衆院社会保障・税特別委員会で、際限のない年金の切り下げを押し付ける政府の論拠を突き崩し、年金切り下げの撤回を求めました。
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
最初に、復興庁の問題で一言質問いたします。
復興庁は、二十五日、東日本大震災で被災した八県七十一市町村に対して、総額二千六百十二億円の復興交付金を交付すると発表いたしました。資料の一枚目に河北新報の記事をつけておきました。第一次分と比べて、申請額の約一・六倍の配分だということで見出しが躍っておりますが、宮城県の村井知事は満面の笑みで、本当に感謝を申し上げたいと述べて、第一回のときは五四%だったものですから、復興庁は査定庁だと大変厳しい批判をしたことも忘れたかのように、百点満点中の百二十点と評価をしたようであります。
もちろん、我々も復興交付金の活用については復興特別委員会などで繰り返し求めてきたことでありますし、防災集団移転ですとか災害公営住宅、これが見通しが出てきたということでは、現地の歓迎、評価は当然のものだと思っております。
そこで、最初に伺いたいのは、きょうは松下副大臣いらしていますけれども、申請額を上回る交付というのは、どういう考え方によるものでしょうか。
○松下副大臣 高橋委員にお答え申し上げます。
今委員からお話がありましたように、前回は査定庁と酷評されました。今度は真骨庁と褒められました。三回目は絶好庁だ、こう言われて、どうしようかと思っているんですけれども、私たちは、ごく自然に、提案された内容を検討してまいりました。
第一回目のときは、やはり熟度がかなり低かったし、準備不足もありまして、大きな構えで提案されたんですけれども、まだ、用地の問題とかあるいは住民の合意とかいろいろなところでの熟度が低いということで、それをしっかり見きわめるための調査費あるいは設計費というものにとどめて、例えば三百億円の要求が二千万円になったとか、そういうことがございました。しかし、ぴしっと我々は中身を検討してまいったわけでございます。
今回は、都道府県の方もそれから地方の自治体の方も十分準備をしてこられまして、しっかりと中身の熟度を上げて要求してみえました。そして、非常に熟度の高いものは全体計画を前倒しで認めるというようなこともいたしまして、かなり、今年度の予算とそれから来年度の予算、そういう前倒しで、実現可能な範囲をしっかりと見きわめて配分したということがございました。
同時にまた、市町村の方でも、さらにいろいろな事業をもっと効果的に進めたい、面的に広げていきたいんだけれども、どういうことにこの予算を効果的に配分したらいいかというのがなかなか見きわめ切れなくて困っておられましたので、私たちは、こういう範囲の事業、例えば防災無線あるいは防災を完遂させるためのいろいろなハードウエア、倉庫、それから地域の経営で困っている人たち、企業者に対するいろいろな支援方法、そういうものをリストアップしまして、こういうものも効果促進事業として一緒に要求していただければできますよと。
そういうことを予定しまして、都道府県の方あるいは市町村の方に使い勝手のいい形の効果促進事業というのも配分いたしまして、地方の方もそれで非常に元気づけられて、内容も充実させて要求され、我々もそれをしっかりと見届けたということでございまして、いい結果になったと思っています。
○高橋(千)委員 副大臣、絶好庁はちょっとやはり言い過ぎではないか、悪乗りすると後が大変かなと思っております。
やはり、熟度が上がってきたからといって、申請額を上回る予算をつけたということは余り聞いたことがない話でありますので、それが本当に効果的に使われているのかということを逆に今度しっかり見ていかなければならないなと。喜ばしいことではあるかもしれないけれども、先ほど来ずっと、税の使い方ということが言われている折でありますので、そこは厳しく見ていきたいなと思っております。
もう一つ言われたことは、使い勝手をよくしたいというお話でありました。効果促進事業というものがまだまだイメージがつかめていないということもあって、国が指導力を発揮したいという思いがあったのかと思います。これ自体は非常に大事で、逆に私は、よく使えるようにしていくべきだと思うんです。
先ほど紹介した河北新報の別な紙面で、五億円以上のソフト向け事業費が配分されたという南三陸町の担当課が、交付金の自由度が上がったことは歓迎したいとしつつ、国から事前の話はなかった、何に使っていいのかと困惑の表情を見せたとあります。
これほど厳しいお金の話をしているときになぜかなと思うのでありますけれども、そこまで自治体に自由度を持たせたいというのであれば、やはり自治体が望んでいたもの、今回対象外となったものもあるんですね。
例えば、宅地被害の対象外に対して仙台市として独自に支援をしたいという問題。あるいは、移転ではなくて原状復旧とされてしまった、これは仙台市の若林区三本塚などがそうなんですけれども、だけれども移転をしたいという住民がいらっしゃるんです。そういう人たちが、土地を買い取る制度は対象になりませんよ、移転まではやってもいいんだけれども自分でやりなさいよと言われる。だったら、そこをもう一押しやってくれたっていいじゃないかと仙台市が求めている問題。そういう、自治体が必要だといって効果促進事業だとしたいというときに、もう一押し認めてくださったっていいんじゃないでしょうか。
○松下副大臣 お答えいたします。
議員になる前、旧建設省で砂防部長をしておりまして、まさにこの災害対策の、地すべり、崖崩れ、土石流、こういった土砂災害への中心的な役割を果たしてまいりました。
ずっと私たちも気にしていましたのは、今も御質問のありました個人の住宅あるいは個人の土地そのもの、そこが崖崩れ等あるいは地すべり等で崩れて、個人の土地そのものが傷んだという場合がございました。これはなかなか、公共の税金を使って個人の資産そのものを増強していくということは、やはり事業の性質に照らして適当でないということで、採択をずっと見送ってまいりました。
