肝炎救済 延長が必要/医療費助成も 高橋氏が強調
日本共産党の高橋千鶴子議員は17日の衆院厚生労働委員会で、薬害肝炎のすべての被害者救済に厚労省が取り組むよう求めました。
高橋氏の質問に厚労省は、1万人ともいわれるC型肝炎ウイルス感染者のうち、国と和解した被害者は3月末時点でカルテなどが存在するケースで2511人、母子手帳や証言などいわゆるカルテのないケースで558人だと答弁。先行訴訟で和解した208人と合わせて2277人になったことを明らかにしました。
高橋氏は、来年1月に期限を迎える被害者救済法を延長すべきだと主張。塩崎恭久厚労相が議員立法で必要な手だてが打たれることを注視したいと述べたため、高橋氏は国が責任を果たすべきだと強調しました。
高橋氏は、重症化した肝がん、肝硬変の患者の医療費助成を要求。塩崎氏は衆参で請願が採択されたことを重く受け止め、厚労省の実態調査も参考に、できる限り期待に応えなければならないと答えました。
高橋氏は、救済法の期限延長の機会に薬害が二度と起こらないよう医薬品行政を監視する第三者機関の設置が必要だと強調。塩崎氏は真摯(しんし)に対応を検討したいと述べました。
(しんぶん赤旗2017年5月19日付より)
医療と一体に規制必要/遺伝子検査ビジネスに懸念
日本共産党の高橋千鶴子議員は17日の衆院厚生労働委員会で、医療法等改定案にかかわり、遺伝子検査ビジネスも医療と一体で規制を設けるべきだと求めました。
改定案は、遺伝子検査の品質確保の基準を新たに法律に位置づけるもの。一方、インターネットで気軽に申し込める遺伝子検査ビジネスの規制は、経済産業省のガイドラインや業界団体の個人遺伝情報取扱協議会の自主規制に任されたままです。34社が加盟する協議会が認めた認定業者は10社のみで、経産省は全ての業者を把握していないことを明らかにしました。
高橋氏は、全国の消費生活センターに14年間で365件の相談がきており、遺伝子キットが無断で送られてくるなど個人情報が業者間で共有されている疑いがあると指摘。診断のための機器や検査キットが医療の規制対象にならないのかとただしたのに対し、厚労省は規制にかかる部分があると認めました。
高橋氏は、欧州連合が遺伝子差別禁止法で雇用の条件や生命保険加入に遺伝子情報を使ってはならないとしていることをあげ、日本でも同様の措置をとるよう要求。塩崎恭久厚労相は、関係省庁と連携し必要な施策を検討したいと答えました。
(しんぶん赤旗2017年5月22日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
先ほど大臣、井坂委員の答弁の中に、医療だと思ったらそうじゃなかったとか、紛らわしいのがあるとかいう答弁がありました。きょうはずっとその議論がされていたのかな、テーマは違うけれども、医療とは何ぞや、それと、薬事というのもあわせて何ぞやということが問われているのかなということを思って聞いておりました。きょうは、そのような趣旨の質問を二つのテーマでさせていただきたいと思います。
資料の一枚目に、五月十日付の毎日新聞、「発言」というところですけれども、薬害肝炎原告団の代表である山口美智子さんが「被害者救済に法改正急げ」というコメントを寄せていらっしゃいます。
改めて、二〇〇八年一月の薬害肝炎救済法、この成立に至るまでの国会内外の原告団と弁護団と支援者らの激しい頑張り、そして私たちも一緒に巻き込まれるように何度も何度も質問したわけですが、そのことを鮮明に思い出しております。二月二十八日にも、薬害C型肝炎は終わっていませんという大規模な院内集会が開かれました。
この記事の下から二段目を見ていただきたいと思うんですが、原因とされたフィブリノゲンを投与された患者数は、企業推計で三十万人とされている、そのうちC型肝炎に感染させられた人は、八〇年以降だけで約一万人とされるけれども、救済された方は昨年五月末で二千二百四十三人にとどまっている、ですから、まだ気づいていない方がいるはずだ、そのために救済法の期限を延長するべきだとしております。来年一月に期限が来てしまうわけです。
薬害肝炎救済法の延長をするべきだと考えますが、大臣、お願いいたします。
○塩崎国務大臣 C型肝炎救済特別措置法、これは、感染被害者の製剤投与の時期を問わない、早期、一律救済の要請に応えるために、平成二十年に議員立法でできたものでございます。平成二十四年の九月には議員立法によって請求期限が五年間延長されました。現在、給付金を請求するための提訴期限は平成三十年一月十五日となっております。
厚生労働省としては、まずは、現行の法律のもとで給付金支給の対象者の方々が期限までに請求できるようにすることが重要であると考えているわけですが、本年三月には新聞各紙へ突き出し広告を掲載するなど、集中的に周知活動を行ってきておりまして、引き続いて制度の周知を国民に向けて図っていかなければならないというふうに考えております。
なお、これまで、この法律の制定、改正は議員立法によって行われてきておりますので、厚生労働省としては、立法府での御議論の行方を注視しつつ、必要な対応をとってまいりたいと考えているところでございます。
