国会質問

質問日:2011年 6月 15日 第177国会 厚生労働委員会

大島青松園官用船問題 被災障害者施設の復旧等

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、きょうは、ハンセン病療養所の一つである大島青松園の官用船問題に絞って一問伺いたいと思います。

 先ほど、加藤委員からも取り上げがありましたけれども、大島青松園の官用船は、園と地域とを結ぶ唯一の交通手段であります。昨年、二人の船舶職員が定年を迎えるに当たり、民営化が大きな問題となりましたけれども、自治会や県議会などから存続を求める強い声があり、国会の中でも党派を超えた申し入れなどが取り組まれる中で、再雇用という形で継続をしたところでございます。

 私が求めたかったのは、来年度の予算要求に向けて、現地は、再々任用、そういう形ではいずれ行き詰まるわけでありますから、補充募集というのを強く望んでいる、これをやってほしいということであります。

 先ほどの加藤委員に対する答弁を聞いておりますと、やはり昭和五十八年の閣議決定があるんだ、行政職は採用しないという決定があるということが答弁の範囲だったのかなと思うんですけれども、その閣議決定には、「公務遂行上真に必要な場合を除き、」と書いてあるわけです。ですから、まさにこれは唯一の足であり、「公務遂行上真に必要な場合」なのだというふうにきちんと位置づければいいわけですね。だからこそ基本法があり、また国会決議があったのだと思うわけでありますから、大臣として本当に補充募集という立場で頑張っていただきたいと思いますが、お願いをいたします。

○細川国務大臣 加藤委員のときにもお答えをいたしました。ハンセン病の方々、入所者の方々が大変高齢になっておられる、そういう意味では、その支援というのをしっかり厚くしていかなければいけない、このように考えております。

 そういう中で、大島青松園、ここの大島と高松を結ぶ船舶ですけれども、これについても、国会の決議あるいは入所者の皆さんからのいろいろな直接の要望、いろいろございます。私としては、それらをしっかり尊重しながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、来年度の件につきましては、近々、入所者の皆さん方と厚生労働省の方でお会いもするということになっておりまして、そのいろいろな要請などもお聞きをいたしまして、厚生労働省としての考えを示してまいりたい、このように考えております。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

○高橋(千)委員 先ほどの答弁と同じですがと最初におっしゃったんですけれども、答弁を聞いて私は質問しておりますので。

 やはり、「真に必要な場合を除き、」と閣議決定でさえも書いているわけです。これは本当に、ただのいわゆる船を動かせばいいということではなくて、現地の方がよくお話をされていると思いますけれども、乗り込むところから介助をして、本当にぎりぎりの体制でやっている仕事なわけですね。そういう意味をきちっと持って、民間委託して、動けなくなってもいいということには絶対ならないということでの昨年の経緯があったわけで、国が責任を持ってという経緯があったということを本当に踏まえていただきたい。

 二〇〇九年の決議を行うときに、「政府においては、国の事務及び事業の合理化及び効率化の必要性は理解しつつ、」という一言が決議に入っているんですよ。私、それは本当に承服できないと。つまり、ほかの全体の公務員の定員管理に対して理解はできないという立場だということを議連の場で発言しました。しかし、それでも、まあこらえてほしい、当事者の皆さんの立場に立って、この一点で、ハンセン病療養所は除外するんだという立場でこの決議を超党派で結んだ、決議を上げたという経緯がございました。

 そういう意味が込められているんだという立場に立って、さらに大臣には頑張っていただきたい。きょうはそれ以上は申しませんので、要望にしたいので、頑張っていただきたいと思います。

 次に、きょうぜひお話をしたいのは、今度の震災で被災した事業所の再建について伺いたい。さまざまあるんですけれども、障害者の事業所についてきょうは御紹介をしたいと思います。

 配っている資料は、仙台市にある社会福祉法人なのはな会ですが、これは三月十七日現在とございます。アルファベットは人の名前をかえたものであります。要するに、一週間後の対処状況ということで、利用者はどうしたか、職員はどうしたか、給食や送迎がどうなったかということで、非常に生々しく実態がわかるかなと思うのであります。

 被災をしたので、ケアホームを幾つか集約して一たん難を逃れるですとか、給食が支給できない状況だったとか、あるいは職員の方々も、「はまゆう」というところがありますけれども、職員の父親が気仙沼で行方不明になっているとか、通勤困難な状態、そういう状況のことを掌握ができるかなと思うわけであります。

 でも、そういう中で、知的障害者の通所施設でありますから、長く家庭に置いておくと本当に家庭がパンクしてしまう、これは大変だということで、まだ条件は十分に整ってはいないんだけれども、十日後にはすべての施設を再開しております。また、通所施設であるけれども、利用者の自宅が被災をしているために、お泊まりという臨時の対応をして、本当に努力をされております。