それにつながるところで、公共のいろいろな災害時の避難路があるとか、あるいは公共のいろいろな施設が関連しているということであれば我々も含めて対応してまいったんですけれども、純粋に個人のものそのもの、あるいは法人のものそのものということになりますと、これは税金を使って国や県が支援していくというのは問題があるということとしていたわけでございまして、そういうことでありまして、対応はなかなか難しいというふうに判断しております。
○高橋(千)委員 やはり副大臣自身のお答えが、御自身が実は課題には気がついていたという意味ではないのかなと思うんです。
いろいろあっても、最後に個人の財産には支援をしないんだという大原則が出てきまして、この復興交付金も、使い勝手がいいんだ、自由度を高めるんだと言いながら、やはりそこはだめなんだよという大原則は生きているんだということを、改めてここを乗り越えなければならない。全く一人で、誰ともかかわりなく家が建っているということはないですので、やはりそこを認めていかなければならないということを言いたいんですね。
実は、この記事を見て、一次、二次の配分を合わせると、東北四県の合計額が約五千億円になるわけですよね。この記事を見た仙台市のある若い女性が、いや、復興というのはすごいお金がかかるんだねと私に言ったんです。五千億というのはまだほんの一部で、本当は復興財源は十九兆円なわけですけれども、でも、一般市民から見たら五千億というのは大変大きなお金なわけです。
それで、彼女が言うには、それなら私たちも国を応援しなくちゃいけない、そうおっしゃいました。それで、宝くじが当たったら半分国に上げたいと大変奇特な意見を言うわけですね。いやいや、心配しなくても大丈夫だ、財源は復興債だから、皆さんの所得税の増税という形でみんなが負担することになっているのよ、ただ、まだ始まっていないから知らないだけよと言ったら、何だ、そうなのか、だったらいっぱい稼いでいっぱい納めたい、そう言ってくれたんです。被災地の女性です。
ですから、復興のために何かしたいという気持ちは誰しもが持っているんですね。彼女が言うように、働いて稼げばおのずと税金もいっぱい納められる、これが健全な姿ではないかと思います。
しかし、東北三県だけでも消費税の税収は五千六百三十七億円です。増税が、倍になれば、この復興交付金の配分枠二回分を優に超えてしまう、そのくらいの影響があるわけですね。
一方では、被災地では、所持金がもうない、九月で医療費の免除が切れたらどうすればいいかという声が上がっています。復興交付金は主に公共事業であって、さっき言ったように、被災者個人の救済には使えません。ですから、被災地にはほかの施策で応援しているからいいと言うけれども、そうではないんです。個人には使えないんです。だったら、復興を目指す被災地にやはり増税はあり得ない、そう思いますが、厚労大臣と財務大臣にそれぞれ伺いたいと思います。
○小宮山国務大臣 この大震災からの復興は野田内閣の最重要課題でございますので、厚生労働省としても、被災者に対して必要な医療を確保する観点から、医療保険の一部負担金免除に対する財政支援など、必要な支援をこれまでも行ってきています。
一方で、今回の一体改革は、全世代対応型の社会保障に改革をするということ、ツケ回しをやめて持続可能な社会保障制度を構築するということ、これは全国民共通のものでございますので、被災地の方々にも、丁寧に御説明をして、理解をしていただきたいというふうに考えています。
○安住国務大臣 私は、地元に戻ったら、高橋さん、先生と同じことを実は言っているんです。
復興のお金は十九兆近くかかるけれども、主な財源は、二十五年にわたって所得税を納めてくれる国民の皆さんからお預かりして皆さんのところに届いていると。だから私は、被災地の自分の地元に帰っても、被災地へ行くたびに、これを絶対無駄に使っちゃいけませんし、ルールにのっとってちゃんとやってもらわなかったら、率直に言って、それは財務大臣というよりも地元の議員としても、これは黙っていませんからねと、逆にあえて厳しいことを申し上げております。
と同時に、確かに高橋さんのおっしゃるように、生活に大変だという方はおられます。しかし、一方で、私は、財務大臣としての責任でも、被災地であろうと東京であろうと同じことを申し上げております。
やはり社会保障のお金はどうやったって足らないんだから、これはしかし、財務省が預かって好きに使うのではなくて、お預かりしたものは全部、年金、医療、介護、子育てに回りますと。ですから、そこのところをわかっていただければ……(発言する者あり)いや、しかし、私の集会とかに来る人は、よくわかった、安住の言うことはよくわかったと言ってくれています。
○高橋(千)委員 私の集会に来る人はということをおっしゃったので、予定外ですが、安住大臣がいらっしゃった秋田の安心集会、全部ネットで見ました。財務省の言い分をなぜ参加者がみんな言ってくれているのかなと大変不思議に思いましたということを、一言感想を言いたいと思いますね。(安住国務大臣「委員長」と呼ぶ)
○古本委員長代理 大臣、いいですか。
○高橋(千)委員 いやいやいや、一言感想を言っただけですから、必要ありません。
それで、例えば一番最後の、五月二十六日に開催された一関市の対話集会、これは五十嵐副大臣が参加をされています。これでも、仮設に住む人が一〇%になって払えるかとか、被災地からも、増税はやめてほしいという声がありました。やはり答えは、ほかの施策があるからということしかないわけなんですね。やはりこれは、私はあれこれではなく、増税しないことが一番の応援だと思います。
安住さんが言ったのは、被災地であろうと東京であろうとというふうにおっしゃいました。私は、今言っているのは、被災地を応援するためにも全体が今増税しないことがいいんだということを言っているんです。
