※「論戦ハイライト」(しんぶん赤旗2012年6月26日付)はこちらからご覧ください!
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
社会保障と税の一体改革について、先週十五日に、民主、自民、公明、三党の修正合意が結ばれ、新法二つと膨大な修正案六本の条文を手にしたのは、二十一日木曜日でした。そして、あしたにも採決とは、余りにも乱暴です。三党が合意すれば何でもやってよいというなら、それは国会の自殺行為と言わなければなりません。世論調査でも七割が反対と声を上げています。国会は、民主党の中や三党の協議ではなくて、国民の前でこそ徹底審議をすべきであります。
さて、この合意の問題から質問に入りたいと思います。
この三党の確認書には、今後の公的年金制度、今後の高齢者医療制度に係る改革については、あらかじめその内容について三党間で合意に向けて協議すると書かれています。
六月十九日付の公明新聞には、「公明党は、閣議決定した最低保障年金などの創設と、後期高齢者医療制度を廃止する法案の提出を取り下げるよう粘り強く主張」してきたと。それで、「改革の実施時期を含め三党間の合意が必要となるため、事実上、公約撤回につながります。」と書いていらっしゃいます。
公明党の提出者に伺いたいんですけれども、これは事実ですね。
○西議員 今回の三党合意、最終的には、あらかじめ三党間で合意するという結論を得ました。つまり、民主党は民主党のお考えがありますし、自民党は自民党のお考えがございます。私どもも公明党の考えがあります。その三党の考え方を持ち寄って、この国民会議に付託する前に私ども三党で協議した上で、国民会議の方で御議論をいただく、こういう結論に達した次第でございます。
○高橋(千)委員 持ち寄って、付託する前に協議をする、ですから、事実上の撤回ということで公明党さんは認識をしているということで確認をしたんです。イエスかノーかだけ。
○西議員 マニフェストというのは、それぞれの政党の主張でございます。今回、例えば後期高齢者医療制度の撤廃という法律を今国会中にお出しになるというふうに政府はおっしゃっておりましたけれども、このことも含めて三党合意にかかる、こういうことが正確な表現であろうと思います。マニフェストについては三党合意にかかる、このことについては三党とも合意をした、こういうことでございます。
○高橋(千)委員 公明新聞に正式に書いているものが事実ですかと聞いただけなのに、そうだとおっしゃっていただけないということは、これは本当に、三党協議自体の問題だけではなくて、それぞれの党の支持者や国民に対する姿勢が問われるのではないかと、ちょっと、正直驚きました。
同じように、自由民主党にも伺いたいと思います。
今週号の自由民主には、「事実上のマニフェスト撤回」と大きく見出しが躍っております。(発言する者あり)そのとおりと言ってくださればいいんです。「わが党の社会保障の考え方 民主党が全面的に受け入れ」と。記事の最後には、「政策的に協力するからといって民主党政権そのものを認めるわけではない。特に今回の合意で同党が「国民との契約」と豪語したマニフェストを否定した意味は大きい。」と明言をされています。
そこで伺いますが、最大のポイントは、やはりマニフェストの撤回という意味でしょうか。そして、これは先ほど西提出者もお話しされたんですけれども、持ち寄って、国民会議に付託する前に、事前に協議をするということは確認したんだということを盛んにおっしゃいましたので、そうすると、これまで出したマニフェストの撤回というだけではなくて、将来の政策についてもまず合意が必要、つまり、縛ることにならないでしょうか。自民党の提出者に伺います。
○加藤(勝)議員 高橋委員にお答えしたいと思います。
実務者間の議論というのは、基本的に、政府が出された社会保障に関する法案、そして私どもが提出させていただいた社会保障制度改革、当時は基本法の骨子と申し上げておりましたけれども、その中身について議論をさせていただいて、そして、結果として、三党合意、あるいは今お出しさせていただいております推進法案という形で提出をさせていただいたわけでございます。
今お話にあるように、撤回云々ということ自体は直接そこで議論していたわけではございませんので、そこから先はそれぞれ党の中で、それはいろいろな御解釈があろうかと思いますが、あくまでも実務者としては今お出しさせていただいているものが全てでありまして、それに基づいて、これから、法案が成立すれば、三党の合意に基づいて、あるいは推進法案等々に基づいて議論が進められる、こういうふうに考えております。