○高橋(千)委員 やはり議員立法という答弁をされたのがちょっと残念でありましたね。
当時、福田康夫首相が、議員立法で救済します、こう宣言をしたのがきっかけだったわけですよね。本来ならば、そのこと自体、問題なんですよ。今、法務大臣の不信任が出ておりますけれども、行政が立法府に介入するということで、問題だと言わなければならなかった。だけれども、あれは本当にぎりぎりの選択で、とにかく、議員立法という形ではあるけれども、政府も一体となって解決を見よう、そういう思いがあったと思うし、それだけのやはり、原告団の訴えが政府を動かしたんだと思うんです。
ですから、だからもう政府が出さなくていいんだということにはならないわけなんですよ。議員立法で出て、その後の見直しを閣法で出したものもありますし、その逆もあります。閣法で出て、議員立法で修正したものもございます。全く理由にはならないですので、国はその責任を果たすべきだということを重ねて言いたいと思うんですね。
それで、救済法は、救済を求める全てのC型肝炎患者が裁判所に提訴、和解というスキームをとりました。この九年間で実際に和解が成立した人がどのくらいか。また、その内訳として、カルテなどの直接の血液製剤投与を証明する書類がなかった人も多かったと思いますけれども、そうした方たちでも和解に至ったこともあるわけで、その内訳を教えてください。
○武田政府参考人 ただいま御指摘ございましたように、C型肝炎救済特別措置法に基づく給付を受けるための、製剤投与の事実等の事実関係の確認につきましては、カルテなど医療記録がない場合でありましても、医師の証言などさまざまな証拠を総合して、裁判所で判断が行われているものでございます。
本年三月末現在の数字でございますが、まず、C型肝炎訴訟におきまして、和解件数をこの三月末現在で集計いたしますと、全体で二千二百七十七件となってございます。
それから、特別措置法施行後の和解件数二千六十九件の内訳を整理いたしますと、母子手帳、医師による証言、患者本人や家族による記録など、カルテなどの医療記録にかわる証拠で和解に至ったケースにつきまして、本年三月末時点では五百五十八件、二七%を占めているというふうに承知をしております。
厚生労働省といたしましては、医療記録以外の証拠によっても裁判手続の中で製剤投与の事実が確認される可能性があることにつきまして、厚生労働省のホームページなどで周知を図っているところでございます。
引き続き、C型肝炎ウイルスの感染被害を受けられた方々が訴訟を提起できるように、こういった情報の周知などに今後とも努めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 記事でも指摘をされているように、また集会でも強く強調されたわけですけれども、企業は約一万人ほどの対象者がいるんだと言っていた。そこから見ると、まだ七千名ほどの対象者がいるのではないかということを言っているわけですよね。そういう点では、さっき、引き続いて周知をしていく、あるいは、可能な限りホームページで呼びかけていくと言ってはおりますけれども、やはりそれで間に合うとは到底思えないわけなんです。
ですから、国としてまず救済者をふやすためにやってきたことは何か。あるいは、これからやろうとすることは何か。お願いします。
○武田政府参考人 これまでの私どもの周知に関する取り組みでございますけれども、先ほど、ホームページにおきまして、事実認定の場合、カルテなど医療記録がなくても裁判所で判断が行われているという事例などにつきまして、QアンドAの形で紹介をさせていただいておりますけれども、やはり目につく形で周知を図るということで、さまざまな取り組みを行っております。
ことしに入りましても、ヤフーバナー広告でございますとか、厚生労働省ツイッター、フェイスブック、さらにBS日テレの「霞が関からお知らせします二〇一七」というテレビ番組、こういったことに加えまして、先ほど大臣からも申し上げましたが、新聞の一面を使いました突き出し広告、こういったところで周知を図っているところでございまして、都道府県その他自治体とも連携いたしまして、引き続き、周知を図ってまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 周知、今そうおっしゃいました。プラスして、さっき聞きたかったことは、二七%、カルテなどがなくても裁判の過程の中で和解に至った方がいらっしゃると報告がありました。その中で厚労省がやってきたことも報告をいただきたかったんです。
本当に一人一人がどんなに苦労をしたか。病院がもう廃業になっていて、お医者さんもいらっしゃらなくて、そういう中で、誰か血縁の方がいらっしゃらないかとか、そういう苦労をされたことがあったわけですけれども、厚労省としても、フィブリノゲンを納入した医療機関に対して書面による調査とか訪問調査を行ったということを承知しておりますけれども、いかがでしょうか。
○武田政府参考人 失礼いたしました。
