――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
このたびの東日本大震災において犠牲になられた皆さんに心から哀悼の意を表するとともに、被災された皆さん、大切な人を亡くされた皆さんに心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
私は、東北から国会に送り出していただいた議員として、地震直後から、宮城、岩手、福島、青森の被災地を歩き、現地の声を聞いてきました。また、福島原発事故による避難者を受け入れている首都圏、秋田、山形の避難所なども回って、声を聞いてまいりました。
被災地は、家の土台だけを残してすべてを流し去り、電柱も、家も、車も、船も、店の看板も、一緒くたに瓦れきの山となってしまいました。しかし、単なる瓦れきではありません。足元には笑顔のアルバムがあり、子供服や扇風機のような生活家電があり、ついこの間まで普通の暮らしがあったということを思い知らされます。
そして今も、瓦れきの中から来る日も来る日も家族を捜す被災者の姿があります。せめて行方不明者が一日も早く家族のもとに戻されて、次の一歩を踏み出し、普通の暮らしを取り戻すことができるように、全力で頑張りたいし、政府にもその決意を求めたいと思います。
最初の質問は総理に伺います。
津波の対策は今後検証が必要でありますが、まず大事なことは、せっかく助かった命、あの大地震や大津波から助かった命をまた犠牲にするようなことはあってはならない、このことをまず確認したいと思います。
○細川国務大臣 高橋委員がお話しになりました、せっかく助かった命、それが二次災害のような形で亡くなるということ、これだけは避けなければいけない、これは私どもも同じ思いでございます。
言われたことは多分、災害関連死ということだというふうに思いますが、私どもとしてはもちろん、そういうせっかく助かった命でございます、したがって、避難所あるいは避難先でどのような生活、大変だと思いますけれども、それをしっかりと支えて、安心して暮らせるような、そういうところをきちっと確保していく、それに一生懸命努めるのが私どもの責任だと思っております。
○高橋(千)委員 細川大臣、後で質問しますから、どうぞ先にやらないでください。
ここで総理が一言ないというのは、それはちょっと国民に対しても、幾ら何でも、ないですよ。お願いいたします。
○菅内閣総理大臣 おっしゃるように、大震災、津波によって亡くなられた方が多い中で、本当に、幸いにして助かった方が、病院であるいは避難所で体調を壊されて亡くなる。中には、将来を悲観して亡くなるといった方もお聞きをいたしております。
そういうことがないようにということで、まずは、多くのお医者さんや保健婦さんが、現在、日々千人を超える人たちが被災地を巡回し、慢性疾患を抱える高齢者や障害者などの支援を要する方々を対象に、栄養指導や体操の呼びかけなど保健指導を行っていただいております。
今後とも、そういう活動も含め、政府としても、まさにせっかく助かった皆さんに、健康を取り戻し、元気な生活に戻っていただけるよう、しっかりとフォローしてまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 そこで、細川大臣に伺いますけれども、四月十一日の読売新聞の夕刊に、「震災関連死の疑い二百八十二人」という報道がありました。宮城、福島、岩手の三県の災害拠点病院計百十三病院で、三月末までに被災した後亡くなった方の数を調べたといいます。それ以上のデータが今ないわけですね。
ただ、そのほかにも、津波から逃れたために、水につかってそのまま寒いところで救助を待つなど避難所で亡くなった方、あるいは被災した介護施設から搬送中に亡くなった方、さまざまな関係した方の死亡が実はあるということがわかっております。
阪神大震災のときは、九百十九人が関連死とされました。このままでは阪神を確実に超えるのではないか、そんなことがあってはならないと先ほど来言っているわけですけれども、まず、政府は、被災した後に亡くなった方がどの程度いるのか、把握をされていますか。
○細川国務大臣 今の御指摘のお話は、いわゆる災害関連死のことだというふうに思います。
