日本共産党の高橋ちづ子議員は7月26日の衆院復興特別委員会で、東日本大震災被災者への支援継続や強化を求めました。
9月末までとされる医療費・介護保険の窓口負担減免について、辻泰弘厚労副大臣は「他の災害との均衡も考えなければならない」と答弁。高橋氏は、宮城県保険医協会の調査で減免がなければ受診を控えていた人が9割もいたとして延長を求めました。
山形県内で避難生活を送る小中学生への就学援助が昨年の1066人から460人へと激減していると指摘すると、高井美穂厚労副大臣は、全額国庫負担で14年度まで措置しており、「市町村に(被災者に)配慮を要請する」と答えました。
防災集団移転事業の移転料は建物を評価するため、津波で流されたり解体した場合は補助対象になりません。 高橋氏は、被害が大きいほど低く算定されるのはおかしいとして補助対象の拡大を要求。平野達男復興相は自衛隊や自治体の依頼で解体した場合は「検討の余地はある」と述べました。
(しんぶん赤旗 2012年8月2日より)
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
復興特が久々に開かれたという声が午前から次々出されました。私も本当にそう思います。東日本大震災から五百日以上がたった。課題はやはり時々によって変わっていくわけです。制度や予算が整っても、現場ではさまざまな矛盾が生じています。ぜひとも、委員長にも委員各位にもお願いをしますけれども、定期的に復興特を行って、被災者に寄り添った支援、そして復興に国会も役割を果たしていきたい、このように思います。
そこで、きょうは、午前から被災地出身の議員が次々と登壇しまして、ダブっているものもあるんですけれども、私も、被災地からの切実な要望を踏まえて質問させていただきたいと思います。
最初に、医療費の窓口負担、保険料の減免制度の問題、先ほど小野寺委員も取り上げましたけれども、七月二十四日付で、東日本大震災被災者の医療費、介護保険の窓口負担と保険料等の減免制度の延長について事務連絡が出されました。
しかし、これは、延長といいましても、実際はどこが違うのか、つまり、もとに戻っただけなのではないかと思うわけであります。宮城県議会でも意見書が採択されています。地元紙の報道では延長が決まったかのように書いているわけですね。八割の負担で、二割は自治体負担じゃないかということを書いているんですけれども、ただ、それは、今までの災害での減免制度でも基本的には同じであって、ですから、原発事故の避難区域を除いては十月でこの制度をやめるということになりませんか。このことを確認したいと思います。
○辻副大臣 御指摘いただきました医療費、介護保険の窓口負担、保険料等の減免につきましては、先ほどの御議論もあったわけでありますけれども、東電福島原発事故に伴う国による避難指示等が行われた区域以外の被災者は、平成二十四年九月末まで減免に要した費用の全額を国が財政支援することにさせていただいているところでございます。
これは、阪神・淡路大震災のときには、震災発生後一年間減免措置に対する特別の財政支援をしていたことから、当初一年間の特別の財政支援を行うこととしていたところでありますけれども、今次、東日本の大震災に伴う被害の甚大さに鑑みまして、被災状況を反映した被災後の所得が判明し、保険料や自己負担額が被災後の所得に応じたものになるまで、さらに約半年間、特別に減免のための財政支援を延長したものでございます。
平成二十四年十月以降は、九月まで行われる国による全額の財政支援は延長いたしませんけれども、保険者の判断により、一部負担金等の減免措置を行った場合に財政支援できる既存の国保制度の仕組みを活用いたしまして、財政負担が著しい場合に十分の八以内の額を支援するということにさせていただいているところでございます。
○高橋(千)委員 結局、保険者の判断であるということ、そして既存の制度の活用であるということ、これは何か延長になったように期待を持たせるんですけれども、結局はそうではないということが改めて確認をされたかと思うんです。
でも、説明をされてきたように、これまで国が十分の十出して支援をしてきたことの状況と今被災地の状況は変わっているか、そうではないだろうということが言いたいわけであります。
資料の一枚目を見ていただきたいと思います。
宮城県の保険医協会のアンケート、窓口一部負担金免除に関する患者さんのアンケートなわけですね。もちろん、免除がなくなる十月からどうするかということに対して、まだこれにはついていませんけれども、回数を減らす、あるいはかからなくすると答えた方が三割いるんですね。その理由の七割が、やはり医療費の負担というふうになっています。
