国会質問

質問日:2017年 2月 9日 第193国会 予算委員会

被災地医療費等減免制度、国保料滞納者への差し押さえ問題

「一律の保険料求めない」
国保の都道府県化 高橋議員に厚労相

 塩崎恭久厚生労働相は9日の衆院予算委員会で、都道府県ごと一律の国民健康保険料になれば大幅な保険料アップにつながるとの指摘を受け、「一律の保険料水準を求める仕組みとはしていない」と述べました。2018年度以降も市町村の条件に合わせて保険料を決めることができるとの認識を示したものです。日本共産党の高橋千鶴子議員に対する答弁。
 国保は現在市町村が運営し、18年度に市町村から都道府県に運営主体が移ります。多くの自治体が国保料(税)額を抑えるために一般会計から繰り入れをしています。都道府県への移行で繰り入れがなくなり、保険料の大幅引き上げを危惧する声が上がっています。
 高橋氏は、同じ青森県内でも保険料が最も高い平内町(約11万円)と無医村の佐井村(約6万5千円)では1・68倍の開きがあることを紹介。「格差を考慮せずに保険料統一となれば、大変な負担増になる」と指摘しました。
 塩崎氏は「医療水準に応じた負担が公平感の確保につながる場合などには、医療水準に応じた保険料水準とできる」と答弁。「今後、各都道府県において市町村と十分な議論が行われ、適切な保険料水準が決定されていくものと考えている」と述べました。
 高橋氏は、都道府県が市町村に交付する国保の調整交付金が、市町村を国保の差し押さえ競争に駆り立てる道具として使われている実態を告発。東京都では、新規差し押さえ件数が多い自治体ほど多額の交付金を受け取れる仕組みが導入されています。
 高橋氏は「国が自ら手を下さなくても、都道府県が(市町村を)差し押さえや滞納処分を競わせるようなことはあってはならない」と追及。塩崎氏は「直ちに否定すべきものではないと考えているが、まずは実態を調べてみたい」と答えたため、高橋氏は改めて調査を求めました。(論戦ハイライト)

(しんぶん赤旗2017年2月10日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょう朝から、稲田大臣それから金田大臣の答弁について、非常に審議がとまるような事態が起こっております。私も本当に言いたいことはいっぱいあるんですが、きょうは、大事な質疑を控えていますので、取り上げません。
 ただ、これまで述べてきた答弁とそごがないのかどうか、そのことはしっかりと精査して、そのための時間はしっかりと審議で補充していくということを集中も含めて決断していただきたい、このことを委員長に一言申し述べておきたいと思います。
○浜田委員長 理事会で協議します。
○高橋(千)委員 東日本大震災から、間もなく五年十一カ月になろうとしています。政府は、復興集中期間は終わり、復興・創生期間だと言っております。マンションのような災害公営住宅が次々と建ち、新しい建物や道路も建ち並ぶ中で、被災者の現状が見えなくなっているのではないでしょうか。
 限られた時間なので、きょうは、国保を切り口に質問したいと思います。
 二〇一一年三月から一年間、政府は、全額国費で医療、介護の一部負担金並びに保険料の減免制度を行いました。二〇一二年十月以降は、自治体が減免制度に取り組んだときに、その八割まで補助を行うことになりました。
 これは別に、国保の仕組みそのものを利用したものであって、特別な手当てではないわけですが、岩手県は、その残り二割を県と市町村が分け合って、制度を続けております。福島県は、避難指示区域には継続されております。宮城県は、県が独自の補助をやめましたので、今、市町村だけで頑張っているのが九市町村残っておりまして、大きく格差ができている状態であります。
 資料の一枚目につけておりますが、みやぎ県民センターの調べでは、免除が打ち切られた方は七四・三%、四人に三人がもう減免措置がありません。その中で、持病ありが九四・八%、健康不安がある、九七%にも上ります。持病がある方の九割近くは受診しているものの、その理由は、服薬を中断できないから治療をやめるわけにはいかないと答えていること、また、ここにはないんですけれども、そのうち三割近くが、今後は回数を減らしたり、やめると答えていることも深刻であります。
 そこで、塩崎大臣に伺いますが、政府は、免除が打ち切られた後の被災者の現状を把握しているでしょうか。改めて、この免除制度を国として復活、継続すべきと考えますが、お答えください。