○高橋(千)委員 午前中の町村委員の質問の中でも、事実上の撤回ということをこの場でおっしゃっていましたので、党の方と実務者協議にかかわった人が何か違うことを言っているのかと非常に疑問でならないわけであります。
皆さんが確認をしていることは、三党協議がなければ実現しないということはまず確認をされていることだと思うんです。
長妻提出者に伺いますけれども、そうすると、それぞれの党があるんだ、掲げる精神は違っていいんだと思うんです。だけれども、今合意しているのは、三党合意を経てからということを言っているわけです。合意がなければ実現しない。そうすると、裾を踏まれて前に進めない状態になるわけですよ。そうすると、次の選挙のときはマニフェストをどうするんですか。自民、公明にお諮りをするんですか。
○長妻議員 お答えを申し上げます。
今おっしゃっていただいたように、この確認書では、今後の公的年金制度、今後の高齢者医療制度に係る改革についてはということで、それで三党間で合意に向けて協議するということでございまして、これは、今おっしゃっていただいた、焦点となっております我が党の最低保障年金や国民年金を含む一元化、あるいは後期高齢者医療制度を廃止して国保を県単位で一本にする、こういうようなものも含まれておりますけれども、現実の今のねじれ国会の中で、これは厳しい現実です。
参議院で野党の御協力がないと法律が一本も通らないという現実もございますし、今申し上げた公的年金制度や医療制度というのは、これはねじれていなくてもやはり一党だけで決めるということではなくて、というのは、政権交代のたびに制度が変わっていたら一番迷惑をこうむるのは国民の皆様でございますので、そこで、今回のこういう枠がなくてもあっても、やはり野党と協議しないとこれは着地できない問題だというふうに考えております。
当然、我々は、その場では我々の主張を申し上げますけれども、我々の主張が一〇〇%そのまま通るかどうかというのは、協議を真摯にして、何とか御協力をお願いしていくという中で、その目的は与野党とも一緒です、最低保障、その年金の下支え機能をどう強化するのか、あるいは、医療制度も持続可能にするにはどうしたらいいのか、問題意識は共有していますので、その中で着地点を見出していく努力をする、そういう枠ができた、こういう理解でございます。
○高橋(千)委員 長妻提出者のその答弁は、これまでも何度も聞いてきました。
言っているのは、私は、この三党合意の性格ということを言っているんです。つまり、もちろん、マニフェストにこれまで掲げてきたことがいろいろな事情で実現が難しくなるということはあるかもしれませんよ。だけれども、これから先のことについても縛るんじゃないかということを言っているんです。
では、マニフェストに、ねじれ国会なので自民、公明の了解が得られた後実現できますとただし書きでも書くつもりですか。そういうことになるじゃないですか。
○長妻議員 お答えを申し上げます。
これは、現実の政治の今の現状の中で、やはり我々は、理想を掲げて国民の皆様にこのマニフェストをお示ししました。ただ、それを現実に実行して、実現するには、やはり法案という形にして、法律を国会で通す、この作業がないと、これは現実に口だけの話になってしまうわけであります。
そういう意味では、我々は、その理想を掲げながらも、そこから一〇〇%、一歩も譲らないということであると、これは法律が現実には成立しないということになりますので、少しでもその目的を達成する、そして、野党の理解を得て、何よりも国民の皆さんの理解を得て、国民の皆さんにとっていい制度を、法律を通して一つずつ進めていく、こういうことが我々に問われているんだと思っておりますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
○高橋(千)委員 まず、それを言うのであれば、最低保障年金制度と後期高齢者医療制度廃止法案を出してから言ってくださいよ。出してもいないうちに、一〇〇%できないとか、そういう議論じゃないでしょう。まだその努力をしていないんだということを言っているんです。
政党として、それぞれの党が公約を掲げて選挙を行います。しかし、肝心の社会保障については、三党合意という縛りがきいているので、入り口は別だけれども、出口は一緒なんです。そういう、国民を全く無視した重大な合意だと言わなければならない、そういうことなんだということを指摘させていただきます。
そこで、総理に伺います。
