○高橋委員 私は、日本共産党を代表して、社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
反対の理由は、本法案が、養成施設卒業者についても、国家試験に合格しなくても准介護福祉士という別の国家資格を付与する点にあります。これは、国家試験を受験するという形で介護福祉士の資格の取得方法を一元化することによって資質の向上を図るとする趣旨に反するばかりか、新たに生まれる准介護福祉士制度によって、介護福祉士の社会的評価や国民の信頼を損ねることになりかねないからです。介護福祉士資格への二重構造の持ち込みは、処遇面などでさまざまな混乱、差別を介護現場に持ち込むことになります。
本法案に准介護福祉士制度が持ち込まれた理由に、日比EPAとの整合性を図ることが挙げられておりますが、これが結果として安価な外国人労働者の受け入れにつながるのではないかという懸念も見過ごすことはできません。こうしたことは、介護職全体の労働条件を低い水準に固定化し、ひいては介護職員不足に一層拍車をかけ、むしろ介護の質の確保を困難にしかねません。
今、介護の現場では、業務量が増加しているにもかかわらず、他の産業と比べても非常に安い賃金に抑えられ、働くことを希望している方が数多くいるにもかかわらず、離職を余儀なくされている現状があります。
今後さらに増大する福祉・介護ニーズに対応するために、十四年ぶりに改定された社会福祉事業に従事する者の確保を図るための指針で、給与を、他の分野、地域の水準等も踏まえ、適切な水準を確保し、給与体系については国家公務員の福祉職俸給表等も参考にすること、週四十時間制の導入等の文言が入れられたのは、一歩前進だと考えます。
指針を真に実効あるものにし、介護労働の改善を図るためにも、早急に介護報酬の引き上げ等を含めた抜本的な見直しを強く求め、反対討論といたします。