宮城県の求人が一・〇四倍に増加した、復興特需だということがけさも言われていますよね。建設業の求人が急速にふえたと。だけれども、そこで地元の業者がまた悲鳴を上げているというのも事実なわけですよ。地元の業者がそこで頑張れなかったら、雇用にも向かないし、地域の経済に還元しないじゃないですか。
だから、やはりそこは内需をふやす方向に、消費を促す方向にしなくちゃいけないんだということ、ですから、ルールと一緒に、今増税をしないで、本当に地元の業者に回るような方向にしなくちゃいけないんだということを言っておきたいと思います。
あと年金の議論に行きたいと思いますので、ここは要望に……
○古本委員長代理 大臣、よろしいですか。
○高橋(千)委員 はい、どうぞ。
○安住国務大臣 高橋さんも大館の御出身だし、私も、家内も秋田でございますから。
復興の需要は、雇用を今大変創出していると思います。秋田でも大工さんがとても足りなくて、そういう意味では困ったことも起きていまして、人件費が高騰したり、そういう意味でのハレーションといいますか、大きな意味での供給不足をどう補うかというのは一つ課題としてあると思います。
それで、さっき松下副大臣がお話しさせていただいた話なんですけれども、実は、ちょっと補足をすると、確かに、消費税をほかの税でとか、いろいろなサポートで賄っているからいいじゃないかという議論はおかしいという高橋さんの議論なんですけれども、例えば住宅を買うにしても、消費税に対するいわば負荷をできるだけ抑えようということで、被災地は特にいろいろな意味でサポートをしております。だから、そういう点からいうと、細かなことはもう申しませんが、比較的ほかの地域に比べれば手当てはさせてはいただいております。
ただ、だからといって、庶民生活の中にこれが本当にしわ寄せが全くないなんということは、私、申し上げません。ですから、年金、医療、介護という、皆さんのために使わせていただくということを透明性を持ってはっきりやらせていただくことで何とか御理解をいただきたいということで、お願いして歩いているということでございます。
○高橋(千)委員 消費税の問題、後でもう一回質疑をしますので。
住宅ローン減税がありますよとか、そういう答弁をされているのも聞いておりました。でも、やはり今、増税なんだということや、補助されているものは打ち切りなんだというメッセージが出てくる中で、被災地から悲鳴が上がっているんだということを正面から受けとめていただきたい、こう指摘をして、次に進みたいと思います。
特例水準の問題を質問したいと思います。
二〇〇〇年から三年間年金を据え置くという特例水準の解消が今回提案をされております。政府は、本来、物価が下がっているんだから、下げるところをしてこなかった、いわば年金のもらい過ぎなんだと表現をしています。では、特例水準というのは、いつ、どのような経緯で設けられたのでしょうか。
○小宮山国務大臣 現在の特例水準の年金は、平成十一年から十三年に物価が下がった際に、本来のルールであれば、平成十二年度から十四年度の年金額が三年間の累計で一・七%引き下げられるということになるところなんですが、当時、大変厳しい社会情勢であったということもありまして、年金受給者の生活の状況などに配慮をして、これは特例的に年金額を据え置く、そういう措置を講じたことから始まったものです。
○高橋(千)委員 今お話があったように、当時の厳しい経済情勢があった、それから、高齢者の、年金受給者の生活の状況に配慮したということがあったと思うんですね。私は、その出発点が変わっていないのではないか、その出発点はやはり忘れてはならないということが言いたいわけです。
資料の二枚目に、「特例水準とスライドの自動調整との関係」というグラフ、厚労省のグラフをつけました。
この下の方のかなり急降下しているグラフが本来水準、物価指数に忠実にやった場合はこんなに差があるんですというのが本来水準であります。上の太い方が特例水準ですね。二〇〇九年、平成二十一年に、一カ所だけ山があります、物価が少し上がりました。そのときに、特例で据え置いてきた分があるからということで、年金を上げることなく、その差が〇・八%まで縮小されたということです。しかし現在は、その後も下がったので、結果として二・五%開きが残っているということです。
それで、このグラフの下のところに、「平成十六年改正」というのが書いてあります。この意味について確認をします。
このときには、年金額と特例水準について法定化がされておりますけれども、この中身について、これは現役世代との公平感ということも当時言われていた。それから、据置措置はやめた。しかし、据え置いた分、一・七%の解消までは、高齢者に配慮して踏み込まなかったと思います。これでよろしいですか。
○古本委員長代理 高橋さん、復興副大臣、よろしいですか。(高橋(千)委員「済みません、よろしいです」と呼ぶ)では、復興副大臣、結構です。
○小宮山国務大臣 平成十六年の年金制度改正では、賃金、物価が上昇する局面で、法律上本来想定している年金額、本来水準は一定の調整を行いながら引き上げる一方、特例水準の年金額は、賃金、物価が上昇しても据え置くということにしました。
このルールによりまして、賃金、物価の上昇に伴い、本来水準がいずれ特例水準の年金額を上回ることになるので、それ以降は本来水準の年金額に切りかえるという方法でこの特例水準を解消するということにしたものなんですね。
これは賃金、物価が上昇することを想定していましたので、ところが、平成十六年改正以降、賃金、物価の下落傾向が続いている。そのことによりまして、本来水準と特例水準との差が縮まらずに、特例水準の解消に至っていないというのが現状ということです。
○高橋(千)委員 今の説明は、特例水準の一・七%、物価がいずれ上がっていけば解消されると思っていたけれども、思いどおりにはならなかったという説明だったと思います。