その内訳をちょっとこの資料にしたんですけれども、まず見ていただきますと、上の方は、一部負担の免除によって医療機関のかかり方がどうなったかということで、七八・二%の方がかかりやすくなったと答えています。そして、下の段ですが、免除される前はどうだったのかといいますと、我慢をしていたが三一・二%、回数を控えていたが五九・九%、合わせると九一・一%の方が、結局、免除があるまでは何らかの制限をしていた、自主的に制限をしていたということがわかると思うんです。
ですから、何か免除をすると医者にかかり過ぎるんじゃないかみたいなことを言う人もいますが、そうではなくて、これまで我慢をしていたんだ。それがようやっとかかりやすくなったということで、歓迎されている制度なんだということをわかっていただきたいと思うんです。
自由回答欄があるんですけれども、例えば、二重、三重の被害を受けたので、医療費負担がないだけでも助かる。現在も通院しているが、一部負担になると受診を我慢する、ぜひ継続をお願いしたい。免除前と同様に我慢することになるだろう。今回、免除でしたので、もしやと思っていた病気が判明し、通院しています。つまり、免除がなければ、もしやと思う病気がわからなかった、そういうことがるる語られているわけです。
ですから、免除制度があってありがたい、助かったと答えている被災者、一方では、仮設住宅など不自由な生活が続いている中で、被災者の状況は変わらない、あるいは悪化していると思うべきなんですね。ですから、今やめるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
○辻副大臣 現地の皆様方からの御意向を踏まえた御議論をしっかりと受けとめさせていただきたい、このように思うわけでありますけれども、やはり、私どもといたしましては、阪神・淡路大震災において一年間の期限でやらせていただいたものを、状況の中で半年間を延長させていただいた。
そして、その半年間を延長したということの意味は、国保の保険料等は前年度賦課でございますので、前年度の、震災発生後の所得が反映される保険料になるということでもあるわけでございまして、そういう状況の中で九月までやらせていただいて、それ以後、従前の、国保のもともとの制度の中での対応をさせていただきたい、このように思っているところでございます。
そして、それはやはり、限られた財源の中で他の一般の災害との均衡ということも考えなければなりませんので、そのような判断で対応させていただいたということでございます。
○高橋(千)委員 財源の問題ではないんじゃないですか。これまで平野大臣がお話ししてきたことから見てもそうですよ。
では、そこまで言うのでしたら、一体どれだけ財政に響くというんですか。
○辻副大臣 現在、全額補助させていただいておりますのは、一般会計のいわゆる税ではございませんで、国保の制度の中の特別調整交付金でもって対応しているのが現行でございます。そしてまた、十月以降も国保の特別調整交付金の中で対応しよう、こういうことでございまして、財源という意味では国保の財源の中でのやりくりということでございますので、そういった意味では、一定の制約がある、こういうことでございます。
○高橋(千)委員 ということで、国保の中でのやりくりですから、国が丸々負担しているわけじゃないんですよ。結局それは自治体にはねていくじゃないですか。目の前に困っている人たちがいて、自治体はこれまでと同じように続けたい、だけれども国は支援を打ち切るとなれば、結局そこが自治体にはねて、もっと財政の厳しいところにしわ寄せが来るんですよ。
そういうことをきちっと見ていただきたいということを重ねて指摘したいと思います。これはまだ結論を出さないでほしいと重ねて指摘をしたいと思います。
そこで、ちょっと参考になるかと思いますが、資料の二枚目を見ていただきたいと思うんです。
これは山形新聞の六月二十一日付です。「就学援助千六十六人」というタイトルがあります。これはちょっと大きな書き出しのところを見ていただければと思うんですが、東日本大震災に伴って避難生活を送る小中学生に対する市町村の就学援助について、これは山形新聞が調べて、二〇一一年度が二十八市町村で計千六十六名いたことがわかったんですね。これは比較していただくとすぐわかるように、ところが、今年度は四百六十名に減っているんです。その記事で説明しているのは、背景にあるのは、今年度から就学援助制度本来の基準に近づけると。