○塩崎国務大臣 今、高橋委員から免除制度の継続問題につきましてお話をいただきましたが、今お話のあったとおり、東電の福島第一原発事故に伴う避難指示区域等については、国民健康保険等における一部負担金の免除額に対して、原則、国が全額を財政支援しております。その他の区域においても、被災状況に応じまして保険者の判断により減免を実施し、減免に要する費用の負担が著しい場合には、減免に要した費用の十分の八以内を国が財政支援する、こうなっているわけでありまして、これらの措置については来年度も引き続き実施をする予定でございます。
 把握をしているかどうか、この問題でございますが、東日本大震災の被災者に対する医療費の一部負担金の免除については、被災地全域において、平成二十三年三月から約一年半の間、一部負担金の免除額の全額について財政支援を行っていたわけであります。
 平成二十四年度以降は、避難指示区域等を除く特定被災区域では、減免による財政負担が著しい場合に、今申し上げたとおり減免に要した十分の八以内を財政支援していますけれども、平成二十四年十月以降、例えば岩手県内の市町村では一部負担金の免除が引き続き実施をされておる一方で、宮城県内の一部の市町村では、お話のありましたように、平成二十八年度から免除措置を取りやめたところがあるというふうに承知をしております。
 こういった点について、震災から約六年が経過をする中で、他の災害における対応との均衡を考慮いたしますと、段階的に本来の医療保険制度の姿に戻していくこと、これはやむを得ないものと考えているわけでございますが、厚労省としては、被災者の方々の生活の状況に応じて市町村の判断によって一部負担金を減免できる仕組みを設けておりまして、引き続き、必要に応じてこの仕組みを活用し、被災者支援が行われるように取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございますので、しっかりと見てまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 現行の支援制度は続くということを改めて確認させていただきました。
 ただ、私、現状を把握していますかと聞いたのは、制度がいついつどうなってというのは、私がしゃべったことを繰り返さなくていいんです、結局、被災者の実態はつかんでいないのかな、だからやむを得ないという答弁になるのかなということを指摘したいと思うんですね。
 宮城県の調べで、災害公営住宅に入居している方は一万八百九十五人、そのうち約八割が、月収八万円以下という特別家賃低減対象世帯なんです。実は、受診を中断している人の中には、災害公営住宅の家賃がとても高くて負担だということを理由に挙げている方があるんです。
 軽減措置はもともとあります。初めの据え置き五年間はあるんですけれども、それは正規の家賃の三割程度、それでも高いと言っている。ですが、これは順々に戻っていくわけですよね。正規の家賃に近づいて、まさに今六年目ですから、四分の一、四分の一というふうに近づいていって、十年目では普通になってしまうんです。ですから、二倍、三倍と家賃が上がっていきます。どのくらい上がるのか心配だ、家賃が上がったら暮らしていけないという声があふれているんです。
 次は、今村復興大臣に伺います。
 まず、公営住宅に入居したら、もう自立だ、そう簡単には言えないはずです。それで終わりではないという認識を共有できますか。そして、改めて実態調査を行い、払えない人たちには家賃減免の継続など特別な対策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
○今村国務大臣 災害公営住宅にお入りになった後も、これで終わりということではなくて、心身のケアあるいはコミュニティーの形成、そしてまた生きがいづくり、そういったことについては大変重要だと思って支援しているところであります。また、それに関連して家賃の話が今出ましたが、これは、一般のルールに加えて、特に東日本の災害公営住宅云々については特別な対応をしてまいったところであります。
 これからも、できるだけ、個々の入居者の実情というものはそれぞれの自治体が個別に実態把握してありますので、そういったことも勘案しながら、ルールはルールとしながらも、そういった配慮もできるということで指導もしてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 昨年の本委員会でも、仮設や公営住宅での孤立死について私は取り上げました。