自民、公明両党が撤回を迫る最低保障年金制度の創設については、国連からも繰り返し勧告を受けているはずです。どのような中身で、かつ、日本政府がどのような報告をしているのか、伺います。
○野田内閣総理大臣 ちょっと、ずっと議論を聞いていて、見解が全く違うと思っていますのは、我々は、マニフェストで掲げたことは大事だと思います。それは諦めないで頑張っていくんですが、幻想と理想は違うと思うんです。言うだけではこれは通らないんです。物事を現実に落とし込んで通すには、私は、三党合意という、その入り口に立つということは、実現をするための大きな前進だと思います。そういう協議をしないで物事は通らないという現実を踏まえて、これは我々も、政治を前進させるための大きな糸口だというふうに思っていますので、大きな見解の違いだと思います。
そこで、お尋ねの、国連社会権規約委員会から、二〇〇一年八月に、最低年金を公的年金制度に導入する旨の勧告を受けております。
これに対して、事実関係で申し上げますと、二〇〇九年十二月に同委員会に対して提出した政府報告では、「二〇〇九年九月の「連立政権樹立に当たっての政策合意」において、最低保障年金を含む新たな年金制度を創設することとされている。」と事実に即して報告をしているところでございます。
○高橋(千)委員 総理、聞かれていないことに答弁をされましたけれども、言うだけと、現実と理想は違うんだとおっしゃいました。しかし、そこをまずやろうとする努力をしていないということを指摘したんです。しかも、もしそう言うのであれば、三党合意ですから、これから百時間ちゃんと議論しましょう、そういうことを提案してくださったらいいのではないでしょうか。
では、次に進みます。
これが、今総理が答弁をしてくださった国連の勧告と答弁であります。
これは、二〇〇一年の九月二十四日に国連規約委員会から勧告をされています、最低年金を公的年金制度に導入すること。そして、第三回政府報告ということで、二〇〇九年の十二月に、今おっしゃったように、「「連立政権樹立に当たっての政策合意」において、最低保障年金を含む新たな年金制度を創設すること」というふうに報告をしています。
当時の連立政権というのは、三党でも中身が違っておりまして、民主、社民、国民新党でありましたけれども、今この三党は、民主、自民、公明ということで合意をしている。
そこで、総理は、この国際公約も、まさかすぐ諦めるということではないと思いますが、確認をしたいと思います。
○野田内閣総理大臣 先ほど、提案者の自民党の加藤先生が非常に冷静にお話ししていただきましたけれども、実務者は、撤回云々という話はしていないということです。まさにそれが事実だと思います。
私どもは、これからの、まさにこのいわゆる公的年金制度にかかわるテーマについて、あるいは高齢者医療制度について、三党の合意を目指していくという中で協議をします。あるいは、国民会議の中での議論をしていきます。
ということは、最低保障年金という旗はおろしていないということは、これは今まで政府報告で、事実に即して報告してきたと申しましたが、その基本的な姿勢は変わっていないということでございます。
○高橋(千)委員 おろしていないというお答えでありました。また、実務者では、そこは撤回ということは確認していないというお答えでありました。公党の機関紙に書いてあることと違うのかなと思いますが、私はそれを問題にしているのではなくて、では、今度、その約束を本当に果たしてください、そして、その中身の議論をしましょうということを言っております。
では、そこで、勧告がある背景には、やはりヨーロッパなど諸外国では、最低保障年金、高齢者の所得保障などが定着しています。また、全国の市町村議会でも、一千を超える最低保障年金制度を求める意見書が上がっています。ですから、最低保障年金は当然の流れだと言わなければなりません。
高齢者の六割は年金だけが家計の全てです。高齢者の一二%が貯蓄がありません。年収百万未満の人の七割から八割が年金だけで暮らしています。ですから、暮らせる年金制度の創設は待ったなしだと思います。
日本共産党は、基礎年金の半分は国庫負担という現行制度の考え方を発展させて、全ての年金加入者に保障すること、また同時に、納付の実績に基づいて、もらえる年金額を上乗せしていく、そういう最低保障年金制度を提案しています。ですから、最初は三万三千円ですので、小さい額ではありますけれども、消費税によらない財政再建を行いながら、段階的にふやしていくことを提案しています。
そこで、公明党の提出者に伺います。今でも百年安心の年金制度は生きていますか。
