日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は16日の災害対策特別委員会で豪雪被害に対する国のいっそうの支援を求めました。豪雪による農業被害は、青森県ではハウスだけでも342棟、約1・1億円に及び、記録が残るなかでは過去最悪です。高橋氏は、農道の除雪、融雪剤の散布が急がれるとして、自治体独自の取り組みに支援を求めました。
森本哲生農水政務官は「特別交付税で対応できるよう」取り組むと答弁。リンゴの枝折れなどで改植した場合に国が費用を補てんする「果樹・茶の未収益期間に着目した経営緊急対策」の豪雪災害での活用についても「きめ細かく対応したい」と答えました。
除雪費用について社会資本整備総合交付金は法令で定める「指定路線」にのみ補助しています。高橋氏は、実際に除雪する道路の一部でしかないと指摘。津島恭一国交政務官は「ご心配の向きを理解する。考慮しながらがんばりたい」と述べました。
高橋氏は、震災などで旅館などが避難所として指定された場合、国庫負担は中越地震の「1日5千円」が事実上の基準になっていると指摘。地域特性などを考慮し、5千円を上回ってもかまわないのではないかと確認すると、厚労省の西藤公司官房審議官は「費用は、地域の実情や家族構成でさまざま。各都道府県で勘案し定めることができる」と明言しました。
(しんぶん赤旗 2012年3月19日より)
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
最初に、昨日の質問の続きを一問だけさせていただきます。申しわけありません。
大震災では、原発事故からの避難者も多く、各地の旅館、ホテルなどが避難所として協力をいただきました。ところが、中越地震のときは一日五千円だった、この参考価格が発表されまして、それが事実上の基準になってしまったわけです。
そこで、五千円というのは消費税も込みの値段であります。それで三食提供するわけですから、旅館側では、かなり採算をとるのは厳しいということで、例えば、避難されてきた御夫婦が同室を要望されても、当然それはできないということになって、女性は女性、男性は男性、そして、しかもなるべく相部屋でたくさんの方を入れるということになるわけですね。そうすると、フロアで、体育館式の避難所というのも大変苦痛でありますけれども、ある程度閉鎖された空間でありながら幾つもの世帯がずっと共同生活するという、これもまたなかなかきつい、しかも夫婦は別々である、こういう状態が起こっていたということがありました。
そこで、一日五千円という、これは別に決まりでもないし、地域特性も考慮してこれを上回っても構わないということを確認したいんです。それから、やはり消費税は自腹にさせるというのはおかしい、外出しにすべきではないでしょうか。
○西藤政府参考人 お答えいたします。
ホテルや旅館を避難所として活用し、被災者を受け入れた場合には、その費用は災害救助法による国庫負担の対象としているところでございます。この取り扱いにつきましては、被災地でない都道府県を含め、全都道府県に対し周知し、積極的な被災者の受け入れを要請してきたところでございます。
その際、私どもで発出いたしました課長通知におきましては、「民間の旅館、ホテル等を借り上げることにより避難所として活用することも可能であるので、積極的に検討されたい。なお、この場合、地域の実情に応じて避難所の設置のため相当な経費は国庫負担の対象となるので留意されたい。」としておりまして、その際、あわせて参考として、新潟中越地震の際に、一日当たり日額五千円としたことをお示ししております。この価格は参考としてお示ししておりまして、実際の費用につきましては、地域における実情、被災者の家族構成などによりさまざまであると想定されますので、各都道府県において、これらを勘案して定めることができるものでございます。
なお、消費税の取り扱いにつきましては、私ども、一般的に災害救助の基準としてお示ししている額については、基本的には消費税込みの価格でございますので、そこで消費税を内、外ということで混乱が生じないよう、消費税込みの価格で考えるのがよろしいのではないかというふうに考えております。
○高橋(千)委員 ここは指摘しておきます。込みだとするのであれば、それを含んだものでやっていかなければならないわけです。災害というのは本当に自治体の事務量が膨大になりますから、やはり基準らしきものに頼って仕事をせざるを得ないんですね。特に厚労省が参考としたものが、結局、観光庁が五千円であると断定的な通知を出したということでこれがコンクリートされてしまったという経過がございました。