厚生労働省におきましては、平成十九年度から、全てのフィブリノゲン納入先医療機関に対して書面によるアンケート調査を行っております。その中で、製剤投与の判明者数、投与事実のお知らせ状況の集計に加えまして、各医療機関ごとの診療録等の保管状況の公表を行うとともに、医療機関には、計画的な診療録の精査と、投与事実が判明した方への簡易ウイルス検査の受検勧奨を依頼して、製剤の投与を受けた方の確認の促進に継続的に取り組んできているところでございます。
また、全てのフィブリノゲン納入先医療機関といいますと六千九百九施設でございますが、特に、私どもとして、平成二十年度から二十四年度にかけましては、政府系の医療機関二百五十二施設に対しまして、直接私どもの職員が訪問をして診療録等の保管状況を確認するとともに、医療機関による診療録の確認作業を依頼してきたところでございます。
さらに、平成二十五年度以降につきましては、国立病院、政府系医療機関に加えた、投与の可能性が高い診療科などにつきましても、医療機関に情報提供を行い、二十六年度からは、新たに、公立病院、私立大学病院、それから民間医療機関につきましても訪問調査の対象に加えているところでございます。
私どもの職員が直接医療機関にお伺いをいたしまして、どういう方法であれば効率的にこういったことの確認ができるか、そういった知識経験を生かす形で、私どもとしても医療機関に対しての働きかけを行ってきたということでございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
これは、私、たまたまですけれども、二〇一五年の一月十六日、第二回肝炎診療連携拠点病院間連絡協議会の中で亀田課長補佐が掘り起こしについて報告されたものを見させていただきました。書面で、四千百十九、つまり七二・六%の医療機関が、投与が判明をして、八百一施設、一万四千百二十七名が新たに判明したと。これは非常に大きな数字だと思うんですね。
私がそのうち注目をしているのは、平成六年、一九九四年以前の診療記録が千百五の施設で保管をされていた。ですから、最初に調査をしたときは、投与判明者はなしと回答していた。ですから、個人で聞いた人は多分、あっさり門前払いされていると思うんですね。そういう施設のうち、初めてフィブリノゲン製剤を投与したということが判明したと回答したのが百五十施設、千九人もいたということなんですね。
ですから、国が関与して調査をすることによってそのような数字が出てきたということが非常に重要なことだし、それを患者の皆さんが強く望んでいたのではないか、こういうふうに思うわけなんです。
二〇一二年なんですけれども、カルテがないC型肝炎の患者の皆さんの医療と生活の実態を調査した、新潟医療福祉大学大学院、医療法人財団健和会臨床・社会薬学研究所の片平洌彦教授らの調査報告書があります。この中に、投薬証明となるカルテを得ようとしてどのような苦労をしたかという問いがあって、百二十七名の回答が寄せられております。
全部紹介したいくらいなんですけれども、本当に、そんな昔のカルテはありませんと言っておきながら、あなたの場合は使用していませんとなぜ言えるのかなと思ったんですが、そう言い放った病院が、その後廃業になり、火事でなくなってしまったという方がいました。これでは、もうそれ以上言いようがないということで、本当に気の毒なケースであります。
あるいは、病院が廃業していたのでもう先生が見つからない、それで、たまたま、その先生の親戚だという方、先生は外科で、見つかった親戚の方は内科ですけれども、その方が間に入って何度も何度も聞いてくださったという話ですとか、納入実績がないと最初に言われた、だけれども、新聞であなたの病院もリストに載っていますよと言ったら、ちょっと待ってということで、ようやく資料を見せてくれたと。この方は、直接病院に行くまで本当に怖かった、門前払いされるのではないかという不安を告げております。
それから、カルテもほかの記録も何にも残っていないと言う病院に対して、個人がつけていた書類や日記やメモ帳など、さまざま、ありったけのものを持ち込んで、事務局の方が預かってくれて、とうとう納得のいく答えをもらう、でも、それまで四年半かかっている、本当にその間何度も、悲しくて、病院へ連絡するのはやめようと思ったかわからない、そう訴えていらっしゃるんですね。
ですから、患者らが訴えているのは、もっとこういう病院や製薬会社が協力してくれれば、そこに国のプッシュがあればということなんです。それは、もう既に先ほど答弁の中でも証明されていると思うんですね。このことについて、いかがでしょうか。
○武田政府参考人 ただいま御紹介のありました例えばカルテ以外の記録につきましても、例えば、入院診療録でありますとか、手術記録、手術伝票、麻酔記録、こういったところに、フィブリノゲン製剤を使ったという記録が書かれている場合がございます。医療機関を私どもが訪問した際には、こういったところも含めて記録の掘り起こしということを医療機関に依頼しているところでございますし、お話の中にありましたが、例えば患者本人または家族がつけていた記録、それから家族の証言といったことでも裁判手続の中で確認をされた例がございます。こういった点も含めて、私どものホームページの中で、QアンドAの形でお示しをさせていただいておりますけれども、さらに一層、この点の周知については努めてまいりたいというふうに思います。
