個別、ケース・バイ・ケースで、なぜ承認に至らなかったのか、なぜ法律も成立しなかったのか等々、理由がいろいろあるかとは思いますが、こういう場合には破棄できるという規定がないというのはそのとおりでございます。
○高橋(千)委員 ということは、重大な契約違反が相手方にあっても破棄できないということですね。
○足立大臣政務官 お答えいたします。
今メモが参りまして、相手方に重大な契約違反があった場合、これは破棄できる形になっていると。
あとは、先ほど申しましたように、これはとても日本では承認できないということで破棄できるというような形にはなっていないということでございます。
○高橋(千)委員 重大な契約違反があった場合は破棄できるというお答えだったと思います。先ほどの答弁がちょっと違っていたかなと。
いずれにしても、この契約というのが、期限的にも縛りがあり、どちらかというと売り手側優位なのかなということについて危惧を持っております。
でも、損失補償契約は今後結ぶことになるわけですので、そっちの中身の方がさらに心配になるわけです。補償額の上限がないと聞いております。ワクチンを原因として企業が負ういかなる損失等も国が補償するという規定を盛り込むとされております。
まず確認ですが、製造側の瑕疵がある場合は補償対象から除外されるということでよいのか。まずそこまで。
○足立大臣政務官 これも先ほど来答弁のところでありますが、製造過程で瑕疵があるというか、製造過程に問題がある場合、そして故意の場合と先ほど申し上げましたけれども、これは補償の対象にはならないということでございます。
○高橋(千)委員 それをどのように証明しますか。
○足立大臣政務官 恐らくは、契約の中身を少しでも公開できないかなという思いが委員にあるのではないかと思いますが、契約の中身については、公開できない秘密事項というふうになっておりまして、先ほど私が口頭で申し上げた内容までしかつまびらかにできないところでございます。
そして、その製造の過程で、あるいは故意によってというようなことを、結論としてそういうふうに申し上げましたけれども、それをどうやって判定するか等々につきましては、これは公開できない部分もありますし、こちら側がしっかり、例えばこういう委員会をつくってこうこうでということではなくて、恐らく、今までの分科会あるいは部会等、そして副反応等の検討会の中でも議題になることではないかと私は思っております。
○高橋(千)委員 大臣に伺いたいんですけれども、特例承認あるいは今回のような上限のない損失補償契約というのは、なかなかなじまないというか、我々の理解を超えているわけですね。それは諸外国みんなそうなんだよという説明で、しようがないじゃないかと言われているわけですけれども、本当にそれを、今いろいろお話ししたように、例えば瑕疵があるんだということをきちっと明らかにできる仕組みは何かとか、やはりそういうことを積み上げていって安心を確保するということが必要なんだと思うんです。
特に日本は薬害の長い歴史を持っているわけです。そうした中で売り手優位の契約をどうしても結ばなければならない。そのときに、例えば、副反応が非常に多く出た、健康障害が多く出た場合に、互いに検証し合って費用を分担するですとか、何らかのことを考えるとか、あるいは、二十カ国が損失補償契約を結んでいると言っていますけれども、みんな同じなんだろうか、そういうデータを出すとか、情報公開、そして検証していく、そういうことは絶対必要だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○長妻国務大臣 まずは、この輸入ワクチンの契約につきましては、これは臨時応急的な措置である、国家の危機管理上必要である、こういう判断に立ちました。といいますのも、国産のワクチンだけでは、この契約の時点では、新型インフルエンザが蔓延したときに、ワクチンを要望される方が多く出たときに、日本国民の皆様に打つ量は不足をするということははっきりしていたわけでございますので、その中での判断ということで、他国との契約状況も見て、しかし、機を逸するとワクチンが確保できないおそれもあるという時間的な制約の中で判断をしたということであります。
いずれにしても、もちろん当方も弁護士の先生とも十分に協議をして、この契約を締結、あるいはその後の運用についても、いろいろな契約条件にない部分についても、今後問題が起こったとき、あるいは事前に交渉できるのであれば交渉を続けるということは必要だというふうに考えているところであります。
いずれにしましても、この契約では、おっしゃられたような、この法案が立法した後、別途、ワクチンを原因として企業に生じるあらゆる損失を国が補償する契約を締結するということが盛り込まれているところでございまして、これについても、解釈も含めてきちっと我々としても締結をしていきたいというふうに考えているところであります。
○高橋(千)委員 臨時応急的な措置である、ワクチンは残念ながら今のところ足りないのだと。
私たちも、ワクチンに対してのいろいろな考え方が確かにございます。そもそも打たなきゃいいんじゃないかという意見などもさまざまあるわけですが、しかし、基本的には、今、国民の要望にもこたえ、やはり緊急な場合であるということで、この法案そのものには反対をしなかったわけであります。
ただ、本当に売り手優位で余りにも一方的ではどうなのかということは絶えずやはり検証していくべきである。ですから、ヒントというのは、例えば最初に質問した調査のあり方ですとか、そういう一つ一つの対応によってまた今後が決まってくると思うんですね。
