国会質問

質問日:2018年 6月 13日 第196国会 厚生労働委員会

健康増進法改定案(受動喫煙防止対策)

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 健康増進法、いわゆる受動喫煙対策は、これまで与党の中の調整が続き、塩崎大臣による政府原案は大きく変えられてしまいました。会期末の今ごろに審議入りというのは、本来ならあり得ないことだと思いますが、私にとってはきょうが初めての質疑でございますので、十分な審議時間を確保していただくよう、委員長また与党の委員にも強くお願いをしたいと思います。
 当然、きょうたくさんの方が質問されましたので、一部ダブりもあると思いますが、流れの関係で、なるべく調整をしつつ進めていきたいと思います。
 それで、資料の1ですけれども、二〇一六年十月十二日に出された政府のたたき台であります。受動喫煙防止対策の強化についてとタイトルがついています。基本的な方向性が、これは大変高い志がありまして、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック等を契機に、日本の受動喫煙防止対策をオリンピック開催国と同等の水準にするため、日本のスモークフリー元年を確実に実現すると。このまま政府案として出してほしかったなと思っております。
 質問は、おさらいになりますが、まず、受動喫煙とは何か。守られるべきは非喫煙者だけなのか。なぜ、望まない受動喫煙、つまり、望まないがついているのかについて伺います。
○加藤国務大臣 まず、受動喫煙とは「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされる」ということで、これは法律で定義をさせていただいております。
 この法案では、屋内において受動喫煙にさらされることを望まない方が、すなわち非喫煙者がそのような状況に置かれることのないようにする、子供など二十未満の方々、患者など受動喫煙による健康影響が大きい方々が主たる利用者となる施設等について受動喫煙対策を一層徹底する、これを基本的な考え方としているところでございます。
 受動喫煙に望まないがついている理由でありますけれども、例えば喫煙室内で喫煙をしている者の受動喫煙は対象としておらず、たばこの煙にさらされるのが嫌な方を受動喫煙から守る、これを目的としたものであることから、望まないという言葉をつけたところであります。
○高橋(千)委員 これはちょっと整理したいと思うんですが、受動喫煙と言った場合に、その対象者は非喫煙者だけではないと思います。例えば一日一本しかたばこを吸わない人が喫煙室でたばこを吸って、いろいろ、ずうっと吸っている人の煙を吸うことも含めて受動喫煙と言っているはずです。ここを確認したい。
 それから、望まないイコール非喫煙者という、望む人はいないんだということでよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 先ほど申し上げた受動喫煙の定義は「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされることをいう。」ということでありますから、人と書いてありますので、人は非喫煙者だけじゃなくて、喫煙者を含めた人ということに当然なるわけであります。
 それから、望むということでありますけれども、ここは、したがって、望まないという、先ほど申し上げた、こうした言葉をつけた一つの例示を申し上げさせていただきましたけれども、例えば、御自身がもちろんたばこを吸う目的ではありますけれども、喫煙室に入れば、当然、他人の吸われた煙を受動喫煙するということになるわけでありますけれども、そこは、今回においてそれは対象にしていないということでございます。
○高橋(千)委員 ですから、今二つ分けて聞いたんですね。
 望まないイコール非喫煙者とおっしゃいました。ですから、非喫煙者、たばこを吸う習慣はないけれども、望む人はいるんだという意味ではないですよねということを確認したんです。
    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕
○橋本委員長代理 済みません、もう一回質問してもらっていいですか。
○高橋(千)委員 さっき西村委員の質問に対する答えを聞いていてふっと思ったんですね。つまり、自分から吸いに行く人は、要するに、望まない人には入らないんだということをおっしゃいました。でも、吸わない人の中で望む人がいるかのような言い方はおかしいんじゃないかという意味で、非喫煙者は全て望まないということでよろしいのかと聞いただけです。
