日本共産党の高橋ちづ子議員は22日の衆院厚生労働委員会で、資生堂鎌倉工場の請負会社アンフィニで不当解雇された女性労働者が、実態は派遣なのに請負を装う「偽装請負」で働かされてきたことを告発し、労働者派遣法の抜本改正を求めました。
高橋氏は、政府の改定案で、違法派遣があった場合、派遣先が労働者に直接雇用を申し込んだとみなす規定が盛り込まれたことに関し、そのなかで「いわゆる偽装請負」都は何かと切り出しました。
会社側は、派遣、請負と交互に雇用形態を切り替えましたが、長い人で8年間も同工場で働き続けてきた実態を示し、違法な偽装請負だとただしました。
厚労省の小林正夫政務官は、派遣か請負かの判断は、発注者から労働者への指揮命令があるかどうかによると説明。労働者派遣と請負との区分基準・告示37号により判断していると答弁しました。
高橋氏は、告示37号によると適正な請負は作業が自己完結していなければいけないが、同工場のラインでは、めまぐるしく製造品の種類を切り替えていると指摘。何をどれだけ作るかは、月ごと集ごとの情報把握と製造計画が必要で、資生堂の指示をまったく受けずに自己完結するだろうかと述べ、形式だけ適法にするやり方をただして“抜け穴”のない派遣法の抜本改正を求めました。
資生堂は「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」で厚労省から表彰されているが、解雇された女性たちらの給料は正社員の半分だったと述べ、「差別でしかない」と強調しました。
(2010年10月23日(土)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
先ほど、坂口元厚労大臣ならではの、経験を経ての大変深い問いがございまして、もしやこの後、私が質問しなくてもよくなるようなすばらしい答弁が大臣から出るのかしらと一瞬期待をしましたけれども、大変がっかりいたしました。改めて、気を持ち直して、B型肝炎訴訟の和解協議について伺いたいと思います。
十月十二日、国側が和解金額について明示をいたしました。この資料がポンチ絵になっているので、一枚配っております。死亡、肝がん、肝硬変、その肝硬変を重症の場合と軽症の場合を分けているわけですけれども、この場合は二千五百万円、軽症の肝硬変は一千万円、慢性肝炎が五百万円、無症候性キャリアは対象外であります。これは、検査費用や医療費助成で対応するという表現でございます。
まず、額が薬害肝炎とは大きく違うということ、これは繰り返されたところでありますが、問題はその下であります、「今後の対応について」。提示した案は、総額二兆円かかると書いてあります。国民一人当たり約一万六千円が必要であるとわざわざ書いてあるわけです。仮に原告側の主張に従った場合には、一定の仮定を置いた試算では、総額で最大八兆円規模の国民負担、国民一人当たり約六万四千円と、わざわざ一人当たりという数字まで出して示されたわけであります。
先ほど、櫻井財務副大臣の発言の問題が指摘をされたわけであります。そして、十五日には野田財務大臣が会見で、どうしても国民負担をお願いせざるを得なくなる、今からどういう財源かは詰めていないが、増税もあり得ると思うと述べられたといいます。私は、これは、まるで国による原告に対する恫喝のように聞こえました。
聞きたいのは、八兆円という数字、どこから出てくるのか、その根拠についてまず伺います。
○外山政府参考人 最大八兆円規模の負担となることとしているという試算の根拠でございますけれども、B型肝炎の患者、感染者のうち、どの程度の方が集団予防接種によって感染した方であるかというのは不明でありますけれども、政府といたしましては、原告以外の方にも同様の対応ができるよう、最大限、どの程度の方が救済対象となり得るのかという観点から、一定の仮定を置いて対象人数を推計したところであります。
今回の国の試算におきましては、現状の救済対象者として、まず、現在の患者、無症候性キャリアのうち、予防接種により直接感染した可能性がある者、これを一次感染者といいますけれども、それにつきまして、最初に対象世代を限定し、これは国が責任を認めている期間であります昭和二十三年から六十三年までの間に満六歳以下であった者でありますけれども、次に、母子感染を除き、これは年代ごとに母子感染の割合を仮定いたしますけれども、その中で、一定の証拠により、予防接種による感染と推認される者のみを見込んでおります。国側が主張している証拠による数と、原告側が主張している証拠による数の二パターンを推計しております。