つまり、これまでは被災者ということで弾力的な運用をしていたんだけれども、今までのような就学援助の見方でやっているというところがあるのでどうしても減ってしまったのではないか。問い合わせがあるんだけれども限界があるという山形市の声ですとか、所得にかかわらず支援していたけれども十二年度は所得基準を設けたという米沢市の例とかを書いているわけであります。
本当は、これは文部科学省が、国庫補助十分の十という形で、被災者に考慮した弾力的な運用を行って支援をしていたと思うんですね。当然、これは今後も自治体に負担なく継続してほしいと思っているわけですが、どのようになっているでしょうか。
○高井副大臣 東日本大震災で被災して就学が困難な状況となった児童生徒に対する就学援助事業については、従来から実施している就学援助事業とは別に、平成二十三年度補正予算において、被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金ということで、全額国庫負担ということで措置をいたしました。
この臨時特例交付金は、平成二十四年度から二十六年度までの三年間にわたって必要な就学支援を行うということができるように所要の経費を措置したということでございますけれども、この事業は、被災児童であり、就学困難な状況となった児童または生徒というものを対象にしておりますが、その具体の認定要件につきましては、実施主体である各市町村教育委員会において判断することというふうにしておりまして、認定の手続についても可能な限り弾力的に行うように要請してきているところであり、委員の御指摘のとおり、これからも弾力的に要請をきちっとしていきたいというふうに思っております。
この実施主体である市町村教育委員会においてこれからも配慮をしていただくように、また弾力的な運用が行われるように、引き続きしっかり要請してまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 山形市の自主避難の問題を前に取り上げたことがあったんですけれども、やはり、自治体にしてみると、もともと自治体の住民である、そして援助が必要ないろいろな方たちがいるという中で、なかなか被災者にだけということが難しいということが背景にあるのかなと思うんです。
でも、今お話があったように、別枠の臨時特例交付金という形で、しかも二十六年度まで実施をされるわけですし、避難をしているという特別な事情、母子が別れて暮らしているという状況もあるわけですから、本当にそれがきちっと地元の住民にも理解をされて、それで分断にならないようにきちっと周知徹底をしていただいて、大いに活用していけるようにしていただきたいなと思います。
やはり、別枠でなきゃだめなんですよね。これを辻副大臣にもう一回言いたかったわけであります。同じように制度の枠の中でやると矛盾が生じるわけですので、ぜひ文科省には引き続いて、今お話ししていただきましたので、周知徹底をお願いしたいということと、厚労省もそういう視点で考えていただきたい、これは要望にとどめたいと思います。
次に、午前からも、秋葉委員も繰り返し取り上げてきたことでありますけれども、党としても市議会でも繰り返し求めてきた被災土地の買い取りの問題であります。先ほど来聞いていても大変つれない返事が繰り返されておりますけれども、防災集団移転促進事業における移転料が、建物が残っていないと全然出ないという問題です。
それで、資料の三枚目を見ていただきたいんですけれども、これは六月二十二日に仙台市議会が出している意見書であります。「一日も早い復旧・復興に向けた支援拡充を求める件」ということで、全部は読めませんので、真ん中にアンダーラインを引かせていただきました。
それで、「防災集団移転促進事業において、国庫補助による移転跡地の公費買取りには移転跡地に残存する住宅等の移転料が含まれるところ、当該移転料は住宅等の被害が大きいほど低く算定され、」ここが大きなポイントなんですね、「被害が大きいほど低く算定され、津波で流出した住宅等は補助の対象とならず、さらに、本市はこれまで公費による被災建物の解体撤去を推進してきたところ、すでに解体撤去された住宅等も補助の対象とならず、事業の進行を阻害する要因となっている。」ということで、被害が大きいほど逆に低くて、そして流出すれば対象とならなくて、市が率先して解体をやりましょうと言ってきたら、逆にそれがあだになってしまったと言っているわけです。
どう考えても矛盾する話ではないか。制度の枠でできないことであれば、制度を柔軟に対応する、大臣特認という制度もあるはずですから、そういう見方ができるのではないか。まず、国交の津島政務官にお願いします。