 今、党県議団の調査の中にも、例えば、公営住宅が百五十九世帯ある、集会所が開くのは月一回の茶会、それも集まるのは十二名から十三名くらい、住民同士のコミュニケーションは全くとれず、いざこざや病人が絶えない、救急搬送が多く、一年半で十二名も死亡者が出ている、こういう実態を訴えられています。
 せっかく助かった命を生活苦や孤独のうちに閉じる、こんなことがあってはなりません。丸六年になろうとする今こそ、被災者一人一人の実態をつかみ、対応していくべきだと強く求めたいと思います。福祉措置をあわせて取り組んでいただきたいと重ねて申し上げたいと思います。
 実は、先ほどの塩崎大臣の答弁にも関係するんですが、私は、今の社会保障制度がもっと安心できるちゃんとした制度であれば、あるいは改悪がこれほど進んでいなければ持ちこたえられたのではないかと考えているんです。
 今、全国で、国保が高過ぎる、払いたくても払えないという声は大きいです。現在、滞納世帯数は三百三十六万四千二十三世帯、一六・七%です。非常に多いと思うんですが、実は、世帯数はこれでも減っているんですね。しかも、収納率は上がっているというんです。これはどうでしょうか、またそれはなぜか、簡潔にお答えください。
○塩崎国務大臣 社会保険方式をとっているこの国民健康保険は、年齢や就業形態にかかわらず、負担能力に応じて加入者の方々に保険料を適正に負担していただくという中で回っていく制度でございます。
 そのためには、収納率の向上に向けて各市町村において取り組みを進めていただくことが必要であることから、平成十七年に収納対策緊急プランというのを策定いたしました。口座振替あるいはコンビニ収納等の多様な保険料の納付方法の確保とか、あるいはコールセンターの設置、活用による納付勧奨の実施といった収納対策の具体的な実施方法を例示することで、それぞれ市町村で行っていただいているわけでございます。
 近年保険料の収納率が向上していることについてのお尋ねがございましたが、保険料の収納率の変化には、今申し上げたような市町村による収納努力がまずベースにあるということに加えて、各地域におけます加入者の所得の総体的な改善あるいは就労状況の改善、さらには高齢者からの年金天引きによる保険料の徴収がふえていること、あるいは低所得者への保険料軽減の拡充によって保険料水準が総体的に納めやすくなっているということなども影響するものと考えておるところでございますので、こういった要素が複合的に効果があって上がっているというふうに考えております。
○高橋(千)委員 収納努力の中身が問題なんですね。
 資料の二枚目を見ていただきたいと思うんです。
 当時は最高で九六・四七%まであったものから、ずっと下がっていきまして、リーマン・ショック後に底を打って、今は五年連続で上がっております。間もなく速報値が出ますが、さらに収納率は上がるようだということを聞いております。
 その下を見てください。これは差し押さえ件数であります。これも同じように上がっているわけなんですね。順調に伸びて、今や二十七万七千三百八十一世帯、九百四十三億円も差し押さえられているということであります。
 資料の三を見てください。
 これは厚労省の資料をもとに大阪社保協がまとめた資料ですが、全国都道府県国保差し押さえ率ランキングであります。一位は群馬県、三三・四%。つまり、三世帯のうち一世帯は差し押さえがされている。一世帯、一件当たりの差し押さえ金額は二十五万五千五百二十六円だ、こういうことがわかっているわけなんです。一体どんなことが行われているのか。
 次の資料を見ていただきたいと思うんですが、これは昨年十二月十四日の朝日新聞であります。「「先進」前橋の市税収納率改善」ということで、差し押さえ件数が突出していると、大きな見出しがあります。
 二段目のアンダーラインのところ、督促状を送って云々やった後に、「動きがないようなら、財産調査をしたうえで差し押さえに至る。この間は四カ月と短い。」と、担当者の声を書いているわけです。
 そして、左側の真ん中のアンダーラインから見ていただきたいと思います。「前橋市内に住む六十三歳と七十五歳の夫婦は自動車修理業を営む。十数年前から経営が悪化し、国保税などを滞納している。その結果、「自宅と年金が差し押さえられ、一週間後どうなっているかわからない生活」。 自宅は既に差し押さえされ、先月下旬には地裁から競売にかけられる知らせが届いた。今は水道も引かれていない修理作業所内にプレハブ小屋を建て、約六畳の部屋に寝泊まりする。 夏はクーラーなしで過ごした。「熱中症で死んでしまえばよかったのかもしれない」」こういう声が紹介をされているんです。これは先進事例として、全国の視察も相次いでいるというんですね。
