――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
初めに、大臣に率直な御意見を伺いたいと思います。
政府の復興構想会議議長の五百旗頭真防衛大学校長は、十四日の初会合で、東日本大震災について、十六年前の阪神大震災の被災がかわいく思えるほどのすさまじい震災だと述べたといいます。
大変驚きました。私も、何度も一月十七日には神戸の集会に参加をしております。阪神では、六千四百名ものとうとい命を失い、今なお深い悲しみと、また震災による障害、生活の困難に苦しんでいる被災者がおります。絶対に許せない発言であり、議長としてふさわしくないと思います。大臣の率直な意見を伺います。
○松本(龍)国務大臣 構想会議の発言については、基本的に、チャタムハウスルールといいましょうか、自分の発言は発言していいけれども、他人がどう発言したかということに関しては発言をしないというルールがあります。しかし、御本人が何かで発言をされたんでしょうか、ちょっとそこのところがわかりませんけれども。
○高橋(千)委員 報道にもう既にありますので、会合の場でお話しされたと。
○松本(龍)国務大臣 十六年前の阪神・淡路大震災、私もかかわりました。六千四百三十四名が亡くなられて、三人行方不明ということで、非常な災害だったと思います。
五百旗頭先生もまさに被災をされて、御家族もさまざま御苦労をされたというふうに聞いておりますし、そういう意味では、今回の三月十一日の東日本大震災、津波被害、そして、ある意味では、原発の事故という複合災害がまさに未曾有の災害であったという思いで、そういう発言になったというふうに思います。
ある意味では、経験をされた先生ですから、今度の災害に対する議長としての責務の重さ、また、復興にかける決意の大きさをあらわすための発言だったというふうに私は理解をしております。
○高橋(千)委員 私は、理解をされなくてもよろしいと思います。
もちろん、先生自身が被災されている、当事者であるということも承知をしております。しかし、そういういろいろな思いがあったにしても、これから復興の先頭に立たれる方が震災の大きさについて比較をされる、しかも、大変適切ではない表現をされるということがどれほど被災地の皆さんを苦しめるのかということを、私は指摘をしなければならない。まして、防災担当の大臣であり被災者生活支援の担当大臣として、そこはおっしゃってもよいのではないかと思いましたが、きょうはあれこれ続きを言うつもりはありません。私の気持ちをお話しさせていただきました。
十八日、私も、委員派遣で福島県いわき市を視察させていただきました。福島原発の深刻な事故をめぐって、県、市町村、産業界も本当に怒り心頭でありました。
総理を本部長とする原子力災害対策本部の中に、三月二十九日、海江田経済産業大臣を長とする原子力被災者生活支援チームが置かれました。
その体制と役割についてですけれども、私の理解は、各市町村とマンツーマンで、担当制という形で情報の共有と支援を行っていくというふうに理解しておりますけれども、どうなのか。簡潔に説明をお願いいたします。
○中山大臣政務官 簡潔に申し上げますと、高橋委員の認識と全く一緒です。
私も、現場の本部長にいましたときはしょっちゅう官邸に電話をしまして、今、地元がどういうことを考えているか、マンツーマンでやってくれということを何回も申し上げました。
そういう意味では、市町村にまず人員を送ること、そしてまた、県にも今二名送っておりますが、現地にも九十人近い人たちが働いております。私たちも、四月五日に約二十六名の方たちが、現地でいろいろボランティアをやりたい、これは経済産業省の若者を募ったわけですが、大変士気が高い皆さんでした。私たちは、しっかりやってこいと肩をたたいて送り出して、マンツーマンでやるようにしっかり命令をしたところでございます。
○高橋(千)委員 これについても、例えば南相馬市の桜井市長が、保安院をここに置くべきだと指摘をしたり、国の責任ある人がいるべきだと指摘をしたり、また報道によりますと、総務省が副市長を派遣したというふうなこともございます。そういう現場からの要望で、ようやくこういう体制が整ってきたのかなと思っています。
