被災者家賃 支援継続を
高橋氏質問 自治体の減免に差
日本共産党の高橋千鶴子議員は3日、衆院東日本大震災復興特別委員会で、復興庁の10年での廃止に反対し、それに合わせて各種支援事業が打ち切られる問題を追及しました。
東日本大震災の特別補助で復興公営住宅の家賃は入居後10年間、入居者の所得に応じ減免されますが、6年目以降、段階的に通常家賃に引き上げられる仕組みになっています。復興庁は昨年11月21日付で、自治体が独自に家賃を減免することが可能とする文書を送付。低所得者の家賃が上がる可能性のある7自治体が減免に取り組む一方で、自治体間のばらつきも多く見られます。
高橋氏は、高齢の女性がわずかな年金から家賃を支払っているという声を紹介し、「国として支援を継続すべきだ」と要求しました。復興庁の黒田憲司統括官は「10年目以降も、自治体の判断で家賃を低減していくことは可能」と回答しました。
また、高橋氏は、被災地の住宅と病院や商店などの間を移動するコミュニティーバスへの補助事業が仮設住宅を経由することを条件としている問題で、大震災から7年が過ぎており、高台や郊外にある復興公営住宅に振り替えてもよいとすべきだと求めました。国土交通省の松本年弘・公共交通政策部長は、一般会計で対応していると述べるにとどまりました。
(しんぶん赤旗2018年4月5日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
復興特別委員会が昨年の通常国会終了後全く開かれておらず、七年目の三・一一にも間に合わなかったのはじくじたる思いがあります。課題は山積しており、ぜひ、本日の所信質疑の後も、被災地への視察や参考人も含め、委員会を動かしていただきたいと思います。これを一言要望しておきます。
きょうは、期限のある問題について幾つか質問いたします。
被災者生活再建支援制度の加算支援金の申請期限は、被災自治体の要望を受け、おおむね二〇一九年四月十日までと、延長されています。
例えば、気仙沼市では、二〇一九年度に事業完了が見込まれている土地区画整理事業の区画内においては、住宅再建が当然それ以降になってしまうわけですね。住宅再建を目指している人が利用できなくなることがあってはならないと思います。
ぜひ申請期限については配慮してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○米澤政府参考人 お答えいたします。
被災者生活再建支援金の申請期間につきましては、やむを得ない事情により被災世帯の世帯主が申請期間内に申請することができないと都道府県において認めるときは、都道府県の判断におきまして延長することは可能となっているところでございます。
住宅の被害程度に応じて支給する基礎支援金、また住宅の再建方法に応じて支給する加算支援金のいずれにつきましても、今後の地域の実情を踏まえまして各県において適切に判断されるものと考えております。
○高橋(千)委員 三月六日付の岩手日報によると、一月末現在でまだ七千七百五十八名が仮設住宅に住んでいる。岩手日報社が実施したアンケートでは、当初思い描いていた退去時期は震災後三年半と答えているそうです。退去できない理由は、四六・九%が宅地造成のおくれであること。
今、答弁の中で、県の判断で適切にやるということをおっしゃっているわけですけれども、毎年毎年要請しなければ延長しないではなくて、やはりよく事情をつかんで、これは漏れることがないようにお願いしたいんですね。基礎支援金もとおっしゃいましたけれども、ことしの四月十日で期限を迎えるところもございます。そうしたところも含めて、しっかりと対応していただきたい。お願いをいたします。
次に、復興公営住宅の家賃の問題なんですけれども、東日本大震災特別家賃低減事業によって、政令月収八万円以下の世帯に対する家賃補助がこれまでされていました。六年目から、段階的に補助が減額をされる。被災者にすれば、値上げになるわけです。補助が減る分、値上げになる。十一年目に通常家賃になります。また、収入基準を超える方の家賃は、収入超過者と呼ばれていますが、入居後三年以上で近傍同種家賃へと引き上げることになります。
家賃の減免を引き続き望む声が多く、資料の一枚目につけておきました、復興庁が昨年の十一月二十一日に、自治体の独自減免を認める趣旨の、私が言った二つの方、低所得者の場合と収入超過者の場合、どちらも自治体の判断で減免できるということを通知していただいています。
では、被災三県で、どのくらいの自治体が独自減免に取り組んでいるのでしょうか。
○黒田政府参考人 お答えをいたします。
三十年四月、今月から家賃が上昇する可能性のある自治体は、低所得者につきましては七つございます。その全ての自治体におきまして独自の家賃減免が既に行われているという状況になってございます。
