国会質問

質問日:2010年 5月 14日 第174国会 厚生労働委員会

児童扶養手当法改正案

 日本共産党の高橋ちづ子議員は14日の衆院厚生労働委員会で、児童扶養手当法改正案質疑に関連して、手当の「一部支給停止」措置を廃止するよう求めました。

 母子家庭対策は2002年の改悪で「経済支援」から「就業・自立へ向けた支援」という位置づけに変わり、児童扶養手当は離婚時における生活の激変緩和措置とされ、5年以上受給すると最大で半額支給停止するとされました。世論の批判が強く凍結措置が取られましたが、受給継続には申請が必要となっています。

 高橋氏が、民主党が野党時代にマニフェストに掲げていた一部支給停止廃止をなぜ法案に盛り込まなかったのかとただしたのに対し、長妻昭厚労相は「政府内で調整がつかなかった。激変緩和ということで、不安定な母子家庭への支給を無理にカットするという考えではない」と答弁しました。

 高橋氏が一部支給停止の実態をただしたのに対して長妻厚労相は、3958世帯が対象になっている(10年1月)と答弁。高橋氏は、全体の0・4%の世帯であり、一部支給停止を廃止しても財政的影響は大きくないことを示し、廃止に踏み出すよう迫りました。厚労相は「1期4年の中で廃止に向けて努力する」と述べました。

(2010年5月18日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先ほど来お話がありましたけれども、けさ札幌地裁で、B型肝炎訴訟について、国は和解協議に入ることを正式に表明をいたしました。協議入りしないということ、まさかそういう選択はないだろうと確信を持っておりましたので、このこと自体は当然だと思います。

 しかし、国は、救済範囲や賠償額などの具体案については議論が尽くされていないとして提示をせず、七月上旬にならないと具体案が示せないとして、あと二カ月待たされることになりました。

 きょうが期限なので協議入りするとは言ったものの、案が全くないのであれば、なぜきょうまで引き延ばしてきたのか。もっと早く会ってほしいという原告の声になぜこたえることができなかったのか。きのうまでときょうからと何が違うのか。

 大臣の決意を伺いたいと思います。

○長妻国務大臣 きょうまで、この和解の裁判所からのお勧めに対して、どう判断して、その後どう展望を開き、そしてこのB型肝炎という非常に重大な課題、これは内閣全体として受けとめなければならないということで、本日、和解協議に入るということを申し上げたわけでございまして、その後も、政府部内できちっと議論をして、裁判所の仲介で一つ一つ、我々、原告の方の御要望もいただいておりますので、一つ一つそれを詰めて、誠実に対応していく、こういう所存であります。

○高橋(千)委員 時間がないと原告らが訴えているわけですけれども、この二カ月間、札幌の和解勧告が出されてからの二カ月間だけでも二名が既にお亡くなりになっている、このことをどうお考えでしょうか。これでまた二カ月まで案も出されないということがあってはならないわけです。

 まず、この御遺族を初め原告の皆さんと一刻も早く直接会って謝罪をする、これが必要だと思いますが、いかがですか。

○長妻国務大臣 これは、午前中もお答えいたしましたけれども、まさに本日、テーブルに着く、和解協議に入るということを申し上げましたので、きょうのきょうでございますので、今の時点で、会うというようなことをまだ申し上げる段階ではございません。

○高橋(千)委員 何でそんなことさえも言えないんですか。きょう札幌に行っている方たちと、物理的な問題があるかもしれませんよ。でも、そういうことではなくて、二カ月、十四日ぎりぎりまで引き延ばしてきた間に、当然、そのことはお考えになっていたと思うんですね。ですから、当然、会うことは一日も早くやるのだ、その一言ぐらいなぜ言えないのですか。

○長妻国務大臣 先ほど申し上げましたように、本日午前中、和解協議に入るというようなことを申し上げたわけでございますので、今この時点で、直ちに、お会いをするという予定について、まだ申し上げるということはできません。今のところ、今の段階で予定というのはございません。

