日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は17日の厚生労働委員会で、国民年金法「改正」案に関して、無年金・低年金問題の解決に向け、公的年金の底上げこそ必要になっていると主張しました。
同法案では国民年金の保険料の納付可能期間を2年から10年に延長。高橋氏の質問に厚生労働省は、これによって救済される人は1700万人のうち1割の170万人、65歳以上は、すでに受給している人は対象にならないため最大で8000人と答えました。
高橋氏は、4人に1人が滞納しているが、アンケートにそのうち6割が「経済的に支払うのが困難」「もう少しゆとりがあれば払いたい」と答えていることを示し、「もっと広く無年金・低年金者を救済するべきだ」と質問。藤村修厚生労働副大臣は「さらなる対策の検討が必要」と答弁しました。
同法案の確定拠出型年金について高橋氏の質問に、厚労省は年金運用による元本割れが3割にのぼると答弁。
高橋氏は、ニッセイ基礎研究所が行ったアンケート調査でも「確定拠出年金制度」の導入で退職後が不安になったと、株式などを持たない人の6割が答えていること、モデルとなった米国でも「廃止」論が出ていることを紹介。企業の負担を軽くする一方で、老後の蓄えを失うことになっても労働者の自己責任ですまそうとするものだと指摘しました。
(2010年11月18日(木)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
今回の法案で、国民年金の保険料の納付可能期間を二年から十年にするという改定部分、これは、もう少し納付できれば年金がもらえるのにという強い要望も私たちのところに寄せられており、当然賛成できるものであります。また、消えた年金が見つかって逆に不利になるようなことはあってはならないので、それをきちんと法的に措置するということも当然のことだと思います。
そこで、なぜ私的年金である企業年金法と一体にして、一本にしてこの法案を出したか。これは、分けてくれれば非常に簡単なことであったんですけれども、細川大臣が副大臣のときに、大臣、副大臣、政務官などの政策会議、ことしの二月二十三日ですけれども、こんな意見が出ておりますね。「年金制度の一階部分と三階部分のうち、どちらが重要かといえば一階部分の方である。別建てもしくは国民年金法の改正をメインとする法律にするべきではないか。」という意見もあったということであります。全く当然だと思います。分けるべきだと思いますが、いかがですか。
○細川国務大臣 今回提案をしております法案につきましては、少子高齢社会が急速に進行しておりまして、高齢期の生活を取り巻く社会経済情勢が大きく変化をしている中で、このような変化に対応しつつ国民の高齢期における所得の確保を一層支援していくという目的で、公的年金、企業年金双方について制度の改善を図るものでございます。
国民の老後の生活設計の柱はあくまで公的年金であるというふうに考えておりますけれども、企業年金も公的年金と相まって国民の生活の安定と福祉の向上を目指す制度でありますから、今回の改正内容が国民の高齢期における所得の確保を一層支援していく、こういう統一的な目的を有するものでございます。
そういうことから、この法案の名称にも明確にあらわしながら、一括で法案を提案いたしたところでございます。
○高橋(千)委員 ということは、済みません、もう一度伺いますが、国民年金法の前段の部分、私がこれなら賛成できますよと言った部分と私的年金である企業年金法の改正も、両方、年金の確保、確保支援法案という形で言われていたと思うんですが、確保をするためのものであるという大臣の認識ですか。
○細川国務大臣 確保を支援する、支援するという目的で提案をいたしております。
○高橋(千)委員 なるほど、支援がついているという点で、このちょっと無理のあるやつを支援という言葉でつなげたんだということだと思います。
企業年金の方は後からお話ししますけれども、こちらはリスクが伴うものでありますので、リスクの伴うものととにかく不利益になるものを一刻も早く改善して確実に年金に結びつけていこうという前段とは大きく異なるものだ。重ねて、私は分けるべきであったと思います。
今回の法案の出され方が大変急でありまして、正直不意打ちのように始まったものですから、本来なら修正案などを準備するところでありましたけれども、そういう議論さえできなかった。また、一つ一つの議論を深めることができなかったということを非常に残念に思っているということを最初にお話ししておきたいなと思います。
