無・低年金対策抜本的に
高橋議員 暮らせない実態告発
日本共産党の高橋千鶴子議員は26日の衆院厚生労働委員会で年金の受給資格短縮法案について質問し、無年金・低年金の解消に向けた抜本的対策を求めました。
同法案は、年金受給に必要な保険料の納付期間を25年から10年に短縮するもの。しかし高橋氏の質問に厚労省は、今回の期間短縮でも26万人が無年金者として残されることを明らかにしました。
高橋氏は、今回受給資格を得ても納付期間が10年では月1万6千円にしかならないと指摘。低年金者向けの「年金生活者支援給付金」も、納付期間10年では月1250円と低年金解消にほど遠いことを明らかにし、「福祉給付の名に値しない」と批判しました。
高橋氏は、政府のデータでも65歳以上の単身者は基礎年金だけでは赤字だと指摘。「85歳になるが、それでも働き続けなければならない」など切実な声を示し、「これが『1億総活躍』か」「まじめに働いて保険料を納めても暮らせない。現実から出発すべきだ」と迫りました。
塩崎恭久厚労相は「社会保障全体でどうサポートするかだ」と言い訳しました。
高橋氏は、保険料後納制度によって受給額増や受給資格を得た人が6万8千人に上ることを示し、同制度を時限措置ではなく恒久制度とするよう要求。特別障害者給付金受給者を年金生活者支援給付金の対象とすることも提案しました。また無年金・低年金の全容調査を行い、解決に結びつけるよう求めました。
(しんぶん赤旗2016年10月27日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
今国会には、今審議入りをしている年金機能強化法案と、野党はカット法案と呼び、先ほど大臣もそうおっしゃいましたけれども、将来年金確保法案と説明している継続法案の、二つの年金関連法案が出されております。
与党理事の皆さんは、年金関係だから一緒の審議をするべきと主張しておりましたが、私たちは分けてやってほしいと要望して、そのようになったことをまず感謝申し上げたいと思います。
今回の法案は無年金者救済法案と位置づけているわけですが、年金の受給資格を得るのは、加入期間二十五年以上だったものを十年以上にするという法律が、既に成立しているんだけれども、消費税一〇%と同時スタートとしていたためにおくれている。今回、来年八月からに前倒しするというもので、一日も早くという思いがあります。
また、一方の法案の方は、年金を受給している人には購買力を保証するという点から、原則物価スライドだった現行制度を賃金に合わせるという重大な変更であり、到底受け入れられません。重要広範議案として十分な審議を行うよう、委員長、また与党理事の皆さんにも強く要請しておきたいと思います。
さて、まず最初の質問は、先ほど最初の質問でもあったかと思うんですけれども、整理のために伺います。
年金受給資格が加入十年間へと短縮されるので、約四十万人が救済されるということが言われておりますが、それでもまだ無年金として残る人がどのくらいか、お願いします。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
今回、受給資格期間を二十五年から十年に短縮した場合の対象者を把握するために行いました調査によりますと、七十歳まで任意加入をしたといたしましてもこの十年の受給資格期間を満たすことができない、こういった無年金の方は、約二十六万人になるというふうに見込んでいるところでございます。
○高橋(千)委員 もう一度局長に伺いますけれども、今の対象者を調べた調査というのは、要するに、全体を網羅する調査ということでよろしいのか、サンプルではないということでよろしいのかというのをまず一つ確認したいのと、資料の二枚目に、前にこの短縮法案が出されたときの資料をつけております。下のところに、六十五歳以上の無年金者約四十二万人の納付済み期間の分布というのがありまして、十年未満が五九%ということで圧倒的に多いということがわかるんですけれども、しかし、これは平成十九年の、しかも旧社保庁のときの調べですので、大分時間が経過している。これがどんなふうに移っているのか、わかるように教えてください。
