国会質問

質問日:2017年 4月 14日 第193国会 厚生労働委員会

介護保険法等改定案

介護の低賃金化を告発
高橋議員 介護保険法等改悪案で補充質疑

 日本共産党の高橋千鶴子議員は14日の衆院厚生労働委員会で、12日に同委員会で強行採決された介護保険法等改悪案についての補充質疑に臨み、法案の問題点を追及しました。
 高橋氏は、3月末でまとまった地域医療構想について質問。神田裕二医政局長は医療病床「15万床」を削減予定だとして、在宅医療、介護、新設される介護医療院を受け皿にすると答弁しました。
 高橋氏は、4月から介護の要支援者の受け皿として始まった介護予防・日常生活支援総合事業で多くの事業所が従来通りのサービスを続け、担い手の約6割を専門職が占めているとして、「従来型のサービスを低賃金でやらせることがあってはならない」と強調しました。塩崎恭久厚労相も「専門性にふさわしい報酬が払われるべきだ」と答弁しました。
 高橋氏は、政府が昨年の社会福祉法改定で福祉事業者に「地域づくりに積極的に取り組む責務」を求め、3月には福祉施設の従業員に地域活動を促す厚労省通達を出したと指摘。同省は、事業所の指示で活動する場合は労働であり賃金を払うべきだと答弁しました。高橋氏は「通達にはそのことが明記されていない」と批判しました。
(しんぶん赤旗2017年4月17日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 初めに、一言だけ言わせていただきます。
 一昨日、少なくとも金曜日まで、きょうまでは審議が続くという合意がほぼあった中で、まさかの審議打ち切り、採決がなされたことに強く抗議をしたいと思います。
 質問の中身に対して、議題外には触れない約束だった、その約束がほごにされたというものでありますけれども、そもそも議員には質問権があります。仮に、何か問題が仮にあったとしても、それはあくまで個々の質問者の責任に属する問題であって、なぜそれが採決に結びつくのか。我々の質問権まで奪い、そして、きょうもたくさん来てくださっている傍聴者を初め、この法案の行く末に関心を寄せている方々に対し、申し開きができないわけです。きょうは、そうした点で補充的質疑の時間をいただきました。しかし、本来なら採決をやり直すべきです。二度とこのようなことがないように重ねて指摘しておきたい、このように思います。
 質問に入ります。
 三月末までに地域医療構想が全都道府県で策定されました。今後はその具体化に入るということで、年内には、医療機関の具体名を挙げて、どの機関を削減するのか、そういう段階になると思います。報道では、トータルで約一割の十五万六千床くらい削減などとありますが、どのようになっているのかがまず一つです。
 続けて聞きますが、資料の一枚目に、四月十二日の経済財政諮問会議に大臣が提出した資料をつけておきました。介護施設や在宅医療で約三十万人吸収するというイメージになっております。
 例えば、我が青森県では、一割どころか三割減の三千四百床削減と示されたわけなんです。県当局は、在宅医療でカバーしますと言いました。それしか言いようがなかったんだと思うんですね。ですが、いち早く県内でも公立病院の再編成を行い、地域医療構想をまとめた西北地域、その中心となる五所川原の市長に聞いたときに、在宅医療、そんなものできませんよ、医者がいないんだから、こう言われたわけなんですね。
 そもそも医師がいないから再編統合したのに、それを今度はまた在宅で見ろというのは当然無理な話なわけで、先ほど岡本委員が指摘をしたとおりだと思うんですね。そこで、受け皿についてどのように整備していくのか。二点、伺います。
○神田政府参考人 お答えをいたします。
 先生御指摘のとおり、地域医療構想につきましては、平成二十八年度中に全ての都道府県で策定が完了しているところでございます。
 平成三十七年、二〇二五年時点の全国の病床の必要量というのは全国合計で約百十九万床というふうになってございまして、平成二十五年の医療施設調査で把握している病床数であります百三十五万床と比較しますと、約一割の十五万床ということになります。