そこで伺いますけれども、前段の部分のところでありますが、法案成立による効果、六十五歳未満の方のうち、年金額がふやせる条件がある方が一千六百万人、年金受給を早められる条件がある方が七十万人、無年金にならずに済む方が四十万人、これは合わせると千七百十万人と見込んでいますけれども、そのうち実際に救済される方がどの程度と見込んでいるのか、伺います。
○榮畑政府参考人 六十五歳未満の方で、今回の法案でございます納付可能期間の延長を利用できる方につきましては、粗い推計では、先ほどお話がございましたように、六十五歳未満の方なら最大で約千七百十万人と考えております。
ただ、これはあくまで本制度を利用できる可能性があるすべての方の人数の推計でございまして、このうちどの程度の方が実際に利用されるかを現段階で正確にはかるということはちょっと困難かと思ってございます。
ただ、本措置と類似するところがございます、現行でもやってございますが、学生納付特例の追納という仕組みがございますが、これは一割程度の方が使っていただいてございます。したがいまして、仮に本措置におきましてこの学生納付特例の追納と同程度の方が利用すると仮定して、機械的に計算すれば、千七百十万人のうちの一割程度で約百七十万人程度かと考えてございます。
以上でございます。
○高橋(千)委員 一割程度であるということもあくまでも推定でしかないわけでありますけれども、それにしても少なくなるわけです。さらにそれに、今回、先ほど阿部委員の御議論もございましたけれども、自民党さんなどは、やはりモラルハザードが起きるのではないかなどという指摘をして、時限立法にすべきであるということが言われているわけであります。修正案も準備をされているということであります。
こうなると、まず百七十万人という推定の数字すらもかなり割り込むであろうと。三年間ではなかなか納め切れないよ、頑張っても厳しいよという声が当然上がってくるだろうし、そのことも先ほど紹介をした政策会議の中で議論をされているはずですね、なぜ恒久的にすべきなのかと。議論は、時限立法にすべきという議論があるけれども、これは本当に懸案だったんだからぜひやりたいのだという議論があっての提案だったのにと思うんですけれども、私は恒久的にすべきだと思いますが、大臣に伺います。政策会議に出ているのは大臣ですから。
○細川国務大臣 この保険料、二年間は追納してもいいという今の制度でありますけれども、二年間の追納期間だけでは、つい忘れていた人などがぜひ納めさせてほしい、こういうような改善の要望がたくさん寄せられてきたところでもございました。そういうところから、保険料をより納めやすいというようなことで、将来の無年金、低年金の発生を防止する、そういう観点から、納付可能期間を二年から十年さかのぼってするというふうな提案をさせていただいたところでございます。
○高橋(千)委員 ですから、恒久的にした方がいいんじゃないですかという意見です。
○細川国務大臣 したがって、私どもは、恒久的なことで提案をさせていただいているところでございます。
○高橋(千)委員 大臣の気持ちは、恒久的なものとして提案をさせていただいたということでありましたので、ぜひこの法案のここの部分は、やはりせっかく納付特例がさかのぼってというふうになったんですから、修正の議論がありますけれども、するべきではないということを、今度は委員の皆さんにぜひ呼びかけをさせていただきたいなと思います。
そこで、先ほどは六十五歳未満の方について伺いました。六十五歳以上の無年金者についてはどうなるでしょうか。平成十九年の数字では、大体四十二万人くらい無年金者がいるという数字がございますけれども、実際どのくらいで、また、何人くらい救済されると見込んでいらっしゃいますか。
○榮畑政府参考人 平成十九年に社会保険庁が推計したところによりますと、今後七十歳まで任意加入して年金保険料を納付しても、二十五年の受給資格期間が足りない六十五歳以上の方は、社会保険オンライン記録で調査いたしますと、約四十二万人と推計されたところでございます。
一方、今回の法律改正でどれぐらいの人が対象となるかということでございますが、粗い推計でございますが、六十五歳以上の方で、過去十年間の滞納期間を、この二年、十年のさかのぼりによって納付していただいて二十五年の受給資格期間をクリアし、年金を受給することが可能となる方は、最大で約八千人というふうに推計しておるところでございます。
○高橋(千)委員 この最大八千人というのが非常に残念な数字だと思うんですね。もう少し救えないものかと。特に、高齢者の低年金、無年金問題というのは、医療や社会保障全体を議論する上でも非常に重大な課題となっております。