 厚労省は、このような差し押さえを奨励しているんですか。
○塩崎国務大臣 今、群馬県前橋市の例あるいは群馬県のお話を頂戴いたしましたけれども、前橋市を見てみますと、市税、国保税あわせて収納率の強化が図られておるようで、自主納付の推進を図る観点から、催告、戸別訪問、コールセンターによる呼びかけなどを行って、負担能力がありながらこれらの呼びかけに応じていただけずに、自主納付の見込みがないと判断されました場合には滞納処分を行っていると聞いているところでございます。
 その際、滞納額が余りに高額になることで滞納者が経済的により苦しくなるということを防ぐために、早い段階から呼びかけを行って、早期の滞納解消に努めているというふうにも聞いておるわけでありますが、支払い能力があって、保険料を納付することができない特別の事情がないにもかかわらず納付交渉に応じていただけずに納付が期待できないと判断される方については、差し押さえ等の滞納処分を行うことはある意味やむを得ないと考えるわけでございます。
 一方で、国民健康保険の加入者にはいろいろな事情を抱えていらっしゃる方々がおられるわけでございますので、これまでも、市町村に対しまして、それぞれの事情をよく相談していただいてきめ細かな対応を行うように厚労省としては求めておるところでございまして、市町村においてはこれらを踏まえて適切に対応していただきたいというふうに私どもは考えております。
○高橋(千)委員 今の答弁は矛盾していると思うんですね。
 滞納額がたまり過ぎて余りに高額になったら経済的に困窮してしまうから、早く差し押さえするんだと言いました。それで、家を差し押さえられて、今にも亡くなるかもしれない、そういう状況が起きているんですよ。それを、余りに高額になるから経済困窮するというのは、逆さまじゃないですか、言っていることが。もう早く死んでしまいたいとまで言わざるを得なくなっている、それは行き過ぎたやり方だ。
 今おっしゃったのは、国税徴収法にもちゃんと書いてあります。それは、最低限の生活が守れなければ滞納処分をやめるという意味なんですよね。行き過ぎたやり方でしてはいけない、それはきちっと言ってくださいよ。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたのは、早い時期から呼びかけを行って、早期の滞納解消に努めているということを申し上げているので、早い時期から滞納処分を行うということを申し上げているわけでは決してないわけであります。
○高橋(千)委員 確認をしました。
 これは、きちっと厚労省の納付手順の流れがあって、何度も何度も相談をし、必要であれば生活保護につなぐとか書いています。実際書いているけれども、窓口で聞くと、そこに生活保護の窓口があるからと言っているだけで、何もつないでくれていないというのが現場の声でありますので、これはしっかりと、言っているとおりに丁寧な対応をしていただきたい。まして、それが命につながるようなことはあってはならないと指摘したいと思います。
 それで、資料の五枚目を見ていただきたいんですね。これはまさに早目の呼びかけなのかもしれないんですが、この呼びかけはどうか。
 「強制処分目前の状況です!!」かなりどぎついチラシですが、これは、住民税を滞納した業者の方に大田区が送ってきた督促の中に入っていたものであります。
 「文書催告」「差押」「強制捜索」とだんだん字が大きくなっていくんですけれども、「差押」の中を見ていきますと、「繰り返し、文書催告しても納付頂けない場合、やむを得ず差押処分を執行します。年間数千件の実績があります。なお、銀行や保険会社の他に勤務先や取引先にも調査が及ぶため、社会的な信用が著しく低下する場合もあります。」もうこれだけで震え上がるんじゃないかなと思うんです。
 しかし、その先に「強制捜索」というのがある。「最終手段として、自宅や事務所等の強制捜索を定期的に執行しております。警察官が同行して滞納者宅の捜索を行いますが、本人にとっては寝耳に水の出来事で、かなりの衝撃を伴うことになります。強制処分の為、留守の場合は、鍵を破壊して室内に進入します。多人数で実施する為、ご近所への影響も小さくありません。」
 大臣、このような督促の仕方を認めるんですか。