○西議員 お答え申し上げます。
現在の年金制度、これは自公政権時代、つまり、平成十六年に成立したものであります。この考え方は、保険料の上限をまず固定する、基礎年金の国庫負担の割合を二分の一、それから、マクロ経済スライドなどを行うことによって制度の持続可能性を高める、こういう仕組みを導入したものであります。
年金財政につきましては、委員も既にこの特別委員会で何回も議論されたように、長期的な収支で判断されているものですが、直近の平成二十一年二月に行った財政検証、これは五年に一回やっておりますけれども、人口、それから経済状況の見通し、さまざまな要件を経て、将来にわたって年金財政の給付と負担の均衡が図られている、こういうことが二十一年の検証でも見通されているところでございます。
したがって、百年安心プランというのは生きている、こう申し上げておきたいと思います。
○高橋(千)委員 百年安心は生きているという御答弁でありました。
当時、社会保険庁のホームページには、「百五十歳になっても、ダイジョーブ。 牛丼が五千円になっても、ダイジョーブ。」こういう若者向けのキャッチコピーが躍っていたものであります。百五十まで生きる人がどれほどいるかは、ちょっと想像できないわけですけれども、この当時は、やはり景気が上向いて、物価が上がっていくんだ、そういうことが念頭にあったと思うわけです。それで、上がり過ぎれば年金財政が食われちゃうということで、今、西提出者がおっしゃったマクロ経済スライドで、自動的に毎年一定の割合、〇・九%引き下げることを決めました。
ところが、その後もデフレが続き、マクロ経済スライドは一度も発動していません。そのため、政府の審議会でも、デフレのもとでもマクロ経済スライドを発動せよ、つまり、もっと下げろという声が上がって、次の検討になっています。今回の法案にはありません。
そこで、もう一度、公明党の提出者に伺いたいんですが、デフレ下でもスライドをかけますと、百年安心で皆さんがつくったその仕組み、要するに、これ以上は保険料の負担を上げないという上限がある、これ以上は給付を下げないという下限がある、この下限を突き破ってしまう。これは、百年安心の基本を切り崩すことになると思いますが、公明党さんは賛成なんでしょうか。
○西議員 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、今回の特例給付の解消につきましては、国民年金法の改正案ということで、当特別委員会の審議の対象にはなっていないということでございます。
しかし、この特例水準については、基本的には、デフレ脱却、それから景気を回復する、これが基本だと考えております。その中でこの特例水準の解消を我々はしていかなければいけない、こう考えております。しかし、一方では、後世代へ負担のツケを回すということはよくない、こういう意見も党内にございます。付託された委員会でこれから議論が始まっていくわけですが、この議論も踏まえながら結論を出してまいりたいと思います。
ただ、デフレ下においてもマクロ経済スライドを発動すべきかどうか、こういうことでございますが、公明党の石井政調会長の先ほどの話もありましたように、年金生活者、特に低年金それから低所得の皆さん、この皆さん方に大変大きな影響を及ぼすということを考えると、今回の低年金対策なども踏まえながら十分議論をして結論を出してまいりたい、こう思っております。
○高橋(千)委員 公明党の議員さんがこの場で、マクロ経済スライドをデフレ下でも発動せよと質問されておりましたけれども、党としてはまだそういう立場ではないということを確認させてください。
○西議員 党としての最終の結論はこれからでございます。
○高橋(千)委員 確認をさせていただきました。
私たちは、二〇〇四年の年金改正のときには、やはり、どんどん保険料が上がり、そして給付が下がっていく、そして、このマクロ経済スライドというのは、国会に諮らずに自動的に削減の仕組みをつくるものだということで、きっぱりと反対をしました。その上、デフレでも下げるという仕組みを入れるということは絶対あってはならないと思います。
今、低年金対策ということをおっしゃいましたけれども、本当は、この〇四年の改正をやらずにおれば、もとの計算でいきますと、満額の国民年金は七万円を超えていたであろうということもありますので、今から上乗せを少しやるということよりは、もう少し慎重な検討がやられていればよかったということを指摘させていただきたいと思います。
そこで、財政のことで一言だけ提案をさせていただきます。