○加藤国務大臣 非喫煙者は基本的に、多分、望まないことになるんだと思います。
 その上で、今委員は喫煙者の話で、喫煙者においても、通常のスペースでほかのたばこを吸っている方の煙というものを嫌う方は当然おられるわけでありますし、当然それは受動喫煙ということになります。
 ただ、先ほど申し上げたように、喫煙専用室等においては、それは必ずしもここで言っている望まないということには当たらないというふうに考えているわけであります。
○高橋(千)委員 わかりました。
 ですから、本来ならば、望まないという表現は使わなくてもよいのだと思います。受動喫煙の中には当然喫煙者も入っているということが確認をできました。
 その上で、やはり望まないという人は、みずから望む、たばこを吸わないのに望んで受動喫煙するよという人はいないんだということで、ここは言葉が必要ないんじゃないかと思います。逆に、そのことによって、できない、今回の法案ではカバーし切れないことを暗に言っているのかなということがあるので、このことを重ねて指摘をしたかったわけです。
 二〇一六年八月に、国立がん研究センターが、受動喫煙に遭っている者はそうでない者に比べて肺がんになるリスクが約一・三倍に高まるとして、受動喫煙における肺がんのリスク評価をほぼ確実から確実に変更をしました。
 ですから、意識している、していないにかかわらず、受動喫煙を本当に防止をしなければならないわけです。日本でも毎年一万五千人が受動喫煙により亡くなっているというのは、繰り返し皆さんが指摘をされているところです。
 平成二十八年度の国民栄養調査でも、習慣的に喫煙をする方は一八・三%、二割を切っている。八割が非喫煙者なわけですよね。そのうち、四二・二%が飲食店で、そして三〇・九%が職場で受動喫煙をしている。ここまではっきりしているわけですから、やはりそこをピンポイントで対策をしていく、封じ込めていくということが必要なのではないかという視点で議論していきたいと思います。
 まず最初に伺いたいのは、受動喫煙の中にサードハンドスモーキングは含まれておりますか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のいわゆる三次喫煙、サードハンドスモーキングでございますけれども、これによります健康影響につきましては、現時点におきまして科学的知見が十分ではございません。このため、本法案の受動喫煙には含まれておらず、このような中で三次喫煙に関する規制を設けるということは、実効面での課題もあり、現時点においては考えてはございません。
 今回の法案は、我が国の受動喫煙対策につきまして、これまでの努力義務による自主的な対応によっていたものから、法律上新たに原則屋内禁煙を基本とする規制を設けるものでありまして、まずはこの新しいルールを混乱なく社会に定着させていくことで、国民の健康増進を着実に前進させてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 受動喫煙の中には含まれていないという答弁がまずありました。
 資料の二枚目を見てください。
 これは、二〇一六年九月に発表された通称たばこ白書にある文章であります。ですから、たばこ白書ですので、厚労省が発表しています。
 三次喫煙ということで書いています。ちょっと真ん中から下の段を読みますけれども、「三次喫煙の問題点は、一旦、有害化学物質が壁や埃に吸着するため換気といった対応では解消できないことが上げられる。三次喫煙の概念が報告されてからまだ数年のため、現段階で三次喫煙による健康影響を示す疫学調査報告は見当たらない。」ここまでは何度もおっしゃるわけですよね。それで、「最近は家屋の埃にも発がん性のたばこ特異的ニトロソアミンが含まれるなど三次喫煙を示す実験結果は、次々に報告されている。今後、わが国においても三次喫煙に関する研究成果が蓄積され、健康影響に関する報告が増えることが予想される。」
 研究成果が蓄積され、健康影響に関する報告がふえることが予想される、そういうふうに厚労省自身が書いている、これをちゃんと受けとめていただきたいと思うんですね。
 皆さんもよく経験があると思うんですが、私なども、ホテルの禁煙ルームを希望するんだけれども、あきがなくて喫煙ルームにやむなく入りますと、幾ら消臭剤をかけた後だとしても、においで頭が痛くなります。タクシーで前の人が吸ったなとすぐわかります。実はきょうのことなんですが、けさ、本館からエレベーターに乗っておりようとしたら、二人の男性がおりてきまして、強いたばこ臭で正直吐きそうになりました。
