国会質問

質問日:2011年 4月 15日 第177国会 厚生労働委員会

戦傷病者の妻に対する弔慰金法 雇用調整助成金

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 議題となっております戦傷病者等の妻に対する特別給付金についてでありますが、額面百万円の十年国債、ことしは五年ごとの中間年として、十五万円の五年国債を支給するという提案であります。

 新たに対象となる方が八十名程度ではないかと聞いておりますが、戦後から六十六年、いまだに新たに受給権を得る方がいらっしゃる、このことに非常に深く思いをいたしているところであります。

 十年ごとに支給額を拡充してきたわけでありますが、それでも、予算は三億五千七百四十三万円。減少している。対象者が減少しているからに違いありません。そうであれば、間違いなくすべての方にお渡しするべきだと思います。

 昨年、私は、戦没者の父母等に対する特別給付金について、お知らせがなかったために請求漏れで時効が過ぎてしまった方の問題を紹介し、総務省の恩給データベースを活用して漏れなくお知らせするべきだ、このような指摘をしたと思います。

 当時の長妻大臣が、「援護年金受給者リストに加えて、総務省の協力を得て恩給受給者リストも活用して、対象となる人に、まず国から直接お手紙を出すということ、これまでしていなかったものを実施する。」と述べました。そして、その後きちんと申請に結びついているのか、フォローもするとお答えになっているわけです。

 まず、この成果がちゃんと得られているのか、そして、今回の改正に当たってさらに努力することが何なのか、伺います。

○細川国務大臣 この特別弔慰金、せっかくのこの弔慰金が時効制度によって消滅をするということ、これは対象者の皆さんにとっても大きな損失でありますし、せっかくの弔慰金というのがその効果が生じないということで、これは委員がおっしゃるとおり、しっかり時効にかからないようにするのが国家の務めだというふうに思います。そういう意味で前長妻大臣が、いろいろな形でのフォローアップをしなきゃいけない、こういう御答弁をされたものと思います。

 そこで、平成二十年に改正されました特別給付金、これの対象者となり得る方に対しまして、国から個別の案内を実施したところでございます。

 その後、具体的な取り組みといたしましては、これらの二つの制度、これは平成二十年に改正された戦没者の父母等に対する特別給付金、そしてまた、平成二十一年に改正された戦没者等の遺族に対する特別弔慰金、これらの二つの制度について、国から送付した案内があて先不明で返送された方については都道府県に照会をいたしまして、新しい住所が把握できました方には案内の再送もさせていただいております。

 また、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金につきましては、都道府県におきまして時効の消滅、時効による失権防止対策の実施状況につきまして調査をいたしまして、他の都道府県の取り組みをも参考にするように調査結果を情報提供もさせていただいたところでございます。

 今回の法改正につきましては、国から個別の請求案内を実施するとともに、その請求案内をする際には、国で確認できる事項につきましてはあらかじめ印字をした請求書を同封して、対象者の皆さんの申請の便宜を図るようにもいたしているところでございます。そういう意味で、いろいろと配慮させていただいたところでございます。

○高橋(千)委員 前回から返送されたものについても再照会をされていることや、今回はあらかじめ印字をしたものを送っていくということで、なるべく簡便にという形で対応されるということだったと思います。これは本当に徹底をしていただきたいと思っております。

 昨年の質問の際は、大阪地裁で時効のために未払いとなったことで国を相手に争っていた原告、関百合子さん、野村香苗さんについて紹介をいたしました。残念ながら、昨年十月十五日に大阪地裁で敗訴いたしました。原告は控訴して、今、高裁で争っているところであります。

 判決文には、今、大臣がおっしゃられたようなこれまでの国の態度が書かれているわけですけれども、例えば、平成八年十二月十一日参議院予算委員会、個人に向けての通知書が出せないものかどうか研究するという梶山静六内閣官房長官の答弁、平成十年三月十九日の参議院国民福祉委員会における、行政側で把握できる特別給付金の対象者に対しては、新たな措置として未請求者の方々に個別に制度の内容を送付する旨の小泉元総理答弁も紹介をされております。ただ、時効廃止を求める議員立法が成立していないために、憲法に照らして違法ではない、こういう判決であったわけです。

