○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
初めに、今夏の電力需要一五%カットを目標とする節電対策に伴ってですけれども、日本自動車工業会が、七月から九月まで平日に休みを振りかえることで土日操業を決めました。厚労省は、この土日出勤せざるを得なくなった保護者の児童について、保育所が新たに休日開所をした場合などに安心こども基金で支援することを決めたということを承知しています。
例えばトヨタは、中部電力の管内であり、本来、節電義務の対象となっておりません。自主的に決めたとはいえ、労働者が一方的に休日出勤をやれと言われるものではないはずです。就業条件の変更であり、労使の合意がなければできないはずですけれども、確認をしたいと思います。
また、下請関係は、取引先が複数あるために結果として毎日出勤せざるを得なくなる、こういう状況が生まれています。そうした影響の大きさについても考慮し、避けられるものは避ける、つまり休日出勤の押しつけにならないようにすべきだと思いますが、考えを伺います。
○小宮山副大臣 節電対応のためでありましても、委員が御指摘のように、所定の休日や労働時間などの労働条件を変更する場合には、労使でよく話し合っていただく必要があります。
下請の企業も、労働者に過度の負担を強いることのないよう、発注元とも取引条件などについて十分調整を図りながら、労使でよく話し合った上で節電に伴う労働条件を決めていくことが重要だと考えています。
また、こうした労働条件の変更に当たり就業規則等の変更を行う場合には、労働基準法に定める所定の手続を経る必要があります。
厚生労働省では、労使の話し合いのポイントや必要な手続をまとめたパンフレットを十万部作成いたしまして、全国の労働基準監督署で労使からの相談に応じています。今後とも、必要な情報提供、またきめ細かな相談対応に取り組んでいきたいと考えています。
○高橋(千)委員 済みません、もう一言確認をさせていただきます。
今、下請の話が一言、答弁にありました。間に挟まっちゃうわけですよね。要するに、元請からは、期日までにやってくれ、土日操業しているんだからそれに合わせてくれなきゃ困ると言われる、しかし労働者の立場は守らなきゃいけないということで、やはり間に立って、結局取引できないよということになったり、それで労働者にしわ寄せが来たことで一方的に下請企業だけが責められるということがないように、やはりきちんとそこを徹底すべきだ。そして、さっき言ったように、節電義務の対象にはなっていないのですから、基本は、避けられるものは避けるべきだという考えでよろしいでしょうか。
○小宮山副大臣 おっしゃるとおりだと思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
トヨタの関連産業の多い愛知県内では、四十三市町、百二カ所で休日保育の実施に今回踏み切りました。千五百人を超える子供たちが利用をしております。
今週の日曜日に、豊田市と名古屋市の市立と民間の保育所に行ってまいりました。大変なんですね。とにかく、シフトをつくるだけでも大変です。当然、周りの園からも園長さんや保育士さんが応援に来てくれますけれども、毎日ローテーションが変わります。それで、毎日そのローテーション、決めるだけでも大変。だって、よその園に行くと、幾ら経験のある方でも、ぞうきん一枚、その場所がわからない、勝手がわからない中で、引き継ぎの時間も十分にとれない。それで子供たちは新しい子供がやってくるということで、本当に大変で、親も目いっぱいですし、保育者も目いっぱいなんですね。
百円ショップでかごを買って、特別な子供たちと、ちゃんとまざらないようにしております。休日はお弁当なものですから、お弁当箱に名札をつけて、間違ってもほかの子供と違わないようにということで、大変な繊細な注意を払っているという状況でございました。
そういう中で、豊田市では、トヨタなど電力需要にかかわる子供とそうでない子供、例えば美容師さんですとか看護師さんですとか、休日はもともと休みじゃない、日曜日は休みじゃない方たちはたくさんいらっしゃるわけです。そういう方たちと差別しないんだということで、含めて、振りかえで平日に休んでいるんだからということで、それを条件として、全員、休日の保育を無料にしました。