 ただ、この中には稼働していない病床というのがございます。実際に、平成二十七年の病床機能報告で、病床機能の報告のあった病床数は百二十四万床というふうになってございまして、その差は約五万床というふうになります。
 また、その中で申しますと、慢性期の病床について、医療の必要性の低い方を在宅医療に移行していく、また、療養病床の入院受療率の地域差を解消していくということを進めていくことにしていることから、慢性期の病床は約七万床少なくするという目標になってございます。
 この受け皿をどうしていくのかということでございますけれども、慢性期病床等が減少した場合の受け皿といたしましては、介護施設、それから在宅医療、在宅介護、それから新しく法案で御提案させていただいております介護医療院等が考えられるわけでございます。これは、地域に応じてその受け皿を整備していく必要があるというふうに考えております。
 平成二十九年度には、都道府県の医療計画と市町村の介護保険事業計画を同時に策定するということになってございます。この病床の転換によって必要となる在宅医療等をどのように確保していくのか、その受け皿となります在宅医療・介護サービスが確保できるよう、都道府県と市町村による協議の場を設けて、連携しながら策定を進めていくこととしているところでございます。
○高橋(千)委員 忘れられないのが、二〇一四年の四月二十三日の本委員会でありました。今の地域医療構想と、その後、今協議の場とおっしゃいましたが、実際に減らしていく過程、これについて私が質問したわけなんですね。自主的な取り組みだけでは機能分化、連携が進まない場合に、都道府県知事が権限を発揮するということであります。
 当時の原医政局長が、話し合いをしてもうまくやらない場合に、都道府県知事から、公的病院には指示をしたり、あんたのところはやめなさいという命令をしたりできる、民間の医療機関には、要請をして機能を変更していただく場合もあろうかと思います、それに従わない場合には、最終的には名前の公表もしますよということをおっしゃって、それを例えて、「一応、懐に武器を忍ばせている、」こういう表現をされたわけなんですね。正直びっくりしたわけです。
 その後に言った言葉は、「実際に使うということを想定しているわけではない」とおっしゃいましたけれども、実際に強制力をきかせていくという場面があるのかどうかということで、今も懐に武器はあるのか、あるいは、使う出番はあるのかないのか。いかがでしょうか。
○神田政府参考人 御指摘の地域医療構想の実現の方向についてでございますけれども、まずは、機能分担に必要なデータを提供いたしまして、それに基づきまして、それぞれの医療機関で担う機能につきまして、各構想区域ごとの地域医療構想調整会議で具体的に協議をしていただくということを念頭に置いているところでございます。その中で、具体的に話し合いが調ってくれば、地域医療介護総合確保基金によりまして機能転換等を支援していくことといたしております。
 御指摘の法律上の権限についてでございますけれども、病床が既に過剰となっている機能にあえて転換しようとするようなことについて協議をしてもなかなか協議が調わないような場合には、公的病院については、病床機能を変更しないことを命令することができる、民間病院については、要請をして、要請に従っていただけないような場合には勧告をすることができるというふうにされております。
 また、協議が調わない、例えば、回復期機能が今後は必要であるという場合に、どこが回復期機能を担うのかということについてなかなか協議が調わないというような場合には、不足する医療機能について転換することを、公的医療機関については、指示することができる、民間の医療機関については、要請をし、先ほど申し上げたのと同じように、要請に従っていただけないような場合には勧告することができるというふうになってございます。
 勧告にも従っていただけないような場合には、名前の公表ということも定められているところでございます。これは、あくまでも、こうした協議が調わない場合ということでございますので、まずは、地域でデータによってしっかりと話し合いをしていただくことが基本だというふうに考えております。
○高橋(千)委員 直接の、使うかどうかというお答えはなかったわけですが、しかし、そういう法的な手段があるということでお答えになったと思うんですね。