 こういうことというのは本当によくあるんですけれども、化学物質過敏症というのは、吸っていたわけじゃないんですよ、残っているんですよ、外で吸っていた人のにおいが。過敏症というのは、こうしたことがきっかけで発症するわけですよね。
 実際、化学物質過敏症の専門外来のある国立盛岡病院を受診された方の中には、職場で隣の席の人がヘビースモーカーだったために、部屋の中では吸っているわけじゃないんですよ、だけれども、においに発症し、一年間の休職を余儀なくされた。職場の車に乗ったときに、前に乗った人のたばこ臭があって目や喉がちかちかする、それで窓をあけて運転したんだけれども、その後、少しのたばこ臭でも反応するようになり、結局、過敏症になった。狭い車内だからこそ、高濃度の汚染状態となっていたためです。
 先ほど尾辻委員が、PM二・五の資料を見せていただいたと思うんですけれども、このようなことを、やはり現時点であるんだ、そしてふえる見通しがあるんだということは、その認識くらいは共有できると思いますが、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 私もたばこを吸いませんので、非常に今、高橋委員おっしゃるところ、よくわかるところもございます。
 ここにありますように、一つあるのは、健康影響を示す疫学調査報告がないということ、これが今の現状だと思います。
 ただ一方で、そうした発がん性等の物質というんでしょうか、そうした実験報告が出されているということでありますから、我が方としても、まずそうしたさまざまな文献等をしっかり収集し、また分析をして、こういった問題にもしっかり当たっていく必要があると思いますが、ただ、現状は、先ほど申し上げたように、まだそこまでの分析をし得る状況に至っていないということでございます。
○高橋(千)委員 まずは共有するところから始める。
 それで、いわゆる禁煙外来、今どのくらいあって、どのような症状に対し保険点数がついているのでしょうか。
○鈴木(俊)政府参考人 お答え申し上げます。
 禁煙外来につきましては、診療報酬におきまして、ニコチン依存症管理料を設けて評価を行っているところでございます。
 この管理料でございますけれども、スクリーニングテストでニコチン依存症と診断された方であって、習慣的な喫煙者として一定の要件を満たす方のうち、直ちに禁煙することを希望していらっしゃる患者さんに対しまして、禁煙指導を行った場合に算定するものでございます。
 このニコチン依存症管理料の届出機関数でございますが、増加傾向にございまして、平成二十八年時点では一万六千五百十三機関でございます。
○高橋(千)委員 初回は二百三十点というふうなことも聞きました。
 一万六千五百十三届出機関になっている、ふえているということでありまして、やはり禁煙外来というのが一定の、これは全部かなうことではないかもしれませんが、保険点数になっているということは重要だと思うんですね。
 それで、二〇一六年十月八日に、日本禁煙学会は、受動喫煙症の分類と診断基準、これを十一年ぶりに改訂しました。そして、受動喫煙にはサードハンドスモーキングを含むと加えられました。たばこ煙あるいはたばこ臭を嗅ぐことで起こる、この中に、電子たばこ、加熱式たばこも同じ扱いになっているわけです。
 レベルがゼロの正常から五の重症受動喫煙症まであるんですけれども、このレベル五になりますと、急性・慢性受動喫煙症の経過中に、致死的な病態又は重篤な後遺障害の合併に至ったものとして、悪性腫瘍、肺がん、副鼻腔がん、子宮頸がんなど、乳幼児突然死症候群、クモ膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞などがあるというふうになっています。
 私が言いたいのは、まだ始まったばかりではあるんですけれども、今後、サードハンドスモーキングについても、やはり基準ができたわけですから、症例が積み上がっていくと思うわけなんです。
 そこで、第二十五条の六に、「国は、受動喫煙に関する調査研究その他の受動喫煙の防止に関する施策の策定に必要な調査研究を推進するよう努めなければならない。」とあるわけです。
 それで、まず、たばこ白書は二〇一六年九月に発表しましたけれども、今後どのようなスパンで出していくのか、また、当然、そうした調査研究の中に、今お話ししたサードハンドスモーキングも入れていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今委員御指摘のこれはたばこ白書と呼ばれて、ただ、白書と呼ばれている割には毎年出ているわけではありませんけれども、については、たばこの健康影響に関する科学的知見の蓄積状況や、たばこを取り巻く社会的変化の状況、こういったことを見ながら、必要な更新を検討していきたいというふうに思います。