一方、名古屋市では、もともと休日開所を望む声が多かったために、ふたをあけてみたら半々なんですね、もともとやってほしかった人と今回の電力関係の方たち。そうすると、子供にこの子は電気と印をつけるわけにいきませんよね。ですから、結局今までと同じ基準で、有料になっちゃったわけなんですね。
そうすると、これはどちらも一理ある。一理あるけれども、大人の都合あるいは業界の都合で新たな負担が生まれたり子供たちが振り回されるというのは、やはり避けるべきだなと思います。
そこで提案ですが、通常の休日保育事業の補助割合は三分の一です。これを、今回の特別事業は二分の一です。少なくともここまで引き上げるべきだ。私はもう十分の十でもいいと思って言ったんですが、少なくともここまで、特別事業と通常事業を区別しない。できないわけなんです。そうやって全体の保護者負担の軽減を図る、そして保育者の労働強化にしない、これくらいはやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○小宮山副大臣 節電で休日出勤が行われると聞いたときから、こうしたことが起こることはわかっておりましたので、しっかりと対応するようにということで、検討はしてまいりました。
そして、ことしの夏、七月から九月の電力需給対策の実施に伴って休日保育などのニーズが増加しましたことから、通常の休日保育事業とは別に、安心こども基金を活用した休日保育特別事業を今実施しています。
通常の休日保育事業はおっしゃるように補助率が三分の一ですが、今回の特別事業は、今委員がおっしゃったように、平日利用を基本としている保育所運営費の補助率と同様の二分の一と既にしてあります。それで、休日利用に着目した追加的な保育料は徴収しないということを厚労省としては決定をし、そのように通知をしています。
ただ、実情が市町村によってばらばらなことも把握をしておりますので、今回の特別事業により、保育所での実施体制の整備に必要な人件費などを厚生労働省としては財政支援をすること、こういうことなどもしっかりとお伝えをして、引き続き、平等に、そして円滑にこの事業が実施できるように努めていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 ですから、率直に伺いたいんですよ。トヨタ関連の子供は無料で、そうじゃない子供さんが無料じゃないということになっちゃうのはおかしいでしょうと。もともと日曜日は休みじゃないんだ、そういう人たちが利用料を払って、あるいは高いところに行ってという苦労をしていたわけですよ。だったら、せめて三分の一から二分の一ということで通常の休日保育もやって差をつけないようにする、これはもう一歩踏み出すべきではないですかという提案をしています。いかがですか。
○小宮山副大臣 これは財源のことなどもございますので、御承知の、これから子ども・子育て新システムをぜひ御協力いただいて実現をする中で、保育をさまざまな形で充実をさせていく、そのことに向けて、それまでの間どれだけのことができるかは、最大限努力をしていきたいというふうに考えています。
○高橋(千)委員 納得はいかないんですけれども、当然、矛盾しているということは感じていらっしゃると思うんですね。
そこで、実際、トヨタは、木、金に休めと言ったわけですが、今後木曜日も操業すると言っています、大変忙しくなるので。なぜかというと、エコカー減税がいよいよ締め切りだということで、駆け込み需要に備えて、深夜操業も、一時までの二直という交代があるんですが、それを三時まで二時間引き延ばす、こういう状態を今やっているわけですね。ですから、何か子供を応援しているつもりが労働強化を認めることになってはならないので、ここは本当に厳重にお願いしたいと思います。
一言だけ。新たな交付金制度というのが今回の子ども手当にも組み込まれております。先ほど百四十億というような数字があったと思いますが、組み替えですので純増は大した額ではないわけです。ただ、ここでやはり自治体が、これまでとは違って、こうした子供に差別を与えないということも含めて対応できるんだという、この交付金に込めた思いを一言お願いしたいと思います。
