国会質問

質問日:2011年 8月 9日 第177国会 東日本大震災復興特別委員会

放射能汚染瓦れき処理問題

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 瓦れき撤去が被災地の復旧復興の大前提であり、そうした観点から、政府並びに野党四党の法案をできるだけよい方向で成案させるため協力したいと私も述べてきたつもりであります。昨日、すべての会派が参加をした実務者協議の場で合意が得られ、本日、委員長から提案される運びとなりましたことを、大変うれしく思います。改めて、提出者の皆さんに敬意を表したいと思います。

 最大の争点だった全額国庫補助については、どうしても与党の理解が得られなかったことは非常に残念ではありますが、先ほど、九九・五%以上、限りなく一〇〇%に近いという御答弁がありましたし、確実な交付税措置によって実質一〇〇%ということですから、あとは現場がスムーズに流れるように、政府の努力を強く求めたいと思います。

 きょうは、二つの角度から政府の見解を伺います。

 一つは、災害廃棄物の処理施設の問題であります。

 宮城県の災害廃棄物処理計画の一次案によれば、廃棄物量は千八百二十万トン、一年で被災地から災害廃棄物を撤去し、おおむね三年以内に処理を完了するとしています。その際、県内を四つのブロックに分け、大規模な二次仮置き場とプラント建設を検討しておるようであります。また、岩手県の災害廃棄物処理計画では、県委託分が三百八十六万トン、そのうち処理能力は、二カ所合計で百九十五トン毎日の仮設焼却炉の建設を予定しているとのことであります。ですから、広域処理が必要不可欠だということはこれまでも論じられてきたところでありますが、両県の計画書にも明らかなように、処理施設ということも必要になっているところであります。

 そこで、野党四党案には、当初、第四条、費用の補助という中に、「処分等の処理を行うための施設の整備、運営等に要する費用」を明記して、施設整備の補助を求めておりました。統合案には施設という言葉はあえて出てきておりませんが、第五条二項、「市町村が災害廃棄物の収集、運搬及び処分を行うために要する費用」という条文で読めるという理解でよろしいのか、確認したいと思います。

○樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 災害廃棄物の処理のために特に必要となりますいわゆる仮設の焼却炉、あるいは先生がおっしゃいました仮設の除塩施設などの設置費用につきましても、費用対効果を考慮の上、迅速かつ効率的な処理の観点から適当と考えられる場合には災害廃棄物処理事業の補助対象となり得るというふうに申し上げさせていただきたいと思います。

○高橋(千)委員 今の答弁ですけれども、この条文の中で読めるのかということを聞いたわけです。

 つまり、先ほど来お話しされているように、九九・五%以上、九九・九%という話もありましたけれども、今この法案でやろうとしているスキームの中で補助をしていくということでよろしいのかということです。

○伊藤政府参考人 今政務官からお答え申し上げましたが、仮設の焼却炉やあるいは仮設の除塩施設などの設置費用についても、費用対効果を考慮の上、迅速かつ効率的な処理の観点から適当と考える場合には災害廃棄物処理事業の補助対象となりますから、今回、グリーンニューディール基金で実質的なかさ上げが行われる、そういったことの対象にも当然なるわけでございます。

○高橋(千)委員 確認をさせていただきました。

 ただ、処理施設といった場合、今政府が考えているのは、あくまで役目が終われば処分をする仮設プラントという意味だったかなと思います。これは阪神・淡路大震災のときにも廃棄物処理で実績があるということでありますけれども、処理容量とか、あるいは耐熱などの安全性の確保、環境アセスの方法などについてどのようにするのか、伺いたいと思います。

○樋高大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 災害廃棄物処理事業費補助金の国庫補助対象となりますのは、仮設の施設であるが、その場合についても、その他の廃棄物処理施設と同様に、廃棄物処理法に基づき生活環境影響調査が適切に行われて、処理施設の管理者は技術上の基準、維持管理計画に従い維持管理を行うこととされているところでございます。