そういう点で、大臣は国家の危機とおっしゃいましたけれども、その逆もありますので、この判断が国家の危機に結びつかないように、思い切った対応を、単に受け入れるだけではなくて物を言っていく、また国民に対してもできるだけの説明をしていくという努力をされることを求めたいと思います。
次に、「新型インフルエンザの予防接種について」と題しまして、予防接種の対象となっている中学生のお子様の保護者に対して出した文書がここにございます。十一月四日付の事務連絡で、十六歳未満、つまり中学生にまだ達しない子供には保護者が同伴ですよという通知を出しているわけなんですが、その後のページで、中学生は自分で打つものですから保護者の同意書が必要なわけです、それでこの説明がされております。
ここで幾つかワクチンの目的や安全性について書いているわけですけれども、健康被害の救済制度についてこんなことを書いております。「ワクチンの接種によって医療機関での治療が必要になったり、生活に支障がでるような障害を残すなどの健康被害が生じた場合には、現時点では、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済制度により、将来的には、現在検討中の新法により、」またここで出てくるんですが、今やっている法案のことですが、「一定の補償を受けることができます。」中身については書いておりません。「ただし、その健康被害が新型インフルエンザワクチンの接種によって引き起こされたものか、別の要因によるものなのかの因果関係を、各分野の専門家において審議し、新型インフルエンザワクチンの接種によるものと認定された場合に補償をうけることができます。」という説明がございます。
最後に保護者が署名をするところがあるんですけれども、そこにこういうふうに書いているんですね。「私は新型インフルエンザの予防接種を受けさせるに当たっての説明文書を読み、予防接種の目的や効果、安全性について理解しました。この文書を持参する本人の保護者としてワクチンを接種することに同意します。」この「理解しました。」ですね。私がもし中学生の保護者であれば、署名してよいかどうか非常に迷うなと正直思いました。もちろんそれは誤解なんだけれども、何かあったときに、いや、親が同意したじゃないかと言われるのかなという思いに駆られて、この自分の判断にかかってくるのかしらと大変怖い思いがするんですね。
そうすると、保護者に対する負荷が強過ぎるのではないのかなと思うんです。ここら辺を少し工夫されたらいかがかと思うんです。例えば初めからそういう心配される症状について、例えば熱ですとか、そういうことを問診票にして、気になることや聞きたいことがあればお書きください、そういう程度の中身でもよいのではないでしょうか。
また、健康被害救済の制度は、一般国民で六割、医療関係者でさえも二割も制度そのものを知らないという答えもあるわけです。まずそこをきちんと知らせていくということをあわせてやる必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○足立大臣政務官 実際の同意書というんでしょうか承諾書というんでしょうか、その実物がちょっと今手元にないのでなかなか難しいかとは思いますが、委員が今御提案されたような極めて簡便な方法というのも考え得る手段なのかなと、今そのように感じております。
それから、医薬品医療機器総合機構法に基づく救済について、これは認知度が非常に低いという御指摘が今あったと思います。この点については、大臣名で、大臣の指示によって、これを広く知ってもらう必要があるということで、広報を通じてこれを理解、知っていただくように、改めて、再度その方向性で実際に厚生労働省として通知したということがございます。
そして、申しわけないんですが、冒頭のカナダ政府のことが今ちょっと情報が入ってまいりました。
ヘルス・カナダというんですが、メール等で今確認したところによりますと、ヘルス・カナダが副反応の割合が高いとしてグラクソ・スミスクライン、GSKに指示したのは十八日。GSKからの報告では、同じ十八日にヘルス・カナダ、カナダ政府に対して使用差し控えを依頼したということが今明らかになりました。
いずれにいたしましても、この事実関係等も含めて、現地調査ではっきりしっかり確認する必要がある、そのように思っております。
○高橋(千)委員 補足をいただきまして、ありがとうございます。
カナダのとった対応、同じ日であったということで、そういう対応というのはとても大事で、国産メーカーとの関係においても、今、副反応報告を定期的にとり、公表されているということですので、こういう対応がやはり大事なんだろう、日本もやるべきだろうと思っておりますし、同時に、今改めて、GSK社がカナダ政府に一部使用中止を依頼したんだけれども、日本には直接会社からの説明がなかったわけですし、一定そこにタイムラグがあいたなということは非常に残念に思います。
広報も、ちょっと私自身が見つけられなかったんですが、社自身の広報が何かあるかなと思ったんですが、ノバルティスの資料はいろいろ出てきましたが、GSKの資料が出てこなかったということもありますので、一つ一つそういう問題が、やはりこれからの実際に契約を現実に動かしていく段取りに当たって大事なことであろうということを重ねて指摘させていただきたいと思います。