○小宮山副大臣 おっしゃるとおりで、この交付金によりまして、地方独自の、それぞれの地域に合った新たな子育て支援サービスへの支援、それからまた、最低基準を満たす認可外保育所施設への支援などの待機児対策など、いろいろなことを新たに市町村が独自で実施できるように交付をすることを予定しています。
おっしゃいますように、次世代育成支援対策交付金が昨年度は三百六十一億円ということで、全体としては純増は百四十億でございますけれども、ぜひこれを皆様の御協力もいただいてこれからまた充実をさせていきたい、そのように考えております。
○高橋(千)委員 よろしくお願いしたいと思います。
新システムについては、これまでも指摘をしてきたとおりですので、また次の機会に譲って、子ども手当そのものの議論をしたいと思います。
我が党は、昨年三月の子ども手当法案のときから、なぜ一年限りの法案なのかということを指摘したと思います。それは、恒久法としての子ども手当のスキームが完成しなかったというのが率直な理由だと思うんですけれども、もしそうであれば、功を焦らず、児童手当法の拡充でよかったのではないか。そうであれば、これから先の議論というのはよい方向に向かうわけですよね。つまり、所得制限はもともとある、それをもう少し緩和していこうじゃないかと。
先ほど古屋委員の御指摘もあったわけですけれども、もともと、児童手当法というのが長年にわたって拡充をしてきた中で、子ども手当に対する時代の要請というものもあったのではなかったか。ですから、そういう粘り強い議論を続けていくべきだったと思うんです。逆になっちゃったんですね。ばっとアドバルーンを上げて、どんどんしぼんでくる、そして一年限り、半年限りということで、つなぎ、つなぎとやってきたわけです。
ですから、一番振り回されたのは国民であって、混乱を与え、信頼を失ったと思います。もう私は、この点では民主党政権の意味をなさなくなったに等しいと思います。
大臣に伺いますが、子ども手当をめぐるこのような混乱について、自民党さん、公明党さんに対しての謝罪ではなくて、国民に対して、やはり責任をどのように考えているのか、それが聞きたいわけです。どうぞお願いします。
○細川国務大臣 今回、三党の合意は、これは何も措置をしなければ九月でもう切れちゃう、そうしますと国民生活に大きな影響を与える、こういうことで、ぎりぎりの状況で、意見が違ったところがありましたけれども、各党が実現可能な着地点を見出したものであるというふうに承知をいたしております。
子ども手当につきましては、震災復興への財源拠出の必要性などさまざまな状況変化がある中で、衆議院のマニフェストで約束をいたしました内容が達成できていないということに対しては、これは率直に、国民の皆様に大変申しわけないと考えているところでございます。
○高橋(千)委員 半年前も、何も措置しなければ児童手当に戻ってしまって、極端に下がるじゃないかということで、我々も苦渋の決断で賛成をしたわけですが、本当であれば、半年前、成立しなかったわけですよね。そういう事態だったということから考えれば、この間の努力がやはり足りなかったであろうということを重ねて指摘しなければならないと思います。
支給額は、来年四月以降も同じだと考えているのでしょうか。だとすれば、一万円、一万五千円の根拠は何でしょうか。簡潔にお願いします。
○小宮山副大臣 来年度以降の子供のための金銭給付制度につきましては、特別措置法案の附則で、今般の三党合意に沿いまして、政府は、特別措置法に規定する子ども手当の額等をもとに、児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講ずるということを規定いたしました。
平成二十四年度以降の制度につきましては、各党の御意見も十分に伺いながら、今後、今回の合意に沿って、さらに具体的に内容を検討していきたいと考えています。
三党間の協議の内容につきましては、所得税、住民税の年少扶養控除廃止の影響を考慮して、実質手取り額の減少を回避、緩和するために金額を決められたというふうに伺っています。その金額は、三歳未満及び三歳から小学校修了前の第三子以降を一万三千円から一万五千円に引き上げる一方、これに必要な財源として、中学生や三歳から小学校修了前の第一子、第二子の手当額を一万三千円から一万円に引き下げる、こうしたものと考えております。