それで、ちょっと通告になかったんですけれども、重ねて伺いますけれども、今回救済される方は、既に受給している方は対象になりませんよね。ですから、そういう方も含めて、受給しているといっても本当にわずかなものであるという方たちを少しでも底上げしてやれるということがあってもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○榮畑政府参考人 今回の改正でございますが、やはりあくまで無年金、低年金となることを回避する等の観点ということでございまして、もう年金受給世代に入っておられる方につきましては、受給権がないような方を対象として、十年までのさかのぼり納付が可能というふうにさせていただくというふうに考えておるところでございます。
○高橋(千)委員 そこら辺も少し、大臣にもう一問だけ伺いますので検討していただければなと。今回はすぐにできないかもしれないけれども、実際に受給している方が、どんなに少なくても、三万でも四万でも受給していればあとはだめだということなんですね。
あわせて、これからのことも含めて考えてみたいのは、例えば、厚労省のことしの調査で、今、被保険者の四人に一人が滞納者であります。ですから、まずここを解決しなければならないと思います。そのうち、保険料が高くて経済的に支払うのが困難だと答えていらっしゃる方が六四・二%、そして、そのうち、もう少し生活にゆとりができれば納めたいと答えている方も六割いらっしゃるわけです。
ですから、やはりできれば納めたいという方はいる、だけれども大変だという方もいる、そういうチャンスを逃したまま少ない年金で暮らしている方もいる、そういうことをもっと議論していって、私は、先ほどの時限の問題もそうですけれども、例えば延滞金ですとか、さまざまなものをなくしていくという議論が今後必要だなと思っているんです。
いずれにしても、もっと広く救済される方が広がるような、無年金・低年金者を救う手だてを考えていく必要があると思いますが、大臣の決意をお願いしたいと思います。
○藤村副大臣 高橋委員にお答えいたします。
もっと広く無年金・低年金者を救済するためにどうするのか、手だてはないのか、こういう御質問かと思います。
例えば、昨年十二月に、過去の空期間などが見つかれば年金受給に結びつく可能性のある六十三歳以上の加入者を対象として、加入期間の確認を促すためのお知らせを発送するなどの措置を講じたところでありました。このときは、去年の十二月二十一日以降に年金請求書を新たに提出して裁定された方が三万人。この中のどれだけかということは確定はできませんが、それなりに対応できたのではないかということであります。
こうした中で、今般の納付可能期間の延長というのは、制度面の対応として、将来の無年金あるいは低年金の発生を防止するという観点から導入するものであり、例えば、さっきの、最大約四十万人の方が、本措置を利用すれば将来無年金にならずに済むと推計されておりますので、重要な意義を有するものと思っております。
他方で、納付可能期間の延長のみでは、既に相当高齢となっている無年金・低年金者の救済の効果は限られているわけでありまして、さらなる対策の検討も継続していく必要があると考えております。
○高橋(千)委員 この問題は、最後に、さらなる検討ということのお話がありましたので、引き続いて、国会の場でも政府の場でも議論をしていただきたいし、私たちも提案していきたいと思います。
それで、もう少し続けたいんですが、次の部分についてもぜひ質問させていただきたいと思います。
確定拠出年金制度について、二〇〇〇年に日本版四〇一kというふうに呼ばれたりしたわけですが、現在、三百四十万人いらっしゃるということであります。この内訳ですね。有価証券や投資信託などの投資型に入っている方と、定期預金などの元本保証型、そういうものに入っている方の割合は大体どのくらいになっているでしょうか。
○榮畑政府参考人 確定拠出年金につきまして、人数というより金額ベースで算定しておりますが、確定拠出年金の総資産額が約四兆八千六百億円でございますが、このうち、投資型、有価証券や信託商品でございますが、これが約三七%でございまして、預貯金や生命保険、損害保険などの元本確保型が約六三%、そんなような数字でございます。
○高橋(千)委員 それから、元本割れということが当然あり得るわけですけれども、現状、今どんなようになっておりますか。
