○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
法案に入る前に、一問、平野防災担当大臣に今回の豪雨災害について伺いたいと思います。
二十九日から三十日にかけて、一時間で最大百二十一ミリ、二十四時間で最大五百二十七ミリなど、新潟や福島で局地的な大雨があり、七年前の豪雨災害とほぼ同じところがまた七年前以上の被害を受けました。
三十一日、大臣は新潟県の五十嵐川の視察に行かれたようでありますが、私は、ちょうど同じ日に、福島県の阿賀川流域に、柳津町の冠水地域などに行ってまいりました。七年前も、実は、新潟、福井、福島、三県に行き、これはちょうど国会議員になって初めての大規模な災害調査でもありましたので、鮮明に覚えているわけであります。放射能の次は大雨か、避難はもう懲り懲り、この声は、原発事故の放射能被害から避難してきている葛尾村の方たちであります。
今回の豪雨は、このように、もともと被災地が東日本大震災あるいは原発事故で大きく被災をしている、そういう現状が重なっているということ。只見線の鉄橋が落下し、通学の足が奪われており、ほかに代替ルートもないなど、自治体の力ではどうにもできない、非常に大きな災害でもあるということ。七年前は床下浸水だったところが今回は床上浸水以上である、このように被害が非常に大きくなっているということ。このような状況にかんがみて、速やかに激甚指定をするとともに、東日本大震災の特例措置を適用するなど、特段の配慮を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○平野国務大臣 七月二十七日から、新潟、福島の地域でかなり強い雨が降りました。今委員御紹介がございましたように、時間雨量で百二十一ミリ、これは大変な豪雨であります。二十四時間降雨、あるいは降り始めから連続した積算降雨量を見ても、この地域にこれまでにない大変な雨が降りました。また、被害につきましても、河川の決壊によりまして、家の全壊あるいは床上浸水、床下浸水、農地の被害もかなりの額が出ております。また、上流域、多分、高橋委員も行かれた地域の中では、がけ崩れ、あるいは一部土石流等々もあったのではないかというふうに思いますが、私も上空から見たときには、かなりの地域で土石流があったことを確認しております。
今現在、福島県あるいは新潟県で被害の状況を鋭意確認中でございます。激甚災害については、御案内のとおり、こういった被害額が確定した段階で設定されるということでございまして、その状況を待って判断したいというふうに思っております。
それから、東日本大震災の特例措置の適用というお話がございましたけれども、それがそのまま今回の新潟、福島に適用されるわけではございませんが、いずれ、被害額の算定を待ちまして、しっかりとした対応をやっていきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 きょうはこれ一問にとどめますけれども、やはり淡々と通常の災害のような査定とか時間ではできないのだということと、最初にお話をしたように、災害が重なっている、財政力も地域の力も衰えているという中での災害であるということを十分に考慮していただいて、もちろんそのまま特例をというわけにはいかないけれども、しかしある程度できるところがあるのではないかということで、最大限努力していただきたい、これは要望したいと思います。
では、本日の議題の瓦れき撤去について伺いたいと思います。
一刻も早い瓦れき撤去が復興への大前提であることは論をまちません。二千二百六十万トン、通常の一般廃棄物処理量と比較すれば、岩手県は約十年分、宮城県は十八年分、とりわけ、宮城県石巻市だけで六百十六万トン、同市の百年分にも相当するという膨大な量の瓦れきが今立ちはだかっております。また、福島県は、量もさることながら、原発の敷地外に大量の放射性瓦れきという経験したことのない困難に直面をしております。財政的にも、あるいは実動部隊としても、国が全面的に責任を果たさなければならない、解決できない、これは明白ではないかと思います。
政府は、三月二十九日には、瓦れき撤去は全額国庫補助でという方針を打ち出しましたけれども、これはある意味空手形になりました。その実態は、交付税措置とセット方式で、自治体負担を求めるものになりました。再生復興の第一歩という重要な課題で、政府のあいまいな対応に被災自治体は翻弄されてきたと言えるのではないでしょうか。
そこで伺いますが、大臣、端的にお答えいただきたいと思います。五月二日の一次補正成立を受けて、概算払いの到達がどうなっていますか。これは、自治体数と額、決定数など、具体的にお答えください。また、概算払いを申し込まずに年度末の処理にしますという自治体もあるやに聞いておりますが、その数と理由について伺います。