それから、先ほど御紹介をさせていただきましたとおり、国立を中心とした政府系医療機関、そして公立病院につきまして私どもの職員の訪問の個別調査ということを行ってまいりましたが、これからさらに、今後、個別調査の対象とならなかった納入本数が百本未満の医療機関に対しても、何らかの形で、訪問調査にかわる効率的な依頼方法を検討していかなければならないと思っておりまして、引き続き、医療機関によるこの製剤投与を受けた方の確認の促進に向け、私どもとしてもきめ細かく取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 ぜひお願いをしたいと思いますし、だからこそ救済法は延長しなければ、気がついたときには間に合っていないということにならないように、ぜひお願いしたいと思います。
次に、B型、C型ともに強く要望が出されているのが、重症化したがん、肝硬変などの患者に医療費助成が欲しいということであります。
資料の二枚目に、昨年度の医療費助成の実績をつけました。甲、乙というのは、自己負担額が一万円の人と二万円の人の差があるということでありますけれども、今話題のインターフェロンフリーが約九万件交付をされておりまして、C型肝炎が治っているということが実際にあるわけでありますよね。
そこで、上の方にあるんですけれども、総事業費が百四十八億、交付決定額は九十億。では、もし重症化した肝がん、肝硬変患者などに治療助成をする場合、どのくらいかかるんだろうか。お願いします。
○福島政府参考人 肝硬変や肝がんの患者の方への医療費助成につきましては、患者の皆様から強い御要望をいただいておりまして、また、昨年の国会におきましても衆参両院で請願が採択をされていることも踏まえまして、厚生労働省では、昨年六月に肝炎対策基本指針を改正いたしましたが、その改正指針に基づきまして、現在、肝硬変、肝がん患者の方に対するさらなる支援のあり方について検討を進めているところでございます。
昨年度、医療保険のレセプト情報のデータベース、NDBを活用いたしまして、肝硬変、肝がんの患者数、治療頻度、医療費などの実態を明らかにする調査を行っておりますが、ことしの五月末までに研究班から報告書が提出されることとなっております。
この調査結果を基礎データとして活用しながら、今後さらに検討を進めていくこととしておりますけれども、お尋ねの予算の規模などにつきましては、現時点では調査結果が出ていないということに加えまして、どういう支援の内容にするのか、対象者の範囲をどうするのかということでかなり変わってくることがございますので、検討の途上で今お示しすることは困難であるということでございます。
○高橋(千)委員 予定ではもうとっくに結果が出ているはずだったんですよ。五月末になったということで、非常に待ちわびているわけであります。
実は、大臣に聞いていただきたいんですけれども、先ほど紹介した調査のきっかけは、厚労省の調査が先行してあったわけなんですね。堀内班と呼ばれた研究班が、二〇〇九年十月五日までに和解が成立した千二百五名について実態調査を行って、医療、生活、そして精神健康上の問題、いじめや差別などの対人関係、そして治療にかかる金銭的負担など、本当に多大な身体的、精神的、経済的、社会的被害を受けてきた、これを明らかにしたんですね。ですから、これを受けて、和解に至らない人も受けた被害は同じはずだという視点で調査を行ったわけなんです。
ですから、考えてみると、政府は一定のそういう調査というのは持っているわけなんですね。そういう中で、今紹介してくれたように、両院で請願が採択をされて、今レセプトデータの検証をやっているということですから、期待は高まるわけでありますけれども、私は、この予算枠が極端にはみ出ることはないと思っているんですよ。調査研究の結果は何らかの支援策に結びつくと考えてよろしいのか、大臣、ぜひお願いいたします。
○塩崎国務大臣 先ほど健康局長の方からお答えを申し上げたところでありますけれども、昨年の国会で、衆参両院で請願が採択をされた。請願が採択されるというのはそれなりの重みのあることであるということは私もそのとおりだと思っていますので、昨年六月に改正をした肝炎対策基本指針に基づいて、肝硬変や肝がん患者の方に対するさらなる支援のあり方についての検討を進めなければならないということで、先ほど、調査結果が出ていない、こういうことでありましたが、やはりこれは、どういう支援ができるのか、対象者の範囲なども定めた上で、検討の途上でお示しするというのは今は難しいと申し上げておりますけれども、基本的には、支援をしていくというのは国会の請願にあるとおりであると思いますので、できる限り期待に応えなければいけないとは思っております。
○高橋(千)委員 ちょっとさっきの特定機能病院に比べると大分歯切れが悪いですが、前向きな答弁であったのかなと受けとめたいと思います。
もう一つ、薬害はもう二度とないようにということの思いはずっと言われてきているわけです。二〇一〇年四月二十八日の「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」に示された第三者組織、これはいろいろな経過があったのは我々も覚えています。でも、これは本当にやらなければと思っておりますけれども、大臣の決意をお願いします。