 その文言はこうであります。「特別給付金は、第二次世界大戦において、一心同体ともいうべき夫が戦没したことによって、大きな心の痛手を受けた戦没者等の妻の精神的痛苦を慰謝するために設けられた給付金である。」と意義を述べている。それなのに、昭和四十三年十一月二十七日の、国民がひとしく受忍しなければならないという戦争受忍判決を引き合いに出して、「特別給付金は、憲法によって保障された権利ではない」と言ってのけました。

 私は、非常に強い怒りを感じるのです。五十万人以上の女性たちが、二十代半ばで夫を亡くし、二人、三人の遺児を抱え、筆舌に尽くせない苦労を強いられてきました。三年の時効で資格を失った方は十万人とも言われておりますが、国が、先ほど述べたように精神的痛苦を慰謝するという立場で制度をつくり、しかも、この間繰り返し、未払いが生じないようにと国会で確認し、取り組みをしてきたことを、たった三年で権利が消滅してしまって受けられなかった方たちに対して、憲法違反ではないからと退けることが許されるのでしょうか。

 大臣、お二人の原告の居住地である大阪市議会、箕面市議会を初め、堺、高槻、吹田など大阪府下十二の議会、人口にして大阪府民八百八十四万人の六二%に当たる自治体が、時効を取り消し、特別給付金の未払いを解決するように国に意見書を提出しています。

 これらの戦没者、戦傷病者等の給付金などは、もう時効はなくすべきではないでしょうか。

○細川国務大臣 委員のおっしゃる時効の撤廃でございますけれども、そもそも時効制度は、一定期間継続した事実状態を尊重するということで、法的な安定性を図るというのが、これがそもそもの趣旨でございます。また、ほかの制度にも時効制度というものはあるわけでありまして、この時効制度を撤廃するということになりますと、時効制度そのもの、これが非常に大きな影響といいますか、それを受けるというようになってくるということで、なかなか時効制度を撤廃するというのは難しいということでございます。

 しかし、委員が言われるように、この時効制度で失権をされるという方がいるということは、これは法の趣旨にも反するということでもありますから、先ほども申し上げましたように、この制度そのものを対象者の方に周知徹底をする、そのことを丁寧に行っていくということが国としても最も大事なことだというふうに思っております。

 したがって、今回の法改正につきましても、国からの個別請求案内を実施いたしまして、新たな取り組みといたしましては、案内の際に、国で確認できる事項についてはあらかじめ印字をした請求書を同封いたしまして申請の便宜を図るというようなこと、そういうことをいたしまして、対象者の皆さんに権利を行使していただく、申請をしていただくということで、できるだけ時効制度における失権の防止に努めるということで国としてはやらせていただいているところでございます。

○高橋(千)委員 今最後におっしゃられたように、できるだけ時効で失権される方がないようにとおっしゃった、そのための取り組みもしていきますと言っているわけです。ですから、これから先、時効を争う方がわっと出てくるわけではないわけです。最初にお話をしたように、対象になる方は残念ながらどんどん少なくなっていく。だからこそ今、わずか三年という時効はもうなくていいのだという立場に立っていただきたい。このことを重ねて要望したいと思います。

 さて、残された時間で、震災問題に関連して質問いたします。

 資料を配っておりますが、厚労省がこれまでも、雇用調整助成金の要件緩和など、雇用確保と企業救済のために取り組んできたことは承知をしています。震災後、今配っていますのは四月八日付の周知のためのチラシでございますが、通達は雇用調整助成金だけでも十本くらい出ているわけであります。それはよくわかるのでありますけれども、実際の運用の問題なわけですね。被災地を応援する上でも、自粛ではなく全体の経済が回るということが重要ではないかと思います。

 また、一つの企業の経済といいますか業態といいますのは、資材、部品、輸送、加工、さまざまに関連をしておりまして、被災地ではないということで簡単に区切られるものではないと思います。