○津島大臣政務官 高橋委員の質問にお答えをさせていただきます。
今先生御指摘の防災集団移転促進事業に伴います移転促進区域内の土地買い取りに伴う建物移転料につきましては、他の公共事業と同様でありますけれども、土地の買い取り契約時点における建物の状態に基づいて算定されるものであるため、その時点で既に存在しない建物につきまして、存在した時点での評価を想定して移転料を支払うことはできないというのは事実であります。
しかし、なお被災地の円滑な復興を図るためには、防災集団移転促進事業により移転される被災者の負担ができる限り軽減されることが重要であるということは認識をしております。
移転先で宅地を取得して住宅を建設する場合でありますが、住宅金融支援機構による災害復興住宅融資、あるいはまた、防災集団移転促進事業によるローンの利子相当額補助などの措置によりまして住宅の再建を支援することとしております。
また、自力での住宅建設が難しい移転者につきましては、地方公共団体による災害公営住宅の整備に対する支援を充実しているところであり、国土交通省といたしましては、一日も早い復興が実現するよう、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 政務官、制度、融資もあるとか公営住宅もあるとか、これは順々に質問していきますから、制度解説は必要ありません。考え方の問題を聞いているのであります。
平野大臣には先ほど来つれない答弁があるわけですけれども、改めてやはり認識していただきたいと思うんです。制度はこうだというのはもう十分わかっています。でも、やはり特区制度というのは、そもそも特例という発想からきているわけですから、なぜそれに値しないのかということなんです。
建物が残っているかどうかでどれほどの違いがあるのかということで、仙台市が説明している資料を見ますと、一番新しい、築十年で、被害が軽い場合で、延べ床面積八十平米で五百五十万円です。これはあくまでも目安ですけれども。百六十平米ですと一千五十万円にも上ります。築四十年が、もう既にゼロも出てくる年数ですけれども、それでも、八十平米で五十万円、百六十平米だと百五十万円という評価があるわけですね。これが全くゼロになってしまう。幾ら何でもひどいじゃないかということであります。
それと、他の制度との比較ということをよくおっしゃるんですけれども、災害減免法における建物被害の考え方は、住宅を流失した場合は一〇〇%評価をします。その上で、もちろん、保険金が支払われた場合は控除するとかそうなりますけれども、建物がなくてもそれは当然、全流失ということでやるわけですから、そういう考え方ができるじゃないかと思いますが、平野大臣、いかがですか。
○平野(達)国務大臣 この問題、なかなか難しい問題だというふうに思います。
一つだけ、防災集団移転促進事業の趣旨からいけば、土地の買い取り時点で建物がないものについては買い取りができない、評価できないということについては、事業としての一つの完結性からこれは御理解をいただきたいというふうに思います。
しからば、残っている家屋についてどのように評価するか。
きょう午前中の議論の中では、自衛隊から頼まれたというお話もございました。今回の場合では、市の方から言われて解体をしたということもございます。そういったことについてどこまで今回措置をするかということについては、これは検討の余地はあるかとは思いますけれども、先ほど政務官からもお話がございましたけれども、今回の防災集団移転事業、さまざまな支援措置によって手厚く、かなり手厚く支援をされているということもぜひ御理解をいただきたいと思います。
ちなみに、残っている家屋が例えば半壊状態、それからほとんど一部被害だということになりますと被災者生活支援金の額は出ませんが、全部流されますとこれは全壊で三百万円の支援が出るという、そちらの違いもあるということもぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 残っているといっても、その残っている人たちが、そこには、津波で流された地域には、再建できない人と全く残されたところと差があるのはおかしい、そういう話をしているわけで、先ほどの議論があった、自衛隊から頼まれた云々は当然なんですけれども、市議会が言っているように、被害が重いほど逆に支援が少なくなるというのはおかしいだろうということをやはりきちっと見なければならないと思います。
今の話も次のところで出てきますので、ちょっと話を進めたいと思うんです。
