○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
昨日の復興特に続きましての質問をさせていただきたいと思います。時間の関係で昨日質問できなかったところがございましたので、ぜひ御答弁をいただきたいなと思います。ただ、きょうも時間との闘いですので、答弁は簡潔にお願いをしたいと思います。
福島第一原発事故の、東電社員二名が被曝した件でございます。
厚労省は、三十日に指示を出し、三月末までに福島第一原発で緊急作業に従事したすべての労働者の内部被曝測定、評価を実施するように求めたといいます。この対象人数や進捗状況がわかれば、まずお答えいただきたいと思います。
この二人の方たちは中央制御室に従事していた社員ということですので、我々だって普通に調査のときに入りますので、比較的前線ではない、しかも正社員であるということから考えれば、今回の二百五十ミリ超えはまず二名にとどまらないだろう、もっと前線で活動している労働者ほど被曝のおそれが高く、もっと影響が広がっているのではないかということを心配しますが、いかがですか。
○小宮山副大臣 福島第一原発で緊急作業に従事していたその東電の社員二名の方が、内部被曝を含めた被曝線量が上限である二百五十ミリシーベルトを超えるおそれがあるということを、五月三十日に東電より報告を受けました。
緊急作業に従事する労働者の内部被曝測定につきましては、これまでも再三にわたって指導を行ってきたところですが、これまで緊急作業に従事した労働者七千八百二十九名のうち、測定を受けた方が千八百名余りにとどまりまして、いまだに測定されていない方が多いことは大変遺憾に思っておりまして、さらに指導をしたいと思います。
こうしたことを踏まえまして、厚生労働省では、五月三十日に東京電力本社を呼びまして、これまでに緊急作業に従事した労働者に対する内部被曝線量の測定、評価を速やかに行うよう強く指導いたしました。
また、おっしゃるように、この東電の社員二名と同じように中央操作室で作業をしていたほかの労働者につきましても、同様に内部被曝の可能性が否定できませんので、これらの方々については、内部被曝線量が確認できるまでの間、福島第一原発での緊急作業につかせないよう、あわせて指導いたしました。
今後、つくりました福島第一原発作業員健康管理等対策推進室を中心にしまして、第一原発での線量管理の状況ですとか、内部被曝線量の測定、評価の結果を的確に把握いたしまして、緊急作業に従事している労働者の健康管理には万全を尽くしていきたいと考えております。
〔委員長退席、郡委員長代理着席〕
○高橋(千)委員 福島第一原発の復旧作業にかかわる対策推進室をつくったということで、しっかりとお取り組みをいただきたいと思います。
そこで、昨日の質問の中で数字を出していただいたものを、きょうは資料に配ってあります。「放射線被ばくの労災認定について」ということでありまして、最初にこの資料をいただいたときに、被曝の労災の資料を下さいということでもらったわけですけれども、いろいろ気がつくことがございます。
まず、「原子力発電所で業務に従事した労働者のがんに関する労災認定状況」ということで、そもそもがんしかないのだということでございます。それから、よく言われるのが、百ミリシーベルト以上は影響がはっきりしているけれども、それ以下は明確でないということがよく言われます。ただ、これを見ますと、十人の中、百ミリシーベルトを超えている人は一人しかいないわけであります。そして、きのうも言いましたように、五・二ミリシーベルトでも白血病になっている、こういう実態がわかるわけですね。
これは、実は説明書きが後でついているわけですけれども、百ミリシーベルト以下の被曝であっても、発病したがんが労災として認定されることはあり得る、労働者の側に立って、ほかに要因が考えられなければ認めると書いてあります。ただし、あくまでも白血病はということで、白血病しか認定基準がないわけであります。
そこで、さまざまな影響があるにもかかわらず、こうしたことしかこれまでされてこなかった、認定されてこなかったし、考慮されてこなかったということを踏まえまして、もっと見直しをするべきではないか。一つは、緊急時だからといって、危険な作業だということをわかっていて二百五十ミリシーベルトという上限でよいのか、高過ぎるということ。そして、労災認定基準についても見直しをすべきではないか。大臣、いかがですか。
○細川国務大臣 二百五十ミリシーベルトに引き上げた、これについては緊急時でありますから引き上げたわけでありますけれども、この引き上げに当たりましては、ICRPの勧告では、重大事故には人命救助を例外として五百ミリシーベルトを超えないようにすべきであるということ、それから、被曝線量が二百五十ミリシーベルト以下では急性期の臨床症状が明らかな知見が認められないということを踏まえまして、急性期の健康影響がない境目の水準として設定をしたところでございます。この引き上げにつきましては、文部科学省の放射線審議会からも、妥当であるという答申をいただいております。