確認をしたかったのは、そのことがまず一つと、もう一つ、趣旨説明の中で、当時は坂口厚労大臣でしたけれども、現役世代に考慮をしつつ、かつ高齢者に配慮しつつという両方の側面があった、この点、よろしいですね。
○小宮山国務大臣 そのとおりです。
○高橋(千)委員 ですから、言いたかったのは、最初の特例をつくったとき、それから法定をした二〇〇四年のときも、当然、現役世代との公平感と言いながらも、同時に高齢者にも配慮をするということで、一遍にたまった分を下げるということはしなかったということをまず確認したかったわけです。
先ほどお話があったように、とはいえ、物価が上がらなかったということなんですね。それで、ずっと見ていきますと、十年以上かけて、その差が当然二・五%までなってしまった。そうすると、十年以上かけて二・五%の差が開いたものをいきなり三年間で解消というのは余りに急激ではありませんか。なぜ三年間ですか。
○小宮山国務大臣 先ほど申し上げたように、物価が上昇しないという状況の中で、平成十六年以降、年金の特例水準が全く解消されない。本来の給付水準に比べて、毎年およそ一兆円の給付増となっているんですね。これは、年金財政の安定、それから世代間の公平、こうしたことを図るために、二月十日に提出した法案では、早急に特例水準、計画的に解消を行う必要があるということを述べています。
ただ、三年で無理だと言われますけれども、これは一気にやるのは無理ですから三年に分けようということなので、この特例水準の解消というのは、やはり年金財政を安定させるためにも、この分がずっと後世にツケ回しをされていったら世代間の公平にもならないわけですので、これを解消しないと、百年安心といって設計されましたマクロ経済スライドも働かない、ストッパーになっているということもありまして、後世まで持続可能な、公平な年金制度ということでは、ここでやはり解消に踏み切らなければいけないということだと思っています。
○高橋(千)委員 一気にやるのは無理だから三年でとおっしゃいましたけれども、だから、十年以上かけてこういうふうになったものを何で三年でなんですかということを言っているんです。これは、もうたまっちゃったから、しかも物価が上がらなくて解消にならないから、もう一気にやってしまえ、力ずくでやってしまえと同じことじゃないですか。
○小宮山国務大臣 この政権では、後世へのツケ回しを、ここでとにかくそれを解消する一歩を踏み出そうというのが野田総理を初めとした強い決意なわけです。その中で、今まで解消してこなかったものにつきましても解消していくということを決めたということです。
○高橋(千)委員 そこまでおっしゃるのでしたら、この特例水準を解消しないでこれまで取らなかったお金が五兆一千億円もある、だからもらい過ぎだと皆さんはおっしゃっています。
だけれども、そもそも、高齢者はこれまで払ってきましたよ。そうでしょう。与党税制改正大綱、〇四年で、基礎年金の国庫負担二分の一を解消するためのお金だといって、年金課税の強化、そして定率減税の縮減、廃止がやられたではありませんか。公的年金等控除の見直しによる増収、老年者控除廃止による増収は合わせて二千四百億円ですよ。十年たつと二兆四千億円。高齢者はもうお返ししているんです。それプラス定率減税の縮減、廃止は二兆六千億円ですから、この十年間で二十兆円を超える増税を国民に課してきたんです。
だけれども、いまだに基礎年金の二分の一に充当しないばかりか、それにお金を払うと言っていたのに充当しないで、まだ借金をすると言っているんじゃありませんか。
○岡田国務大臣 結局、年金というものをどう考えるかということだと思います。やはり、年金に加入された方、もちろん世代を超えて加入するわけですが、持続可能な形で支払いを受けなければいけない。そのために、例えばマクロ経済スライドも入れた。これも厳しい制度ですけれども、人口構成が変わる中で、払った保険料と受け取る年金を比べれば、やはり若い世代ほど厳しいことは、これはもう明らかであります。
その若い世代にこれ以上負担を先送りしていいのかという問題で、ルールとして基本的に物価スライドということで来ているわけですから、本来のルールに戻すべきだと。せっかくいろいろ議論しながら入れたマクロ経済スライドも、今のままではこれすら実施できないということになると思います。
○高橋(千)委員 論理をすりかえないでいただきたいんです。
高齢者に対しては、もらい過ぎだと言って、返せと言っている。本来水準と違うから、年金をもっと下げろと言っている。だけれども、年金のために使うと言っていた増税分をそれに使ってこなかった、流用したということじゃないんですか、政府が。
○岡田国務大臣 例えば、基礎年金二分の一部分ということで税を入れることにしたわけですね。そのことについて、しかし、残念ながら財源がきちんとは確保できていなかった。したがって、毎年毎年苦労してそれを確保してきましたが、今回の消費税の中でそれを充当するということにしたわけです。
○高橋(千)委員 全く説明になっていないんですね。
二分の一分の財源を増税で確保しておきながら、それを使わなかったということを言っているんです。これはもう何度も我が党が佐々木憲昭議員を先頭にしてきた議論であって、それを今さらすりかえてはならないと重ねて指摘をしたいと思います。
資料の三枚目を見ていただきたいと思います。
総務省の家計調査に基づき、この十年間の高齢夫婦世帯の平均収支、これが写っているわけですけれども、これは、可処分所得で見たときに、つまり使えるお金で見たときに、十年間で大きく減っています。厚労省がモデル世帯としている無職の高齢夫婦世帯、夫六十五歳以上、妻六十歳以上の場合で月二万九千五百四十四円、年三十五万四千五百二十八円も減っているわけです。
まず、このことを、当然お認めになると思いますが、確認をしたいということ。それから、なぜこうなっていくのか。社会保険料の増額も書いておきました。やはり、年金はふえていないんだけれども出ていくものはふえている、こういう単純な計算になるかと思いますが、いかがですか。