鳴子温泉がある大崎市などは、消費税分を自治体として補助しておりました。こういうこともありますので、ぜひ、これは基準ではないのだ、当然認めていいのだということで、今後につながることですので、しっかりと徹底、また柔軟に対応していただきたいということを要望したいと思います。
次に、大雪被害のことなんですけれども、果樹やハウスなどの農業被害が深刻であります。先月の二十六日には、鹿野農水大臣も、青森県内三市のリンゴ園地やハウスなどの視察をしていただきました。七日の青森県の発表で、ハウスだけでも三百四十二棟、約一億一千万ということで、記録が残っている一九八九年以降、最悪の被害と言われております。ただ、リンゴについては、まだ深い雪の中で、被害状況は詳細にわかっておりません。
それで、急がれるのは、まずリンゴのふもとまでたどり着くことですよね。そして、解かしてなるべく下枝を出していくということが求められています。県でもそのように指導して、市町村でも融雪剤への独自補助などを始めています。
このような取り組み、つまり、農道の除雪や融雪剤の散布などに対しても国として支援が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○森本大臣政務官 高橋委員にお答えをいたします。
確かに、大変御心配をいただいておりまして、ありがとうございます。
私どもも、しっかりこの調査をしなければならないんですが、とにかく雪解けを待たなければ本当の原因がわからないというようなことで、そのように認識をさせていただいております。
ハウスもかなり傷んでおりますし、リンゴなんかは幹割れなんかもあるわけでございますので、ここのところは、総務省が交付税算入もしていただくということの中で、私たちは、融雪剤、そうした対応をしっかりやっていくということで、県、市町村にお願いをしておるところでございます。
そしてまた、雪崩防止施設や農道の路面等に水を流す消雪パイプ等については交付金の方で対応していただくということになっておりますので、そうした事業も、予算も紹介しながら、今頑張っておるところでございますので、よろしくお願い申し上げます。
○高橋(千)委員 言ってみれば、総務省にお願いをする、一言で言うとそういうことになるのかなと思うんですけれども、それもありがたいことなんですが、やはり、そこの間に入って、自治体が取り組んでいる、頑張っていることを農水省もしっかりと応援していく、その上で、お願いをしていただいて、しっかりと特別交付税なりで担保していただきたいということをお願いしたいと思います。
その先の話を、もう一つなんですけれども、当然、枝折れが激しい場合、改植などという形で次の復旧、再生を図っていかなければなりません。ただ、そうしますと、いわゆる収入のない期間があるということで、昨年スタートしました果樹、茶の未収益期間に着目した経営緊急対策が今回の災害でも活用できるのではないか、これが期待をされているわけです。
そのことをまず一点確認したいのと、その上で、とはいっても、改植といえば、園地の被害は均一ではないために、全部やられたというわけではないのだ、では、それは難しいのかな、対象にならないのかなという不安もございます。面積要件を緩和するなどして、この災害で対応できるように柔軟にやっていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
○森本大臣政務官 このことについては、高橋委員のほかに、皆さん方、非常に御尽力いただいて、御心配いただいておるところでございますので。
五アールという設定が実はあります。これは、普通ですと十アールというような設定で我々としては臨んでおったんですが、ここは五アールと、少しでも狭くしながら、細かく対応していきたいというふうに私どもも考えております。
このことについては、皆さん方の御尽力で、私どもの農林水産省の職員もそのことをしっかり現地で聞き取りさせていただいて、私の方からも、そうしたきめ細かな災害対応、そして、これからの育成についてやるようにと指示を出しておりますので、細かい点については、また御質問がございましたらお答えさせていただきます。
金額はよろしいですね、おわかりでございますから。言いますか。(高橋(千)委員「どうぞ」と呼ぶ)そうですか。
今、改植を言われました。これは、三十二万、これが十アール当たりですから、一反当たりこれだけの補助をして、下限が二アールということでございますので、計算していただいたらわかると思います。先ほど言われた未収益が五アール、ここが少し問題があるんだということなんですけれども、これは四年間五万円ということでございますので、かなり厚く我々は手当てをさせていただいたというふうに認識をいたしております。