ただ、気になっているのは、名前がリエゾン、連絡員という名前ですので、本当に連絡に徹するだけでは困るわけです。つまり、その人に聞いても政府の方針がわからないとかいうことであってはならないということで、本当に責任がきちんと一元化されているということを確認させていただきたい、これは要望にとどめます。
次に行きますけれども、一月以上も事態が収束しないという本当に世界に例を見ない重大な事故となりました。一日も早い収束を望む、当然であります。そして、避難だけではなく、仕事や農林漁業など、生活の基盤を失った被災者への全面的な補償が必要だと思います。
百万円の仮払いが東電によって表明をされました。ただ、このプレスリリースを見ますと、四月十五日付で東電が発表しておりますが、国の原子力発電所事故による経済被害対応本部において、原子力災害対策特別措置法の規定に基づき、福島第一原発の事故に伴い避難を余儀なくされておられる方々に対して、避難による損害への充当を前提に、当社から当面の必要な資金を仮払い補償金として速やかにお支払いするよう決定がなされましたと書いてあります。
これはつまり、決定をしたのは国の方針であるということだと思うんですね。そして、当面の資金ということでありますので、私たちは、産業者に対するお金は仮払いの中には一円もなかったわけですけれども、打ちどめではないということを確認したいと思います。
その上で、昨日、日本共産党福島県議会と県議団、原発の安全性を求める福島県連絡会が東電の鼓副社長に、人災を認めること、そして全面補償を迫っておりますが、その際に鼓副社長が、個人的には、今回の事故でこうむった被害に三十キロ圏に限らず払うのは常識と思っている、国の方針が決まれば払っていくと答えたそうであります。
私たちは、東電自身がきちんとそういう立場を示せと言っているんです。同時に、国が言えばと言っているわけですから、国が線引きはしないのだ、全面補償なのだという立場が今必要だと思います。いかがでしょうか。
○中山大臣政務官 東電が言ったことは東電の気持ちだというふうに思いますし、私は、そういう姿勢でいてもらいたいと思います。
なお、原子力政策は、これは国がずっと推進してきたことでございまして、福島第一の一号機は四十年前につくったものでございまして、そういう面からいっても、国全体がかかわってきたというその気持ちを我々はしっかり考えて、原子力損害賠償紛争審査会などもいろいろ議論をしてもらいたいと思いますが、とにかく補償のことは、まず第一歩を踏み出して、そういう枠組みをつくったところでございます。
なお、中小企業や、または仮店舗それから仮工場、こういうことも今考えておりまして、本当に無償で、三十キロから避難された方たちが御商売をやったり、または新しい事業をやるときのお手伝いをしていきたいと思っております。国が全面的に、やはり国策でやったことであるということを意識しなければいけないと思います。
○高橋(千)委員 今、全面的にでちょっと切ってしまったわけですけれども、今の趣旨は、まさに国策であると。
本当にそうなんです。先ほど江田委員の質問を聞いていて、私は、本当に自分の質問を全部取りかえたい気持ちに駆られたわけですけれども、私も青森県の出身でありますから、原発、核燃サイクル、一貫してこの問題を反対の立場で訴えてきた身でもございますし、また、廃炉になった後もそれをずっと置かれるということがあるのか、絶対に認められないということも言わなければならない。
しかし、それを国策だといって安全神話が振りまかれ、それを受け入れてきた、そういう背景があるわけです。それを安全基準などといいながら認めてきたのは国である、国の責任は絶対に免れないという意味で、全面的な補償に立つのであろうということを確認したいと思います。次の質問をしてから、もう一度戻りたいと思います。
先ほど、原賠法の問題で既に一定のお答えがございました。ジェー・シー・オーのときしか実績はないわけですが、あの三名の死亡という大変ショッキングな事故だったにもかかわらず、三日間で退避を解除させたということでは、影響がかなり違うと思うんです。ただ、それでも八千件という、そして大変長い時間を要しました。