 それで、今、データの話がございました。今度は大臣に伺いたいと思うんですが、大臣に対して私はこれまでもこの問題を何度も質問しております。医師が足りないために病棟が閉鎖をしている状態や、結局、そのために都市部に通院とか入院せざるを得ない、その受療動向が結果として、それをデータでとってしまうと固定化してしまう、つまり、病院がいっぱいある地域に通っていて、そこで間に合っているので病院がなくてもいいというふうなデータが出てしまうと困りますよねという指摘をしてきたことがありました。
 そのときに大臣は、私の指摘した意味をよく理解してくださって、例えば、北海道の議論をしたものですから、札幌と旭川にだけしか人が行かなくなるとなったら大変ですよねということで、わかっていただいたかなと思うんですね。そのときに、協議の場があるからとおっしゃいました。
 ただ、この資料にもあるように、大臣、るる説明をされたと思うんですが、今度はもっと細かい、病棟ごと、疾病ごとのデータを活用するんだと。もっと細かく、実際にどれだけの手術をやっているのか、どれだけのリハビリをやっているのかということで、一層これが、データの分析ということになると機械的になっていって、本当に地域の個別事情、今言ったような事情なんかがますます反映されなくなっていくんじゃないか、いよいよ協議の場になったら。いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 御指摘の病床機能報告制度がございますが、毎年十月に、七月一日時点のデータとして、各医療機関の持つ病棟が担う医療機能とか手術件数などの診療実績などについて報告をされるものでございまして、各地域の直近の医療提供体制を把握する重要なデータとしてあるわけでございます。
 諮問会議で、お配りをいただいておりますけれども、機能分化、連携のための診療等のデータ提供という部分がございます。今後、地域医療構想の達成に向けては、今御指摘をいただいたように、地域医療構想調整会議、そういう場において、各地域の医療関係者とかあるいは保険者が議論をして、そこで、毎年報告される病床機能報告の情報だけではなくて、各地域の人口構成の変化によって、例えば脳卒中の患者数など、その地域の疾病構造がどのように変化をするかといった将来の医療需要に関するデータを照らし合わせながら議論を進めていただく、そういう中で調整を図っていただくということになるわけでございます。
 そうなりますと、当然、都道府県が調整をされるということであれば、私どもから、疾病ごとの患者数等々、データをNDBから取り出して送るなり、いろいろな形で提供してお考えをいただくということをやっていただくわけでありますから、都道府県にしっかりとそれだけの読み込む能力と、そしてそれを調整会議にかけてまとめる能力を持って調整をしていただきたいな、こう考えているところでございます。
 厚労省としては、こういうデータが適切に活用されるように都道府県への丁寧な支援をしなければいけないというふうに思っておりまして、御懸念のような、一部の都市部だけに医療が集まる、そして過疎地では医療がなかなか提供されないというのでは困りますから、そこのところもしっかりと踏まえた議論を、個々の地域事情にも配慮した上でお決めをいただきたいというふうに考えます。
○高橋(千)委員 逆に言うと、ここでは今は医療資源が不足しているんだけれどもしっかりと支えて再建していきたいんだ、そういうところにも、やはり国はきちんと応援していくということでよろしいんですね。
○塩崎国務大臣 都道府県で既にいろいろな問題が起きておりますけれども、特に北海道のような広大な土地で暮らしていらっしゃる皆さんのお話をいろいろ、私も稚内や女満別とかああいう地域で医療機関あるいは行政の方々から聞きますと、やはり医療がなくなるとその地域はなかなか成り立つことが難しくなるということをひしひしと感じさせるお話を何度か聞いたことがございます。
 そういうことを考えてみると、やはり、そういう地域にも工夫をしながら医療がちゃんと提供されることによって、そこで暮らしていくことができるというふうにしていかなければならないと思いますので、先般の医療のビジョン、働き方のビジョンの中でも、いろいろなこれからの医療職の中での責任あるいは役割の分担のあり方等々についても、しっかりと議論をしていかないといけないなというふうに思っております。