この点につきましては、震災発生によります直接的な要因ではなくて、震災発生後に避難所や病院などで亡くなられる方がおられること、また、一般に言われております災害関連死がどういうものかということについての正確な定義というようなものも今のところないところでございまして、行政としては今のところ正確な数は把握はいたしてないところでございます。
○高橋(千)委員 通告したときには、被災した後にというふうなことで伺いました。というのは、阪神のときも争ったわけです。関連死というとどこまでかということで、もめるわけです。だけれども、それをまず言う前に、丸ごと、厚労省として、どのように、どこでそういう死亡があったのかというのを把握してほしい、そういう思いを込めて質問をいたしました。
そして、今心配されているのは、結局、亡くなった方を持つ家族に対して支払われる災害弔慰金、これが関連死なのかどうかで非常に問題になっているという背景があるからだと思います。自治体の方も、非常に遺族との間に入って苦しんでいるという声もあるわけです。
でも、やはりこれを厳格にすべきではないと思うんですよ。津波でぬれたままに寒い岩山や屋上で救助のヘリを待っていた被災者が持病を悪化させて死亡したことを単純に病死と言われる、やはりこれは違うんですね。家族の無念さを酌み取って、お金で命が戻ってくるわけではないけれども、せめて残された家族が再出発する手助けとして、災害弔慰金を確実に差し上げることは重要だと思います。
国は、自治体負担を求めずに今回災害弔慰金を支給することを決めたはずです。どうか、家族の側に立って、積極的に認定するべきだと言っていただきたい。いかがですか。
○細川国務大臣 この弔慰金というのは、これは災害によって亡くなられた方の遺族の皆さんにお渡しをするものでございます。したがって、弔慰金によって亡くなられた遺族に弔意を国あるいは市町村が示すという意味で、心のこもったものでなければならないというふうに思っております。
ただ、この認定をする前に、どのようにしてやるかということにつきましては、これは市町村におきます条例で決めるということになっておりまして、その条例には、災害による死亡、こういうことになっているわけでございます。
そういったことで、市町村が判断をされるということになりますけれども、しかし、どういう場合に判断がなされるのか、そういう事例などについてもいろいろと市町村も考えなければならないというふうに思っておりますので、国としては、これまで災害によって亡くなられた方、その方に弔慰金が支払われた、そういういろいろな事例を今回の被災地の市町村に示しまして、亡くなられた方の遺族に弔慰金が渡るように、できるだけのそういう指導をしてまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 最後の、できるだけというところを非常に大事にしまして、やはり家族の側に立って、心を込めて、市町村でやっていいよと言っていただきたいなと思います。
心配されるのは、命を縮めかねない避難所の環境であります。感染症の心配、長引く避難生活のストレス、これが指摘をされています。私も、あちこちを歩いて、例えばトイレを借りたけれども手が洗えない、ウエットティッシュなどを持参しているわけです。あるいは用を足しても流せない、トイレットペーパーをごみ袋にまとめてそれを運ばなければならない、そういう実態がございました。夜はせきの大合唱、ささいなけんかもふえてきた、そういう心配な声も聞きました。
地震直後は、やむを得ない、そういうことがあったかもしれません。しかし、一月半たっても改善されていないところがある。体育館の間仕切りさえない避難所が残っていることに大変な衝撃を受けました。これらは既に絞られてきておる。だから、場所を特定してすぐに手だてを打つべきだと思いますが、いかがですか。
○松本(龍)国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。私も、発災からそのことだけ言い続けております。避難所の方々の医療や介護や福祉、あるいは自宅におられる方々の見回り等々を、とにかく、五十日たった今でもそれを続けることが私の使命だということで、言い続けています。
四月に入りましてから、ほとんど、悉皆調査をしたりしながら、各避難所の状況を把握しておりまして、劣悪な状況、改善すべき状況があればすぐさま改善するよう指示をしたり、あるいは手助けをしたりしているところであります。