○榮畑政府参考人 確定拠出年金につきましては、個々人で資産運用方法が違っておりまして、その資産運用実績もさまざまでございますが、ある大手の確定拠出年金の運営管理機関の調査データによりますと、二十一年度末時点におきまして、その運営管理機関がサービス提供しておられる確定拠出年金の加入者の中で元本割れとなった方が約三割程度というふうに承知しているところでございます。この調査データは対象が三十七万人ぐらいで、確定拠出年金の制度全体の一割程度が加入しておられるところが対象の調査データでございます。
○高橋(千)委員 今、二十一年末の数字をおっしゃっていただいたと思うんですけれども、その半年前、年金情報などを見ると、六割という数字がございます。これは当然、景気の状況によって変動するわけでありますので、それこそ、受け取るときにバブルのような景気のいいときであれば得したなという話になるし、その逆もあるということを意味しているのではないかなと思うんですね。
ニッセイ基礎研究所が行った〇九年のアンケート調査でも、確定拠出年金制度の導入で退職後が不安になったかという問いに対して、株式などの投資型を保有している方は四割が不安だと答えて、持っていない方は六割が不安だと答えて、やめてほしいというふうに答えている方が六割、その中でもいらっしゃるということであります。
そういう中で、今後、株式市場が、こう見ていても、好転するというのはなかなか難しいのではないかと率直に言って思うわけですね。そういう中で、なぜ労働者にも拠出をさせるんですか。
○藤村副大臣 お答えいたします。
今、労働者に拠出をさせるというふうに問い合わせでございましたが、これは、することができるようにするというところで、そこは大分ニュアンスが違うと思います。
確定拠出年金制度は、単独では確定給付型の企業年金などを行うことが難しい中小企業や労働者の移動が激しい業種などにも選択肢の一つとして、既に多くの企業で実施されております。これをさらによりよい制度となるよう改善を図っていくということが必要であります。
現在、企業型の確定拠出年金においては、事業主のみ掛金の拠出が認められていましたが、今回、事業主が拠出している掛金額は、税制優遇が認められている拠出限度額はまだ余裕がありますので、制度利用の多い中小企業の事業主の置かれた状況も厳しいことを踏まえると、今後、事業主負担の大幅な増額は見込めないものと考え、今般、事業主拠出に加えて従業員による任意の拠出を認め、税制優遇措置の対象として、従業員が老後に備えることを一層支援することとしております。
なお、実際に各企業における確定拠出年金においては、従業員による拠出を実施するに当たっては、労使合意によって年金規約を改正する必要があります。また、その上で個々の従業員の皆さんが拠出を行うかどうかというのは、みずからの判断となるところであります。
○高橋(千)委員 もちろん、ごめんなさいね、聞くときに、させるのかというふうに質問したので、別に強制だと思って聞いたのではございませんので、わかってございます。
もちろん、個々の判断であるというところが、実はみそなわけですよね。あくまでも、それは決められるのは本人なんですから、別にこちらが強制しているわけじゃないんだからいいじゃないかというふうに言われるけれども、なかなか環境的に、そういうことが自由に判断できる指標があって、そして本人の本当の自由な意思で判断できるという状況が生まれるだろうかというのは、ちょっと懸念をすることがあるわけですね。
例えば、そのモデルとされたアメリカでは、昨年の四月三日の朝日新聞で紹介されておりますけれども、アメリカでほころび、廃止論もというタイトルがついております。「私の四〇一kは粉々だ。人生の計画がすっかり狂ってしまったよ」という、ミシガン州に住む五十歳の方の声を紹介して、一年間で四割目減りをしてしまったと。
そして、アメリカのシンクタンクによると、この方の、「同じ会社に二十年以上勤めた五十歳代後半から六十歳代前半の人は平均で四〇一k資産の四分の一以上を〇八年に失ったという。」というふうなことを紹介して、また、専門家の声でも、個人にリスクがあるというのはやはり問題があるのではないかと。もし退職時期が不況と重なれば、老後の蓄えが激減しかねないということで、廃止も含めて検討を促しているわけですね。
一方では、昨年は、年次改革要望書の中でアメリカは、日本の確定拠出年金をマッチング拠出ということで労働者にもというような要望を突きつけているわけです。経済評論家の森永卓郎さんなどは、米国は日本の年金制度崩壊を見込んで年金分野に参入しようとしていますというふうな指摘もしております。