また、このような予防接種により直接感染した者から、母子感染によって感染した者、これを二次感染者といいますけれども、その数につきましても、一定の仮定を置いて推計しております。
さらに、将来的に発症し、または病態が進行する方につきましても、発症率等を前提に一定の医学的なモデルを設定し、推計しております。
このような試算の結果、国側の提案に基づきますと、現状の救済対象者としては、患者、亡くなった方のうち約三・三万人、無症候性キャリアのうち約四十四万人と推計されます。さらに、これらの者のうち、将来的に発症する者は約四万人、病態が進行する者は約二・七万人と推計されます。これらをもとに国側の提案している和解金額を掛けて試算いたしますと、和解金として最大約一・五兆円、無症候性キャリアに対する政策対応として約〇・五兆円となり、合わせて総額二兆円が必要となります。
一方、原告側の提案に基づきますと、現在の救済対象者としては、患者、亡くなった方のうち約三・八万人、無症候性キャリアのうち約四十八万人と推計されます。さらに、これらの者のうち、将来的に発症する者は約四万人、病態が進行する者は約二・九万人と推計されます。これらをもとに原告側の提案している和解金額を掛けて試算いたしますと、和解金として総額で最大約八兆円規模が必要になると考えられます。
なお、これらの試算の根拠につきましては、本日十四時に裁判所に提出したところでありまして、原告側にも同時に手交したところであります。
○高橋(千)委員 皆さん、耳で聞いてみても、なかなかと思ったと思うんですが、最初に不明という言葉がございました。それから仮定のもとに、それから推計をしたと。ですから、推定に推定を重ねた数字であり、根拠は明確ではないと言わなければならないと思います。ですから、何を根拠にするのかといったときに、やはりもっと冷静にならなければ、物すごく国が過大な数字を挙げて、あおっているという状況に近いわけですよ。
例えば、慢性肝炎には五百万円という数字が先月の時点では既に出ていたわけですけれども、そのとき、では自分もそうかもしれないということで弁護団に相談が殺到したのか、そういうこともあり得るかと思ったそうでありますが、現実はそうではありませんでした。あるいは、そもそも原告の皆さんが、ついこの間まではキャリアだった方たちがたくさんいらっしゃって、自分自身も気づかなかったわけですから、気づかなかった人がどうして訴えるんですかというわけです。ウイルス検査をどれほどの人が受けているんですか。まだ数%の世界ではないですか。それが一気に、全国民が一〇〇%検査を受けて、すべてのキャリアが提訴するなどあり得ない。余りにも過大な計算であります。
しかも、国の考え方についてを読みますと、こう書いてあります。原告側の主張を容認する場合には、因果関係がさらに不確実になることや、救済範囲を広くとらえることとの相関で、和解金額を減額することが必要と述べております。つまり、先ほど来出ている五百万から二千五百万という数字さえも減額するかもしれないという意味なんです。
さっき、ばあっとおっしゃられたんですけれども、例えば、亡くなった方、発症された方でわずか五千人しか違いがないんです、推定値で。これは、要するに、母子手帳とか接種痕を証拠として認めると言っているわけですが、それがない人も、当然、全国民が義務だった時代ですから、それは求める必要がないのではないかと原告は言っているわけですね。
ところが、それを受け入れると減額の可能性があると書いているわけです。しかも、その額が幾らかは書いておりません。つまり、原告の皆さんに対して、まあ、これ以上減らないようにこの辺で手を打てと言っているようにも聞こえますし、原告の中に線引きを迫っている、二重にひどいやり方だと思います。額も示されておりませんので、話は振り出しに戻っちゃうんです。これでは一向に話が前に進まないではありませんか。いかがですか。