いずれにしましても、先ほど言われましたように、これから六月、雨の時期、そして七月、八月、暑い時期になります。感染症、伝染病等々も、今回は、十日ほど前に、医師会やあるいは歯科医師会、薬剤師会、看護師会、大学病院の先生たちあるいは町場の先生たち、それぞれが手を組んで被災者の健康支援の協議会をつくっていただいて、今度は横横で頑張るという決意もしていただきました。そういう方々のお力もいただきながら、これから頑張っていきたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 今、大臣はそのことだけとおっしゃいましたし、すぐさまとおっしゃいましたので、ここは要望にとどめますので、必ず解決するようにしていただきたいと思います。
実は、政府の被災者生活支援特別対策本部、三県の全避難所に調査票を送り、五割の五百十カ所から回答を得たわけです。前回は、一度もふろに入っていないというところがあった、それが十六カ所がゼロになった。あるいは、温かい食事がとれていない、しかしまだ八カ所ある。こういう実態がわかったわけですね。
だけれども、その調査の実態が、市町村に紙を送って、市町村からまたもらって、ちゃんとやれよとまた指示を出しているんですよ。そうすると、市町村に忙しい思いをさせているだけなんです。
でも、今ははっきりわかっちゃった。本当に厳しいのは一カ所だ、あるいは厳しい状況にある箇所は五十八カ所だ、そこまで絞り込まれてきているんですから、あれこれではなく、電気がないんだったら電気、水がないんだったら水という形で、直接応援をそこに集中してやればいいんです。それはすぐに結果が出るように、後でまた検証したいと思います。重ねて要望いたします。
一方、自宅避難者への対策はどうなっているでしょうか。避難所で物資が充足しているところもある一方で、自宅避難者には情報も物資もない状態がまだ残されております。避難所が満杯だからとライフラインが復旧しないまま自宅に帰った方もたくさんいらっしゃいます。
また、先ほど少しお話があったんですけれども、石巻赤十字病院を拠点に、全国の医療スタッフが大規模な訪問調査を行っております。何度かに分かれてやっておりますけれども、参加したスタッフ自身が医療ガバナンス学会のメールニュースで詳細な報告をしています。
四月十五日から三日間。全壊などのある大変被害のひどかった地区、一万一千二百七十一世帯のうち、千四百九世帯が自宅にまだ住んでいる。避難所に行って期限切れの菓子パン、おにぎりをもらってぼそぼそ食べている。栄養状態が心配です。一階部分が柱二本と壁しかない、その一軒家の二階に住んでいる。もしかして、余震が来れば崩れるおそれがある。そういう実態が報告をされているんです。
こうした自宅にいる避難者も含めて、災害救助法による救助の対象であり、実態把握や支援が必要だと思いますが、いかがですか。
○細川国務大臣 高橋委員がおっしゃるように、自宅で生活をしている人、あるいは、いわば自宅で避難しているような方、この方も、当然、災害救助法の対象になります。
そこで、自宅にお一人で住んでいる方、そういう方に本当に支援の手が差し伸べられているかどうか、これが、委員が言われるように、本当に大事なことだというふうに思っております。
そういう意味で、保健医療の面で、先ほど出ました石巻あるいは気仙沼なんかもそうでありますけれども、巡回の支援をいたしております。医療チームが常駐しているところでは、避難先の拠点から周辺の避難者の在宅者も巡回して診療をしているとか、あるいは、巡回の診療支援チームというのをつくって、そのチームで個々に、個別に巡回の診療支援も行っている。また、派遣の保健チームのような方は、特別に、独居とか寝たきりの人、あるいは母子、そしてまた精神障害の、そういう方を中心にローラー作戦を行って、そういう方がいるかどうかも調べている。
こういうのは、地域によってそういうことがしっかりされているところもあれば、まだ不十分なところもあるかと思いますけれども、私どもとしましても、そういう自宅で避難生活をしている方には十分支援が行き届くようにしっかりやっていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 片山総務大臣に一言伺います。