○塩崎国務大臣 今、最終提言ということで、これは二〇一〇年四月に示されたものでありますが、第三者組織をつくるべきということかと思います。
医薬品行政を監視、評価する組織としての提言があったというふうに理解をしておりますけれども、この設置につきましては、薬事法の改正を検討していた平成二十五年当時、議員連盟で与野党を超えて幅広く精力的に御検討をいただいたわけでございます。ただ、そのときには関係者の合意というのがまとまったということには至らなかったようでございまして、厚生労働省としては、多くの方の賛同を得ながら進めるために、議員連盟と原告団それから弁護団が意思疎通をされる中で、厚生労働省が入る形で、引き続き真摯に対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 薬害肝炎の問題から端を発し、かつ、これは全ての薬害被害者の願いであります。そしてまた、薬事法は名前も変わりましたけれども、これから起こることがないようにという思いがあるわけでありますから、第三者組織は必ずつくる必要があるということで重ねて訴えたいと思いますし、何かタイミングの問題などもあるということを聞きましたので、今回、薬害肝炎救済法の期限が来るということで、ちょうどいいタイミングではないかなと思っておりますので、ぜひそれに向けて頑張っていきたいと訴えておきたいと思います。
次に、きょうは、ゲノム検査について伺いたいと思います。
ネット通販などを通して、消費者がみずから採取した検体を送り、体質や疾病リスクを解析するDTC遺伝子検査ビジネスが普及しております。これがなぜ今回、法案の対象となっていないのか。昨年十月のゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォースの取りまとめでは、厚労省もかかわった上で、実効性のある取り組みを行うとなっているわけでありますけれども、大臣に伺いたいと思います。
○塩崎国務大臣 今回の医療法等の改正につきましては、ゲノム医療の実用化に向けて、特に重点的かつ早急に検討を要する課題でございます、医療分野における遺伝子関連検査等の品質、精度の確保のための制度改正を行っております。
一方で、今御指摘をいただきましたいわゆる消費者向けの遺伝子検査サービス、これにつきましては、関係府省と連携をいたしまして、厚生労働省が事務局を務めております有識者会議でございますゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース、この昨年十月の取りまとめにおきまして、医療や健康増進の観点から厚生労働省もかかわった上で、検査の質などについて一定の水準を確保するために実効性のある取り組みを行う必要があるというふうにされました。
これを受けて、厚生労働科学研究におきまして、消費者向け遺伝子検査ビジネスの検査手法や利用者への説明内容など、サービスの現状を把握するための実態調査を行っております。この実態調査の研究の成果を踏まえて、厚生労働省として、これらのサービスの質確保の方策について、必要な施策を検討してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 実態調査を今行っているというお話でしたけれども、やはり、さっきの大西委員の議論ではありませんけれども、普及している今の実態からいうと、今調査をしているというのはちょっと間に合わないタイミングではないかと思うんですね。でも、実際には調査はさまざまやってきているわけです。それを踏まえて、私は、本来は速やかに今の体系に入れるべきだったとまず指摘をしたいと思うんです。
それで、きょうは経産省に来ていただいているんですけれども、まず、遺伝子検査ビジネスにはどのくらいの業者が参入しているのか、また、自主規制や認定制度などさまざまつくっているかと思うんですが、それでどれだけカバーされているのかということをお願いします。
○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
消費者向け遺伝子検査サービスにつきまして、正確な事業者数、これは悉皆で把握をしておるわけではございませんけれども、医療機関以外でこういったサービスを展開しておる主な事業者、これにつきましての事実上の業界団体としまして、NPO法人個人遺伝情報取扱協議会、これは平成十八年、二〇〇六年に設立された協議会でございます。これに現在加盟しております企業は三十四社ということでございます。
委員がお配りになった、議場に配付されている資料にも関係の資料はございますけれども、過去五年を見ますと、二十二社、二十七社、二十五社、三十七社、三十四社と、大体、この五年間ぐらい、二十から三十の間を行ったり来たりしている、こういったような業者数になっているというふうに認識をしております。