それで、抵当権の問題なんですけれども、これもちょっと午前の部で出たわけですけれども、七月に仙台市議会が要望書を出しております。津波で被災した土地、建物の抵当権の解除や残債の返済、新規ローンの設定などが円滑に行えるよう、取扱指針の策定など、防災集団移転事業等が円滑に進むための措置を講じること。
それで、市が言っているのは、確かに、答弁があったように、金融機関としては、債務が返済されていなくても、完済できていなくても、抵当権は外すことができるんだと言っています。でも、やはり何らかの指針、ガイドラインみたいなものを示して、差がないように徹底してほしいというのが要望なんです。いかがなんでしょうか。
○遠藤政府参考人 お答えいたします。
抵当権の抹消については、今先生おっしゃいましたように、金融機関の金融実務といたしましては、これまでも、宅地等を売却して、その代金を住宅ローンの返済に充てる場合には、住宅ローンが完済されたか否かにかかわらず、抵当権の抹消に応じてきているといったことが金融実務として行われてきたということだと思います。
今般の防災集団移転促進事業における抵当権の扱いに関しても、まさにこの促進事業をいかにして促進するかという観点でございますので、これまでの金融機関の取り扱いと同じように、あるいはそれ以上に、被災者の実態に応じた柔軟な対応がなされなければいけないというふうに考えております。
我々、被災地の金融機関とは密接に連絡をとり合って、いろいろな情報を仕入れ、適宜適切に指導監督しているわけでございますけれども、そういった方向をこれからも強化いたしまして、被災地の金融機関が適切な措置を講ずるように指導監督してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 そこで、個人版私的整理ガイドライン、七月二日現在でいただいた数字で二千百九十九件の相談がある。まだ、債務整理の成立は三十三件にすぎません。ただ、準備中が六百二十九件ということで、なかなか最初の一件が出なかったことから見ると、少しずつ進んできたのかなと思います。
金融庁の調べで、金融機関に対して住宅ローンの一時停止をしている件数が一千百十一件だそうです。ここが、本当に視野に入って解決をしていけば前に進むのではないか、そのように思っているんです。
ところが、現場で言われているのはどういうことかといいますと、被災者が仕事が少しでもありますと、収入があるだろう、では払えるんだからということで、私的整理にはならなかったというわけなんです。そうすると、私的整理の対象にならないから、抵当権も外せません、防集の対象にもなりません、こういうふうになっていくわけですね。
そうすると、これは見直しで、手元資金五百万円まではいいですよというふうに柔軟にやったんだけれども、それだけでは解決できない。一生懸命仕事をして、頑張って再建を目指している人が逆に前に進めないということにもなるんです。
こういう事情に対して少し考慮していただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員の今の御指摘は、私的整理ガイドラインのまさに運用に関してでございますけれども、私的整理ガイドラインに関しましては、まさに金融機関側から債務者に対して働きかけて、私的整理ガイドラインの適用を受けるという方策もあるんだという形で、私的整理ガイドラインに移りますと弁護士も入ってきますので、そういった形でより客観的に被災者の支援の道が広がるといったことだと思います。
我々、一般的に私的整理ガイドラインの広報に努めているところでございますけれども、それだけではまだまだ足りないところがございますので、金融機関のルートを通じて直接に被災者に働きかけるといったことについて、より強化していきたいと思います。先日、そういった形で、金融機関に対して改めて要請を行ったところでございます。
そういった方向に従って、我々、私的整理ガイドラインの運用がより一層進むように、適切な監督を行っていきたいと思います。
○高橋(千)委員 ぜひお願いをしたいと思います。
せっかく仕事をしながら再建を目指している人たちが結局次に進めないというのでは、やはり趣旨が違うだろうと思いますので、徹底していただきたいということで、よろしくお願いしたいと思います。
それで、宅地被害の方が、これはまた逆に、津波被害のようにもいかない事情がございます。仙台市だけでも四千戸と言ってきたわけですが、もう既にふえまして五千八十戸になっているわけですね。