お手元の資料にもあるんですけれども、これは申告所得に対する税と社会保険料の負担率を示したものであります。
党としては、この水色の部分はよく指摘をしてきたわけですけれども、所得税が、所得が高くなればなるほど、一億円が山になりまして、そこからその割合が低くなる、ここをもう少し変えていけばいいんじゃないかということを言ってきたわけです。要するに、高額所得者に応分の負担を求めていこうということです。一億円を超える方は一万七千人いらっしゃるそうです。百億円以上、このトップが九人いるということであります。
実は、今回、ここに、黄色の部分ですが、社会保険料の所得に占める割合を足してみました。
御存じのように、社会保険料は上限が決まっているために、申告所得に占める割合で見ると、高額所得者になると、もう色がつかないくらい、本当に小さくなるわけですね。当然だと思います。ですから、所得が低い人ほど社会保険料の負担の割合が非常に大きい、つまり負担が重いということになります。ですから、みんなで支え合うといっても、やはり負担の重さが所得によって全然違う、このことが改めてわかるのではないでしょうか。
そうしたところにもきちんと目を向けることで、消費税ではない財源だって見えてくると思いますが、これは実は通告しておりませんが、総理に一言、感想を伺います。
○小宮山国務大臣 再分配機能という意味では、低所得者には保険料の減免などもしていますので、ある程度そういう機能を果たすような仕組みはしていると思います。
一方で、今御指摘の高額所得者の標準報酬月額の上限の引き上げにつきましては、これは、給付と負担の公平が求められる中で、公的保険の仕組みでどこまで所得再分配の機能を追求するかということ、また、保険料の半分は事業主負担なので、近年の経済状況などを踏まえますと、事業主負担の増大につながる上限の引き上げがどこまで可能かというような論点があると思います。
この厚生年金の標準報酬月額の上限引き上げにつきまして、審議会で御議論をいただいたんですが、賛否両論がありまして、大綱では「引き続き検討する。」としているところです。
健康保険の標準報酬月額の上限につきましては、既に平成十九年の法改正で上限等級を九十八万円から百二十一万円に引き上げています。さらに上限を引き上げることについては、関係者の意見も聞きながらまた検討をしていきたいというふうに思っています。
○高橋(千)委員 私は今、総理に質問をいたしました。今、標準報酬のことは確かに議論になっていたし、これをもう少し引き上げればいいんじゃないかということは中央公聴会でも意見がありました。ですから、そういうことも含めて検討すべきですよねと言っているんです。社会保険料が今どうかということを言っているのではありません、もっと大きな意味で聞いています。いかがですか。
○岡田国務大臣 なかなか興味深い御指摘をいただきました。こういった点についてもよく議論をする必要があるというふうに思っております。
ただ、一点だけ、社会保障の方は、介護にしても、あるいは基礎年金にしても、あるいは医療にしても、サービスは同じですね。所得の多い人は多いサービス、いいサービスということはないんです。そういう意味では、負担だけ見るとこういうグラフになると思いますけれども、やはり、何に使うか、社会保障に使うということもあわせて考えなければならない問題であるというふうに思います。
ただ、委員の御指摘について、全く考慮に値しないというものではなくて、よく議論してみる必要のある、そういう問題だと思っております。
○高橋(千)委員 ここは指摘にとどめたいと思います。
要するに、本当はいろいろ意見はありますけれども、サービスは同じなんだ、だからみんなから取るんだという議論で、多分、消費税の議論になっているんだと思うんです。だけれども、そういう議論の中で、消費税が上がると所得税などは逆に税収が減ってしまうからということで、岡田副総理が厚生労働委員会で答弁をされておりました。その中で、わずかな高額所得者に対する増税分を今回削除してしまったということもあえて指摘をさせていただきたいと思います。ぜひ、今後も財政論については議論をしていきたいと思います。
そこで、子ども・子育て支援についてであります。
資料の三枚目を見ていただきたいと思うんですが、大変失礼しますが、自民党のファクスニュースであります。谷垣総裁の横顔がついていますが、大変わかりやすくまとめられているかと思います。見出しは「「子ども・子育て新システム」には反対です。」とばあんと書いてあります。
