国会質問

質問日:2012年 5月 10日 第180国会 本会議

子育て新システムは保育の公的責任放棄

 消費税増税と一体の社会保障改悪法案の一つである、子ども・子育て新システム関連3法案の趣旨説明と質疑が衆院本会議で行われました。高橋ちづ子議員は、「子育ての安心と希望を奪いながら大増税を押し付けることは許されない」と批判しました。

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――― 議事録 ――――

○高橋千鶴子 私は、日本共産党を代表し、子ども・子育て新システム三法案について質問します。(拍手)
 民主党は、〇九年総選挙で、チルドレンファーストを掲げて政権交代を実現しました。その中心施策だった子ども手当は、一度も完成形を見ないまま、児童手当に戻りました。私は、増税だけが残ったと、この壇上で討論を行ったばかりであります。
 子供政策にとって大事なことは、国連子どもの権利条約がうたっている子供の最善の利益を実現することです。この理念は、保育所保育指針の中でも「入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない」と明記をされています。
 総理、子ども・子育て新システムは、こうした最善の利益に沿うものと言えるのですか。答弁を求めます。
 子ども・子育て新システムの原型は、自民・公明政権時代から検討されてきた保育制度改革であります。これは、営利企業の参入を広げる保育の市場化と、保育も金次第という世界に変えてしまおうというものです。子供の最善の利益とは全く相入れない制度だと言わなければなりません。
 第一に、新システムは待機児童の解消策になるかという点です。
 保育所が見つからず仕事をやめた、二人目を産むのを諦めたなど、子育て中の親たちが悲痛な声を上げています。
 昨年四月一日現在、保育所を利用している児童は二百十二万人です。加えて、認可外保育施設に入所している児童は十八万六千人もおり、どちらも年々ふえ続けています。待機児童は、依然として二万六千人います。
 少子化が叫ばれながら、保育所の待機児童が解消しない原因を総理はどのように認識していますか。
 待機児童ゼロ作戦から十年、民間保育所は三千百九十二カ所ふえましたが、そのうち三分の二以上は、公立保育所の看板が民営に置きかわっただけです。その上、〇五年の調査では、約十六万人も定員を上回って児童を受け入れていました。つまりは、保育所をつくるのではなく、民営化や要件緩和でしのいできたのが実態です。
 国が、公立保育所の建設費補助をやめ、運営費も一般財源化するなど、公的保育から手を引いてきた責任を認めますか。答弁を求めます。
 新システムでは、市町村が保育のニーズを把握するといいますが、待機という概念がなくなるだけで、実態は変わりません。
 政府は、待機児童数を把握しますか。実態を把握し、その解決のために、必要な認可保育所をつくるべきです。明確にお答えください。
 第二に、公的保育の実施責任についてです。
 現行の児童福祉法第二十四条は、市町村に保育の直接的な実施義務を明記しています。改正案は、これを削除し、必要な保育を確保するための措置を講じなければならないとしました。
 政府は、市町村の役割は後退しないと説明していますが、では、何が違うのか、なぜ削除するのか、答弁を求めます。
 新設される総合こども園には、待機児童の八割を占める三歳未満児の受け入れを義務づけていません。幼保一体化したからといって、単純に待機児童が解消するわけではないのです。
 三歳未満児の受け入れを表明している幼稚園がどのくらいあるのですか。
 政府は、この間、新システムへの反対や懸念の声に押されて、保育の質は落とさないと繰り返し説明しています。しかし、保育の供給が需要に追いつかなければ、どうなりますか。雑居ビルの狭い部屋などを利用した小規模保育でも、どんどん認めていかざるを得なくなるのではありませんか。
 今でさえ詰め込みなのに、基準を自治体の条例に委ね、引き下げることは、断じて認められません。答弁を求めます。
 第三に、保育が介護保険のような制度になるということです。
 保護者は、保育の必要度について、市町村から認定を受けなければなりません。しかし、認定を受けただけでは入所決定とはなりません。保育所と直接契約を結ぶ必要があるのです。
 介護保険では、要介護度によって利用時間の限度が決められ、これを上回れば自己負担、あるいは、利用料を払えなければ、枠があっても使えないという問題があります。
 保育の場合は、短時間と長時間という二つのタイプしかありません。では、短時間と長時間、どこで区切るのですか。
 例えば、パート労働者が短時間と認定された場合、通勤時間などで利用時間をはみ出す場合はどのようになるのか、具体的にお答えください。
 負担についてはどうでしょうか。
 保育料は、現行制度と同様に応能負担だといいます。しかし、パートの給料が全部保育料で消える、こんな悲鳴が上がるほど、保育料は高過ぎます。児童手当が一万円、三歳未満児は一万五千円ですが、もともと三歳未満児の方が保育料も高いのです。ほとんどの世帯が、児童手当から保育料が天引きされ、不足分の請求書が届くだけではありませんか。これでは、子供を産み育てる希望が持てません。
 保育料負担をどうするのか、伺います。
 優先入所が必要な場合、市町村があっせんするといいますが、確実に入所できる担保がありますか。それどころか、保護者は、所得や障害、虐待など、優先入所が必要な事情を書いた認定証を持って、保育所をみずから回らなければなりません。
 保護者が保育所を選ぶのではなく、逆に保育所から選ばれる側になるのではありませんか。お答えください。
 第四に、保育の市場化についてです。
 新システムは、株式会社を初めとする多様な事業者の参入を認め、株式配当も認めます。公定価格であるこども園給付から利益を出そうと思えば、人件費を削るか、保育の質を落とす以外にありません。逆に、特色のある保育、教育と称して、高い利用料を上乗せすることも可能です。
 営利企業と子供の豊かな育ちを支える保育とは絶対に相入れないと思いますが、見解を伺います。
 第五に、総合こども園は、全ての三歳以上児に質の高い学校教育を提供することとされました。
 保育所は、もともと、保育指針により、養護と教育の要素を兼ね備えています。それを、あえて学校教育を義務づけるのはなぜでしょうか。法的拘束力を持つ質の高い学校教育とは、どのようなものですか。
 幼児期という、体も心もつくられていく大切な時期にどういう保育、教育を保障するのかについては、幼稚園、保育所ともに積み上げてきた歴史と経験を尊重し、専門的、国際的な知見も踏まえて検討するべきであります。余りに拙速な幼保一体化は、子供の将来に大きな禍根を残しかねません。答弁を求めます。
 最後に、新システム三法案は、消費税増税がスタートしなければ施行されません。
 今日、子育て世代の貧困率は一二・七%、母子家庭では四八%にも及びます。子育ての充実策に充てるといいながら、生活に追われる子育て世代に増税が直撃するというのでは、少子化に拍車をかけることになりかねません。
 子育ての安心と希望を奪いながら大増税を押しつけることは許されないことを指摘し、質問を終わります。(拍手)

