日本共産党の高橋ちづ子議員は7日の衆院厚生労働委員会で、後期高齢者医療制度を4年後に廃止したとしても、新制度は後期医療制度の枠組みが残ることを指摘し、廃止を先送りせず元の老人保健制度にまず戻すよう求めました。
厚労省の検討会で示された新制度案は、65歳以上を国民健康保険に加入させ別勘定にする内容。高橋氏が「政府は年齢区別は解消すると言っていたがこれと反する」と批判したのに対し、足立信也厚労政務官は「この案では年齢で区別することになる」と認めました。
また高橋氏は、政府は次期国会に法案を提出するというが、民主党が掲げている健康保険の一元化などどこまで盛り込むのかと質問。長妻昭厚労相は「検討中だ。一元化もまったく一つにするとは考えていない」と述べました。
高橋氏は、厚労省検討会で示された案では、公費が9000億円も減ると試算されている問題をあげ、国が医療保険に責任を持つべきだと追及しました。
高橋氏は、医療費の窓口負担軽減に関しても質問。国民健康保険法44条にもとづく窓口負担軽減策は全市町村の過半数で条例を持ち、国は基準設定の検討を始めているとし、その周知徹底を図るとともに、災害被害者、失業者など所得が急減した人だけでなく、貧困なままの人も対象にするよう求めました。足立政務官は「十分受けとめる」と答えました。
(2010年4月8日(木)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
今回の法案は、国保、被用者保険あるいは後期高齢者医療制度など、医療保険にかかわる重要な中身が一括して審議に付されております。〇六年の医療制度改革のときも、たくさんの要素が一つに盛り込まれておりました。強行採決という大変残念な決まり方ではありましたけれども、あのとき野党が、民主党さんももちろん含めての野党が、さまざまな政策の違いを乗り越えて共同して頑張ってきたこと、指摘したことがかなり今の現実の政治で問われているのではないかと思います。また、与党の中にも、療養病床の廃止など不安の声が絶えなかった、それがあの当時の議論ではなかったかと思います。
この医療の問題が、昨年の総選挙で政権交代に至る背景の中心的な課題の一つであったことは間違いありません。先ほど来の質問によっても、旧与党からは、なぜ後期高齢者医療制度がだめなのかと聞かれ、私たちからは、なぜ後期高齢者医療制度を廃止しないのかと聞かれて、それぞれの大臣の答弁を聞いておりますと、片方には、やはりだめなのだということをしきりに言い、我々に対しては、しかし維持をしなければならないことをおっしゃいますので、ちょっと矛盾が生じてきているのではないか。後期高齢者医療制度の先送り、これに対して国民の中に失望感が大きく広がっているという実態であります。
本法案の審議に当たっては、まず十分な審議時間の確保、そして政府も、改善できるところはすぐに着手をする、軌道修正も恐れず取り組む姿勢をぜひ示していただきたいと思います。
さて、本題に入りますが、まずきょうは、国保の負担の問題について伺いたいと思います。
国保法の第四十四条第一項は、保険者は、特別の理由がある被保険者で、保険医療機関等に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金の減免または徴収猶予の措置をとることができると書かれております。私は、かねてから、この四十四条がもっと活用されるべきではないかと主張してまいりました。
この間、医療機関の未収金問題などが大きく取り上げられ、二十年の七月には、検討会報告書において、生活困窮者への減免制度の活用や無料低額診療所の活用などが提起をされたと承知しております。
これを受けて、昨年七月一日には厚労省医政局指導課長通知「生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応について」、また七月十日には「モデル事業の実施について」が発出されて、資料一につけておりますように、窓口負担の減免制度についてモデル事業を開始しました。
そこで、その目的と、現在どのくらいの市町村で取り組んでいるのか、伺いたいと思います。
○足立大臣政務官 モデル事業につきましては、平成二十一年度に全国三十自治体で実施しております。
先ほど委員がおっしゃいました二十年七月の取りまとめでは、未収金の原因の主要なものは生活困窮と悪質滞納だということになっております。そこで、減免制度の話になるわけですが、一部負担金の減免制度と保険者徴収制度が活用されることを目的として、今モデル事業をやられております。五月に取りまとめをして、八月に基準を示したい、そのように今考えております。
○高橋(千)委員 今、三十自治体というお話でございました。本当は、全国都道府県すべてのところで一以上の自治体を対象としていたと思っております。なぜそこにとどまったのか、非常に残念に思うし、多分それは、自治体の持ち出しがやはり大きいのかなということも考えております。