○高橋(千)委員 これで和解のテーブルに着くと本当に言えるのかしら、何のためにきょうまで待たされていたのかと。本当に時間稼ぎだと言わざるを得ないんです。

 体のぐあいが悪いのを押して、この間も三度の座り込み行動、共同行動をやられましたけれども、その中でも、本当に病状が悪化された中でも厚労省の前で座り込みをして抗議を続けていらっしゃった原告の皆さん、もう本当によく御存じだと思うんですね。

 今お話の中に、原告の要望もいただいていますのでと言っておりましたけれども、いただいておりますのでではなくて、直接会えばいいわけですよ。そのために協議に入ると言ったわけじゃないですか。そのことさえもまだきょう一言も出てこないというのは、本当にがっかりさせられました。

 これだけで時間を費やすわけにはいきませんので、ここで一たんは終わりますけれども、必ず、一日も早く、特に御遺族の皆さんにお会いして謝罪をして、それから本当に両者が納得いく解決へ向けて努力をされたい、このことを重ねて要望したいと思います。

 さて、きょう、児童扶養手当の問題ですけれども、児童扶養手当を父子家庭にも支給されるというこの法案ですけれども、もちろん、これについては私たち、大変歓迎をしております。我が党も、佐々木憲昭議員などがかねてより繰り返し求めてきたところであります。

 当時は、シングルパパは平均するとシングルマザーよりも収入が高いのだといった平均理論、比較理論、こんなことばかり言ってきたわけですけれども、既にその数値でさえも説得力のないものになっている、一般家庭から比べると父子家庭の方がやはり厳しくなっている、そういう実態を踏まえていること。また、仕事と子育てがやはり両立できないで、転職や労働条件の変更をせざるを得なかった、そういう深刻な実態を訴えてきた当事者の運動が実ったものである、このように思っております。

 そこで、最初に伺いたいのは、第一条の目的のところであります。先ほど少し加藤委員なども議論があったと思うんですが、今回、父子家庭を入れることで出だしは少し足してありますけれども、「父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給し、もつて児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」

 実は、この今読んだところで、「児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進」、この部分は一九八五年の改正で追加されたものでありました。一九六一年に児童扶養手当法が成立した当初はこの部分がなくて、ストレートに、「児童扶養手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図る」とされていたものでありました。

 この際、子供に着目をして、もとに戻す考えはありませんか。

○長妻国務大臣 ここには、今おっしゃっていただいたように、二つあるわけであります。家庭の生活の安定と自立ということ、子供の福祉の増進でありますが、ある意味ではこれは表裏一体でもありますので、特に経済的な支援という側面が非常に強い制度でありますので、この目的、第一条については、表裏一体の表現であるというふうに考えております。

○高橋(千)委員 表裏一体とおっしゃったんですけれども、「生活の安定と自立の促進」、ここは、やはりその後の、これからお話をします一部支給停止ですとか、そうした考え方の基本になってきたものであります。ですから、その基本が今変わってきているのではないか、見直しが当然されるべきではないか、要するに、政府の姿勢を伺いたいなと思うわけです。

 一九五九年に国民年金法が成立したときは、夫と死別した母子に母子福祉年金を給付したことが始まりと聞いておりますけれども、当時は戦争未亡人が中心だった全国未亡人団体協議会、現在の母子寡婦福祉協議会に引き継がれていくわけですけれども、その大きな要望運動がございました。ただ、その中に、一割台だったけれども、生別、生き別れの母子家庭もいるのだ、大変さということにそう違いはないのだということで強い要望があって、生き別れも含めた手当となった。そういう経過がこの条文にあったのではないか。

 つまり、一人親という状況を踏まえた上で、その子供の育ちを応援するという、まさに子ども手当に共通する考え方だと思いますけれども、今回、父子家庭も入れたことで、発想はがらっと変わったわけであります。そういう意味でも、この目的は当然見直されていいはずだ。検討をいただきたいと思います。

