国会質問

質問日:2012年 4月 13日 第180国会 厚生労働委員会

子ども医療費無料化を

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、改めて、子供医療費無料化の問題について伺いたいと思います。
 資料を配っておりますけれども、この医療費無料化の都道府県やあるいは市町村レベルでの取り組みが広がっているということをあらわしたものであります。
 私が初めて厚労委員会で、まだ差しかえでしたけれども、この問題を取り上げたのが二〇〇四年なんですね。その二〇〇四年というのは、グラフを見ていただければわかるように、まだ都道府県の到達は、未就学児の無料化が八県、そして就学児、いわゆる小学校に入ってからは、まだゼロでありました。それが、今、二〇一一年の数字で、未就学児が二十八都道府県、そして就学児が九県というところまで広がっております。
 市町村レベルでいいますと、二枚目にありますけれども、既に、十五歳、つまり中学校卒業までというのが、通院で三七・五%、入院では五一・六%というぐあいに広がっているのが今の到達だというのが見られると思います。
 それで、この最初の二〇〇四年の委員会の質問のときに、今いらっしゃいますけれども、坂口厚労大臣でありまして、そのときの答弁が、全ての市町村、それぞれの市町村によりまして取り組みの形は違いますけれども、何らかの形で乳幼児医療というものにそれぞれお取り組みをいただいているわけでございますが、そこに私としても敬意を表したいとおっしゃってくださいまして、そうした皆さん方の御努力と相まって、今後もやっていかなければならないんだろうというふうに思いますという答弁がありまして、私は、全国のそういう市町村の取り組みが広がって、そこが国も前に進めるのではないかということに大変期待を持ったわけであります。
 厚労省は、毎年、市町村のこうした実施状況を調査しているわけですが、全体として無料化の拡充が進んでいると思いますが、どのように受けとめていらっしゃるのか、小宮山大臣に伺います。

○小宮山国務大臣 今委員が御紹介いただいた坂口元大臣とほぼ同じ答弁になるかと思いますが、乳幼児等の医療費につきましては、平成二十三年四月一日現在、全ての千七百四十七の市区町村で、年齢など助成の対象はさっき御紹介いただいたように異なりますけれども、範囲に幅はありますが、何らかの助成を行っています。
 こうした取り組み、各自治体がそれぞれの地域の実情に合わせて行っていただいていると思いますので、私も敬意を表したいと思います。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 まず出発点を、同じところに立っていただかないと困るわけですので、まずそこを確認させていただいて、ほっといたしたところであります。
 二枚目のグラフのところに、真ん中に丸がついておりまして、自治体単独事業に係る国庫負担削減ということで、二〇〇六年度は六十四億九千万だったのが、二〇〇九年度は七十一億三千万になっている。これは、前回、国保法の改正のときに取り上げた問題であります。
 つまり、自治体が独自に医療費を無料化あるいは軽減するときに、その差額は自治体がもちろん負担をしているわけなんですけれども、窓口負担をなしにした場合、私たちは現物給付と呼んでおりますけれども、国保の国庫負担金が減額調整をされている。
 その考え方と根拠なんですけれども、例えば、窓口で立てかえて後で返してもらう償還払いに比べて、窓口無料だとかかりやすくなる、それで医療費がふえるんだ、いわゆる長瀬効果があるんだということがこれまでの説明だったかと思うんです。それを計数で厳密に管理をしているわけですね。
 それが三枚目の資料でありまして、上が小学生で、二段目が乳幼児であります。
 この右側が、費用をどのくらい援助しているかということで、一番右端が、ゼロということで、無料にしている場合。一が立っているところが、現行の自己負担をあらわします。ですから、小学生の一は三割負担である、乳幼児の一は二割負担であるということになりますが、無料の場合は、〇・八六一一、これは要するに、一四%医療費が増額するよという見込みをして、その分を国庫調整している、国庫負担を減らしている、そういう考え方。
 これを今も採用しているということで間違いないでしょうか。簡潔に、確認ですので。