○鈴木政府参考人 今回の調査でございますけれども、これは日本年金機構が把握しております納付済み期間、免除期間、これを全てピックアップいたしまして調べた調査でございますので、そういう意味では、サンプルではなく、全数に近い調査だというふうにごらんいただいてよろしいかと思います。
今先生から御指摘のありました十九年のときの分布でございますけれども、これは、基本的には無年金者の方々が大体減っておりますので、実際の分布がどうなるかというのはまた調べてみる必要がございますけれども、基本的に、この分布全体が低くなって、減っているというふうに御理解いただいて、大方間違いないのではないかというふうに考えております。
○高橋(千)委員 全体に低くなっているというだけでは、大分違うんですよね。だって、二十五年にあと数年とか数カ月とかというので諦めていた方が、十年というと大分差があるわけですからね。それで救済される人というのは、本当に網羅、要するに取りこぼしがないようにしなければならないわけです。
それで、せっかく全数調査をしたとおっしゃっているんですから、この分布が、もっとぐっと、わかるようにならなきゃいけないと思うんですが、出していただけるんでしょうか。
○鈴木政府参考人 今回の調査に基づきます納付期間の分布につきましては、また整理した上で、わかるように御提示を申し上げたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。
次に、十年で資格を得るようにということは、私たち自身も、そうするべきだということはかねてから要求をしてまいりました。
とはいえ、現在の基礎年金部分が満額でも六万五千円という低い水準のために、ちょっきり十年だとその四分の一、一万六千円にしかならないんです。先ほど平均が二万一千円とありました。それ自体も十分低いですけれども、今言っているように、やはり十年のところに近いわけですよ。だから分布図を出してくださいと言っているわけ。だから、一定の人もいるから、ミックスして平均するとそうなるかもしれないけれども、実際は一万六千円に近い人が多いだろうということが、当然予想されるわけですよね。到底これでは足りないということがわかるかなと思うんです。
そこで、予算委員会でも話題となった年金生活者支援給付金なるものが低所得者対策としてあるんだということ、大臣も総理も何度もお答えになりました。
そこで、資料の3なんですが、今、長妻元大臣ともやりとりをしていた、社会保障・税一体改革における経緯という資料であります。これは、民主党政権時代には、低所得者等の年金額の加算という扱いで、つまり、年金制度の中で検討していたわけですよね。それは月六千円の定額加算なので、これは、当時公約として掲げていた最低保障年金七万円を目安としていたものだと思っております。世帯非課税という、範囲は大変限られているわけですけれども、納付期間に限らず定額であったということと、免除期間を考慮した加算も入っている、そういう意味での工夫があったかと思っております。
ところが、当時野党だった、ちょっと今いらっしゃいませんが、現田村筆頭理事が、基礎年金額よりも一円でも多い収入があればもらえなくなる、そうすると、その境界線ぎりぎりの、例えば、厚生年金もあるんだけれども、それがとても低い人などはむしろ不利で、逆転現象が起きる、こういう大変厳しい指摘が野党時代の自民党からありまして、それで、私たち共産党は入れてもらえない自公民三党協議によって修正され、月額は五千円に減額をされ、そして、表にあるように、年金法の外の福祉的給付と位置づけられた、こういう経過がございました。
しかしながら、ちょっきり十年の方は、一万六千円プラス、今言ったように、納付期間に比例した加算ですので、五千円ではなく、四分の一、千二百五十円しか足さないんですね。私は、これは一律五千円でよかったのではないかと思うんです。
大臣に伺いますが、年金生活者支援給付金は、年金法の外という位置づけなのに、何で保険料の納付期間に比例した加算となるんでしょうか。
○塩崎国務大臣 社会保障・税の一体改革についてお触れをいただきましたけれども、そこにおいて当時の民主党政権が政府案として提出した年金額加算は、今御説明をいただきましたけれども、基本的には定額加算ということになっていました。しかし、三党協議を通じて、その中で、保険料の納付意欲を損ない、社会保険方式になじまない、こういう意見が出されたわけであります。
