○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、二〇一〇年度における子ども手当支給法案に対する討論を行います。(拍手)
今日、子育て世帯の多くは所得が低く、政府の調査によっても、経済支援を求める声が七割にも達しています。とりわけ、子供の七人に一人が貧困であり、日本は所得の再分配によって逆に貧困率が高まる唯一の国であることが指摘をされてきました。このような現状を改善することは、今日の政治に課せられた重大な責任です。子供を社会で育てるという理念や、先進諸国に比べ極端に少ない子供・家族関係支出をふやすべきだという認識は、共有する立場であります。
日本共産党は、小学校六年生までの児童手当を、直ちに現行の二倍に引き上げ一万円にするとともに、十八歳までの支給を目指し改善していくことを提案してまいりました。その財源は、世代間の予算の移しかえや負担増ではなく、大企業・大資産家優遇税制の是正や軍事費削減など、聖域にメスを入れるべきだと訴えてきました。
配偶者控除の廃止等、国民の一部を犠牲にしてほかの世帯に回すようなやり方では、国民の支持は得られません。今回の法案は、二〇一〇年度に限って中学生まで子ども手当半額の支給をするものであり、一部の控除の廃止を財源としてはおりますが、手当を受給しない他の世帯への負担増は盛り込まれていないことから、その限りにおいて賛成としたいと思います。
問題は、二〇一一年度以降の子ども手当をどうするかであります。
そもそも、二万六千円満額支給については、総理自身が、財源不足で困難と発言しています。財源や支給対象の範囲など、制度の骨格にかかわる事柄のほとんどが先送りされていることは、制度の信頼性に大きな不安を与えています。
今回の子ども手当の財源は、年少扶養控除の廃止や特定扶養控除の上乗せの廃止によるものであり、結局のところ、増税との抱き合わせです。さらに、今回は見送られたものの、配偶者控除や成年扶養控除の見直しが本格的に行われるなら、子育て以外の世帯に増税を押しつけることになり、認めるわけにはいきません。
控除の廃止によって、保育料の引き上げなどの負担の連鎖が起こります。これについて、政府は適切な措置を講ずるとしていますが、さまざまな住民サービスなど、自治体独自の判断に対しては、国が関与できないはずです。だからこそ、国の責任を明確にしなければなりません。
子ども手当の地方負担相当分を民間保育所の運営費交付金の削減という形で確保するということなどは、現金給付と車の両輪で進めるべき現物給付に国は責任を持たないと言ったに等しいものであり、絶対に認められません。
また、現在、子供と家族を応援する支出のうち企業支出はわずか〇・一%にすぎず、諸外国から見ても低く、企業負担はなくすべきではありません。
子ども手当の満額支給に五兆四千億円も使うために、他の子育て予算が削減されたり、さらなる増税のおそれが指摘をされています。
参考人質疑でも、子ども手当の理念や目的の論議が十分だったのか、財源や地方負担はどうなるのかなど、さまざまな意見が出されました。同時に、手当の支給だけではなく、保育所待機児童の解消や、子供の医療費、教育費の軽減など、子育てにかかわる基盤整備を抜本的に充実することの重要性が指摘をされ、手当も現物給付もともに必要であるという認識が共通して強調されたことは重要であります。
最後に、大もとにある子育て家庭の貧困や働き方の改善も、政府全体で取り組んでいくということを強く求めて、討論を終わります。(拍手)