――議事録――
○高橋委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。
雇用対策法は、その目的で、国が安定した雇用の維持を図ることで完全雇用の達成を目指すとし、国の雇用対策を具体化する雇用対策基本計画を策定してきました。しかし、時々の経済政策に従属させられてきたこと、とりわけ二〇〇一年の法改正後は、大企業の利潤追求のための産業構造の変化に対応した雇用の流動化を支えるものへと変質してきました。
今回、雇用対策基本計画が廃止されます。今後は、骨太の方針や「進路と戦略」など、名実ともに官邸主導、経済界の要請に沿った雇用対策が厚生労働省の頭越しに決められることになります。これは、憲法に定める国民の勤労権を保障すべき国の責任を投げ捨てるものにほかなりません。
反対する主な理由は、外国人労働者の雇用状況に関する報告制度が義務化され、公共職業安定所に集約された外国人労働者の個人情報が、出入国管理行政からの求めがあった場合に提供することが義務づけられているからです。
雇用保険未加入や極端に低い賃金、残業代の未払いなど、劣悪な労働条件のもとに置かれている外国人労働者の無権利状態を改善することは急務の課題であり、そのために外国人労働者の就労実態を把握することは必要であります。しかし、今回の改正では、不法滞在者の取り締まりという別の目的を有する入管行政と情報が共有され、永住外国人など、適正に働いている多くの外国人労働者まで管理の対象とされます。
これでは、制度本来の目的を離れ、在留管理強化のために利用される懸念が大きく、外国人労働者の権利侵害につながりかねません。外国人労働者にとって、自分たちを守ってくれるはずの労働基準監督署やハローワークが、自分たちを摘発する機関と直結することになれば、労働行政機関から外国人労働者の足が遠のき、雇用管理の改善や再就職促進も果たせなくなります。こうした懸念は、質疑を通じてますます大きくなりました。
なお、地域雇用開発促進法改正は、地域類型の再編や助成金の要件を変更するとしておりますが、これまでの支援措置について明確な実証もないままでは、どれほどの効果が期待できるのか、疑問があります。
また、事業主の施設整備に伴う雇い入れ助成は常用雇用が要件となっておりますが、地域の雇用情勢の改善に資するためには、正規雇用など安定した雇用の確保を条件とすることが求められるということを指摘しておきます。
最後に、民主党提案の雇用基本法案、若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案については、趣旨としては理解できるため、賛成といたします。
以上を述べて、討論とします。(拍手)