 また、ダイオキシン類対策特別措置法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等の関係法令の対象施設としての適用も受けるということでありますので、仮設の施設であっても、安全性の確保、先生がおっしゃるような生活環境の保全が図られるものである。つまり、恒久施設と全く同様であるということを申し上げさせていただきます。

○高橋(千)委員 今、恒久施設と全く同様というお話がありました。説明を受けたときにミニアセスという表現をされておりましたので、そこと違いがないのかどうか、もう一度、答弁の中で確認をさせていただきたいなと思うんですね。

 廃棄物処理施設については、施設の大型化とかごみの集中、また処理場の建設や県外からの持ち込みなど、各地でさまざまな課題があり、運動が行われてまいりました。

 そういう中で、廃棄物処理法に基づく基本方針、これは二〇一〇年十二月二十日告示にありますけれども、この中では、一般廃棄物、産業廃棄物とも、排出量の抑制、最終処分量の削減、リサイクル率の増加など、前回計画を上回って目標値を掲げて、なるべくごみをふやさないという取り組みはされてきたと思うんですね。

 ですから、今回、仮設であっても処理場がふえて、ごみ処理は終わったのに、ごみ、もっと必要よということになっては困るわけです、言いたいことは。心配しているのは、つまり、今は大量の災害廃棄物処理ということで避けられない事態に対応しなければならないわけですけれども、役目を終えた後は速やかにもとに戻していかなければならない。必要以上に処理場が恒久化したり、特例的なミニアセスが平時でもまかり通るということは、やはりこれまでのこうした経過に逆行するものになると思うんですね。そうではないということを確認したいということと、二次仮置き場をめぐっては、地権者は了解しても、事前に周辺住民への説明がなかったためにトラブルが起きている、こういうこともあるわけです。

 ですから、仮設プラントの処分の時期、それから、建設前と処分後の再生に向けての環境対策をきちんと示すこと、そのための道筋を示しながら、財政援助をちゃんと国がやりますよということが示されないと、なかなか早期処理にはつながらないと思います。いかがでしょうか。大臣に聞いています。

○江田国務大臣 御指摘の問題意識は重要だと思います。

 仮設のこうした処理施設であっても、それはもちろん、そこで物を燃やせばさまざまなものが出ていく心配があるわけで、そうしたことについて、環境をこれ以上に汚さない、そうした努力をしていただくのは当然でございまして、廃棄物処理法に基づいて生活環境影響調査が行われる、これが今委員お話しのミニアセスというものでございますが、そうした一定の水準を保ったものでなければいけないんだ、これはぜひ私ども、しっかりとそこは見ていきたいと思っております。

 先ほど政務官から答弁させていただきましたが、ダイオキシン類対策特別措置法とか大気汚染防止法とか水質汚濁防止法とか、こうした関係法令を幾ら非常時、緊急時だからといって無視していいというものではないので、そこはやはり、けじめのある、めり張りのきいたやり方で、仮設の設備であっても、安全性の確保あるいは生活環境の保全、こういうものに注意をしてまいりたい、これは大前提だと思っております。

○高橋(千)委員 確認をさせていただきたいと思います。

 次に、新たな法案整備が準備をされているという、原発事故に伴う放射性廃棄物の処理処分について伺いたいと思います。

 六月三日、原子力安全委員会が、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」を発表しました。瓦れき、浄水・下水汚泥、焼却灰、草木、除染活動に伴い発生する土壌等について、これらのうち放射能の影響が無視できるとして再利用が可能なのは、クリアランスレベル十マイクロシーベルト・パー・年以下であること、これは毎時に直すと〇・〇〇一マイクロシーベルトであります。また、処理などに伴う周辺住民への影響が一ミリシーベルト毎年を超えないこととしております。