○塩崎国務大臣 今お配りをいただいている資料につきましてまず申し上げなきゃいけないのは、御指摘の文書というのは、国民健康保険に関するものではないということがまず第一でございます。国民健康保険の保険料の徴収のためにこのようなことを言われる筋合いにはないと思っておりまして、これは地方税の強制処分についての文書であると思われます。
 実際にどのような状況下で、どのような意図で送付をされたものかということは我々が知る由もないわけでございますが、その是非について申し上げることは困難でございますけれども、一読したところ、確かになかなか厳しい表現というのが率直な私どもの感想でもございます。
 先ほど申し上げたとおり、国民健康保険の加入者にはさまざまな事情を抱えられている方々がおられますから、これまでも市町村に対して事情をしっかりと聞いてきめ細かく対応すべきだということを申し上げてきていることはさっき申し上げたとおりであって、国税徴収法においては、給与とかあるいは社会保障制度に基づく給付のうち、最低生活費相当額や税、保険料など一定の部分については差し押さえることができない旨規定をされておるところでもございます。国保税やあるいは国保保険料の滞納処分に当たっては、これに従って実施する必要があるというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 まず確認をしたいんですが、国保税の差し押さえや捜索に当たっても国税徴収法に準じてやっていると言っています。ですから、立会人がないもとで、まして留守ですから、本人が拒む余地もないわけです。それに対して、鍵をこじあけてまで、壊してまで入るということは違法ではないのか、これは違法な場合があるということを質問しています。
 それから、国保ではないとお答えになりました。たまたまこの事例は地方税ですけれども、当然あり得るんですね。なぜかというと、二〇一四年度の国保の財政状況によると、既に八百三十七の保険者、四八・八%の保険者が捜索を実施しております。
 改めて、行き過ぎた差し押さえ、捜索になっていないか、これを調べるべきではないでしょうか。
○鈴木政府参考人 御指摘のございました国税徴収法第百四十二条第三項でございますけれども、強制処分としては、徴収職員は、捜索に当たり、滞納者に閉じてある扉、金庫等を開かせ、または滞納者が不在の場合等に限り、みずからこれを開くための施錠の除去等必要な処分をすることができるということになっております。私ども、国民健康保険の保険料、国保税等の徴収に当たりましては、この国税徴収法に従いまして手続を行うということになっております。
 また、大臣からも申し上げましたけれども、さまざまな御事情を被保険者の方等が抱えておられますので、市町村等を通じましてそういう事情はしっかりと把握していきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 この問題、何度も取り上げてきているんです。かつて厚労委員会で、柳沢伯夫厚労大臣から、苛斂誅求のそしりを受けないようにという答弁もありました。約束いただいたことが本当に、現場ではまるで違うということがないように、しっかりと対応をお願いしたいと思います。
 こうした中、二〇一八年度からは、国保は都道府県単位化されるわけです。改正された国保法三条は、都道府県は、当該都道府県内の市町村とともに国民健康保険を行うとあります。これは非常に曖昧な表現なんです。つまり、県が保険者になるわけではなくて、保険料の徴収や療養の給付は市町村のままであります。
 資料の六枚目には昨年十月十二日の東奥日報をつけておりますが、青森県の市町村格差を調べたものです。最大が平内町の十万九千八百二十円、最低が佐井村の六万五千二百八十八円、その差四万四千五百三十二円、一・六八倍です。佐井村は、無医村であり、医療費が少なく、だから保険料も高くないのはやむを得ない状況にあるわけですね。こういう地域の格差を考慮せずに保険料を統一しますともしなれば、大変な負担増になります。県内市町村長から、早く統一をという声と、いやいや、時間をかけてという声の両方があって、今決められないという記事になっております。
 伺います。都道府県単位化は、保険料を全県一本に統一するのですか。
○塩崎国務大臣 国民健康保険というのは、さまざまな構造的な問題を抱えて厳しい財政状況にあるということで、平成三十年度から財政運営責任主体を市町村から都道府県に移行することによって、高額医療費の発生などの多様なリスクが都道府県全体に分散される仕組みということにいたしたところでございます。
 また、今回の改革におきまして、毎年約三千四百億円の追加的な財政支援を行うことによって国保の財政基盤の強化を図るということにしているわけでございます。