今までの質疑を聞いていただいたと思うんですけれども、本当に、自治体の機能がなくなり、多くの職員が犠牲になっているもとで、自治体に課せられる仕事、先ほど来、自治体の判断だということが多かったわけですね。大変なんだよと言いたいけれども、しかし、被災者の立場に立てば、やはりそれはこたえていかなければならない。そのことを思えば、この最前線を厚くして事務量をカバーする以外にありません。
総務省によると、被災した自治体から、全国市長会や町村会を通して、行政支援の派遣要請、六百七十三人来てほしいというのに対して、六百団体、二千五百六十二人から申し出があったといいます。つまり、要請を上回る申し出がある。本当に全国から応援したいと言っているわけですね。だから、それにこたえて、システム的に人的、財政的手当てができるようにすればいいと思います。いかがですか。
○片山国務大臣 被災直後から、もう既に全国の多くの自治体の職員が被災地に入り込んでおります。
だんだんステージが変わってまいりまして、最初はいろいろな単純な作業のお手伝いでありましたが、復興の過程に入ってきますと、例えば専門的な事務、保険でありますとか課税でありますとか情報システムでありますとか、いろいろな事務についてきめ細かい要請があります。
実は、先ほどおっしゃった六百数十人という人数以外に、もう既に、姉妹都市の交流を通じてとか、それから県内で他の市町村からとか、かなりの職員が入り込んでおりますが、それでも足らない、そういう職員をカバーするために、総務省と全国知事会、町村会のネットワークで募集をしましたところ、六百七十人ほどの要請がありました。それに対して、二千六百人ほど出していいよというのがあります。
今、実はマッチングをやっておりまして、個別にどういう職種の人が欲しいか、それから、いつからいつまでというような個別の問題になりますので、大体五百数十人がもう既にマッチングを終わりまして、順次これから、多分連休明けぐらいから多くなると思いますけれども、派遣されることになっております。
これからもだんだんと、いろいろな職種で必要なものがふえていきます。ぜひ柔軟に対応したいと思いますし、ありがたいことに、全国の自治体の皆さんは本当に積極的に、自分のところの仕事を少し削ってでも出すということを言っていただいておりますので、ぜひ要請にこたえるようにしたいと考えております。
○高橋(千)委員 応援に行って帰ってきた職員の方が、人生観が変わった、そう言って、またもとの職場で頑張っている姿も見てまいりましたので、本当にこれから長期的な支援も必要だと思いますので、大いに考えていただきたいと思います。ありがとうございました。
ちょっと時間の関係で少し飛ばしたいと思うんですけれども、今回、被災した住宅に三百万円という被災者生活再建支援法の支援金、これが先ほども議論になっていたわけですけれども、拡充するという話だったはずなのに、今のところその予定がないようだと。これは、今の補正では五百二十億円、合わせて一千億足らずの予定をしていると。
そうすると、最初に払われた基礎支援金百万円、これを十万人に配ると、それでなくなってしまうことになるわけですね。そうすると三百万円も払えなくなってしまう、おかしいじゃないかと。全国知事会の試算では、阪神・淡路の一・五倍程度、八千五百億円が見込まれるのではないかという指摘がされております。
二〇〇七年の法改正をしたときに、これは超党派でやりました。あのときにも、首都直下のような大規模な地震があれば基金がもたないという議論はあったんです。消極的な議論。でも、それを乗り越えて、そのときは、やはり特別立法なり別枠で考えるしかないのだということで消極論を乗り越えてきたと思うんですね。
それを今回やらないのか、伺いたい。
○松本(龍)国務大臣 まず一点目の被災者再建支援法に基づく支援金は、全壊とか一定の規模によって最大三百万円支払われるものであります。平成十年にできました。後にプラス二百万ということで三百万になりました。
これまで、中越沖地震、そして去年の十月二十日、奄美大島で三人の御高齢者が亡くなられました。そういう意味では、今度の災害、確かに物すごい規模で、物すごい犠牲者がおられました。しかし、個々の方々、被災者ということに着目をすれば、さまざまな意味でバランスを考えていかなければならないなという思いでありますので、慎重にその件については検討をしていきたいというふうに思います。