○高橋(千)委員 やはりリンゴというのは、リンゴに限らず果樹、この間ずっと、大雪被害だけではなく、台風、風雪、霜ですとか、さまざまな被害が繰り返し、毎年のようにありました。そういう中で、やはり地元の生産者や行政と要望を重ねてくる中で、価格安定制度ですとか、さまざまな制度が発展していって、そういう中で今、未収益期間の対応が昨年からスタートしたと。これは本当に歓迎したいし、地元でも使われているわけです。
それで、今回の災害でもぜひうまく活用されて、生産や意欲がつながっていくように期待をしていますので、あとは細かい相談に乗って、きちんと対応できるように農水省の対応をお願いしたいということで……(森本大臣政務官「委員長」と呼ぶ)いや、ちょっと済みません、時間の関係がありますので。
○森本大臣政務官 それでは短く。
一軒の家で五アールという設定をいたしますので、一カ所で五アールという厳しい対応はとりませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。しっかりお願いしたいと思います。
次に、除排雪の費用の問題を質問したいと思います。
二月十六日の予算委員会で、私は、社会資本整備総合交付金で除雪補助の対象となる雪寒法の指定路線について、実態に合わないのではないかということを指摘いたしました。青森県市町村雪寒指定路線の延長は、除雪している道路の二六・四%にすぎません。昨日の本委員会でも、自民党の木村太郎委員が、指定の見直しの目途について質問をしました。
そういう経過があったわけですけれども、そのときの答弁がはっきりしなかったということで、本日、理事会の場に、これは雪寒法に基づく五カ年計画の次の年度が平成二十五年度なので、そこまでに見直しをするのだという答弁書が提出をされたところです。それは、法律がそうなっているからわかっていることなんです。問題はそういうことではないんですね。
地元の要望は、結局、その雪寒法の指定路線に基づいてお金が来るものですから、実態に合わないのじゃないか、それから生活道路が全然見込まれていないんじゃないかと。それに対して、二月二十七日の参議院の災害対策委員会で津島政務官が、きょうおいでになっていますけれども、見直すと言ったこと、その中身ですね、それは我々の期待に応えるものだと思っていたから、木村委員も昨日質問されたんだと思う。
それは、結局中身は、通常の法改正の延長線上なのかなというのが今の受けとめなんです。津島政務官の真意を伺いたいと思います。
○津島大臣政務官 高橋先生にお答えを申し上げたいと思います。
まず、二月五日、政府派遣で私も青森を訪ねさせていただきました。先生もおいでになるかと思ってお待ちをしておりましたが、いらっしゃらなかったことは本当に残念だと思っております。
そこで、今先生御指摘の雪寒法の見直しのことでありますけれども、近年、ことし、そして昨年は非常に大雪だったのも事実でありますが、その前は暖冬だったということもございました。その中で、雪国、特に豪雪地帯は非常に苦しんでいるというのも実情であります。これも私も十分承知をしております。
そこで、この雪寒法の見直しでありますけれども、関係者の意見を幅広くお伺いしながら改正をしていくということでありますが、まさしく、今先生の御心配の向きは十分に理解をしておりますので、その点も十分に考慮しながら頑張っていきたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○高橋(千)委員 今ちょっとお話にあったように、暖冬だからとか、そういうことを言っちゃうと、逆に指定路線が縮小される、そのことを指摘しなければならないんです。ですから、考え方をやはり変えなくちゃいけないんだということを言わなければならないと思うんです。
ですから、指定路線に縛られて社会資本整備総合交付金が入っている、ここに自治体の悩みがあるわけですので、私は、思い切ってこの交付金と除雪費用は分ける、もとに戻す、これが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○津島大臣政務官 除雪費の社会資本整備総合交付金でありますけれども、これは非常に幅広く使える、使い勝手がある、こういう制度でございますので、私は、そういった意味で、先生の御心配、御懸念には当たらないと思っておりますので、この辺も踏まえて、私どもの国土交通省もしっかりと対応してまいりますので、よろしくお願いいたします。
○高橋(千)委員 これで終わりますが、幅広く使えるけれども枠は狭まっている、これではだめなんだということを指摘して、終わりたいと思います。