 これは二〇一六年九月に公表したところでありますから、しかも、それは十五年ぶりということでありました。十五年というのはちょっと長過ぎたという感じは私も持つところでありますけれども、最近できたということもございますけれども、そうした状況を踏まえながら、更新をしていくということでは検討していきたいというふうに思います。
 それから、三次喫煙の話であります。
 法案の中の受動喫煙にどこまで含み得るのかという議論がありますので、余り厳密に言うと、入るのかなという議論もありますが、ただ、幅広い意味で研究していくということで、このサードハンドスモークですか、いわゆる三次喫煙については、いまだ、先ほど申し上げた、健康影響について明らかになっておりませんけれども、今後、国内外の研究結果等、知見の収集等に努めていきたいと考えております。
○高橋(千)委員 きょう初めてこの問題を質問しましたので、今の言葉の中に意が含まれているというふうに受け取りたいと思います。
 それで、次に、既に詳しく取り上げた委員もおられますけれども、FCTC、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の趣旨と本法案の関係について伺いたいと思います。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約、FCTCでございますが、これは、たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から現在及び将来の世代を保護することを目的とし、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制及びたばこの規制に関する国際協力について定めたものでございます。
 この条約の第八条には、たばこの煙にさらされることからの保護に関する規定が定められており、本法案の内容は、同条を踏まえた措置に対応しているものでございます。その他の規定を踏まえた措置につきましては関係省庁で対応することとしており、二年に一度、厚生労働省が、条約の履行状況につきまして世界保健機関の条約事務局に報告をすることとなってございます。
 以上でございます。
    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋(千)委員 資料の三枚目に、これは厚労省がまとめてくれた枠組み条約の中身を、概要をつけておいたんですけれども、一番右下にわざわざ、注、ガイドラインに法的拘束力はない、こう書いているのが、厚労省が言いたいことなのかなというふうに思いますね。
 先ほど来多くの方が議論をされているわけですけれども、二〇〇七年の第二回FCTC締約国会議、第八条履行のためのガイドラインの中で、やはり受動喫煙の被害をなくすには完全禁煙以外の方法はないということを言われているわけですが、日本は、これは全く別物の、今の法案は完全禁煙するべきだというガイドラインとはやはり別物なんじゃないか。それは、法的拘束力がないからいいのよと思っているのか、あるいは、いや、目指していくんだという意味なのか、伺いたいと思います。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 今お話ございましたが、FCTCのガイドラインにおきましても、直ちに例えば屋内全面禁煙が実施できない場合には、最小限の例外を設けて、その例外をなくすよう継続的に努力をすることを求めているものでございまして、そういった観点からも、本法案がこれに反するものではないというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 今のお答えは、じゃ、継続的にということは、五年後の見直しもありますし、当然これは完全禁煙を目指していくという趣旨でおっしゃいましたか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 望まない受動喫煙をまずなくしていく、そういう観点から法律の円滑な施行を目指していきまして、その上で、その実施状況も踏まえまして必要な見直しをしていくという形で考えているところでございます。
○高橋(千)委員 今の答弁の中に、望まない受動喫煙をまずなくしていくと。だから、そこに望まないを入れているのはそういう趣旨なんだよねという、完全禁煙にはかなりほど遠いけれども、たどり着くかどうかわからないけれども、一応掲げているけれども、その一歩だという程度の認識なわけですよね。それをもって違反ではないと言っているということは、非常に残念に思っております。