○高橋(千)委員 ですから、根拠が、なぜ一万円なのかというのもわからないし、今のは、今後、来年も同じだという意味でお答えになったんでしょうか。ちょっと説明がわからないんですが。
○小宮山副大臣 今、二・二から二・三兆円で所要額も三党で合意された中から考えますと、この金額は同じだというふうに思っています。
その根拠については、先ほど申し上げたように、実質手取り額の減少を回避並びに緩和するためにこういう金額を出したというふうに聞いております。
○高橋(千)委員 今、手取り額の減少を回避するためにというお答えだったかと思います。
では、それが今回どうなるのかということを少し考えていきたいと思うんですけれども、前回のつなぎ法案の時点で既にわかっていたことですけれども、一万三千円の子ども手当でも、所得税の年少扶養控除の廃止によって増税となり、実質手取り額が逆転する階層があるということを指摘したところであります。そのときに、提出者が、三歳未満については逆転をしますということをお認めになり、それを避けたかったけれどもできなかったという答弁をされていたと思います。
この間、そのことを、どういう検討をしてきたのかということと、今回は、三歳未満に限って一万五千円ということで、手当から見ると二千円増になったわけですけれども、この実質手取り額における逆転現象は解消するのでしょうか。
○小宮山副大臣 政府といたしましては、その逆転現象が生じるのが主に三歳未満の層であることなどから、三歳未満について支給額を七千円上乗せして二万円とする法案を通常国会に提出をいたしましたが、国会での御指摘も踏まえまして、与野党協議を行って、ことし十月以降の制度のあり方を検討するためにそれを取り下げました。
今回の特措法に基づく給付が支給された場合、手当を受給する世帯のうち、比較的年収が高い方で実質手取り額のマイナスが生じると考えています。
一方、今回の合意につきましては、震災復興のためなどの財源を捻出する必要があるといった緊急的な要請も考慮しまして、ぎりぎりの調整の結果、まとめられたものと聞いています。
実際にマイナスになる家庭がないかと言われれば、ございますので、マイナスになる世帯については大変申しわけないと思っておりますけれども、先ほど大臣からも御答弁した全体的な子育て支援を充実していくこと、これは各党とも御同意いただけるところだと思いますので、何とか子供を総合的に支援をしていくということで対応していきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 今、あるということで、逆転現象は解消されないということをまずお認めになったかと思います。
それで、資料を一枚だけ出しておりますけれども、これまでの厚労省の資料を簡潔にまとめたものであります。「子ども手当の見直しでこう変わる」ということで、今、額についてまず整理をしたものと、それで、二〇一二年六月からは所得制限が導入されるということが既にこの法案に書かれております。それと、所得税の年少扶養控除の廃止は既にされている、プラス、住民税の年少扶養控除の廃止によって実質手取り額がどうなるかということを、一定の仮定をもとに、夫婦、子供一人ということで計算をしているわけですけれども、三歳未満、あるいは三歳から小学生で、三百万円のところでようやっと六百六十七円と、本当に情けない数字がプラスに出るわけですが、そこから上は、五百万円でマイナス三百七十五円、八百万円でマイナス四千八十三円という形で、マイナスが立つということで、網かけをしてみると、圧倒的にマイナスの方が多くなってしまうわけですよね。
そこで、所得制限の世帯に何らかの手当てをするということが議論をされたようであります。その中で出てきた数字として、九千円還付をするということが言われているわけですね。そうすると、九百六十万のところで所得制限をかけられて、この一千万のところを見ますとマイナス九千八十三円、これが九千円を払うと八十三円だけのマイナスになって、ほぼとんとんになるわけですが、見ていただくとわかるように、逆に、所得制限のかからない、年収の少ない世帯の方が実質手取りが減る、また逆転になって格差が拡大するといいますか、おかしなことになるわけです。どうお考えになりましょうか。