○小宮山国務大臣 これは、高齢世帯でこのような状況であるというのは事実だと思います。
ただ、一方で、現役世代も可処分所得が下がっているんですね。そういう中から、やはり、これだけ超少子高齢社会の中で社会保障をしっかりと守っていくためには、これは税金か保険料か自己負担でやらなければいけないので、その中で世代間の公平ということも考えて今さまざまな措置を行っていますので、こうした趣旨を御理解いただくということが必要なんだというふうに思っています。
○高橋(千)委員 物価指数に合わせてスライドするんだと厚労省が説明しているから、それに対して指摘をしているわけです。現役世代も下がっているからとか、そういう問題ではないんですね。
消費者物価指数を押し下げている原因が何かということは、もう既に議論をしてきました。テレビが三〇・九%下がったりとか冷蔵庫二五・九%など、大型家電がその引き下げる原因になっているわけですよね。それプラス賃金が下がっているのは、当然、この間、労働者の非正規化などが進んで賃金が下がってきたということ、これはもう国の政策にも大きな要因があるわけです。だから、現実に可処分所得で見なければならないんじゃないかというんです。
何らかの指数が必要だというのであれば、単純な物価指数ではなくて、例えば、今回大幅に値上がりをする介護保険料など、実態を反映した指標とすべきではありませんか。
○小宮山国務大臣 この年金の物価スライド、これは総務省の作成する消費者物価指数をもとに行っています。これは、介護保険料などの社会保険料負担の増加分は反映されていません。
仮に、委員がおっしゃるように、介護保険料などの社会保険料の増加分を年金額に反映するということにしますと、高齢者の介護保険料の増加分だけ年金額を引き下げずに据え置くことになりまして、その分は現役世代の年金保険料で賄われるということになります。そうなりますと、現役世代は高齢者の介護保険料分も年金保険料を負担するということになって、これは世代間の公平性ということを著しく損なうことになって、適当な方法ではないというふうに思っています。
介護保険料については所得額に応じた軽減措置が講じられていますので、低所得の高齢者の方への対応は、まずはこういう形で対応すべきだというふうに考えています。
○高橋(千)委員 本来、介護保険料についても、我々は減免措置を、国の段階だけではなく、もっときめ細かくやるべきだということを言っています。少なくとも年金がふえないのであれば、もっと能力に応じて、負担するものが軽くなって、可処分所得が極端に減らないということが望ましい形ではないかと思うんですね。
少なくとも、先ほど来聞いていますと、ひたすら肩車論に乗っかった話ばかりをしているわけですけれども、皆さんが出してくる資料が、これは指数に基づいているとか、下がったからやるんだと言っているんですから、そこを一つ一つ見ていかなければ議論は始まらないんです。何もかも現役世代にツケ回しだという議論にしてしまったら、もう何も言うなということになってしまうし、どれだけ下げても仕方がないという議論になってしまうんです。それは幾ら何でも冷静な議論ではないわけですよね。そういうことをちゃんと踏まえて言わなければならないと思います。
それで、やはり暮らしが大変になっている、しかも新たな所得は見込めない高齢者にとって、もらい過ぎだと言われて、一気に引き下げるということはやはりあってはならない。これはもう重ねて指摘をしたいと思います。
同時に、本当は、ここまで下げてしまいますと、先ほど来言っている将来世代に対しても、かなりそこが低くなってしまうので、当然、仮に景気が緩やかに回復したとしても、大きな影響を与えることになりませんか。
○小宮山国務大臣 先ほどから委員がおっしゃっている、一気にと言われますけれども、三年間で下げていく中で、当然、この社会保障と税の一体改革とあわせて経済成長、デフレ脱却ということも政権は力を入れていきますので、そういう意味で、賃金とか物価とかが上がっていけば、この解消のパーセンテージというのは減っていくわけですから、そういう方向でも一生懸命努力をしたいというふうに思っています。
現在の年金財政の仕組みでこの特例水準が解消されないと、これは先ほど申し上げたように、マクロ経済スライドの発動がおくれて、その分だけ予定よりは高い給付が行われることになり、その分、将来世代の年金を切り下げるということにもつながりますので、やはり給付と負担の均衡を図るということで、この特例水準の解消ということは行っていかなければならない。そうでないと、毎年毎年一兆円の、それだけの負債が、ある意味、後世にツケ回されていくことになるというふうに考えています。
○高橋(千)委員 一つずつ話を整理して議論したいなと思います。
では、その三年間で下げるという話ですけれども、資料の四枚目を見ていただきたいなと思います。
これは、物価が全く上がりも下がりもしなかった場合、三年間で二・五%、〇・九、〇・八、〇・八という形で引き下げていくというものであります。それで、大臣がおっしゃるのは、一気ではないのだと。年金額の推移は、基礎年金の方で五百三十四円月額で減るし、厚生年金の方は千八百八十五円、これはあくまでも標準世帯でありますけれども、減るんだと。もちろん、これだけでも大きい気がしますが、この程度だよというふうに見えるんですね、若干。
ところが、このグラフの下に小さく、ほとんど読めないような字で書いておりますのは、平成二十四年四月には二十三年の物価下落に応じてマイナス〇・三%の物価スライドを行うということで、既に下がることははっきりしている。つまり、〇・九プラス〇・三で、一・二の減だと。だから、厚労省が書いている資料から、既にもう下がっているということが一つあると思います。
そこを指摘した上で伺いますが、特例水準が解消されれば自動抑制装置であるマクロ経済スライドが発動するのか、伺います。
