――議事録――
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、水道法改正案に反対の討論を行います。
水道事業は、あまねく国民に安全、安心、安定的な水供給によって、憲法の生存権を保障するものと言えます。私たちにとって望ましい水道とは、水質基準に適合した水が、いつでも、どこでも、誰でも、合理的な対価をもって、持続的に受け取ることが可能な水道であると新水道ビジョンはうたっています。しかしながら、水道事業の現状は、全ての管路を更新するのに百三十年もかかる老朽化、四割に満たない耐震化適合率、小規模で経営基盤が脆弱など、憂慮すべき状況となっています。
大阪北部地震は、改めてライフラインの重要性ともろさが浮き彫りとなりました。与党は、これを法案成立を急ぐ口実にしていますが、本法案が課題の解決にならないばかりか、むしろ、法案成立後ならどうなっていたかを真剣に考えるべきです。昨年の通常国会から継続審議となっていた本法案は、会期末ぎりぎりの、参議院の成立が危ぶまれるタイミングに済ませてしまうようなものではありません。海外で進んでいる再公営化の動きの調査や参考人質疑を行うなど、十分な時間をかけて審議をするべきでした。
以下、反対する理由を述べます。
第一は、押しつけというべき広域化の推進です。
我が党は、各市町村が自主的に広域化を図ることを否定するものではありませんが、本法案は、国が経営基盤強化のために広域化を含む基本方針を策定し、都道府県は基本方針に沿って基盤強化計画を策定し、広域化の推進役を担うことになります。しかし、先行する広域化計画では自己水源の放棄や余剰化したダム水の押しつけも問題となっており、結果として住民負担やサービスの後退を招きかねません。
第二には、水道事業にPFIの一類型であるコンセッション方式を導入することです。
水は国民共有の貴重な財産であり、安全、安心、安定的な水の供給は公の責任で行うべきです。利益優先の民間事業者の参入は、経営効率化の名のもとに、事業の安全性、安定性の後退につながり、料金値上げなどの住民負担増を招くことになります。水道事業にかかわる人員の深刻な後継者不足が問題になっています。厚労省は、コンセッションになっても、水道事業者である地方公共団体がモニタリングを行うから大丈夫と答える一方で、そのモニタリングは第三者機関に任せてもよいと明言しました。これでは、技術の継承ができず、人員の確保も含めた基盤の強化にならないことは明らかです。
なお、立憲民主党、国民民主党提出の修正案は、コンセッション関連部分を削除するという点を評価し、賛成とします。
以上、本法案に反対する主な理由を述べて、討論といたします。(拍手)