今、五月に取りまとめをして八月に基準とおっしゃいましたけれども、要するに、その基準というのは、減免をやる際の基準ということだと思いますが、もう少しそこら辺を具体的に、どのような方向に持っていこうとしているのか、お知らせいただきたいと思います。
○足立大臣政務官 申しわけないですけれども、今モデル事業をやっている中で、原因、そして何をやるべきかということはその中で取りまとめをしようと思っておりますので、現段階ではこの方向性でというのはなかなか申し上げにくいということでございます。
しかしながら、減免が行われているのが平成十九年度で約十億円ということです。ある資料によると、病院の未収金というのは七百億円を超えるというふうに言われておりますから、減免がいかに少ないというか、その率が少ない頻度かということはもう一目瞭然でございますので、この基準の中で、大変申しわけございません、今それを明確に申し上げることはできませんが、取りまとめの中でしっかり示していきたいと思います。
○高橋(千)委員 今、十億円という数字が答弁の中にあったと思うんですが、質問しようと思っていたんですが、先にお話があったので、あと私の方で資料の紹介をしたいと思うんです。
資料の二枚目に今の十億円が出てまいります。平成十九年度の減免実績、世帯数四万四千七百三十六世帯で十億何がしということでありますが、これは最初に質問したモデル事業のことではなくて、国保法四十四条に基づいて減免条例を持っている市町村数、またその減免の実績ということで求めた資料でございます。これだけを見ますと、全市町村の五四%が制度を持っていることになるわけですね。これは足立政務官が野党時代にも同じような、四十四条の活用について質問されていたということを承知しております。
ですので、本来であれば、まずこの四万四千七百三十六世帯の内訳がどうなっているかということが一つあると思うんですね。前にも私、これは何回もやりとりしたことがあるんですけれども、実際はほとんど、災害などのやむを得ない事情の人には減免している、だけれども、やはり経済的な困窮とかそういうことではなかなか適用になっていないというのが実態ではないか。
ですから、先ほど三十市町村というお話がありましたけれども、そこのモデル事業も大事ですけれども、まずここでやられている減免を、条例を持っている自治体がどのように活用されているのかということをちゃんと調査をすればよろしいのではないかと思うんです。
その上で、やはり利用できる制度は、ちゃんと法律にある制度はまずきちんと周知をして、そして活用できるということをやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○足立大臣政務官 ごもっともな御指摘だと思います。
ただ、モデル事業の中では、正確に、どれぐらいの世帯を、どういう割合で入っておりますということは、内訳は把握しておりません、申しわけありませんが。しかし、それは、災害とか失業だけではなく、低所得世帯というものもそのモデル事業の中に入っておりますので、内訳は把握しておりませんけれども、対象としては入っておるということだけ御承知おき願いたいと思います。
○高橋(千)委員 そこで、さらにお話をしたいんですけれども、今おっしゃったように、低所得ですとか病気の方ですとか、例えば今回のモデル事業の中でも、失業等により収入が著しく減少した世帯という形で一定の基準を設けているわけですよね。だけれども、ずっと言われてきているのは、ずっと貧困の方、生活が本当にずっと苦しい方は著しく減少していないので、もともと大変なので、何の減免制度にもひっかからないということが言われているわけなんです。
そういうことも含めて、今回基準をつくりたいとおっしゃっていますので、ぜひ検討されたい。いかがでしょうか。
○足立大臣政務官 十分受けとめさせていただきたいと思います。
その四十四条の中で「特別の理由がある」ということを今おっしゃられているんだと思いますが、ずっと低所得である、低収入であるということについての配慮が足りないのではないかという御指摘だと思います。それはそのまま受けとめたいと思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
今回、非自発的失業者が新規に国保に加入するというときに、賃金の三割を基準額として負担を軽減する制度が始まります。
私は、昨年の雇用保険法の改正のときに、このままでは大量に無保険者が出るのではないかということで、失業者への医療対策を求めてまいりました。藤村委員長が当時筆頭理事で、与党と調整していただき、失業者の医療対策を考慮すべきだということが附帯決議にも盛り込まれ、今回の提案という形になったことに大変感謝を申し上げたいと思います。