 そこで、先ほど質問もあったわけですけれども、改めて私からどうしても質問したいわけですが、野党時代の民主党が法案を出し、マニフェストにもあった一部支給停止の廃止、この法案をなぜ今回出さなかったのですか。

○長妻国務大臣 これについても、先ほど来御指摘をいただいております。

 これは民主党のマニフェストに衆議院選挙のときに書き込んだわけでございますので、これについては一期四年の中で実現に向けて努力をしていくということでありまして、今回の法案に盛り込まれなかったのは、政府の中で調整がつかなかったという事情もございます。我々としては、一期四年の中で取り組む課題だというふうに考えております。

○高橋(千)委員 そこで、さっきの質問に関連があるわけですね。児童の家庭の生活の安定と自立の促進だ、自立の促進を図るという意味で就労支援をやればいいのだということで、児童扶養手当はあくまでも激変緩和だということで大きく考え方が変わったわけです。

 しかし、その就労支援がまだまだ成功したとは言えないし、ましてその根拠法さえも今は失効しているという状況なわけであり、当時は、就労支援と引きかえにやるんだからということでこの法案の改正に民主党も賛成をしたはずであります。そうした中で、そういう考え方に後戻りはしないのだということでよろしいですか。

○長妻国務大臣 激変緩和という考え方は、基本的にはとるつもりはありません。

 国のいろいろな就労支援の施策あるいはその施策以外の御自身の努力によってお給料が安定をして、結果的に所得制限よりも上の所得を取られて児童扶養手当が支給されなくなる、こういうようなことを我々は望ましいとも考えておりますが、当然、その個人の努力、あるいは国の施策、あるいは自治体の施策によってもなかなか一定の収入が得られず、不安定な方がおられますので、そういう方について無理にカットしていくというような考え方、激変緩和という考え方に立脚しているつもりはないということであります。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。貴重な答弁をいただいたと思います。

 二〇〇二年、五年以上受給し、末子が八歳以上の世帯が最大で半額の支給停止、この法案が決まったときに、五年後がそろそろやってくるということで当事者たちが強い運動をいたしまして、私もこの問題を繰り返し質問いたしました。〇七年十一月の質問では、〇二年改正当時二百十二万円だった母子世帯の収入が〇五年で一万円しかふえていないと。当時の大谷雇用均等・児童家庭局長は「低所得世帯が多くを占める状況に大きな変化はなかった」と述べ、五年たったら手当を削減するという根拠がないことを認めたと思います。

 その後、与党合意がされ、事実上の凍結となったわけですけれども、そのときに、働いているか、あるいは求職活動をしているということを証明した場合という条件がつきました。事実上の凍結ということで私たちも大変喜んだわけですけれども、そのことを証明するための詳細な書類を出すことが条件でありました。

 当時、あなたは支給停止の対象になりますと大きく書いた紙が送られてきて、まずそこにびっくりする。ずっと読んでいくと、ちっちゃい字で、ただしこれこれの書類を出した場合は大丈夫なんですよ、今までどおりですよと書かれているんだけれども、それに気づかない人だってたくさんいるし、これはこの書類の書き方そのものが問題なのではないかということを当時お母さんたちと一緒に厚労省にも申し入れを重ねて、改善を図っていただいた経緯がございました。

 そこで、現在、一部支給停止になった方、それでもいらっしゃるわけですけれども、どのくらいいて、また、それによる財政額というのは幾らくらいなんでしょうか。

○長妻国務大臣 今手元にございますのは、ことしの一月時点で一部支給停止者数が三千九百五十八人ということでございまして、金額というのは今手元にございませんので、これは、調査できれば調べてみたいと思っております。

○高橋(千)委員 ぜひ調査をしていただきたいと思います。大体三億円程度というふうなことを聞いております。

 それで、最初は、私が言ったようにびっくりする書類が来たころ、あのころは、〇八年九月末の調査で六千三百八十四人が一部支給停止の対象となりました。ですから、それから見るとかなりぎゅっと減っているわけですね。