しかしながら、被曝線量がふえますと中長期的な影響が生じますリスクが増加する、こういうことは確かであると思います。そのため、五月十七日に公表されました政府の工程表、これでも、被曝線量の管理、臨時の健康診断の徹底、作業届の提出による労働者の被曝管理等の確認、そしてまた、データベースの構築による長期的な健康管理を行うことといたしているところでございます。これらを確実に実施していくためには、先ほどお話がありました対策推進室も設置をいたしまして、この推進室を中心に作業員の健康確保に万全を期していきたいというふうに考えております。
それから、労災の基準についての見直しというようなこともお話がありましたけれども、これについてはいろいろと関連もありますので、これも検討はしていかなければというふうに思いますけれども、ただ、直ちに今のこの規定を改めるということにはならないと思います。この規定というのは、本当に労災の患者のため、そういう観点からこの基準が設定をされているというふうに私どもは考えておりまして、その点については妥当な基準ではないかというふうに思っております。
○高橋(千)委員 今、検討という言葉がありましたので、重ねて検討をお願いしたいと思います。
やはり、放射線の影響というのはずっと後になって出てくるということは皆さんおわかりなわけですから、今直ちに影響がないということでは済まされないということを言わなければならないと思うんです。
この基準のバックになっている一つのあれとして、例えば財団法人放射線影響協会の疫学調査というものがございます。慢性リンパ性白血病を除く白血病の死亡率は、全日本人男性死亡率との有意差は認められなかったということで、ここだけを基準にしているというふうなことが書いてあるんですけれども、実はその下に、それ以外のがんについては、一般の男性と比べて高いのだということが書いてあるんですね。「有意に高かった」とちゃんと書いてある。ところが、これは生活習慣病とかいろいろな条件が考えられるからいいんじゃないかという程度に済まされているということをやはり見なければ、そこにはアンダーラインを引いていないということなんです。そういうこともちゃんと見ていただきたいということを指摘しておきたい。
それで、三つ目の質問なんですけれども、私は、そうはいっても、内部被曝の結果が出るまで何もしないというわけにはいかないわけです。そのために線量計をつけているわけだし、そのためのアラームというものがあるわけですよね。
例えば、ジェー・シー・オーが本当に短期間で収束をしたのは、もう決死の覚悟で社員の皆さんが冷却水抜きに志願をして行動したわけです。そのときに、怖くなかったと言ったらうそになるが、アラームが鳴ったら戻ればいいと自分に言い聞かせたということを社員の方がおっしゃっています。会社は、一分以上作業するな、アラームが鳴ったら帰ってこいという指示をしたそうです。私は、やはり時間で、とにかく長く作業しないということ、そして、やはり最後はアラームで担保をするということ、ここが本当に大事なのではないかと思うんです。
そこで、昨日、先ほど紹介された対策室の方が福島第一原発の復旧現場に行ったということで、どのくらいになったらアラームが鳴りますかと聞いたところ、それは場所によってまちまちで、一ミリシーベルト、五ミリシーベルト、大きくて四十ミリシーベルトのところがあるということでありました。四十ミリシーベルトになるまで鳴らないということがもし事実であれば、これはいいのだろうかということ、まずそこをちょっと調査して是正する必要があると思いますが、いかがですか。
〔郡委員長代理退席、委員長着席〕
○小宮山副大臣 御指摘の点はしっかりと調査をしたいと思います。
外部被曝につきましては、あらかじめその作業で被曝が見込まれる線量を可能な限り低く抑えられるように努力した上で、各作業員の累積外部被曝線量に応じて作業を割り振るなど、よりきめ細かな管理を行うこと、これが必要だと考えています。
また、こうした取り組みの実施状況をしっかりと確認して、的確に指導を行うために、福島第一原発での緊急作業のうち、一日の被曝線量が一ミリシーベルトを超えるおそれがある作業につきましては、事前に放射線作業届を富岡労働基準監督署に提出するように五月二十三日に指示をいたしました。届け出受理の際には、被曝線量の管理、被曝線量の低減について指導を行うこととしております。
ですから、外部被曝線量そして内部被曝、合計を限度内に抑えられるように、しっかりとその管理を徹底させていきたいと考えています。