○高橋(千)委員 今のところはまた別な機会で質問したいと思っているんですけれども、ちょっと続けていきたいんですね。
 医療介護総合法で三年前にやったときに、川上から川下へということが言われたわけなんですね。やはり、ベッドを一定削減をして、それを、最初のこの絵にあるように在宅に切りかえていく、そのときの受け皿が大きな問題になったわけであります。それを一つずつ聞いていきたいと思うんですけれども、まず、さっき答弁がありました介護医療院、これについて簡潔にお答えをいただきたいんです。
 これは、介護型療養病床は六年後に廃止と延長したわけですけれども、やはりこういう形が必要であったという方針の転換だと見てよいのか。ですから、今残っているのは六万一千床でしょうかね、これよりも結果としてふえることもあるのかということです。あり方検討会の議論の整理では、地域のマンパワーで対応可能な形態と書いてある。マンパワーで対応可能、つまり、配置基準を緩和するという意味なんでしょうか。
○蒲原政府参考人 お答えいたします。
 幾つかございました。
 平成十八年の改正のときに、療養病床につきましては、医療と介護の役割を明確化するという観点から、医療の必要性が高い方は医療療養病床で、介護の必要性の高い方は老健施設等で対応するということにいたしまして、介護療養病床については廃止することとし、老健施設等への転換を進めてきた、これが平成十八年の方針でございます。
 しかしながら、結果として、患者の医療ニーズの把握が不十分でありまして、既存の老健施設等については、この受け皿として十分な機能を有していなかったということから、これらの施設への転換が進んでいないものというふうに考えております。
 介護療養病床についてもう一度考えてみますと、ここで提供されております日常的な医学管理だとかあるいはみとりやターミナルケア等の医療機能は重要なものと考えておりますが、一方で、長期的な療養が必要なために、入院先が実質的に生活の場となるような利用者にとっては、それにふさわしい環境も必要だ、こういうことを踏まえまして、今回の制度改正では、当初申しました平成十八年の方針のもとで、ただ、受け皿のところについて、新たな受け皿として介護医療院という新しいものを創設するということにしたわけでございます。
 具体的には、先ほどのいろいろな経緯を踏まえまして、長期的な医療と介護のニーズをあわせ持つ高齢者を対象に、一つは日常的な医学管理あるいはみとりやターミナルケア等の医療機能に加えまして、生活施設としての機能を兼ね備えた施設というのを創設するということにしたところでございます。
 この数についてお話がございました。介護医療院が最終的にどのくらいになるかということで、六・一万床との関係がございましたけれども、介護医療院につきましては、今話がありました介護療養病床からの移行というのも一つありますし、このほか、医療療養病床からの移行、あるいは新設の可能性も考えられるものでありまして、その意味でいうと、今の六・一万床というのが何か上限としてあらかじめあるということではございません。
 以上でございます。
○高橋(千)委員 もっとふえるかもしれないということですよね。そうすると、やはり方針の転換だということだと思うんです。これまで議論してきたことが、やはり当時はなかなかお認めにならなかったわけですよね。やはり医学的管理が必要な方がいるんだということに対してお認めになった。
 でも、肝心なことを答えていません、今。配置基準の問題、地域のマンパワーで対応というのはそういうことなんじゃないんですか、緩和するということなんじゃないんですか。
○蒲原政府参考人 失礼しました。
 新しくつくります介護医療院のマンパワーあるいは基準でございますけれども、これは、これまでの関係審議会の合同のメンバーによる特別部会等によって議論されてきております。一つは、今の介護療養病床の医療機能と同様の、似たような基準という一つのパターンと、もう一つは、今の老健施設相当以上という言葉を使っていますけれども、そうした基準という二つのパターンをつくっていこうということで、具体的にはこれから介護給付費分科会で議論するということでございまして、その意味では、二種類のものを頭に置いてこれから具体的に検討していきたい、こういうことでございます。