○外山政府参考人 政府の推計が過大なのではないかということでありますけれども、まず、和解の対象者数の推計におきましては、カルテ等によって輸血や手術、父子感染などの予防接種以外の感染原因が判明し和解の対象とならない方の割合については、現時点では推計することが困難なことから、考慮しておりません。
また、将来、新たに慢性肝炎等を発症する方や症状が進展する方の人数につきましては、一定の医学モデルを使って推計しておりますけれども、前提となる発症率等につきましては、学会等で認められている医学的知見に基づいて設定しているものであります。
こうした前提のもと、申請率一〇〇%と置いて推計しているが、これは、原告以外の方にも同様の救済を図るため、最大限どの程度の方が救済対象となり得るかという観点から推計したものであり、過大推計との批判は当たらないと考えております。
なお、実際にも、仮に今回の和解の内容を一般化した場合には、制度の周知等によって自覚が高まり、申請のインセンティブが働くものと考えられることから、申請率は高くなるものと考えております。
○高橋(千)委員 そんなことは一言も聞いていませんよ。質問したんじゃありません。これは私の意見です。聞いたのは、原告の中に線引きをするなということですよ。話が振り出しに戻っちゃうと言っているんです。質問の意味がちゃんとわかっているんですか。もう聞きませんので、大臣に聞きますので。
この資料の下にこういうふうに書いてあるわけです。「国民全体の問題として取り組むべきことがらであり、救済範囲や、税負担を含む財源確保策について、国会等の場で国民的な議論を行い、一定のコンセンサスを得ることが必要。」と。この国民的議論というのは何ですか。まさか、B型肝炎増税法案でも出すんですか。
これは、私は、八兆円やあるいは四十八万人、四十四万人などと言われる数字が、仮にそれが言うとおりだとしても、それは原告のせいではないわけですよ。国の責任というのは既に明らかになっているわけですよ。それを国民的議論って、国民がどうやってそれを判断するんですか。おかしくないですか。
○細川国務大臣 前の質問のときにも申し上げましたけれども、予防接種というのは、これは私自身も子供のときに受けたわけですけれども、それによって病気にならなかった、国民の大多数の皆さんがそういう便益を受けたわけです。しかし、不幸にも一部の、予防接種が原因でB型肝炎になった方がおられる。
そういうことで、だから、この問題は、その不幸にもB型肝炎に感染した人たちを何とかみんなで救済しよう、こういうことでありますから、これはみんなに考えていただく問題だというふうに考えて、そこで、被害者の方も大変多いわけですから、そうしますと、今議論になっておりますように、なかなか被害総額も膨大な額になってまいりますから、それはだから、国会でも議論とか、そういうところでもして、国民の皆さんの合意をいただけるような、そういう結論にしたいというつもりでその国民的議論というのを使っているものだというふうに思います。
○高橋(千)委員 この問題だけで時間になってしまうので、もう一問だけ聞いてこれは終わりにしたいと思うわけであります。
国民で議論をするという前に、まずやるべきことをやっていないではないかということなんですよ。裁判所が定めた期日以外では一切協議に応じない、その前に、要するに原告らが知る前に幾ら幾らという額が報道で先行される、こういう事態が繰り返されてきました。平場の議論では、今回の裁判では政府が額を出しました、次は原告が出します、こういう話ではやはり、多い少ない、いい悪いという議論しかできないわけです。互いに一致点を探る努力が困難になるわけです。まずそれをやっていないわけですよ。
原告は最初からそのテーブルに着く用意があると言ってきました。ですから、裁判の期日にとらわれないで率直な協議をするべきではないか、これ一点だけ。ちゃんと答えてください。
○細川国務大臣 このB型肝炎訴訟におきましては、裁判所の方から国やあるいは原告団に対して、和解のテーブルに着いたらどうか、こういうお話がありまして、国の方としても、このテーブルに乗ってそこで解決を目指す、こういうことにしたわけです。