こういう意見を踏まえるということで、年金生活者支援給付金については、三党合意において、給付金の額を、保険料の納付意欲に悪影響を与えないよう納付実績に比例するとともに、年金制度の枠外で実施することとされたわけでございます。
○高橋(千)委員 十年になるかならないか、そういう人たち、大変な事情のある方たちが、それを定額にしたら納付意欲が減退するだろう、そういう議論自体がおかしいんじゃないですか。そもそも、世帯非課税のところしか対象にならないわけですよ。
福祉的給付と仮にも名前をつけるのであれば、これは、一々ここをスライドする必要はないんじゃないですか。もう一度検討するとおっしゃっていただきたい。
○塩崎国務大臣 十年にちょっと満たない方々だけを相手にこういう御議論を申し上げているわけではなく、年金制度全体にかかわる方々、まだ二十になる前の、これから保険料を払うようになる若い方々、そういう方々にとってもメッセージがあるわけでありますので、助け合い、分かち合いの制度である年金制度、保険制度についての理解をいただくということが大事だというふうに思いますので、この納付について、納付をすることが将来の給付につながるという基本原則を御理解いただくということは大変大事なことだというふうに思っております。
○高橋(千)委員 そうであれば、低所得者対策ですとか、あるいは福祉的給付だということは言わない、言うべきじゃありません。その名に値しません。そのことを指摘しておきたいと思います。
私は、こういう給付をするよりも、年金額そのものを減らさなければいいと思っておりますので、そういう、いかに所得をふやしていくかということで議論を進めていきたい、このように思います。
それで、大臣に伺いたいと思うんですけれども、改めて一枚目の資料を見ていただきたい。
これは、記憶があるかもしれませんが、昨年の予算委員会で質問したときに使った資料に一年分を足したものであります。新しくしたものであります。上の方が六十五歳以上単身無業者の基礎的消費支出、下の方が老齢基礎年金であります。ぱっと見て誰もがわかるように、基礎的消費支出に追いついておりません。赤字であります。
これは、大臣は、こういう資料を出すと、我が国は夫婦二人のモデル世帯を基準としているからとお答えになるわけであります。先ほど来、長妻元大臣が大変な議論をされておりますが、そもそも、所得代替率という議論も、夫婦二人になって初めて五割という議論をしていたわけですね。私は、そのこと自体がもうおかしいんじゃないか、そう思うんです。
なぜなら、昨年の国民生活調査では、六十五歳以上の単身世帯は二六・三%、十年間で約一〇ポイントふえているわけですね。これは男子とは限らない、女性の方がむしろ多い。女性の方が年金額が少ない。現実にそうだとわかっていながら、モデル世帯で済ませていられるんでしょうか。
まず大臣に、単身世帯では満額でも基礎年金だけでは暮らしていけない、そういう水準であるということをお認めになりますか。
○塩崎国務大臣 これは、先ほどおっしゃった、夫婦だけのことを言っているわけではなくて、我々ももちろん、単身世帯がふえているということもよくわかっております。
夫婦の場合には基礎年金で基礎的な収支はカバーできるわけでありますが、単身の方々については、おおむねできるということを申し上げてきているので、だからこそ、今回のような年金生活者支援給付金、こういうものをちゃんと導入しないといけないということで、私たちも消費税引き上げ時に導入しようということを申し上げているわけでありまして、これは、基礎年金だけという方には全て支払われることになるということでもございます。
○高橋(千)委員 まず、単身世帯がふえていることはよくわかっているとおっしゃいました。よくわかっているのであれば、やはりこの実態からスタートするということが大事だと思います。
夫婦の場合はカバーしているとおっしゃいましたが、その夫婦が必ずしもモデル世帯には当てはまらないわけなんです。
それと、この表を見ておおむねと言うのはちょっと言い過ぎではないかと指摘をして、おおむねカバーできていると言うのは、ちょっと実態から、あるいは当事者から見たらなじまない、許しがたい議論ではないかなと思っております。