○内閣総理大臣(野田佳彦君) 共産党の高橋議員の御質問にお答えいたします。
 まず、子供の最善の利益についてのお尋ねがございました。
 子供の育ちや子育てをめぐる環境は、近年の核家族化や地域のつながりの希薄化、雇用や将来への不安の高まりにより、厳しい状況にあると認識をしております。子ども・子育て新システムは、こうした現状を踏まえ、チルドレンファーストの理念に立つものであります。
 新システムの実現により、地域の実情に沿った学校教育、保育の整備や、幼児期における質の高い学校教育、保育の一体的提供、地域の子育て支援の充実など、子供の最善の利益の実現に向けた取り組みが総合的に進むものと考えております。
 次に、待機児童が解消しない原因及び公立保育所の一般財源化についてのお尋ねがございました。
 待機児童の解消は喫緊の課題であると認識をしていますが、現行の制度のままでは、認可には裁量があり、認可施設には一定の規模を必要とするなど、機動的な対応に限界があること、潜在的なニーズを含め、地域の保育ニーズを把握する仕組みになっていないことなどから、対応が困難であると考えております。
 このため、新システムでは、指定制度の導入により、保育の需要がある地域で機動的に保育の量的拡充を可能とすることで、速やかに待機児童の解消を図ってまいります。
 また、公立保育所の運営費等は税源移譲と一体で一般財源化されていますが、その管理運営は、各市町村が責任を持って対応していると考えております。
 次に、株式会社の保育への参入についての御質問をいただきました。
 新システムでは、株式会社を初めとする多様な事業主体の参入を認めるに当たり、質の確保のための客観的基準を満たすことを求めています。また、参入後も、市町村が報告徴収、立入検査等の指導監督を行います。
 また、教育、保育の質に直接かかわる職員の経験年数、勤続年数などの事項について、保護者が子供にとって最善の選択を行えるよう、情報開示を義務づけます。
 利用料の上乗せ徴収については、国において実費徴収の上限額に関する基準を定めるほか、実費徴収以外の上乗せ徴収を認めるに当たっては、低所得者については免除することなどを要件とする予定であります。
 これらの取り組みにより、多様な事業主体により、質の確保された学校教育、保育が確実に提供される仕組みとしてまいります。
 幼保一体化についてのお尋ねがございました。
 新システムにおける幼保一体化については、学校教育、保育のニーズが地域によってさまざまであることを踏まえ、市町村が、総合こども園、幼稚園、保育所を含めた学校教育、保育の提供体制を地域の実情に沿って計画的に整備できる仕組みとしています。これにより、全ての子供に質の高い幼児期の学校教育と保育を保障することを目指しています。
 また、新システムの制度設計については、一昨年六月に基本制度案要綱を策定した後、関係者が広く参画するワーキングチームを三十五回にもわたって開催し、利用者、事業者、自治体、経済界など、さまざまな声をヒアリングしながら、丁寧に議論を重ねて取りまとめたものであります。したがって、拙速との御批判は当たらないと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