それでは、まずこのことを確認させていただきます。また、その最大の理由は何でしょうか。
○馳議員 今まで、代表質問を含めて五回、私は質疑をさせていただきまして、多分それを聞いておられて御理解いただけると思いますが、これはちょっと自由民主党としては容認できないなという点は四ポイントほどありました。逆に、これだったら歩み寄られるのではないかなということは一点ありました。申し上げます。
まず、これはちょっとなと思ったのが、小宮山大臣の盲腸発言です。
二点目は、児童福祉法第二十四条、市町村の実施義務、ここのところを改正されてはやはり公的責任を果たせないのではないかという点が二点目。
三点目は、こども園として支給を受ける施設の指定制であります。これで本当に保育の質を保つことができるのかな、この指定制という部分。
四点目は、まさしく学校教育である施設に株式会社を参入させるということについてはどうしても容認ができませんでした。
これなら話し合いができて方向性が合わせられるのではないかなと思った一点は、ただ一つ、この政府・民主党でおつくりになった案が小渕報告をベースに議論をしているかどうかという一点であります。
これは代表質問で確認をいたしましたが、野田総理も小宮山大臣も、小渕報告をも踏まえて新システムをつくったとおっしゃいましたので、それならベクトルを合わせていくことができるだろう、こういうふうに思いました。
以上です。
○高橋(千)委員 テレビを見ている方に、小渕報告とか、ちょっと説明が必要な答弁であったなと思って、困るわけですけれども。
このニュースの一番最初に書いてあるのは、「総合こども園などの施設には、待機児童の八割以上を占める〇~二歳児の受け入れを義務付けていないため、目的の大きなテーマである待機児童の解消にはつながりません。」このように書いてあるわけです。
それで、今、馳提出者が四点おっしゃった中には待機児童は書いていないんですけれども、これはどういうことでしょうか。もう解消するということでしょうか。
○馳議員 資料を高橋委員が御用意になりましたので、それはそのとおりでありまして、政府案にありました総合こども園では、ゼロ、一、二歳のお子さんの入所を義務づけておりませんから、そういった観点から反対していたのは当然であり、資料に書いてあるとおりであります。
○高橋(千)委員 しかし、それは、新しい修正案でも義務づけないので、条件は同じですね。
○田村(憲)議員 総合こども園という施設ではこれを義務づけていないということで、これでは待機児童解消にならないなというのは、我々も、もとからそのように感じておりました。
我々は、一つは、保育施設、保育所等々でやはり待機児童というものを解消する。それから、地域型の保育施設、これも一つ、解消する大きな役割を果たすであろうというふうに思っております。
ただ、一方で、保育士を確保しなければなりません。そのためには、保育士の処遇の改善、これをやらなきゃいけないこと。それから、地方自治体が、市町村がなかなか待機児童を正確にカウントしていない。これがあるために、なかなか施設をつくれないというところがあります。ですから、今回、待機児童を、ちゃんと、保育ニーズを確実にカウントできる、そういう仕組みをつくらなければならない、このように思っておるような次第であります。
○高橋(千)委員 待機児童の解消になるのかということでは、はっきりしないお答えだったのかなと思います。
ですから、最初にこのニュースで指摘をしている、三歳未満児を義務づけるわけではないので待機児童の解消にはならないという点では同じだと思いますし、今、新しく認可保育所をふやすとか、そういう形で待機児童の解消に取り組んでいくということでもないように思いますが、いかがでしょうか。
○田村(憲)議員 いや、今申し上げましたように、なぜ認可保育所がふえてこなかったかというと、理由が二つありまして、一つは、やはり各自治体がそれぞれの、どうしても地方の負担があります。そういうもので、正確に保育のニーズというものを把握できていない、把握していない。これがありますから、これを、今回、正確に把握をして、これぐらいの保育ニーズがあれば当然認可しなければならないわけでありますから、そんな形で認可保育所等々をふやしていく。
それから、ふえたところで、保育士の数が確保できなければ、これは十分に保育ができませんから、それは処遇の改善等々で保育士をしっかりと確保していく。
そのような施策の中で待機児童の解消を図ってまいりたい、このように思っております。