 その当時、厚労省は、引き続きお知らせをしていって、それで救える方がいると思いますということをおっしゃっていました。これも、やはりお知らせをすることによって、いろいろあって、あるいは気づかなくて届けを出していなかったけれども継続支給になった方が相当数いるということが考えられるんですけれども、いかがでしょうか。

○長妻国務大臣 これについては、私どもとして三千九百五十八人の方々の中でサンプル調査をさせていただいて、どういう状況でそういうふうになったのか、今おっしゃられたような要素もあるのかないのかというのを調査して、実態把握をしていこうと考えております。

○高橋(千)委員 大臣はサンプル調査が大変お得意で、実態はつかむ必要があると思うんですけれども、私は、正直言ってもういいんだろうと思うんです。財政影響額も余り大きいとは言えません。実質ほとんどの人が継続となっているわけです。全体の〇・四%なわけですね、今回一部支給停止になったという方は。ただ、その方たちに何度も何度も書類を出しなさいというような事務手続、あるいは、お母さんたちがパートの仕事を休んで役所に書類を持っていかなきゃいけないということの大変さ、そういうことを考えたら、そこまでしなくてもいいのではないか。

 つまり、それ以外に現況届というチェック方法がちゃんとございますし、現況届を出したことによって支給が停止になった方や、収入がふえているだろうということで返還を求められている方はたくさんいるわけです。そういうことで、いわゆる本来もらうべきでない人というのは現実にもはじかれていっているわけですよ。ですから、そういうことに余り労力を割く必要はない。だから廃止でいいと私は思っているんです。

 少なくとも、書類は現況届だけでよいのだというふうにすべきではないでしょうか。

○長妻国務大臣 これについては、現況届のみということを直ちにということはなかなか難しいと思いますけれども、提出の簡素化ということであれば、郵便やファクスによる提出でもよいこととしております。

 あるいは、五年を経過した際に一回、一部停止措置が適用されない事由に該当することを証明するための書類の提出をお願いしておりますが、その後については、一年に一度、同様の書類を提出していただければ足りる、ファクス、郵便でもいいなどなど簡略化ということに努めてまいりますけれども、いずれにしても、一期四年の中で、これについて廃止ということで努力をしていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 これについては要望しておきますけれども、当初は、やはり期待していたのは、一回書類を出せば後は現況届のときにチェックすればいいのだという理解だったんです。私はそれでいいと思います。

 例えば、保育所の所長さんなどがおっしゃっているわけですけれども、母子家庭のお母さんたちは正社員が非常に少ないですので、届けを出すたびに仕事をかわっている、あるいは間があいている、そうしたことが非常に多いわけです。あるいは派遣のような働き方をしていたりするわけであって、ですから、自分自身が働いているのだ、あるいは求職活動をしているのだということを証明すること自体が非常に大変なことであるという実態もございますので、そこは本当に思い切った簡素化を図っていただきたいし、先ほど繰り返していらっしゃいますので、一期四年の中で必ず廃止をするということで確認をしたいと思います。

 次に、先ほど古屋委員の質問の中で出てきた答弁が、もしやそれでよいのかなという期待をしているのでありますけれども、四月の委員会で一度質問させていただきました児童扶養手当と遺族基礎年金。これは子供さんに出されている併給の問題でしたけれども、わずか八千円の年金をもらったがために四万二千円の児童扶養手当がもらえない。これは、こういう硬直的な制度は当然なくすべきだということで、再度求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○長妻国務大臣 これもたしか高橋委員から、先月ですか、御質問をいただいて、私としては、遺族年金が少ない金額で来て、そして児童扶養手当が停止になるということについて、それを是正するにはどういう方法があるのか、どういう影響があるのか、これを検討してみるということで、役所に指示をしているところであります。

 いずれにしましても、検討をいたしますけれども、それと同時に、年金制度改革ということで我々新しい年金制度をつくるということを申し上げておりますので、その中でも全体の、これにかかわらず、併給をどうするのか、いろいろな論点が数限りなくございますので、そういう中でも調整をしていくということであります。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。これもなるべく早く成果を見たいなと思っております。

