衆院厚生労働委員会で、障害者自立支援法の根幹を残す障害者総合支援法案が、民主、自民、公明の3党の賛成で可決されました。日本共産党は「自公政権時代の障害者自立支援法を恒久化するものだ」と反対。社民、みんな、きづなの各党も反対しました。
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました障害者総合支援法案並びに修正案に反対の討論を行います。
本法案がたった三時間の審議で、参考人質疑すらせずに採決を行うことに強く抗議をするものです。
私たちのことを私たち抜きに決めないでの原則はどこに行ったのですか。一昨年の障害者自立支援法違憲訴訟団と国との基本合意文書は、勇気を振り絞って立ち上がった原告と、思いを一つに全国で展開された運動がかち取ったものです。自立支援法の廃止と、初めて自分たちの声を反映し、障害者が権利主体となる新法制定へ向かって、原告団初め障害者と家族、関係者の皆さんは大きな期待を寄せていました。
ところが、政府は完全にその期待を裏切り、国として遵守すべき法的文書である基本合意をほごにしました。絶対にあってはならないことです。
本法案は、いわゆるつなぎ法案を核とし、自公政権時代からの障害者自立支援法を恒久化するものであります。名称を変えたから廃止だとは、詭弁としか言いようがありません。障害を自己責任とし、家族収入を含めて応益負担を課す仕組みはそのままです。本人の必要性を考慮せず、利用抑制の手段となっている障害程度区分認定制度についても、廃止は先送りされました。自立支援医療、報酬支払い体系については検討事項にすら挙げられていません。障害者の尊厳を傷つけた法の根幹部分は温存されているのです。
こうした重大な中身を三党だけの協議でよしとし、国会審議を軽視する姿勢は、議会の自殺行為であり、絶対に許されません。
また、法案は、総合福祉部会骨格提言を全く反映しておらず、障害者権利条約批准にたえる内容とはほど遠いものです。元総合福祉部会長の佐藤久夫氏は、骨格提言六十項目のうち、不十分ながらも取り入れたのは、法の目的の一項目のみとしています。仮にも骨格提言を尊重するというのであれば、障害者を権利の主体とすることを明記し、「可能な限り」の文言を削除して、程度区分と応益負担による、福祉も自己責任という枠組みを根本から変えなければなりません。
終わりに、基本合意をかち取り、障害者、関係者が立場の違いを乗り越えて骨格提言をつくり上げた事実は消えることはありません。日本共産党は、今後も、自立支援法は廃止し、障害者権利条約を批准するに足る、障害者を権利の主体とする新法を実現することを求めて奮闘することを表明し、発言とします。