その上で、この協議会でございますけれども、消費者向け遺伝子検査サービスを対象とした、私ども、先ほど御紹介いただきましたガイドライン、こういったものをつくっておりますけれども、これに準拠しまして、独自の事業者認定制度を設けております。二〇一六年の六月に最初の事業者の認定を実施しておりまして、これまでに十社が認定を受けているということでございます。
したがいまして、三十四社中、約三割の事業者がこの認定を受けている、こういうふうに承知をいたしております。
○高橋(千)委員 まず簡単に一言答えていただきたいんですが、個人遺伝情報取扱協議会、これは今、三十四社とおっしゃいました。だけれども、実際に、遺伝子ビジネス、いろいろなことはありますけれども、キットを売っているだけとか、送っているだけとかさまざまありますけれども、それを何かしらやっている業者というのはもっとたくさんありますよね。
○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
いろいろな事業者がいろいろな形で関与をしていると思います。そういう意味では、その全体像につきまして全てを把握しているわけではないというのは先ほど申し上げたとおりでございます。
ただ、もしかするとということでございます。平成二十四年に私ども調査をさせていただいたものがございます。これは七百事業者ぐらいがこの事業の対象になりましたが、この中には医療機関とかそういったものも実は含まれておりまして、先ほど申し上げましたような消費者向けの遺伝子検査サービスを直接やっておられる事業者の数は、その当時では十三社であった、こういうふうな状況でございます。
○高橋(千)委員 私は、七百機関とおっしゃった中身が非常に重要だと思っているんです。それはちょっと後の方でお話をするんですけれども。
資料の三枚目に、これは経産省がつくった、啓発といいましょうか、大変、かなり緩いイラストであります。
こんな検査を受けようとしているあなたに。お医者さんに行かなくてもインターネットやお店で買って受けられる検査がいろいろあります。体質検査、肥満検査、はげの検査、アルコール代謝の検査、病気のかかりやすさ、病気にかかるリスク、運動能力、音楽の才能、絵の才能、親子鑑定、血液鑑定。気がつかないで遺伝子検査を受けることになるかもしれません。
これは、一瞬どっちかな、向きはどっちかなと一瞬思うわけですよね。遺伝子検査を大いに普及しているのかなと思ったら、そうではなくて、認定業者というのがありますから、右のこのチェックリストを全部チェックしたところだったら大丈夫ですよ、そういう意味のものなんですよね。
ところが、これは経産省のホームページなので、そもそも、認定事業者じゃないところがわざわざ自分のところがはじかれるようなものを自分のネットに紹介しているはずもないわけであります。ですから、どれだけの人が、ビジネスを受けてみたいな、このサービスを受けてみたいなというときに、この経産省の呼びかけを見るかということをまず指摘をしなくちゃいけないと思うんですね。
それから、今お話があったように、資料の四枚目に、NPO法人個人遺伝情報取扱協議会の会員企業の一覧があります。下の方が、認定サービス、認定事業者の一覧であります。
これは、あれっと思うんですよね。三十七社あるんですけれども、認定サービス、事業者は、たった九事業者、十サービスにすぎません。つまり協議会の会員企業すら認定されていないというのは、どういうことでしょうか。
○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
この制度、先ほど申し上げましたとおり、昨年始まったばかりということでございまして、昨年段階で十三社が御申請されて、そのうち九社がとられ、ことしになりまして一社追加した、こういう状況でございます。
まだ制度自身が始まったばかりということでございまして、我々の方としても周知徹底に努めておるということでございます。
○高橋(千)委員 実際に受けた説明は、認定料が百万くらいかかるので、非常に負担だからというので受けていないところもあるという説明でありました。これではやはり名前倒れなのかなと思うし、それが自主規制の限界なのかということを言わなければならないと思います。
あわせて、消費生活センターなどに遺伝子検査ビジネスについて苦情や相談が寄せられていると思います。経産省としてはどのように把握をされているんでしょうか。
○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
全国の消費生活センター等へ寄せられました消費者向け遺伝子検査サービスに関する消費者相談ということでございます。
当省の方で、全国消費生活情報ネットワークシステム、PIO―NETの情報を頂戴いたしまして、平成十四年四月から平成二十八年一月までの十四年間につきまして集計をいたしましたところ、三百六十五件という御相談というのを受け付けた記録がございます。
相談の内容といたしましては、解約、キャンセル等の相談、これが大体全体の五割。それから、検査キットが一方的に送ってこられたので困っているというようなお話が三割。ただ、遺伝子サービスに限らず一般的な商取引に関する場合でもあるであろうと思われるような相談、これが大部分を占めております。