 やはり子供さんがいるということは、一番必要な時期というのは期限があるわけでありますし、所得保障の制度だという説明が先ほどあったわけですけれども、併給したとしても、多分所得制限よりもずっと下の方、枠の中であるという状況で、どっちかじゃなきゃだめ、年金じゃなきゃだめという議論はもう成り立たないのだということで、重ねて要望したいと思います。

 それから次に、制度改善の問題で、要望を含めてお話をしておきたいなと思うんです。

 先ほど古屋委員、DVの問題などかなり詳しく議論をされておりましたけれども、あわせて、例えば、父親が遺棄している認定基準というものがございますけれども、昭和五十五年の課長通知、父が児童と同居しないということが条件なんだけれども、これを詳細に分析していって、これにとどまらないいろいろな要件を課しているわけであります。

 私が相談を受けた例でいいますと、母親のもとに子供さんが一緒に暮らしているわけですけれども、例えば学校帰りなどに父親が自分のうちへ連れていくわけです。おばあちゃんが連れ戻しに行ってまた一緒に暮らすんだけれども、それを繰り返すことになるわけですね。そうすると、DVがあり、実質別居はしているんだけれども、子供をお父さんが連れていったということで一緒に暮らしている瞬間がある、完全別居じゃないというふうな理屈で、その当時も厚労省に相談をしましたけれども、それは手当の支給の対象にならないという回答でありました。

 しかし、これは実態からいうと、やはりお父さんが面倒を見ているとか一緒に暮らしているという実態ではないわけですよね。この点も改善をすぐにやるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○長妻国務大臣 今の話につきましても、やはり自治体の実務の現場の立場からすると、では実態は、本当に詳細に中まで入って、どういう人間関係で、どういう家計なのかというのを確認していく、こういう作業が必要になってくると思いますので、今の時点では、一年の遺棄等々の要件ということについて、我々としてはそれを運用していくということでお願いをしているところであります。

○高橋(千)委員 大臣、済みません、今のは一年の話ではなくて、遺棄の実態の中身なんですけれども、要するに、事実上別居はしているんだけれども、父親が連れ戻すことを何度か繰り返すので、完全な別居ではないということで該当になっていないケースであります。

 これは、先ほどお話しした課長通知には、「ただし、遺棄のケースはこれにとどまらず種々のケースがあると考えられるので、」「単に機械的に適用するのではなく事実関係を総合的に勘案のうえ判断されたい。」このように書いているわけであって、当然そこを、事実関係をしっかり見れば対象になることもあるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○長妻国務大臣 これは、認定基準についていろいろな通知を出させていただいておりますけれども、「父が児童を遺棄している場合とは、父が児童と同居しないで監護義務をまつたく破棄している場合をいうものである。」ということと、「単に機械的に適用するのではなく事実関係を総合的に勘案のうえ判断されたい。」ということも申し上げておりますので、でき得る限りその実態を確認していただくということについてお願いをしているというところであります。

○高橋(千)委員 ですから、実態によっては手当の対象になる場合もあるということでよろしいですね。

○長妻国務大臣 この実態というのがどういう実態かというのもありますけれども、もちろん自治体が判断をして、これは監護義務を全く破棄している、実態がそういうふうになっているというふうに判断する場合はその要件に当たるということであります。

○高橋(千)委員 ここら辺のところを十分検討されたいと思います。

 これは、国保の問題なんかでも同じなんですけれども、機械的にやらないようにと幾ら通知には書いても、そうはいっても、現場には出されている言葉、基準以外に頼るものがないわけですので、それが機械的に近いものになってしまうということもあるので、実態を見れば手当の対象になる場合もあるのだとおっしゃってくださることが一番の効果があるんだろう。担当課長会議だとかさまざまな場において、そこら辺をよく検討されたいということを要望しておきたいと思います。

