国会質問

質問日:2011年 3月 28日 第177国会 災害対策特別委員会

罹災証明の簡素化、雑損控除

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 このたびの東日本大震災により犠牲になられた皆さんに心から哀悼の意を表明し、被災者の皆さん、そして御家族や大切な人を亡くされた多くの皆さんにお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 先ほど来、被災地出身の議員の皆さん、それぞれの御地元の声を訴えられております。本当に心に迫るものがございます。私も比例東北ブロックから国会へ送っていただいた者として、日本共産党の現地対策本部長を務め、この間、被害の大きかった宮城、岩手、青森の太平洋沿岸部を歩き、被災者の声、行政の声を聞いて、つなごうと頑張ってまいりました。

 また、週末は、首都圏で避難されている双葉町長を初め福島県の皆さんをお見舞いし、また南相馬市や飯舘村にも直接行ってまいりました。大変怒りの声が寄せられました。情報はちゃんと出してほしい、いい情報も悪い情報もきちんと生かせば、それに応じて心の準備もできるし対処も決まるんだ、それがはっきりしないから、まして何週間も自宅待機なんて、まさにそれは軟禁状態といいましょうか、そういうことになるんだという形で、怒りの声が本当に寄せられました。

 いっぱい伝えたいことがあるんですが、限られた時間ですので、答弁も何とか簡潔にお願いしたいと思います。

 東副大臣、本当に御苦労さまでございます。

 災害対策基本法には、第三条、「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有する」、このように明記をされています。未曾有の災害に当たって、国、県、市町村との連携、省庁間の連携が決定的に重要であること。あれこれではなく、現実に起こっている事態から出発して、国の責務を果たしていかなければならないと思うのです。その決意をお聞かせいただきたいと思うんです。

 あわせて、一問目、時間の関係でこれはセットでお願いします。

 各種減免や生活再建支援金の給付など、被災者の生活支援の第一歩として罹災証明の発行が急がれるわけです。自治体の混乱が大きく、行政機能を失っている自治体もあります。行政支援も含めて、手続の思い切った簡略化を図って、罹災証明を早く発行するべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

○東副大臣 高橋先生にお答えいたします。

 政治の要諦は、命を守り、そしてまた財産を守る、この点に僕は収れんされるんだろうと思います。その意味で、今回の被災によって教えてもらえるものは、いつも申し上げているんですが、課題は現場にあるんだ、その一点に尽きるんだろうというふうに思います。その意味で、先生がおっしゃられる前段の部分に関しては全く賛成でございます。

 その上で、現在は、命を守らなくちゃいけない、そして一日も早く、私たちと同じように平穏な日常生活が送れるようにというそのことを願いながら、物資の輸送、補給、あるいはまた避難所生活の改善等、被災者支援に重点を置いて取り組んでいるところであります。

 さらにまた、今後の被災地の復旧復興については、先ほど来多くの皆さん方がおっしゃられるとおり、この災害が未曾有の災害であることを踏まえながら、国のとり得るあらゆる政策手段を最大限に活用していかなければならない、こういう認識をしております。

 そして、今御指摘の、復旧復興に向けては、罹災証明書の発行がその第一歩となるんだろうなというふうに思っています。そのため、住家の被害認定を速やかに実施して、罹災証明書を早急に発行することは急務と認識いたしております。

 もう既に回答もありましたけれども、残念ながら、市役所やあるいはまた町村の役場が被災したこと等によって行政機能そのものを執行することができない、あるいは行政機能が低下して、罹災証明書の発行体制あるいは住家の被害認定の実施体制に支障が生じている市町村があることも事実です。

 このため、内閣府では、住家の被害認定業務に係る都道府県のサポート等について記載した災害に係る住家被害認定業務実施体制の手引を、まだ案の段階であったのですが、急遽、都道府県の参考となるように送付したところであります。

 このほか、被災自治体の職員に対する研修会の実施や被災地以外の自治体職員の応援体制の構築などによって、全面的にバックアップしてまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

○高橋(千)委員 バックアップはお願いしたいと思うんですけれども、残念ながら、地域によっては、被害の認定なんて見ればわかるところもいっぱいありますね。名取市の閖上地区、気仙沼の鹿折地区など、一帯としてもう崩れてしまっている、境界がなくなってしまっている。そういうところにまで一々、罹災証明をとるには認定をしてとか現地調査をしてと書いているんですよ。でも、必要ないじゃないですか。一刻も早く出してあげるのが一番大事だということを重ねて指摘したいと思います。

 あわせて、今説明の中にあったように、罹災証明は、全壊、半壊、一部損壊、そういう認識しかないんですね。

 だけれども、先ほど来議論になっている、原発によって避難をしている方たちは、津波で家を流された方もいるんです、でも、そうじゃない方もいます。どっちにしても、戻れないので認定できません、そういう問題ではなくて、避難を強いられているという状況そのものに対して罹災証明を出して、そしていろいろな救助ができる、いわゆる支援法だけじゃないですよ、医療費の減免とかさまざまなことが今できるようになっているんです。それを一々医療機関で問題にしないで、罹災証明一枚あればいいんだ、そういうふうに簡素化したらいかがですか。お願いします。

○東副大臣 ざっくり言うと、先生御指摘のとおり、地図を見ればどこが全壊になっているかということはわかります。また、市町村が全く行政の機能がないというところも、それは地図を見てわかるわけです。

 いずれにいたしましても、罹災証明をもらうためには、自分自身はどこどこのだれだれです、それを隣の役場、あるいは県、そういうところで、先生が御指摘になっている意を踏まえた上で、きちんと出せるようにする、そういうことを申し上げております。