これはあくまでも、裁判所の方の和解の勧告に、私どもも、そして原告の皆さんもそこに同意をしてテーブルに着いたわけでございますから、そこでやはり裁判官がリードしてこの和解の話を進めてくれているわけですから、そこは裁判所を通じて国の考え方を原告の皆さんにお知らせする、私はそれが逆に正式なルールではないかというふうに思っております。
裁判所の方からの和解勧告に私どもは応じて、そして原告の皆さんも応じて、その裁判所のテーブルで今お話をしているときに、そのテーブルのほかで話というのは、私はちょっといかがかと思います。
○高橋(千)委員 ちょっと余りにも認識がかけ離れているのでもうこれ以上は聞きませんけれども、大臣はやはり法曹なわけですから、わかっていると思うんですよ。これまでさまざまな、国家賠償を求める裁判とか、あるいは企業に対しての和解の協議とか、いろいろな裁判がやられたわけですけれども、それは、裁判所から求められて期日のときにやりますというだけの話ではなかったんだ、ちゃんと当事者同士の詰めがあって初めて落としどころがあるという話じゃないですか。それを言っているので、今さらそんなことを、今さらテーブルに着きましたよなんていう話はしないでください。これは重ねて指摘をしたいと思います。
せめてそのくらいは言ってほしかったので、きょうはゼロ回答でありまして、ちょっと我慢ができないわけですけれども、これは引き続いて、集中審議という場を求めておりますので、やっていきたいと思っております。
きょうは、実は最初の大臣所信に対する質疑ですので、いっぱい聞きたいことがあったわけですけれども、やはり、細川大臣が野党時代に労働者派遣法の改正案、三党案をまとめた本人であるということで、どうしてもそれを伺いたいと思っておりました。
我々は、多くの派遣労働者が派遣のまま残り、抜け穴だらけの法案だと指摘をしてきたわけでありますけれども、既に、今国会に入りますと、逆にさらなる修正という声が聞こえてくるわけであります。
十四日の参議院の予算委員会で、中小企業に考慮してはどうか、修正の考えはないかといった趣旨の発言がございまして、大臣も、国会の審議を受けてというふうな答弁をされたかと思います。私は、どんなに中身の議論をしても、例外ですよとか猶予期間ですよというのが長くなっちゃうと、もう意味がなくなっちゃうと思うんですね。
そこで、大臣に伺いますが、まず労働者派遣法を今国会で成立させたいと思っているのか。その法案とは、前国会に提出した法案なのか、いやいや、もう修正ありよと思っているのか、あるいは、頑張って、最初に野党時代に出した法案に近いものにしたいと思っているのか。いかがですか。
○細川国務大臣 派遣法の改正案につきましては、これはもう委員は十分御承知のように、労働政策審議会での御議論もいただいて、そして政府案が決定をして、そしてこの国会に提案をさせていただいているところでございます。
私ども政府といたしましては、これはもう私どもが提案をした法案をぜひ成立させていただきたいというふうに思っておりまして、そこはぜひ今国会で成立をさせていただきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 提案した法案を成立させたいと今お話があったと思います。
この間、ネットカフェ難民ですとか日雇い派遣の問題、あるいは一昨年来の年越し派遣村、労働者派遣法の改正が必要だということがずっと叫ばれてきたにもかかわらず、実はこの審議、ほとんどされていないわけなんですね。四月十六日に本会議質問もやりましたけれども、実質的な議論にはほとんど入っていないわけなんです。
ですから、ともかく質疑をちゃんとするべきだ。理事会ではいろいろな議論がございましたけれども、継続になっているわけですから、まずこれをきちんと審議して、十分な時間をとって、参考人、当事者などの声も聞くべきだということを思っているわけであります。これはひとつ委員長に要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
○牧委員長 理事会でしかるべきこの法案の審議の時期を決めていただきたく、私からもお願いを申し上げております。
○高橋(千)委員 日にちを決めるだけの話じゃなくて、十分な審議と、それから参考人も踏まえてという意味でございます。よろしくお願いいたします。
それで、時間がちょっと超過しますので急ぎ足でやります。