○国務大臣(平野博文君) 高橋議員から、二つの質問をいただきました。
 最初に、三歳未満児の受け入れを表明している幼稚園についてのお尋ねでございます。
 三歳未満児の受け入れを表明している幼稚園数については承知はいたしておりませんが、調理室の設置支援や、三歳未満児の受け入れに要する経費を見込んだ単価設定など、インセンティブを付与することにより、地域の実情に応じて、待機児童が多い三歳未満児の受け入れが進むように取り組んでまいります。
 次に、質の高い学校教育についてのお尋ねでございます。
 これまで、保育所におきましても、幼稚園教育要領との整合性が確保された保育所保育指針に基づき、教育の質の向上に取り組んできたものと承知をいたしております。
 総合こども園は、学校としての法的位置づけを持ち、幼稚園と同様、幼児の心身の発達を助長し、小学校教育との円滑な接続が必要であるということを法律で明記いたしております。
 新システムにおきましては、小学校就学前の全ての子供に質の高い幼児期の学校教育を保障する観点から、原則として全ての保育所が一定期間内に総合こども園に移行することとしております。
 このことによって、制度的に、幼稚園教諭免許を持つ職員を置くこと、職員の研修を充実すること、学校教育の理念や教育内容、特徴などの情報開示や、教育内容の改善のための自己評価を行うことなど、義務づけられることにより、さらなる幼児教育の質の確保、向上が図られるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)