 それで、時間の関係でこちらから言ってしまいますけれども、資料の4に、これもよく指摘をされているわけですが、WHOの調査で、世界の百八十六カ国中、公衆の集まる場所八種類全てに屋内禁煙義務の法律があるのは五十五カ国です。日本はその法律がないので最低区分、これは今現在そうですよね。そのゼロから二種類のところに日本が入って、アメリカと仲よく入っているわけです。
 ただ、今般の健康増進法改正法案により、区分は一ランク上がる。一ランクですよね。これは五年に一回一つ上がるくらいではちょっと全然間尺に合わないわけで、今の答弁とこの最低区分のランクの問題、いかがですか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 まず、WHOの評価基準についてでございますが、これは八種類の公衆の集まる場所、パブリックプレーシズの中で、完全禁煙の種類数で評価をしているものでございます。
 現在、我が国では罰則つきの規制が導入されていないため、四区分のうち、ゼロから二種類、先ほどお話ありました最低区分のところで評価をされているところでございますが、本法案が可決、成立して施行されることになりますと、一つ上の三から五種類の区分になるというふうに考えてございます。医療機関、大学以外の学校、そして大学の三つはカウントされるものと想定をされております。
 いずれにいたしましても、望まない受動喫煙をなくすという法律の適正な施行によりまして、さらなる受動喫煙対策というものを進めていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 やはりそういうところに覚悟が見えるんだろうと思っております。私は、例外が多過ぎると言わなければならない、最初の案に戻るべきだと思っております。
 資料の5ですけれども、少し飛ばします。
 受動喫煙対策により、現状がどのように変わるのかということで、五五%が経過措置の対象になっているのは多いんじゃないかとか、百平米の根拠は何かとか、さまざま質問を用意しておりましたけれども、大体質問も、それ自体が果たして根拠があるのかということも含めて議論があったので、少しそこは飛ばしたいと思います。
 私が思うには、既存の飲食店のうち経営規模の小さい店舗は、言っちゃ悪いが、今までと何も変わらないんですよね、経過措置と言いながら。二十未満の人が入っちゃいけないということと、表示をちゃんとしなさいというだけで、結局何も変わらない。
 経過措置と言いながら、期限がわからない。これはやはり絶対おかしいと思います。それで、新しい人はちゃんとやりなさいと。これはダブルスタンダードじゃありませんか。
○加藤国務大臣 本法案では、既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業者が運営するものについては、直ちに喫煙専用室等の設置を求めることが事業継続に影響を与えると考えられることから、一定の経過措置を講じたものであります。
 こうした一定の経過措置を講じた事業者においても、先ほどのお話に加えて、そこで働く人に対する配慮等、これも求められているわけでありますけれども、法施行後に新たに開設する飲食店については、これはもう法施行されているわけでありますから、何をどうしなきゃいけないということが既にそこで明らかになっているわけでありますので、それを前提に開設ということを当然お考えになられる。であれば、喫煙専用室を整備する費用も含めて、開設に必要な資金を事前に確保し得るということにもなるわけでありますので、現在の既存の店舗とは状況が異なるということから経過措置の対象とはしていないということでありますが、こうした規制は、規制を入れるときにはあり得るやり方だというふうに思っておりますので、合理的なものであるというふうに思います。
○高橋(千)委員 二〇一七年の三月二十四日の発表ですが、九州看護福祉大学の共同研究グループのプレスリリースがあります。厚労省原案、最初の案に、性別、年齢、職業、業種などに偏りなく、賛成が七三・一%でした。飲食業に従事している方々も、六五・四%が賛成しています。
 ですから、何か声の大きい人がいたかもしれませんが、飲食業の方たちも三分の二は賛成している。やはりそういう立場で議論をしていかなければ、だって、ダブルスタンダードと私は言いましたけれども、もし、いきなりは無理よというのであれば、ちゃんと期限を区切ればいいじゃないですか。それでこそ経過措置というんじゃありませんか。
○加藤国務大臣 経過措置については、国民の意識、あるいはそれぞれの取組状況、そういったことを勘案して判断するということで、具体的にというか、考え方の基本は、そこの中に設けさせていただいているところでございます。