○小宮山国務大臣 現在の仕組みのもとでは、特例水準が解消された後に物価や賃金が上昇して年金額が増額改定される場合には、マクロ経済スライドが発動して年金額の伸びが抑制されることになります。ただ、現在、このマクロ経済スライドが物価や賃金が上がっていくことを想定しているので、デフレ下でこれをどう働かせるかということは、今後検討していかなければいけない課題だと思っています。
○高橋(千)委員 現在のもとでは発動しないのだということをおっしゃった上で、デフレ下での発動を検討しているという答弁だったかなと思います。
先ほど来議論になっているように、人口が減少して担い手が減っていく、そういうことを考慮して、総枠の中で年金額を抑えていく、自動的に抑えていくのがマクロ経済スライドだったと思うんですが、物価が下がり続けているので一度も発動されなかった。それが問題だということで、デフレ下でも発動せよという議論がございます。昨日も公明党の議員さんが盛んに発言をしていたかなと思います。
そこで、法案をつくる年金部会あるいは集中検討会議などでも議論があったと思いますが、今回、デフレ下で発動ということを盛り込まなかった理由、それから、もともと、〇四年改正当時、マクロ経済スライドを設けた理由と、それでも一定、下限を設けた理由について御説明ください、簡潔に。
○小宮山国務大臣 社会保障審議会の年金部会では、社会保障・税一体改革成案に基づいて、デフレ経済下でもマクロ経済スライドを発動して年金財政の安定化を図ることについて検討をいたしました。その後、ことし二月の社会保障・税一体改革大綱では、まずは今回は特例水準を解消して、その状況に基づいて引き続き検討をするということにいたしました。
また、二〇〇四年にマクロ経済スライドを導入した際の考え方、これは、賃金や物価の上昇に応じた年金額の改定について、現役人口の減少ですとか平均余命の伸びを反映させることで、年金額の伸びを抑えて年金財政の安定を図るというものだったと承知をしています。
○高橋(千)委員 今のは、まずは今回はという答弁でしたので、いろいろな意見があったなと思うんですが、今のお答えぶりは、今回は見送ったけれども発動する方向だというふうに聞こえるなと思っておりました。
まず確認をしますが、一般的にマクロ経済スライド〇・九%という数字を使っていましたけれども、発動しないうちに状況が大きく変わりまして、二〇一五年になると率がどのくらいになるのか、それを当てはめると負担はどんなふうになるのか、伺います。
○小宮山国務大臣 御指摘の〇・九%、これは、平成十六年の改正当時、当面およそ二十年間のマクロ経済スライドの調整率、これの平均として示されたものです。実際にマクロ経済スライドを行う場合のスライド調整率、これは公的年金被保険者の数の過去三年平均の減少率を用いるので、毎年度異なります。平成二十七年、二〇一五年度のスライド調整率は、数値が確定するのは平成二十六年度なんですが、平成二十一年財政検証の見込みでは一・二%です。
また、本来水準と特例水準の差である二・五%を三年かけて解消する場合、基礎年金と厚生年金を合わせた給付費への影響額は、平成二十四年十月の〇・九%分としておよそ〇・四兆円、平成二十五年四月の〇・八%分としておよそ〇・四兆円、また平成二十六年四月の〇・八%分としておよそ〇・四兆円、合わせて一・二兆円程度と見込まれています。
○高橋(千)委員 まさしくそれだけのお金が、また年金が減るという形で、高齢者にとっては負担増だということだと思います。
お話にならなかったなと思うんですが、国会に諮らなくても自動的に年金額を引き下げることができる、これは本当に、きき過ぎては、どこまでも下がるということになっては大変だということでやはり歯どめがあったのではないかなと思うんです。そこも大事にしないと。そういう議論だって、当然年金部会の中であったわけですよね。それが何かもう既定路線のようになっちゃうのはどういうことなのかと思うんです。
それで、資料の五枚目につけておきましたけれども、集中検討会議でいろいろな議論が出たというのを厚労省がまとめたものですけれども、「報道機関からの提言と集中検討会議委員からの指摘」ということで、有識者となっていますが、朝日、日経、産経、それから日本テレビの解説委員などが名を連ねておりまして、いずれも同じことを言っているわけですね。
年金の将来を考えると、デフレに対応して水準を引き下げる必要がある。少子高齢化が進む中で、年金の持続性を高めるため、マクロ経済スライドを着実に実行し給付額を実質的に抑える。給付の名目下限を外し、デフレ下でも適用する。デフレ経済下では機能しないマクロ経済スライドの見直しが必要であり、新たな自動調整機能を導入する必要がある。
こうやって、ともかくデフレでは発動しないのが大問題だということで、引き下げよということが盛んに報道機関からも出されている、そういうことなんですね。私は、これは余りにも乱暴じゃないですかと。どこまでも下げてもいい、最低限の歯どめだったものさえも取っ払ってしまう、そういう議論に小宮山大臣は賛成なんですか。
○小宮山国務大臣 社会保障集中検討会議では、マスコミ各社ですとか有識者から、今御紹介いただきましたように、また、社会保障審議会の年金部会でも、年金財政の安定化のために、デフレ経済下でもマクロ経済スライドを適用できるようにすべきだという御意見を多くいただいています。
ただ、一方、委員もおっしゃるように、こうした報道を受けて、受給者などからは、慎重に検討してほしい、そういう御意見もいただいています。
年金制度を所管する立場の私といたしましては、年金財政の安定化を図るということ、これは非常に重要なことだと当然ながら考えています。この特例水準の解消の状況も見ながら、社会保障審議会年金部会等の場で、引き続き皆さんの声を伺って検討していきたいというふうに考えています。