○高橋(千)委員 お答えにならなかったわけですが、昨年十一月の財政審の建議でも、介護療養病床については、法律により二十九年度末で廃止するとともに、これは廃止はまた延びたわけですが、人員配置等の面で現在より効率的な新施設を設け、医療の必要度が高くない者についてこれにより対応していくべきであると書いている。つまり、人員配置で効率的にしなさいと。
 要するに、これまでベッドを減らす減らすと言ってきて、結果として受け皿がないんだと認めた途端に、いっぱいというのは考えにくいわけですね。だから、人員配置をうんと緩くして受け皿としてやるというのでは、それもだめなわけなんです。やはり必要なものは必要なんだという立場に立って、しっかりとした配置をするべきだということを指摘しておきたいと思います。
 もう一つ、介護の新しい要支援の受け皿となった総合事業についてなんですが、これもことしの四月から全都道府県で義務化がされました。
 資料の四を見ていただきたいんですが、途中経過はなかなか、計画する予定がない、そういう自治体もあったわけですが、昨年四月の段階では五百十六だった保険者が、ことし四月には残り九百五十三が実施をし、一〇〇%だということになっております。
 要支援外しという指摘を我々はしてきたわけですが、専門的なサービスが必要な人はそのまま受けられると当時説明していました。それがどうなったかということで、少し見ていきたいと思うんですね。
 資料の六を見ていただきたいんですが、これはサンプル調査だと思いますが、今実施しているうちの七十八自治体で、訪問サービスと通所サービスの中で、これは二十七年、二十八年の比較ですけれども、どちらも圧倒的に従前相当のサービスが多いということが見てとれると思います。
 同時に、めくっていただきますと、それを誰が担い手となっているのか。生活支援サービスは、一定、専門職以外の方が担っているんですけれども、訪問サービスと通所サービスは、それぞれ五七・一%、五六・五%というように、介護専門職がやはり担っている。つまり、多様なサービス、緩和型でありながら専門職が担っている。
 こういう状況が見てとれるわけですけれども、どう受けとめておりますか。
○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど先生の資料にございましたとおり、ことしの四月から全ての自治体で総合事業に移行しているということでございます。
 既に二十七年四月に移行した七十八の自治体でいろいろな状況を確認したところ、話がございましたとおり、多様なサービスが出現しているものの、従前の介護予防訪問介護あるいは通所介護に相当するサービスを提供する事業所が多数を占めているということでございますし、もう一つは、三割ぐらいですか、基準を緩和したサービスあるいはまた住民参加型のサービス、こうしたものもございますけれども、基準を緩和したサービスの提供をする事業所の約半数以上が、御指摘のとおり介護専門職が担当しているということでございます。
 私ども、法案改正のときに、多様な担い手ということを申し上げてまいりました。その意味でいうと、今のところ、いわば専門職の担当している割合が割と多い状況になってございます。これは、やはり総合事業というのは、市町村が、地域の課題の把握だとかあるいは社会資源の発掘、あるいは地域の関係者のいろいろな関係づくり等の検討、あるいは必要な担い手も含めたサービスの創出といったプロセスの中で、地域の事情を踏まえた事業内容としていくことが必要であるというふうに考えてございます。
 その意味でいうと、例えば、地域のニーズと支え手をつなぐ役割を持っております生活支援コーディネーターという方が各市町村に配置されておるんですけれども、こうした生活支援コーディネーター等のいろいろな取り組みについて、さらにいい事例を周知するだとか、あるいはそうしたことに関する研修等を行って、できるだけ多様な担い手という方々がいろいろな形で参画できるようにしていくことがますます必要であるというふうに考えております。