そして、この基金そのもののでき方でありますけれども、全国の都道府県が相互扶助の観点から基金を拠出しております。現在、この基金の中には五百三十八億、そして私ども、今度の補正予算で五百二十億を積みながら、一千億強で対応してまいりたいと思います。そういう意味では、これでは足りないという話でありますし、こういった形の中で、私たちは一日でも早く被災者の皆さんに届けなければならない。
いずれにしましても、被害の状況がまだ全体として、家の戸数とかがわかりませんので、本制度の趣旨を踏まえながら、また支援金が早急に、かつ円滑に被災者に支給されるように最大限努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 今の答弁は、バランスを欠くとおっしゃいましたけれども、そうじゃないですよね。三百万円と法律で決めたのに、このままでは基金が枯渇して払えなくなるじゃないかと言っているんです。だから、当然補正するでしょう。今やれないんだったら二次補正するでしょう。そうじゃなかったら、バランス以前の話じゃないですか。
○松本(龍)国務大臣 それは当然お支払いをいたします。
○高橋(千)委員 まず最低限のスタートラインにようやっと立ったと思います。今ある三百万円をやるというための二次補正を当然準備するということです。その上で、この法律がまだまだ不十分であるということを議論していきたいわけですよ。だけれども、今ではまだスタートラインにさえ立てていないということを指摘いたしました。
私はきょう、実は、個人の住宅だけではなくて、中小の事業所、商店は、一体となって町を復興しなければならないので、対象にするべきだという質問を用意していました。多分、そのこともいろいろ頭にあってそういう答弁になったのかなと思いますが、今ちょっと時間の関係で、要望にとどめます。スタートラインに立ちましたので、続きをまたやらせていただきたいと思います。ぜひ御検討いただきたいと思います。
復興構想会議が盛んに青写真を描いている、でも被災者が置き去りにされているのではないか、このことが何よりも心配なんです。町が全部なくなったという議論をよくされる人がいます。でも、決してそんなことはありません。二万六千人近い方が亡くなったり行方不明ですけれども、二万六千人以上があの大津波から救助されているんです。そして、家族や大切な人を失いながらも、地域力を発揮して、自主的な避難所の運営や、港や商店の復興へ歩み出しています。ですから、本当に復興のためには個人補償の積み重ねが必要なんだ、そこでこそ町がよみがえるんだということを指摘しておきたいと思います。きょうは福島の原発の問題をどうしても言いたいので、要望でこの問題はとどめます。
福島県民にとっては、復興という言葉そのものに傷つけられているわけです。収束の見えない原発事故、新たな避難区域の設定など、先の見えない不安に苦しんでおります。事故が人災であったということは、既にこれまでも我が党の吉井議員の追及などで明らかになってまいりました。繰り返し最悪の事態を警告し、対策を求めてきた福島県の共産党や団体の皆さんが、どれほど怒り、悔しい思いをしているでしょうか。
私も、二〇〇七年、柏崎刈羽原発の事故があった後に、福島の仲間と一緒に福島第一原発の視察をしました。そのときに吉井議員が指摘をした取水口、海水を取り込む取水口がどうなっているのかとか、活断層の調査はなどと指摘をしたのに対して、よほど大きな地震に備えている、そういう開き直った答弁だったわけです。
また、東電の繰り返されたデータ改ざん事件、福島原発のシュラウド、これは原子炉圧力容器内部で燃料集合体を収納している隔壁をいうわけですけれども、これがひび割れしていたことがありましたよね。このひび割れを報告すると原発をとめなきゃいけない、そういって黙っていた、定期点検が来るまで黙っていた、そういうことを、私は青森にいましたので、報告書を読んで、本当に怒りに震えて質問したことがございます。原発をとめない、コスト最優先、安全が後回しにされてきた、これは今回の事件も根っこは同じだと思うんです。
二十キロ圏内で、餓死しそうになっている家畜の殺処分が二十四日に決まったと聞きました。避難先からえさやりに通っていたという養豚業の前田さんが、せめて最後に腹いっぱい食わせてからにしてほしいと声を振り絞ったと二十五日の河北新報が報じていました。