○江田国務大臣 災害等廃棄物処理事業費補助について、これまで六十二の自治体から概算払いの希望がございました。六十二です。このうち二十一の自治体から、概算払い申請の前段階としての災害報告書の提出がなされました。二十一です。そのうちの十自治体について、概算払い額をトータルで八百二十三億円と確定して、そのうちの四自治体については手続を終了、残りの六自治体についても近日中に概算払い手続が終了する見込みでございます。これが概算払いの方。
次に、これ以外の自治体、これが百五十六自治体ということになります。この百五十六の自治体からは現時点では概算払いの希望が寄せられていないので、これらの自治体は、これは国が補助をするわけでございますから、通常の手続である精算払いを希望しているものと考えております。
○高橋(千)委員 今の最後のところ、精算払いを希望していると思いますというのではなくて、なぜそうしたのか、せっかく概算払いを国が言ったのに、なぜかということを聞いていたわけであります。もしお答えがありましたら。特にないですか。では、私が思うことを次に言いますので、それに対して答えていただきたいと思います。
資料の一枚目に、まず一番新しい瓦れき処理の進捗状況をつけておきました。それから二枚目に、今お話がありました概算交付についての書類提出状況でございます。結局、今、四自治体とお話があったわけですけれども、足していくと二百八億円になるのかなと思います。三千五百十九億円の一次補正をつけたけれども、実際に交付されたのはまだ二百八億円だという到達だと思います。
これは私、六月九日、ですから二カ月前にこの委員会で、まだ一円もお金が出ていないじゃないかと指摘をしました。大臣は前の方でございましたけれども、書類を大幅に簡素化すること、七月中には執行できるという見込みだとおっしゃっていたのかなと思います。でも、現実には、この修正中という書類があるように、書類を何度も差し戻しをして時間がかかっているというのが実態であります。
ですから、今、年度末精算でいいよという話があるんじゃないかということは、もう書類はやっている場合じゃないということが自治体の中から出てきている。本当はお金が要らないわけではないけれども、そういうところになっているということを、本当にそれでよいのかということを聞きたいわけです。初めから国がある程度概算交付をすればよかったんじゃないですか。
○江田国務大臣 これは、先ほども数字を申し上げましたが、現実にはこういう数字で、概算払いの希望が寄せられていないことについて、あるいは委員が今御指摘のとおり、もう概算払いだなんということを考えるゆとりもなく、目の前の仕事に追われていたというようなことがあるかもしれません。私どもも、そこはしっかり理解をしていかなければならぬことだと思います。
そして、書類を突き返し突き返しというようなこともおっしゃいましたが、現実には、こうしたことに携わる職員を現地に赴かせて、そして、あらかじめ書類を見て、こういうところが足りません、これはちょっと違います、ここはこういうふうにしたらいいですか、そういうアドバイスも十分に行ってきているわけでございます。そういう結果に基づいて、先ほど申し上げたとおり、近日中にはここまでいけるということを申し上げたところでございます。
さらにまた、この概算払いについても、いろいろな手続があるけれども、それももう市町村からすぐに環境省に言ってきてください、こういうようなこともやっておりまして、最大限のことをしているつもりですが、それでももし、なお市町村のところへしっかり寄り添っていないという被災者の皆さんの声がありましたら、これはまた私ども謙虚に耳を傾けていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 例えば、気仙沼のある業者の方は事務所も機械も流された。給水車の運転をやったりして、二カ月しのいだわけです。機械を新たにリースして営業を始めます。瓦れき処理の仕事は、五月末締め、六月十日までに請求して、入金されるのは七月二十日だということです。要するに、四カ月以上も国から補助がおりない間に、業者は当然ただ働きになるわけです。機械のリース代は待ってもらえない、払ってくれと言われる、給料も払わないといけない、油代は現金じゃなきゃ受け付けてもらえない、こういう実態であります。せっかく、すべてを失った中でも仕事をとって再起を果たして頑張ろう、そういう人たちがなえてしまうのが現実ではないですか。
今ある資料を総合すれば、これ以上少ないはずはないというボーダーラインはわかるはずです。だったら、そこをある程度最初にお支払いすればいいじゃないですか。大臣の英断で交付を早めるべきです。
また、政府案は、国が今やっていることを明文化しただけの法律にすぎません。交付税措置で実質十割というなら、初めから十割補助にするべきではありませんか。
○江田国務大臣 確かに、現場の皆さんは筆舌に尽くしがたい御苦労がある、これはそう思います。
