民主、自民、公明3党は7日、衆院厚生労働委員会で、労働者派遣法改定の政府案を骨抜きにする改悪修正を行ったうえ、審議も行わずに賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。
採決に先立つ討論で日本共産党の高橋ちづ子議員は「2008年の暮れ、派遣切りで仕事も住まいも失った労働者であふれかえった年越し派遣村を忘れたなどといわせません」と述べ、3党の暴挙に抗議。東日本大震災や円高を理由とした解雇・雇い止めが広がるなか、「派遣法の抜本改正こそ求められている」と強調しました。
3党の改悪修正は、政府案から製造業と登録型派遣の原則禁止を削除し、違法派遣があった場合、派遣先が直接雇用を申し込んだとみなす規定を3年後に先送りするものです。
高橋氏は、政府案は「製造業派遣、登録型派遣の原則禁止をいいながら、一方で多くの例外を認めるなど極めて不十分な内容だ」と指摘。3党の修正案は「不十分な政府案すら骨抜きにする」と批判しました。
2年間で7時間半しか審議されず、派遣労働者の意見を聞く参考人質疑すら行われていないと述べ、「審議をいっさい行わないまま採決を強行するなど、委員会審議をないがしろにする暴挙だ」と強調しました。
採決では、みんなの党も反対。社民党は3党改悪修正には反対しましたが、政府案には賛成しました。
(しんぶん赤旗 2012年3月8日より)
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 ただいま議題となりました政府提出の労働者派遣法の一部改正案と三党提出の修正案に断固反対の立場から討論します。
政府案は、製造業務派遣、登録型派遣の原則禁止を言いながら、一方で多くの例外を認めるなど、極めて不十分な内容です。それでも、行き過ぎた規制緩和による派遣切りの横行を政府自身が認め、初めて派遣法を規制強化する方向へと一歩踏み出したものでした。国会での十分な審議を通じて、真に派遣労働者の保護に資すること、企業の身勝手な振る舞いを許さない法案へ抜本改正することこそ求められていたのです。
ところが、法案は、一昨年の四月に提出されて以降、我が党が再三求めてきた派遣労働者や派遣切りされた当事者の意見を聞くための参考人質疑すら行われないまま、きょうまでの二年間でわずか七時間半しか審議をされていません。にもかかわらず、前国会の会期末直前に、政府案と、不十分な政府案すら骨抜きにする民主、自民、公明提出の修正案の採決が強行されました。
しかし、修正議決された法案は、参議院に送付できずに会期末を迎え、政府案は当委員会に差し戻されて今国会に継続され、修正案は廃案になったのであります。本来であれば、今国会で十分に時間をかけて徹底した審議を行うのが当然ではありませんか。
ところが、本日、政府案と前国会で廃案になったものとほとんど変わらない三党修正案が提出され、審議も一切行わないまま採決を強行するなど、委員会審議をないがしろにする許されない行為であり、この暴挙に断固抗議するものです。
二〇〇八年の暮れ、厚生労働省前の日比谷公園が派遣切りで仕事も住まいも失った労働者であふれ返った年越し派遣村の光景を忘れたなどとは言わせません。
東日本大震災や円高を理由とした解雇、雇いどめが広がる中、雇用の調整弁として真っ先に影響を受けているのは派遣労働を初めとする非正規労働者であり、労働者派遣法の抜本改正こそ切実に求められています。労働者の保護には極めて不十分な政府案と、それすら骨抜きにしようとする修正案は、断じて認めることができません。
以上、反対討論とします。