○高橋(千)委員 ですから、全くその見通しが出てこないわけなんですよ、経過措置といいながら。普通であれば、五年の見直しの間までに一定整っているというのが普通じゃないですか。
○加藤国務大臣 ですから、そこは、別に法律に定める日までの間ということで、そして、別に定める日については、本法案の施行後、受動喫煙防止に関する国民の意識や既存の特定飲食提供施設における受動喫煙防止のための取組の状況、これを勘案して適切に判断するという一つの判断基準も、判断の考え方もこの法案の中に盛り込ませていただいている、こういうことであります。
○高橋(千)委員 残念ですよね。五年の見直しまでにさえも言えない。だから、さっき言った、ランクが最低から一ランク上がるだけですけれども、到底、目指す枠組み条約にふさわしいとは言えない、批准した国とは言えないと指摘しなければならないと思います。
 それで、具体的に聞きますが、喫煙専用室、どのようなものですか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 喫煙専用室につきましては、第二種の特定施設につきまして、専ら喫煙をするという場所として規定をされているものでございます。
 具体的には、たばこの煙が他に漏れないというようなところで規定をしているところでございますけれども、具体的な基準等につきましては、今後、法案が成立した後で、有識者を交えて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 漏れない以外の基準、今何も言えないんでしょうか。だとすれば、ふさわしい対策をとったとさえ言えませんよ。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 一つは、現在、労働安全衛生法の中で進めております取組、これを一つの参考としてというところでございまして、その部分につきましては、入り口部分での風速が〇・二メートル、それからいわゆる隔壁で遮断をきちっとされているといったようなところが参考になるというところでございますが、具体的な点につきましてはこれから検討してまいるということでございます。
○高橋(千)委員 最初にそうお答えになるべきだったと思うんです。労働安全衛生法の基準を一定参考にするんだというふうに説明を受けております。
 それで、資料の6を見てください。
 これは、まず屋外の話です。喫煙専用室は屋外の話をしてから質問したいと思います、考え方の整理が必要なものですから。
 まず、さっきの資料の中で、敷地内禁煙と言っている部分も、学校、病院、児童福祉施設等も敷地内禁煙なんだけれども、屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に喫煙場所を設置することができる、こういうのがあるわけなんですよね。
 それで、屋外の喫煙所ってどんな基準がありますかということで出していただいたのがこれで、「労働安全衛生法の一部を改正する法律に基づく職場の受動喫煙防止対策の実施について」。職場の受動喫煙防止対策ですから、完全に一致とは言えないと思いますが、参考になると思います。平成二十七年の五月十五日なんですが。
 屋外というのは、開放型と閉鎖型というのがある。外から内部が見えること、これもなるほどなと思っているんですけれども、これは、たばこ煙を速やかに屋外喫煙所の外に排出するためには、煙が内部に滞留せず、また天井に沿って水平方向に拡散しないようにすることが効果的であるというので、図があって、天井が斜めで、あえて開口部があるということで、ああ、そうか、屋外というのは煙を外に出す仕組みなんだなと思ったんです。
 そうすると、言いたいことはわかると思うんですが、学校とか病院とかの敷地の中で、屋内は禁煙ですといっても、その出入りする場所は、幾らスペースが設けてあったとしても、煙は外に出すわけなんですよね。それはやはり受動喫煙になるよなと思うわけなんです。
 それで、まず安衛部長に、この考え方についてちょっと一言説明いただきたい。
○田中政府参考人 屋外喫煙所の関係での御質問ということでございますけれども、今お示しいただいている資料、これは2の(2)というところですけれども、2の(1)のところに屋外喫煙所の設置場所というのがございまして、その開放系のところについて御説明しますけれども、たばこ煙が事業場の建物の内部に流入すること等により、労働者が受動喫煙することを可能な限り避けるためには、建物の出入り口や窓、人の往来が多い区域から可能な限り離して設置することが効果的であるというふうに書いてあります。