 そこで、一般廃棄物焼却施設における焼却灰については、八千ベクレル・パー・キログラム以下のものについて、一般廃棄物と同様、埋立処分してもよいという内容になっているかと思います。ただ、今ある一般廃棄物処分場にそのまま一緒に入れるということではないと思うんですね。モニタリングとか監視体制とか、さまざまな管理が必要だと思いますが、その条件について確認をしたいと思います。

○樋高大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今先生のお話にもありましたけれども、お尋ねの、六月二十三日に取りまとめをさせていただきました処理の方針におきましては、処理の安全性を確認するために、施設周辺の空間線量率、あるいは処理施設から排出される排水等のモニタリングを継続して行うことが必要であるとしているところでございます。

 具体的な測定の項目あるいは頻度などにつきまして、災害廃棄物安全評価検討会、これはまたあしたも行うところでございますけれども、闊達な御議論をいただいているところでございます。この検討内容を踏まえさせていただきまして、測定の項目あるいは頻度などにつきまして近日中に関係自治体にお示しをさせていただきたいと思っております。

○高橋(千)委員 今の質問で、少し確認をさせていただきたいと思います。

 資料を配っているんですけれども、これは国土交通省の下水道部、「上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方」、これは基本が焼却灰の仕組みと同じなので、一番わかりやすかったので、これを使わせていただきました。

 それで、よく言われる八千ベクレルの問題は、それを超えたものはとりあえずまだ処分が決まっていないということをよく言われて、それ以下のものは普通に一般廃棄物と同じように処分していいんだよということになっているわけですけれども、ここに書いてあるわけですね、十万ベクレルを超えるものは一たん仮置きをして具体的な処分のあり方を検討と。十万ベクレル以下のものも、さらに細分化されているというふうな形になっていると思うんです。

 ですから、八千ベクレル以下についても、今お話しされたように、どの程度の監視をしていくかとか、そういうことをこれからちゃんと決めるということでよろしいですね。

○伊藤政府参考人 先ほど政務官がお答えしたとおり、八千ベクレル・パー・キログラム以下のものについても、そのモニタリングの方法等についてきちっと今後決めていく、こういうことでございます。

○高橋(千)委員 確認をしました。

 そこで、私のふるさとで大変な事件が持ち上がったわけですけれども、先月、千葉県の流山市のごみ焼却施設から秋田県内に運び込まれた焼却灰三十トンから、八千ベクレルの基準を大きく上回り、二万八千百ベクレルのセシウムが検出されたということが明らかになりました。秋田県内の民間事業者で処理をされ、埋立処分をする予定だったわけです。もちろん、これは、基準八千ベクレルを下がったものは処理していいという国の方針に基づいて契約をしたつもりだったわけですね。でも、今言ったように、管理の方法はまだきちんと決まっているわけではない。

 秋田駅に運び込まれたJRの貨物のコンテナから一メートル離れた地点で空間線量をはかったら、一・三から一・三三マイクロシーベルト、これは秋田県の通常レベルの約十五倍の数値だったといいます。同様の焼却灰は北九州市のリサイクル施設にも運ばれておりました。

 ですから、このような県外に運び込むといったような場合、何らかのルールがまず必要ではないか。基準値以下だからといって周辺住民に知らせないということはもちろん論外だと思いますが、もともと初めての経験であるわけですから、違反した場合の返還や、罰則のルール、監視のルール、これをちゃんとやっていく必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○江田国務大臣 委員おっしゃるとおり、本当に初めての経験でございまして、いろいろなところにまだまだルールが必要な場面があると思っております。

 今、お話で、あるいは政務官や部長から答弁させましたが、八千ベクレル以下のものについては埋立処分は可能ですが、しかし、どうぞ、その埋め立てた場所を居住用などには使わないでいただきたいというようなことを言っております。八千ベクレルから十万ベクレルのものについては、これは管理をしっかりして一時保管をしておいてください、今、一生懸命に関係者、専門家、知恵を集めて処理の方法、指針をしっかり出させていただきますからということにしておりまして、今申し上げた専門家による検討を進めているところでございます。これはもちろん、しっかりした指針を出していかなきゃなりません。

