国会質問

質問日:2011年 5月 20日 第177国会 厚生労働委員会

介護保険法案

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 まず、本題に入る前に、きょうは、社会保険病院と厚生年金病院の問題について伺いたいと思います。

 十六日、仙台市にある仙台社会保険病院と東北厚生年金病院に行ってまいりました。いずれも被災をしておりまして、仙台社会保険病院は、三病棟あるうち、第二病棟の三階から五階が壁じゅうひびが入っておりまして、患者さんは全員別病棟に移しておりました。厚生年金病院の方は、柱のほとんどが問題があって改修中でありました。地震発生当時は三百五十四名いた入院患者さんを一時は他の病院に移して二十名まで減らしたわけですけれども、今二百八十名まで戻ってきているということでございました。

 そこで、四月には大谷医政局長も東北厚生局長とともに視察をしたと聞いております。病院の被災には、先般成立をした財特法によれば、民間病院は二分の一、公立病院は三分の二の補助が出るわけです。それで、はて、これはどっちに入るのかなということで、何らかの補助が必要だなと思ったわけですけれども、どういうことになるのか、伺いたいと思います。

○大谷政府参考人 国庫補助の考え方でございますが、まず、今回の第一次補正予算で計上しました医療施設等災害復旧費補助金につきましては、その設置主体の位置づけ、また財政構造を考えて補助対象が定められております。

 国とか独立行政法人が運営する、あるいは国立大学の法人、国家公務員共済組合、こうしたものについては、あらかじめ別の公的財源によって直接的に運営費が交付されるということでありますので、個別の措置がとられているということをかんがみて、これは国庫補助の対象外というふうになっております。

 今お話がありました厚生年金病院とか社会保険病院でありますが、御承知のとおり、もともとこれは旧社会保険庁が保険料財源で設置いたしました。旧社会保険庁の改革の中で、平成二十年に独立行政法人の年金・健康保険福祉施設整理機構、いわゆるRFO、こちらに出資されておりますが、そうしたもともとの性格から、このRFOは、緊急災害時の復旧等は、その施設整備は独自財源で行うという考え方になっております。

 したがいまして、今お話がありました病院につきましては、この施設を保有する独立行政法人、いわゆるRFOが法人の負担で必要な災害復旧の整備をしている、こういう整理でございます。

○高橋(千)委員 実は、当日もRFOが査定に来ていたという話を聞きました。私は、公立病院なんだろうか、間に入ってこの補修ができないようなことがあっては困るという趣旨があったわけですけれども、逆に、今の答弁を聞いて、やはり、国や独立行政法人、こうした直接にお金が出ているところであるわけですので、国が責任を持っている病院と同じ並びなんだということで受けとめをさせていただきたいなと思うんです。違うのであれば、次の答弁の中で触れていただきたいと思うんですけれども。

 そこで、仙台社会保険病院は、被災の当日、電気、ガス、水道、すべてがとまりました。ところが翌日には、透析患者を抱えておりますので、水道局から給水車を出してもらって、貯水をして、午後からすぐに透析を開始したわけです。大量の水を必要とする透析は、中断すれば即、命にかかわるということで、ラジオなどを通じて透析患者を受け入れますと呼びかけたわけです。そこで、県内三十六の施設から延べ千六百四十五人、最大では五百十五名の患者さんを受け入れたわけです。機械は六十七台あるそうですが、透析時間を少し、二時間半ということで短縮はしておりますけれども、文字どおり不眠不休で治療に当たったということでありました。

 また、日ごろ巡回健診に行っております南三陸町に、健診カーで応援に駆けつけました。南三陸町には当時たくさんの医師たちが応援に来ているわけですけれども、レントゲンが撮れるとかエコーなどの基礎的な検査が可能であるということで、非常に歓迎をされたということを聞いております。地方の中小企業の健診にも活躍をしている社会保険病院の意義についてかつて本委員会で質問したことがありましたけれども、やはり災害の場でもそういう威力を発揮したのではないか、このように思っております。

 また、厚生年金病院は、宮城野区福室という津波がすぐ目の前まで来たところであるために、付近の住民を最大で千六百人受け入れたそうです。通信手段も途絶える中で、患者用の備蓄食料を職員と避難者にも提供してしのいだ、そういう本当に献身的な奮闘があったということを聞かされてまいりました。今度の震災で、改めて、地域から必要とされ、あるいは特色ある医療を提供している病院の役割が発揮されたのではないかと思います。

 独立行政法人地域医療機能推進機構法案が結局廃案になったわけでありますけれども、政府として、このまま受け皿であるRFOが期限切れになって、これらの病院の存続の根拠を失うことがあってはならないと思うわけです。その点で大臣の決意を伺いたいと思います。

○細川国務大臣 今回の震災におきまして、社会保険病院あるいはまた厚生年金病院なども大きな被害を受けました。しかし、被害を受けながらも、医師や看護師さん、医療関係者が大変な努力をされまして地域の医療の確保に取り組んでいただいたということにつきましては、私も感謝をいたしております。

 今委員からもお話がありましたように、病院が被災をいたしまして、すぐに他の社会保険病院などから医師等が派遣をされたり、あるいは医薬品や食料品の物資の支援も受けまして、医療機能の維持、回復に努められた。そして、大変危険だった人工透析患者の受け入れとか、あるいはまた避難所とか他の病院まで医師の派遣をするなど、そういう意味で、地域の医療の確保にこの病院などが大変お役に立っていただいたということ。これは、社会保険病院などの存在の意義というのは、もう本当に、委員と同じように、私も強く感じているところでございます。