○高橋(千)委員 どう見るかと聞いたんですから、現状認識を聞いているわけなんですね。
 もう一回資料の六を見ていただきたいと思うんですけれども、さっき言ったように、訪問サービスと通所サービスは従前型のサービスが圧倒的に多いです。ですが、二十八年の四月になりますとその他のサービスが出てきます。だけれども、その他のサービスの内訳を見ますと、圧倒的に多いのは、どっちもサービスA。七一・七%、六四・九%というように、サービスAが圧倒的に多いわけですね。このサービスAというのは何かというと、人員基準を緩和したもの、つまり、専門職プラス、ボランティアという形ですよね。
 そうすると、結局、多様なサービスというけれども、従前型のサービスが主役である、そして、その他のサービスといっても、結局、専門職が中心となって、まして、人員基準を緩和している、そういうものを担っている、これが現実ではありませんか。
○蒲原政府参考人 まさに、現状ということで申しますと、ここの資料、これは我々が介護保険部会に出した資料でございますけれども、先生御指摘のとおり、いわば現行相当サービスが一番多くて、かつ、緩和型、その他多様なサービスの中でも、おっしゃるように緩和型が多いし、その際には専門職が一定の役割を果たしているわけです。
 ですから、これをベースにしながらも、先ほど申しましたとおり、生活支援コーディネーター等のいろいろな活動の支援をすることによりまして、多様な担い手といったことを各市町村において引き続き、育成あるいはいろいろ事業に参加するように支援していくことが必要であろうというふうに思っています。
○高橋(千)委員 ですからじゃないんですよ。
 介護医療総合法の議論のときに現場から出された意見は、これは担い手がいないだろうと。結局、介護予防を中心に取り組んできた事業所の撤退が始まっている。結局、実際には担い手が見つからず専門職が担うことになるんじゃないか、同じようなサービスをやっているのに、実費五百円のボランティアと同じ仕事をさせられるんじゃないか、こういう危惧があったんです。現実にそういうことになっているわけなんですよ。
 私たちがずっと指摘してきたことは、生活援助だって単なる家事援助じゃないんだ、少しでも本人ができることを助け、尊厳を生かしていく専門職なんだと指摘をしてきました。そういうことに対してやはりきちんと評価してほしいと言ってきたんですね。
 きょうもずっと、午前中も議論があったように、介護人材確保のためのキャリアパスだとか加算だと政府も言いますけれども、一方でこうして従来型のサービスを低賃金でやらせるようなことは、絶対あってはならないと思います。大臣、いかがですか。
○塩崎国務大臣 もともと、この緩和型のサービス、特に地域移行する総合事業ということでありますが、これはやはりそれぞれの地域地域でのニーズにバラエティーがあるわけでありますから、そこで、それぞれの地域の担い手がサービスを担う。むしろ、専門性のある方々は本当に専門性のある方々がやるべきサービスに特化していただいて、そちらも人手不足なわけでありますから、そういう形で幅広く担い手を広げていく中で、それぞれのニーズに合った人たち、それぞれの得意わざを持った方々がサービスを提供する、そういうことで始めているというふうに思います。
 この四月から完全移行ということで、まだ移行期でいろいろなことがあろうかと思いますけれども、今局長から答弁申し上げたように、そういった多様な人材を地域で育てていくということで、やはり、専門性のある方々には専門性のある方々にふさわしい仕事に専念をしていただけるようにしていかなければいけないのかなというふうに思っております。
○高橋(千)委員 ですから、専門性のある方々にふさわしい仕事、まさか実費五百円の仕事を肩がわりするということはあってはならない、低賃金で専門職がやることがあってはならないということを確認させていただきたい。
○塩崎国務大臣 今申し上げたように、専門性のある方には専門性のある方にふさわしい報酬が払われるべきだということでございますから、基本的には同じ考えではないかというふうに思います。
○高橋(千)委員 確認をしました。しかし、そうなっていないので、対策をとっていただきたいと思います。