先ほどの保護者の話、資料で配ればよかったんですが、失礼しました、時間が大変あれでしたので。ただ、今、御検討くださるということでしたので、ぜひ見ていただいて、保護者が恐怖感にさいなまれるようなことがないように対応していただきたいと思っております。
次に、急性脳症の問題なんですけれども、先ほど坂口委員からも指摘があったことにも少し関連があるかなと思うんですが、国立感染研がインフルエンザウイルスAによる急性脳症というレポートを出されておりますが、十一月十三日現在というものがございます。
新型インフルエンザによる脳症として届け出のあった六十例について、年齢分布は一から二十四歳、中央値が八歳ということで、非常に若い方たちばかりだと。合併症は二十二例で見受けられますが、三名が死亡、七名が後遺症につながっております。気になっているのは、すべての症例で、六十例すべてで、タミフル、リレンザあるいは両方使うなど抗インフルエンザ薬が投与されているということであります。
犠牲者をなくしたい、重症化を防ぎたいと厚労省は強調されておりますので、ここら辺はもっともっと検証していく必要があると思うんですが、インフルエンザ急性脳炎について、抗インフルエンザ薬の投与が関連した、例えば投与によって急性脳炎になったということが絶対ないということは言えないのではないか。すべてがそうだということを言っているのではなくて、可能性は否定はできないのではないかと思いますが、その点どのようにお考えか。また、さらに検証が必要と思いますが、いかがでしょうか。
○足立大臣政務官 まず、事実を申し上げます。
投与時期とインフルエンザ脳症の発症の時期ということで、三つ申し上げます。意識障害が出現する前日までに投与を開始している方が十二例、意識障害出現の日に投与を開始している方が三十八例、意識障害が出現した翌日以降に抗インフルエンザ薬の投与を開始している方が十例というふうになっておりまして、一定の関係性がこのデータからだけではなかなか言えないところかな、それが事実でございます。
○高橋(千)委員 今の意識障害の関係はきのうもちょっと伺ったんですが、十月のレポートの段階ではこのことが明らかにされておりませんでした。感染研に対して、抗インフルエンザ薬の投与が脳症の発症前なのか後なのか、そういう指摘があって明らかにされたのかなと思っております。
ただ、逆に言うと、インフルエンザ薬を投与していない場合の脳炎があったのかとか、そういう比較できるデータが今のところございませんので、これはもう少し詳しく、ほかのものとの関係を含めて検証していただきたいということはぜひ要望にしたいと思います。研究班の調査もされるということですし、厚労省の対策本部で出されているいろいろな調査データなども拝見をしておりますが、まだそれだけではなかなかわからないことがございますので、明らかにしていただきたい。非常に関心を持っている方が多い事例でありますので、明らかにしていただきたいと思います。
次に、本法案には、附則第六条において、新型インフルエンザの予防接種のあり方等検討規定が盛り込まれておりまして、既にこれまでの答弁で、予防接種法の次期国会での改正を行いたいということがされております。
そこで、救える小さな命を救えということで、細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会の皆さんを初め、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンを定期接種にしてほしいという強い要望が出されているところです。もう何度かこの委員会でも他の委員からも指摘がございました。九八年三月、WHOがHibワクチンの乳児への定期接種を勧告し、既に百十カ国以上で接種をされています。
日本では年間約千人くらい、本当はもっと多いのではないかという指摘がございますが、細菌性髄膜炎にかかり、そのうち五%が命を落とし、二割が重い後遺症に苦しんでいると言われております。昨年秋からようやく任意の接種が始まりましたが、約三万円という自己負担は大変大き過ぎるわけです。肺炎球菌のワクチンの方は約四万円とも聞いております。
どんなに貧しい国でも国の定期接種化して子供を守るようにというWHOの勧告を踏まえ、定期接種に踏み込むべきと思いますが、これは大臣の見解を伺いたいと思います。
○足立大臣政務官 ワクチン行政に直接結びつく話だと思います。
我々の方も、肺炎球菌ワクチン、それから髄膜炎菌、Hib、そして子宮頸がんの予防ワクチン等はやはり推奨していきたいという基本的な方針を持っております。そして、これはまさに予防接種法の改正を次期国会に提出したいと思っておるところですが、当然のことながら、その検討の過程の中でしっかりしたものにしていきたいという思いと、国会の審議の中でさらにいいものにしていっていただきたいな、そのように私は思っております。
○高橋(千)委員 大臣、一言お願いいたします。
○長妻国務大臣 このHibワクチンにつきましては、私としては、定期に向けて前向きに議論を進めるべき案件であるというふうに考えております。今、インフルエンザ菌、Hibによる髄膜炎というのは、五歳未満児を中心にして年間五百から六百名が発生して、そのうち約一五%が死亡または重症化しているということで、非常に重大な問題であると認識しておりますので、前向きに取り組んでいきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
以上です。