――議事録――
○高橋(千)委員 ただいま議題となりました政府提出の労働者派遣法の一部改正案と三党提出の修正案に反対の立場から討論します。
政府が提出した法案は、製造業務派遣、登録型派遣の原則禁止を言いながら、一方で多くの例外を認めるなど、極めて不十分な内容です。それでも、行き過ぎた規制緩和による派遣切りの横行を政府自身が認め、初めて派遣法を規制強化する方向へと踏み出したものでした。国会での十分な審議を通じて、真に派遣労働者の保護に資する法案へ抜本改正することこそ求められていたのです。
しかし、昨年四月に提出された本法案は、本会議と当委員会での質疑がわずかに行われたものの、首相の交代という政局の前に、審議が打ち切られていました。我が党は、徹底審議と、派遣労働で働く当事者の意見を聞くための参考人質疑の開催を繰り返し要求し、その立場から、法案の継続審議扱いにも賛成してきました。
ところが、法案は、この一年七カ月余りの間たなざらしにされた末、今国会の会期末直前になって、突然、民主、自民、公明の三党が合意したという修正案が提出されたのです。
その内容は、製造業務派遣や登録型派遣の原則禁止を削除し、日雇い派遣の規制を緩和する、違法派遣の場合の派遣先の雇用申し込みみなし規定の施行を三年も先延ばしにするなど、政府案が不十分ながら派遣労働への規制を強化しようとした根幹部分を丸ごと取り除こうというものであり、重大な改悪修正です。
こうした内容が、大政党だけによる水面下の協議によって合意され、わずか三時間の審議で採決するなど、言語道断です。派遣法の抜本改正を願う多くの労働者の期待を裏切り、国会審議も不十分なまま何が何でも法案を通そうという、民主主義のルールを破壊するこの暴挙に、断固抗議するものです。
労働者の保護には極めて不十分な政府案と、それすら骨抜きにしようという修正案は、断じて認められません。
以上、反対討論とします。