具体的に伺いたいんですけれども、今回、政府案に違法派遣があった場合のみなし雇用規定というものが盛り込まれました。一部には、ここに今までより踏み込んだものであるということで期待をされている声もあるわけです。これが実質的に働くのかどうかということですね。
禁止業務への派遣とか、無許可、無届けの派遣の受け入れとか、期間制限違反とか、登録型派遣の原則禁止違反などというのがあるわけですが、いわゆる偽装請負という項目がございます。偽装請負とふだん言われているんですけれども、そういう用語はないわけですので、いわゆる偽装請負というふうな考え方なんですが、それはどういうものをいうんだろうかということなんです。
五月二十八日に当委員会で私が取り上げました資生堂のアンフィニの問題は、私はその典型例だと思うんです。雇いどめされた労働者は、三つの会社と派遣契約、請負契約を繰り返しまして、そして同じ資生堂の鎌倉工場で、長い方で八年間、口紅製造の仕事をし続けました。一つ目の会社が二つ目の会社に移ったのは、合併が理由でありました。次に、二つ目から三つ目、アンフィニに移るときには、このアンフィニという会社、原告らは知らないわけです。どこの会社か、こんな名前があったことを知らない。そもそも、茨城県に本社のあった派遣会社が横浜市に移り、資生堂鎌倉工場と同じ住所に支店を移すわけです。
一般論でいいです。雇用主はかわっているわけです、会社がかわっていますので。それで、派遣、請負を繰り返している。でも、同一人物が同じ工場で働き続けている。これは、受け入れる側の都合、私が言った例でいうと資生堂になるわけですが、労働者を受け入れる側の都合によると言えないのか。こういう形態も違法ではないでしょうか。
○小林大臣政務官 個別の事案についてはお答えできませんが、一般論としてお答えをいたします。
労働者派遣と請負のいずれに当たるかについては、形式上の契約形態ではなくて、派遣先または発注者から労働者に対して指揮命令があるか否かで判断をされると考えております。具体的には、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準を定める告示、これは昭和六十一年の労働省の告示第三十七号ですけれども、これにより判断しているということでございます。
ある事業所で、同じ労働者を受け入れているにもかかわらず、契約が労働者派遣から請負に切りかえられた場合、請負契約に切りかえた後、発注者から労働者に対して指揮命令がなく、適正な請負として行われていれば問題ない、このように考えております。
したがって、御指摘のように労働者派遣と請負を繰り返すことのみをもって偽装請負とは言えない、このように考えております。
○高橋(千)委員 指揮命令という言葉を、何かそのまま指図をするみたいに細かくとるのかどうかということなんですね。
私が聞いているのは、はっきり言って、あなたはここに移りなさいと。だって、その会社を知らないわけですから。そうでしょう。受け入れる側の企業の都合によって、あなたはここに移りなさいと言われたときに、それは、指揮命令という表現ではないかもしれないけれども、雇い入れる側の都合があるのじゃないですかということを聞いているんです。それが一点目です。これをもう一回確認します。
それから、形式上の契約ではなくとおっしゃいました。三十七号告示、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準というものが昭和六十一年に出されておりますけれども、ここの基準をちゃんと見ていきますと、さっき言ったように、指図しているかというだけではなくて、同じ工場の中でラインを、ここだけ請負ですよとなった場合、当然、ちゃんと基準に書いてありますけれども、自己完結しなければならない。機械もちゃんと、その会社だけが受け持っている、作業場所は厳格に分けられている、そういうふうな形でやられなきゃいけないと思いますけれども、これらがぐちゃぐちゃになっていたりすると、これもやはり違法になるんじゃないかなと思いますが、いかがですか。
○小林大臣政務官 みなし規定の関係は今回の法律に入れておりまして、ぜひともその内容でこの法案については成立をさせたいと思っております。