 それで、そうした中での我が事・丸ごとなわけです。私は、地域共生そのものを否定するつもりは毛頭ないんです。それぞれが地域で助け合って暮らしていくということはとてもいいことだと思います。だけれども、それは理念法だったらあり得るんですよね。それがなぜ地域包括ケアシステム強化のための介護法案の中に入っているのか。丸ごとなのに、なぜ厚労省が所管なんでしょうか。
○塩崎国務大臣 この我が事・丸ごとについてはいろいろ御議論を、桝屋先生の一言で盛り上がってまいりましたが、社会福祉法の改正案によって実現を目指すというのがこの地域共生社会ということでありますけれども、それについて、なぜ厚労省だけがやるんだ、こういうお話でありました。
 確かに課題が複合化しておりますし、それから、もちろん、高齢者に対する地域包括ケアシステムだけでは適切な解決策を講ずるというのは難しいケースにも対応できるようにしなければいけないわけでありまして、地域包括ケアシステムの強化につながるものであって、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案ということで出させていただいたわけでございます。
 何といってもやはり、福祉の中で今まで一番重きを置いてきているのは当然、高齢化が進む中で高齢者に対するものでありますけれども、福祉の縦割りというものでは、お互い、助けられる側、助ける側、それぞれ攻守所を変えるときもしばしばある中でございます。
 それから、福祉、介護、保健医療、そして住まい、あるいは就労、働くこと、そして地域社会からの孤立など、地域住民の世帯が抱える課題は大変多様であるわけでありまして、そういったものに対して実効ある対策を講じていくためには、生活に密着した分野の支援策を広く所管する厚生労働省がまずは中心となって、省内の部局横断的な体制をしっかりと構築する。
 それから、省内だけではなくて、これは、昨年の十二月に国土交通省と局長級の連絡協議会を、住まいに関して既に話し合いの場を、協議の場を設けてお互いに詰めているわけでありますが、御指摘の、例えば他の分野でいくと教育とか、それから今申し上げた住宅の分野などの関係省庁とも問題意識を共有しながら、御指摘のように、ひとり厚労省だけではなくて、他の役所ともしっかり連携をして、取り組みを主導していくのが厚労省の役割かなというふうに思っているわけでございますので、そのようなことで、今回、我が事・丸ごとを、社会福祉法の改正という形で、介護保険法の改正とともに出させていただいているということでございます。
○高橋(千)委員 時間の関係で、問いの順番を変えます。
 最後の資料を見ていただきたいんです。
 改革工程には「福祉事業者には、地域社会の一員として、地域住民とともに、地域づくりに積極的に取り組む責務がある。」と明記をしました。これが、前回の社会福祉法改正であえて書き込まれたわけでありますね。そういう中でこの三月三十一日付の通達が出されて、「社会福祉施設等の職員が行う地域活動の推進について」、前回、河野委員がこれをお取り上げになっておりますが、真逆の立場で、申しわけありません、質問させていただきます。
 これは何を言っているかといいますと、最後の「記」のところで、二つのことを言っていると思います。アンダーラインを引いていますが、「各社会福祉施設等の職員が取り組む地域活動のうち、当該社会福祉施設等の利用者を参加させる目的をもって行われるものは、利用者の自立等に資するものであり、」「福祉サービスの一環として行うことが可能です。」多分これは、介護であれば介護報酬の範囲だという意味だと思うんですね。
 「一方、各社会福祉施設等の利用者を参加させる目的をもたない地域活動は、当該社会福祉施設等がその利用者に提供している福祉サービスとは別に行われるものであり、」「時間帯と当該地域活動に従事する時間帯とを明確に区別すれば、当該地域活動を行うことができます。」これは、要するにボランティアをしなさいという意味かと思いますが、なぜこの時期にこういう通達を出したんですか。