○藤田大臣政務官 今委員の方から御指摘がありましたように、その考え方に基づいて調整を行わせていただいております。

○高橋(千)委員 それで、最初に言ったように、もともと、自治体が無料にした分を負担してまで病院にかかりやすくしようと頑張っている取り組みなんですよね。それに対して、いやいや、それでは医療費がかかり過ぎちゃうじゃないかということで機械的に減額するというやり方が、今でもそれがいいんだろうかということなんです。
 そうじゃない自治体との不公平感があるということも、これまで何度も答弁がされてきました。でも、今や七八%の自治体で現物給付をやっていて、もう大勢になっているわけなんですよね。だから、減額、そこはもうやらなくてもいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○小宮山国務大臣 多くの自治体で乳幼児に対する医療費の助成、現物給付で実施していますけれども、窓口負担の減額幅ですとか対象範囲がさまざまなため、この調整措置については、今委員もおっしゃいました、市町村間の公平性の確保などについて考えなければいけないということで、今の調整措置は必要だと考えています。
 ただ、おっしゃったように、これは中長期的な検討課題として検討をさせていただければと思います。

○高橋(千)委員 中長期と、余りそう長い話ではないんじゃないか、七八%という実態があるわけですからね。
 例えば、長崎県は二〇一一年四月から全自治体で現物給付が実現をしています。委任払いということで、大村というところが、一カ所だけちょっと違う仕組みだそうですけれども。
 それに伴って、こども医療長崎ネットが実施した、約一万二千人にとったアンケートがございます。
 それを見ますと、現物給付を利用してどのように感じているかという質問に、複数回答ですけれども、楽になったと答えた方が八五・二%、助かっているが六〇・八%ですが、受診した方の病院へのかかわり方については、変わらないという方が七八%なんです。つまり、助かったけれども、だからといって、むやみに夜間でも日曜でもかかっているということではないということがはっきりしました。それと、実施前は必要と思っても受診を控えていたけれども実施後は受診するようになった、早いうちに受診することにより重症化を未然に防ぐことができた、ひどくなる前に早目に受診することが多くなったなどと答えているわけなんですね。
 ですから、何か一律に医療費がふえて、それがよくないことであるかのように見る考え方は、もう違うのではないか。むしろ、コンビニ受診を誘発しているのではなくて、かかりたいけれども我慢をしていた方がようやっとかかれるようになった、そういう前向きの効果というのを捉えるべきではないか。そういう中長期の検討というのを今するとおっしゃいましたけれども、そういう前向きの効果というものをきちんと受けとめて、早く、減額措置はもういいんだというふうに見てもいいんじゃないかと思いますが、もう一言お願いします。

○小宮山国務大臣 それは、財源がたくさんあれば私もそうしたいと思います。ただ、今の財政状況の中で、現状では、やはり公平性という面から今調整をしております。
 そういう中で、私も前向きに検討はしたいと思いますが、そのためには安定的な財源がなければいけないということが一方にあるということも御理解をいただければと思います。

○高橋(千)委員 例えば、先ほど来話題になっている粟島、私も行ってまいりましたけれども、三百六十六人の人口しかない、そして六十五歳以上が四九%、そういう小さな村ですけれども、そこでも、だからこそ若い人たちを定着させなければいけないんだということで、中学生までの医療費無料化と妊婦さんへの医療費無料化をやっているわけなんです。
 ですから、財政力が厳しくても、逆に厳しいからこそ頑張って将来を支えていこうという考え方をしているわけですから、やはりそういうところにも学ぶべきではないか、ここを重ねて指摘しておきたいと思います。
 財政といっても、減額措置は七十数億ですから、そういうこともやはり考えていく、もっと別な効果があるんだというふうに受けとめていただきたいと思います。
 そこで、子供にかかわらず、原発の避難指定区域の人たちは一年、それ以外の津波被災区域の人たちは国保のみ半年間、医療費無料化が延長となりました。こういう方たちの場合はどこに避難していたとしても現物給付になっていますが、それはなぜでしょうか。