○高橋(千)委員 もともと現行制度は市町村に持ち込むのでニーズが把握できていないではなくて、それがニーズそのものなんですよ。ですから、市町村の実施義務を守れということを言ってきたんじゃないですか。
でも、今、お答えになりましたね。認可をふやすということでよろしいですか。
○田村(憲)議員 ですから、今も申し上げましたとおり、認可をふやす。株式会社が積極的に入ってくることが全ていいとは言いませんけれども、一方で、認可の要件というもの、これの適正化を図りまして、株式会社は今でも入ってこられるんですが、変な株式会社が入ってきてもらっては困るので、質のいい株式会社が入ってきた場合は、これは認可をするという方向の中で保育所をふやしていくということになると思います。
○高橋(千)委員 質のいい株式会社ということで、余りイメージができませんけれども、これまでとは少し違うんだという御主張だったと思います。
ですから、新システムは容易にできないと最初におっしゃったことと修正案のどこが違うのかなということで今質問していますので、ほとんど違いがわからないと言わなければならないと思うんです。
一番の問題は、新システムの肝である子ども・子育て支援法案がほとんど未修正なんですね。原案と同じなんです。保護者が保育の必要性を市町村から認定されて直接入所を申し込むという基本的仕組みは変わっていませんよね。なぜですか。
○田村(憲)議員 いや、ですから、市町村の実施義務をしっかりと確保しておりますので、入所申し込みが来た場合に、市町村は保育所において保育をしなければならないということになっておりますし、そうはいいながら、今も、保育ができていない、市町村がしっかりと保育を手当てできていないという場合がございますので、そういう場合に関しても、さらに自治体の責任というものを今回重くしておるということでございますから、そのような意味では、先生のおっしゃられている意味というのは、ちょっと私はそぐわないのではないのかなというふうに思いますけれども。
○高橋(千)委員 今おっしゃったのは、児童福祉法二十四条は守ったという意味をおっしゃっているんだと思います。
これには非常に、これまでとはちょっと違うということを言いたいんですが、今私が指摘をしたのは、もともと言ってきたことなんですが、仕組みが介護保険のようになりますねと。だって、認定というものは今までなかったわけでしょう。時間で分けるということが法案に書いてあるじゃないですか。それを修正してないんですよ。直接契約でしょう。そこは変わっていないでしょう。
○田村(憲)議員 保育は、保育所とは直接契約ではございません。自治体と利用者の契約でございまして、自治体が各民間の保育所等に委託をする。ですから、お金の流れも委託費という形で入りますので、これは直接契約ではございません。御理解いただけますでしょうか。
○高橋(千)委員 ですから、認定こども園とか新たな施設は全部直接契約になるんです。
そして、保育は、「当分の間、」という言葉がついています。そうですね。
○田村(憲)議員 いいですか。「当分の間、」というのは、この支援法の附則で書いてあるんです。しかも、その前に、児童福祉法二十四条にのっとってと書いてあります。児童福祉法二十四条は、当然、この旧法である子育て支援法の上位法でありますから、それの本則にしっかり書いてありますので、それが変わらない限りはそうはならないわけであります。だから、これは児童福祉法二十四条の本則でしっかりと担保してありますので大丈夫であります。これはもう、法律のことを十分に御承知いただいております高橋委員なら御理解いただけると思います。
○高橋(千)委員 そこまでおっしゃるのであれば、認定こども園制度はもともと直接契約でありますし、幼稚園も直接契約でありますから、保育所は今のままだということで、支援法案は、新システム法案そのものは廃案にすればよかったんですよ。その方がずっとわかりやすいじゃないですか。そのことを重ねて指摘をしたいと思います。
今度の一体改革で、消費税の税収を充てる社会保障四分野ということがずっと言われてきました。年金、医療、介護、これに子育てを加えたのは、やはり今言ったいわゆる保険制度というくくりからなんですね。社会保障改革推進法案は、年金、医療、介護においては社会保険制度が基本と書いています。
それで、改めて伺いますが、社会保障とは何でしょうか。社会保険とは民間の生命保険と同じなんですか。これは、総理と自民党提出者にそれぞれ伺います。
○野田内閣総理大臣 今の御質問は二点あったと思います。