○小宮山副大臣 所得税と住民税の扶養控除廃止によりまして、最終的には、今御指摘のように、年収一千万の世帯で月額九千八十三円、年収一千五百万の世帯で月額一万三千二百円の減収になります。こうした点も踏まえて、三党間の協議の中で、所得制限世帯に対する措置として九千円という意見が出たものと聞いております。
また、御指摘のように、仮に九千円の措置を講ずる場合、児童手当時代との比較で見れば、所得制限ぎりぎりで手当を受給できる方に大きな手取り減が生じますが、児童手当の時代との比較ではなくて、一万三千円という現在支給している子ども手当との比較を見れば、所得制限超えの世帯の方がそれ以外の世帯よりも支給額が少なくなる、そういうことも言えるかと思っています。
いずれにしましても、今回の合意について、先ほど申し上げたように、さまざまその財源を捻出する必要が震災復興などのためにもある、緊急的な要請ということも考慮いたしまして、ぎりぎりの調整の中で三党でおまとめいただいたと思っております。
繰り返しになりますが、マイナスになる御家庭については、総合的な子育て支援策の中でしっかり対応できるように、これも超党派で皆様のお力もいただいて、子供のための政策がとっていければというふうに考えています。
○高橋(千)委員 非常に答弁が、三党合意がなかなか本意ではなかったのよというような気持ちが伝わってくるような答弁でございますが、非常に矛盾しているわけですね。
例えば、私が、子ども手当と比べたら逆に減る人の方が多いじゃないかということを言いますと、いやいや、児童手当と比べれば多くなるんだなどという議論をおっしゃる方もいますし、そういう資料を厚労省自身が出してきたわけなんですね。だから、非常に、つじつまが合わないことを無理やり合わせているんだということを言って、結果として、とにかく手取り額が減ってしまい、多くの世帯に御迷惑をかけるということは厳然たる事実だと言わなければならないかなと思います。
それで、たくさん質問を用意していたんですが、時間の関係で少し順番を変えたいと思います。
それで、先ほど来ずっと議論をされているように、もう自民党、公明党さんは、そもそも子ども手当は廃止なんだとおっしゃっているし、来年四月以降は児童手当法に戻るということを三党合意に盛り込んだとおっしゃっているわけですよね。もともと今回の法案も、新法ではありますけれども、土台が児童手当法になっておりますので、基本的には戻っていると言わなければならないわけです。ただ、まだ所得制限は始まっていないだけということではないかなと思います。
そこで、児童手当法に戻るとすれば、財源の割合がどうなるのかという問題が出てきます。
つまり、昨年以来は、スキームとしてまだ子ども手当でしたので、地方負担の割合は、児童手当と同じ部分だけは地方負担は同じですよ、三分の二の負担は同じですよ、それ以上の上積みした部分、これは子ども手当によるものなので、全額国庫負担としておりました。そうですよね。そうすると、これは児童手当法に戻ってしまうと、理論上は、上積み部分というふうに分けることがおかしくなってしまう。つまり、全体が児童手当と同じ負担割合にならなければ理論上はおかしくなるのではないかと思うんです。
その際、全体を児童手当と同じ負担割合にすれば、地方負担はどのくらいになるでしょうか。
○小宮山副大臣 御指摘の点につきましては、所得制限世帯に対する給付をどうするのか、事業主の負担をどうするのかなどによりましてその地方の負担も違ってくる。国と地方の負担割合が児童手当法と同じだと仮定したとしましても、地方負担額を計算することというのは、その前提条件が、どういうふうに検討するかによって、今出すことは困難だというふうに思います。
いずれにしましても、二十四年度以降の制度につきましては、各党の皆さんの御意見も十分に伺い、今回の合意に沿ってさらに具体的な内容を検討することとしていますが、先ほども御紹介した特別措置法案の附則で、その際、地方六団体の代表者等と十分に協議を行い、これらの者の理解を得るよう努めるものとするとされていまして、この規定に沿って、地方の理解も得ながらしっかりと対応していきたいというふうに考えています。
○高橋(千)委員 そうはいっても、協議がこれからあって、具体的にどうなるかわからないと言っているけれども、これまでのように、ここまでは児童手当のスキームよという理論は成り立たないわけですよね。