例えば、石巻市では、東日本大震災特別家賃低減事業と同水準の減免を六年目から十年目まで続け、十一年目から二十年目にかけて減免額を縮小していく。また、大船渡市では、東日本大震災特別家賃低減事業の五年目までとおおむね同水準の減免措置を創設済みとなってございます。
○高橋(千)委員 昨日、復興庁から、県、自治体の実情をつかんでいますかということで資料をいただいたわけなんですけれども、四月二日付の実情だということで資料をいただいて、今その一部を紹介していただいたんですけれども、実は、資料の二枚目につけたのは、復興特別調査室に調べていただいたものなんですね。これは三月の資料なんですけれども、復興庁が調べてくださったやつよりも詳しいかな、まあ、こう言っちゃ失礼ですが。もう少し実態をつかんでいただきたいなというふうに思うんです。
例えば、岩手県の場合は、そもそも低所得者の基準自体を、今私が最初に言った八万ではなくて六万九千円以下に下げていることや、近傍同種家賃に合わせる、これを最もまともにやっちゃうと十四万何とかというふうな額になっちゃう。それを、釜石のどこどこ地域の一番安いところを探して七万七千円というふうにしている。基準そのものを安くしている。そこからスタートしていますので、補助もかなり身近な額になってくる。
そういうふうな取組をしていて、県がやっているので市町村も、見ていただくとわかるように、宮古市、大船渡市、陸前高田市、釜石市というふうな形で、県と同じ中身の支援をしているということがわかると思うんですね。
残念ながら、宮城県は県営住宅を持っておりません。県の復興公営住宅をやっていない。そのために、やはりばらつきが非常に大きいです。石巻や仙台市が十年目まで今と同じ水準で家賃補助を延長するということを決めてくれたことは本当にありがたいと思っているんだけれども、こうして見ていただけると、かなりばらつきがあると思うんです。
また、収入超過者に対しての支援が仙台市などはまだないということであります。
だけれども、仙台市では、三千九十世帯のうち、三千九十というのは復興公営住宅に入っている世帯、そのうち減免を受けている世帯は千九百六十六、そのうち月収ゼロ円の特一区分にいる方が四割を超えている、こういう状況なんですね。被災者の本当に深刻な状況に対応していかなければならないと思うんです。
今、八十歳のおばあちゃんが、五千円の家賃を何とか国民年金から払っているといいます。けれども、あと五年で一万五千円になっちゃう、もうこれは絶対国民年金から払っていけない、その年になって公営住宅を出なきゃいけないのかと不安でたまらない、そういう声を上げているんですね。
国としての支援を継続するべきと思うが、いかがでしょうか。
○黒田政府参考人 お答えをいたします。
東日本大震災の災害公営住宅につきましては、その整備に際しまして、激甚災害の場合と比べましても整備費あるいは家賃の低廉化の補助というものを大幅に拡充いたして、自治体に対しまして特段の負担の軽減を図ってまいったところでございます。したがいまして、自治体が今後も家賃の減免を継続するということで入居者の負担を引き続き軽減していくことは可能な状況となってございます。先ほども申し上げたとおり、今月から家賃が上がる可能性のある自治体では、低所得者向けの対策を既に実施済みとなってございます。
今後とも、復興庁といたしましては、自治体に対して、家賃の減免を継続できる、そういったことについて丁寧に説明を行い、入居者の居住の安定が図られるように努めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 少し確認します。
今後もという中で、十年を超えても自治体の判断ではまず減免が可能なのだということが一つ。
それから、もう一つは、特段の軽減をやってきたんだから、それでいいんだというお話をされました。それで、自治体の補助ができるんだという理屈だったわけですけれどもね。それだけの規模の災害であった。だからこそ特段の支援を国会としてみんなで決めたわけでありますし、そして、現実にこうして全く資力のない人たちが、五年、十年たったら追い出されるんだろうか、そこを心配しているわけですから、自治体の実情もよく聞きながら国として一定の方向性を出していくことの方が、やはり独自の努力もするけれどもそこに合わせていく、それはばらつきを少しでも減らしていく方がいいと思う、そういう趣旨で質問していますので、お願いいたします。
○黒田政府参考人 お答えをいたします。
まず、十年後以降もでございますけれども、特に公営住宅の家賃につきましては、御案内のとおり、各自治体で独自に対応することが可能なもともと仕組みになってございますので、十年後以降も自治体の判断で軽減をしていくことが可能な仕組みとなってございます。