○国務大臣(小宮山洋子君) 高橋議員からの、まず、待機児童の把握と保育の量的拡充についてですが、子ども・子育て新システムでは、保育の需要がある地域で機動的に保育の量的拡充を図るため、全ての市町村が子ども・子育て支援事業計画を策定し、潜在的ニーズを含め、地域の保育需要に応えられるよう計画的な整備に取り組むこと、指定制度の導入により多様な主体が参入できる仕組みにすること、総合こども園制度の創設により、幼稚園の協力を得て保育需要に対応すること、地域型保育給付の創設により、小規模保育事業など多様な保育事業を推進することにしています。こうしたことにより、待機児童の解消に向けた取り組みを進めていくことにしています。
 国としては、各市町村が策定する事業計画を通じて保育のニーズを把握し、市町村が円滑に保育の体制整備を進めることができるよう、しっかり支援していきます。
 児童福祉法第二十四条の改正についてですが、現行の児童福祉法第二十四条は、市町村による保育の直接実施を規定しています。しかし、現在の規定のままでは、保育の必要性と保育所への入所の可否を同時に判断するにとどまり、潜在的なニーズを含め、地域の保育ニーズを把握する仕組みではないこと、都市部での待機児童対策にも、人口減少地域での保育の確保対策にも、対応が不十分であることなどの問題があると考えています。
 そのため、制度全般の見直しを行い、個人給付であるこども園給付等を創設し、保育が必要な子供が保育を受ける権利を保障する、全ての市町村が子ども・子育て支援事業計画を策定し、潜在的ニーズを含め、地域の保育ニーズを確実に把握する、そうしたニーズに応えるよう、指定制度を導入し、多様な主体が参入できる仕組みにすることにしています。
 こうした措置を規定する子ども・子育て支援法と改正児童福祉法第二十四条とが相まって、市町村が保育の保障に関する中心的な役割を担うことにしています。
 保育の質の確保についてですが、こども園、地域型保育の指定基準は、現在の基準をもとに、国で基礎となる基準を定め、それに基づき、市町村が条例で基準を定めることにしています。その際、国は、幅広い関係者で構成される子ども・子育て会議の意見を伺いつつ、質の確保に努めていきます。
 また、新システムでは、税制抜本改革による財源を基本としつつ、必要に応じて、それ以外の財源を含め、国、地方を通じた恒久的な財源を確保しながら、待機児童の解消などのために保育の量的拡充を図るとともに、職員配置基準の改善を初めとする保育等の質の改善を行っていくことにしています。
 長時間利用と短時間利用の認定についてですが、長時間利用の認定は主としてフルタイムの利用を想定し、短時間利用の認定は主としてパートタイム就労の場合を想定しています。
 具体的な認定時間の区分は、保育所等の運営の実態や、保護者の通勤時間などを含む保護者の就労状況の実態に合わせて、子ども・子育て新システムの本格施行に向けて具体的に検討していきます。
 保護者の利用者負担の額についてですが、現在の保育制度では、国が定める額をもとに、市町村が家計の状況等を勘案して利用者負担額を定めていますが、新システムでも、同様に、市町村が定めることになります。
 国が定める利用者負担の水準は、応能負担の考え方に基づき、現在の利用者負担の水準を基本に、所得階層ごと、認定時間、利用時間の長短の区分ごとに負担を設定します。具体的な水準は、子ども・子育て新システムの本格施行に向けて検討していきます。
 障害児や虐待の疑いのある子供などの入所についてですが、新システムでは、市町村は、管内の施設や事業者の情報を整理し、子育て家庭に広く情報提供し、相談に応じることにしています。
 また、市町村が、障害児等の特別な支援が必要な子供など、優先的な入所が必要な場合には、利用可能な施設や事業者のあっせんや、施設等に対する利用の要請を行うことにしています。虐待のおそれがある場合などには、保護者に対する利用の勧奨や入所の措置を行う仕組みにしています。
 さらに、施設や事業者に対しては、応諾義務を課して、正当な理由なく入所を拒否することができない仕組みにしています。
 このように、新システムでは、御懸念のような事態が生じないよう、市町村が確実に利用者を支援する仕組みにしています。(拍手)

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