 こうしてみると、児童扶養手当の課題が非常に多くて、今回できなかった問題についても引き続き見直しを図っていく必要があるなということを非常に今感じております。

 この間、支給停止のことがやはり一番焦点だったものですから、そこに集中してきたわけなんですけれども、そもそも所得制限がとても低いわけなんですね。かつては二百万円以上だった上限が、今は百三十万以下でないと全額の四万一千七百二十円もらえない、それ自体が余りにも低過ぎる。そういうことも含めて、しかも、それでも五八%が全額支給されているということを見ると、いかに母子家庭の年収が低いかということを物語っているわけで、そういうことも引き続いて大いに検討をされたいと思います。

 そこで、要望を込めた質問をもう一点いたしますけれども、所得税の寡婦控除についても、今回、児童扶養手当を父子家庭へということもございましたし、児童扶養手当を受給している家庭がちゃんと対象となるような見直しが当然必要になってくると思います。厚労省としても検討し、税制調査会などでしかるべき声を上げていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○山井大臣政務官 高橋委員にお答えを申し上げます。

 この寡婦控除の充実等、一人親家庭に対する税制については、今、人的控除制度全体のあり方について調査会をつくって議論しておりますので、その中で議論をしてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 ぜひ前向きにお願いをしたいと思います。きょうは初めてお話をしましたので、また次の機会にしたいと思います。

 次に、関連をすると思いますので、子ども手当の問題で少しお話をしたいと思います。

 子ども手当の質疑のときに私は指摘をしているんですけれども、実際に、自治体の独自のサービスが、手当が出るからということで縮小されているということが起こっているのではないかなと思います。

 例えば、五月三日の朝日新聞のニュースですけれども、名古屋市は、第三子以降の三歳未満児を対象とした子育て支援手当を段階的に廃止する、月額二万円を今年度から半額とし、来年度に停止する方針である。

 あるいは横浜市、児童手当を受給する母子、父子世帯、生活保護世帯に市が上乗せしていた独自手当、これは三歳未満児対象、月額二千円ということで、小さいですけれども、今年度から廃止をする。

 それから、大阪府摂津市などでは、学用品や給食費などを支給する就学援助制度の支給基準を来年度から厳格化するということで、これは既にあちこちで起きていた問題ですけれども、改めてこういうのが出てきている。

 それから、例えば京丹後市ですが、ホームページにこんなふうに書いておりました。出産祝い金の廃止。第三子以降を出産された保護者の方に対して、一子につき五万円を給付していました出産祝い金給付制度は、平成二十一年度、二十二年三月三十一日までの出産で終了します。申請される方は、三月三十一日までに申請をお済ませください。なお、三月三十一日までに申請することができない場合は、四月三十日まで申請を受け付けますということで、こればっかりは、三月三十一日までと言われても、おなかに子供さんがいても、予定日が四月以降ならもらえないし、だからといって早く産むわけにもいかないわけです。

 こんな影響が既に各市で起きている。政府はどのくらいこうした実態を把握しているのか。また、今後影響が広がることが懸念されますけれども、そうすると、子ども手当の効果が薄まるように思うんです。どのように考えますか。

○山井大臣政務官 高橋委員にお答えを申し上げます。

 以前からこの問題、高橋委員、確かに子ども手当の審議のときから御指摘になっておりました。そして、五月三日の新聞、私も連休中でしたが、一面記事を拝見しまして、高橋委員の顔を思い出したところでございます。

 もちろん、子ども手当の趣旨というのは、社会全体で子育てを応援しようということでありますから、それとの関連性において、一人親世帯の支援を減らすということに仮になったとすれば、それはある意味で、両親がそろっている世帯と一人親世帯との格差を逆に子ども手当によって広げてしまうことになりかねないわけでありまして、やはり厚生労働省としては、今までから自治体が独自にされていた子育て支援の施策や一人親支援の施策というものはぜひ続けていただきたいというふうに期待をしております。