ただ、つかみでお金を渡してちょうだいと言われても、これはなかなか、やはり国民のとうとい税金から私ども仕事をしているわけでありまして、そこは、私が自分のお金をお渡しするのならいいけれども、そうじゃないんで、やはりこれはきちっとした法定の手続、もちろんそれは最大限簡素化します、しますが、現に今、職員が地元にまで出向いて、そして受け取って、間に市町村があったり、地方環境事務所というものがあったりというようなことをすっ飛ばしてやるようなことまで努力しているわけでありまして、それは、実質全額ならば、もう十割補助にすればいいじゃないか、そうなかなか簡単な話でもないんで、そこのところは、最大限ひとつ、簡素な手続にはしますから、廃棄物の処理というのは自治事務なんだ、そしてこれは国との役割分担なんだ、ここはぜひ御理解をいただきたいと思っております。
○高橋(千)委員 とうとい税金からなどとおっしゃるのであれば、とうとい義援金さえもなかなか届いていない今の状況の中で、国民がむしろ、そういうことにお金がすぐ行き渡っていない、要するに、血液が詰まっている状態なわけですね。そのことは、当然、すぐに国がやるよと言ったら、理解するんじゃないですか。先ほど言ったように、三月の早い時期に、国庫負担、全額でやるよと言ったことに、本当に希望を見出した思いです、英断だと思いました。それが実態は空手形になっているということを強く指摘しなければならないと思います。
最大簡素化するとおっしゃいましたし、また、先ほどの議論の中で、与野党の修正の中で受けていきたいということもおっしゃっておりますので、野党の側からは全額国庫負担という法案も出しております。ここをしっかり受けとめていただくという必要があるのではないかというふうに指摘をして、次に進めたいなと思います。
そこで、提出者に伺いたいと思うんですけれども、災害廃棄物の処理は被災地の切実な要望であり、提出者の法案をまとめられた御努力にはまず敬意を表したいと思います。
初めに話したように、ともかく急がれる課題ですので、与党にも大いに協力してもらって、よい案の成立を目指したい、そのためには、日本共産党としても協力をしたいと思っています。
質問は、第五条、国が講ずべき措置について、その三、災害廃棄物の処理に係る業務に従事する労働者の賃金、受注者の資金繰りに配慮した支払いの方法など、契約の内容に関する統一的な指針の策定その他の必要な措置とありますけれども、先ほどの話も考慮していただいて、労働者の賃金の適正な水準の確保、それがまた実効あるものにするために、どのように考えているのか、伺います。
○小里議員 被災地の過酷な環境、状況の中で作業に当たられる労働者の皆様、ここに十分な、適正な賃金が支払われるべきであるということは重要な要素でございます。生活支援等の観点からも、ここはしっかりとらえていきたいと思っております。
そのような観点から、御指摘のとおり、第五条第三項におきまして、瓦れき処理に要する費用の算定に係る適正な単価その他の瓦れき処理に係る契約の内容に関する統一的な指針の策定に当たり、労働者の賃金等について、これも勘案すべきであるということを明記しているところでございます。
なおまた、労働者の賃金の水準につきましては、最低賃金を下回らないということは当然であります。同時に、瓦れき処理の特殊性、例えば形見の品をえり分けて進めないといけない、非常に手間暇のかかる仕事であります。そういったところをしっかり勘案すべきであろうと思います。被災地における労働者の置かれている状況をしっかりとらえていただきたいと思うところでございます。
また、同条同項におきまして、業者への前払い、これをしっかり促進することで、業者の資金繰り、非常に困窮をしておられますから、そこにもこたえていこうとするものであります。
同時に、第五条の四項におきまして、アスベスト等の健康被害、作業に当たられる労働者の皆様、またボランティアの皆様の健康被害にもしっかり対応していこうということを求めているものであります。
また、こうした指針が、定めるだけでなくて、しっかりと運用されるように、そこもチェックをしながら対応を講ずるべきであろうと思うところでございます。
以上です。
○高橋(千)委員 同じ質問を政府にも伺います。
環境省のマスタープランには、自治体に対して、「震災前の相場等を参考にした適正な予定価格の設定。」などと記されているわけですけれども、国が直接代行する場合も含め、賃金水準の確保をどのようにされるのか伺います。
○江田国務大臣 災害廃棄物の処理に係る費用、処理単価といいますか、これにつきましては、環境省において、五月の六日に関係自治体に対して、収集、運搬、中間処理、最終処分、各段階における処理単価の積算方法等を示して、周知徹底を図ったところでございます。その中で、いわゆる労務費という言い方で言うんでしょうか、公共工事設計労務単価、これを参照するように示しているところで、当該単価により労働者の賃金の適正な水準の確保が図られるものと考えております。