 医療や介護と並んで重要な人的ライフラインとなっているこうした福祉事業者、労働者の意義について、大臣の受けとめを伺いたいと思うんです。

 その上で、今回の補正予算は、建物の補修には三分の二補助、これは特例措置で、また二枚目につけておきましたけれども、障害者施設の事業復旧に係る設備整備ということで、車ですとか印刷機械ですとかパン製造設備ですとか、さまざまな設備について十分の十の国庫補助を措置したということでは、非常に力強いものがあるなと思っているんです。

 これが、まだこれからいよいよ要望が上がってくるという段階ですので、一刻も早く、そして確実に行き渡って、本当に福祉事業者が再開の意欲を持てるように、続けて頑張ろうと思えるようなメッセージが欲しいと思いますが、いかがですか。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

○細川国務大臣 障害者施設がこの大震災によっていろいろな形で被災をしたということ、これは委員が御指摘のとおりでありまして、にもかかわらず、事業者やあるいは職員の皆さん方が大変な努力をされて、障害児に対してのいろいろなケアをしていただいているということについては、私も大変ありがたく、本当に敬意を表するところでございます。

 厚生労働省といたしましても、定員を超えて被災者等を受け入れたことによりまして一時的に基準を満たさないというような場合があっても、これは報酬の減額を行わないとか、あるいはまた、仮設の施設等に避難して、そこにおいてサービスを提供した場合も、これはもちろん報酬の対象にするとか、あるいは、やむを得ない理由によって、従来のサービスのすべてでなく、相談支援等のできる限りの支援を行った場合、これまでのサービスとして報酬の対象とするなど、サービスが継続されるよう、必要な支援は厚生労働省として行ってきたところでございます。

 また、お話もございましたように、第一次の補正予算につきましては、障害者支援施設を復旧するための施設整備に係る国庫補助率、これを二分の一から三分の二に上げたところでございます。また、お話がありましたような生産設備とか備品等の購入の経費についても、これもまた予算措置をいたしまして支援をする、こういうことも決めているところでございます。

 私どもとしましては、事業者やそこで働く職員の皆さん方に、ぜひいろいろとこの制度を活用していただいて、事業の継続ということと、一日も早い復旧ということを図っていただきたい、そして、私どもとしては引き続きしっかりした支援を行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

○高橋(千)委員 津波で壊滅状態になった施設などは、そういう中でも、事務所を間借りして、被災した障害者の皆さんの相談事業に取り組みながら事業所の再開を目指して頑張っていらっしゃる、こういう方たちもいらっしゃいます。

 そのときに、今度は土地の取得というのが大変大きなネックになるわけであります。完全な移転ですから、津波で被災したところにそのまま建てるかどうかというのは、全体の、仙台市なら仙台市の計画が立たない限りはできないわけです。でも、施設が、いろいろなところから来ているというふうな特性を踏まえて、移転して、新築あるいはどこかの空き店舗を借りて開設したいという意欲を持っていらっしゃる。そういうときに、やはりこの土地代、土地取得というものも一つ大きな支援が必要かなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○大塚副大臣 御指摘のように、津波被害を受けた沿岸部などの施設の皆さんは、もとの場所に再建することが困難な場合もあろうかと思いますので、土地の問題というのは大変大きな壁になってくると思います。

 土地そのものの取得は今回の補正予算等の助成の対象とはしておりませんけれども、事業の再開につきましては、公共用地や民有地などを事業所が借り上げていただいてそこに事業所を整備すること、あるいは、賃貸住宅や、今先生が空き店舗とおっしゃいましたけれども、空き店舗の借り上げや、使用していない既存のその他の社会資源を改修して事業所として整備することが可能でありまして、そうした整備については、今回の一次補正予算における国庫補助の対象としているところであります。

 また、委員会でも何度か御説明をさせていただいております、仮設住宅の中につくります生活支援サービスの拠点としてのサポート拠点、こういった設置を促進することによりまして、今御指摘のありました土地の問題なども何とか対応していきたいなというふうに思っております。

○高橋(千)委員 そうしたいろいろな制度を駆使しつつ、土地代、土地取得がネックにならないように、これは本当は震災だけではなく、やはりこういう社会福祉施設には非常に大きく横たわっている課題でありますので、今回の取り組みを通してさらに前に進んでいただきたい、これは要望しておきたいと思います。

 事業の再開に向けた大臣のメッセージもいただいたわけですけれども、先ほどちょっと、例えば定員を超えても、ちゃんと報酬をその分払うからやるんだよということもありましたけれども、障害者の施設の場合は、重度であれば、そのたった一人受け入れるということ自体が本当に大変なことなんだよということを事業者の方がおっしゃっておりました。ですから、それはあくまでも次善の策であるということ、そういう中で頑張っているということも酌み取っていただきたいなと思います。