そこでまず、必ず失業者が保険と結びつく仕組みをどのようにつくるのかについて伺います。
○長妻国務大臣 今のお尋ねは、失業された方が、前年の収入のある意味では七割引き、三割を所得として国保の保険料を算定するというお話だと思います。
直接この法律とは結びつかないものでございますけれども、これについては、非常に重要な制度でありますので、ハローワークできちっと、求職者、そこに御来所いただく方に広報をするようにしており、あらゆる手段を使ってそういう方に届くように、これは遡及といいますか、それを実施する前に失業された方にも一定の要件であれば適用されますので、それも十分PRをしていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 ここは、私、必ず結びつく仕組みというふうな聞き方をしたのは、広報は当然やっていただきたいんですが、漏れがないようにということをお話ししたいんですね。やはり、相談の窓口に行ったら、必ず保険はどうなっていますかと聞いていただきたい。そして、必ず、こういう制度があり、国保に入れるのだということを徹底していただきたいということをお話しいたしました。
当時、質疑をしていたころは、民主党さんが出していた法案というのは、任意継続の保険に対しての保険料減免であったと思います。今回は国保に一本化されておりますので、そういうことも含めて、結局、保険料がとても払えないから任意継続はとても無理だという方、まして国保なんかとても高くて入れないという方、そういう方たちがまず結びつけられるように、そこをきちっとやっていただきたいと思います。
重い糖尿病などで派遣村の相談会にやってくるなど不安定雇用を続けていたり、あるいは路上生活をしていた方などは、何かしら健康を損ね、命の危険にさらされております。しかし、政府が取り組むセーフティーネットや訓練、住宅などの支援制度をしっかり活用して就労できるようになれば、みずから払える人になっていくわけですので、本来ならば、三割基準などという面倒な仕組みよりも、保険料と窓口負担の減免をさっとやれるように検討されるのが一番いいのではないかということ、これはちょっと要望にとどめたいと思います。
資格書のことをぜひと思ったんですが、時間が万が一ないとあれなので、ちょっと順番を変えたいと思います。
それで、六十八条の二ですが、都道府県は、国民健康保険事業の運営の広域化または国民健康保険の財政の安定化を推進するための広域化等方針を決めることができるとされました。
資料の三にあるように、広域化とは何かみたいな資料をつけておきましたけれども、二つ目の丸のところに、「民主党マニフェストで盛り込まれた地域保険としての一元的運用の方向性及び地方分権改革推進要綱の趣旨を踏まえ、市町村国保の都道府県単位化を進めるための環境整備として、」云々というふうに書かれておりまして、まさに一元的運用への非常に重要な事項が、今回、この六十八条の二であろうと思います。
そこで、この広域化等方針に何を盛り込み、どのような役割を果たそうとしているのでしょうか。
資料の下の方にありますけれども、収納対策の共同実施とか医療費適正化策の共同実施という言葉がございます。これは、基金、特別調整交付金などを活用して、収納率、あるいは給付が高い、こうしたものに対する、実質ペナルティーが強まるということを意味するのでしょうか。あるいは、保険料の平準化についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。
○足立大臣政務官 ペナルティーとしての調整交付金の減額になるのではないかという点が、まずございました。
都道府県の調整交付金は、端的に申しますと、条例によって定めるもので、特段の決まりはないわけでございます。広域化を図る中で、目標の収納率を定めた上で、達成状況に応じて都道府県の技術的助言や勧告をするということをやるわけですけれども、国としては、都道府県の調整交付金が減額されないように、それはこちらとしても要請をしたい、まずはそのように思っております。
それから、保険料の平準化ということで、先ほどの坂口議員の質問と重なるところでございますが、やはり、市町村であれば五倍のところは、都道府県で見ると二倍以内におさまるということは事実でございますので、広域化を図るということは非常に大切なことではないか、そのようにとらえております。
○高橋(千)委員 今のお答えは、都道府県の調整交付金が減額されないようにというようなお答えだったのかなと思うんですけれども、私が指摘をしたのは、都道府県が調整交付金を市町村に対して減額するなどを通じて、結果として、収納率、あなたのところは低いですよというところとか、給付が高過ぎますよという形で市町村を競わせる、そういう役割を果たすのではないかという意味でございます。