私は、これまでも、全日本年金者組合の皆さんが取り組んだ実態調査や、あるいは年金減額違憲訴訟が起こっていることを紹介してきました。現在、訴訟をしている方は四千六百二人にもなっているそうであります。
私が述べたいのは、これらの方たちはどなたも、長い間働いてきちんと保険料を納めてきた方たちなんです。そこが大事なんですけれども、大臣、よろしいですか、そこをわかっていただきたい。さっきから納付意欲がどうのという話をしていますけれども、頑張ってきた人たちが厚労省が描くモデル世帯にはほど遠いんだという現実を受けとめていただきたいということです。
簡単に紹介します。
夫婦合わせて年金十万円、今は何とか健康で、仕事もあり生活できるが、夫婦どちらかが病気になったり仕事がなくなったりしたら、直ちに生活できぬようになる。八十五歳になるが、それでも働き続けなくてはならぬ、やめるにやめられない、もしかしてこれが一億総活躍なのかと思ってしまいました。
外出したり近所の人とつき合うと何かとお金がかかると、一人で家に閉じこもっている人もいます。
もともと気管支が弱く、長時間働くことが困難で、六十歳になったときに引き続き働かないかと言われたんだけれども、定年退職を選んだ。国民年金を十五年、厚生年金を二十五年余り掛けてきたけれども、六十歳定年退職でようやく年金が支給されて少しは楽な生活ができると思ったんだけれども、支給開始年齢が原則六十五歳になっちゃった、なので、再就職もままならず、減額を承知の上で六十歳前倒しの手続をとったという方。
子供さんが難病で、親亡き後、子供さんが働いたわずかな時間と、厚生年金のわずかな時間と免除期間の年金だけで、どう暮らしていけるかと心配をされている。
大臣、こうした実態をどう受けとめていらっしゃいますか。真面目に働いて納めても、なお大変、暮らしていけない。モデル世帯というわけには現実はいかないというところから出発して、どうするか考えていきたいと思います。いかがでしょうか。
〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕
○塩崎国務大臣 御指摘のように、特に高齢単身世帯について、さまざまな問題、課題があるということはよくわかっております。
それは、先ほど来答弁申し上げているように、ひとり年金だけで全てを解決するということはなかなか難しいわけでありますけれども、しかし、年金生活者支援給付金のような年金とリンクした形での低所得者対策、低年金者対策というものをしっかりやる。もちろん、二十五年、十年のこの期間短縮の法案も、無年金の方をどうカバーしていくかということでもございます。
それと、やはり社会保障全体でどうサポートしていくか。これは、被用者保険の適用拡大で、働ける人は働いていただくということでもございますが、一方で、医療、介護などの保険料の軽減措置というものも、既に始まっているものもございますが、一〇%に引き上げ時にもさらに行うことが、介護でも行われる予定になっておりますから、こういうことを両々相まっていかなきゃいけませんし、何よりも、働くことが可能になるような働き方改革も、同じように高齢であろうとも元気であれば働けるということが大事だというふうに思いますし、元気ではない場合のことについては今申し上げたとおりでございます。
○高橋(千)委員 ですから、給付金はとても低所得者対策には値しないと今指摘をいたしました。それだったら、せめて定額にすればいいじゃないかということも言いましたし、年金が少な過ぎるから八十五歳まで働いてもやめられない、そういう人に対して働けというのが一億総活躍社会ではなかったはずなのにと指摘をして、私、もう少し建設的な提案をしたいと思います。
そこで、資料の四枚目ですが、納付機会の拡大についてということがありますが、上の方を見ていただきたいんですが、十年後納制度、これは平成二十四年から二十七年の九月まで、それから、五年後納制度ということで今やっております。そういうことがこれまでもやられてきたわけなんですね。
そうすると、もう既に終わった十年後納制度、これは民主党政権のときですけれども、受給資格を得た方、ふえた方など、実績がどうなっているか、教えてください。
○伊原政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の十年後納制度は、平成二十四年十月から平成二十七年九月までの三年間の時限措置として実施させていただきまして、この間に保険料を納付した者は百十八万四千七百四十七人でございます。