○高橋(千)委員 今、政務官、とても大事なことをおっしゃったと思います。やはり格差を広げることにならないかということなんですよね。

 子ども手当が、社会で育てるということで、所得制限なく一律に支給をいたしますので、そのことによって、所得の低い方、いろいろな社会保障で支えられている方と、もっとゆとりの部分に使える方ということで、当然格差が出てくるのではないかということを問題意識として持っておりまして、そのことを、質問を用意しておりました。これは同じ認識でいいのかなというふうに思っております。

 そこで、ちょっと飛ばして、次の質問を言いたいんですけれども、そのために何が必要かというときに、子供の貧困ですとか、ここにちゃんと向き合って、土台を一定の水準に上げていかないと効果が出ない、そこからスタートしないと出ないということがやはりあると思うんですね。この点はいいですか。確認したい。

○山井大臣政務官 高橋委員おっしゃるとおりでありまして、所得制限もなしに子ども手当を支給しておりますが、とにかく底上げをしていく、土台を上げていくということが大事だと思っております。

○高橋(千)委員 そこで、私たちは、例えば、子供の医療費無料化や学校給食の無料化など、あるいは義務教育の実質無償化ということをやはり本気でやらなければならないというふうに思っているんです。

 今回は、一つ聞きたいのは、子ども・子育てビジョンには、認可保育所の保育料を一割の自己負担に抑えた場合、六千九百億円という試算がございます。この発想の根拠と、なぜ一割なのかについて伺います。

○山井大臣政務官 高橋委員にお答えを申し上げます。

 子ども・子育てビジョンの議論の中で参考資料を作成しておりまして、その中の一つで、仮に制度的見直しを行うとした場合の試算を幾つか参考的に提示しておりますが、保育料を一割とする制度見直しの場合の試算として六千九百億円というふうなことを出しております。これはあくまでも機械的な試算でありますが、保育料のあり方については、今後の検討課題であるというふうに考えております。

○高橋(千)委員 書いてみただけというのでは困るので、やはり保育料の負担が大きいということで見直しを、一定の軽減を考えているのかということをまず一つ聞きたいと思います。

 それと同時に、厚労省の調査では、昨年の四月で、認可保育所に入っている子供が二百四万九百七十四人、認可外が十七万六千四百二十一人なわけです。当然、御存じのように、認可保育所を希望しているけれども、ないために認可外に入っている子供さんも多いわけです。その方たちは、保育料を下手すれば倍払っていたりするわけで、負担が大きいわけですよね。そうすると、希望する保育所に入れないがために、子ども手当がそこに消えちゃうということもこれありで、さっきの議論と全く同じなわけですよ。

 だけれども、厚労省の試算は最初から認可保育所しか相手にしていない。これはおかしいのじゃないか。つまり、ここは、認可外も認可も、子供であることには変わりはないわけです。子供を育てるための負担を減らすという点では変わりはないわけです。

 例えば、高校授業料の無償化を今回新政権がやったわけですが、そのときに、いろいろ不十分な問題があったとしても、私学にも一定補助をしたように、認可外の子供も含めて保育料の軽減をやるということがあっていいと思いますが、いかがでしょうか。

○山井大臣政務官 高橋委員にお答えを申し上げます。

 保育料を下げる気があるのかということでありますが、これについては、先ほどの参考資料でも申し上げましたように、六千九百億円予算がかかる、非常にたくさん予算がかかるということを改めて痛感をしている、そういう状況でございます。

 そして、認可外保育施設の保育料についても補助を行うべきではないかということに関しましては、無認可の保育所に関しましても、改修等の補助などの認可化移行に向けた支援は行っておりますけれども、子供の観点から公平な支援という意見もあるでしょうし、また一方では、認可外保育施設に対して運営費補助や保育料の補助を通じた財政支援を恒久的に行うと、結果として、保育の質が下のままで固定化してしまうということで反対意見もあるわけでありまして、賛否両論ございます。

 こういうことも含めまして、今後も子ども・子育て新システム検討会議で、幼保一体化などを含めて一緒に議論、検討してまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 時間が来たので、続きは来週やります。終わります。

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