 そこで、社会保険病院などは、今その保有は、RFOで保有をいたしております。独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構が設立をされて、社会保険病院などの保有をしている。この目的は一体何かといいますと、必要な医療機能が維持され、地域の医療が確保されるということと、もう一つ、地域住民や自治体の理解が得られる、こういうことを条件に、これが満たされることに留意して、そして譲渡するためにRFOに病院等が保有をされている、こういうことになっております。

 そこで、そういう目的のための譲渡についていろいろ取り組んできていたわけでありますけれども、今回の震災のように、社会保険病院などの意義も大変強く発揮もされたところでございます。そこで、地域医療も確保して、病院の安定的な運営を図る、そのための新たな受け皿づくりが必要だということになれば、そのための法案というのも私どもで検討をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

○高橋(千)委員 大変丁寧な答弁をありがとうございました。

 各委員の皆さんも存続に向けてのさまざまな取り組みをしていただいていると思いますし、今大臣のそうした発言もございましたので、本当に現場の皆さんは待っていらっしゃいますので、存続の根拠を一日も早く法案として通していきたいということでよろしくお願いしたいと思います。

 さて、きょうの法案は介護保険法でありますけれども、私は、介護保険十年という大きな節目の中で行われる改正が残念ながらこのような非常時に審議をされるということに強い危惧を抱いております。与党の中ではさまざまに調整をしてきていらっしゃると思うんですけれども、まだ当事者団体の中ではほとんど説明を受けていない、あるいは利用者のほとんどは知らないのではないか、そういう声も上がっております。ですから、きょうはそのことは強く指摘をしておきたいということです。

 その上で十分な審議をお願いしたいということなんですが、きょうお話ししたいのは、震災の中で保険の枠組みを維持しているということの矛盾というのがやはり猛烈に出ているな、ここに来てまで保険かというのを感じていますので、そこに絞って質問したいと思います。ちょっと前の委員と重なっている部分があるかもしれないので、時間の関係があって二点まとめて質問をいたします。

 三月二十五日の当委員会で、私は、介護保険の要介護度に応じた利用の上限、利用限度額を撤廃すべきだと質問をいたしました。やはりもう既に現実に起こっていること、介護施設に避難した高齢者などが長期利用扱いとなって高額の請求をされたり、津波で家が全壊して介護施設に避難した女性が自己負担分十六万円も請求されたとか、そういう実例が既に出てきております。これは利用者からの苦情でもあり、事業者にとってもそういう仕組みだから仕方がないという声が上がっているわけです。なので、改めて、上限の撤廃、あるいは上限を超える負担について減免するべきだと思うが、いかがかということです。

 それから二つ目は、衛生状態の悪化、同じ姿勢でじっとしていたり、水をなるべく飲まないとか、あるいは環境の変化で認知症が進んだなど、新たに要介護状態になっている人もふえていると思います。一方、三県で要介護認定申請が少なくとも二千九百六十件滞っているということの報道もございました。私は、目の前に介護の必要な人がいるのに、認定がされていないからとかそういうことはやはりあってはならない、これはもう現場の判断でやるべきだと思いますが、この二点、お願いいたします。

○大塚副大臣 まず一点目は、先ほど古屋委員もお取り上げくださいましたが、まさしく今委員も、災害が起きてなおかつ保険かというお言葉がありましたけれども、保険は、通常時、リスクをお互いに補い合うための制度であります。今回、これだけの大震災が起きている中では、通常の保険機能だけでは対応できない部分があるからこそ、特例の上に特例を重ねて今日までやってきておりますが、それでもなお足らざる点はさらに検討すべきだと思っております。

 特に第一点目の区分支給限度基準額については、御指摘の実例も踏まえて、被災県の実情に応じた取り組みをさらに進めていただきたいというふうに思っております。これは、先ほど局長の方からも御説明申し上げました地域支え合い体制づくり事業の七十億円、これなども活用していただければというふうに思っております。

 また、衛生状態の悪化を例にして、まだ要介護認定が行われていない方々への対応についても御指摘がありました。これについても、先ほど岡本政務官からも他の委員の方にお答え申し上げましたが、既に、要介護認定の申請前であっても、緊急やむを得ない理由があれば、市町村の判断により介護サービスの提供ができることとなっておりますが、しかし、なおかつ、さらにさまざまな事例が出てくると思っておりますので、現在、関係省庁及び関係政務の間で大震災に対応した特措法の必要性などの議論がもう始まっておりますので、そういう中でしかるべき対応をしっかり図りたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 今、最初に御紹介いただいた地域支え合い体制づくり事業、これは資料をいただいたんですけれども、これを読んでも、上限分の負担に対して使えるというのが読めないわけですよね。だから、ほとんどの人に知られていないだろうということで、自己負担しなくてもいいんだよということをきちんと徹底していただきたいと思います。

 それから二点目の、申請前であっても市町村の判断でできるということ、これは災害にかかわらず基本的に介護保険法でできるわけですよね。そういうことを、実は今回、災害で本当に非常時だから保険の枠組みを超えようよということを私は言いました。同時に、本来、市町村の判断でできることはやはりやっていこうじゃないかと。目の前に介護の必要な人を放置するようなことがないように、こちらから出かけていっても介護が必要な人を発見するような体制、本当はそれは昔はそうだった、この介護保険ができるまでの流れの中でそういうことがあったんではないかなと思うんですけれども、やはり今回の介護保険の改正はそういう、災害から学んで必要な見直しを、もっといいものにしていかなければならないのではないかということで、次の機会にまた続けて質問したいと思います。

 ありがとうございました。

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