 あわせて、やはりこれは根本的な問題として、先ほど紹介したなのはな会などでも、十日間休んで再開をすると、その間は当然減収になるわけです。一つの通所施設で三百八十万くらいだろうということをおっしゃっていました。ケアホームなども、家賃収入の部分がもろにはねてくるわけですよね。そういう形で、この日払いという障害者自立支援法の限界がやはりここに出てくるだろう、ここをさわらないであれこれはできないなということをきょうは指摘しておきたいと思います。

 昨日、障害者虐待防止法が全会一致で可決され、きょうは内閣委員会で、障害者基本法がたった一日の審議で採決をされると聞いております。私たちのことを私たち抜きに決めないでというスローガンのもと、制度改革会議が立ち上がって、精力的な議論をしてきたにもかかわらず、国会の審議がやはりそれにこたえられていない、非常に不十分ではないか、自立支援法を所管する厚労委員会の議論がもっともっと必要ではないか、このことを指摘しておきたいと思います。また次の機会に続きをやりたいと思います。

 それで、きょうは、予防接種法の改正で一点質問をいたしますけれども、一昨年の新型インフルエンザなど新たな臨時接種という位置づけができた、法改正をしたことに基づいて、健康被害の救済給付について一類と二類の間をとるという形の今回の設定がされました。

 私は、臨時接種であってもこれは国の責任で実施をするのだから、一類と同じ水準にするべきではないか、間をとる必要はないと思いますが、いかがでしょうか。

○大塚副大臣 今回のこの新たな臨時接種でありますが、これは、感染力は強いけれども病原性は高くないものに対応するという考え方で設けさせていただいております。

 したがいまして、新たな臨時接種の対象は、現行の臨時接種のように接種の努力義務はない一方、今先生御指摘の二類疾病の定期接種にはない接種の勧奨を行いますことから、健康被害救済の水準もその間をとりまして、現行の臨時接種と二類疾病の定期接種の中間に設定しているわけでございます。

 前の委員の皆様方の御質問とも関係が出てまいりますが、そうであるならば、二類とこの現行の臨時接種、そして新たな臨時接種、対象の疾病をどのように合理的に分類するかということが大きな課題になりますが、考え方は以上のとおりでございますので、御理解賜れば幸いであります。

○高橋(千)委員 やはり新型インフルエンザの場合は、いずれ通常の季節性のインフルエンザになるということでこのような対応になっていると思うんです。ですから、そういう意味では、一類という形にはならない、そういう対応だというのはある程度理解できるんです。ただ、切迫性がある、緊急に蔓延のおそれがある、あるいは感染力が大きいというふうな形で国が関与して責任を持って接種をやるわけですから、そういう点で、やはりこれはいろいろなリスクも踏まえた上で国がやらざるを得ないという環境を考えれば、何も間をとる必要はないだろうというふうに思うんです。

 先ほど来議論されているHibワクチンや肺炎球菌ワクチンについても、国は補助事業を立ち上げたわけですけれども、結局任意のままですからこの健康被害救済制度が使えないということにもなるわけで、やはりそういう意味からいって、最終的にお母さんたちが、自分たちがやったのが悪かったのかというふうなことにならないような仕組みを早くつくっていくべきだ、私はこのように思っております。

 それで、最後に大臣に伺いたいんですけれども、B型肝炎は全国民が集団予防接種を義務づけられていた時代を根拠として争ってきたものであり、この点での国の責任は既に認められているわけです。ですから、本来なら予防接種法において救済されるはずだったのではないかと私は本当に思うわけですね。ただ、今議論しているように、そうはいったって、いろいろな消去法の中の裁判の積み重ねの中でようやっとここまで到達をしたわけで、単純に予防接種が原因だということが認められなかったという経緯があったわけであります。

 B型肝炎の患者さんで、今度の震災で自宅や病院が被災したために必要な書類が流失してしまって、和解金を受け取る提訴ができなくなっている、そういう状況が生まれているそうです。余りにもむごいと思います。

 和解協議は既に双方が勧告を受け入れ、最終合意に向けて詰めの協議を行っていますが、なぜここまでおくれてしまったのか、長期化してしまったのかと本当に残念に思うんです。その反省も含めて、本当に、次に続くような合意に向けて政府の努力が必要だと思いますが、大臣に一言お願いしたいと思います。

○細川国務大臣 B型肝炎訴訟につきましては、原告そしてまた国双方が一月と四月、札幌地方裁判所の見解を受諾いたしまして、いよいよ最後の基本合意の締結に向けて、裁判所を仲介として、今、原告、国の方で話し合いを進めているところでございます。

 できるだけ早期に、近々基本合意に至れるように、引き続き協議を精力的に進めてまいりたい、このように考えております。

○高橋(千)委員 何の思いも込められていなかったなというので非常に残念に思いますけれども、合意の場ではしっかりと大臣の言葉があるだろうということを期待しまして、きょうはここで終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

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