 八千から十万の放射性物質に汚染されたものが移動をして、そしてどこかで見つかったという場合に、もとへ戻すのか、あるいは、今ある場所で何とかするということにするのかなどなど、さまざまな困難な問題がこれから生じてくると思いますが、そこは皆さんのお知恵もいただきながら、私ども、精いっぱい国民の安全、安心の見地に立って指針をつくってまいりたいと思っております。

○高橋(千)委員 原発の敷地の外の放射性廃棄物については、これまで、原発の外まで放射能の影響が及ぶという思想がなかったために、この法律の整備がされておりませんでした。法の欠陥であります。これを今後やっていくということになるわけですけれども。

 私の地元の青森県六ケ所村に低レベル放射性廃棄物の埋設センターがございます。ここは、二〇〇〇年から始まって、二百リットルドラム缶二十万本相当、これを二カ所、最終的には三百万本のドラム缶が運び込まれる予定となっております。私たち、もちろん最初から反対をしてまいりました。土壌への影響などを指摘し、当然、増設にも反対をしてまいりました。

 これまでは、放射性廃棄物というときに、高レベルとそれ以外、低いという意味ではなくて、それ以外という区分けしかなかったわけです。それ以外をすべて低レベルと呼んでおりました。そういう中で、それでも、原発の事業所から出る、例えば防護服のようなものから、焼却灰や金属やプラスチック、あらゆるものをすべて原発の外には出さないということで、ドラム缶にセメントで詰め、それからセメント系充てん材やベントナイトなどという何層もの地層で囲いまして、雨水に触れないような管理、三十年以上の埋設期間、そういう管理をしてきたわけであります。

 一方で、敷地の外の廃棄物は、クリアランスレベル以上、これは百ベクレルです、であっても、八千ベクレル以下のものは一般廃棄物の処分でよいという考え。つまり、それがもし原発の中にあれば今言ったような処分がされるものを、原発の外だから一般廃棄物と同じでよいよと。これはダブルスタンダードにならないか。これは絶対納得いかないんです。いかがでしょうか。

○江田国務大臣 委員おっしゃるとおりでございまして、昭和三十年代に原子力基本法を基盤にする原子力法制というものができました。そのときに、原子力発電所であるとか、あるいはその他の放射性物質を扱う場所から環境中に放射性物質が飛散するというようなことはない、そういう前提があったんですね。なぜそういう前提になったかというのは当時のことをしっかり見てみなきゃわかりませんが、そういうことで三十年代の原子力法制というものができました。

 そこへ加えて、今度、四十年代になっていろいろな環境法制ができてまいりまして、その環境法制の中では、三十年代にできた放射性物質についての規制を前提として、環境法制については、放射性物質については適用外、そういう措置をずっととって今日まで来てしまっているわけでございます。

 委員が今おっしゃった高レベル廃棄物、これは再処理の後に出てくるもので、まあ大変なもので、ガラス固化体といったような処理をいたしますが、それ以外のものも六ケ所の方でいろいろお願いをしなきゃならぬ。しかし、これもなかなか苦戦をしているのはもう委員御承知のとおりです。

 しかし、今回のような事態を受けて、環境中の放射性物質について新たな法整備をしっかりとしていかなきゃいけないところへ我々は直面をしておるということは間違いのないことだと思っております。

○高橋(千)委員 ダブルスタンダードではないかという指摘に対しては直接なお答えがなかったかと思います。

 次の機会に譲りたいと思いますが、やはりそういうものなんだ、原発というのは。一度事故を起こしたときに、本当に、長く、そして広い範囲でこのような影響があるということを、やはり安全神話という言葉でふやしてきたことのツケが回ってきたということであります。

 安易に基準を緩和するとか規制を緩和するというようなことのないように指摘をして、また次の機会にやりたいと思います。ありがとうございました。

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