――議事録――
○高橋委員 私は、日本共産党を代表して、雇用保険法等の一部改正案に反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、雇用保険への国庫負担の五割削減によって、制度への国の責任が大きく後退しているからです。
また、今回、暫定措置として国庫負担全廃が示唆されておりますが、大臣も全く想定していないと答弁されたとおり、絶対にやるべきではありません。そもそも、失業給付への国の責任は、勤労権を保障した憲法二十七条に根差しています。大企業のリストラや非正規雇用の拡大など深刻な雇用情勢のもとで、国の役割はますます重要なのではないでしょうか。
二兆八千億円余の積立金残高に示された雇用保険財政の好転は、この間の保険料率の引き上げや給付率の削減など、受給者、受給額を絞り込んできた結果であることは明白です。求職者給付の受給率は二割強にすぎず、多くの労働者が雇用保険から排除されている実態を直視すべきです。財政状況が改善されているというなら、給付の改善を図り、若者や高齢者への就労支援などを強く行うべきです。
反対の第二の理由は、受給資格の被保険者期間に持ち込まれた離職理由による差別を一層拡大するからです。
これまで一般労働者で六カ月、パートで十二カ月であった被保険者期間を、今回、自発的離職の場合に限って十二カ月にしました。そのため、一般労働者では六カ月の就労で受給できた受給資格の権利が奪われることになります。
安易な給付を防止するという説明ですが、六割の給付を得るために六カ月の短期離職を自発的に繰り返すなどはあり得ないことで、むしろ、リストラ等の会社都合離職が自己都合にゆがめられたり、自己都合離職の給付を三カ月おくらせる待機の押しつけなどの差別的扱いが是正されるべきであります。
反対の第三の理由は、積雪寒冷地の被保険者等への特例一時金の削減です。
この制度は、冬期に仕事のない季節労働者の命綱であるにもかかわらず、通年で働ける措置がないままに削減が進められており、季節労働者の生存権が脅かされていると言わなければなりません。
さらに、雇用福祉事業、三事業についても、今回廃止される五十二施策の中には、出稼ぎ労働者の健康診断などに対する地方への補助や小規模事業所の雇用保険事務代行への助成制度が廃止されるなど、雇用福祉施策の後退が見られます。育児休業の基本手当の算定基礎から育児休業期間を除外することについても、少子化対策と逆行するものであり、認められません。
以上指摘して、反対討論といたします。(拍手)