 ですから、喫煙所自体の構造とあわせて、これをどこに設置するかといったことについても配慮すべきということをお示しさせていただいておりまして、これは全く事業所の外で設置するものですけれども、そこから流れる煙についても適切に配慮するようにお願いをしているところでございます。
○高橋(千)委員 外なんだけれども、出入り口にもろに煙が行っちゃうでは意味がないという説明が今あったんです。
 だけれども、校庭の、玄関、校舎の入り口からうんと遠いところにあったって、いずれ、帰る子供たち、朝出てくる子供たち、あるいは校庭で鉄棒をやる子供たち、それは、少しは離してやりますよといったって、結局は煙は外に出すわけですから、やはりこれは設けないというふうに整理するべきだと思うんですね。
 文科省の調査だって、九割以上は既に全面禁煙になっている、学校敷地内は全面禁煙になっているわけですから、こういう、外に置いてもいいなんてことはやめたらいいんじゃないでしょうか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 本法案におきましては、病院や学校等の第一種施設は敷地内禁煙としているところでありますが、敷地内を全面禁煙とした場合、施設外での喫煙に伴います近隣施設等との摩擦などの問題も生じ得ること等から、特定屋外喫煙場所において限定的に喫煙を認めることとしたものでございます。
 なお、特定屋外喫煙場所につきましては、これは、望まない受動喫煙を生じさせないように、施設の利用者が通常立ち入らない場所などを想定しているところでございます。
○高橋(千)委員 これは言えば言うほどおかしくなるんですよね。
 きのうも随分やりとりしたんですけれども、玄関から離すんだ、敷地の外だといったら、敷地の外になったら他人の敷地なんだから、他人の敷地に置くわけにはいかないでしょうとなったら、その敷地の際に置いてしまったら、やはり、今言ったように、近隣の方に御迷惑をかけるじゃないですか。やはりおかしいんですよ、この考え方は。やはり、例外として外に置いてもいいということをやめるべきだと思うんです。
 では、中の方はどうなのか。中の方は、では安全なんですかということなんですけれども、資料の7に、これは安衛法における喫煙専用室の考え方。これは中ですので、いきなり、例えば本会議場の前にもエリアがありますけれども、あそこからもくもくと煙が出ていたら大変なわけで、ダクトとか換気扇と空気清浄機の合わせわざみたいな状態になっていることと、それから、出入りのときに煙が漏れない工夫というふうなことを説明を受けました。なるほど、しかし煙はやはりどこかに出さなきゃいけないのであって、専用室だからといって煙がなくなるわけではないという、かなりの限界があるなと思うんですね。
 この資料を見ても、要するに換気扇か、この程度のことを言っているのかなというふうに思うんですが、安衛部長、一言、あったらお願いします。
○田中政府参考人 事業場の中に喫煙室を設けて対応する場合でございますけれども、この場合、ここにも書いてありますように、まず、しっかりとした換気装置といいますか、これは単なる空気清浄装置ではなくて、それではなかなかガス成分が取れないものですから、空気全体を屋外に排出するということを推奨しております。
 それによって喫煙室の中の滞留を、速やかに煙の滞留を解消していただくとともに、喫煙室から喫煙できない場所への逆流を防ぐために、〇・二メートル毎秒の気流を確保してくれということでございます。
 この気流の基準につきましては、平成十四年に専門家の方に御検討いただきまして、この気流を確保していれば、開口部からの逆流については問題ないであろうということで基準を定め、さまざまな助成金を今支給しておりますけれども、助成の対象とする喫煙室の基準についてもこの基準で対応させていただいているところでございます。
○高橋(千)委員 やはり、こういう限界があるということなんだと思うんです。
 ちょっと、問いがいっぱいあって、時間との競争を今しておりますので、冷静に次に行きたいと思うんですが、資料の5に戻っていただきたいと思うんですね。
 この真ん中の部分、規制がある、飲食店のうち百平米以上のところですね、あるいは新たに開設する店舗のところなんですけれども、喫煙専用室設置又は加熱式たばこ専用の喫煙室設置、こういうふうにあるんですね。
 加熱式たばこの専用の喫煙室というのは飲食も可能だと聞いています。そうすると、専用室といっても、百平米のうちの何割とかという決まりが一切あるわけではありませんので、同じフロアで違う専用室を設けるというのは非常に考えにくいと思うんですね。加熱式たばこを吸う人が、その専用室がなくて、喫煙者の方に入ることはありだと。でも、その逆はまずいということも聞きました。