○足立大臣政務官 その懸念ということですね。
これは、都道府県の判断であることは間違いないわけで、達成状況がそのまま減額をしなきゃいけないということではないわけです。まさに都道府県の判断ということになるわけですので、今の議員の懸念が生じないように、国としてはやはりそこを要請していきたい、そのようにお答えするしかないのかなと思います。
○高橋(千)委員 ここは、懸念が生じないようにとおっしゃいましたけれども、やはり〇六年の三位一体改革の中で、特別調整交付金を七%県に割り当てるということで、これがまさに県の裁量という形で、広域化へ向けての第一歩であったのであろうと。ですから、明らかにこれは国の意図だと思うんですね。国が直接手をかけなくても、あるいは国が直接お金をどうこうしなくても、県が市町村に競わせる、そういう仕組みが強まるのではないか、明確になるのではないかということを指摘したわけであります。これは何度言ってもそれ以上お答えできないでしょうから、指摘にとどめたいと思います。
あとの保険料の問題でありますけれども、例えば合併が広域化の一つのモデルになる、既にそういう問題は起こっているわけですよね。ある山形県の大きな合併があった市ですけれども、旧町村の保険料が一・五倍になりました。これは、中心となる都市部と周辺の旧町村で見ますと、周辺の旧町村は、医療機関が身近にないために保険給付そのものが非常に少なかったわけなんです。給付が少ない、それで保険料も低かった。都市部はその逆でありますので、非常に給付も高い、保険料も高い。合併したのでその高い方に合わせられちゃう。これはもう踏んだりけったりの事態が起きるわけですね。ですから、そういうことが全県という単位で起こってくるわけです。一本化をしようとすると、当然そういうことが起こってきますけれども、どのように考えるか。
これは今、一つの市で言いましたけれども、やはり保険者規模別で見ましても、収納率で比べると、町村部が九二・〇八%に対し、十万人以上の市部では八五・四九%、政令都市が八五・九七%という形で、都市部の方が収納率が悪いわけですよ。そういうことも含めて平準化をしていくということは、非常に条件が悪い、つまり医療提供体制がなかなかないけれども頑張っているところが逆に不利になっちゃうということをどう見るのか、どう支えていくのかということが一つであります。
それから、一本化しようとするとどうしても、市町村独自の例えば子供医療費無料化など、そういう取り組みが影響を受けるおそれもありますけれども、この点についてどうお考えか、伺います。
○足立大臣政務官 今の視点は、今までの保険料から上がるということと、各市町村で非常に不平等である、先ほど五倍という話がありましたけれども、それをどちらをとらえるかという感覚だと思うんです。
私は、市町村による不平等を是正することの方がやはり重要だと思いますが、その中で、これは委員御指摘の医療提供体制が密接に絡む問題でありますから、都市部はネットワーク化を図る、そして医師の不足地域については、できるだけ施設を集める形にしないとなかなか平等に医療あるいは介護を提供されるという環境にはならないと思いますから、医療提供体制のことも含めて、まずは保険料の域内での平等性というものを重視したいな、そのように考えております。
○高橋(千)委員 平等性という言葉で高い方に合わせられるというのはやはりしんどいぞということ、きょうはそこまでにしたいと思います。
次に、高齢者医療制度改革会議の検討が今第四回まで進んでおります。
資料の四に示しておりますけれども、これが政府案の土台になるのではないかと専ら言われている案でございます。六十五歳以上は全員市町村国保に加入し、高齢者の医療給付費を公費、高齢者の保険料、若人の保険料で支える仕組みとした場合、七十五歳以上は約五割ということで、これを前提の試算がございまして、厚労省が、宮武委員という方でございますけれども、その求めに応じて財政試算をしたものだというふうに聞いております。
この間の議論をこうして見ますと、新制度へ向けての六原則では、年齢で区分するという問題、これはもう解消すると言われていたわけですけれども、やはり年齢で区分することになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○足立大臣政務官 今、委員御指摘のように、これはある一委員の求めに応じてその試算を厚生労働省の方で提出したということでございまして、他に三案、合計四案があります。今、議論の過程の中で、費用負担のあり方、保険者としてのあり方等、これからまだ議論している過程ですので、おっしゃるように、この案では年齢に区分していることになるのではないかという御指摘は、それは正しいことだと私は思います。