私は、日本の公的年金制度が安定したものであればある程度いいかもしれないけれども、まあ、どちらかというと大変不安である。そういう意味で、補完的な役割を果たすという期待なども労働者にはどうしても抱かせるものがあると思うんですね。手数料を取る会社や金融機関などは非常にいいわけでございますし、もし元本割れや今紹介したような方の老後の蓄えを失うようなことがあっても、結局は自己責任ということで済んでしまう、そういう設計になっておりますから、そういうことについてどう思うのかというのを大臣に伺いたい。
そして、仮にですよ、企業が責任を持たなくて済む確定拠出年金に一本化しちゃうみたいな、今、企業年金って何通りもありますけれども、そういうふうなこともいずれ起こってくるのだろうかというのはちょっと心配になりますけれども、いや、そうではないと言ってくださればいいんですが、いかがですか。
○藤村副大臣 誤解があるかと思います。確定給付型がいいということは、今おっしゃっていたと思うんですね。日本が何か今、確定拠出に統一していこうというのではないかという疑いを今言われたように思ったので、そういうことはまずないということを冒頭申し上げます。
今、現に言いますと、確定給付型が千三百五十七万人、八割、拠出型は三百四十万人、二割であります。そういう意味で、日本では確定給付型の企業年金が中心的役割を果たしていると認識しております。
こうした状況ではありますが、この確定拠出年金は、単独では確定給付型の企業年金を行うことが難しい中小企業や労働者の移動が激しい業種などに適した、いわゆるポータブルですよね、選択肢の一つとして、既に多くの企業で実施されており、それをよりよい制度となるよう改善を図っていく、こういうことでございます。
確定給付型の企業年金とそれから確定拠出年金は、各企業において、そのいずれかあるいは両方を導入するかについて、それぞれの企業の実情に応じ、労使で十分に議論した上で決定すべき選択肢であり、いずれかの制度に一本化していくという思惑、そんな考えは全くないと申し上げたいと思います。
○高橋(千)委員 全くないとおっしゃってくださればいいと、最初に質問をいたしました。
ただ、これは、十一月一日に経団連の要望もございますけれども、労働者の拠出があるのとないのといろいろある中で、企業再編というのが円滑に進むということのための要望としても紹介をされておりましたので、心配をして指摘をさせていただきました。
ただ、お答えになっていなかったのは、結局そういうリスクがありますね、しかも今後は変動がありますよね、そこが自己責任になってしまうのはいかがですかということを聞いたんです。
○藤村副大臣 リスクがあることはよくないことかという、そういう前提で、ちょっとそもそも論になりますが、まず、景気が、先ほど来おっしゃっているのは、リーマン・ショック云々で、悪くなるとでは利率が悪くなるのかというと、必ずしもそうではない。
つまり、資産の運用というのは、景気がよくなったときにも運用できるし、悪くなったときにも運用できる、そういうことはあるわけで、そういうことをむしろ、中小企業で、きょうまで全くそういう選択ができなかった皆さんに選択していただくことを今回道を開いたわけですから、それは当然、自己責任という部分が最終的にはかかってくるわけです。みずからの資産の運用であります。そのことがいけないということではないと思います。
○高橋(千)委員 やはり、この自己責任の考え方について一致ができないということではなかったかなと。ただ、中小企業の運用というだけで、だから便宜を図っているんだという議論だけではないのだということをこれまでの脈絡でお話をしたつもりであります。
きょうは逢坂総務大臣政務官にも来ていただいておりますので、一言ちょっと伺いたいと思います。
今回、住基ネットと企業年金連合会が情報提供、要するに、住所がわからない方に対して、その情報を得るために結びつけることができるということも法案の中に入っておりますけれども、そこで、住基ネットから提供される情報、今四情報しかないわけで、三情報を入れると住所がわかるということになるかと思うんですが、そのときに、住基コードまでも情報としてもらうのかどうか。
○逢坂大臣政務官 お答えいたします。
結論から申し上げますと、現在、この法改正が行われれば、住民基本台帳コードもあわせて情報提供が行われるというふうに思います。
○高橋(千)委員 あわせてというお答えでありました。