仮に派遣元がかわった場合や請負契約と労働者派遣を切りかえていた場合でも、派遣先、要は発注者において、実態として、同じ業務で原則一年、最長三年の派遣可能期間の制限を超えて派遣労働者を受け入れる場合については、現行の労働者派遣法でも違反となる、このように考えます。
また、改正法案成立後は、このような派遣可能期間の制限に反した場合は労働契約申し込みみなし制度の対象となる、このように考えております。
三十七号告示の関係ですけれども、労働者派遣と請負のいずれに当たるかについては、形式上の契約形態ではなくて、派遣先または発注者から労働者に対して指揮命令があるか否かで判断をされる。
三十七号告示は、この判断に当たっての基準を大臣告示で定めたものでありますけれども、具体的な事例に当てはめるに際しての疑義が事業者等により寄せられていたことから、疑義応答集を出して周知に努めているところでございます。
労働者派遣と請負の区分の基準については、労働者派遣の法的性格から導き出されたものであり、現行の労働者派遣の概念が変更されない限り緩和等の予定はない、このように回答いたします。
○高橋(千)委員 みなしの質問もまだしていないし、何でそういう答弁になるのか。区分をきちんと守っていない場合、ですから、自己完結していないわけですよ、ラインの中で。それは偽装じゃないですかと言っているわけです。
私、実際、今月行ってまいりました、工場に。一日に五回から六回色を変えるんですね、口紅のライン。一日にですよ。基礎化粧品をつくっているんですけれども、一つの工場で二千三百八十種もつくっているわけですから、これは大変な目まぐるしい交換作業をしているわけです。そのたびに色がまじらないようにタンクを切りかえなければいけない。
大変な作業なんですけれども、それは当然、だれがそれを決めますかというと、資生堂が、一月ごとの計画、あるいは一週間ごとの計画というのがあって、この季節のトレンドというものを、ちゃんといわゆる売り場の売れ行きを見て決めるわけですね。でも、そこのラインは、請負のラインは完結していなければならないので、そこだけは別なわけです。材料はこういうものがございます、情報はこういうものがございます、決めるのはあなたたちが決めるんです。これは絶対無理があると思うんですね。
ですから、私が何回も言っているように、この基準に則して非常に無理がある。形式的には分けているように見えるけれども自己完結していないというところを見たときに、それは偽装が問われる場合もありますねと一般論で聞いています。
○小林大臣政務官 繰り返しになりますけれども、労働者派遣と請負の関係ですけれども、あくまでも派遣先または発注者から労働者に対して指揮命令があるか否かで判断される、このように考えます。
○高橋(千)委員 指揮命令の中身を聞いているんです。ちょっとこれでは余りにも、見直しをする意味がないかなと言わなければならなくなってしまうわけですね。そういうことも含めてもっと議論するべきだと思います。
私がなぜここにこだわっているのかといいますと、実はこの資生堂、年間見学者が一万二千人から三千人いらっしゃいます。私が行った日も若いお母さん方あるいは女性たちがたくさんいらっしゃって、大変人気企業です。新卒の学生たちが選ぶ企業のベストスリーに入っているわけですね。しかも、ワーク・ライフ・バランス、女性職員が多くて、また働きやすい企業であると厚労省から表彰されております。それもそのはずで、副社長の岩田喜美枝さんは男女共同参画審議会の委員でもあり、元厚労省の雇用・児童家庭局長でございます。
これを、ワーク・ライフ・バランスを売りにしていながら、実態がどうなのかということがどうしても言いたいわけです。彼女たちは、ラインリーダーもやっているし、制服も同じです。違うのは、給料が半分だということと、就業時間が十分少ないということと、皇太子が視察に来たとき派遣社員は休みなさいと言われたと。こういうことで、これは明らかに差別でしかないわけです。こういうことが是正されていかなければ、女性のニーズだなどという言葉で、結局都合のいい労働力として働かされるということがあってはならないのだということを言いたかったわけです。
続きを必ずやりたいと思いますので、きょうはこれで終わります。ありがとうございました。