それで、例えば、仙台市泉区陣ケ原というところがあるんですが、十一戸くらいのちっちゃい単位なわけなんですね。これが九戸集まって、市にも交渉しようとみんなで話し合ってきました。ただ、余りにも時間がたち過ぎて、遅々として進みません。そういう中で、もう全部壊してしまって自力で再建をした方、さまざまいるわけですね。そうすると、防災集団移転の五戸以上がクリアできないということになってくるわけなんです。
五戸だって特例なんだからとおっしゃるかもしれないんですけれども、現実に時間がたっていくと、そういう問題がやはりできてくるんだと思うんですね。でも、その五戸を満たさないんだけれども、最終的には一つのコミュニティーになっていくわけですから、こういうところも柔軟に対応していただいてよろしいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○平野(達)国務大臣 防災集団移転事業につきましては、今回の震災においては十戸から五戸に緩和をしたということでございますけれども、さらに、実際にこれを適用するに当たっては、原則五戸という言葉を使っておりまして、地域の実情に沿った形での対応は認める、実情に沿った形で実質的に対応できる場合もあるというふうに考えておりまして、それは個々のケースで、担当者との協議の中で対応させていただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 ぜひ、小さな単位だけれどもコミュニティーをつくっていくんだということに対して見ていただきたいということを強くお願いしたいと思います。
それで、資料の四枚目を見ていただきたいんです。さっきお話をしかけたものなんですけれども、これは気仙沼がつくった資料ですけれども、がけ地近接等危険住宅移転事業と防災集団移転事業が、いわゆる負担がどれほど違うかというのが一目でわかります。
防災集団移転に比べると、対象にならないからがけ地を使って移転をする人たちも、やはり土地の買い上げなどがないために負担が非常に大きいわけです。でも、それでも、まだ利子補給というのがあって、上限が七百八十六万円かな、それだけでも使えるというのは非常に大きな意味があるわけなんです。
ところが、災害危険区域の指定が必要である。気仙沼市が区域を決定、公示をしたのはことしの七月です。余りにも遅いんですけれども、それは市を責めるわけにはいきません。国の復興計画の方針や財政の枠組みが見えなかった、だから描けないことがあったわけです。
こうした中で、指定を待たずに移転をした世帯がもう既に五百戸を超えているというんですね。遡及ができないかという要望が強く出ていますし、ほかの自治体からも出ていると思うんですが、いかがでしょうか。
○平野(達)国務大臣 自助努力で移転をされた方に何とか支援をできないのかということについての考え方というのは、考え方としては理解をしなければならない、理解ができるというふうに思っています。
しかし、これは、別な見方をしますと、個々の住宅再建に対して、これは午前中も申し上げましたけれども、国としてどこまで支援をするかという基本的な課題になってまいります。
このことにつきましては、今回のような例というよりは、個々の住宅再建に国がどこまで関与すべきかということについての観点からこれは議論すべきだと思っておりまして、被災者生活支援法においては、一戸全壊のものについては三百万円という、これは前の阪神・淡路の時代のときにはない制度ではございますけれども、こういった点の拡充、それからあと政策金融についてのさまざまな措置等々、これまでにない措置が今は用意されております。
こういった観点で、さらにどこまでやるかということにつきましては、これは慎重の上にも慎重な議論が必要ではないかというふうに私は思います。
○高橋(千)委員 この表にあるように、二千四百万を超える負担がかかる移転に対して、被災者再建支援金の三百万円が唯一の支援なんだ、そういう実態なんです。だけれども、それはどこまでやるかという問題ではなくて、これは線引きがされたタイミングの問題なんです。
気仙沼の菅原市長は、被災者には三月十一日という起点しかないのです、このように述べられました。非常に重い言葉だと思うんです。国の都合で、あるいは国会の都合でたまたま決まった施行日ですとか、補助の対象の発効する日とか、その日によって明暗が分かれている、こういう実態があるんだということもしっかり見ていただいて、もちろん、どこまで踏み込むかということはさらに議論していかなければならないですけれども、よく検討をしていただきたい。不利益なものは遡及しないのが原則だけれども、被災者のためには遡及していいんだということを強く求めて、終わります。