 例えば、青森県は、下にありますけれども、震災に伴う特例ということで、被災地の名前があって災害救助法適用地域というふうに書いていますけれども、青森県は災害救助法の適用になっているのは八戸市とおいらせ町だけであります。ですから、資料にあるような特例が受けられません。しかし、昨年十二月に新幹線が開業したばかりであります。なかなか景気の悪い本県でありますけれども、直近の三カ月の売り上げで比較すると上がっているんです。やはり開業効果があるわけです。そうすると、たったそれだけのことで対象にならないということになるわけなんです。これはいかにも不合理ではないか。

 青森県商工会議所によれば、浅虫温泉では一月もたないという旅館がたくさんある、あるホテルでは五千万円の損失だという、真っ暗やみの中を歩いているような感覚になる、そういう業者の声が寄せられ、どこまで頑張ればいいのか、先がどうなるのか全く見えない不安があると訴えられました。

 激甚災害の指定は全国のはずであります。もはや、特例は災害救助法の地域と限定しなくてもよいのではないでしょうか。

○細川国務大臣 雇調金の特例措置について、全国の企業に適用すべきではないか、こういうような御質問の趣旨かと思います。

 今回の雇調金の特例措置につきましては、今回の震災によりまして事業が継続困難ということになって、大量の離職者が発生するということが明らかでありました災害救助法適用地域におきまして、雇用の維持に努力する事業主を迅速に支援するということで、例外、特例を設けたわけでございます。

 また、これらの地域の事業所と一定規模以上の経済的関係を有する事業所や計画停電の対象となります事業所についても、被災地の事業所と同様に、雇用の維持に向けた迅速な支援が必要であったことから、特例措置の一部を追加的に適用もすることとしたところでございます。

 このように、雇用調整金の特例措置は、その必要性に応じて、被災地だけに限らないように全国的に認めているところでございます。

 今後とも、雇調金につきましては、より使いやすい制度となるように、被災地やそれ以外の地域の状況に十分留意をしながら、必要な場合には見直しをしてまいりたい、このように考えているところでございます。

○高橋(千)委員 今、限らないようにというお言葉があったわけですが、これははっきりと私が質問したことにそうだと言ったのかどうかは、もう少し確認をしたいと思います。

 例えば、太平洋沿岸部にある牛乳工場の社員、これが内陸の山形県新庄に勤務先があって、被災したから休業手当を払わなくてもよいというふうに言われる、無給で休ませられている方がいらっしゃいます。被災地だったら、後から計画書を出せば雇調金の対象になったはずだと。あるいは、山形市内、本社の運送会社の契約社員。半年契約で四月満了だと言われた。この方も、太平洋側から食料品などを輸送する会社の下請だったそうです。震災後、無給で休ませられているということです。

 被災地にある企業とそうでない企業というのは、やはりこれは関係があるのだ、先ほどの青森県の話も含めて、やはり被災地という救助法の適用地域に限らないということで確認をさせていただいてよろしいでしょうか。

○細川国務大臣 この雇用調整助成金の特例などにつきましては、これは一定規模以上の経済的な関係を有する事業所あるいは計画停電の対象となる事業所につきましても、被災地の事業所と同様に、この特例措置の一部、これは特例の、事業活動の縮小の確認期間の短縮、これは三カ月を一カ月にするとか、あるいは災害後一カ月間の生産量の減少見込みということでも申請ができる、こういうように適用をするということになっておりまして、そういう意味で、雇用調整助成金の今回の特例措置につきましては、必要性に応じて、被災地だけというふうに限らないように全国的に認めているということで御理解をいただきたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 そこのところが、経済関係が三分の一以上あるとかいろいろありますので、柔軟に対応できるようにぜひしていただきたいと思うんです。

 問題は、それが、特例をした、通知を出したといっても、さっき言ったように、十本もこの間雇調金だけで出ているわけですから、それが本当に徹底できるかということは、やはり出張相談が本当にできなければ無理なわけですよね。その相談と被災者をつないでいかなければならない。

 これは残念ながら時間が来ましたので、続きを来週するということで、要望だけにとどめますけれども、そのために今労働局の出前相談などもやっていらっしゃるということは掌握をしているわけですけれども、そのためにもっと体制を整えていく、人をふやしていくということが絶対必要だと強く要望して、続きをまた来週お願いしたいと思います。

 終わります。

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