○高橋(千)委員 後段、原発の避難の方たちについては。

○東副大臣 いつも誤解されてしまうんですが、私の担当ではないんです。

○高橋(千)委員 罹災証明は内閣府の担当なんです。ですから、私は考え方を変えろと言っているんですよ。

 これは市町村の自治事務なんです。ですから、書き方は、本当は全壊、半壊じゃなくてもいいんだよと一言言ってくだされば、それで原発の避難だと書いてくださるんですよ。それでいいじゃないですか。

○東副大臣 最後、つけ足すのを忘れておりましたけれども、例えば、福島県からの避難者が公営住宅への一時的な入居等のサービスを受ける際に必要な罹災証明書については、社会的インフラストラクチャーの破壊や原発事故に伴う避難指示による避難者であることを証明する被災証明書によって、受け入れ市町村において同様の取り扱いがなされるよう、各都道府県等に対し要請したところであります。

○高橋(千)委員 それが当事者にもしっかり伝わるように、行く先々で困ることがないようにお願いしたいと思います。

 この間行ってきた首都圏の避難所では、同じフロアで、お友達同士で赤ちゃんを囲んで、片っ方は保険証があったので、私、避難してきましたと言ったら窓口負担があったというんです。片っ方は、きょう保険証、もうないです、私、流されました、そして避難してきているんですと言ったら窓口負担がなかったと言っています。現場ではそういうおかしなことが起こっているんですよ。統一すればいいんです。そのことを重ねて要求しておきたいと思います。

 時間を非常に食ってしまいました。きょう二つ省庁を呼んでいますので、簡潔に、財務省に最初に一つお願いいたしたいと思います。

 こんな中でも、既に被災者は次の生活を考え始めているんです。例えば女川や陸前高田、避難所で被災者から受けた相談は、確定申告はもうやっちゃった、でも車を四台も流されちゃった、どうしたらいいのと。十一日ですから、申告が済んだ人は非常に多いわけなんですよ。申告、納付の延長ということは言われているんですけれども、先ほど来お話があるように、本人には届いていないわけです。

 ですから、ここをまず、払わなくていいんだよということ、それから、そういう雑損控除も簡便法でいくんだということ、阪神のように、さかのぼって昨年の収入から戻ってくると、これを言ってください。

○尾立大臣政務官 まず、このたびの災害で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 その上で、今般の地震、津波を受けまして、国税庁におきましては、国税通則法第十一条に基づきまして、青森県、岩手県、宮城県、そして福島県、茨城県の納税者に係る国税について、申告、納付等の期限延長を三月十二日付で行っております。

 御指摘の納付の期限については、そういう措置がとられておりますので、延長の対象となっておりますので、納税者の皆様には、落ちつかれた後に、ぜひ最寄りの税務署で御相談をいただければと思っております。

 そしてまた、もう一つ、雑損控除のお話がございました。

 現行制度上、災害により住宅や家財に損害を受けた場合には、税制上の措置といたしまして雑損控除という制度とその繰り越し、さらには災害減免法による税額の減免というのがございますが、これらの措置については平成二十二年度所得で適用できるようにするとの方針を、これまた三月の十二日、野田財務大臣からその方針を表明させていただいたところでございます。

 したがいまして、今、政府では、被災者の皆さんの必要な支援について全力を挙げております。また、被害状況の現況把握にも全力で努めておりますので、全体像がわかったところで、税制上の特例措置等については、阪神・淡路大震災のときの例も参考にしながら、また先生の御指摘もいただいておりますので、しっかり対応してまいりたいと思っております。

○高橋(千)委員 簡便法で、簡単な計算法で大災害のときはやっていましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、きょうは筒井副大臣に来ていただいております。農業被害について一言お願いしたいと思います。

 これは宮城県岩沼市の田んぼであります。どう見ても海のように見えるんですけれども、道路の両側がこのようになっておりました。行く先々で、海や沼のような田んぼ、あるいは船や瓦れき、泥だらけの田んぼを私は見てきました。東北の農業被害が本当にどういうことになるのか、そしてそれは、日本全体にも、食料基地としての役割がありますから、大変な影響があるだろうと思います。

 塩害の話は、先ほど多分出ていたと思うんですけれども、除塩事業とか確かにあると思うんです。ただ、それは一年では済まないですよね。既にもう、作付をどうするかという時期に来ております。一方では、東北だけで、昨年一年間で約一万二千ヘクタールくらい減反面積がふえているはずであります。田んぼ自体はあるわけですよね。ですから、それを本当に生かしていくということ。宮城県では既に県間調整なども始めておりますけれども、それを、調整をやって田んぼを生かしていく。同時に、一年では済まない休業に対する何らかの補償が必要です。それについて、ぜひお願いします。

○筒井副大臣 おっしゃるとおり、今、岩手、宮城、福島三県だけで、津波で海水をかぶったのが二万ヘクタールに上るわけでございまして、この復旧対策としてだけ考えても、水洗いとか客土とか石灰散布とか、そういう作業が必要になるわけでございまして、このためには少なくとも一年から二年かかる。ことしの作付は不可能に近いというふうに考えております。

 そして、生活支援も含めまして、その間の補償といいますか補てんをどうするのか今検討中でございまして、所得補償制度をその中で活用できないのかを含めて、早急にその結論を出していかなければいけないというふうに思っております。

 そして、もう一点質問がありましたが、所得補償で生産数量目標の配分をしております。配分された地域でそういう塩害に遭ったところは、その作付ができません。それについては、原則県内調整、今県間調整と言われましたか、県内調整を原則として行って、県内調整で間に合わない分は県間調整で行う、そういう方針でやろうというふうに決めているところでございます。

○高橋(千)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 時間ですので、終わります。

 

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