なぜこんな思いをさせられるのか。原発によって人生を大きく変えられた皆さんに対する心からの謝罪をお願いしたい。既に補償の申し立ては来ている。どのくらいでしょうか。全面的にこたえていくと言っていただきたい。お願いします。
○清水参考人 ただいまの福島県民の方々へのおわびというお話でございますが、今回の事故に関しまして大変大きな御迷惑もおかけしたことを、改めて私からも深くおわびを申し上げたいと思います。
それから、損害賠償の件でお話がございました。現在、さまざまなお手紙やらお電話で、たくさんのお話をいただいております。内容もさまざまでございます。したがって、正確に何件というのは、ちょっとお許し願いたいと思います。
ちなみに、先般手続を開始いたしました避難費用の仮払い費用、仮払い補償金というのがございました。この件について申し上げますと、約一万二千件の方々からの請求書をお受けいたしております。
それから、同じ補償金の問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、今後、やはり原子力損害賠償制度のもとで、その指針に沿いまして、公正、迅速に対応してまいりたい、このように考えております。よろしく御理解をお願いいたします。
○高橋(千)委員 その指針が昨日発表されたわけですけれども、第一次ということなんですけれども、結局、これは三十キロ圏内、計画的避難区域、一つの目安になっていて、線引きになっちゃうんですね。あるいは産業被害、あるいは風評被害、精神的苦痛、さまざま言われていますけれども、全部、相当程度因果関係があると言われて、大変立証は難しく、長い裁判になりかねません。
例えば、いわき市は、この間までは、ほんの一部が三十キロ圏内に入っていたために、いわきナンバーお断りと差別をされました。それが、今回解除されたけれども、燃料も食料も途中まで来て届かない。そういう苦しい思いをさせられたいわき市民に、何の償いもないのでしょうか。
あるいは、一つの市でありながら、避難指示、屋内退避、それ以外と分断された南相馬市の市民は、全国の避難所にばらばらになっています。
例えば、川崎市にたどり着くまで、最初は親戚等、避難所、四カ所くらい転々と動いて、最後のガソリンを使い果たして、戻りたくても戻れない、今すぐここにガソリンを持ってきてと叫んだ男性がいました。小学校の卒業式ができないまま、友達が新潟などばらばらになって、いつか一緒に卒業式をしようと励まし合っている友達もいました。
あるいは浪江町、津波で家が流されたために戻ることもできず、親戚の安否も確認できない、毎日、新聞の死亡欄で確かめている、そういう人もいました。
どの人も必死で避難をして、この先どうしていいか、答えを探しているのです。この人たちに線引きをするのですか。そんなことは絶対にしないと言ってほしい。正確な情報が出ないまま、県民を混乱させた、風評被害を広げた、それは政府に責任があります。このことをしっかりと認めて、線引きをしないで、しっかりと直接、間接の被害にこたえていく、このことを総理にお答えいただきたい。
○菅内閣総理大臣 今、高橋委員の方から、そういう線引きをしないようにという御指摘、気持ちはよくわかります。同じ町の人たちが、全くみずからの責任ではないことでいろいろに分けられて対応を迫られるというのは、大変申しわけなく思っております。
同時に、この指針というものが、昨日、第一次の指針が出された中で、一定の客観的な基準というものが示されているわけでありまして、やはりそれに沿った対応というものも必要であろう、こう思っております。
国の立場としては、今後、風評被害なども含めて、いつもの言葉で恐縮ですが、一義的には東電の責任でありますけれども、的確な補償がきちんと実行されるように、政府としても、最終的な責任は自分たちにもある、そういう観点でフォローしてまいりたい、このように思っております。
○高橋(千)委員 今の最初のお言葉、同じ気持ちであると。そこからスタートをして、本当に皆さんの声にこたえる取り組みをしていただきたいと思います。
ふるさとに戻りたいという気持ちにこたえ、ふるさとの再生と、そして、長期になるかもしれない、そこに対するしっかりとした財政支援、雇用も含めた支援、それは政府が責任を持っていただきたいと要望して、終わります。