その上で、遺伝子検査の結果などへの相談というものも当然ございますが、これは全体の一%というような状況になってございます。
○高橋(千)委員 資料の5に消費者相談の実態をまとめた表をつけました。
今紹介があったように、十四年間弱で三百六十五件あったということなんですけれども、例えば左下の2というところで、今お話があった遺伝子検査キットの無断送付、百二十一件もあるんですね、三三%。海外からの遺伝子検査キットの送付などということで、これは要するに、情報が業界の中で共有されているのかなという、大変セキュリティーの問題を感じるわけでありますね。こういう一端がうかがえるということなんだと思うんです。
そこで、これも経産省がつくった資料なんですが、6を見ていただきたいと思うんです。
「消費者向け遺伝子検査ビジネスの効果」、遺伝子検査は、健康意識の向上、生活習慣改善に効果、住民の健康意識向上を促すサービスとして地方自治体による活用例もあるということで、これはDeNAライフサイエンス社の事例が挙がっています。食事、栄養バランスに配慮するようになった人が四五・二%、睡眠、休養を意識するようになった方が三〇・四%、運動をするようになった方が三〇・三%、禁煙を始めた人が一〇・七%、こうあるんですけれども、正直言って、今読み上げたような例というのは、遺伝子検査で指摘されなくてもわかっていることじゃないでしょうか、生活習慣そのものですからね。
生涯不変の遺伝子ではなくて、生活環境、生活習慣の影響というのが問われているものであって、逆に本人は、運動不足だとか、食べ過ぎだとか、たばこをやり過ぎだとか、一番よくわかっていることなんですね。それを遺伝子検査で、何か売りにしているという必要はないと思うわけです。
それから、さっき紹介があった、二〇一三年の二月に経産省が三菱化学テクノリサーチに委託して行った個人遺伝情報保護の環境整備に関する調査報告書の中に、消費者のアンケートもありました。大変興味深く読みました。
確かに、今のように、遺伝子検査をやって気をつけるようになった、よくわかった、自分が疑問に思っていた体質がわかって納得した、そういうよい反応もありました。でも、大概は、肥満の遺伝子タイプを調べ、あなたは一番痩せにくい体質という結論が出てがっかりしたというのとか、タイプがわかって即座にお勧めの高いサプリを買ったけれども効果がなかったと。これはどっちのせいかはよくわからないわけなんですね。
つまり、これは信頼性そのものも問われるし、かつ、結局サプリを売るのが目的なのか、こういう印象を受けてしまうんですけれども、このような状況でよろしいんでしょうか。
○吉本政府参考人 これはあくまでも任意の、個人の健康意識を高めるためのきっかけ、人によって効果のあるきっかけは違う、そういう意味ではこういった遺伝子検査というのを一つのきっかけとされる方もいらっしゃる、こういうことでございます。これは、この検査を受けることを強制しているものでも全くございませんし。
ただ、やる以上はそういった科学的な根拠も含めた質の高いもの、また、こういった遺伝子を扱うわけでございますので、その情報の取り扱いも気をつけていただきたい、こういったようなことを定めておりますのが先ほど申し上げたガイドライン等々である、こういうことでございます。
○高橋(千)委員 なので、そのガイドラインを遵守されているんだろうかということが問われると思うんですね、規制がないわけですから。
そこで、厚労省に伺いたいと思うんです。
今は、どちらかというと、生活習慣とか、いわゆる本人の肥満だとか、そういう体質にかかわる問題なんです。今度は、一方で、がんリスクをうたっているサービスというのは非常に多いですよね。
先ほどの資料にあった神奈川県の未病市場創出促進事業というのがありますが、二〇一五年に採択をされた商品がDeNAのマイコードというものなんですね。自宅でできる簡単検査ということで、健康応援割引だそうです。三大疾病のがん、心筋梗塞、脳梗塞等あるいは長生きなどの体質、二百八十項目の遺伝的項目がわかるというのが売りで、これが二万八百六十円、がんだけのパックは一万三百六十円ということで、発症リスクが一覧でわかりますということになって、ホームページにあるわけですね。
ただし、本検査の目的、限界についてというお断りが一番最後に書いてあります。本サービスは医療行為に該当するものではありません。
つまり、診断してはならないわけですよね、診断すると医療行為になっちゃうので、あくまでもこれは情報提供ですよという断りを入れているわけです。
ですが、やはり受ける人にしてみたら、発症リスクを早期に見つけてほしいということで、一番期待が高いわけですよね。あくまでリスクはあるよ、でもそれ以上は言えないよということで、逆に不安感を抱えるわけです。例えば、五〇%などと言われたときに、安心していいのかどうか。安心しても困るのかもしれないし、過剰に反応しても、外国の女優のような過剰な反応をしてもどうなのかということが問われるわけですよね。やはりそこは、医療との境界線というのは、実はほとんどなくなっているのではないかという問題意識を持っています。