それから、今少し申し上げましたが、もともと公営住宅の家賃といいますのは各自治体が条例によりまして設定をする、そういう仕組みになってございますし、先ほど来申し上げたような特段の財政措置もとっているところでございます。
したがいまして、復興庁としては、自治体に対して、家賃の減免を継続する、そういったことについて丁寧に説明を行ってきたところでございますし、各自治体において適切に御判断いただいてきているものと思っております。今後も、各自治体において地域の状況というものを踏まえて適切な対応が行われるように、相談を始めさまざまな取組を行ってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 まず、前段は可能であるということを確認させていただきました。後半の方はなかなか難しい答えだったかと思いますが、丁寧に自治体の実情を聞きながらとおっしゃっていただきましたので、よくそれは相談していただきたい、このように思います。
次に、高台移転が進むとやはり交通が不便になるわけなんですね。自動車がないと買い物も通院もできないという状態があります。どこのうちにも車一台くらいあります。だけれども、仮に車を持つ人が出勤してしまうと、残されたお年寄りとかあるいはひとり暮らしの方は買い物にもどこにも行けなくなるわけですから、絶対に足の確保は必要なわけです。
私は、震災の年からコミュニティーバスのことを取り上げてきました。このことを最初に取り上げたきっかけは、御遺体の安置所を幾つも幾つも捜し歩いている被災者の方を見たときに感じたことなんです。鉄道が被災したこともありました。小さな個人タクシーが乗り合いタクシーという形で少しずつ走り始めた、そういう話題も広がっていました。そのときに、やはり瓦れきの中でもバスだったら走れる、ミニバス、個人タクシー、乗り合いタクシー、こういう形だったら始められるということを求めて、それに対して被災地特例という形でこの制度ができたのではないか、こういうふうに思っております。
資料の三枚目を見ていただきたいんですけれども、特定被災地域公共交通調査事業という形でずっと続いておりまして、ピークのときは三十二の交付自治体。対象地域が三十九市町村あるんですけれども、そのうち、ピークでは三十二自治体まで広がったということなんです。ただ、今は二十二まで落ちているということで、それが必要なくなってこうなった、円滑にほかに移動したというのであればいいんですけれども、そうでなかったら困るんですね。
何が言いたいのかといいますと、実は、上の方を見ていただきますと、この補助対象事業は仮設住宅を回ることを要件としています。ですので、定額補助なんですけれども、仮設住宅の箇所数、六十カ所以上だと六千万円が上限だけれども、三十カ所未満だと三千五百万円と、はなから仮設を回ることを想定しているわけなんです。これはやはりおかしいと思うんですね。
震災から七年たって、もちろん残っているところはありますから、それは必ず回るべきですよ。だけれども、実際にそれが公営住宅にかわっている。そういう実情を見れば、当然そこに変えていかなければならない。駅前や役場、病院前に建っている復興住宅もあります。だけれども、郊外にぽつんと、店も何にもないところに建つ復興公営住宅、防集移転団地なども要件にしてよいのではないでしょうか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、東日本大震災の被災地の生活交通を確保するため、復興特会による地域公共交通確保維持改善事業の被災地特例において、応急仮設住宅等と病院、商店等の間のコミュニティーバスなどの運行を支援してきたところでございます。
復興特会による地域公共交通確保維持改善事業の被災地特例については、引き続き応急仮設住宅等を経由する運行を支援してまいりますが、現在までの被災地の状況に鑑みれば、多くの運行が災害公営住宅も経由するものとなっております。
また、応急仮設住宅等が解消された後、応急仮設住宅等を経由せずに災害公営住宅を経由する場合であっても、一般会計による地域公共交通確保維持改善事業において、交通不便地域の移動確保等を目的とした支援の対象となり得るものと考えております。
○高橋(千)委員 本当に残念な答弁なんですよね。せっかく被災地特例をして、しかも、今おっしゃっているように、いずれは解消されるということを想定に置いていて、何でそれが急に一般会計になるのか。しかも、これは三十二年度までの事業なわけですよね。その間だけでもやればいいじゃないですか。
先日、気仙沼市の高台移転に行ってきました。十メートルくらいの擁壁の上に住宅が建っているところもあったんですね。それだけ土地の確保というのは大変だと思った。それと、公営住宅が並んでおります。