○高橋(千)委員 政府案もある程度適正な水準ということがあったと思うんですが、やはりこれが実効あるものにするために、今、自治体レベルでは公契約条例という形で、本当に末端のところまで、最賃をもちろん下回らないし、適正な賃金が確保されるような条例づくりという運動も進んでおります。ですから、そういうことも視野に入れて指針としていくこと、ただ書いただけということにならないように、これは実効力あるものにしていきたいということをぜひ御提案をさしあげたいと思います。
もう一問実は提出者に用意していたんですけれども、大変申しわけないんですが、ちょっと時間の関係で農水大臣に先に伺いたいと思います。農地の瓦れき撤去と仮置き場の関係といいますか、非常に心配していることがありますので伺いたいと思います。
農地の再生というのは、当然、瓦れきを撤去しただけでは使えないわけです。環境省は、農地の瓦れきは来年三月末までをめどに仮置き場に搬入する、つまり農地からは出すという方針をまとめております。ただ、それでは来年の作付にも間に合わないのではないかという声が上がっています。
岩手日報によれば、津波で浸水した沿岸部の農地の被害面積は約七百三十ヘクタールで、土砂や瓦れきなどの堆積、塩害がひどく、復旧できたのは水田約八ヘクタール、被害面積のわずか一%程度にとどまっているということであります。
ですから、農地の災害復旧事業とありますけれども、これは発生年を含めて三年以内ということでは全体として間に合うのかという不安もあるわけですね。
ですから、農水省の既存の事業をつけかえて瓦れき処理とあわせてできないかということを宮城県などでは考えていらっしゃるということもありますし、やはり瓦れき撤去とその後の農地復旧一体のメニューとして進めていくべきだと思いますが、ぜひ伺いたいと思います。
○鹿野国務大臣 瓦れきの仮置き場として利用した農地は、環境省の災害廃棄物処理事業で二次処分場に瓦れきを撤去した後に、農林水産省の災害復旧事業で除塩などを行って農地の機能回復に取り組んでいきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○高橋(千)委員 大変シンプルな答えでしたけれども、要するに、今の三年以内ということも十分クリアできるのだ、一%程度という到達であるけれども、食料の維持も含めてやるんだという決意でよろしいですか。
○鹿野国務大臣 当然、三年以内に農地として復旧されるよう、環境省にそのような事情というものを十分説明させていただいて、復旧のことについて取り組んでいきたいと思っております。
○高橋(千)委員 そうなると、やはり来年の三月というのではとても間に合わないということになるので、お互いに責任の譲り合いになりませんようにお願いをしたいと思います。
そこで、仙台市なども、七月に、現行制度では補助対象となっていない廃棄物の仮置き場の原状復帰に要する費用についても補助対象とすることという重点要望を提出しております。
ですから、結局、仮置き場がそのままになれば、これは復興計画と非常に大きくかかわると思うんですね。瓦れき処理が長引いて、補助事業が特にないとなって、例えば、再生できない農地がそのまま仮置き場になってしまったりとか、あるいは浸水地域にもうとりあえず置くところがないよというので置いていったのがそのままになって復興がさらにおくれるということはやはりあっては困ると思うので、これは補助事業ということで検討していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。復興大臣に聞いています。
○平野国務大臣 一般論として申し上げれば、仮置き場でございますから、仮置きの用途が終わったときには、いずれ何らかの措置で借りた側の負担において原状復帰するというのは原則でございまして、この原則は今回の災害の方にもきっちり当てはまるというふうに理解しております。
○高橋(千)委員 そこで、借り手側がこれでは復興の見通しがつかないだろうということで何らかの補助事業を設けてほしいということを訴えているわけです。手が挙がったので、よろしいですか。
○平野国務大臣 ですから、その原状復帰するという費用についても、この瓦れき撤去の全体の費用の中で見るということになりますし、あるいは、今回の場合は仮置きということで、環境省の事業でやっていればその事業費の中で見ますし、あるいはほかの、国交省がやってそこから出てきた瓦れきについて一次仮置きすれば、その撤去について、さらに原状復帰についても、国交省のその制度の中で見るということで、しっかりそれは対応できるという趣旨でございます。
○高橋(千)委員 確認をしました。
時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。