 これは非常にややこしいと思いますが、どのように考えますか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 今般の法案では、禁煙措置や喫煙場所の特定を行いまして、喫煙が可能となる場所に掲示を義務づけることといたしております。
 この掲示につきましては、誰にでもわかりやすいものとする必要があると考えております。今後、モデル的な様式をお示しすることも含めまして、しっかりと内容を検討していくことで、今御指摘ございましたけれども、間違えてしまったり、迷ってしまったりというようなことを極力減らしていくような努力をしてまいりたいと思います。
 御指摘のように、間違って入室することがないよう、加熱式たばこ専用の喫煙室と喫煙専用室の標識につきましても、その違いが明確にわかるような内容となるように検討してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 さっき一言指摘をするのを忘れたんですけれども、小さい規模で、大臣、すぐには大変だとおっしゃったんですけれども、全面禁煙、条約のもとになる全面禁煙をすればお金は一円もかかりませんから、そうすると、自分のところだけ不利だということもないですから、やはりそういう立場が一番わかりやすいと思うんですね。これは、加熱式たばこと紙巻きたばこが間違えるかもしれない、わかりやすくやるんだとか、こんなことまで考えなきゃいけないという、本当に異常な事態だと思うんです。
 ですが、加熱式たばこの議論、先ほどもありました。国内で製造、販売されているのは三種類あるわけですけれども、いずれも葉たばこを使っている。だから、法令上はたばこ事業法における喫煙用の製造たばこなわけですよね。
 そうすると、WHOの受動喫煙防止対策においても加熱式たばこは区別していないと思いますが、いかがでしょうか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 WHOにおきましては、たばこという枠組みの中に加熱式のたばこというものは含まれるということで、一定の規制をすることについてはお考えをお示しになっておりますけれども、具体的にどのようにという点については、まだ具体的な情報はない、そういう状況でございます。
○高橋(千)委員 時間がなくなってきましたので、これを最後の質問にして、また次の機会、お願いしたいと思います。
 二〇一七年七月二十一日に日本禁煙学会が、緊急警告、加熱式電子たばこは普通のたばこと同様に危険です、受動喫煙で危害を与えることも同様で、認めるわけにはいきませんということで、アイコスの蒸気の内容物について、その含有量を普通の紙巻きたばこと比べた、アメリカの医師会の雑誌にスイスの学者が公開した資料。ニコチンの量が紙巻きたばこの八四%、アクロレインが八二%、ホルムアルデヒドは七四%、ほぼ変わらない、こういう指摘があるわけなんですね。
 それで、きょう大臣にどうしても伺いたいのは、こういう中で、加熱式たばこが禁煙の一つのステップみたいに宣伝をしたり、使っている人もいるんですが、そういう使い方は推奨するべきではないと思いますが、考え方を伺います。
○加藤国務大臣 加熱式たばこなどの新規たばこの製品群、これは、禁煙したいと思っている喫煙者にとって魅力的であるということを示されているということは承知をしておりますが、これらの製品が禁煙に有効であるかどうかについては、相反する研究があるというふうに承知をしております。
 支持する方々からは、新規製品に禁煙への潜在的な可能性があり、紙巻きたばこより安全な製品への切りかえを促すという主張、いわゆるハームリダクションということを言っておられます。
 しかし、他方で、今委員が取り上げられた例もそうだと思いますけれども、その反対の立場の方からは、これらの製品が逆に喫煙者の禁煙意欲を低下させ、結果的にたばこ消費を増加させるリスクがあるなどという主張がされて、専門家の間でも意見が分かれているというふうに承知をしておりまして、現時点でいずれかの結論には達していないと考えておりますし、そういう状況ですから、推奨するという状況には当然ないというふうに認識をしております。
○高橋(千)委員 最後に明確な答弁をいただいてよかったと思います。また続きをやりたいと思います。
 終わります。

 

――資料――

2018年6月13日衆院厚生労働委員会提出資料

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