そこで伺いますが、まず、このマイコードは、東大医科学研究所との共同研究を明記しています。それが売りでもあると思うんですよね。こうした医療機関との共同で検査もやっているわけなんです。そうすると、遺伝子検査ビジネスの検査に使う機器やあるいは検査キット、これは医薬品医療機器法の規制に入るのではないのか、まず伺います。
○武田政府参考人 ただいま、遺伝子検査に用いる機器、検査キットにつきまして、医薬品医療機器法上の医療機器に該当するのではないかというお尋ねでございます。
DTC遺伝子検査に用いられる機器の一つであるDNAシークエンサーというのがございますけれども、これはもともと、疾病の診断等の用途ということではなく、大学などの研究機関における生物学の研究の用途で開発されたものと承知をしておりまして、それが最近の医学、医療の進歩によりまして、人の診断等にも用いる可能性が出てきているということではないかというふうに承知しております。
医療機器または体外診断用医薬品への該当性でございますけれども、法律上、この医療機器の定義といたしましては、「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であつて、政令で定めるもの」というふうに規定がございますので、この法律の定義に照らしまして、疾病の診断等を目的としているかどうかということで判断をしていくことになるというふうに考えております。
具体的には、個々の機器、検査キットに関しまして、機械を使って行われる検査項目がどういう項目であるか、製品に医療機器と判断されるような表示があるのか、それから、仕様書などの機械に添付される文書、販売の際の広告の記載内容などに沿って判断をしていくことになるものと考えております。
仮に、その個々の機器に即しまして判断をした場合につきまして、これが医療機器などに該当すると判断をされました場合につきましては、医薬品医療機器法に基づきまして、医療機器としての承認をとらせるなど、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 とても長かったんですけれども、DNAシークエンサーやあるいは検査キットなどが医薬品医療機器法にかかわる場合があるということをお答えになったと思うんです。ですから、こっちはビジネスで、こっちは医療で、関係ないよということでは、もうできなくなっているんだと思うんですね。
大臣に最後に伺いますが、本当に、この経産省の調査の中にも出てくるんですけれども、会社の名前も大変よく似たものがあって、自社検査はほんのわずかしかやっておりません。キットを売るだけとか、あるいは単なる再委託で丸投げしているとか、その間には、外国に委託したり、外国から受託したり、さまざまあるので、その過程で個人情報がどう扱われているのかというのが本当に不安になるわけですよね。なので、やはり一体となった規制を行うこと、それから、例えば、採用の条件あるいは生命保険の加入の条件に遺伝子検査を求めてはならない、そういうことはEUですとかドイツの法律などでも規制をしているわけですけれども、やはり遺伝子差別禁止法を目指すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 アメリカでもいろいろ経緯があって、真っすぐいっているわけではない規制のあり方のようなふうに受けとめておりますが、ゲノム医療を将来にわたって発展させようということは私どもももちろん考えているわけで、遺伝子異常が見つかった患者さんとかその血縁者が差別などの不当な扱いを受けるということがないようにしないといけないわけで、それが重要なポイントだと思います。
米国でも、GINA法というのがあって、採用あるいは健康保険団体への加入時などに意図的に遺伝情報を取得することや遺伝情報に基づく差別を行うことが禁止をされている。このような法律が我が国でも必要ではないかという御意見があることを、我々は認識をしっかりしています。
一方で、我が国は国民皆保険制度でありますので、ゲノム情報によって医療保険の加入制限等の差別的な取り扱いが行われることはないと考えておりますが、一方で、医療従事者には守秘義務が課せられているとともに、本年五月末には改正個人情報保護法が施行されて、本人同意のないゲノム情報の取得や第三者への提供というのは、これは禁止をされることとなっています。
今後、国民に安心して遺伝子検査を受けて、医療として活用していただくためには、社会における差別の実態とか国民の懸念事項を把握することが重要と考えられますし、厚生労働省の研究事業において、遺伝学的特徴に基づく差別等の実態調査を実施しているところでございまして、この調査結果を踏まえて、関係省庁と連携して必要な施策を検討したいと思っておりますが、いずれにしても、個人情報の保護というものについては、これまで以上に、この遺伝子検査についてはしっかりとしたものにすべきではないかというふうに私は個人的には思っております。
○高橋(千)委員 終わります。また続きをお願いいたします。
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