今回は、紛争審査会が一回目が開催されて、先ほどの答弁では、緊急性、蓋然性の高いものを直ちにやっていくというような答弁であったかと思います。
そこで、文部科学省に伺いますけれども、ジェー・シー・オー事故を受けての原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会報告書には、このように書いてあります。「重層的な紛争解決支援システムの構築の必要性」として、「原子力損害を被った被害者の心理状態等の実態に適切に対応する必要があること。」「原子力損害に関して一般に被害者の有する知見の水準に配慮し、因果関係の立証負担を軽減する必要があること。」これは非常に大事な指摘だと思います。
つまり、国民は、毎日言われるマイクロシーベルトとかミリシーベルト、ベクレル、セシウム、そういう専門用語に面食らい、意味がわからないだけに不安が募るわけです。こうした中で、相当程度の因果関係があることを被害者自身が立証するのが困難なのは、当然なわけです。
当事者同士に任せ、長く裁判に持ち込むことがないように、国のイニシアチブが大事だと思いますが、いかがでしょうか。
○笹木副大臣 今、高橋委員が言われたように、当事者が、この場合ですと原子力の事業者と被害者、その間でこの賠償手続を行っていくわけですが、当事者間の合意のための交渉や和解、ここだけに任せていると非常に長い時間がかかります。ですから、紛争審査会でこの範囲の判定等の指針を策定して、立証を容易にする、被害者にとっても原子力事業者にとっても立証を容易にする、このことで被害者の救済が早くなるようにしっかりとやるということです。
先ほどお答えしましたように、あした二回目の審査会がありますが、政府の指示による避難ですとか出荷制限、こうしたものを初めとした緊急性の高いもの、蓋然性の高いものはなるべくまとまり次第出していく、そういう姿勢でおります。
あと、和解についての仲介も、この審査会が訴訟になる前に行っていく、これで被害者の救済のスピードアップを図る、そういうことです。
○高橋(千)委員 そこで、もう一度、中山政務官に質問を返したいと思います。
今、被害者の救済と和解のスピードアップというお話をされました。そうはいっても、非常に規模が大きい、そして実害であり、かつ風評被害も、福島県内すべて、そして県外にも及んでいるという中での補償のスキームを全面的にやっていかなければならない。
そういう点では、きょう各委員にも視察の資料として配られている福島県知事の要望書の中にも書かれておりますけれども、国の責任を全面的に認めながら、今回の原発事故解決のための特別立法を要求されておりますけれども、それに対して、当然国としてやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○中山大臣政務官 その辺についてもスピードが大事でございまして、緊急にその辺を検討するように今やっているところでございます。
私たち、今、高橋委員からお話がありましたように、補償を現金でお渡ししたというだけにとどまったらだめなわけですね。次は、仕事や生活を支えるための収入が必要なんです。そういう面でも、全面的にお手伝いをすることをお約束申し上げます。例えば補償後の問題、それから日本公庫からの融資の問題、ゼロからの出発だったらまだいいんですが、今はすべて失ってマイナスからの出発です。せめてゼロからの出発にできるように全力を尽くします。
○高橋(千)委員 お願いしたいと思います。
最後に、郡山市のビッグパレットの避難所で、富岡町が行政機能をそこへ移転しているわけですけれども、町長さんがおっしゃった言葉、避難者は疲れ切り、弱り切って体が小さくなった、そういう表現をされました。まさに、ここに大きな思いが込められているのではないか。
きょう総理が福島県入りをして、零時に警戒区域の発表をされるということであります。本当に、人生を大きく変えられたその悔しさ、怒り、不安というものを私たちがしっかりと受けとめて、今おっしゃったように、全面的に支援をしていく、国が責任を持っていくということを重ねて指摘して、終わりたいと思います。