コミュニティーバスが来るのかなと思ったら、そうではなくて路線バスが来ている。それはいいことだねと思って、すぐ近くに県立高校がありまして、ああ、ここにバス停があるから、そこで回ってくるのかなと思ったら、四月でその学校は統合されました。今、被災地はそういう状況なんですよ。
そういう状況で、一般のやり方でいいって、それは違うでしょう。やはり被災地の状況に応じて特例でやってきたわけですから、せめてこの措置をしている間だけでも、それにかわる、仮設住宅でなくても公営住宅、そういう条件が厳しいところは見ていくということでやったらいかがでしょうか。もう一回。
○松本政府参考人 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、全てを網羅的に調べたわけではございませんけれども、この調査事業がこの二、三年で終了した自治体において、例えば福島県の須賀川市や川内村では、応急仮設住宅はなくなりましたけれども、一般会計による地域公共交通確保維持改善事業によって災害公営住宅の足の確保を行っているところでございます。
○高橋(千)委員 それは、そういう対象になっていないから、やむを得ずそうしたんでしょう。やむを得ずやっているということを見て、本当に必要じゃないのかということを見ていけばいいんですよ。今の補助制度の中だって、ドライバーが確保できないとか補助上限が厳しいとか、本当は悲鳴を上げているんです。そういう中でも被災者の足を確保しようと頑張っているんですから、もう少し前向きに検討していただきたい。重ねて指摘をしたいと思います。
もう一つ、期限のある問題でお話ししたいと思うんですが、震災から七年たちまして、災害援護資金の返済が、六年の猶予期間を経て、昨年あたりから始まっております。
内閣府からいただいた資料によりますと、二十二年たつ阪神・淡路の被災者は五万七千四百四十八件の貸付件数があったそうですけれども、件数で一六・八%、額では一〇・八%の百四十三億何がしの未償還金が残されているというわけで、二年前、ようやく東日本大震災と同等の無資力要件を加えて、免除の要件を緩和いたしました。
私は、東日本の被災者が同じ道をたどるのではないかと心配をしているんです。
東日本大震災の援護資金は、二万九千四百八十五件、五百十九億九千六百八十四万円の実績があります。この要件の資料は後ろの方につけておいたわけでありますけれども、今後、やはり無理のない少額返済を認めていく、あるいは、それでも厳しい被災者にはやはり免除の要件、無資力要件というのがあるわけですけれども、これが非常に曖昧なために、自治体負担になってしまう可能性もあるわけなんですね。
保護の方たち、あるいはやむなく破産をした方たち、それと同等の方たち、そういう形で一定緩和を必要とすると思いますが、いかがでしょうか。
○米澤政府参考人 お答えいたします。
災害援護資金につきまして、少額償還と免除の二つの点を御質問いただいたと考えております。
東日本大震災におきます災害援護資金につきましては、御指摘のとおり償還が開始されたところでございます。貸付けを受けた方が疾病、負傷等、その他やむを得ない理由により支払い期日に償還金を支払うことが著しく困難になったと認められるときには、市町村は償還金の支払いを猶予することができることとなってございます。
御指摘の少額償還につきましては、この支払い猶予が認められた上で先送りされた債務につきまして、通常の年賦又は半年賦ではなく、例えば毎月少しずつ返済をしていただくものでございます。
少額償還によるかどうかにつきましては、東日本大震災の被災市町村におきまして債務者の個々の事情を丁寧に勘案し、適切に判断されるべきものと考えており、その旨、関係県を通じて市町村の状況をしっかり把握してまいりたいと考えてございます。
次に、免除要件につきましては、支払い猶予以上に債務者間の公平性の確保が重要であると考えてございます。
東日本大震災の災害援護資金では、最終支払い期日から更に十年経過した後においてなお無資力等である場合に市町村が免除できることとなっております。
いずれにいたしましても、東日本大震災の災害援護資金の債権管理が適切に行われますよう、関係自治体によくその事情を伺ってまいります。
○高橋(千)委員 時間がなくて大臣に質問できなくなってしまったんですが、言いたいことは、これまで何人かの方がお話ししていたように、やはり復興庁の存続の問題です。いろいろな問題が、十年でやはり復興庁とともに区切りをつけたいという姿勢がすごく感じるんですね。
そうではないんだ、必要があるんだ、被災地の実態はまだ続いているんだという立場に立てば、やはり復興庁が、期限で、はい終わりますというわけにはいかないだろうということで、大臣がまず発信していただきたいということを重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
――資料――