そこで、一つだけ付言させていただければ、先ほど坂口議員の中で、何が一番悪いのかと。これは、七十五歳以上の方だけの治療方針、あるいは診療報酬、あるいは健診を受ける機会とか、その区別があったのが一番いけなかったんだと私は思っておりまして、その点は現政権においてなくしました。
そしてあと一つは、御党御指摘の適正化計画というものをどうとらえるか。医療費がかかれば、自分たち、そして若人も保険料負担がふえていく、このある意味ペナルティーのような仕組みが非常に不評を買ったのではないか、私はそのようにとらえております。
○高橋(千)委員 ですから、そのことと今議論されていることがどう結びついていくのかなと思うんでありますよ。
国保中央会のネットニュースでは、改革会議は、今回の案、というのは私が今示した案ですよ、それを軸とした中間報告を夏までにまとめると報じており、まさにこれが政府案の中心であるというふうなことを書いているわけですね。大枠はこうなっていくのではないのかと。
今、四案出されましたとお話がありましたけれども、四案のうち、年齢区分を明確に取り払っているのは連合さんが出している案一つしかない。議論の中ではどうしてもそういう筋になっていくのではないかということをやはり言わざるを得ないわけです。
それで、資料の四で下の方に書いてあるように、公費は九千億円減ることになります。そのうち八千億円を市町村国保に回すのかということが言われておりますが、要するに、市町村国保の負担がふえる分をここから回していくのかなというふうに書かれているし、国保中央会のニュースにも書かれております。国庫補助がふえるわけではない、むしろ減らすんだと。
そうすると、全体として国保や医療保険の財政基盤を安定化するという思想、あるいは国庫補助は当然そのためにはふやすんだと思っていたわけですが、そうではないのかということを伺いたいと思います。
○足立大臣政務官 先ほど答弁しましたように、これは、ある一案に対してこういう条件でと言われたものをつけたものでございます。それで、先ほど宮武委員とおっしゃいました。宮武委員の条件はこれ一つではございません。ですから、その場合は公費がふえるような試算になっております。
ですから、数ある案の中の一つで、そのシミュレーションに沿ったらこうなったということでございますから、この案でということでは現時点ではありません。
○高橋(千)委員 私が聞いているのは、この案ではそうだけれども、国としては、医療保険の安定化のために国庫補助をふやす考えがあるかということです。
○長妻国務大臣 私どもは国保の支援を強化していくというような基本的方針がございますので、国庫補助を減らすということはないと思います。
○高橋(千)委員 減らすことはないというお答えでしたが、少しでもふやす方向だということは明確になかったというのは非常に残念に思うわけであります。
つまり、これは一つの案ですと政務官おっしゃいましたけれども、今出されている案の中でも、こうして公費が減っちゃうんだという議論がされるわけですよ。後期高齢者医療制度にしたことでもまた減ったわけです。そうすると、公費をこれ以上は出さないという枠の中で、ではまたどこかからもらいましょうという議論をしているからこそ無理が来ているし、今回の議論もまさにそうなわけです。そこで本当に医療を国として支えていくんだという思想が出てこないということにやはり大きな問題があるのだということを指摘しなければならないと思います。
そこで、具体的に伺いますけれども、来国会に法案を提出する、後期高齢者医療制度にかわる新しい案について来国会に法案を提出すると大臣は繰り返し答弁をされております。そこで、どこまで法案に盛り込むのでしょうか。つまり、大臣は昨日、後期高齢者の皆さんの声を聞く会、アンケートですか、検討会を立ち上げたようでありますけれども、当事者の声を聞くということとスケジュールとの関係はどうなるのかというのが一つ気になっております。
それから、民主党のマニフェストには、被用者保険との一元的運用というところまで書かれております。被用者保険との一元的運用となりますと、今、健保連を初め保険者団体からさまざまな意見が出されておりまして、これも含めて年内に決着というのは当然無理だろうと思いますけれども、どこまで盛り込むのか、伺います。
○長妻国務大臣 法案の話でありますので、これは、夏に中間取りまとめを出した後、どこまで盛り込むのかも含めた検討事項になるというふうに思います。
そして、今、高齢者の皆さんも含めた国民の皆さんの声を聞くということでございますけれども、これは、前の後期高齢者医療制度の反省に立ってきちっと聞かなければならないということで、二段階に分けて聞こうと考えております。まずは、夏の中間取りまとめが出る前に第一段階として御意見を聞く、そして、中間取りまとめが出た後にその案に対して御意見を聞いていくということで、一定の規模の調査手法を使って、広く専門家及び国民の皆さんの御意見も集約をできればありがたいと思っております。