○高橋(千)委員 お願いします。この点は、引き続いて、調査の結果も待ってまたお願いをしたいなと思います。
きょうは農水省にも田名部政務官においでをいただいていますけれども、四月十四日の災害対策特別委員会で水産物の風評被害の問題を取り上げまして、水産庁がつくってくれた調査実施状況を資料につけておきました。白いポツが暫定規制値以下であり、黒のところが基準値を超えているという絵でございます。市場で出回っているものは安心だという体制を、県や漁業者任せにしないで、人も金も出してやるべきだと質問をしたところであります。
五月二日に基本方針を出してモニタリングを行っていると思いますけれども、その内容と取り組み方針について、済みませんが、簡潔にお願いします。
○田名部大臣政務官 まず一点、風評被害についてもしっかりと取り組みをしていかなければならないと思っています。諸外国に農水省の職員が直接出向いて、規制緩和をしていただけるように、しっかりとした情報公開を行っているところであります。
さらには、検査の件でありますけれども、水産物の検査は三月二十四日から行っていますが、その後、五月二日付で水産物の放射性物質検査に関する基本方針を策定いたしました。
調査対象でありますが、沿岸性の魚種、例えばスズキとかカレイ、こういったものから、広域回遊性の魚種、例えばカツオやイワシ、こういったものに広げまして、週一回調査を実施するということを決めました。
もう少し申し上げますと、対象魚種でありますが、地域の実情に応じて漁期ごとの主要漁獲物を選ぶ、そして、海の上の方、表層、中層、そして底層、こういったところを泳ぐそれぞれの魚を検査する体制を整えたところであります。
今後とも、また県や関係機関ともしっかり連携をとって検査を強化してまいりたいと思っておりますし、大臣からも、とにかく検査だ、しっかり検査できる体制をつくれという御指示をいただいておりますので、今後、機器の導入も含めてしっかりと検討し、消費者の安全、また漁業者の皆さんの安心につなげてまいりたいと考えています。
○高橋(千)委員 続けて要望したいことがあるんですが、食品安全委員会の方が来ていただいていますので、先に質問したいと思います。
今お話があったモニタリングをやるにしても、その基準というものが実はなかったわけでございます。そこで、今回の原発事故を受けて、厚労省が食品安全委員会に評価の要請を行って、三月二十九日に暫定基準値についての緊急取りまとめがされたところであります。
ただ、まさに緊急でしたので、そのときはデータがほとんどなかったということがございました。きのうもさんざん問題になっていたわけですけれども、放射性の核種そのものがデータがほとんどなかったりとか、汚染状況が明確にされていなかったということなどの制限の中でやらざるを得なかった評価ではなかったのか。その中で、内部被曝のリスクですとか、乳幼児、子供、妊産婦の健康影響評価ですとか、もっと課題があるのではないかということも審議の中で出ていますし、また主婦連などの団体からも要望が出ていたと思います。
その点で、安全委員会としてのその後の取り組みについて伺いたいと思います。
○栗本政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、緊急取りまとめは三月二十九日に、事故直後の事態の緊迫性にかんがみまして、一週間で取りまとめられたものでございます。そのため、発がん性や胎児への影響、ウラン、プルトニウムなどについての検討などが今後の課題とされたところでございます。
このため、食品安全委員会のもとに放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループを設置いたしまして、既に四回のワーキンググループの会合を開催いたしまして、詳細な審議を行っております。
緊急を要する案件でありますことから、今後とも専門家による審議を精力的に行い、七月ごろには何らかの取りまとめを行うことを予定いたしております。
○高橋(千)委員 この点で、厚労省は初期の評価要請だけをしたわけですけれども、当然、今、ワーキンググループを行っているということでありましたので、厚労省としても、そういう視点で基準を見直さなければならない、あるいは詳細なものをつくっていかなければならないと思いますが、大臣、一言お願いいたします。
○細川国務大臣 これまでの規制というのは、あくまでも暫定の規制値でございます。これについては、しっかりとした規制値をつくるために、今答弁のありました食品安全委員会の方でも評価もいただいているところでありまして、それを踏まえて、厚生労働省としてもしっかりとした基準値を決めてまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 終わります。また続きをお願いしたいと思います。
ありがとうございました。