この十年後納制度で保険料を納付したことによって老齢基礎年金額がふえた方は三万八千五百三人、このうち新たに老齢基礎年金の受給権を得た方は二万九千八百四十九人でございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
今報告いただいたものを、この下の方にもつけておきました。
聞いていただいて、あっと思ったと思うんですが、新規に資格を得た方が二万九千八百四十九人で、ふえた方が三万八千五百三人で、合わせると六万八千三百五十二人がまずふえた、資格を得たということ、それ自体は大変よかったと思うんですね。
それプラス、利用者総数が百十八万人以上いるということ。これは納付月数にしますと千六百十四万月で、二千三百九十六億円以上納付があったわけなんですね。そうすると、この方たちは、これから先、年齢が上がっていくことで、いよいよふえたり、あるいは新しく資格を得たりするわけですよね。そうすると、チャンスがあれば払いたい方はこんなにいるということ、まずその認識を共有したいと思うんです。
それで、後納制度については、議論をしたときに、後からまとめて払えるとなれば、毎月払っている人との不公平感があるとか、モラルハザードなどと言われました。しかし、現実に、後から払うことでの調整金、上乗せして払わなきゃいけないというリスクもあるわけですし、毎月払っている方に迷惑をかけているわけではないわけですよね。だったら、無年金、低年金を解消する上でも活用すべき制度と言えるのではないでしょうか。
二年時効の見直しや時限措置ではなく、恒久法にするなど、改めてこの制度を検討すべきではないでしょうか。大臣に伺います。
○塩崎国務大臣 後納制度につきましてお尋ねをいただいておりますが、現役世代の方々が毎月納める保険料がその時々の高齢者の方々の年金給付に充てられる助け合いの仕組み、世代間の助け合いの仕組みを我が国の年金制度はとっているわけであります。いつまでも保険料を納付できる仕組みというのは、この助け合いの仕組みを、言ってみれば、どちらかといえば、その前提を崩すようなことにもなりかねないようなことでもあるわけでございます。
しかし一方で、できる限り保険料を納めやすくするという観点からは、二年の時効を超えて保険料納付を可能とする後納制度というものを実施しておりまして、保険料納付意欲や既に保険料を納付した方との公平感に配慮する観点から、これまでも時限措置として実施をしてきたわけであります。
こういうような観点から、後納制度については、その時限措置の期限が到来するときに制度も終了することが基本であるというふうに考えているわけでございます。
年金受給資格期間短縮が施行されてから現在の後納制度が終了する平成三十年九月三十日までの、一年以上の時間がその間にあるわけでありまして、後納制度を利用して十年の受給資格期間を満たそうとする方が制度を確実に利用できるように、後納制度の周知をさらに十分に図っていきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 助け合いというんだったら、納付者がふえた方がいいじゃないですか。二千三百九十六億円以上の納付があったわけですよね。だから、さっきから議論している、給付金財源どこにありますかとか、六百五十億どこですかという議論をされてきたわけですよね。だけれども、そうではなくて、みずから払ってこうした財源が生まれているわけなんですよ。だったら、やはり年金制度の中で解決できることは解決すればいいんです。
私は、そういう意味で、もっと前向きに考えるべきだということ。それで、平成三十年で、時限で終わることを基本とお答えになりましたが、そこは決めてしまわないで、引き続き検討していただきたい、これは要望にしたいと思います。
そこで、もう一つ伺いたいのは、年金加入が任意だったとき、学生時代などに障害を持ったことで無年金になってしまった方たちに特別障害給付金という制度がありますが、直近の受給者数がどうなっているか、伺います。
○伊原政府参考人 お答え申し上げます。
特別障害給付金の直近の受給権者数は、本年八月末時点で九千二百八十一人となっております。