○高橋(千)委員 ようやく慎重意見もあったということを今御紹介いただいたかと思うんですが、最初に、私、なぜ三年間ですかということを聞きました。これは、今までのお答えを総合しますと、三年間の間で検討して、特例水準の解消が終わったらデフレ下でもマクロ経済スライドを発動できる、こういうシナリオでしょうか。
○小宮山国務大臣 いや、必ずしもそういうことを申し上げているわけではなくて、一度にそれを下げてしまうと、当然のことながら、高齢者の皆様の生活に一挙に負担がかかりますので、ただ、これをずっと送っていくと、どんどんそのツケ回しがふえていってしまうということから、非常に現実的な線として三年間でということを考えたので、それは、デフレ経済下でも働くようなマクロ経済スライドをどう設計するかという、その年限とは関係がございません。
○高橋(千)委員 そういう狙いが隠されているということを指摘したいと思います。やってはならないということも指摘をしたいと思います。
それで、少し資料を戻りまして、四枚目。
先ほどの特例水準の解消について、この下の方にある資料は大変似ている形をしておりますけれども、「これまで年金と連動して同じスライド措置が採られてきた手当について」と書いてあります。これは、例えば児童扶養手当とか特別児童扶養手当なども連動して解消ということで、一・七%、三年間で引き下げるといいます。
それで、いわゆる負担と給付の関係ではないこれらの手当も同じように引き下げるというのは、やはりやるべきではないと思います。しかも、まさに現役世代、将来世代にもかかわる、貧困の連鎖を防ぐ上でも大事な手当でもあるわけです。連動しないで、減らさない、あるいは拡充できるケースも考えるべきではありませんか。
○小宮山国務大臣 児童扶養手当などにつきましては、これまでも、年金と連動して同様のスライド措置をとってきました。例えば、離婚等の場合に支給される児童扶養手当、これは死別の場合に支給される遺族年金を補完する形で、両者で一体となって一人親家庭に対する所得保障を行っています。こういう関係にある両者の間で特例水準の解消を異なる取り扱いにするということは、なかなかそれは難しいことだというふうに考えます。
○高橋(千)委員 何種類も手当はあるのに、そこだけ例えばで言うのも大変おかしいと思いますよ。しかも、小宮山大臣よく御存じのように、児童扶養手当を受給されているケース、やはり死別ではなく生別の方が多いですよね、離婚がふえていますので。それは、ちょっとそれだけでは理由にならないだろうと思います。
それで、私、ちょっと今の話に偶然にも関係するんですけれども、手当つながりで一つ、ぜひ小宮山大臣に決断していただきたいなと思うことを言います。
今回の法案で、遺族年金を男性も受給できるようになりました。これは、女性しか受給できないということ自体が差別であり、何で今ごろまで放置されてきたのかなと思います。ですから、これは当然歓迎ですし、まだ残されたこういう男女差という問題が年金制度などにさまざまございますので、ぜひ解消に取り組んでいただきたいと思います。
それで、遺族年金は八万四千円、これに該当する方はまだいいんですけれども、そうじゃない場合もあります。例えば、私が長妻厚労大臣のときに厚生労働委員会で取り上げたケースは、離婚後に父親が亡くなったケースでした。それで、まだ大変若いので、遺族厚生年金、二階建てのところだけしかもらえない。八千円なんですね。ところが、年金優先の原則があるために、四万二千円の児童扶養手当がもらえない。これはどう考えてもおかしい。しかも、そのことを知らなかったために、悪意じゃないですよ、親切に教えていただいて児童扶養手当を受けた。そうしたら、後で、だめでしょう、年金があるんだから返しなさいと言われたんですよ。
八千円もらうために四万二千円もらえない、これはどう考えてもおかしい。生活費を補填できるだけの年金ならまだしも、こういうことはもうやめて、併給可能にすべきではありませんか。
○小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったように、現在は、年金を受給できる人に対しましては、児童扶養手当の併給を制限しています。このような取り扱いについては、今御紹介いただいたように、少額の年金しか支給されない場合も児童扶養手当の全額が支給されない、こういう仕組みは改善してほしいという声が寄せられていまして、これは私もそのとおりだというふうに思います。
このため、今後、具体的な支給方法ですとか必要な財源措置、こうしたことにも留意をしながら、平成二十二年の児童扶養手当法改正法の附則の検討規定、これに沿って検討していきたいというふうに思っています。
○高橋(千)委員 長妻大臣のときにも検討するとは答弁をされていますので、一つくらいはいいことがあったと、一つではないですが、少しはいいところがあったと喜んでいただけるように、ぜひお願いをしたいと思います。
それで、せっかく時間をもらったのでいっぱい問いを用意したら、さすがにちょっと時間が足りなくなるかなということで、少し質問を整理して聞きたいと思うんです。
今回、基礎年金の国庫負担二分の一について、法案が二つに分かれました。要するに、年金交付国債でやりますという法案と、その財源を特定するのは最低保障機能強化法案に入って、二つの法案になっているわけですね。それはなぜかというのが不思議に思うんですが。
この特定年度、つまり、消費税で基礎年金の二分の一を手当てしますと決めるのは二〇一四年度であります。それで、二〇一二年度は年金交付国債。そうすると、一年あくんですね。それは検討するとしか書いておりません。そうすると、もう一回年金交付国債を発行するのでしょうか。
○小宮山国務大臣 昨年、財務省といろいろな財源のことも含めて検討した結果、総合的な判断の中で年金交付国債ということにいたしました。
ただ、二十五年度をどうするかということは決めていませんので、これは今後改めて検討をするということで、現在決定しているものではございません。