○藤田大臣政務官 委員御承知のように、医療保険制度においては、被保険者が医療費を一旦立てかえる必要がないように、一部負担金のみを支払うことによって医療サービスが受けられるよう、現物給付を原則としているわけでございます。
 そのため、東日本大震災による被災者に対する一部負担金のこの免除措置については、医療保険制度の中の対応として、全国共通のルールによって行うものでございますので、医療保険の原則どおり、現物給付となっていると考えております。

○高橋(千)委員 まず、現物給付がルールであるということでありました。
 先ほど来議論していたのは独自のルールだからということの整理かなと思うんですけれども、ですから、全国共通のルールにしていけばいいのになと思うのと、本当に無料化が必要であれば、おのずと、窓口無料化でなければ、現物給付でなければ意味がないということだと思うんですね。そこを少し整理していきたいと思います。
 それで、三月七日の復興特別委員会で、私は、山形に自主避難をした子供たちの医療費のことを質問いたしました。
 山形というのは福島から大変近いということもありまして、一万二千人くらいの方たちが避難をしておって、山形市だけでも今五千六百人強の人たちが避難をしているわけなんですね。
 お母さんたちにもお話を聞いてきたんですが、子供のことを考えれば避難という選択肢しかなかったわけです。しかし、いずれは福島に戻りたい、そういう思いもあるわけですから、なるべく近いところにいる、そういう心情を聞いたわけですね。
 実際には、医療費が、無料なんだけれども、償還払いになっちゃうわけです。山形市では、小学校三年生までは無料で、現物給付である。福島に帰っても現物給付である。だけれども、自治体を飛び越えているのでそれができないと。だったら、原発避難者特例法という制度もあるんだし、何とかできませんかということを言ってきたわけなんですね。そうすると、もともとは特例法で指定された事務ではないけれども、自治体が独自にやるのであれば構わないということもお答えをいただきました。
 これは、もともとは、福島の場合は、十八歳未満まで無料化を、国が出資した基金で、十分の十の補助で、基金を使って県はやると決めたわけですよね。だから、財源的には問題がないわけなんです。だから、もうそれは、あとは事務的な問題だけなんじゃないか、国が一言援助してくれればいいなというのが山形市の要望でありました。
 ですから、もう、財源的にも調ったわけですから、問題ないんだよと言ってくれればいいなと思うんですが、いかがでしょうか。

○藤田大臣政務官 福島県が、福島県県民健康管理基金を活用して子供の医療費無料化の検討に着手をされたということでございます。その際に、福島県の区域外に避難されている方々への支給方法、この具体的な制度設計については、やはり福島県と他の自治体の間で検討、調整されるべきものであろうというふうに考えます。
 委員の御指摘がございましたような、調整を国がというのも気持ちとしてはわかるところもございますけれども、せっかくのお尋ねではありますけれども、現時点では、厚生労働省として、問題があるかどうか、こういうことをお答えする立場にはない、このように認識をいたしております。

○高橋(千)委員 この前の問いのときに言ったように、国がこの地域の人たちは無料にするよと決めれば、どこに避難してもできるわけですから、そういう仕切りで、お互いの市町村がよければいいんだよと言っていただければいいのではないか。
 特段の財政的な負担が生じなければいいんです。私が言いたいのはそこなんですね。山形市は特段の負担を強いて山形市民に影響を与えるということがないということ、そして、福島県が、そのことによって非常に大きな事務負担になっては困るということを、遠慮している、そういう経緯がございますので、そこだけ楽にしてあげればよいのではないかと思います。
 あとは、本当であれば、国が無料化の制度をつくっていればこんな問題は生じないのにというのが最後の要望でありました。ここは重ねて要望にとどめたいと思いますけれども、ぜひ考えていただきたいなと思います。
 実は、あとはもう要望で終わりますが、山形県は、もう借り上げ住宅もなくて、これ以上の受け入れを拒否せざるを得ないという事態に追い込まれています。でも、避難した会の皆さんに、問い合わせがまだ今も来ているんですね。それは、今妊娠をしたので、やはり子供を産むためには安心できる環境が欲しいということで何とか避難できないかと言っているんです。そういうお母さんたちの気持ちに応えるためにも、せめてこのくらいはやるべきじゃないかということを前向きに検討してほしいということを指摘して、終わりたいと思います。

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