○高橋(千)委員 これは前にも一度質問をしたことがあるんですが、この方たちは、本来、年金制度に入りたい、そう思って、訴訟もやった方が、学生無年金訴訟などもありました。そうした中で、政治決断で、障害年金とは違うけれども、給付金という形で、一級の方は五万一千四百五十円、二級の方は四万一千百六十円という形で給付をされております。
こうした方たちに対しても、年金生活者支援給付金、さっきも年金に準じてやるということを言っているわけですから、支給するということを考えてもよいのではないでしょうか。また、その際かかる費用はどのくらいか、お答えください。
○塩崎国務大臣 年金生活者支援給付金につきましては、社会保障・税の一体改革の中で、当時の民主党政権が年金額の加算として提案をされたものについて、三党協議を経て、先ほどのとおり、現在の給付金の形になっているわけでございます。
こうした経緯を踏まえて、年金生活者支援給付金は、年金受給者を対象とする、そして保険料納付実績に応じて支給するということとなっておりまして、福祉的な措置でございます特別障害給付金の受給者を対象とすることは考えていないところでございます。
なお、平成二十六年度末の特別障害給付金の受給者数を用いて、一級、二級の額を機械的に乗じますと、およそ約五億九千万円となるところでございます。
○高橋(千)委員 五億九千万円ということをお答えいただきました。
これは私、国会に来た直後のときに、自分の大学の同級生がまさにその当事者であったということを後で伺って、集会などにも参加したときに、やはり皆さんが、生活保護ではなく、年金にこだわっているんですよ。ですから、障害があって働けないという方もたくさんいらっしゃって、だったら生活保護の資格はあると思うんです。だけれども、年金給付という形で資格を得たいんだとおっしゃっていたわけです。だとすれば、ずっと低いお金だけれども、そこで頑張ると言っている方を応援するというのは理にかなっているんじゃないか。そういう発想の転換をしてほしいということで提案をしておりますので、ぜひ検討していただきたいと思うんですね。
やはり私は、きょうこうした議論をしてくるのは、実は、無年金者救済法案と名づけるものですから、いやいや、本当に救済になっているだろうかということをずっと考えて、それでこうしたことを言ってきたわけです。
最後に一問伺いたいんですが、無年金、低年金については、先ほど紹介した平成十九年、二〇〇七年の調査がいまだに使われているわけです。六十五歳以上で年金を受給できないだろうという方が最大四十二万人、六十歳未満を入れると百十八万人になるという資料でありました。しかし、その後、今紹介したように、後納制度も取り組んできたし、十年納付というふうなこともあるわけです。プラスの面もあるわけです。ただ一方、企業側の事情で厚生年金未加入者もふえています。その未加入者が、必ず国民年金の受給資格を持てるほどちゃんとやっているかということはわからないわけです。ですから、こういう実態を調査して解決に結びつけていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕
○塩崎国務大臣 無年金者数につきましては、御指摘のとおり、従来、平成十九年に当時の社会保険庁が行った推計により把握されてまいりました。
今回の受給資格期間短縮に当たりまして、改めて日本年金機構が保有している年金記録に基づいて対象者の把握を行った結果、今後、七十歳まで保険料を納付してもなお十年に満たない六十歳以上の無年金者の数は約二十六万人ということは先ほど申し上げたとおりでございますが、なお、日本年金機構が記録を把握していない方を含めた調査を行うべきではないかという御要請がございました。
国民皆年金のもとで、現在は基本的に全ての成人の方に、住民基本台帳をもとに基礎年金番号が付与されていることとなっておりまして、おおむねその年金記録を把握していると考えられること、そして、それでもなお把握ができていない少数の方を調査するためには極めて大規模な実態調査を要すると考えられること、こうしたことから、御要請にお応えすることは容易ではないというふうに考えております。
○高橋(千)委員 残念ですが、また続きをやりたいと思います。終わります。
――資料――