 お尋ねの、二〇一八年度、平成三十年度以降の市町村ごとの保険料の水準のあり方につきましては、今後、各都道府県が市町村と協議を行った上で順次決定していくということでございまして、その際、都道府県内の保険料水準を統一することも可能な仕組みとしておりますけれども、都道府県内の現行の保険料水準の差などを踏まえて、市町村ごとに異なる保険料水準とすることも可能な仕組みとなっているわけでございます。
 今後、各都道府県におきまして、市町村と十分な議論がそれぞれの都道府県で行われて、それぞれの地域の実情に応じて適切な保険料水準のあり方が決定をされていくものと私どもは考えているところでございます。
○高橋(千)委員 統一が可能な仕組みとおっしゃいました。確かにガイドラインには、将来的には都道府県統一の保険料水準を目指すもののということで書いているわけなんです。だから言っています。異なる仕組みがあり得るんだということをぜひ確認させていただきたいと思うんですね。
 資料の七枚目、既にその試算を始めた埼玉県の資料がございます。
 一人当たりの保険税額がどうなるのかということで、所得に応じてとかあるいは均等割でとか幾つかのパターンをやってみたんですが、どうやっても、県平均で見ても一三一%の負担増。そして、いずれもトップは蕨市なんですが、一七七%前後の負担増になっているんです。ですから、市町村が繰り入れをして保険料の高騰を抑えているところもあります。
 しかし、そもそも、今さっき紹介した佐井村のように、医療資源がないために医療費も安くて、保険料もそれに伴って安いところもあるんです。そういう事情もあることをちゃんと踏まえて一律ではないのだ、そのことを市町村に、ちゃんと裁量がきくように認めていくということを一言確認させてください。
○塩崎国務大臣 今お配りをいただいている資料は、一般会計繰り入れがないという前提での試算ということだと思います。
 御指摘のように、都道府県内の医療費水準に差があって、医療費水準に応じた負担を求めることが公平感の確保につながる場合などには医療費水準に応じた保険料水準とすることができる仕組みとなっておりまして、一律の保険料水準を求める仕組みとはしておりません。
 今後、各都道府県におきまして、さっき申し上げたとおり、市町村と十分な議論が行われて適切な保険料水準のあり方が決定されていくものというふうに考えております。
○高橋(千)委員 確認をさせていただきました。
 最後の資料を見ていただきたいんですが、これは、東京都が今、都道府県の調整交付金を伴って差別化をしているものなんですね。三十二億三千三百五十万円を収納率向上に振り向けているんですけれども、差し押さえが例えば五百件以上あったら四千万円、三百件以上あったら二千万円というように、交付金で差をつけているんです。これはパイが決まっているんですから、パイが決まっている中で、差し押さえを頑張ったら交付金が出ますよ、逆に言うと、しなかったら交付金は出ない、予算が足りなくなる、こういう形になっては困るんです。
 国がみずから手を下さなくても、都道府県に差し押さえや滞納処分を競わせるようなことがあってはならないと思いますが、一言だけ、そうじゃないということをお答えください。
○浜田委員長 塩崎厚労大臣、時間が来ておりますので、よろしくお願いいたします。
○塩崎国務大臣 御指摘の、東京都において実施されている新規差し押さえ件数に応じた交付というようなことでございますが、差し押さえの対象となるべき被保険者に対して行った差し押さえの実施件数を評価する限りにおきまして、直ちに否定すべきものではないと考えております。まずはこの実態を調べてみたいと思いますが、これはやはり、医療費の適正化それから収納率の向上などについて市町村の取り組みを進めていくことが重要だということで調整交付金を構えているわけでございますので、これらの取り組みのさらなる推進を図ることは一般にはあり得るものと考えております。
 この都道府県調整交付金の具体的な交付方法につきましては、各都道府県がそれぞれの状況に応じて条例で定めるということになっていますから、各都道府県の判断によって実情に応じた交付方法が設定されているものというふうに認識をしております。
○高橋(千)委員 調べていただきたいと思います。終わります。

 

――資料――

予算委員会配布資料

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