今、年金機構は、受給者の年金番号と住基コードの突き合わせ、これは現況届を省略できるということで既に法改正がされておりますけれども、これはどの程度進んでいらっしゃいますか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
年金受給者の方々への住民票コードの収録状況でございますが、平成十八年四月時点では二千五百七十五万件でございました。これは、その時点での年金受給者数の八一・三%に相当いたします。その後、平成二十一年六月時点の数値がございますが、この時点では収録状況三千六百八十四万件でございます。これは、その時点での年金受給者数の九八・五%に当たる数値でございます。
○高橋(千)委員 住基コードの突合が既にすべての受給者を対象に年金機構でやられておって、八割、九割という進捗状況であるというお話だったと思うんです。いただいた数字では、これがコードが、本人がわからないということで二十三万人が手書きの現況届を出しているというふうに伺っております。
ですから、こういう作業をもう既にやっているわけですから、改めて、年金機構の突合で十分足りるのではないか。なぜここで企業年金が住基ネットと結びついて、しかも、住所を知りたいといいながらコードまで受け取ることになるのかということに対して、非常に危惧を持っております。
このことについても大臣に質問する予定でありましたが、残念ながら時間が参りましたので、非常に、これは当初から、住基ネットの最初は、国の行政機関等ということでかなり限定的な運用から始まったと聞いておりますが、だんだん広がってきて、個人情報がかなりの分野で広がる危険性があるのではないかという危惧を持っているということをお話をしておきたいと思います。
本当は公的年金の問題についてお話ししたかったんですが、時間がなくなりました。国連社会権規約委員会でも、最低保障年金制度の創設を日本に勧告をしております。やはり土台がしっかりしないと、リスクのある年金だけが残っちゃったということでは非常に困りますので、そこの議論をしっかりとしていきたいということを訴えて、終わりたいと思います。
以上です。
【反対討論】
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
保険料納付可能期間を二年から十年に延長する等の国民年金法の改正は、無年金、低年金となることを防止、救済するものとして、当然賛成できるものであります。一方、実施期間を三年間に限定する修正案は、救済される者を少なくすることになり、修正ではなく、原案どおり恒久法とすべきであります。
今回の法案のもう一つの内容である確定拠出年金法は重大な問題を含んでおります。ところが、今回、公的年金である国民年金法の改正案と、私的な企業年金である確定拠出年金の法案が、一つの法案として提出されました。性格の違うものを一つの法案にして論議するというのは極めて乱暴であります。一つ一つ十分に議論すべきであるということを最初に指摘しておきたいと思います。
次に、本法案に反対する理由を述べます。
我が党は、二〇〇〇年に確定拠出年金制度が創設された際、拠出金を加入者が自己責任で運用するため、年金給付は運用成績に左右され、老後の所得をむしろ不安定化させるものであること、企業の運用責任と拠出負担を軽減させるものであること、また、国民の資産を金融市場に動員して景気対策に利用しようとするものである等の問題点を指摘して、創設に反対しました。昨今の運用状況を見ても、元本割れなどの事態もあり、これでは年金を確保するものでないことは明らかであります。
今回の法案は、財界の強い要求に沿って、昨年、自民党政権時代に提出されたものを再提出したものであります。企業の負担を軽くし、金融市場に資産が流れるという業界側の期待がある一方、老後の蓄えを失うことになっても従業員の自己責任で済まそうというものであります。
さらに、今回の法案には、企業年金連合等が住民基本台帳ネットワークを通じて加入者の情報を得ることができる改定が盛られました。現行でも日本年金機構が住基ネットから情報を得ることができるようになっており、既に、基礎年金番号と住基番号の突合は、三千六百万人の受給者、九割以上で済んでいるのであります。利便性、迅速性という名のもとに個人情報にアクセスできる範囲が広がることは、当初から懸念していたものであり、現行のままでよいと思います。
今、年金制度で求められるのは、公的年金のしっかりした底上げを図ることです。年金の受給資格を二十五年以上から十年以上に引き下げる、最低保障年金制度の創設で無年金の解消、低年金の底上げを図ることを直ちに取りかかることを求め、討論を終わります。