○高橋(千)委員 ですから、まだこういう部分が残されているんですね。年金交付国債をさらにとなれば、結局、償還額が倍に、年間三千億ですかね、そういうことになってしまう。そういうことも、もうあらかじめ、しようがないというのならそのままずばりお出しになればいいのに、そういう議論をきちんとしないで、まだ検討するということを言っているということは問題だと指摘をしたいと思います。
それで、二十二日の本委員会で我が党の佐々木憲昭議員が、社会保障に全額消費税を充てると安住大臣はよくおっしゃるけれども、そうはいっても、社会保障の新しく使う部分は一%部分だけだと。ですから、残りのコスト増ですとか自然増などを除く七兆円、これは置きかえにすぎないということが明らかになったかと思います。
その置きかえということでは、実質赤字返済分ということで理解してよろしいでしょうか。
○安住国務大臣 佐々木先生には、もう財金でも毎日この問題をやられていまして……(発言する者あり)ああ、そうですね。会うたびに言われていますけれども、つまり、何度も申し上げますが、十三・五兆ですね。そのうち二・七兆は充実でございますが、残りの十・八のうち二・九が、今御指摘あったいわゆる交付国債ですね。それから、〇・八が、消費税を引き上げたときの社会保障の公共的な部分で引き上げたりするものの経費でございますから、それを引くと七兆ということになるということでございます。
○高橋(千)委員 結局、七兆円がその赤字返済だという考え方だと思うんですけれども、そこでちょっと考えてみたいのは、小宮山大臣が四月十七日の厚生労働委員会で、二〇一一年度の財源構成において社会保障四経費と消費税の差額が十九兆円だということを説明されて、その相当部分が後世への負担としてツケ回しという表現をされました。さらに、毎年一兆円規模の高齢化等に伴う自然増が加わってツケ回しが拡大していると御発言。きょうも同様の趣旨の発言をされていると思うんですけれども、社会保障のために借金がふえてきたんだ、だから消費税だという議論が盛んにされている。みんなツケ回しという表現に変えられるということは非常に耐えがたいものがあるなと思うんです。
それで、予算総則上は、消費税の収入は三経費に充てるとこれまでも言ってまいりましたよね。それを図にしたのが資料の六であります。最後の紙であります。
高齢者の三経費、今までは三経費と言っていました。医療、介護、年金。その経費と消費税収の差額というのがありまして、何と一一年度からは、社会保障四経費ということで子供が加わったので、差額がぐっと広がったんですね、十九兆三千億円。それで、一二年度は差額がさらに広がりまして、二十一兆を超えているというふうに、図にするとこうなるわけです。
そこで伺いますが、差額を強調するということは、その分を消費税で丸々見るというお話でしょうか。あるいは、一体、この差のうちどれだけ消費税をふやすつもりなのですか。財務大臣と小宮山大臣にそれぞれ伺います。
○小宮山国務大臣 今お示しいただいたのは、消費税率を五%引き上げたときには、現在の枠組みでの社会保障四経費が三十四・八兆円程度と見込まれる、その一方で、消費税収は現在の四%分が十・八兆円程度となるため、差額が二十四兆円程度になるということです。
今回の一体改革では、消費税増税分のうち、後世への負担のツケ回しの軽減の七兆円程度によりまして社会保障費、既存のものを賄うことにしていますので、その結果、その二十四兆から七兆を引くと、十七兆円程度差額が残ることになります。
これをどういう形で手当てするかということについては、先ほど岡田副総理もお答えいただいたように、必ずしも消費税でやるということだけではありませんので、ここの差額をどう埋めていくかということにつきましては、また検討していかなければいけないというふうに考えます。
○安住国務大臣 副総理と厚労大臣と同じでございまして、機械的にこれを当てはめて何%という議論ではなくて、社会保障の足らない財源確保のために、いろいろな、成長をして税収をふやしたり、また効率化も図っていく、さまざまな努力をしていきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 必ずしもそうではない、あるいは、さまざまな努力を図っていきたいということをおっしゃいました。では、今の提案は、それ以上ふやさないということでよろしいですか。
○安住国務大臣 ふやすとも減らすとも申し上げておりません。さまざまな努力をするということでございます。
○高橋(千)委員 最後、要望にします。
やはり、あえて私、こういう表をつくったのは、皆さんがおっしゃっていることを表にしたんです。残りがツケ回しだという言い方をすると、いかにもこれは、社会保障をふやした人は誰かみたいに、高齢者に何か重い責務を負わせるような、そういうことが言われるから、感じられるから言っているのであります。
社会保障が目的税だということで言えば、それで国民は納得するわけではないんですよ。目的税だと言ってしまえば、社会保障がふえれば増税しなければならないという構図になるではありませんか。逆に、増税が嫌だというのであれば社会保障を削れ、そういうことになってしまうんです。
今回、一体改革の特別委員会にはまだ出されていない医療や介護の法案は、まさにそういう抑制方向の法案が準備されているんですよね。そういうことになっていくんじゃないかということを指摘しなければならないと思います。
そもそも、社会保障はツケ回しではなくて、税金の主たる役割ではないかと思うんです。国税庁が説明している小学校や中学校の社会科の教本などを見ても、税金の役割というのは、格差を是正するんだ、公共サービスやインフラの整備とあわせて、再分配をして、それで格差を是正する役割を持っていると説明をされています。所得のない人にも税金をかけていく消費税が税収の主役になれば、格差を縮めるどころか、逆に拡大をしてしまう、再分配ではなくなってしまう、だから反対なんだということを指摘して、終わりたいと思います。