児童手当が一兆円だったときは、大体地方負担は五千九百億くらいですかね。そうすると、五五・九%くらい全体の事業費の中で持っているわけです。これを三分の二と単純に計算しても、一千億以上は負担がふえるということになるわけで、どういうふうに制度設計をするにしても、これはこれまでの理論は成り立たない。そこは率直に認めて、きちんと議論をスタートしなければならないと思いますが、いかがですか。
○小宮山副大臣 繰り返しになりますが、これからの二十四年度の恒久的な制度に向けて検討がされる中で、いろいろ前提の置き方によってその金額は変わると思いますので、そのときに地方をどう考えるかというのは、国と地方、それから皆様ともいろいろ協議をしながら、それによって必ずしもふえるということを今申し上げることもできないというふうに思っております。
○高橋(千)委員 もちろん、私はふやせとは言っていませんから。地方負担は基本的になくすということで子ども手当が始まったわけです。だけれども、理論上児童手当に戻ってしまえばそういう問題が起きるんだと。ですから、つじつま合わせの議論では済まないんだということを重ねて指摘をしたいと思っております。そういう弊害が結局地方にも回ってくるし、国民に来るんだということを言いたかったわけであります。
そこで、昨年の子ども手当の審議では、子供の貧困が大きなテーマとなりました。今回も、震災の影響で両親を亡くした子供さんは二百人を超えております。リストラ、被災で廃業、あるいは雇用保険がもうそろそろ切れるという状況でもあります。ですから、子供をめぐる環境はさらに悪化したと言わなければならないと思うんですね。
また、被災地ではない子供にとっても、好転する材料は何一つないと思うわけです。これは逆に、被災地があるということでの逆の影響、そこにはいろいろな支援があるけれどもということもございますので、好転する材料というのは何一つないと言わなければならないんですね。
三月のときに、あしなが育英会の子供の紹介をしました。周りの子供と同じことができないのに、それが手当によってできるようになった、それが希望だったんだ、その希望を奪わないでほしいという声を紹介しました。今、あしなが育英会が震災の子供たちを本当に助けて活躍しているということも報道されていると思います。
こういう子供たちをめぐる環境がよくはなっていないということについての認識と、そういう意味でも、直接貧困家庭に届く手当を削るべきではない、高速道路などと一緒に論じるべきではないんだということを指摘したいと思いますが、大臣の見解を伺います。
○細川国務大臣 先月公表されました国民生活基礎調査、そこでは、子供の貧困率は一五・七%、子供がいる現役世帯の相対的貧困率は一四・六%と、大変高い水準となっております。その背景として、所得の低い非正規労働者として働いている親が増加をしているというふうに考えられておりまして、子供を取り巻く環境というのは大変厳しいものがあるというふうに認識をいたしております。
しかしながら、親の経済力、あるいはまた幼少期の生育環境、これによって人生のスタートラインの段階から大きな格差が生じて、世代間を超えて格差が固定をしていく、こういうことがあってはならないというふうに考えております。
そこで、今般の特別措置法に盛り込まれております子ども手当につきましては、まさにそうした人生のスタートラインの段階を金銭面から確実に支援をしていく、こういう仕組みであるというふうに考えておりますけれども、支給額について、震災復旧復興のための財源の捻出というようなことについてぎりぎりの判断だったというふうに考えております。
政府といたしましては、この子ども手当の支給等の現金給付とあわせて、保育サービスの拡充、あるいはワーク・ライフ・バランスの実現など、子育て支援に係る総合的な政策を推進して子供の育ちを応援してまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 子供の貧困が今回の子ども手当の大きな動機であったにもかかわらず、こうした政局やさまざまな大人の事情で子供たちを犠牲にするということがあってはならないということを指摘して、終わりたいと思います。