○定塚政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年三月に成立した改正社会福祉法におきまして、先ほど御紹介いただきましたように、社会福祉法人において、より積極的に地域の福祉ニーズに応じたきめ細かい取り組みが推進されるよう、その社会福祉法人の本旨を明確化するという観点から、地域における公益的な取り組みを責務という形で法律上規定をしたところでございます。
 また同時に、ことし二月に取りまとめた「当面の改革工程」の中で、社会福祉法人を初めとする福祉事業者には、地域社会の一員として、地域住民とともに、地域づくりに積極的に取り組んでいただきたいということを述べているわけでございます。
 この二つのことを踏まえまして、ことし三月三十一日の通知は、社会福祉事業に従事する職員が、一定の要件のもとであれば地域活動を行うことができるということを明確に示して、積極的な取り組みを促すということとしたものでございます。
○高橋(千)委員 具体的にどういうことなのでしょうか、この下の部分ですね。時間帯を分けて、例えば休暇のときに自発的に地域のボランティアに参加する、それは関係ない話ですけれども、業務命令であれば、当然、労働者なわけであります。そうしたら、賃金はどこから出るんですか。
○定塚政府参考人 お答え申し上げます。
 この通知の第二段落のところで、時間帯を明確に区別すれば当該地域活動を行うことができるというふうに書いてございます。
 まず、社会福祉法上の地域における公益的な取り組みの実施、これ自体は責務を社会福祉法人に課しているものでございますので、責務として、法人の取り組みとして、いわば職員に参加を法人が促して、求めて、地域公益活動をやってくださいという場合、これはあると思います。こうした形で地域公益活動を実施する場合には、これらに従事する時間については、ほかのサービスの時間と切り分けて考える。ただ、この時間は勤務時間、労働時間でございますので、職員に、賃金については、就業規則や職員と法人との労働契約に基づいて適切に払われるべきと考えております。
 また、別の形として、職員の全く自発的なボランティアというのもあり得ると考えております。その場合は、当然のことながら、法人の方が強制的に参加させる、あるいは参加しなくてはならないという形ではなくて、本人の自発的な自由意思での取り組みということでのボランティアでなければいけないと考えておりまして、こうした場合には労働時間ではないというふうに考えられると思います。
○高橋(千)委員 もちろん、どんな立場の人だって、自発的に自分の時間の範囲でボランティアをすることはあると思うんですね。
 だけれども、今明確におっしゃった、命令があった場合は労働時間である、それは切り分けてと。切り分けるのはいいんですけれども、それは報酬からは出ないわけですよね。それは、法人の余力で賃金を払いなさいと言っているわけ。だから、最賃ならいいんですかという話になってきて、非常におかしい話になっているんです。
 しかも、そのことは一切この通達には書いてありません。ですから、通達のとおり命令をしてボランティアをやってもらいました、報酬を出しませんでしたということだってあるわけなんですよ。なぜそれを明確にしなかったのか。
 これは、ずっと議論をしてきた、我が事・丸ごとはいいけれども、結局、公的なところが補えないものをこうした形で法人のボランティアに期待しているということじゃないですか。
○定塚政府参考人 お答え申し上げます。
 さきの社会福祉法人制度改革におきましては、地域公益的取り組みと同時に、各社会福祉法人で内部留保が生じた場合には、それに基づいて、その剰余金を公益的な取り組みや地域活動あるいはほかの公益事業、社会福祉事業に回すべきだという規定も置かれています。
 こうした法人内部の財源を使いまして、当該職員が仮に勤務としてボランティアを命ぜられたという場合には、当然のことながら、きちんとした労働契約に基づいた賃金が支払われるべきであると考えております。
○高橋(千)委員 我が事・丸ごと、響きはいいですけれども、かなりその中身が透けて見えたのかなと思います。
 もっと時間が欲しいです。これで終わります。

 

――資料――

2017年4月14日厚生労働委員会配布資料

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