社会保障とは何ぞやというお尋ねでございますが、日本の社会保障制度は、国民の参加意識や権利意識を確保する観点から、負担の見返りとして受給権を保障する社会保険方式を基本として発展してきており、所得再分配機能を持たせながら今日まで国民の生活を支えてきたというふうに思います。この世界に誇るべき国民皆年金、国民皆保険、これを持続可能なものとするために今回の一体改革があると、ぜひ位置づけとして、御理解いただきたいと思います。
それから、社会保険と民間保険の違いでございますけれども、一つは、社会保険が民間保険と異なる点は、強制加入が可能であること、それから、保険料負担について、個人のリスクでなく、負担能力などに応じた設定が可能であること、それから、公費を投入することによって低所得者の保険料軽減が可能であることなどが挙げられるのではないかというふうに思います。
○加藤(勝)議員 高橋委員にお答えしたいと思います。
社会保障の定義、これはまちまちでございまして、例えば社会保障関係費という予算で使われている場合には、かなり幅広いものが含まれております。
今回の社会保障制度改革推進法では、あくまでも、平成二十一年度の税制改正法附則百四条で、先ほどおっしゃられたように、制度として確立された医療、年金、介護、そして少子化対策ということでございましたので、それをベースに書かせていただいているところでございます。
それから、社会保険の話は、今まさに総理からお話しされたとおりでありまして、ある意味で、私どもの自助、共助、公助という考え方からすれば、公的な保険はいわば共助ということになろうかと思いますし、任意保険は自助ということになるのではないかな、こういうふうに理解しております。
○高橋(千)委員 負担の見返りということに絞ってしまうと大変なことになるということが言いたいわけです。憲法二十五条がどこに行ったのかということを言わなければなりません。
今、加藤提出者は、公的保険というのは共助の部分だということをおっしゃいました。それで、自分で自分を助けるのが基本で、家族が支え、国民同士の拠出で支え、最後に国が出てくるんだけれども、そのときは本当に限定的だ、あるいは例外的な場合だ、そういうふうに小さくなってしまうんじゃないか、そういう心配を持っているのが今回の社会保障改革推進法案であります。
それで、具体例で質問します。もう残り時間が少ないので、一問だけ質問します。
これは資料を皆さんの手元に届けてあります。四月二十五日に和歌山地裁で、ALS患者、筋萎縮性側索硬化症の介護支給量の決定をめぐる判決が出ております。これが、地裁ですが、確定をしています。
新聞記事、和歌山版の朝日新聞五月三十日付をつけておきましたけれども、和歌山市は、基本的に妻一人で十分、こういう判定をして、ヘルパーによる訪問介護時間を一日約十二時間と決めていたそうです。しかし、判決は、男性が呼吸や食事など生存にかかわる全ての要素で介護は必要なんだと指摘をして、妻は七十四歳で歩行も不自由だ、これを十分考慮していないんだ、市の裁量権の逸脱、濫用、そして違法であると結論して、二十一時間以上の介護の支給を決定させたわけであります。
和歌山の弁護士会の会長声明でいいますと、介護に伴う経済的負担や家族の負担で、みずから人工呼吸器を外す、そういう方も少なくないと言っています。全国八千五百人と言われるALS患者とその家族を大きく励ます判決だと思うんです。
そこで、伺いたいのは、こうした原告らは、難病患者が住みなれた地域で自立生活を送りたいと希望しているんです。生きるために人の支えは必ず必要ですけれども、しかし、地域で自立して生きる、こういう生き方もある。人によって自立や自助の考え方は違う、このことを共有していただけますか。
○野田内閣総理大臣 国民の安心や、そして生活の安定を支えていくために、自助、共助、公助、これをバランスよく、適切に組み合わせていくということが必要であるというふうに思います。
その中で、今具体的な御指摘がございましたけれども、このような基本的な考え方の上で、障害福祉サービスについては、一人一人の事情を踏まえ、市町村において適切な支給量を決定していただきたい旨を自治体に対して要請をしております。
引き続き、一人一人の事情を踏まえ、適切な給付が行われるよう周知をしていきたいと考えております。
○高橋(千)委員 自己責任のきわみが、このように本人と家族を追い詰めます。毎年、介護のために十四万人が仕事をやめなければならない実態であります。本当に、社会福祉も自己責任の小泉改革の再来ということにつながりかねません。
社会保障制度改革推進法案を初め、増税関連法案の撤回を強く求めて、終わりたいと思います。