○高橋(千)委員 意見を聞く方はわかりました。それで、被用者保険との一元的運用については、来年目指している法案にはそこまで決着は見ないということですね。
○長妻国務大臣 一元的運用というのがどこまでの意味なのかということがございますので、もちろん、国保と被用者保険を全く一つにするということは、そこまでは今のところ考えていないと思いますけれども、それを部分的に一体的に運用するというようなことについてはいろいろ議論があると思います。
いずれにしても、先ほど申し上げましたスケジュールの中で議論をしていく課題だと思います。
○高橋(千)委員 はっきりしない答弁でしたけれども、これはとても無理だと思うんですね。何か、一元化はもうしちゃうのかな、そういう議論をしているのかなということを思っていたわけですけれども、今回の法案の議論の中で、決してそうではないのだろうということがはっきりしてまいりました。
そうすると、今回の法案は、いわゆる協会けんぽへの国庫補助積み増しのために、肩がわりなどという言い方をされていますけれども、健保組合から総報酬制によって負担を分かち合ってもらう、こういうことが盛り込まれているわけですけれども、この仕組みは三年間ですね。そうすると、三年間というのは、四年後の後期高齢者にかわる新しい制度ができる、始まるところまで続くわけです。そこまではまず決めている。
問題は、被用者保険と国保との一元的運用まではまだ決着がつかないとすれば、この支援金に当たる部分、つまり、後期高齢者医療制度の支援金に当たる部分ですね、名前はどうなるかは別として、では、それをどうするつもりなのか。黙っていると、ますますふえることになりますよね。どうしますか。
○長妻国務大臣 今おっしゃられた協会けんぽの絡みの総報酬制については今のスケジュール観でございますけれども、それ以降について、どういう形で総報酬制も含めて支援をしていくのか。それは、もちろん支援をするということは必要になるわけでありますので、それも全体の議論の中で決着を図っていくということであります。
○高橋(千)委員 これもさっぱりしないわけですが、要するに、支援金か、老健のときは拠出金という言い方をしましたけれども、何らかの形でこれが残るとすれば、いよいよもって後期高齢者医療制度の基本的枠組み、これが新制度に移っても残ることにならないかということなんですよ。
さっきから言っているように、年齢で区別するというのが、財政調整という形で若干残るだろうということが大体推測されています。しかも、この支援金、そのためには何らかの形で若人の保険料から支援を受けなければならない。そうすると、基本的な枠組みはやはり残る。それは、年齢が逆に拡大しちゃったりとか、そういうことはあったとしても、そこからやはり抜け出すつもりがないのかなということを言わざるを得ないわけですね。その点はどうなんでしょうか。
○長妻国務大臣 先ほども、この後期高齢者医療制度、どこが問題だという議論があった中で、七十五以上に区分した一つの保険ということを申し上げましたけれども、それに伴って診療報酬も七十五以上、特別の診療報酬をつくったというようなことについていろいろ反発があったということも承知しておりまして、年齢で区分する保険はつくらないということであります。
ただ、例えば、被用者の方々について、その方々が会社を退職された後々までもその保険に入っていくということについては、事務手続等々いろいろな問題があるということで、一定の年齢の方は別の保険になる、こういう考え方も理解できるわけでありますので、そういういろいろな論点を議論する中で新しい制度を決めていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 まだいろいろ聞きたいことがあるのですが、きょうはここまでにいたします。
結局、四年後と大臣が言ってきたけれども、四年後にはまだ決着がついていない問題がいろいろ残るということがはっきりしたんだと思うんですね。そしてやはり、表現は違うけれども、年齢で区別をするという考え方が残る可能性がある。
そういう中で、やはりそれは、本当に医療制度をどのようにしていくのかというのはもっと時間がかかる問題なんだろうと。せっかく当事者の声も聞こうと言っているんだから、それは一定、時間をかけていいと思うんです。でも、そのためには、だったらもとの制度に戻すということを直ちにやるべきだ、それが国民の声なのではないか。そこから先については国民は何も了解していませんので、まだ何にもわからない新しい制度について、お任せしますとはだれも言っていないので、そのことをやはり重ねて指摘をして、きょうは終わりたいと思います。
以上です。